大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年5月11日

(平成19年5月11日(金) 8:55~9:13  於:記者会見室)

1.発言要旨

 今朝の閣議ですが、森林林業白書について御発言がありました。それから、官房長官から来年のサミットに関連するG8閣僚会議等の開催地について発表がありました。これは御質問があれば、後で個別の場所をお答えいたします。
 閣議は以上です。
 閣僚懇談会で、クールビズが6月1日から始まるということでかりゆしウェアを積極的に着るようにという御発言がありました。総理からは、6月1日の閣議にはかりゆしウェアの着用をお願いしたいという御発言がありました。
 厚生労働大臣から、最低賃金制度の周知徹底ということで、6月1日から1カ月間履行確保のための監督を行うという御発言があり、総理からも同様の御発言がありました。成長力底上げ戦略でも最低賃金については取り組んでおりますので、ぜひしっかりやる必要があると思います。
 15日に諮問会議を開催いたします。テーマは3つです。
 まず、地球環境問題について、若林大臣、麻生大臣をお招きして議論します。それから、柳澤大臣をお招きして社会保障制度改革について議論いたします。
 それから、前回税制改革の議論が途中で終わっておりますので、改めて香西税調会長をお招きして、税制改革の続きの議論を行います。その次の諮問会議については、まだ日程調整中です。来週は15日1回だけです。
 OECDの閣僚理事会ですが、残念ながら私が出席できないということは前回お話しいたしました。国会の承認が得られまして、大村副大臣が15日、16日、パリに出張いたします。閣僚理事会では、大村副大臣はグローバル化、成長、衡平に関するセッションに出席して議論をいたします。グローバル化のメリッ トを最大限活用するためにどのような政策が望ましいか、また賃金格差の拡大などの社会的懸念を解決するのにどういった方策がよいのかについて、各国の経験を踏まえた対応策が話し合われると思います。詳しくは事務方にお尋ねください。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)15日の諮問会議で社会保障制度改革を議論されるということですけれども、前回の議論で柳澤大臣から宿題が出ていて、民間議員の方でも数値を推計することになっていたと思うのですけれども、15日の諮問会議ではどういう形で出てくるのか。地球環境問題と税制改革についてもどういった議論になるのか、分かっている範囲でお願いします。
(答)社会保障については、高コスト構造是正プログラムに向けて、今民間議員にも試算をしていただいていますので、それを中心に議論をいたします。民間議員が検討した結果が出ます。
 地球環境問題につきましては、「骨太方針」の中で1つの重要なテーマになりますので、4大臣会合の議論なども踏まえながら議論をすることになると思います。
 税制改革につきましては、民間議員から基本的考え方が出されておりますし、香西先生からも議論のこれまでの経過が出されていますので、民間議員から改めての提案は出ないものと思いますけれども、前回のペーパーをベースにして議論をすることになります。
(問)社会保障については、柳澤大臣から特に何も出てこないということですか。
(答)そこはまだわかりません。
(問)先日景気動向指数が発表されまして、一致指数が3カ月連続で50を割れるということになりまして、一般的には一致指数が3カ月続けて50を割れると、景気後退ないしは踊り場入りの可能性も出てくるということも言われているわけですけれども、その辺も踏まえて大臣の今の景気認識についてお願いします。
(答)結論から言いますと、基調に変化はないと考えています。生産が弱いのですね。これは月例経済報告でも生産が弱いということは指摘しております。IT関連生産財が軽い調整に入っているということ、昨年10-12月に自動車を中心にやや生産が増加いたしました。その反動が出てきているということがありますが、IIPを見ましても、4月以降の先行きは比較的強めの予測が出てきており、プラスの予測が出てきております。
