大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年12月14日

(平成19年12月14日(金) 9:22~9:35  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日の閣議ですが、パレスチナ人の医療状況等を改善するための緊急無償資金協力についての御発言一つだけです。閣僚懇談会でも、格別の御発言はありませんでした。
 御報告は以上です。
 今日の諮問会議ですが、盛り沢山のメニューになりました。
 1つ目に、渡辺大臣と若林大臣をお招きしまして、金融資本市場改革について議論します。これは、グローバル化改革の中での金融資本市場改革についてですね。
 2つ目に、岸田大臣、草刈議長及び舛添大臣をお招きして、規制改革特に混合診療について議論を行います。
 3つ目に、福田内閣における新成長戦略の考え方について、私からペーパーをお出しして、それに基づいて議論を行う予定です。
 4つ目に、「日本経済の進路と戦略」の原案をお示しして議論を行う予定です。  今日の議題は以上4つです。
 次回の諮問会議は、21日を予定しています。国会の会期延長が今日恐らく決まるのだろうと思いますが、色々と時間も流動的ですので、まだ議題については決まっておりません。決まり次第発表いたします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今朝発表の日銀短観では、3四半期ぶりに大企業製造業の方も悪化していますが、今週はFRB始め欧米の金融機関の年末の資金繰り対策もございました。非常に景気動向に関心が高まっていると思いますが、大臣は改めてどうご覧になっているか、お願いします。
(答)まず日銀の短観ですが、大企業製造業でも今御指摘のように慎重さが見られまして、全体として引 き続き慎重さが見られた内容だと思います。この会見までにまだ詳細を点検する時間がなかったのですが、大企業製造業の業況に全体として慎重さが見られる と。それから中小企業製造業は、全体としてはわずかに改善しているのですが、やはり素材産業で悪化しているのですね。大企業も中身を見ますと、木材、窯業 土石でセメントですね、それから中堅中小企業では建設の先行きの下方修正幅が大きいですから、やはり建築基準法改正の影響の可能性が考えられます。それか ら、素材系産業の業況が低下していますので、背景としては素材価格の上昇が考えられます。したがって業況判断の慎重さの背景には、建築基準法改正の影響、 それから素材価格上昇の影響があると見ております。
 企業収益について見ますと、中小企業に加えて大企業にも総じて慎重さが出てきています。上期は大幅に上方修正だったのですが、下期の下方修正幅が大きい のですね。この背景としては、原油価格の上昇、それから為替レートが上期は円安に振れた訳ですが下期は円高に振れてきておりますので、この為替レートの影 響が考えられます。特に中小企業は、原油価格の高騰が困難ということで下方修正しております。
 ということで、全体として原油価格始め素材価格の上昇、改正建築基準法施行の影響、それから為替レートの影響が考えられます。このような要因がどこまで、どのレベルで続いていくかというのが、今後十分に注意して見ていかなくてはならない点だと考えております。
 先ほどの御質問でいきますと、金融資本市場はまだ混乱が続いており、収まっておりません。これが実体経済にどう影響を及ぼすかということで、リスク要因 としましては、アメリカの消費がどう動くかとということと、クリスマス商戦の行方を今注視しております。それから、国内では、原油価格始め素材価格の影響 がどうなるのかという点。3番目に、改正建築基準法の影響がどこまで、どの程度続いていくかという点を引き続き注意して見ていきたいと考えています。
 今の時点で基調に変化があるとは見ておりません。
(問)原油高騰対策の閣僚会議について、今週火曜日に開きましたが、今後の日程等ありましたら教えてください。
(答)今は来年度予算や補正予算の編成の大詰めですので、これらの状況を見て年内にもう一度関係閣僚会議を開いて、そこで取りまとめたいと考えております。
(問)短観ですが、原油高については中小企業はなかなか販売価格に転嫁しにくいということで、影響は避けられないということを仰いましたが、この結果を受けて、大企業も含めて日本経済にかなりの悪影響があるという認識はお持ちでしょうか。
