大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年5月13日

(平成20年5月13日(火) 9:32~9:51  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日の閣議では、道路特定財源等に関する基本方針が閣議決定されました。
 総理から、21年度から一般財源化することは、与党とも合意の上、国民にお約束したことであり、いかなる状況となろうとも、これを実現する所存である。道路予算における不適切な支出を根絶する。外部有識者による監視を強化するとともに、進捗状況を管理し公表して、国民の目に明らかにするということ。この際、すべての省庁、すべての特別会計や関連公益法人に至るまで、無駄な支出を徹底的に洗い出し、「ムダ・ゼロ」に向けた見直しを断行するといった御発言がありました。
 併せて、官房長官から、一般財源化の具体的成案に向けて検討を深めていく。関係閣僚会議の第1回会合を今週中にも開催すると。
 それから、行政と密接な関係にある公益法人の集中点検を今行っておりますけれども、6月中に改善結果の最終報告を取りまとめると。支出の見直しの結果は、20年度の予算執行に反映させるとともに、21年度以降の予算編成にも反映させるといった御発言がありました。
 それ以外の御発言として、地方自治法施行60周年記念貨幣47都道府県ごとに発行する。本年度から平成28年度まで順次発行し、今年度は北海道、京都、島根の3道府県です。
 あと、「森林・林業白書」について御発言がありました。
 閣僚懇談会では、国家公務員の早期退職慣行の是正について発言がありました。
 諮問会議は、明日開催いたします。農業改革について、若林大臣をお招きして議論を行います。それ以外に、業種別生産性の向上について、これは既に取りまとめ中ですので、その報告を行います。議論のメインは、農業改革です。
 その次の諮問会議は、20日火曜日を予定しています。航空自由化・観光について、冬柴大臣をお招きして議論します。
 また、対日直接投資について、これは有識者会議で今報告の最終取りまとめをしていただいていますので、これを基に議論いたします。M&Aのルールも議題の一つになりますが、これは政府というよりも民間企業が大変関係いたしますので、東証の斉藤社長においでいただくこととしております。それから、有識者会議の島田座長にもおいでいただきたいと考えていますが、まだ日程調整を最終的にしております。
 そのほかの議題は議論の時間との関連で、この2つ以外にも加わるかどうか、最終調整中です。決まり次第、ご連絡いたします。
 5月15日木曜日に、成長力底上げ戦略推進円卓会議を、6時から7時官邸で開催いたします。前回に引き続きまして、中小企業の生産性向上と最低賃金の中長期的な引上げの基本方針について議論を行っていきます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)道路特定財源の一般財源化については、かねて総理が、「骨太の方針」で具体的な形を盛り込むとおっしゃっていますが、今後の議論について、どのように考えていらっしゃるのかお伺いいたします。
(答)「骨太方針」に向けて、この関係閣僚会議でも議論がなされますので、一般財源化の具体的な形というのは、これから関係閣僚会議で議論されていくということになります。
 併せて、ガソリン税を含む税制改革の議論も始まる訳ですが、この税制改革については、諮問会議でもなるべく早い時点で議論したいと考えています。
(問)それと関連して、社会保障費の2,200億円の削減について、与党からも厳しいのではという見方が高まっていますが、基本方針2006の見直しを含めて、今後どういう検討を進めるのか、考え方をお願いします。
(答)歳入・歳出一体改革に基づく歳出削減をどうやっていくかというのは、これから諮問会議で議論いたしますけれども、基本は骨太2006のフレームを守っていくということですね。それを実際にどうやっていくかは、これから議論いたします。
(問)円卓会議では、最低賃金、生活保護費との関連という話が改正法で出ていますが、その辺の具体的な話などを進めていくことになるのでしょうか。