 恐らく踊り場ではないのかという御質問だと思うのですね。今回の景気回復で過去2回の踊り場がありました。1回目はイラク情勢、それからSARSということがありまして、中国、アメリカでの景気動向を受けて、日本でも踊り場に入ったと。2回目は2004年の後半、踊り場に入りました。これは、再々申し上げているとおり、生産、輸出、消費の3つが落ちたと。その時に比べますと、今、生産にやや弱さはありますけれども、基調自体はまだしっかりしていると見ております。もうしばらく様子を見たいと思っています。
(問)景気動向指数についてですけれども、内閣府の「弱含み」という表現を2カ月連続で採られたということから、「踊り場」という日本語の問題かもしれませんが、これまでの上昇基調の中でやや成長力が緩やかになることを「踊り場」と称していて、経済白書の中でもそのような説明があるのですけれども、そういう意味において、踊り場と理解する方が分かりやすいと思うのですけれども、そういう理解は違うのでしょうか。
(答)「踊り場」というのは、明確な定義があるわけではありません。基調にやはり弱さがある場合に踊り場という言葉を使っていますけれども、前回、踊り場という表現を使った時に比べると、まだ基調はしっかりしております。今弱いのは生産ですので、これが前回のように生産、消費、輸出といった形で、幾つかぬかるみが出てくるような状態ですと、やはり踊り場ということだと思いますけれども、生産も先行きはプラスの予測も出てきておりますので、もうしばらく様子を見たいと思っています。
(問)前回の御説明の中では、消費に底入れが見られるということもあって、そこが1つの材料になっていたと思うのですけれども、景気ウォッチャーを見てもいま一つ冴えない動きになっていますが、消費についての見方というのはどのようになっていますか。
(答)景気ウォッチャーが50を若干切りましたけれども、数字自体は49.7ですし、新車の販売が落ち込んだという要因や気候条件もありますし、先行きの見通しは50を越していますので、これも来月まで様子を見たいと思っています。
(問)来月を見て、今のようなことをもう一度判断されると。
(答)そうですね。
(問)改めてふるさと納税についてですけれども、政府・与党内から色々な意見が出ていて、改めて大臣の今のお考えと、ここに来て「骨太方針」に盛り込むという話が各方面で言われていますが、「骨太方針」に向けて、このふるさと納税という話がどのように、例えば明記されることがあり得るのかどうか、改めて伺いたいのですけれども。
(答)ふるさと納税は、まだ今色々な議論がありまして、地方税の一定割合を向けるという議論もあれば、税額控除で対応するという議論もあります。例えば小学校、中学校、高校は出身地で出ていて、大人になって稼いだ時の納税は都会というような、地域のかけたコストに大人になって少し報いてもいいではないかという議論もあれば、自分の思い入れのある地域、例えば夕張ファンクラブみたいな形で思い入れのある地域に、少し税金の一部を割いてもいいではないかという議論もあって、少しまだ何について議論するのかも明確に定まっていないように思います。考え方としてはおもしろいと思いますので、もう少し詰めた議論が必要だと思っています。
 「骨太」に書くかどうかですが、諮問会議の場ではこの議論は出ておりません。諮問会議の場でしっかりと提案されて、そこでの議論を見たいと思っています。
(問)その提案というのは、民間議員からということですか。それとも菅大臣の提案を待つということになりそうでしょうか。
(答)まだ具体的な議論は出ておりませんので、今の時点では民間議員から具体的な提案は私は聞いていません。菅大臣の方からご提案なさるかどうかも、まだ聞いてはおりません。それは菅大臣の御判断だと思います。
(問)この件について、総理や官房長官とお話になったことはありますか。
(答)いえ、私はお話ししておりません。
(問)「骨太」の中で環境問題が大きな柱に位置付けられると大臣は仰っていますが、それはどういうことですか。
(答)大きな柱ではなく、1つのテーマです。環境問題はこれまでも若干は書いてきておりますけれども、今年は京都議定書の1回目の目標年の前年にも当たりますし、4大臣会合も政府の中で開かれていますので、改めて諮問会議でも議論したいということです。大きな柱というわけではありません。幾つかのテーマの中の1つになります。
(問)改めて伺いたいのですけれども、先日の諮問会議で2ヶ所のハローワークに市場化テストを導入することが決まりましたけれども、これまで色々長い過程を経て今回市場化テストにかけることが決まったことに対する感想と、あと最も苦労した点をそれぞれ教えてください。
