大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年3月11日

(平成20年3月11日(火) 9:25~9:42  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日の閣議ですが、発言は1件だけで、文部科学大臣から、子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画の変更について御発言がありました。
 閣僚懇談会では、総理から、成長力強化への早期実施策を取りまとめるようにという指示がありました。我が国の景気は、このところ回復が緩やかになっており、米国経済の減速、原油価格の動向等から、下振れリスクが高まっている。こうした状況の下で、持続的な経済成長を図るため、成長力強化への施策を早期に具体化していくことが求められている。
 ついては、施政方針演説や現在取りまとめ中の新経済成長戦略の中で、中小企業の体質強化や雇用の改善、地域活性化につながる政策を中心に、「成長力強化への早期実施策」―これはまだ仮称です―を4月早々にも取りまとめることとしたい。施策は、新たな財政出動や政府による需要の積増しは伴わないものとする。関係閣僚におかれては、このような認識の下、成長力強化への早期実施策について早急に検討していただきたい。なお、このとりまとめについては、経済財政政策担当大臣にお願いしたい、ということで、私に対して御指示がありました。
 これを受けまして、私から、4月早々に各省庁と相談しながら取りまとめたいということを申し上げました。
 関連して、財務大臣から、現下の経済情勢をよく点検した上で、日本経済の成長基盤をしっかりと作っていく施策を早期に打ち出していくことが求められている。働く意欲のある人々の雇用促進といった対策に加え、アジア経済との結びつきを強化することや、環境・資源分野における先進的な取組を推進することなども重要であると考えている。本日の総理の御指示を受け、財務省としても関係省庁とよく協力してしっかりと取り組んでまいりたいとの発言がありました。
 以前から、総理は、成長戦略で実施できるものは早急にやっていく、実行できるものからやっていくということを諮問会議でも言っておられました。それに加え、ここへ来て中小企業の収益が圧迫されてきており、中小企業の景況感も急速に悪化してきております。景気全体としましては、月例経済報告でお示ししたように、テンポは緩やかながら回復基調を維持していると見ておりますが、やはり先行きの下振れリスクは高まっておりますので、早目に対応していくという観点から、施政方針演説、新成長戦略のメニューの中から、中小企業の体質強化や地域活性化、雇用の改善につながるものを早期パッケージとして実施していくということです。早急に取りまとめに入りたいと考えています。
 閣僚懇談会ではもう1点、上川大臣から、公文書管理の在り方等に関する有識者会議の開催について御発言がありました。
 次回の諮問会議は、来週18日です。成長戦略に関連して、2つ議題がございます。
 1つは、開かれた国づくりに向けてということで、経済連携を中心に、高村外務大臣、若林農水大臣をお招きして議論いたします。2つ目に、革新的技術創造戦略の中で、スーパー特区を創設するということが成長戦略の中に書かれております。これについて、岸田科学技術政策担当大臣、渡海文部科学大臣、舛添厚生労働大臣をお招きして議論を行います。
 このスーパー特区は、法律改正などを伴わずにできるものについては、今日総理から御指示があった早期パッケージの中にも入れていきたいと思っております。

