溝手大臣記者会見要旨 平成18年9月27日

(平成18年9月27日(水) 0:05~0:28  於:警察庁16階 第1会議室)

1.発言要旨

皆さん、こんばんは。溝手でございます。夜遅くまでご苦労さまです。
 このたび、国家公安委員会委員長並びに防災担当の大臣を命ぜられました溝手顕正と申します。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 正直なところ、大変な仕事でございますので、なかなか一気にマスターするのは難しいと思いますが、心して勉強したいと思います。いささか地方行 政の経験がありますので、これが活かせればよろしいのではないかと思っております。警察の問題で最近気になっておりますのは、小さい子どもたちが、いろい ろな形で被害に遭い、交通事故もそうですが、虐待や変質者によるものなど、いろいろな犯罪に巻き込まれているということ。交通事故の問題はまた後で申し上 げたいと思いますけれども、小さな子どもが酔っ払い運転の車に巻き込まれる話もございました。特に街を歩いて実感をしますのは、安全・安心がいろいろな意 味で強く求められている気がいたしております。それが、例えば社会保障の問題とか、年金の問題とかという意味の安全・安心と、それから通常の日常生活をす る上での安全・安心、両方の意味で特に最近強く感じられるという印象を持っております。
 雨の降り方も風の吹き方も、我々が昔経験してきた状況より変わってきた気もいたします。そういう意味で、防災に関しての安心・安全という問題 も、何か昔とは変わった取り組みが求められているのではないかと思っております。これは地球温暖化のせいであるとか、いろいろな原因も指摘されております が、天災、天変地異に基づく災害が、何か従来の我々の経験してきたことと違ってきたような気がいたしておりますので、新しい対策を立てないといけないのだ ろうと強く思っております。
 正直なところ、私も来年改選を控えておりますので、このところ地元に帰っていろいろな人と話をする機会が多いのですけれども、安全・安心という 言葉のいろいろな意味に皆さんが関心を持たれているなと、想像以上であるなとの印象を持っております。したがいまして、防災担当、国家公安委員会委員長と いうお役目をいただいたことに対しては、大変ある意味ではありがたい、やりがいのある仕事ではないかと心得てやってまいりたいとこのように思います。