(答)10年来の議論ですので、ここで一歩、つまりハローワークの本体業務に市場化テストを導入するということが決まったことは、私は非常に大きい成果だと思っています。特にこの10年の中でも失業率が一時5.5%になったわけですし、いまだに若年を中心にミスマッチによる構造的な失業がたくさん残っていますので、そういう時期に導入ということで決着したということは、私は非常に意義があると思っております。
 難しかった点は、当然、ILO88号条約との整合性をどう取るかということで、今回は民間議員に極めて具体的な御提言を頂いて、その具体的な提言を基に専門家の御意見を聞く場を作って、ILO88号条約との整合性を整理したという点が、大変大きな前進を見た理由だと思っています。ぜひ成功させたいと思います。ぜひ成功させて、本当に働く人にとってよい無料職業サービスが提供されるという成果を作りたいと思っています。これは、これからの監理委員会と厚労省との間の具体的な設計がカギになりますので、市場化テスト担当大臣として、しっかりやっていきたいと思っています。
(問)関連で、都内2カ所の実施する場所ですけれども、選定は基本的には厚労省が決めるという理解でいいのでしょうか。それとも、その場所の設定についてまで監理委員会で、何か意見をするということはあり得るのでしょうか。
(答)市場化テストを実施する時の実施要項は、基本的に厚労省から提案されます。それが監理委員会の審議を経て決定されるということになりますので、まず提案は厚労省からなされると。ただし、それがあまりに小さくて、官と民に分けたてはできないような場所だと困りますので、そういう場合は監理委員会からも意見を言うことになると思いますけれども、前回の諮問会議で柳澤大臣からきちんとふさわしい場を、 100名から200名でしたか、今ちょっと手元にメモを持っておりませんけれども、ふさわしい場所をしっかりと選びたいというお話がありましたので、その点は心配ないと思っています。
(問)規模以外に、地域の特性というか、場所によっては、官のサービスに対する信頼の方が高いといったファクターもあると思うんですけれども、この辺も一義的には厚労省の判断を待つことですか。
(答)そうですね、厚労省の提案を待ってということになります。前回の柳澤大臣が出された資料の中にも、官民のイコールフッティングを確保するということと、市場化テストの目的が達成されるようにということがしっかり書かれておりますので、そこはご理解いただいていると思っています。
(問)ふるさと納税の関連でもう一点お伺いしたいのですけれども、15日の諮問会議の税制改革の議論の中でまた議題として上がってくるかどうかは未定だということですか。
(答)未定です。
(問)上がるかもしれないということですか。
(答)そこはまだ何とも分かりません。
(問)そもそも抜本的な税制改革については、秋以降に本格的な議論をしましょうというように政府部内で意見集約されていると思うのですけれども、地方財政間の偏在の問題があるにせよ、具体的な議論についてここにだけ絞って議論を進められようとしていることについては、矛盾はないのでしょうか。
(答)税源の偏在を防ぐというのは、地方分権の議論の中でも、昨年10月の安倍内閣での2回目の諮問会議で地方分権を議論した時も、地方分権のために税源移譲を進めるに当たっては、税源配分の偏在性を是正することが大きい条件であると尾身大臣から発言されています。したがって、税の議論と地方分権の議論の両方のアプローチから税源の偏在の問題が出てきております。したがって、全体としては税制改正全体の中で議論しなくてはいけないわけですけれども、地方分権を進めるに当たってどういう考え方が望ましいかという点については、諮問会議でもできるところまで議論はしたいと思っています。
 今の御質問のように、具体的に税制をどうするというのは、税制全体の中での議論になると思っています。
(問)その点で、地方分権そのものを15日には議論しないということですか。
(答)15日は議論いたしませんが、「骨太」までの間に、5月中に一度議論したいと思っています。地方分権改革推進委員会の議論が5月中進むようですので、それを受けて議論したいと考えています。諮問会議では5月の下旬になると思います。

(以上)