(答)まだ今の時点では、このインパクトがどれほどのものであるかは判断できません。中小企業については、収益が圧迫されているという影響が出てきておりますが、また大企業含めてどの程度の影響が出るか、今の時点ではまだ判断できません。
 原油価格の高騰自体については、もちろん地政学的リスクや、需給がタイトになっているという構造的な要因が背景にはありますが、投機マネーの流入による 高騰という点もまた十分にあります。特に、サブプライムローンの問題で投資家のリスク許容力が低下しており、株から債券に資金が流れ、さらに実物資産であ る原油に流れているという点がありますので、現在の原油高がどこまで続くのかというのは、もう少し見てみないと判断できません。それによってインパクトも 異なってまいります。
 一方で、消費者物価も身近なところで上がってきておりますので、結局今の時点では企業と消費者の痛み分けのような感じになってきております。原油価格の 高騰というのは、日本にとっては良いことは全くなく、産油国への所得移転になる訳ですが、現在は企業と消費者の痛み分けということになっております。した がいまして、今後の影響の大きさも、それが価格転嫁できるのかできないのか、また賃金がどうなるのかによって、家計、企業への影響はそれぞれ異なってまい ります。双方に目配りしながら見ていきたいと思っています。
(問)「基調に変化は見られない」と仰いましたが、市場では、日本経済は調整に入ってやや軽微な景気後退に入るのではないかという見方がありますが、このあたりの大臣のお考えはいかがでしょうか。
(答)さまざまなリスク要因があるのは事実です。先ほど申し上げたアメリカ経済、原油価格の状況、そ れから改正建築基準法の影響がどこまで続くのかということ、為替レートがリスクとしてはあります。ただ、やはり景気判断する時は、虚心坦懐にデータを見る ということが大事だと考えておりますので、あくまで現在入手できるデータと今後起こり得るリスクは区別しながら、データで得られるものでしっかりと判断し ていくということは大事だと考えています。
(問)建築基準法の法改正の影響が短観でかなりはっきり出ていることについては、どのようにお考えですか。
(答)この点は、やはり厳しい状況だと考えています。7-9月期のGDPでも0.3%ポイント押し下げられておりますので、これはもう実体経済に影響が出てきております。
 10月の時点で下げ止まりの感じがありますので、これが今後どれぐらいのスピードで修復されるかということが重要なポイントです。景気が悪くて住宅への 需要が落ちている訳ではなくて、制度上の問題で落ちている訳ですね。ですから、その分需要が先送りされるという点はあります。
 ただ、やはりこれだけ落ちますと、単純に先延ばしされているだけではなくて、やはり相当倒産あるいは生産、雇用といった面に影響が出てまいりますので、 実体経済への影響は小さくないと見ています。したがって、今、国土交通省も一生懸命取り組んでおられますが、一刻も早く修復してスムーズに建築確認ができ るようにしていただきたいと思っています。
(問)昨日、与党の税制大綱がまとまりました。消費税の見直しの抜本的な改正を見送ったという批判がある一方で、いわゆる埋蔵金の発掘の方を優先す べきであって、増税につながるような見直しの議論をすること自体に消極的な意見もまだあります。こういったことも含めて、大臣の今回の大綱についての御所 見をお願いします。
(答)大綱については、いろいろ目配りされた、バランスの取れた内容であると思います。税制改革の抜本的税制改革は今後の課題ということで、その橋渡しとしての答申であったと思います。したがって、今後の税制改革の議論が非常に大事になってまいります。
 福田内閣として、経済成長の基盤をきちんと整備し、社会保障のあるべき姿を描き、安定的財源を確保するということは、総理が諮問会議でも指示された考え 方ですので、諮問会議でも社会保障の給付と負担をしっかり考えて、一体として税の議論を今後引き続き行っていきたいと思っています。
 それから、埋蔵金のお話が出ましたが、この埋蔵金は特別会計の金利変動準備金であったり、為替変動準備金であったりする訳で、これらの準備の額が過剰で あるかどうかという点がポイントになります。財務省は、金利変動準備金の準備率を1000分の100から1000分の50に引き下げて、その分取り崩すと いうことですが、あくまでストックからストックへということで、バランスシートを縮小していくという考え方ですので、足元フローで、つまり一般会計レベル で増税が必要かどうかという議論とは少し異なると見ています。これは「基本方針2006」の中でもそのように確認されています。

(以上)