大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年2月15日

(平成19年2月15日(木) 10:00~10:10  於:合同庁舎4号館643号室)

1.発言要旨

 2006年の10-12月期の実質GDP成長率は、前期比1.2%、年率換算4.8%、8四半期連続の増加となりました。2006年暦年の実質成長率も、2.2%となりました。

 この結果につきまして、3点指摘したいと思います。

 まず第1点ですが、5年間に及ぶ景気回復の動きが、依然としてしっかりとしているということが確認されました。内需、外需のバランスが取れ、民間需要主導の成長が続いております。

 第2点として、景気が回復しているとはいいましても、消費につきましては、7-9月期と10-12月期をならすとほぼ横ばいということで、依然として弱さが見られます。この背景には、天候不順といった要因がありますが、それ以上に、1人当たりの賃金が依然として横ばい圏内にあるということがあります。

 それから、第3点としまして、前期比で見ますと、わずかではありますが名目成長率が実質成長率を上回りまして、名実逆転の動きが8四半期ぶりに解消されました。また、GDPデフレーターも、マイナス0.5%とマイナス圏内ではありますが、幅が縮小してきております。この背景としまして、原油価格の低下で海外への所得移転が低下したということがあります。デフレ脱却が、確実に視野に入ってきております。今後、後戻りすることがないように、さまざまな指標を注意深く見ていきたいと思っております。

 こうしたことを踏まえますと、景気の現状は、消費に弱さが見られるものの、基調に大きな変化はなく、回復が持続しております。今後、世界経済の動き、原油価格の動きなどを、注意しながら見ていく必要がありますが、持続的な成長が続くと見ておりまして、政府経済見通しでお示しした姿に沿ったものになると見ております。

 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)年率4.8%という非常に高い数字が出たわけですけれども、これが日銀の追加利上げを後押しする好材料になるのではという見方も出ておりますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)金融政策は、日銀の専管事項です。経済動向、物価動向を丹念に点検された上で、日本銀行として判断されるものと見ております。政府としては、成長力を高めるための改革を大胆に行っていく。日本銀行は、引き続き金融面から経済を支えてくださるものと見ております。
(問)今の金融政策に関連して、日銀が物価・経済動向を丹念に点検して判断されるものということですが、それは日銀の判断を尊重されると捉えてよろしいでしょうか。
(答)もちろんです。金融政策については、日銀の専管事項です。
 今の御質問の「尊重」という意味は、どういう意味ですか。金融政策は、日銀の専管事項であるということを申し上げたのですが。
(問)そうしますと、誤解を生むと問題なので、議決延期請求権を発動するような事態は、想定されていらっしゃらないということでよろしいでしょうか。
(答)仮定の話は、今の時点ではお答えできませんので、コメントは控えたいと思います。
(問)重ねてで恐縮なのですけれども、景気の基本認識は変わらないと。そういう意味では、1月の時点と今とで政府の景気認識には変わりがないという点では、政府・日銀の間の先行きを含めた多少の認識のギャップは溝が埋まったと見てもよろしいでしょうか。
(答)以前から、月例経済報告の閣僚会議でも、またその後の経済財政諮問会議でマクロ経済運営については議論いたしましたけれども、景気に対する現状認識は共有されていると思っております。
(問)デフレに関して、デフレ脱却が確実に視野に入ってきているという形で、今回、「確実」という言葉を付け加えられたのですが、これはデフレ脱却の認識を一歩前に進められたということでしょうか。
(答)いえ、前と変わりません。ゼロに近づいてきていると。それがまた今回もゼロに近付いてきて、その動きが確認されています。
(問)それに関連して、今回、国内需要デフレーターが再びマイナスに転じていることについては、いかがお考えでしょうか。
(答)若干マイナスにはなっておりますが、この背景として、原油価格が下落した点、それから7-9月期に天候不順で野菜の価格が上がったが、剥落している点がありますので、状況としてはゼロ近傍で変わらないと見ています。
(問)8四半期ぶりに名実逆転が解消ということですが、これは今後も解消の状態が続くというように感じられますか。
(答)本当にわずか小数点以下2桁のところで逆転しております。今も御質問がありましたが、デフレーターのマイナス幅が縮小する動きは続いておりますので、これが持続すると見ております。
(問)先ほど、その要因として原油価格の海外所得移転の分が減ったという話がありましたが、そういう意味では、原油価格あるいは原材料価格等の動向が今後の鍵を握っているということなのでしょうか。
(答)いえ。デフレ脱却の指標としてのユニット・レーバー・コストは、今度また若干マイナスになってきております。これは、分母の生産性が上がっていることが影響しております。コアコアのCPI、需給ギャップ、ユニット・レーバー・コストを併せて見ていく必要があると考えています。
(問)また日銀の話に戻って恐縮なのですが、今回GDPの消費もある程度強いという結果が出たことを受けて、日銀として判断するに当たって、経済の環境が、先行きも含めて1月の時に比べて変わってきているという御認識はあるかどうか。
(答)それは、日銀が十分に点検なさって判断されると思っています。
 1点、消費は強いとおっしゃいましたが、やはりこれは横ばいだと思うのですね。7-9月、10-12月期をならすと、横ばいということだと思います。決して、強いとは言えないと思いますね。
(問)消費の7-9月期に落ちた部分が今回戻ってきて、この流れがこれからずっと続くと見ていらっしゃいますか。
(答)そこが、今一番注意して見ているところです。今回、比較的耐久財が伸びました。自動車のうち、小型車は落ちているのですが、普通車と軽自動車が伸びております。薄型テレビも伸びております。そういう耐久財が伸びたことが要因なのですね。横ばいの状態から本当に全般的に上がっていくかどうかは、注意して見なければいけません。それから雇用者報酬も、前年同期比1.1%ですが、そのほとんどが雇用者数の増加で説明されるのですね。1人当たりの賃金は、マイナス0.3%ということで、横ばいではありますけれども、弱含みの状態ですので、ここはまだ注意が必要だと見ています。

(以上)