(答)生活保護よりも水準が今低いところについては引き上げていく。これは既に改正法案が通りましたので、そういうことになっております。その後どうしていくのか。これまでは、毎年幾ら上げるかということを議論しておりましたが、円卓会議では、それを中・長期的にどういう水準で持っていくのかということを議論いたします。去年からの議論の中で出ているのは、例えば平均賃金の何割というような形で決めて、そこに向けて引き上げていく。これは、何年かかけて引き上げていく。あるいは、現在は中卒の賃金で、かつ女性で中小企業に勤めているといった低いレベルに合わせているようですが、今高卒がかなりの比重を占めていますので、高卒に合わせるといったこと、そういった幾つかの基準のどれかを選択して、それに向けて何年かで引き上げていくような決定の方法ができないか、それについて議論するということです。
(問)その基本的な考え方は大体いつぐらいにまとめるとか、そういった見通しは既にある程度あるのでしょうか。
(答)いえ。本当は昨年もう少し決めていきたかったのですが、改正法案が通るのが遅かったものですから、なかなかその議論ができませんで、また今度再開するということになります。非常に意見の隔たりは大きくて、経営側は生産性向上が先だ、労働側は最低賃金引上げが先だということで、隔たりは非常に大きいまま、議論が進んできております。何とかこの取りまとめに向けていけるように、議論を進めていきたいと思っております。
(問)20日の諮問会議は、有識者会議からの報告があるのでしょうか。
(答)報告も含めて、それを受けて、至急やるべきものについては「骨太方針」に盛り込んでいきます。報告というよりは、それを受けて今後「骨太方針」にそれをどう書き込んでいくかの議論に入ります。
(問)中国の大地震ですが、中国経済への影響についてはどう御覧になっていますか。
(答)まだ被害の程度も分かりませんが、相当大きい地震で、今報道されているだけでも大きい被害ですので、中国経済への影響は避けられないと見ています。本当に早く復旧することが第一だと思いますが、中国経済への影響は現時点では何とも申し上げられません。影響はあると見ております。
(問)日本の企業も随分進出して、アメリカの企業も生産停止している訳ですが、日本への影響はどうでしょうか。
(答)まだ何とも申し上げられませんが、これだけ大きい地震ですと、まず中国経済に影響があり、そこでの生産活動への影響が日本にも波及してくるということは、十分に考えられます。
(問)円卓会議ですが、前回12月26日に開かれてから5カ月ほどで、かなり間が空きましたが、その理由があればお聞きしたいのと、前回12月の議論を見ていましても、確かにおっしゃるように非常に隔たりが大きくて、なかなかまとまるような気配は見えません。先ほど、目標は特に決めていないということでしたけれども、一応、昨年内ということでやってきたものですので、今後どのぐらいのペースで開いていくか、ある程度スケジュールを示していかれるお考えがあるかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
(答)そのあたりは、今回もう少し議論になると思っています。
 まず、昨年末から開かれませんでしたのは、国会もありまして、なかなか日程調整が非常に難しかったということが最大の原因です。
 昨年末に開いてから今回までの変化として、生産性向上のプログラムはしっかりと策定されてきておりますので、それを踏まえての議論ということですね。これは、ある方向に意見がまとまっていきませんと、なかなかフィニッシュという訳にはいきませんので、今の時点でスケジュール感は何とも申し上げられませんが、そろそろ今年度の最低賃金の議論が夏にスタートいたしますので、今回開いて、夏の議論がスタートするまでの間にまた開いていきたいと思っています。本当に、まだ議論の隔たりが大きくて、私どもも何とか調整しながら、少しずつ進めているという状態です。
 これまで、政府として、こういう形で最低賃金の議論はしたことがないのですね。毎回、最賃の審議会で議論するだけでしたので、毎年の引上げ水準ではなく、本当に最低賃金がどうあるべきかということを正面から議論しているのは初めてですので、いろいろその進め方も考えながら、苦労しながらやっております。何とか中長期的な引上げの方針を得られるように、今回も議論を進めていきたいと思っています。
(問)道路の一般財源化のことですが、歳出・歳入一体改革の点から見て、今回の道路特定財源の一般財源化をどう意義付けられるのかということが一点。また、ガソリン価格が上がっている中で、暫定税率というのは受益と負担の関係で今まで課せられてきた訳ですが、そこが一般財源化されるということで、例えば従来水準を維持するということについて、納税者の理解が得られるのか。その辺は、どうお考えでしょうか。
