大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年10月5日

(平成19年10月5日(金) 9:22~9:31  於:参議院議員食堂前ぶら下がり)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日、閣議では、格別な御発言はありませんでした。
 閣僚懇談会では、地方再生につきまして、まず総理から、新たな戦略の策定について御指示がありました。政府を挙げて、地方再生のための総合的な戦略を取りまとめることとするので、地方再生担当大臣を中心として、11月中を目途に作業を進めていただきたい。取りまとめを行うに当たっては、経済財政政策を担当する特命担当大臣――これは私ですね、それから国民生活を担当する特命担当大臣と連携を密にするとともに、関係施策を所管する各府省の大臣とも十分に調整を行ってほしいと。それから、地域再生などの実施体制を統合し、地域活性化関係の4本部を一元化するとともに、事務局体制についても早急に一元化を進めてほしいという御指示がありました。
 これを受けまして、関係の閣僚からさまざまな発言がなされました。私からも、昨日の諮問会議で議論がなされたということ、省庁別縦割りの政策メニューを一体化、総動員すること、それから地方が内容を自由に決められる制度とすること、民間人をプラン推進の中心人物とし、民間と地域の現場発想を生かすこと、ばらまきを厳に排することなどを基本的な考え方として、諮問会議とも連携を取って検討を進めてほしいという発言をしました。それから、地域力再生機構の創設が、地域経済建て直しの柱になるよう私も取り組むという発言をいたしました。
 閣僚懇談会は以上です。

2.質疑応答

(問)一部の報道で、23区内のタクシーの値上げというのが取り沙汰されていまして、大臣は確か慎重論だったと思うのですが、タクシーの値上げについての考え方を改めてお願いします。
(答)今、まだ最終調整中です。物価安定政策会議の審議を受けて、私どもとしては消費者の負担をなるべく最小限に抑えることが必要であると。タクシーの運転手さんの賃金が下がっていることは十分承知していますけれども、消費者の負担も最小限にしなくてはいけませんので、その観点から値上げ幅は最小限にすべきだということで、調整を進めてまいりました。
 少し補足させていただきますと、タクシー業界の場合は、最大の問題は供給つまりタクシー台数が増え続けているということにあります。供給、台数が増え続けていて需要が増えなければ、1台当たりの売上げが減少するのは当然な訳ですね。タクシー業界独特の問題としまして、まずタクシー会社と運転手さんとの関係がある。つまり、歩合制ですから、台数を増やして売上げが減るリスクを運転手さんに転嫁することができると。それから、運転手さんが消費者と向き合っており、サービス向上も運転手さんに任されている。つまり、タクシー会社が消費者に直接向き合って需要を増やす努力をしなくても、運転手さんに歩合、賃金を減らすことによって収益を上げられる構造になっていると。そして、それがぎりぎりまで来たから、では消費者に料金値上げという形で消費者に負担を負わせるというのでは、やはり問題の根幹は解決しない。つまり、供給が増え続ける構造を改善しない限り、ここで料金を上げても、結局は運転手さんの賃金も上がらず、需要は増えないということになってまいります。
 したがいまして、やはり消費者の需要を掘り起こす努力をしない、経営努力をしない業者、会社は退出していくという構造が必要だと考えています。これが、物価安定政策会議でも随分出されました。
 したがいまして、今回の運賃値上げを最小限にすることと併せて、現在の料金の決定システム――総括原価方式といいます。かかったコストに適正利潤を乗せてタクシー料金が決まっていくという方式ですが、これですと、非効率であってもコストはいずれタクシー料金に総括原価方式ではね返るということになってまいりますので、これを根本から見直すこと。またタクシー運転手の労働規制のあり方として、最低賃金や過度な働かせ方などを厚生労働省が厳密に厳しく規制すること。安全面は国土交通省が厳しく規制すること。この3点を強く要望してまいりました。これは、概ね受け取められておりまして、総括原価方式についても見直しに入ることになっています。物価安定政策会議でも、一緒にこの点は議論していきたいと考えています。
(問)最低限の値上げということは、値上げ自体は止むなしということですか。
(答)値上げは、総括原価方式という現在の制度の下で申請がなされております。したがいまして、例えばガソリン高などコスト構造が上がってきている分がはね返るのは、止むなしと思います。それから、運転手の賃金が下がってきているということも事実です。したがって、現在の構造の下で、ある程度の値上げは止むなしと考えます。
 しかし、今後、これが本当の意味で消費者にとってサービス向上につながり、運転手さんの働く者の権利と言いますか、待遇がしっかり守られる構造に併せて変えていくということが必要だと考えています。その観点から私どもも主張し、今、最終調整中だということです。
(問)今、710円というのが、確か値上げの幅として検討されていると思うのですが、その幅自体については最低限というように思われますか。
(答)今、そこは最終の調整中です。申請の幅の18.3%というところから、随分調整は進んできております。
(問)その3条件が約束されて最低限と判断できるのであれば、大臣としては、値上げも止むなしと。
(答)はい。止むなしと考えています。
 これを機会に、随分いろいろな問題点も出まして、議論もしっかりなされましたので、さっき申し上げた本当の意味で消費者のサービス向上につながり、供給が安易に増えていかない構造、それから運転手の待遇が守られる構造、それから安全が守られる構造が作られていくということが大事だと考えています。
(問)関係閣僚会議は、もう今月中に開ける見通しになっているのでしょうか。
(答)そこも、今、事務的に調整していると思います。もう最終局面です。なるべく早くと考えています。
(問)昨日、日銀の岩田副総裁が、アメリカや欧州の経済に減速が見られるようだと、日本の成長率に下方リスクが生じるというお話をされていたのですが、今日のアメリカの状況では下がってきましたので、日本の景気認識と、それからアメリカを含めた世界の景気に関する認識について、もう一度お願いできますでしょうか。
(答)現在の時点では、回復基調に変わりはないと考えております。アメリカにも、まだ実体経済に明示的な影響が出ているとは見ておりませんが、今後のリスクとしては、住宅投資の減少、それから住宅価格の下落が消費に影響を与えたり、雇用面の不安が生じるといった可能性はあると見ておりますので、十分、注視していきたいと思います。
 アメリカの消費というのは、世界経済のエンジンのような役割を果たしてきましたので、アメリカの実体経済に影響がある、つまりソフトランディングへの経路を更に超えて低迷につながるようだと、日本経済への下方リスクはあると見ています。そうならないように、FRBでも柔軟に対応が採られているところだと思っております。

(以上)