2.質疑応答

(問)今お話のありました成長力強化の早期実施策ですが、お話を聞くとポイントは3点で、中小企業、雇用の改善それから地域活性化ということですが、今の時点でそれぞれどういった内容を盛り込んでいくお考えでしょうか。
(答)それを中心にということですので、それ以外のものも含みます。例えば、今のスーパー特区の中でも、できるものはやっていこうと思っております。
 例えば、雇用ですと、ジョブ・カードなどはすぐに4月からスタートすることになっておりますので、これを最初からスタートダッシュしていくということがあるかと思います。中小企業については、IT支援など、業種別生産性向上プログラムをこの間諮問会議で議論しましたが、早期に実施できるものは実施していくということがあります。内容は、これから詰めていきます。
(問)今週も週明け以降、金融市場が非常に動揺しておりまして、背景として米国の景気市場の悪化、特に雇用統計が大幅に悪化した訳ですが、米国景気の現状をどう御覧になっていらっしゃるか。また日本経済に及ぼす影響についてどのようにお考えか、改めてお伺いします。
(答)アメリカ経済は、減速感が強まってきていると感じております。ただ、これが景気後退に至るのかどうかについては、今後の指標を見ながら点検していきたいと思います。
 日本に及ぼす影響につきましても、どういう形で波及してくるのか、今注意深く見ている状態です。アメリカ向けの輸出について、足元で14.5%のマイナスという減速が出ておりますが、今の時点では、まだその他の地域の輸出にカバーされて、輸出全体としては緩やかな伸びと見ております。ただし、鉱工業生産指数は1月2.0%のマイナスということで落ちてきておりますので、これが輸出と関連している可能性もある訳で、日本経済への影響は、今の時点でインパクトが予測できない面がございます。インパクトの大きさは、なかなか予見しにくい訳ですけれども、どういう形で出てくるのか、まさに今注意しながら見ている状態というところです。
(問)週末、日銀総裁と副総裁の候補の顔ぶれが固まりまして、今日所信の聴取が行われる訳ですが、この顔ぶれをどう御覧になっているのか、力量についてどのように評価なさっていらっしゃるか、その点からお願いします。
(答)今まさに国会で決定に向けての議論がなされるところですので、コメントは控えたいと思います。今、マーケットは非常に難しい時期に差しかかっておりますので、何より空白を作らないようにお決めいただきたいと思います。
(問)関連ですが、次期総裁に求められる点、特に今の経済状況に関連して、経済財政担当の閣僚としてはどういう点を要請したいか、その点をお願いします。
(答)これまでも言われてきたことですが、金融政策の適切な国際的視野、それから日本経済の動向の中で金融政策をしっかりと舵取りし、経済を金融政策の面から下支えしてくださると。世界経済の連動性が高まっておりますので、世界の中央銀行と密接に連携を取りながら、金融政策の舵取りをしていただく。それは、これから変わるということではなくて、これまでもこれからも求められる資質だと思います。
(問)伊藤さんは、現在諮問会議の民間議員ですが、日銀副総裁の候補者となったことで、今後どのようになっていくのでしょうか。
(答)まだ日銀の人事が決定しておりませんので、まずはその決定を待つということになります。仮に日銀の副総裁として決定されましたら、その時点で経済財政諮問会議の有識者議員はお辞めいただくことになりますので、後任を探すことになります。まだ日銀の人事が決まっておりませんので、今の時点では全く考えておりません。白紙です。
(問)後任の候補は学者の方向でしょうか。
(答)それも考えておりません。そこは、何の規定もありませんので、全く白紙の状態で検討いたします。
(問)昨日首相から、雇用についての指示が出ましたが、具体的にどういうお話があったのか教えていただけますか。
(答)まず、雇用も今回の早期実施プログラムの重要な柱になります。その話と、先日諮問会議で採り上げている新雇用戦略の議論がございました。その中の一部である待機児童ゼロ作戦については、3年間の集中プログラムをやるということでしたが、雇用戦略全体についても、なるべく早く実行に移せるようにというお話でした。
(問)春闘に向けて、雇用や賃金の話も昨日出たのではないかと考えているのですが、それはなかったのでしょうか。
(答)それはありません。以前に御手洗会長、草刈副会長と同席の時はその話が出ましたが、昨日は出ておりません。
(問)では、その御手洗さんと草刈さんが同席の時に出たとして、それを政府としてどう受け止めて、どういった政策が考えられるのかというところを伺えますでしょうか。
(答)春闘に絡めては、賃金に関して政府が介入するというものではなくて、あくまで労使の協議です。消費がなかなか強くなっていかないということもありますので、総理から、賃金を上げられるところは上げて、消費という面でもしっかりと安定した経済になるようにご尽力いただきたいというお話が、御手洗会長にありました。
(問)特にそれに関係して、政府として何ができるのか考えるということではないのでしょうか。
(答)はい。その時、格別政府として何かできるかということではありませんでした。政府としては、最低賃金の引上げや職業訓練と、政府としてできることは幾つかやってきております。それを更に進めていくということになります。
(問)本日の総理の指示ですが、先ほど大臣がおっしゃられた1月末の諮問会議では、施政方針を受けて成長戦略を審議した際に、たしか総理が、できるものを早くやりましょうとおっしゃっていました。その時の指示との違いは、中小企業が加わったということなのでしょうか。
(答)特に重点的にやるという分野が加わっております。あの時は、成長戦略は取りまとめを待たずに、たしか民間議員も3つに分けて、取りまとめを待たずにできるものはやっていく、それから、取りまとめ前であってもできるものはやっていく、それから、取りまとめ後、「骨太」に至る前であっても法改正などを伴わないものはやっていく。そして、しばらく制度改革の議論など要るものは骨太に書くということだったと思います。
 今回は、それも受けた形で、この間、民間議員から早期実施策の提案もありました。金融資本市場であるとか、そういうものを踏まえてやっていくと。ただ、あの時は施政方針演説ということはおっしゃらなかったと思います。成長戦略の取りまとめを待たずに、できるものはやっていけという御指示だったと思いますが、今回は施政方針演説も含めて、実施していくものは実施していくということです。
 したがって、今回は成長戦略の早期実施より少し範囲が広くなると思います。その中に書かれていないことであっても、中小企業や地域や雇用に関連するもので、施政方針演説の中に入っているものでできるものはないか、早急に考えようということです。したがって、くどいようですが、1月の御指示よりはやや広い範囲の中で、なおかつ、焦点を今度は明確に指示されたと受け止めています。
 ただ、経済成長と財政健全化は、当然車の両輪ですから、財政出動は伴わない、知恵を絞れということだと思います。
(問)昨日総理にお会いした中で、1月末から1カ月半ぐらい経っていて、総理がどういう思いで今回こういう指示をしたか、言葉では何という表現で、大臣に伝えられたのでしょうか。
(答)できるものはやっていく必要があるから詰めておいてくれということは、前から言われておりました。それを4月早々にと。やはり、IT支援など来年度予算のメニューになっているものもありまして、これらは予算案が通過しませんと実行できませんので、取りまとめの時期に入るようにということですね。考えておくようにという御指示は以前からありましたので、私どももそれなりにいろいろ考えてはおります。
(問)柱の1つの地域の活性化についてですが、具体的にどのようなことが考えられるのですか。
(答)これは、少し考えてみます。農商工連携、ローカル・ツー・ローカルといったものが成長戦略の中には入っておりますが、これを具体策としてどう実行していくのかについては、少し検討してみます。地域力再生機構につきましても、これは法案を今提出してご審議いただく段階ですので、これはなかなか早期実施というわけにはいきませんので、それ以外のメニューを少し考えてみます。
(問)早期実施というのは、具体的にどのくらいまでに実施できるものということを言っているのですか。
(答)4月早々に取りまとめですので、もうそこから実施に入っていく訳です。予算に関わるものは、予算が通過したらすぐできるようにということだと思います。準備にゆっくり時間をかけるのではなく、すぐに戦略的に実施していくイメージです。

(以上)