大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年9月7日

(平成19年9月7日(金) 9:59~10:11  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日の閣議ですが、自殺予防週間の御発言がありました。
 あとは、来週から国会会期中の閣議の開始時間が9時からになるというお話だけです。
 閣僚懇談会では、台風9号、それから沖縄及び北方領土の視察の御発言がありました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)欧州中央銀行が政策金利の据置きを決めましたが、こうした海外の金融当局の対応について、大臣の御見解をお願いします。
(答)今回、サブプライムローンの問題が発生してから、各中央銀行が非常に迅速に対応してきております。欧州中銀の決定も、まだサブプライムローン問題の不安感が残っているということを反映してのものだと考えております。
(問)こうした海外当局の対応を受けて、日本の金融政策はどういった対応を進めるべきだとお考えでしょうか。
(答)今回の欧州中銀の判断も含めて、日本銀行の方で適切に判断されるものと考えています。
(問)先日の会見で諮問会議の今後の進め方について、大きな柱として地域経済の建て直しと社会保障と税の2つを挙げられておりましたが、これまで大田大臣になられてから7つの課題というのがあったと思うのですが、それを今回柱として2つに絞られる理由をお聞かせ願います。
(答)7つの課題は、去年の10月に出しまして、それから「進路と戦略」を経て、その課題が「骨太2007」の中にアジェンダとして盛り込まれております。これから「骨太2007」の実行段階に入ります。したがいまして、後半の課題は大きく言うと3つ、もっと言うと1つかもしれません。「骨太2007」を実行するということですね。
 その実行に当たって、やはり地域の現場に改革の成果が波及するようにしていく。政策イシューを具体化するに当たって、柱が2つありまして、1つは地域経済の建て直し、これは総理も言っておられる安倍内閣のこれからの大きな課題になりますので、その中に例えば中小企業の生産性向上であるとか、農業改革、公共投資改革、地域力再生機構といった「骨太」に書かれているそれぞれの政策が入ってくると。それぞれの政策を具体化するに当たって大きい目的を定めた。それが地域経済の建て直しです。
 それから、財政の議論は、社会保障と税という大きな柱の中に則して議論していくというのが2つ目の柱です。
 したがいまして、これまでのさまざまな政策課題を具体化するに当たって、地域経済の建て直し、社会保障と税という2つの柱に則して具体化していくということになります。
 ですから、これまでの7つの柱とは少し違う枠組みになります。既に政策アジェンダは出来ている。その具体化に当たって主に念頭に置く課題がこの2つということになります。
(問)何回も質問が出ていますが、アメリカ経済の実体経済への影響について、雇用の統計等々出ていますが、改めて御見解をお願いします。
(答)今日の雇用統計は非常に注目されるところです。今の時点では、良い指標悪い指標両方ありまして、小売りはまずまずだという指標も出ておりますし、ISM(※全米供給管理協会)の非製造業指数も市場予想を上回ったということで、今の時点ではそれ程実体経済へのマイナスの影響が示されている指標は出てはおりません。
 しかし、住宅投資が減少しているのは事実ですし、このサブプライムローン問題で、住宅価格減少がじわりじわりと実体経済に効いてくることは間違いないと思っています。それが景気の腰折れにつながる程のインパクトを持つのか持たないのかは、アメリカの景気全体の強さによるわけですね。したがいまして、今の時点ではまだソフトランディングの可能性は十分に残っていると見ております。影響はじわじわと効いてくるけれども、景気の大きな停滞につながるほどのインパクトになるということは、今の時点ではまだ出ていないということですね。
 ただ、原油価格など今後の動向は非常に注意して見ていかなければならないと思っています。
(問)社会保障と税については、複数の選択肢を示すということを強調されておりますが、これまで諮問会議では、重要な施策については一定の方向性を示してきたと思うのです。敢えて社会保障と税について複数の選択肢を示される理由をお聞きしたい。それと、複数の選択肢を諮問会議として示した後、いずれは誰かが1つに絞らないといけないと思うのですが、その1つに絞る作業は具体的にはどういう場で行われるべきだとお考えか、お聞かせください。
