大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年1月9日

(平成19年1月9日(月) 9:29~9:40  於:記者会見室)

1.発言要旨

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 今日の閣議ですけれども、主立った発言だけご紹介しますと、防衛省の発足に当たって防衛大臣から御発言がありました。それと、同じく防衛大臣からタイ出張について御発言がありました。

 それから、私からアメリカ訪問についてご報告いたしましたが、閣議発言要領は後で読み上げます。

 12日の閣議は取りやめということです。

 アメリカの訪問について、今日の閣議の発言とそれから概要をお話しいたします。

 1月3日から7日にかけて米国のワシントン及びニューヨークを訪問し、ラジア大統領経済諮問委員会委員長と定期経済協議を行ったほか、バーナンキ連邦準備制度理事会議長、マコーミック大統領次席補佐官、ガイトナー・ニューヨーク連邦銀行総裁等と会談を行いました。また、ワシントンの国際経済研究所等において安倍内閣の改革を中心に講演や意見交換を行いました。

 一連の会議等においては、私から日本経済の現状と見通し、安倍内閣における経済財政政策の今後の方針等について説明を行いました。これに対して先方からは改革継続の姿勢に対して前向きの評価がなされ、今後成長力を高めるための改革が極めて重要であるとの意見が表明されました。

 一方アメリカ経済については、景気の拡大テンポは緩やかになっているものの、先行きについてはソフトランディングに向かうとの見方が一般的でありました。

 今回の米国訪問は日米経済に関する相互理解、特に安倍内閣の経済財政政策に対するアメリカ側の理解を深めることができ、非常に有益でありました。また、米国の日本や安倍内閣に対する関心の高さを改めて確認いたしました。

 今後とも我が国が改革を加速し、成長力の強化を図っていくことが重要であると考えます。

 以上が私の閣議での発言内容です。

 個別の訪問先の会談内容について、簡単に補足させていただきます。

 バーナンキFRB議長、それからガイトナー・ニューヨーク連銀総裁との会談では、日米のマクロ経済の現状について議論いたしました。ただ、この2つの会談につきましては、あらかじめ会見内容は外に出さないという合意の下でなされておりますので、残念ながらご紹介することができません。

 それから、ラジアCEA委員長との会談ですけれども、まず私の方から安倍内閣が進める構造改革についてご説明いたしました。この後ラジア委員長は労働問題の御専門でありますので、幾つか有益な意見交換をしました。アメリカにおいては高所得層、低所得層の二極化がやや進んでおり、その背景は、個人がスキルを備えているか否かによって所得格差が拡大しているというお話がラジア委員長からありましたので、私からは日本では正社員にならないとなかなかそのスキルを獲得できないと。したがって、新卒時の就職の結果がその後の所得格差の固定につながりかねないという指摘を行いました。

 アメリカにおいてもグローバル化、IT化によって所得の二極化が起こっておりますので、こういう問題に双方とも対処する必要があると。特に働き方の多様性の拡大、労働市場の流動性など、労働市場の改革が必要であると。今後とも意見交換を行いながら進めていきたいという認識で一致いたしました。

 マコーミック大統領次席補佐官とは、マコーミックが次回のサミットのシェルパをなさっておられることもありまして、サミットのテーマである世界的不均衡の問題について意見交換を行いました。

 日本が今進めようとしているEPA交渉の加速について、これを進めるためには農業改革を始め国内構造改革が重要である、これは日米ともに重要であるということで一致いたしました。

 それから、国際経済研究所(IIE)で講演を行いました。休暇明けでしたけれども、80名弱の参加者がありまして、安倍内閣の進める改革について、非常に活発な意見交換が行われました。アメリカの日本に対する関心が失われつつあると言われていますけれども、あの講演の時の非常に熱心な質疑応答を見ましても、やはり日本の改革に対する関心が非常に強いことを実感いたしました。

 以上が、簡単ですが出張報告です。

 次回の諮問会議は1月18日を予定しています。中期方針「進路と戦略」の諮問・答申を行います。また、今年の諮問会議の重要課題を民間議員にご提案いただく予定です。これについては、今民間議員の間で検討をお願いしています。

 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)実際にアメリカの政府の要人の方々とお会いして、いろいろディスカッションした結果のアメリカ経済の今後の先行きについて、先ほどソフトランディングが大切だということ仰いましたが、大臣自身はどのような印象を得たか伺いたい。
(答)米国に行っている間に雇用統計が発表になり、比較的順調な結果になりましたし、ソフトランディングに向けて順調に進んでいるという印象を受けました。特に住宅市場の調整が気になっていましたので、何人かの方にお伺いしましたけれども、今後、予断を許さないけれども、それほど大きい調整にはならないという見方も示されました。ただ、そこは政府要人ともに注意している感じは伺いました。
(問)基礎的財政収支の見通しが年末の諮問会議で若干報告されましたが、その後、政府要人からの発言が相次いでおります。改めて大臣のこの問題についての御見解をお聞かせいただければと思います。
(答)昨年末以来の政府要人の発言については、私が年初いなかったこともあってまだ精査していませんので、少し整理してまたお答えしたいと思います。
(問)アメリカ出張の御報告の中で、労働市場の自由化、労働ビッグバンについて意見が一致したという御説明がありましたが、内容については日本ではこうしたいと、大臣が話されて、その内容についてアメリカでもそうだという意味で一致したということでしょうか。
(答)いえ、そういう意味ではありませんで、私の方から、働き方の多様性や正規・非正規の間の不当な格差をなくすことの重要性をお話ししました。例えば働き方の多様性については、日本で問題となっていることは、それほどアメリカでは大きい問題にはなっていませんけれども、他方、米国ではグローバル化、IT化の中で二極化が起こっており、日本でよりもそれは中間層が減少しているという形で強烈に出てきております。したがって、アメリカの中でも労働移動を柔軟にして、それぞれの個人の働き方に対応していくという必要性が表明されました。

 したがって、採るべき対応は日米で一緒というわけではありませんけれども、この問題は世界中先進国の中で共通するという問題意識は一致したということです。
(問)年頭の会見ということですので、今年、大臣として特に重点的に取り組みたい課題について、この後民間議員がいろいろ提案するということではありますけれども、大臣御自身はどのようにお考えなのか伺いたいと思います。
(答)取り組むべき課題は、これまで3カ月の諮問会議で一応レールは敷かれて走り始めたと思っております。ただこれをいかにして国民の目から見ても分かりやすい改革の柱にして訴えていくかという戦略が非常に重要であるなと私自身考えています。例えば、生産性の重要性については一致していますし、プログラムもこれから作っていくわけですね。その中で何をすることによって、私どもも国民も将来展望を描けるような課題設定ができるかというところについて、少しまた民間議員と知恵を絞りたいなと思っています。

 労働市場についても、既に専門調査会がスタートいたしましたけれども、特にそれを時間軸で分けて、何をすることが必要なのか、どういう具体的課題をクリアにしていくことが必要なのか、将来展望をしっかりと描けるようにしていくことが大事だと考えています。

 先ほどの御質問にあった、基礎的財政収支についての政府要人の発言はこれから精査いたしますけれども、私自身から一言申し上げたいのは、歳出・歳入一体改革はまだ始まっていないということです。まだ始まっていないということで、一番大事なのはこれをしっかりとやり遂げるということです。特に5年間の歳出改革を確実にやり遂げて、プライマリー収支の黒字化を明確にしていくということが第一に重要だと思っています。1年間の税収が上がったということだけで、まだ改革すら始まっていないのに、それをどうこうするという議論は少し早計だと思っています。

(以上)