大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年6月18日

(平成19年6月18日(月) 9:14~9:21  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 ただいま、6月の月例経済報告等閣僚会議が終了いたしました。
 今月の基調判断ですが、「景気は、生産の一部に弱さがみられるものの、回復している」と、先月から判断を変えておりません。
 今月の特徴といたしまして、消費総合指数が1-3月に続き、4月も改善しておりまして、消費については持ち直していると判断しております。一方で、生産の一部で弱さが見られ、生産が横ばいとなっております。この背景としまして、自動車ですとか、IT関連生産財の生産が昨年末に高い伸びとなりまして、その後、横ばいで推移しているということがあります。しかし、企業収益は改善し、設備投資も増加していることから、景気回復の基調はしっかりしたものであると判断しております。
 先行きにつきましては、原油価格の動向が内外経済に与える影響等に留意する必要がありますが、景気回復基調が続くと見込んでおります。
 あと、閣僚会議で出ました御意見について、簡単に御説明いたします。詳しくは後ほど事務方から説明いたします。
 まず、長期金利の動向につきまして、日本の長期金利も今上がっているわけですが、最初の福井総裁の御説明の中で、アメリカで景気に一時弱い見方があったものが修正されて、それを反映して長期金利が上昇していると。その上昇を受けて、日本も上がっているというような背景説明がございました。
 それを受けて、渡辺大臣から、アメリカが堅調で長期金利が上がっているという御説明だったが、ドル離れが起こっているという背景はないのか。例えば、クエートでドルペッグをやめるとか、あるいはユーロへの運用にシフトしているというようなことからドル離れと見ることはできないんだろうか。これは日本にとってはよくないことだから、十分に注意しなくてはいけないと。CPIはマイナスになっているのに、日本の長期金利が上昇しているのをどう説明するのか、という御質問がありました。
 これに対して、福井総裁から3点回答がありました。
 まず、アメリカについては、市場関係者が強いと思っているわけでは必ずしもなくて、弱気になっていた一部の人がその見方を修正しているにすぎないと。大方の見方は、まだ住宅市場の調整ですとか、ダウンサイドリスクを注視しているという点。それから、2番目として、ドル離れということに関しては、そういうことはないであろうと。世界の経済を運営している人は、すべて金融市場の安定のために慎重に注意していると。したがって、あえてドル離れというような要因をつくっているという状況ではないと。ただ、長期的にユーロが第二の準備通貨になるという方向で金融市場で認識され、そうなっていると。ドルとユーロの地位が明確に逆転したと、明確にドルからのシフトが急激に起こっているということではないけれども、ユーロの地位がじわじわと上がっているということはあるという点。
 それから、3点目として、日本経済は世界とのインテグレーションが進んでいて、日本のCPIについてもグローバルなマーケットの影響を受けると。長期金利の中においても、グローバル化の中で影響を受けているという御発言がありました。
 あと、主な御質問として中川幹事長から、デフレ脱却はいつになるのかと。これは福井総裁と私への御質問でありました。
 私の方からは、2007年度の経済見通しではGDPデフレーターはプラスになると見込んでいると。ただ、需給の引き締まりと価格との関連性に少し弱さがあって、需給ギャップは既にプラスになっているけれども、それがCPIのプラスとして反映していないと。それから、労働の需給は引き締まっているけれども、賃金が上がらないという、少しその関連性に弱さがある点を気にすべきだけれども、この引き締まりは徐々に反映してくると。したがって、景気の持続性については注意していきたいということを申し上げました。
 福井総裁の方からは、この需給の引き締まりが少しずつではあるが、物価、CPIに反映してくると見ていると。ただ、世界的に見て、名目的な物価が上がりにくいという状況になっていると。つまり、需給がタイトになっても、グローバル化の中で物価に反映しにくくなっているというコメントがありました。
 これに対して中川幹事長からは、グローバル化の中でそうなっているとはいえ、OECDの名目成長率は5.4%になっているではないかという反論もありました。
 そのほか、北側幹事長の方から、団塊の世代の再雇用がどうなっているのか、今後の雇用動向について少し調べて教えてほしいということがありまして、これはまた私の方で分析して御報告することにいたします。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回、個人消費が上方修正されて、生産が下方に修正されたと。企業部門から家計部門への波及の度合いといいますか、広がりというのは、改善が見られているというふうに見てもよろしいでしょうか。
(答)消費は上方修正、生産は下方修正といいましても「このところ」というような形での表現をとることによる変更で大きい変化ではありません。消費が1-3月に続いて4月も良かったということから「動き」を取ったと。生産では引き続き弱さが見られることから、「このところ」を取ったということで、両方とも大幅な上方や下方への修正ではありません。消費については、やはり賃金が上がっていない中での持ち直しであって、まだ天候要因に左右される弱さがありますので、それほど本当の意味で強くなったとは思っておりません。生産の弱さにつきましても、IT関連の生産財の生産が落ちてはおりますが、これが世界的な需給の軟化を受けているというわけではありませんので、それほど弱い状態ではありませんし、鉱工業生産指数も、今後の予測指数ではプラスになっているということで、どちらもそれほど明確な動きではないというふうに思っております。
 御質問の企業から家計への波及についても、まだ賃金がしっかりと上がっておりませんので、状況に変化はないと見ています。

(以上)