大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年7月31日

(平成19年7月31日(火) 10:07~10:48  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日の閣議は、幾つか出ましたが、関係あるものだけ申し上げます。総務大臣から、平成19年度普通交付税大綱、労働力調査結果、家計調査結果及び消費者物価指数について御報告がありました。それから厚労大臣から有効求人倍率について、赤城農水大臣から中国訪問の結果、米の輸出などについて御発言がありました。
 閣僚懇談会では、御発言はありません。
 閣議と閣僚懇談会の報告は以上です。
 それから、私から1つ御報告があります。明日、諮問会議を予定しておりました。予算の全体像の民間議員提案をすることになっておりましたが、選挙後、総理、官房長官は非常に多忙で、事前の打ち合わせの時間を十分に取ることができません。今回の諮問会議は非常に重要で、予算の全体像をこれから議論するわけですので、総理、官房長官とはしっかりと打ち合わせをする時間が必要ですので、やむなく延期することにいたしました。
 次回はなるべく早く行いたいと思いますが、今週は財務大臣の海外出張が入っておりますので、今週の開催は無理だと思われます。来週月曜日か火曜日ではどうかと考えていますが、今日明日中に確定させてご連絡いたします。
 今回は、予算の全体像以外に見通しの年央改定などもありますので、その数字も含めて総理、官房長官にはしっかりご説明し、打ち合わせた上で、諮問会議を開くこととしたいと考えています。
 シーリングに向けた全体のプロセス自体は、これで変更になることはありません。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)選挙結果についてお尋ねいたします。今回与党には非常に厳しい結果が出たわけですが、この結果について率直にどう受け止めていらっしゃるか。それから、敗因については何だったとお考えになるか。まず、その点からお尋ねします。
(答)大変厳しい結果になりました。敗因についてですが、よく言われていますように政治とカネの問題、年金の記録漏れ問題など、これまでの問題が一挙に吹き出してきていると。一度、諮問会議で丹羽会長が、これまでのいろいろなごみをばっと吸い取る内閣にしなければいけないのだというようなことをおっしゃいましたが、まさにそういったものが吹き出してきていたことが、自民党への逆風につながったのだと思います。
 その一方で、例えば昨日総理が会見で「改革の影の部分」という言葉を使われましたが、それに対しては、底上げ戦略で最低賃金の引上げやジョブ・カードなどに取り組んできていたわけですが、必ずしもそれが十分にまだ伝わっていなかったり、あるいは、こうした施策は来年度の予算措置であるために、成果が出るに至っていなかったということもあるかと思います。これは、残念だったなと考えています。
 ただ、成長力強化と財政再建を車の両輪で進めていくということ以外には、日本経済の将来への道はないと信じています。これ以外に少子・高齢化とグローバル化を乗り切る方法はないと思います。この点については、何ら私は疑いを持っておりませんので、「骨太方針」に書かれたことを、今後もしっかりと行っていかなくてはいけないと考えています。世界経済は待ってくれませんので。
(問)その点についてお尋ねします。今回は自民党の大敗、ということは、裏返して言えば民主党が大変な勝利を収めたわけで、その主張の経済財政運営に関する中身で言えば、大幅な歳出の増加を伴う公約、マニフェストを掲げて彼らは選挙を戦い、それが結果的に国民の支持を得た形になっているわけです。今大臣がおっしゃった「骨太の方針」を今後もしっかりと行うということに関して言えば、その点に関して、特に歳出・歳入一体改革の方針をこのまま貫いていけるのかどうかが大変大きな注目を持つ問題ですし、かなり厳しい場面も予想されると思うのです。この点については、どうお考えでしょうか。
(答)確かに厳しい場面は予想されると思いますが、成長力を強化していく一方で歳出をきっちりと引き締めて、次世代になるべく良い状態の財政を引き継いでいくということ以外に、道はありません。これから歳出増の圧力が、高齢化の中で強まるわけですね。今の時点で歳出構造を良い形にしておかないと、大きな禍根を残しますので、困難があってもそれは守っていくということです。そのために、最大限の努力を払います。
(問)その点、民主党と折り合っていけるとお考えですか。
(答)国会論争を通じて、国民にご理解いただくしかないのだろうと思います。
(問)先週の話になりますが、消費者物価指数が出まして、6月の全国の指数は5カ月連続でマイナス、週明けにも、先ほど大臣がご紹介されたようにいろいろと経済指標が出ましたが、改めて景気の現状についてお尋ねいたします。
(答)消費者物価指数は、コアコアで見てマイナス0.3%ということで、前の月より0.1%ポイント下がりました。大きな状況に変化はないと見ております。消費者物価指数の状況は、同じような状態が続いております。ユニット・レーバー・コストも、やや低下幅に拡大が見られます。したがいまして、デフレの脱却が視野には入っているけれども、まだ完全に脱却したとは言い難いという状況は続いております。
 ただ、再々申し上げておりますように、需給ギャップあるいは労働需給というのは引き締まってきておりますので、その価格への波及が遅れている状況も続いておりまして、実体経済には変化はない、景気回復の基調はしっかりしていると見ております。今日発表になりました雇用情勢を見ましても、結構良い数字なのですね。完全失業率は3.7%に下がったことに加えまして、今回の内訳は、雇用者が16万人増えて失業者が8万人減少するという良い形で失業率が下がっております。有効求人倍率も1.07に上がっておりますので、実体経済自体の回復基調はしっかりしていると見ています。
