大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年10月12日

(平成19年10月12日(金) 9:28~9:43  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日の閣議では、年金記録問題に関する関係閣僚会議が設置されることについて、官房長官と厚労大臣、総理から御発言がありました。
 以上です。
 諮問会議は、来週水曜日、17日の開催で今調整中です。国会日程等ありますので、最終確定はまだできずにおります。あくまで調整中ということでご了解いただければと思います。決まり次第、何らかの方法でなるべく早くご連絡いたします。
 議題は、税と社会保障を一体的に議論するというテーマの1回目です。社会保障に関する給付と負担を内閣府でも推計しておりますので、その選択肢をお示ししながら、舛添大臣においでいただいて議論をしたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)昨日、日銀の金融政策決定会合で金利を維持したことについての所見と、最近少し食パンなど食品の値段が相次いで上がっておりますが、食品の値上げが国内の景気にどういう影響を与えているか、この2点についてお願いできますでしょうか。
(答)金融政策につきましては、日銀が最近の経済物価情勢を色々判断されてお決めになったことだと考えております。総裁の記者会見など見ましても、足元の国内の景気状況については、私もほぼ認識を同じくしております。
 それから、一部の食品の値上げですね。これは悩ましい問題でして、食品だけに限らずだんだん値上げになってまいりますと、家計にはダメージがあります。一方で最終価格に転嫁できないということが続きますと、中小企業のダメージになってまいります。実際、この間の日銀短観でも、原油価格、素材価格の上昇を最終価格に転嫁できないことが、中小企業の収益にやや影響を与えている懸念が出てきております。したがいまして、景気回復が持続して、企業の収益の好調さが中小企業までしっかりと波及して、それが家計の賃金に波及するというメカニズムがしっかりと続いていくということが、何より大事なのだろうと思っております。
 値上げに関しては、一部は上がっているのですが、まだ消費者物価指数としては動いていないということがありますので、今後値上げの状況がどうなるのか、それが家計と中小企業の収益、どちらにどういう影響を与えるかについては、私どももつぶさに見ていきたいと考えています。
(問)自民党の財政改革研究会が、これは再開という形になると思うのですが、今後の財政改革について議論するということですが、この会合に期待することと、それから諮問会議との関係といいますか距離といいますか、関係を持って今後進めていかれるのか、この2点についてお願いします。
(答)諮問会議自体はあくまで政府の中の会議で、財改研は与党の中の会議ですので、これはおのずと立場も役割も違いますが、諮問会議もこれまでも与党との連携は取ってきて、実際「骨太方針」などを取りまとめる時は与党ともしっかり調整しながらやってきております。それはこれからも変わりませんので、連携しながらやっていきたいと。特に歳出・歳入一体改革というのは諮問会議の重要な柱でもありますので、そこは御協力をいただきながらやっていきたいと考えております。
 今日、財政改革研究会に私も出席をして、「基本方針2006」の概要と、それをその後「基本方針2007」にどう運んできたかというようなお話をさせていただいて、率直な意見交換をして御協力をお願いしたいと考えています。
(問)今度、諮問会議で税と社会保障の問題で選択肢を示されることになるのですけれども、議論を進めるスケジュール感としては、次回でもう選択肢をある程度固めてしまうのか、あるいはどのくらい議論を重ねて国民に示す選択肢を固めていくおつもりなのか、お聞かせ願えればと思います。
(答)まだ先々のことまで事務方の運びとしても決めている訳ではありませんが、選択肢というのは1回では出し切れないと思うのですね。超長期的な2000何十年までという形のものもあるでしょうし、足元もあるでしょうし、あるいは年金もあるでしょうし、医療もあるということで、なるべくこれから10月、11月にかけて色々な形で選択肢を示していきたいと思っています。その選択肢で1回1回、ではこれのうちどれですかという形の議論はなかなかできないと思いますので、議論を起こしながら社会保障の制度のあり方まで含めて議論していたきいと思っています。
(問)最終的には分かりやすい選択肢ということなので、ある程度数の少ないA、B、Cぐらいのもので示されるような形でしょうか。
(答)毎回、選択肢ですのでA、B、C的に出しますが、その中身が例えば2025年ぐらいまでを念頭に置いたものもあれば、プライマリーバランス均衡の目標地点までを念頭に置いたものもあり、年金に関する選択肢もあれば、医療に関する選択肢もあるということで、諮問会議の都度、お示しする選択肢はそれぞれに変わってくると思います。そういうことをやりながら、税と社会保険料、一体的にあるべき姿を詰めていくということを考えています。
(問)最終的にA、B、Cのセットが何セットか出てきたとして、それを全部まとめて色々なパターンを組み合わせた選択肢A、B、Cというように、セットとしては1セットに絞っていく形でしょうか。
