大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年5月17日

(平成19年5月17日(木) 10:00~10:11  於:合同庁舎4号館643号室)

1.発言要旨

 本日、平成19年1-3月期のGDP1次速報値を公表いたしました。
 実質成長率は、前期比0.6%、年率換算して2.4%、9四半期連続のプラスです。名目成長率は、0.3%、年率1.2%、2四半期連続のプラスです。
 18年度を通して見ますと、実質成長率は1.9%、名目成長率は1.3%です。政府の経済見通しでは、実質成長率を1.9%、名目成長率を1.5%と見込んでおりました。それと比較いたしますと、名目成長率は見通しを若干下回りましたが、実質成長率は同じ数値となっておりまして、18年度の日本経済は、政府経済見通しに沿った姿を示しております。
 景気の現状につきましては、生産の一部に弱さが見られますけれども、基調に大きな変化はなく、回復が持続していると見ております。
 個別の項目で少し申し上げますと、家計消費が1-3月期は0.9%ということで、2四半期連続のプラスになりました。昨年の夏以降、家計消費が落ちておりましたけれども、持ち直してきております。家計消費を18年度の前半と後半に分けてとらえますと、18年度前半の家計消費の伸びは0.1%、後半の伸びは2.0%です。したがいまして、夏以降の伸びは持ち直してきていると見ることができます。
 一方、民間の企業設備が5四半期ぶりにマイナスになりました。1-3月期がマイナス0.9%です。第1次速報値は、供給側のデータで示されます。日銀の短観を見ますと、2006年度の設備投資計画は9.5%の伸びを示しております。2007年度の設備投資計画も、出発点としましては2006年3月時点の計画よりは高い数値になっておりますので、もう少し設備投資については様子を見たいと考えております。1次速報値は供給側だけですので、今後、需要側の動き、法人企業統計が来月4日に発表されますので、それを見てまた検討していきたいと考えております。
 あと、気になっておりますのは、雇用者所得がなかなか伸びておりません。マクロで見た雇用者報酬は0.2%増加しておりますけれども、1人当たり賃金はマイナス0.8%にとどまっております。雇用者数は1.0%ということで、全体の雇用者報酬は0.2%ですけれども、なかなか賃金が伸びないという状況が続いております。
 先ほど申し上げましたように、景気の現状は回復基調が続いております。今後、海外経済のリスクなどを見ながら、さらに注意して景気動向を見ていきたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)個人消費なのですけれども、伸びを示しましたが、季節要因なのか、所得環境などが多少よくなってきたのか、その辺の分析はいかがでしょうか。
(答)飲食サービスが、今回、比較的伸びておりますので、そういう意味でいいますと、やや天候要因も考えられます。
 ただ、先ほど御紹介しました年度前半と後半の数字を見ますと、持ち直しの動きは確実に見えてきているかなと感じております。1-3月期は、飲食サービス以外に時計・宝飾という高級品もやや出てきております。持ち直しの感があるかなと見ています。
 ただ、1人当たりの賃金がまだ伸びておりませんので、それほど力強い回復とはまだ見ておりません。十分にまだ注意が必要だと考えています。
(問)設備投資はもう少し様子を見たいということなのですが、今回、落ち込みになりまして、これは設備投資の先行きに対する懸念も広がると思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
(答)通常、需要側の統計で、やや上方に修正されることが多いですので、今回もやはり需要側の統計を見てみないと、何とも判断できないと考えています。
(問)06年度のデフレ脱却を政府は目指してきましたけれども、今回、それがなかなか難しいような形になったのですが、そこのところの判断はいかがでしょうか。
(答)当初、経済見通しでは、18年度に名目と実質の逆転が解消されると見ておりましたが、依然として逆転は解消されていないと。ただ、GDPデフレーターを前年比で見ますと、確実に縮小してきております。
 私どもは、これでもう9年続いたデフレですので、確実にデフレへの後戻りがないかどうかという点を見ておりまして、4つの指標でそれを見ております。1つはGDPデフレーター、それからもう一つは消費者物価、3番目に需給ギャップ、4番目に単位労働コストで見ております。これで見ますと、需給ギャップは、1-3月期をベースにした計算はまだこれからいたしますが、10-12月期で見ますとプラスになってきております。それからGDPデフレーターも、着実にマイナス幅を縮小してきておりますので、デフレ脱却は視野に入っていると見ております。ただ、デフレに後戻りする可能性がないかどうかという点で見て、デフレから脱却したとはまだ言えない状態だと見ています。
 やはり気になっておりますのは、単位労働コストが、むしろ足元でマイナス幅が拡大してきております。単位労働コストで見ますと、昨年の夏以降、足元でマイナス幅が拡大してきておりますので、昨年第3・四半期でマイナス0.08だったものが、第4・四半期がマイナス1、今回の1-3月期でマイナス1.8に拡大してきておりますので、先ほど賃金が上がらないという状況が気がかりだと申し上げましたが、やはりややこの単位労働コストの動きは気になるところです。なかなか賃金の増加に結びついていないという点は気になります。
 ただ、全体的に見て、確実にデフレ脱却に向けた歩みは続いている、デフレ脱却が視野に入ってきていると見ております。
(問)デフレ脱却なのですけれども、まだ脱却したとは言えないということなので、今年度、政府・日銀は、具体的に脱却のためにどんな政策をとる必要があるとお考えでしょうか。
(答)実体経済でいいますと、需給ギャップも足元、持ち直して、若干なりともプラスになってきておりますので、政府としては引き続き歳出削減をしっかりやりながら、なおかつ成長力強化のための戦略をとっていくことが必要だと考えています。かつてデフレスパイラルの可能性すら、2001年、2002年の時点であったわけですが、そのときからマクロ経済運営は、かなり注意深くなされてきていると考えています。政府も構造改革を進めてまいりましたし、緩和的な金融環境の中で、マクロ経済運営は十分注意してやってきております。これをまたしばらく続け、十分にデフレに後戻りしないような環境をつくっていくことが必要だと考えています。
(問)設備投資について、もう少し様子を見なければということでしたけれども、基調として、これまで長く経済を下支えしてきた感があったわけですけれども、やはりもう息切れしてきているのか、そのあたりはどういう御判断をされているのか。あるいはまた、前期、高い伸びがあったということもあり、その反動という面があったのかどうか、その辺についてはいかがでしょうか。
(答)5四半期ぶりのマイナスですので、反動と言えるかどうかはやや疑問だと考えておりますが、日銀の短観で見ます限り、設備投資計画は低くありません。全体として、まだ基調が変わったと言うには早計だと思います。需要側の数字を見て判断したいと考えております。

(以上)