(問)諮問会議の日程が、明日から先送りされているということですが、当初、開催回数は3回程度で調整されていたと思うのですが、シーリングまでの開催回数については、どのような見通しを持っていらっしゃいますか。
(答)来週、できれば3回開ければと考えております。この3回というのは、予算の全体像については、まず民間議員提案をする。次に諮問会議提案にして、それと同時にシーリングの案が出る。そしてシーリングを決めるという3回ですね。なるべく3回確保出来るように、今日明日で日程調整したいと考えています。
 ただ、一昨年も選挙の年でしたが、その時も2回しか開けなかったということで、選挙が夏にあった時の「予算の全体像」とシーリングの諮問会議日程は、これまでもきついのですね。極力、日程調整したいと考えています。
(問)大臣の御記憶の中で、直前になって諮問会議の日程が延期になったということはありますか。
(答)私の記憶の中では、ありませんね。
(問)今回は、予算の全体像の中身について、総理及び官房長官との調整がまだ始まっていない状況で、それができないために延期するということですか。
(答)そうです。
(問)中身で揉めているというわけではないと。
(答)いえ、それは全くありません。こちらの準備は整っておりまして、民間議員とも既に一度打ち合わせております。中身の問題は全くありませんが、今回は、さっき申し上げた年央改定の数値の説明などもしっかりと行うために、総理との打ち合わせの機会も、できれば2回取りたいと思っているのですね。数字の説明と諮問会議全体の説明とで、2回取りたいと思っていたのですが、やはり昨日もなかなか日程が取れない、今日も取れない状態で、これはやむを得ませんが、まさにそうした物理的な要因です。
(問)今回の諮問会議も延期という形になり、改革の遅れが今回の選挙結果で出るのではないかという懸念も出てくると思うのですが、その点はいかがでしょうか。
(答)「予算の全体像」につきましては、「骨太方針」を受けて、シーリングに向けて行うわけですから、粛々とやっていくということです。選挙結果の如何を問わず、「骨太方針」で決められたことをし、予算の全体像に落としていき、シーリングに運んでいくという手続には、変わりはありません。
(問)先ほど歳出・歳入一体改革についてお尋ねしましたが、少し長い目で見て、安倍政権が取り組もうとしてきた成長重視を旗印にした改革路線を今後も貫いていけるのかどうかということについて、選挙結果を受けてどうお考えでしょうか。
(答)貫くしかないと思うのですね。厳しい状況は、十分に覚悟しています。覚悟していますが、まず景気に関しては、やはり6年間かけて少しずつ回復してきて、これを今から賃金に結び付け、例えば地域力再生機構のようなものでしっかりと地域経済を浮揚していこうというところに来ています。もう後退は一歩たりとも許されませんし、中長期の課題でいきますと、人口が減る、グローバル化が進むという中で、ここ二、三年で成長基盤を整えるということは、客観的に見れば、それ以外に道はないと思います。
 ただ、これ自体はナローパスです。以前から難しさは予想されていたことで、その難しさは選挙結果でさらに増しているかと思いますが、やはりそこは丁寧に説明しながらやっていくしかないと考えています。
(問)シーリングについてですが、「骨太」では歳出削減について「最大限」という数字ではない表現になっていて、今度のプロセスでどのぐらい具体化されるかというところに注目が集まると思うのですが、現段階で大臣のお考えとしては、例えば話題になりました公共事業の3%削減などはきちんと盛り込むべきだとお考えでしょうか。
(答)予算の増減に関する具体的な数字の議論は、シーリングから始まるわけですね。シーリングから始まって「予算編成の基本方針」で閣議決定していくというプロセスがここで始まるわけで、「骨太方針」で「最大限の削減」とした部分について数字の議論はここから始まるわけです。したがいまして、民間議員提案でもそれを数字として具現化していくということですね。
(問)安倍総理の改革路線に揺るぎはない、貫いていくというお話なのですが、常々大臣は、税制も非常に重要な経済政策の要だと言われております。秋以降の抜本改革に向けて、諮問会議として税制改革についてどのような段取りで取り組まれていくのか、その点を伺えますでしょうか。
(答)当初の予定どおり、税制改革の議論をスタートさせます。税の議論は、税構造あるいは税体系の議論と、受益と負担のバランスという量的な問題の2つがあるわけですね。その両面から議論していきます。税体系の議論については、政府税調と連携を取りながら、「骨太」に書いた6つの哲学を生かすような税のあり方を議論していきます。受益と負担のバランスについては、これも「骨太」に書きましたように、社会保障などと一体となって、複数の選択肢を提示しながら議論していくことをいたします。
(問)それはいつ頃からスタートされることになるのでしょうか。
(答)秋ですね。夏以降、内閣改造などがあるでしょうから、それ以降ということになります。
(問)内閣改造について総理が方針を示していますが、大臣御自身も含めて、内閣改造についての御見解と、改造人事が今後の経済財政運営に与える影響の見通しについてお伺いいたします。
(答)内閣改造は、総理の御判断ですので、やはり選挙結果を受けて人心を一新してということは、そのとおりなのだろうと思います。どういう内閣であれ、経済政策については、やはり日本の将来をしっかりと見据えた政策が必要でありますし、そのことは「骨太方針2007」で閣議決定されていると思いますので、これをしっかりと具体化していくことが大事だと考えています。

(以上)