河上消費者委員会委員長 記者会見

2016年12月6日
消費者委員会

日時

2016年12月6日(火)17:30~17:49

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(河上委員長) それでは、よろしくお願いします。

本日、報告が1件ございます。「東京特別区・武三地区のタクシー運賃組替え案について」というテーマでございます。

本会議を御覧になった方は御存じと思いますけれども、本日の消費者委員会本会議において、東京特別区及び武三地区、武三というのは武蔵野市と三鷹市を合わせて武三と言うらしいのですけれども、それの一般乗用旅客自動車運送事業、すなわちタクシーの運賃組替え案に関する意見の取りまとめを行いました。

東京のタクシー運賃については、物価問題に関する関係閣僚会議の了承が必要となる公共料金とされておりまして、この会議に付議するに当たって、消費者庁から11月1日付けで、当委員会に対して意見の求めがあったものです。

消費者委員会では、これを受けまして、古城座長のもとで4回にわたって公共料金等専門調査会を開催いたしまして、国土交通省、一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会、更に学識経験者及び消費者団体などからヒアリングを行いまして、調査審議を重ねた上で、今般、お手元にお配りした意見を取りまとめました。

国土交通省が提示した運賃組替え案は、現行よりも初乗りの距離を短縮するとともに、初乗り運賃を引き下げる。また、加算距離を短縮するとともに、加算運賃を引き下げる内容のものであります。

これによって、基本的に短距離、おおむね大体4キロメートルまでの利用に関しては現行よりも運賃が安くなりますが、それ以上の中長距離の利用になりますと、逆に現行よりも運賃が高くなるということになっています。

意見では「1.結論」として、運賃組替え案について、方向性は理解できるものの、中長距離運賃の値上げを伴うことの必要性は必ずしも明白ではないといたしまして、国土交通省において、丁寧な事後の検証や負担が増加する中長距離利用者への対応などを行うということが必要であるとしております。

また、消費者利益の増進を一層図るという観点から、その後に示す「3.留意事項」についても対応を求めているところであります。

さらに、公共料金等専門調査会は、検証に必要なデータなどが整った段階で、運賃組替え後の状況の検証を行うということにしております。

2ページ以降では「2.結論に至る理由及び課題」と「3.留意事項」について詳しく述べておりますので、それぞれまた具体的に読んでいただければと思います。

消費者庁におかれては、本意見を踏まえて、本運賃組替え案を物価問題に関する関係閣僚会議に付議していただきたいと考えております。

また、運賃の組替えの実施に当たっては、国土交通省において、本意見が求める対応に着実に取り組んでいただきたいと思います。

もし古城座長から何か補足がございましたら、お願いいたします。

(公共料金等専門調査会古城座長) ございません。

(河上委員長) 特によろしいですか。では、もし質問が来ましたら、お願いいたします。

当方からの御報告は以上です。

質疑応答

(問) タクシーの件ではないのですけれども、身元保証の今日のお話の件でもよろしいでしょうか。

今日、厚生労働省から聞き取りをされた中で、人手の部分ですとか、仕事の分担の部分でかなり難色を示されているというような御回答に受け取れたのですけれども、何らかの意見表明を考えたいというような委員長の御発言がありまして、今日の厚生労働省の反応から見ると、どういったことを提案するようなことが考えられるのか、御意見を聞かせていただけたらと思います。

(答) それはこれから具体的に提案を考えることになります。ただ、今日の資料の中に具体的に当方の問題意識を3点挙げさせていただいておりますけれども、要するに、実態がよくわからない部分があるので、それをまず調べていただく必要がある。これがまず一つです。

もう一つは、新しい事業ですけれども、その事業を遂行していく上で、それは適切に履行されるような仕掛けを考えないといけないだろうということで、そうした事業についての一定のスタンダードといいますか、ガイドラインのようなものをみんなで知恵を出して考えてみるということが大事なのだろうと思います。

高齢者との関係で言うと、今、既存のいろいろな高齢者対策の制度がありますので、それとうまく調和するような形で問題を位置付けていかないといけないだろうという気がいたします。

今日も厚労省から因数分解してみるとということで、いろいろな制度の担当の所管庁が出てきましたけれども、そういう人たちとの協力・連携関係を作って、そこで今後の方針を考えていくということがスタートだろうと考えています。

(問) 関係する省庁としては、今日消費者庁という意見も厚労省からありましたけれども、消費者庁、経産省といったほかに、考えられる省庁はありますでしょうか。

(答) 住居に関しては、国交省がかなり本格的にこの高齢者問題を扱っておられますし、冠婚葬祭業に関しては経産省が扱われるという部分になります。後見制度に関しては法務省がやっていますね。厚労省以外にも、今、お話ししたようないろいろなものがありますから、そういうところを、消費者庁が、間の調整機能を果たすことができますから、事務局的にそういう調整機能を果たしていただいて、幾つかの所管庁を集めたフォーラムを作って、そこで具体的に考えていただければと思います。
内容を具体化するまでにはもう少し時間がかかると思います。

