高市内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年1月16日

(平成19年1月16日(火) 10:59~11:21  於:合同庁舎4号館6階 会見室)

1.発言要旨

 今日の閣議案件は、一般案件が1件、政令が1件あり、私どもからの主請議はございませんでした。
 私からは、本日の閣議において、シンガポールの出張について、お手元に配付している資料のとおり発言しました。1月9日から13日までの間、シンガポールを訪問して、沖縄科学技術大学院大学構想とイノベーション、科学技術政策、少子化対策、IT政策などについて、関係閣僚等との会談及び関係施設の視察を行いました。大学院大学構想については、生命医学の世界的研究拠点であるバイオポリスを所管する科学技術研究庁や、アジアトップレベルのシンガポール国立大学の幹部と会談して、相互に有益な形での連携協力関係を構築していくこととしました。当面は既に実施している国際的な教育プログラムにシンガポールの優秀な若手研究者等を積極的に送り出していただくことになりました。イノベーション及び科学技術政策については、シンガポールでは生命医学など国の発展の鍵となる分野を絞り込み、研究環境、社会制度を整備して、世界各国から優秀な人材を惹きつけ、最高水準の研究を行っております。その成果を国際競争力のある産業の発展や国民生活の向上など、社会・経済に還元するために、国を挙げて戦略的かつ迅速に取り組んでおり、多くの示唆を得られました。少子化はシンガポールも非常に深刻な状況であり、IT政策は非常に力強く推進されていますが、それぞれ担当大臣と会談し、仕事と家庭の調和を進める取組など共通の課題も非常に多いことから、これからお互い情報交換をしていこうという認識で一致しました。今回の成果は、沖縄大学院大学構想の推進やイノベーション25の策定など、今後の政策の参考として活かしてまいります。
 次に、お知らせですが、明日17日水曜日午後2時から、これもお手元にお配りしている資料のとおり、食育推進有識者懇談会を開催いたします。近年の国民の食生活をめぐる様々な課題に対応していくために、家庭、学校、地域などを中心に国民的広がりを持つ運動として食育の推進に取り組むことが大変重要だと認識しております。この懇談会は、国民運動を一層推進していく上での重点事項や具体的な方策について、私自身が直接学校や地域などで食育を推進している有識者から意見を聴くため開催するものです。今回を含めて懇談会は3回程度開催し、食育推進に関する国民運動の重点事項について取りまとめたいと考えております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)菅大臣が、情報通信省の構想を唱えていますが、IT担当大臣として受け止め方をお聞かせ下さい。
(答)私が出張したシンガポールでも情報通信の担当大臣がおられまして、規模の小さな国ですので日本と随分条件が違いますが、情報通信技術を活かして国民サービスを充実させておられました。ITは、国民生活の利便性に資するのですが、他方でセキュリティーをクリアしなければ、例えば社会保険の事務や医療保険なども活用できません。この様な意味から私は情報通信は非常に強い意志を持って強力に進めるべきと思っており、菅大臣のお考えも尊重すべき一つの御意見と思っております。
 ただし、今後政権内でどの様に各閣僚がお考えになるか意見交換もしなければいけません。例えば医療関係でITを活用するならば厚生労働省ですし、社会保険事務も同様です。また、政府全体のIT化は全省庁の取組として必要ですし、経済産業省ならば特に中小企業のIT化ですが、取引先までIT化が拡大されていないということは、各省に関わる問題もございます。現在の私の立場である総合調整機能はしっかりと生かしてまいりますが、菅大臣のお考えも、将来の課題でもあると思っています。アジア諸国と日本とは条件が違います。非常に人口規模も大きく、多様なニーズのある国で、地方公共団体の取組もあり、現在は、内閣官房で総合調整をしながら各省が取り組んでいる状況だと思います。
(問)特に今の段階では賛成とか反対とかいうお考えの段階まで結論づけていないということですか。
