河上消費者委員会委員長 記者会見

2016年4月12日
消費者委員会

日時

2016年4月12日(火)16:19~17:17

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(河上委員長) よろしくお願いします。

本日の本会議におきまして、専門調査会から、ここにおられる寺本座長にお越しいただいて、報告書の説明をいただきました。その後、引き続いてこれをどう処理するかということで、建議にしようという話になりまして「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の制度・運用見直しについての建議」を取りまとめました。

皆様のお手元に、その建議案と、専門調査会からの報告書が配られているかと思いますので、適宜御参照いただければと思います。

特定保健用食品、いわゆる特保の制度は、制定から20年以上が経過しておりまして、特保の許可を得た製品が1,200品目に達しております。健康に役立つとして国民に広く利用されるようになった一方で、消費者が制度を正しく理解して製品を利用しているかどうか、また、実際の効果に見合わない宣伝や広告が行われているのではないかといった疑義が示されるようになりまして、当委員会としましても、特保の表示許可を審議する委員からも、特保に関して、表示・広告に関する問題だけではなく、その制度あるいはその運用についても問題提起がなされるようになりました。

委員会では、平成25年の1月に「『健康食品』の表示等の在り方に関する建議」を出しまして、消費者庁に対して、特保も含む健康食品の表示・広告の適正化に向けた取組の強化や、健康食品の安全性に関する取組の推進、健康食品の機能性の表示に関する検討、健康食品の特性等に関する消費者の理解の促進等について対応を求めまして、その後の状況について注視してきたわけですが、「いわゆる健康食品」の表示・広告問題は解決しておりませんで、更には、特保においても先ほど申し上げたような疑義が示される状況となっております。

また、平成27年の4月には、御承知のように、機能性表示食品制度が始まりまして、消費者庁への事前の届出によって、企業の責任において、機能性表示を行うことができるようになったという状況のもとで、国民がそれぞれの制度を正しく理解し、適切な製品選択を行うことで問題のある食品が淘汰される。そういう環境を早急に整えることが必要となっているわけです。

特に、特保の制度においては、特保が食生活の改善に寄与し、その摂取により国民の健康の維持増進を図る食品であるべきであるという大原則があるわけでして、この大原則に立ち返って、その存在意義を確認し、さらに、その機能を高める必要があります。

当委員会では、この問題に対して詳細な検討が必要であると判断して、ワーキング・グループでの検討の後、特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会を設置し、寺本座長に座長をお願いしつつ、検討を行ってまいりました。

この専門調査会の報告書では、健康食品全般に対する消費者の知識が不足しているという現状と「いわゆる健康食品」には、依然として消費者が有効性、安全性について過信をしてしまうような表示・広告があるということを明らかにしております。

また「いわゆる健康食品」と比較すれば、明らかに特保のほうが問題は少ないですけれども、特保の中にも一部の表示・広告には、消費者の誤認を招いているのではないかということが示唆されました。

さらに、特保の制度・運用に関しては、機能性表示食品制度の開始によって、同制度との差異が曖昧になっている部分があることや、いわゆる更新制がないという中で、制度制定からもう20年以上が経過して、その間の試験水準の変化や既に許可を受けている製品に当てはめて再評価を行う仕組みがないことや、特保の製品情報の開示不足といったことが指摘されております。

専門調査会の報告書では、特保は、国が有効性、安全性を確認している製品群であって、消費者に「健康増進・食生活の改善」を意識付けする役割を担った、消費者にとって有益な制度であって、行政等がその制度目的である「健康増進・食生活の改善」をより意識し、消費者にとって、特保が更に有益なものとなるよう一層の取組が重要であるという意見が示されております。

また、従前より問題が指摘されている「いわゆる健康食品」、それの表示・広告についても、監視・指導を強化して、有効性、安全性が担保されていない「いわゆる健康食品」が一刻も早く淘汰されるよう、対応し続ける必要があるという意見がまとめられております。この専門調査会で洗い出された問題点を改善するための取組について、具体的に提言をいただいております。

そこで当委員会では、本日の本会議で、消費者担当大臣に対して、この専門調査会報告書に基づいて、お手元の資料として配付されているような形で建議を行い、対応を求めることといたしました。