2.質疑応答

(問)刑法犯の認知件数は、3年連続で減少しておりますけれども、大臣がただ今おっしゃっておりましたように、子どもが被害に遭う凶悪事件が相次いでおりまして、依然として厳しい治安情勢にあります。そのような治安情勢に対する現状認識と今後の治安回復に向けた取組みについて、大臣のお考えを伺います。
(答)おっしゃるとおりで、犯罪件数が減ってきている傾向が見えるのはそのとおりだと思いますが、子どもが被害を受けることが増えたなという印象があります。政府といたしましては、現在、「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」を策定して取り組んでおりますし、警察庁も「治安再生に向けた7つの重点」ということで、様々な対策を推進しているわけですが、こればかりはいくらやっても十分ということはない。引き続き、強力に対策を推進するように、そして、国民の安全・安心を確保できるように督励し、頑張ってまいりたいと考えております。
(問)北朝鮮による日本人拉致事件についてお伺いします。警察も捜査を進めていますけれども、いまだ全容解明、全面解決には至っていません。このような現状についての認識と今後の解決に向けた取組みについてのお考えをお聞かせください。
(答)日本人拉致事件の問題は、極めて由々しき事態だと思います。我が国の主権を侵害する極めて遺憾な事件でありますし、被害者の苦痛というものは大変なものだと思います。断固、許すことができないと考えております。警察の今までの調査の中で、11件16名という人数が判明しているようですが、これ以外にも拉致被害者がいるという声は上がっており、現時点で確定できない件もあるようですが、やはり徹底的に調査して解明を進めていかなければならないと思います。国家公安委員会委員長という立場からも、警察庁を督励してまいりたいと考えております。
(問)飲酒運転による事故が最近続いておりまして、死亡事故に至る悲惨なケースもあります。大変大きな社会問題になっていると言えますけれども、飲酒運転を根絶するため、今後どういう取組みが考えられるか、お考えをお聞かせください。
(答)飲酒運転の逮捕者の姿を見ていると腹が立つようなことが多いです。極めて悪質な犯罪であると思います。この対策は、極めて重要な課題であると思っております。今年は、去年より少し増えているようですが、教唆とか幇助ということも含めて対応するということが少し足りなかったのかなと思います。もう少し徹底的に、酔っ払い運転の「周辺」も含めて対応していかなくてはならない。新しい形で酔っ払い運転の撲滅ということを考えていかなくてはいけないのだろうと思います。これは、警察庁だけでできる問題ではないと思います。いろいろな意味で、地方自治体の協力も必要だろうと思いますし、また、教唆とか幇助につながる業者に対する協力要請も広げていかなくてはいけないだろうと思います。いろいろな意味で、酔っ払い運転という考え方の裾野を広げて対応していかなくてはいけないだろうと思います。
(問)テロ対策についてですけれども、国際的にテロの脅威が依然として高い状況にある中、日本では再来年にサミットが開かれますが、テロ情勢の現状に対する認識とテロ対策についてのお考えをお聞かせください。
(答)私は、ちょうど9.11事件の5日くらい前にニューヨークにいたのですけれども、本当に驚きました。普通に生活しているとテロの脅威というのは身近に考えられないのですが、一旦起きますと大変であります。最近では、アル・カーイダが日本を攻撃目標の地域の一つに入れていると思われますし、これは大変なことだろうと思います。私は、昔、海運港湾の仕事もしておりましたが、施設をしっかり完備しないと船自体も入ってこられないような状況になってきておりまして、テロ対策というのが世界の常識になっているのではないかと思います。いろいろな意味で、警察も重要な施設にしっかり対応していかなくてはいけないと思います。国家公安委員会としましても、日本のみならず海外との関係や情報交換をしっかりとやりながら、これに対応していかなくてはいけないのではないかと思っております。是非、警察庁には頑張っていただきたいと思っております。
(問)今、質問の中で大臣がお答えになられましたが、子どもの被害に伴う事件について、更にお尋ねですけれど、とりわけ児童虐待の事件が近年増加傾向にあるということで、児童虐待対策に警察としてどのように取り組んで行くのか、お考えがございましたらお聞かせください。
(答)これについては、本当にいろいろな問題提起がなされておりますが、大変な問題だと思います。第一次的には、保護の環境整備というのでしょうか、福祉の問題としてまず最初は取り上げられるのだと思いますが、それにとどまらないケースが増えてきたというのが今の問題なのだと思います。警察としても、福祉問題との境界では、お互い手を伸ばし合って対応していかなければいけないのだと思います。新しい分野になるのかもしれませんが、従来のように仕切りを作ってしまうということでは、福祉も警察もお互いうまくやっていけなくなるのではないかと心配しておりますので、相談をして対応を考えたいと思っております。
(問)防災の方でお伺いいたします。特に首都直下地震が懸念される中で、日本経済の事業継続とか、中央省庁の事業継続性をどう担保していくかということが問われていると思いますが、それに対してのお考えをお聞かせいただければという点と、それから、先ほど自治体の市長をされていたという点で、何か防災の担当大臣として具体的に考えておきたい点がありましたら、お聞かせいただけますか。
(答)事業継続の問題は、ある意味では新しいテーマなのだろうと思いますが、従来の防災という観点ではないのだろうと思います。従来だったら波及してくる経済的な損失をどうやって防ぐかということだったのだろうと思います。そうじゃなくて、事業継続そのものが一つのテーマとして取り上げられるべきだという考え方だろうと思いますし、間接的と言われていたことが実は大変重要です。広島県でこの前、水道の事故があったのですが、やはり一番被害を受けたのは事業者でした。だから、具体的な生活はたちまちどういうことはないのですが、結果として生産が逸して大変な事態になったということを我々も経験させていただきました。これはしっかり対応を考えなくてはいけない。シミュレーションなり、対応策をあらかじめしっかり考えるべきではないかと思います。
 それから、啓蒙活動もしっかりしなくてはいけないということに尽きるんだろうと思いますね。もっと目をできるだけ広く、深くして、対応策を、絶えず啓蒙して、勉強して、調査をしていかなくてはいけないのだろうと思っております。
(問)国家公安委員長というお立場から少し離れた質問になって恐縮なんですが、全閣僚の皆さんに伺っていますので、お答えいただけたらと思います。
 靖国参拝に関するご質問なんですが、2点ございまして、大臣、靖国神社に閣僚として参拝されるでしょうかというのが1点と、安倍総理大臣が靖国参拝に関しましては、参拝したともしないとも言わない、あいまいなスタンスをとっているわけですけれども、このことについてどのように思っていらっしゃるのか、2点お願いしたいと思います。
(答)ちょっと順番逆になりますが、総理の話ですが、これは総理の話ですから、私がどうこう言う立場ではないと思いますし、それに尽きるんですけれども、コメントする立場にないんだと思います。
 それからもう一つの問題は、私自身、たまたまこれも私の郷里の話ですが、広島ではいつも8月6日ごろというのは、原爆の記念日がありまして、これはあらゆる行事が全部その辺に集中しているんです。いわゆる平和記念式典もありますけれども、それ以外に神道による慰霊祭もありますし、仏教による慰霊祭もあります。我々は、それに出ることで毎年を過ごしてきたということで、靖国に参拝するということは念頭になかったんです。大臣としてどうするのかということになりまして、これも今から少し考えさせていただこうかという以外にはないんじゃないかと、このように思っております。
 どうもまた皆さんいろいろとご厄介になりますが、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(以上)