 例えば暫定税率部分をそのままスライドするかどうか分かりませんが、今の税率の負担というものが、納税者に対して説得できるのか。あるいは、一般財源化するなら当然本則どおりに戻せとか、いろいろな議論が出てくるかと思うのですけれども。
(答)まず一般財源化については、歳出・歳入一体改革の中では、公共事業をマイナス1%からマイナス3%にするということが決められているだけですので、そのフレームは変わらないということですね。これまで道路についても、そのフレームの中で議論してきておりますので、そのフレーム自体は変わらないと思っています。
 一般財源化した後の使い道については、これまでは受益者が負担するという形の税でしたが、今度は環境の観点からの税ということになりますと、税の趣旨自体が変わってくる訳ですね。ですから、それも併せて、税制改革の中でこれは議論して、理解を得られるような形を作っていくのだと思います。少なくとも一般財源化ということですと、受益と負担という関係で税率を決めるという考え方から外れていきます。
 総理も、環境の問題も含めてということを言っておられますので、まさに諸外国も環境に対応する税ということで、ガソリン税、揮発油税をかけていますので、そういう枠組みの中で議論していくことになると思います。
(問)先ほどの質問にありました社会保障費の削減のところで、例えば一般財源化するところから回せとか、与党内からもいろいろな意見が出ていると思うのですが、そういったところで歳出・歳入改革の枠が守りやすくなるといった影響や、あるいは使い方というものが考えられるのかどうかということをお願いします。
(答)生活者財源として緊急な支出に向けていくことは、総理も言っておられますけれども、歳出削減の枠を守っていく、そして不足する分は増税でやるという「基本方針2006」のこのフレーム自体は変わらないということですね。これは、前半の御質問に答えて言うと、公共事業費もこのフレームの中で考えていくということになりますね。つまり、ここから財源を持ってくるから、歳出削減のフレームを変えるということではありません。骨太2006は、あくまで歳出改革のフレームとして決められているということになります。
(問)明日の諮問会議ですが、農業改革は具体的にどの程度やられるのかもう少し教えていただけますか。
(答)この間、「新農政2008」を決める閣僚会議がありましたが、その中で総理からも、今食糧が国際的に問題になっていて、自給率を高めていく、自給力を高めていくということが、大きい課題になっている訳ですね。やはり潮目が変わったと。国民の目に見えるように農業を変えていかなければいけないという総理からの御発言もありました。それを受けての議論になりますので、国内で本当の意味の自給力を上げるために何が必要かという議論になります。これまでも農地改革ですとか農業生産法人の議論を進めてきていますが、その延長線上で、大幅に自給力を高めるためにやっていかなければいけないという提言が、民間議員からあります。
(問)先ほど、道路のところで途中までおっしゃった、一般財源化した場合の使い道をなかなか短期間には決められないだろうというところですが、「骨太」の中では、要するに一般財源化した先どうするというところは、なかなか書き込めないということでしょうか。
(答)まだ、それは分かりません。今週から関係閣僚会議がスタートいたしますし、まずその法律自体は今日可決される訳ですね。その上で、議論の進捗を見て、なるべく「骨太」に書き込んでいきますけれども、どこまで書き込めるかは今の時点では何とも申し上げられません。
(問)自給力を高めるということは、今まで例えばEPAの議論などにおいて、垣根を低くして外のものもなるべく入れるように、としてきた方向性と違う気がするのですが。
(答)そうですね。そこが「潮目が変わった」ということです。もちろん日本で100%の自給はできませんので、輸入することも大事ですし、逆に輸出することも大事です。両方大事なのですが、やはり国内でもう少し自給力を高める努力をしないと、国際的に需給が逼迫している中で食糧を維持することはできません。つまり、今まであまり考えられていなかった国内の自給力をもっと正面から議論しなくてはいけないということですね。それが、総理の言われる「潮目が変わった」ということなのだと思います。
(問)若林大臣からも、何かそれに関して具体案は出てくるのですか。
(答)担い手の問題や農地改革など、これまでも「新農政」の中で自給力を高める努力は進められている訳ですね。ただ、どういう御提案があるかは分かりません。民間議員からは、自給力を高めるために、更に農業改革が必要であるという提言があります。

(以上)