消費者庁におかれましては、関係省庁との必要な協議を行った上で、建議にある各種施策の実現に向けて前向きに対応いただきたいと考えております。

私からの報告は以上であります。あとは質疑の中でお答えしたいと思います。

質疑応答

(問) この建議の5ページ目の「健康増進法改正に関する検討」のところで、これは特にこの規制を入れることで「いわゆる健康食品」だけではなくて、健康増進法の対象の特保も特別用途食品も当然視野に入れての提言ということでいいのですか。

(答) 5ページのところの2ですね。

(問) そうですね。2の(1)です。

(答) これは特保を視野に入れた形での、一般的な規制の導入の検討をしてくださいということです。

(問) それで、2ページ目のところに、消費者庁に「本年10月までに報告」とあるのですけれども、これは別に全部に掛かっているわけではなくて、この法改正のところも10月までに掛かるのですか。

(答) 読んでいただいておわかりのとおり、この建議は2つのグループに分かれておりまして、直ちに速やかに対応してくれということをお願いしているのが、22項目のうちの13項目です。もう一つが、直ちにというほど強いものではないけれども、できるだけ速やかに検討をしてほしいという形で、ちょっと引いた形で9項目ほど上がっていて、今、御指摘の部分というのは、検討してしかるべき対応を求めているという後半の部分であります。その意味では、こうした形での検討をしてほしいということをお願いしているわけで、もちろんそれ自身について検討はまだ進んでおりませんとか、検討はここまでやりましたという形で御報告をいただけると考えております。

(問) 特保の表示・広告の問題なのですけれども、もう少し具体的に言っていただくと、どういうところが問題で、どういう改善をすべきだということになるのでしょうか。

(答) もし必要でしたら寺本座長に具体例についてもお話をいただければと思いますけれども、効能・効果について、「言い切り型」のこれをすればこうなりますというような広告が結構あるわけです。それは必ずしもそのような期待を負わせることが適切でないようなものについても、そういう表現が目立つということでして、食品の部会の中でも時々話題になったと聞いております。

もしよければ、寺本座長、お願いします。

(答・特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会寺本座長) どうもありがとうございます。

これは一番大きな問題は広告の問題で、例えばキャッチコピーとか、そういったところが主としてあるわけで、今、河上委員長がおっしゃったように、一部のものが誇大になっている。その誇大になっている理由が、例えば関与成分の作用機序を中心にしてキャッチコピーになっているものがあるわけです。具体的なことを言うと、例えば脂肪の吸収を抑えることにより何々というような、最終的な効果が本来は言われるべきものが、作用機序のところに焦点が置かれるということになると、そのことで消費者がどういう認識をするかというと、そのことによって体脂肪が云々ということになるのか、場合によっては全く関係のないものの吸収も抑えることによって健康にいいのではないかと思ってしまうというようなほうに流れていくということで、実際の許可された表示とは異なることを期待している。具体的に、これはそういうアンケートをやっておりますので、そのアンケートの中で浮かび上がっていることでもありますので、その辺のところが大きな問題だと思います。

(問) 専門調査会の意見などを聞いて、また、議事録を読み返して、確かに改めて見直してみると、そういうキャッチコピーは多いなと気付いたのですけれども、ああいったものは、今は認められているからあると思うのですが、ああいうものもなくしていくべきだというお考えなのでしょうか。

(答) 不適切なキャッチコピーは、積極的に認められているというより、好ましくないねという評価を受けながら存在していることは事実であります。それによって、消費者が例えばそれさえ飲んでいればどんなに食べても脂肪が付かないのだと誤認してしまうといった事態があるとすれば、それは非常に困ったことでありまして、その書きぶりいかんによっては、誤認が、せっかくの健康増進のための食品としての機能を果たせない方向に流れてしまうということになるのだろうと思うのです。

(問) ありがとうございます。

(問) 検討会の中で、消費者庁にもヒアリングをしながら検討されたと思うのですが、この点は消費者庁も前向きに考えていたとかという論点というものはあるのでしょうか。聞いていても、法改正とかは結構後ろ向きな気がしたのですけれども、実際にその建議を出す中で、ここはいけそうだなというところはあるのでしょうか。

(答) 速やかに対応してくださいと書いている部分については、やってくれるのではないかと期待しております。ただ、検討をしてくださいとワンランク下げた部分に関しては、消費者庁としてなかなか踏み切れないというか、難しいと考えている部分が結構あるのだろうと思います。ですから、例えば健康増進法の改正検討ということになった場合には、どこまでそれの検討が進むかということは、今のところは見えてこない。しかし、専門調査会では、余り後ろ向きな議論はしないで、できるだけ今の特保制度をよくしていくという観点から議論をしたわけなので、消費者庁には大いに頑張ってほしいと思います。