(答)もしも菅大臣がおっしゃるようにつくるのであれば、IT政策に関係した、あるいは、ITによる手続に関して全面的な権限を集中した官庁、もしくは担当大臣を置くということであればいいのだろうと思います。それはそれで国家戦略として非常に面白い考え方だとは思います。ただし、現状ですぐに出来るかといえば、それは別の話だと思います。医療保険や社会保険事務など今まで各省庁で手当てされていた様々な専門的な制度がありますから、ITに係る様々な課題をクリアしていく権限や、実際には通信の安さや速さでは日本はその地位を確立していますが、日本が世界一のIT先進国であり続けるために、長期的な国家戦略として強大な権限を与えるという形での再編ならば、1つの面白い考え方だと思います。決して否定はいたしません。
(問)仮に、情報通信省ができるという話になった場合、行革の政府のスリム化という考え方とは逆行するという考えもありますが、その点に関してお伺いします。
(答)行革の方向性が、幾つかの国家戦略に応じて、その遂行に必要な機能を各々の役所から切り分けて再編していくような大規模なものであれば、日本の未来の競争力をつくる上では非常に面白いと思います。内閣府に来てよく分かりますが、各省にまたがっていて、各々の役所がやっているけれども、実際の効果が上がっていないということは結構あると思います。その様な機能を再編するという省庁再編ならば、挑戦してみても良いと思います。
(問)シンガポール出張ですが、沖縄科学技術大学院大学構想の中で、研究者を確保する目的もあったという一部報道がありますが、どのような成果がありましたか。また、実際に行動をとられましたか。
(答)政府の関係者でもあるシンガポール国立大学の学長とも話をしました。沖縄の科学技術大学院大学は開校していないため、現在既に実施しているサマースクールやワークショップに若手研究者や学生を送り込んでいただくことから立ち上げていこうという合意はできたと思います。今後、お互い事務的に詰めていくという合意もできました。
 世界中から優秀な研究者を引っ張るという点では、シンガポールの外国人研究者に話を伺いましたが、かなり研究費も潤沢に使えます。また、日本の大学では教授が様々な手続を何もかもやりますが、シンガポールでは研究費の調達など、サポートするスタッフも十分にそろっており、教授にはかなり裁量権があります。住居、住環境などもかなり恵まれており、治安が非常に良いそうです。ある方はシンガポールで子供を育てる方が安心、安全だったという感想も漏らしておられ、生活環境、研究環境ともにかなり恵まれていると思います。積極的に大臣が海外に出かけて優秀な研究者を良い条件でリクルートしていることもよくわかり、取組の参考になりました。
(問)今話題になっている政治資金の問題ですが、高市大臣ご自身の政治団体等で、事務諸費として冠婚葬祭費や飲食代など、これまでに施行規則に明示されない支出を事務諸費として落としたケースがありますか。また、計上経費の領収書添付を行うように法改正等をすべきではないかという話が出ていますが、大臣のお考えをお伺いします。
(答)私自身のことですが、国会議員になって既に12年以上になります。平成5年からのものを現段階では調べておりません。海外出張に行っている間に出張先でこの様な問題が報道されていることを知り、昨日も出張でしたので、自分自身では調べておりませんが、私は適切に処理していると思っております。毎年、自分の資金管理団体と政党支部の報告を出しますが、会計を担当している秘書がたたき台をつくり、自民党の奈良県連の指導も受けながら、判らないところは随時聞きながら書類をつくりまして、最後は私が電卓をたたいてみています。どの費目に何を入れているかについて、細かいチェックまで私自身ではかけておりませんが、最終的な責任は私が持ち検算をしておりますし、提出前には自民党の奈良県連が細かく費目等についてチェックしていただいた上で提出するルールになっているので大丈夫だと思いますが、地元に帰りましたら、過去の分もみてみたいと思います。