(答)まず、複数の選択肢ですけれども、歳出・歳入一体改革については、2011年に向けてPB(※基礎的財政収支)を黒字化していく、これはこれで進めていくわけですね。歳出削減もしっかりやるし、成長力も強化する。けれども、それ以外の社会保障の問題あるいは少子化対策は、まさに給付と負担の問題で、国民の選択でしかないわけですね。あるべき方向というよりも国民の選択でしかありませんので、これについては選択肢を掲げるということを既に「骨太2007」で書いております。ですから、その選択肢を出していくということですね。これは大きな議論になると思いますので、国民の声をどういう形で吸収するかも検討しながら、議論を展開していきたいと考えています。
 そのさまざまな議論の中で、おのずと有識者議員がこういう方向が望ましいと思うという議論も出てくるでしょうし、他の閣僚の方はこういうのが望ましいという議論もありましょうし、諮問会議でも色々な議論がなされると思っております。
 もちろん最後の決定は閣議決定であり、それから国会での決定ですので、諮問会議が決定するということはありませんが、まず諮問会議の場でそれぞれのメリット・デメリット、考慮すべきポイントや問題点といったものを広く議論したいと考えています。
(問)諮問会議の中でも、今仰ったような観点から「こうあるべきである」というような一定の結論めいたものに達することができるとお考えですか。
(答)それはこれからの議論ですね。諮問会議の中でもメンバーの意見が一致しないと結論は出ませんので。選択肢の場合は、議論をしていって、それぞれのメリット・デメリットや問題点が出てくるということが大事だと考えています。その後に意見が諮問会議の場で集約されるようであれば、それは諮問会議の取りまとめということになります。ただ、それはあくまで諮問会議での取りまとめということですね。
(問)諮問会議の位置付けとして、議論をオープンにして国民によく知ってもらうということが1つと、もう一つは官邸主導の政策決定の新しいプロセスであるということがあると思います。そういった観点で言うと、後者の方についてはやはり諮問会議として何らかの意見をまとめて、そちらに議論を引っ張っていくという能動的な立場が求められていると思うのですが、こういった役割が今後も出来るとお考えでしょうか。
(答)それはこれまでと変わらずやっていきます。これまでも諮問会議の中で意見が食い違っているものというのは幾つもあるんですね。過去においても、政策金融の場合もそうでしたし、社会保障などは一致したことが多かったですけれども、例えばEPA(※経済連携協定)の問題にしても、諮問会議の中で一致しないということはよくあることで、それはそれでしっかりと議論していくと。そして、合意が取れる部分までは合意を取っていくということですね。
 したがいまして、今後も合意が取れるところまでは取っていく努力はいたします。諮問会議の場合は、平行線を辿ったまま同じような議論を展開するということはしていませんので、その都度合意が取れたことは確認しながら進めていくと。その進め方は何ら変わりません。それが国会の場にいきますと、今度は与野党の協議などこれまでとは違う部分も出てくるのだと思います。
(問)来週の二次QEですが、法人季報の下方修正ということで、大幅な減少なりマイナス予測が出ております。改めて経済の現状について二次QEを見据えた上でお聞かせいただけますか。
(答)今、作業を進めておりますので、その結果を見てから判断したいと考えています。
(問)もう一つ、先程アメリカの住宅問題が徐々に実体経済に影響を出すだろうと仰ったのですが、アメリカの実体経済への影響は日本経済にはどの程度波及してくるのでしょうか。
(答)それは影響の大きさですね。現在サブプライムローンの問題で実体経済への影響として注目されるのは2点。住宅価格の減少がどこまで消費に影響を与えるかということと、企業の資金調達に懸念があるかどうか、それが企業の収益に影響を与えるかということの2つです。これがどれぐらいの大きさかによって日本への影響は異なってくると見ております。
 住宅投資の減少自体が消費にじわじわと効いてくるのは避けられないのだと思います。これまでもかなり住宅価格の上昇に消費が支えられていた面がありますので、これはサブプライムローンの問題にかかわらず、住宅価格の下落が消費に徐々に効いてくるのは避けられない。
 ただ、これはソフトランディングの過程であるのか、それともソフトランディングそのものを危うくするほど効いてくるのかというのは、少し今後の動きを見てみませんと、まだ何とも申し上げられません。

(以上)