大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年5月18日

(平成19年5月18日(金) 8:53~9:08  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。  今日の閣議ですが、まず外務大臣から、イランの拡散上機微な核活動等に関与するものの資産凍結及びイランからの武器の輸入の禁止等の措置について、IEA及びOECD閣僚理事会について御発言がありました。
 私から、OECD閣僚理事会に大村副大臣が出席した旨の御報告をいたしました。大村副大臣は、グローバル化への対応及びマクロ経済情勢に関するセッションに出席し、グローバル化による利益を最大限享受するための諸改革に取り組んでいる旨、説明するとともに、日本経済については改革の成果もあって景気拡大を持続しており、今後とも改革路線を継続する旨、強調しました。さらに、世界経済の拡大により、各国とも税収が増加しているが、我が国では税の自然増収は将来の国民負担の軽減に向けるという原則に基づき、着実な歳出削減を行っていること等を説明しました。今後とも、グローバル化を恐れず、むしろ日本を改革する梃子として積極的に受け入れ、グローバル化のさらなる推進に取り組んでまいりますと発言いたしました。
 次に、総理から統計委員会に係る事務を担当する大臣について御発言がありました。今国会において成立しました統計法については、本日、公布の手続を取ることとなりました。この法律で、内閣府に統計委員会が設置されることになります。その統計委員会に係る事務について、設置準備に係る対応も含めて私が担当大臣に任命されました。私から、指示を受けまして、本年10月ごろを予定している統計委員会の設置に向けて、万全を期してまいりたいという発言をいたしました。これについては、また後ほど触れます。
 閣議の御発言は以上です。
 閣僚懇談会で、官房長官からタウンミーティングに代わる新しい国民との直接対話「政策ライブトーク 言いたい 聞きたい これからの日本」を発足させ、政策ライブトーク推進会議の第1回目を、今月24日に開催するという発言がありました。これは、内閣官房副長官を議長として、各省の副大臣等をメンバーとするそうです。 閣議と閣僚懇談会の報告は以上です。
 先ほどご紹介しました統計法に基づく統計委員会ですけれども、これは内閣府に統計委員会を設置し、統計制度の司令塔機能の中核をなすとされております。
 統計制度改革については、経済財政諮問会議でずっと議論されてきまして、「骨太2006」に決定された方針に沿って統計法が改正されました。今後、この10月に統計委員会を発足させることになっておりますけれども、着実な推進に向けて、私も万全を期してまいりたいと思います。
 私の役目ですけれども、この統計委員会の管理を担当します。具体的には、統計委員会令、委員会人事などの調整に当たります。少し複雑なのですけれども、統計法自体は総務大臣の担当です。その中の統計委員会の担当が、私ということになります。委員会の所掌における統計及び統計制度に関する重要事項に係る関係行政機関の事務の連絡調整を担当いたします。今後、委員会の組織運営の基本を定める委員会令、それから委員会人事等の調整を行ってまいります。
 次回の諮問会議は、25日金曜日を予定しております。テーマにつきましては、今、最終調整しております。決まり次第ご連絡いたします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)先ほどの統計委員会なのですが、統計制度の課題、今後のテーマについて教えていただけますでしょうか。
(答)今後、総務大臣が基本計画の原案を作り、統計委員会で議論するということになりますが、今の日本の統計制度は時代の動きに合っていない面が多々あります。それを、やはり政府全体で見直していくということが必要だと考えています。非常に良い機会ですので、統計制度全般をしっかりと委員会で見直していけるようにしたいと思っています。
(問)昨日GDP統計が出ましたけれども、一部に設備投資の落ち込みなどで先行きを不安視するような見方もありますが、政府としての景気認識について、改めてどのようにお考えになっているか教えていただけますでしょうか。
(答)景気については、基調に変化はないと考えております。生産の一部に弱さがあります。昨日の設備投資のマイナスの内訳を見ますと、電気・通信関係が落ちており先行きは注意する必要があると思いますが、景気の基調には変化はないと見ています。  設備投資につきましても、今度は需要側の統計、法人企業統計が来月4日に出されますので、これを見て判断していきたいと考えております。
(問)今統計の中で、時代に合わない面が多々あるというお話だったのですけれども、数多ある統計の中で、大臣自身が時代に合っていないなと感じるものは、具体的にどういったものですか。
(答)例えば、サービス業の生産性向上は、成長力加速プログラムの中の大きい柱なのですけれども、なかなかサービス業をしっかり捉える統計データが十分にないのですね。狭義のサービス業は本当に狭義で、これから成長するであろう情報通信でありますとか、そういうサービスはまた別の括りになっているところがあります。前に、経済財政諮問会議で530万人雇用創出計画、これは新たに伸びていくサービス業でしっかりと雇用を作り出していくためのプランだったわけですけれども、なかなかそこに該当する統計がしっかり取れないところがあって、括り直したりしたという点がございます。