(答)そこはどうなるのか、制度改革に絡むものと大きいマクロの給付と負担というのは、また少し性格が違いますので、合体して最終的にどうなるという議論は少し難しいだろうと思っています。まずは社会保障でどういう選択をしていく必要があるのかお出ししながら、これは諮問会議の中でも色々な議論が出てくるだろうと思います。民間議員だけではなく、関係閣僚の中で色々な議論が出てくると思いますので、そういう様子を見ながら準備を進めていきたいと思っています。
(問)物価について、福井総裁はCPIはやがてプラスになると言っていると思うのですが、大臣としてはCPIの今後の見通しはどう見ておられるでしょうか。
(答)デフレ脱却に向けての歩みはしっかりと続いていると見ております。最近、需給ギャップと価格との連動性が緩やかになってきておりまして、需給ギャップはプラスになっても、CPIになかなか反映されないと。労働需給が逼迫しても賃金に反映しないという、この需給と価格の関係が緩やかになってきてはおりますが、関係が切れたとは思っておりません。需給の逼迫がいずれはCPIに、労働需給の逼迫がいずれは賃金に結びついていく、このメカニズムは続いていると見ております。
(問)物価に関しても日銀総裁と認識は一致しているのでしょうか。
(答)いつ頃どうこうということは何とも申し上げられませんが、大きな目で見て、需給が価格に反映するというメカニズムは切れていないと見ております。
(問)税と社会保障の一体改革の選択肢の話ですが、議論自体の目標はいつまでに何を決めるというようなことは、諮問会議としては定めているのでしょうか。
(答)税の議論は秋にするということになっておりますので、秋から冬にかけて議論をしていくことになります。社会保障については、基礎年金の国庫負担引上げの安定的財源といったことも秋にかけて議論していかなければいけないと思いますので、こちらとしては、10月、11月にかけて議論していきたいと思っております。
 ただ、その出口がどんな形でできるかというのは今の時点では予見することはできません。諮問会議の中でもどういう議論になるか分かりませんので、こちらとしては秋から冬にかけて議論を進めていくということだけ今申し上げておきたいと思います。
 加えますと、来年度予算にかけては、予算編成の基本方針、来年度予算編成というのがある訳ですね。予算編成の基本方針は11月末、予算は年内に一応議論する訳ですから、社会保障の中でも、例えば2,200億円というものをどうするのかといった議論は諮問会議としての何らかの結論取りまとめをやっていかなければいけないと思います。
 つまり、社会保障の議論というのも、前に民間議員から御提案がありましたように幾つかある訳ですね。社会保障カードの問題、来年度予算の問題など。したがって、それぞれの課題によって時間感覚が少し異なってきます。選択肢そのものについては、少し議論をしてみませんと、どこまで議論が詰まっていくのか、追加的にまたどのような、サブの選択肢を出していくのかといったことは今の時点では申し上げにくいということですね。私としてもまだ予見できないということを申し上げておきます。
(問)政府・与党の中で、これは社会保障というよりは地方対策なのですが、法人二税のあり方についての議論がだんだん盛り上がってきていて、このあり方、色々なアイデアが出ているようですが、どうお考えかということと、今申しましたとおり、これは税と社会保障というよりは地方問題であるという位置付けのようですが、諮問会議の中で法人二税に絡む議論も取り込んでいく可能性があるのかどうかというところをお聞かせください。
(答)まず、後者から言いますと、諮問会議として恐らく2つのアプローチがあって、1つは税体系のあり方としてどう考えるのかということ、もう一つは地方分権の中でどう考えるのかということがあると思います。地方分権についても、分権委員会の中間報告を受けながら議論していきたいと思います。税体系のあり方として地方法人課税をどれぐらいの比重で扱うかは、まだ今の時点では何とも申し上げられません。
 それから、私の考えですが、やはり大きな地方分権の流れということを押さえていかなければならないと。地方分権の流れの中で地方に税源移譲をしっかりとしていく。しかし、税源移譲をしていった時に、税収を上げられる所と上げられない所で財政格差が拡大していく可能性がある訳で、それを是正する形のなるべく偏在性の少ない税制のあり方という、その大きな流れを踏まえながら議論していかなければならないと思っております。単に格差を是正するということだけであれば、交付税の役割との兼ね合いはどうなるのかということになってまいりますので、あくまで大きな地方分権の流れの中で、地方が受益と負担の中で行政サービスを判断するという、あるべき目標に向かう中で、地方税がどうあればいいのかというのを議論していかなければならないと考えています。
(問)そうすると、今一つ出ている議論の中で、ある程度格差是正、例えば東京都と長崎の格差は非常にありますが、これを是正するため、例えば分割基準の見直しみたいな話というよりは、他の税目、消費税などと絡めて議論した方がより好ましいというお考えでしょうか。
(答)偏在性を是正する時には、今も2つの議論がありまして、法人二税の配分基準を変えるべきだという議論もあれば、地方消費税でやるべきだという議論も今も両方あると思っております。偏在性が少ない税として地方消費税、ただこれも集めたものを消費額、小売額といった基準で配分しているから格差が小さい訳ですね。法人二税も同じようにしようという議論ですから、考え方は同じですね。配分の仕方をどうするかということです。ですから、これは恐らく併せて議論することになるのだろうと思います。

(以上)