大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年10月22日

(平成19年10月22日(月) 19:07~19:38  於:記者会見室)

1.発言要旨

 ただいま、月例経済報告等関係閣僚会議が終わりました。
 今月の景気判断ですが、「景気は、このところ一部に弱さが見られるものの、回復している」ということで、前月から判断を変えておりません。
 しかし、中身は幾つか変更がございました。まず、これまで弱さが見られるとしておりました生産については、IT関連生産財で在庫調整も進捗してきておりますので、持ち直しているということで上方修正しております。
 変わって消費ですけれども、6月、7月落ちて、8月は増加いたしましたが、この増加幅がどれぐらいになるのか見ておりましたけれども、どうも6月、7月の落ち込みを取り戻すほどには増加しておりません。それで、持ち直しているという表現から横ばいという形で下方修正いたしました。消費については、それほど弱くはないんですけれども、まだ例えば残暑の影響で秋物衣料が売れないといった天候要因に左右される弱さを持っております。
 それから、住宅建設がかなり落ち込んでおります。これは改正建築基準法の施行に伴う建築確認申請の現場での混乱などを反映しまして大きく落ち込んでおります。
 ということで、生産は上方修正になっておりますけれども、消費と住宅にやや弱さが見られるというところです。ただ、この住宅に関しましては、需要が弱くて落ちているわけではなく、制度上の問題もあって落ちております。したがいまして、景気全体としての判断は変えておりません。住宅に関しては、むしろこれからGDPに与える影響が懸念されると見ております。
 景気の先行きは回復基調が続くと見ておりますが、アメリカ経済や原油価格が経済に与える動向には十分注意が必要と考えております。
 今日の閣僚会議について、主な議論だけ御紹介いたします。
 まず、私の方から、この住宅建設の落ち込みを懸念しているということを申し上げました。民間住宅とそれから住宅以外の建物がGDPに占める比率は5~6%になります。これがかなり落ちておりますので、これから工事の進捗に合わせてGDPの押し下げ要因になります。住宅のみならず設備投資にも影響を及ぼしております。更に、建設資材の生産ですとか、建設業の収益に影響が懸念されます。これは改正建築基準法の施行前の駆け込み需要の反動という面もありますけれども、それだけではなくて、建築確認申請の現場での混乱というものが考えられますので、私から冬柴大臣に、国土交通省で色々やっていただいてはおりますけれども、引き続きの御尽力をお願いしたいということを申し上げました。
 私以外に公明党の木庭参院幹事長からも、現場で悲鳴が起こっている。県の方に出た指示が、審査を行う第三者機関に伝わっていなかったりして、全く申請が認められていない、通っていないところもあるということで、これは一刻も早くやってほしい、改善してほしいという御意見がありました。
 それから、甘利大臣からも、債務の繰り延べとかセーフティネット融資などの対応をとっているけれども、対症療法ではなかなか対応できない問題ではないか。設備投資にかかわるだけではなくて、住宅投資というのは、住宅を新しくして車を買ったり、家具を買ったりという波及があるので、経済への影響は大きい。どうも慣れればうまくいくというものではなくて、なかなか申請しても許可が下りないという実態があるというような御発言がありました。
 冬柴大臣からは、建築確認のレベルではやや持ち直してきているし、一生懸命PRもしている。その一方で、横浜でまた偽装建築が見つかったりしている。大筋はしっかりと守っていかなくてはいけない。今色々対応しているので、もうしばらく時間が欲しいという御発言がありました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)個人消費は下方修正としては11カ月ぶりで、設備投資についても、増加していると言いつつ先月からこのところ弱い動きとなっているわけで、GDPの2本柱はやや弱い印象があるんですけれども、基調が回復というのは、やや中身と表書きにずれがあるのではないでしょうか。
(答)まず、設備投資につきましては、前回から新しいデータが出ておりません。まだ様子を見る必要があります。それから、消費に関しましては、この8月は上昇しております。これで、6、7月の落ち込みを取り戻すレベルにはなっていないということですが、先ほど触れましたように、消費そのものが弱いというよりは、天候要因に左右される弱さを持っているということだと判断しております。それほど深刻な落ち込みではないということです。もちろん、この背景に賃金が伸びないという状況がありますので、そういう地合の弱さのようなものがあります。それから、生産は持ち直しているということで、全体としては判断を変えるには至らないと考えています。
(問)もう1点、月例と関係ないんですけれども、先ほど社会保障と税制改革に関する政府・与党協議会に大臣も出られたと思いますが、まさに今、諮問会議の議論も真っ最中で、今日御出席なされた感想と、改めて内閣府大臣としてスタンスなりの御所見をお願いします。
(答)政府・与党協議会については、官房長官がまとめて記者会見をすることになっておりますので、内容の紹介は官房長官に委ねたいと思います。実際、30分という時間で、舛添大臣と私から資料の御説明をしましたので、実質的な議論は10分、15分ということで、内容についてそれほど色々な議論があったわけではありません。非常に大きい問題ですので、諮問会議でも政府としてしっかりと議論していき、政府・与党協議会での動きも見ていきたいというふうに思っております。
(問)その場で何かしら大臣に注文なり、そういうものというのはあったのでしょうか。
(答)中身については、官房長官のレクにお任せしたいと思います。
(問)今日、株価が一時かなり激しく下げて、円高も進んで、原油高という問題もあるわけですけれども、こういった国際金融市場の動向について、どなたか御懸念を示されたりということはあったんでしょうか。
(答)今日は、日銀の岩田副総裁でしたけれども、御説明の中身については事務方から正確に御紹介します。
(問)関連で、今日、株価が大幅に下がったということなんですが、この一因として、市場が週末のG7で金融市場の混乱に有効な対策というのを明確に打ち出さなかった部分もあるというような見方もあるんですけれども、G7の評価を含めて、今日の市場の動きというのはどのように御覧になっていますでしょうか。
(答)マーケットの動きは、政府としてはコメントを控えさせていただきたいと思います。今日の日本の株価もアメリカの株価との連動性も強くなっておりますので、そういうふうに受け止めております。
(問)先ほどの御説明ですと、今日は住宅の落ち込みについての議論が結構あったようでして、これは一時的というよりも、比較的時間がかかるというような御認識でいらっしゃいますか。
(答)この改正建築基準法の施行に伴う現場の混乱ですが、今日の内閣府の資料の中にも説明が書いてありますけれども、これがどこで終息するというのがまず一つあります。これは早急に改善をしていただきたいと思っています。国土交通省もその方向で取り組んでおられると思います。これがどこである程度終息するのかというのは、今の時点では何とも申し上げられませんが、GDPというのは工事の進捗ベースなんですね。既に住宅着工だけを見ても、6月のレベルの半分になってきています。
 それから、設備投資の中の建物系ですね、これを表す民間非居住の建築着工が相当落ち込んでいる。つまり、住宅建設とそれから設備投資両方に影響が出て、これが更に建築資材の生産までとなりますと、7-9月のGDPから始まって、進捗ベースでじわじわと効いてくるんだろうというふうに思っております。
 したがいまして、建築確認申請の混乱が一時的にとどまるかどうかは、今の時点では何とも申し上げられませんが、7月、8月の大幅な落ち込みがGDPの押し下げ要因としてこれからじわじわと効いてくると考えています。
 それについて、内閣府の資料の6ページですね、右下にGDP統計で進捗ベースで効いてくるというイメージ図は書いてございます。

(以上)