大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年3月19日

(平成20年3月19日(水) 18:21~18:50  於:記者会見室)

1.発言要旨

 ただいま閣僚会議が終了いたしました。今月は、「景気回復は、このところ足踏み状態にある」と、2カ月続けて判断を引き下げました。先月は、生産の増勢が鈍化、輸出については伸びが緩やかになっているというふうに下方に変更しましたけれども、今月はさらに、生産が横ばいになっております。それから、設備投資もおおむね横ばいになっております。企業収益が弱含んでいます。
 一方、住宅建設はおおむね持ち直しと判断しております。したがいまして、生産、設備投資、個人消費という重要な項目で横ばいになっており、景気回復は、このところ足踏み状態にあるというふうに判断しました。
 先行きにつきましては、この住宅建設の持ち直しが続いていくと。それから、輸出全体が増加基調で推移するということで、景気は緩やかに回復していくと期待しております。ただ、サブプライム住宅ローン問題を背景とするアメリカ経済の減速、それから株式、為替市場の急激な変動、そして原油価格の動向などに十分注意が必要だと考えています。
 今日の閣僚会議での発言を、私のほうから一つだけ。
 渡辺大臣から、「ダラー・クライシス」という言葉を使いましたが、ドルの危機が高まっているのではないか。これをどう食いとめるのか。外貨建て債を過去に出したことがありますし、あるいは他国との協調利下げということも過去にありました。
 これに対して、福井総裁から、今起こっている問題は為替相場だけではなくて、株式市場その他の市場全体の問題であるので、全体的に投資家のリスク回避姿勢が強まっているということが背景にありますから、単なる市場対策だけでは問題は解決しないと。単に金融面で市場に介入するというようなことの前に、やはりまず米国経済の信認を取り戻していくと。それから、市場でのリスクに対する評価を組み立て直すという、こういう地道な取り組みがまず必要なんだというお答えがありました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)まず景気の現状認識についてなんですが、2カ月連続の下方修正という事態を受けて、景気は現状、踊り場入りしたのかという点について確認いたします。
(答)踊り場的な状態になっていると判断しています。
(問)その理由について改めてお尋ねいたします。
(答)個人消費、設備投資、生産という重要な3つの項目が横ばいという状態でございます。これは踊り場的な状態だと判断しています。
(問)先行きについてですけれども、「緩やかな回復が期待される」という表現になっているわけですが、踊り場という状態を脱して、そういう希望に戻るために、どういう道のりをこの後、日本経済は歩んでいくのか、そのあたり展望をもう少し詳しく聞かせてください。
(答)基本的には、アメリカ経済が今後どういう状態になっていくのかということが一番重要です。アメリカ経済の減速感が強まっておりますし、信用不安についても底打ち感がない状態にありますので、そこがどうなっていくかという点を一番注目しております。
 今のところ、輸出は、アメリカ向けが足下マイナスになっておりますけれども、アジア地域ですとかそれ以外のところは伸びております。輸出全体としては緩やかな伸びを続けておりますが、今後アメリカ経済の減速が強まっていきますと、タイムラグを伴ってアジア市場にも影響が及ぶと思いますので、ここを一番注目しながら見ていると。
 それから、サブプライム住宅ローン問題に端を発して、投機マネーが原油に流れるということも起こっておりますので、やはり原油高についても、この金融資本市場の動揺が、いつおさまるのかということに関連していると思います。
 日本経済にとって一番のリスク要因はアメリカ経済の減速が強まるかどうかという点。それから2番目は、原油価格がどうなるかという点ですね。
(問)確認ですけれども、02年2月に始まったとされる現在の景気の拡大基調なんですけれども、これはまだ続いているという御判断でしょうか。それとももうこれで一応途切れてしまったという御判断でしょうか。
(答)過去にも2回踊り場がございました。2002年イラク情勢が緊迫したとき。それから、2004年の後半ですね。このときIT関連財が若干の生産調整に入りました。このときも踊り場でした。踊り場というのは回復過程の中休み、一時的に弱くなって、ちょうど階段の踊り場のようになっている状態です。