 労働に関しても、今労働形態は多様化しておりますけれども、それをしっかりと把握できる体制がなかなかない。例えば、週当たりの労働時間でパートかフルタイマーが決められている一方で、正規か非正規かはまた別の括りになっているという点がありまして、なかなかその状況を把握できないという問題がありますので、今、思い付く例を2つ挙げましたけれども、全体として見直していきたいと思います。
(問)統計に関して、いろいろな省庁で統計を取っていますけれども、その司令塔になるということで、縦割りの構造を打破するというような目的でこの委員会は設置されたと思うのですが、構成メンバーはどうなるのでしょうか。
(答)委員会のメンバーとしては、統計のしっかりした見識を持った外部の専門家に入っていただくということになります。今仰ったように、縦割りでいろいろな調査がなされており、強力な調整機能を発揮していただかなくてはいけませんので、豊富な学識経験を持った方をこれから選んでいきたいと思います。
(問)統計委員会で決まったことが、具体的には各省庁でやっている統計の取り方や手法を変化させるような権限も持つということなのでしょうか。
(答)まず、基本計画自体は総務大臣の下で案が作成されます。それを、統計委員会で審議する。統計委員会としては、意見を述べるという役割になります。
 しかし、それはまさに専門家の意見であって、司令塔という縦割りを越えたところにある委員会の意見ですので、それなりの重みを持つものと思っています。
(問)強制権限みたいなものはありますか。
(答)強制権限はないですね。飽くまで統計法は総務省の管轄ですので、強制権限、各省に対する一段高いところからの勧告権みたいなものはございません。
 統計法の規定により、その権限に属せられた事項について意見の具申をすると。まず、総務大臣が公的統計の基本的な計画の案を作成する時。これが、基本計画の案が総務大臣から出されるということですね。2番目に、総務大臣が基幹統計に関する以下の行為を行う時に意見を具申することになります。統計の指定、調査の承認、勧告、作成方法に関する意見陳述、基幹統計を作成する他の行政機関の長への協力の求める時。3番目は、内閣総理大臣が国民経済計算の作成基準を設定する時。4番目に、総務大臣が統計基準を設定する時。5番目に、各行政機関の長が匿名データを作成する時。最後に、総務大臣が施行状況報告の結果を取りまとめた時。つまり、総務大臣が中心にはなりますが、いろいろなところがいろいろな統計を行うことに対して、意見の具申を行うということになります。
 経済財政諮問会議も統計の在り方には従来から強い関心を持っていますので、場合によっては経済財政諮問会議でも議論するという形で、なるべく実効性ある統計制度改革に結びつけたいと考えています。
(問)今日、全国知事会があっていろいろな知事が来るのですけれども、その中でふるさと納税について、知事の中でも今意見がいろいろ分かれていて、それは良いという人もいるし、全然だめだという人もいるのですが、目的としては地方財源の偏在是正ということだと思うのですが、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。
(答)まだふるさと納税で具体的にどういう制度が議論されているのか分かりませんので、どこがポイントになるのかは、今の時点で何とも言えません。税源の偏在を是正するあり方としては、幾つかあるのだろうと思います。その一つとしてふるさと納税というのも一つの有力な案だと思いますので、その中で議論していきたいと。
 併せて、やはり大きい地方分権の流れの中で何故税源移譲をするかというと、それぞれの地方が受益と負担を一体として行政サービスを選択できるようになることというのが、大きい目的だと思います。税源移譲するに当たっては、やはり偏在性をなくしていかなければいけないという議論の流れがあると思いますので、その原点を見失わないようにして、地方分権の税財政のあり方を諮問会議でも議論していきたいと考えています。
(問)マクロの経済政策について1点お伺いします。昨日のQE発表後に、デフレの完全な脱却に向けて必要な政策として、「緩和的な金融環境」ということも挙げていらっしゃいましたけれども、昨日、福井総裁は会見の中で、消費者物価が多少マイナスでも利上げは十分可能であるといった発言をなさっていまして、マクロの経済政策運営について、政府・日銀の間で認識は共有されているのでしょうか。

(答まず、「緩和的な金融環境」というのは、これまでの政策のレビューとして申し上げました。デフレスパイラルになってもおかしくない環境の中で、政府もしっかりと構造改革に取り組み、財政健全化に向けての努力もしてきた。日銀も緩和的な金融環境の中で、政府・日銀ともに注意深くマクロ経済政策の運営を行ってきて、デフレ脱却が視野に入るようになってきていると、これまでのこととして申し上げました。当然、それは今も共有されているわけで、日銀総裁の御発言の中でも、何が何でも金利を上げるという考え方はおかしいということも明確に仰っていますし、やはり注意深くデフレ脱却に向けてマクロ政策運営を行っていくという認識は共有されていると考えています。
 ただ、日銀の場合は、金融政策を行うに当たっては、金融政策の効果が発現する先を見て判断するということですので、私どもは今、足元を見ながら景気判断しているわけで、その政策運営の見るべき時間軸は異なりますけれども、注意深くマクロ経済運営をやっていく。日銀としても、金融政策の面でしっかりとデフレ脱却を下支えしてくださると考えています。

(以上)