(問) ありがとうございます。

(問) 今日の特保の関連で教えていただきたいのですが、健康食品の建議に対するお話で、健康増進法の内閣府令のパブコメ案が5日に出ていて、これについては、本来は消費者委員会に事前に相談をする必要があるのでしょうか。それで、事前に相談がなかったということでしょうか。これは結局、対象の範囲が狭められると読んだほうがよろしいのでしょうか。

(答) 私は卒然と読んで、これは相談すべき範囲が変更される可能性があると思いましたので、それだったら、一応問合せといいますか、意見調整が行われてしかるべきだったのではないかと思いましたので、一言申し上げた次第です。

(問) この科学的知見を得たときはというように、事業者が主語に変わってきたことによる影響はどのように考えたらよろしいのでしょうか。

(答) 今日の説明では、別に事業者がやったときだけではなくて、消費者庁自身のものというか、第三者が得た科学的知見についても当然問題となり得るのだということはおっしゃっていましたから、解釈上はそういう方針でいくのだろうと思います。

ただ、府令がああいう表現になっているので、余りいい規定ぶりではないと思います。ですから、ちょっと遅いですけれども、府令について、委員会としては意見を言っておかないといけないなと思っております。

(問) 科学的知見について、消費者庁は別に何ら調べていることもなく、元々科学的知見がなかったのではないかということを今日説明したと思うのですが、それについて消費者委員会はどのように考えているのでしょうか。

(答) 消費者庁自身が、いつも科学的知見をブラッシュアップしているとは思えないのですけれども、ただ、いろいろな研究機関などもどんどん研究成果を上げていますから、ですから、第三者がそういう科学的知見を明らかにしたということが消費者庁に知られた場合には、それらに対応することになるのだろうと想像しております。

(問) 建議についてはどのように。きちんと対応してくださったとは思っているのですか。

(答) 今日はフォローアップとしての意味もあったのですけれども、建議に対する対応としてはまだ不十分ではないかと思います。こちらからの追加質問で、フォローアップがきちんとなされているかどうかを確認しようとしたのですけれども、少なくとも伺った限りでは、余り答えていただけなかったという印象を持っております。

(問) 今後、どのようにされるのでしょうか。

(答) これは今日の会議を踏まえて、消費者委員会として何らかの意見表明をするなり、再建議の可能性も含めて、また事務局内で相談して、委員会としての意見を取りまとめていきたいと思います。

(問) 本日出された意見なのですが、これは要するに、タクシー運賃の組替えは消費者委員会としてはいいよと。だけれども、やるのならば、こういうことに留意してくださいという内容なのでしょうか。さっと読んだだけではわからなかったのですが、同意されていて、だけれども、こういう条件が必要ですよということで、この条件に対して、消費者委員会として、消費者庁と国交省に対しての交渉ですか、調整を進めることを求めるということですけれども、これの不十分性とか何かはこの後検証するのでしょうか。

(答) 結論から言えば、条件つき承認ですね。

(問) 条件つき承認ということで。

(答) はい。古城座長のお考えも聞いてみないといけませんけれども、専門調査会では、決して事業者コストの厳密な査定が行われていないし、いろいろな意味で、この今回のデータで満足はされていないのではないかと思います。ただ、組替えでやっていくということについて、無条件で認めることは適当ではないけれども、一応、認めた上で、今後丁寧な事後検証とか、あるいは中長距離の利用者に対する対応をきちんとするよう求めているわけでして、そういう意味では、両論併記のように見えますけれども、一応、あれを条件と考えているということで、古城座長よろしいでしょうか。

(答・公共料金等専門調査会古城座長) そうですね。

(問) 要するに、中距離以上の運賃の値上げに伴うことの必要性は、必ずしも明白ではないということでしたので、明白にするまでちょいと回答を待てとかということにならなかったのですか。

(答・公共料金等専門調査会古城座長) そうですと、不承認になりますね。何も言わないでオーケーと言うのだと無条件承認で、条件つきというのは、担当官庁が条件を飲んでくれたということで承認するわけですから、そういう趣旨です。真ん中の扱いで、国交省が条件を飲めないということですと、承認できないということになるということだと思います。

(問) 意見については建議とは違って、相手方の対応とか何かについての期限付きの何かはありましたでしょうか。求めるとか。

(答) 今回は、消費者庁から意見聴取があったのです。ですから、それに対して、消費者庁に対して委員会としてはこういう意見ですということを申し上げた。それを、今度は物価問題に関する関係閣僚会議に消費者庁が自らの責任で出すという仕掛けになります。

今回の条件について、国交省とは一応話合いはできていると考えてよいかと思います。

(答・公共料金等専門調査会古城座長) 先ほど事務局からいただいた石井国交相の記者会見では、この条件を承認するという御発言もあったようです。

(答) そうなのですか。記者会見で。

(答・公共料金等専門調査会古城座長) はい。

(以上)