 領収書を添付することは、きちっとやった方が良いと思います。冠婚葬祭は領収書が取れませんが、この費目は明確に計上して下さいというルールが十分ではないと感じておりました。判らないことがあった時に私の事務所も総務省に電話して聞きますが、例えば、選挙前にこの様な文書だと違反になるのか教えて下さいと聞くことがありますが、都道府県警の御判断という形で突き放されて、なかなか教えていただけなかったりします。曖昧な部分が多い制度だと思いますので、より厳密に、誰もが読んでも、これはここに計上するとか、この様に領収書を添付するとか具体的な形に改善することはとても大切だと思います。
(問)一部報道で、青年国際交流事業に応募して不合格になった個人情報が韓国で流通していたという報道がありましたが、事実関係についてどの様に受け止められていますか。
(答)大変申し訳ないし、お恥ずかしことですが、私も今朝知りました。先ほど報告を受けたところで、5年ほど前に応募された方の情報が一部流出して、韓国のホームページ等を通じて表に出てしまったという事実はございます。このことに関しては、私自身も個人情報を担当する大臣ですし、内閣府の中で起きたことであり、心から申し訳ないと思います。まずはお詫びを申し上げます。対応ですが、二次被害が発生しないように、この事実が分かった時点で受け入れ機関に削除を要求して、その情報の削除は完了しております。また、これも今朝指示しましたが、その関係者に、名簿に名前が出てしまった方に対して、お詫びのお手紙を送付します。それから、二度とこの様なことが起きないように、少し時間はいただきますが、原因究明を徹底的に行いたいと思います。新しい名簿と一緒に古い名簿がなぜ相手国に送信されてしまったかについてですが、エクセルソフトで非表示にして古い名簿が残っていたのです。これは特別なチェックをしないと分からないものですが、担当者が全然気が付かずに送ってしまい、相手国も気付かないままホームページに載せてしまったと聞いております。まだ概要ですので、これ以上のコメントはできませんが、被害の拡大を食い止めるための措置を既に行い、関係者へのお詫びの手紙は早急に発送をいたします。また、二度とこの様なことが起こらないように、再発防止について内閣府内の、特にパソコン上の文書管理、とりわけエクセルで非表示にした場合、担当者が替わった場合、ファイルが隠れていることに気が付かないこともありますので、この様なことが絶対に起きないように徹底してまいりたいと思います。関係者の皆様には本当に申し訳ないです。
(問)参加した方の情報がホームページに載っているようですが。
(答)参加者ですか。
(問)合格した方です。
(答)最新の参加者名簿は、当該外国は公表するらしいです。積極的に掲載をされているようです。ただし、そのファイルに6年前のものが入っていたということです。それは非表示の状態だったので、そのファイルが入っていることに気が付かないまま、グーグルで表に出てしまったようです。
(問)大学院大学の関係ですが、学長や幹部からどの様な話があったのか、発言として教えて下さい。
(答)大変興味を持って大学院大学の構想を聞いていただき、こちらからも英文のパンフレット、資料等も用意して十分に説明をさせていただきました。これから研究者も素晴らしい人をリクルートしたいし、学生も世界中から集まってくる大学院大学にしたいので、お互いにメリットのある形でぜひとも連携関係を考えたく、よろしくお願いしたいと思っております。まずはサマースクール、ワークショップといった活動があるので、研究者や学生に来ていただけるよう対応をお願いしたいと申し上げました。先方からは、これからお互いに連絡を取り合いましょうということで、表現はわかりましたということだったと記憶をしております。
(問)菓子メーカーの不二家が賞味期限を偽造した等のことがありましたが、食品安全担当の大臣として一言お願いします。
(答)この様なことは絶対にあってはならないことです。その後、各流通業界などでも衛生管理がなされていることが確認されるまで商品を撤去する動きも始まっておりますし、不二家でも善後策は早い段階でとられ、幹部の責任、特に社長さんの責任のとり方も非常に早い段階で決断をされたと思います。今後、衛生管理も含めて、当該の地方でやっていただくことですが、十分に検査と原因の究明などが行われており、その経緯を見守りたいと思います。十分な対応が今後なされるということを大いに期待しておりますし、衛生管理と再発防止策が明示されない限り消費者の信頼は得られないと思います。初動の対応については、私は問題はなかったと考えております。

(以上)