 私どもも、今の状態は一応足踏みをしておりますけれども、アメリカ経済もいずれ戻し減税が行われるというようなことで、また回復過程に戻っていけば、日本経済も回復過程に戻っていくというふうに見ております。したがって、今の時点で2002年以降の長い回復が途切れたというふうには見ておりません。
(問)過去の2回の踊り場と比べて、その深刻度合いというんですか、その辺をちょっと分析していただけますでしょうか。
(答)それぞれ違う様相で起こっておりますので、単純に比較はできないんですけれども、今は在庫面でまだ下押し圧力は小さいですね。
 今日お出ししております資料の4ページの左側のグラフをご覧いただくと、2002年以降のところで丸で囲んだところが「踊り場」と言われた状態です。グレーの部分が景気後退局面ですが、一番違うのは景気後退局面では在庫が急速に積み上がっているんですが、今はまだ在庫は積み上がっているという状態にはありません。また、輸出は全体としては緩やかに伸びている状態です。それから、住宅投資が回復してきているということもありますので、踊り場というふうに判断しています。
 2004年のときは、ITが生産調整に入ったということに加えて、消費も台風とか地震で大きく落ちました。それから、携帯電話を中心に中国向けの輸出が顕著に落ちました。今回とはかなり状況は異なっております。今回も個人消費、設備投資、生産が横ばいになっておりますけれども、原因がそれぞれ違います。
(問)渡辺大臣から利下げの話はありましたか。
(答)ドルの危機に対して、どういう対応をとるかということでした。60年代、70年代のときは外貨建て債を発行したが、今回の局面に限って、こういうことをやるのか、それとも他国と協調利下げをするのかということを仰っていまして、日銀が金融政策をどうするのかという質問ではありませんでした。
(問)大臣はその点、協調利下げなど、さらなる金融緩和の必要性についてはどういうふうに考えられますか。
(答)金融政策は日銀の専管事項ですので、これは日銀が御判断になることです。日銀が、まさにデータをつぶさに点検して判断されるというふうに思います。
(問)過去2回とは状況が違うということだったんですが、それでも今、景気がいいとは言えないわけで、その中で日本が積極的に、主体的に何をすべきか、具体的にはどういうことを今考えておられますか。
(答)今回の状況は、基本的に背景にあるのは、アメリカで信用不安が収束しないということ。それから、アメリカの景気の減速感が強まっているということがあります。したがいまして、アメリカでとられている金融政策、財政政策の効果を見極めていくということが必要だと思います。ただ、日本でも既に原材料高によって中小企業の収益の圧迫が顕著になってきております。アメリカ向けの輸出がマイナスになるといった形で、全体に下振れリスクは高まっていますので、必要なことは、例えば中小企業など必要なところに迅速に手を打つということ。それから、先行きのリスクに早め、早めに手を打つということだと考えます。
 したがいまして、中小企業に対しては、昨年末の原油高対策に加えて、年度末に向けて資金繰りを中心に、中小企業対策というものを講じています。先行きのリスクに早めに対応するという意味では、成長戦略とか施政方針演説の中から中小企業の体質強化、それから雇用の改善、地域活性化につながるものを来月早々にも取りまとめるということをやっているという次第です。
(問)渡辺大臣のドルのところに対する福井総裁の答えなんですが、確認なんですが、協調介入に関しては否定的という感じだったんですか。
(答)まず渡辺大臣の質問は、協調利下げをするのかしないのかというよりは、ドルの危機に対して、これをどう食いとめるのかという質問でした。
 それに対して、為替相場だけではなくて、株式市場やその他の市場全体の問題だと。投資家のリスク回避姿勢が強まっているということが背景にあると。したがって、その金融面での介入の前に、つまり単なる市場対策で解決策にはならないので、米国経済全体の信認を回復させていくということ。それから、市場でのリスクに対する評価を組み立て直すという、その地道な取り組みが必要であると、そういうお答えでした。
(問)経済がこういう状況で、日銀の総裁に空席が出るという、前に大臣はあり得ないことだと仰っていましたけれども、実際になってしまったわけですが、それに対しての御見解をお願いします。
(答)大変残念なことだと思います。一刻も早く、総裁を決めていただきたいと思います。
(問)影響について、どのように見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)予断を許しませんので、私からはコメントできません。

(以上)

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