大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年5月30日

(平成20年5月30日(火) 9:31~9:39  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日は閣議がありませんが、幾つか重要指標が発表されましたので、コメントいたします。
 まず、消費者物価ですが、生鮮食料品を除く4月の消費者物価指数は前年比で0.9%のプラスです。食料品の寄与度が0.6%です。前月はこれが0.4%でしたから、食料品が値上がりしている様子がうかがえます。
 一方、石油製品については、4月はガソリンの値段が下がりましたので、寄与が0.3%です。先月は0.7%でしたから、先月に比べると、石油製品のプラス寄与は0.4%ポイント下がったことになります。
 生鮮食品、石油製品、その他特殊要因を除いた物価、私どもがコアコアと呼んでいる物価ですが、前年比0.6%になりました。コアコアが0.6%のプラスですので、デフレ脱却に向けて前進していることが言えます。ただ、これが持続可能性を持つかどうかは、もうしばらく様子を見る必要があります。つまり、これが賃金に反映されていくかどうかということです。物価上昇、原材料価格が上がっての物価上昇だけですと、いずれ企業収益を圧迫していきますので、賃金上昇に結び付きません。この物価上昇が賃金上昇に結び付いて、その状況が続くと完全にデフレから脱却したと見ることができますけれども、持続可能性を持つかどうかは、もうしばらく見る必要があります。
 その大きな指標であります単位労働コスト、ユニット・レーバー・コストと呼んでいるものが、1-3月のGDPでは0.3のプラスになりましたけれども、まだ1回限りの動きですので、今後の動向を見ていく必要があります。
 次に、家計調査です。
 家計調査の実質消費支出は、季節調整済み前月比で見ますと4月は0.7%のマイナスになりました。マイナスではありますけれども、4月は天候が悪かったですから、その天候要因を考えると思った程のマイナスではなかったと見ています。実質消費支出から自動車の購入、あるいは住居、仕送り金など、変動の大きいものを除いてみますと0.6%のプラスになっています。もちろんガソリンの購入が増えたという要因は割り引いて見る必要がありますけれども、消費の実力はそれ程弱くはないと見ています。
 特に、4月の消費を押し下げた要因は婚礼といったものが上位に上がっていますので、全体として個人消費は横ばい圏内にあると見ています。
 次いで、雇用です。
 雇用は、失業率が4.0%と0.2%ポイント上昇いたしました。また、有効求人倍率は0.93と下がりました。決して良い指標ではありません。内訳を見ますと、雇用者が5万人増えましたけれども、失業者はそれ以上に増えまして、10万人増えております。特に注意すべきは、男性の失業率が0.2%上昇して4.0%です。
 止むを得ず離職した人、つまり非自発的離職者が11万人増えています。これは決していい数字ではありませんので、雇用の状況は十分注意して見ていく必要があります。ただ、先月失業率が下がって今月は上がったというまだ単月の動きですので、雇用は足踏み状態にあるという状況に変化はないと見ています。
 最後、生産です。
 鉱工業生産は、4月はマイナス0.3ということで、これは予測と同じ数字です。5月は4.7と上昇が予測されています。在庫が0.9%減っていますので、生産の動向は全体としてそれほど悪くはありません。横這いだと見ています。
 ただ、注意しなくてはならない点があります。それは、電子部品デバイス、IT関連の生産財です。電子部品デバイスの、生産が3.9%のマイナス、これは輸出の弱さを反映しております。生産、出荷ともに弱い数字で、結果として在庫が5.8%増えています。IT関連の生産財は在庫調整に入っている可能性があります。この点は十分に注意して見ていきたいと思っています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)物価ですけれども、コアコアが0.5%を超えて0.6%になったということで、デフレ脱却に向けて前進していると評価なさいましたけれども、消費者物価自体の評価はわずかながら上昇しているのか、それとも上昇しているのか、この点の判断に変化はあるのでしょうか。
(答)この点に判断の変更はありません。まだ上昇幅としてはそれほど大きい訳ではありませんので、わずかながら上昇していると判断しています。
(問)IT関連の生産が在庫調整に入っている可能性があるという点ですが、オリンピック商戦向けのプラズマテレビなどもあまり売行きが良くないみたいで、この4-6月期に生産が落ち込むと2四半期連続になってしまうのですけれども、先行きの生産についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)生産全体としてはまだそれほど弱いわけではありません。今後の輸出の動向を見ていく必要があります。生産の中で電子部品デバイスは特に注意が必要だと思っておりますけれども、今の時点で生産全体がそれほど弱いとは見ていません。横這いであると見ています。やはりこれは、アメリカ向けの輸出が日本、アジアともに落ちているということを反映しています。
 今後、アメリカ経済の減速を受けて、日本からアメリカへの輸出、あるいはアジアからアメリカへの輸出が低下していきますと、それは生産に反映されていきますので、先行きは決して楽観はできないと見ております。ですが、現在では横這い状態にあると判断しています。

(以上)