大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年2月29日

(平成20年2月29日(金) 8:57~9:10  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日の閣議ですが、労働力調査、消費者物価指数、家計調査、職業安定業務統計について発表がありました。それから、緊急事態発生時の報告を徹底せよということで、官房長官からお話がありました。21年度の配置転換採用抑制に関する実施計画の決定について、渡辺大臣から発言がありました。また、公文書管理担当大臣の任命が総理からあり、上川大臣からも発言がありました。
 閣僚懇談会では、新・待機児童ゼロ作戦について関係大臣から御発言がありました。総理からもしっかりやるようにと。厚労大臣から、3年間集中的にしっかりやることが大事だといったお話がありました。
 それから、空港整備法及び航空法の一部を改正する法律案の取扱いということで、まず国交大臣から御発言がありました。
 この法案の取扱いですが、次の3点。空港の安全保障への対応について、行為規制、資本規制など空港への規制のあり方について、諸外国における政府の関与のあり方等も参考にしつつ、幅広く検討し、年内できるだけ早く結論を得ること。
 2番目。その際、平成19年6月22日の閣議決定に則り、完全民営化が所期の効果を発揮できるようにするための措置を講じること。  3番目。現在提出予定の法律案については、外資規制及び成田空港の民営化に係る部分を除いて今国会に提出すること。  官房長官から、今後は国交省において、来週の閣議に諮るべく法律案の修正を急いでほしい。空港への安全保障に関する規制のあり方については幅広く検討し、適切な結論を得るためには関係省庁の積極的な協力が不可欠であると。  外務大臣から、国交大臣の決断を支持する。今後の検討に当たって、外務省として積極的に議論に参加したいと。  最後に総理から。この度の法案提出をめぐっては、外資の積極的な導入による開かれた日本の実現と、安全保障のための空港などの基本インフラの機能確保の両立という難しい課題について、さまざまな立場からの意見が交わされたが、今般、国交大臣始め関係者で協議いただき、今一度幅広く議論を深めていただくことになった。私も、この方針で今後進めるべきであると考えており、関係閣僚におかれては引き続き協力願いたいという発言がありました。  来週は、諮問会議はありません。  私からは以上です。

2.質疑応答

(問)経済指標が昨日から今日にかけて公表されていますが、消費者物価指数は前年比0.8%上昇ということですが、どのように受け止めていらっしゃいますか。
(答)これは先月と状況が全く変わっておりません。生鮮を除くコアは、今お話のあった0.8%で、石油製品の寄与度が0.6%。それから、生鮮を除く食料が0.2%ですから、原油価格と食品価格の値上がりでその内訳をほとんど説明できるのだと思います。  私どもが出しております、生鮮食料品と石油製品、その他制度的な要因を除くコアコアが0.2%ということで、先月と変わっておりません。ということで、物価の動向は先月と基本的に変わっていないと。デフレ脱却に向けた歩みは続いてはいますけれども、足踏みしていると見ております。
(問)昨日鉱工業生産が公表されまして、景気を牽引してきたファクターの一つですが、この結果は景気に好調の兆しが見られるということなのでしょうか。
(答)生産は、予測指数以上にマイナスになりました。ただ、この面で生産は十分に注意が必要ではありますが、一方で在庫も減りまして、在庫面からの下押し圧力は小さい状況にあります。  したがって、生産がこのまま持続的に落ちていくという状況にはないと見ておりますので、回復テンポは緩やかになっているけれども、景気回復の基調が続いているという景気判断に変化はありません。
(問)先ほどの空港のお話ですが、外資規制条項は削除しているということですが、この点について大臣の考え方を教えてください。
(答)開かれた国づくりと国の安全保障、この両立を考えるという意味で、今回のこの法律は、試金石になる大変重要な問題であると思います。したがって、どういう規制のあり方がいいのか、有事法制のようなものなのか、資本規制なのか、行為規制なのか、そういう点をこれから少し時間をかけて検討するという、今回出された決断は私も支持いたします。いい方向であると思います。
(問)失業率についても、コメントをお願いします。
(答)失業率自体は3.8%という非常に低い水準で、前月と変わっておりません。ただ、失業者が2万人増えて雇用者は23万人減っていると。就業者数も13万人減っているということで、内容は余りよくありません。  有効求人倍率も0.98倍ということで、先月と変わっておりません。新規求人が1.4%プラスであったことは朗報ですけれども、有効求人が2.9%のマイナスということで、全体を通して見ますと、雇用の改善に足踏みが見られるという状況が続いていると見ております。  1月の実質消費支出は前月比で2.5%の増加ということで、比較的順調な数字でした。昨日の商業販売統計も3.8%のプラスということで、比較的好調でしたので、1月の消費というのは堅調に推移しているのかなと見ております。また消費総合指数を出した上で、月例の判断をしていきたいと思っています。
 以上です。
(問)アメリカの経済ですが、失業保険の申請件数が増えているということで、株価も下がっているのですが、アメリカの経済をどうご覧になるかということと、日本への影響がどうなるか、この2点をお願いします。
(答)アメリカ経済は、減速が懸念される状態にあります。10-12月のGDP改定値の数字は下方修正されましたし、消費が落ちているというのは懸念される状態です。  日本からの輸出がどのような形で今後出てくるのか。1月の貿易統計では14.4%の大きいマイナスになりましたけれども、これが今後どうなってくるのか、懸念しながら見ている状態です。
(問)アメリカ経済に関連して、ドルが急落しているのですが、対円でも104円台まで来ていますけれども、輸出にも影響が出ると思うのでが、この為替の円高というのは新たなリスク要因になり得るかどうか。
(答)為替についてのコメントは、基本的に控えたいと思います。日本企業にとっては、円高の採算の分岐点が106円というアンケート調査ですけれども、106円が損益の分岐点に平均的にはなっておりますので、それを上回る円高水準になりますと、どういう影響が出てくるのか、いろいろな点をきめ細かく見ていかないといけないと思っております。
(問)空港外資規制について、国交省では今回結論を先送りするということですが、大臣として、今後年内にまとめる議論に向けて、あるべき空港の行為規制もしくは規制がそもそも必要なのかのどうか、考え方を改めて教えていただけますか。
(答)これは先送りではなく、時間をかけて議論するということですので、いい方向だと思います。まさにそのあり方としては、これから議論していくということになります。対日投資の有識者会議でも、こういう安全保障との関わりは一つのテーマになると思いますので、ここで改めて議論していきたいと思っています。  一般論としては、安全保障というのは、すべてに優位となる概念です。これは当然大事ではありますけれども、一方で開かれた国づくり、それからその空港の利便性を高めるという観点もありますので、その両立に向けて知恵を絞っていくということだと思います。
(問)消費について、1月のデータで見る限り今消費は順調に推移していると仰いましたが、商業販売統計ではガソリンなど原油価格の上昇が寄与していて、本当に消費の力は強いのかどうかという声があるのですが。
(答)仰るとおりですね。今日公表になった実質消費支出は伸びていますが、その内訳は自動車と私立高校授業料等ということです。ただ、商業販売統計は、仰るような側面もあるのだろうと思います。実際、物価上昇率がコアで見て0.8%の上昇ですね。ですから、これは消費マインド、それから費用を転稼できない中小企業に今後も影響を与えると思いますので、そういう意味で、先ほど申し上げた2つの数字で見る限り消費の数値自体は堅調ですけれども、景気ウォッチャーも相当マインドは下がってきていますので、そういう意味で、消費の強さというのは決して強くないと見ています。十分に注意が必要です。

(以上)