(問) すみません。冒頭出られなくて、そうすると、1の「早急な対応を求める事項は」というところはレベルが高いというか、これはしっかりやってほしいというところで「早急な検討」というのは、できる限りというワンランク下げるということですか。

(答) せめて検討はしてくださいと。

(問) わかりました。

(問) 先ほどの件なのですけれども、キャッチとかその辺のことなのですが、キャッチそのものとか、言い切り型の表現そのものをだめだとは言っていないということになるのですか。それによる消費者の誤認を与える、どこで判断するかわからないですけれども、そこがだめだと言っていることになるのですか。

(答) これは一番、専門調査会の中でも微妙な議論になったところなので、寺本座長に言える範囲でお願いします。

(答・特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会寺本座長) そこはかなり議論になりまして、キャッチはキャッチで、ある程度あってもいいのですけれども、それしか表に出てこないというか、基本的な本来の許可表現、それはもちろんこういった製品のどこかには書いてあるわけですけれども、それが実際にはなかなか表に出てこなくて、現実にはそういうものを消費者が見ないで買っている場合があるということがあるので、その辺の置き方、書き方、そういったものもある程度きちんと整備していく必要があるだろうと。

先ほども早急に検討していただきたいというのは、その書き方の問題で、特保というのは、あくまでも国民の健康、国民の食生活といったものを改善していくことが目的なので、それを明確にしていくのが特保なのですというような大原則です。そういったことをそういった広告ないしは、いわゆるこういった表示といったところにもしてほしいというのが大きな皆さんの意見だと思います。

(問) 特保に関しては、パッケージそのものも全部審査の対象になっておりますので、そうすると、その辺の許可文言とか食生活のバランスとか、その辺の文言をもう少し大きく書くようにとか、審査の段階で言えるかと思うのです。ですから、その辺で消費者が取ったときの見た感じでイメージされるものとか、そういうものも微妙に変えられるのではないかと思われるのですけれども、あえて消費者庁にそういう対応を求めるというのは、審査の過程でもう既にそういうものがあるので、必要ないのではないかと思うのですが。

(答) この辺は、阿久澤先生、どうですか。

(答・阿久澤委員) 審査の過程で、それはどうにでもできるのではないかという趣旨の御質問ということですね。

同じ関与成分で既に出ているものもありますし、また、そういったものとの関連もあるでしょうし、そして、今回の1の(1)で、今、御指摘の内容についても、これについては国の定めた定型文と並列して表示しなければならないという一定のルールを設けることを検討することとしておりますので、問題意識を持っておりますので、そういったことをぜひ消費者庁と検討していただければと思っております。

(問) もう1点だけ、健康増進法の31条のところですけれども、「著しく」の具体例を挙げる一方で「著しく」そのものをなくせということも書いてあるのですが、これは先行きそういうものもなくす検討となっていますが、とりあえずは具体例を挙げて、ガイドラインなどを改定して、先行きは「著しく」そのもの、「著しく」というのは広告の程度のところなので、これをなくすと、グレーと言うとあれですけれども、果たして広告がどこまで許されるのかなという議論にもなるかと思うのですが、この辺については、将来的には「著しく」という文言を外すという方向で対応を求めているということになるのですか。

(答) そういうことですね。健康増進法で勧告するというのは、これはある種の行政指導が行われるわけでして、景品表示法での行政処分とは異なります。ですから、その意味では処分というほど強いものではないわけでありますけれども、ただ、この「著しい」という文言があるがために、「それほど著しくはないではないか」という反論が常に可能になってしまって、せっかく適正基準でもっての表現というものが委員会の中で議論されていても、その適正基準が生かされないわけです。結果として、ある意味では非常に甘い形でそこがパスしてしまう危険があるわけでして、もちろん事業者の方にとってみると、予見可能性が高まるに越したことはないので、その辺のガイドラインはしっかり出してくださいということも併せて書いておりますけれども、全体として、特保商品に関しては、その表示が適正な形で非常に厳格に行われているという信用を高めるということのほうが大事だという認識であろうと理解しております。

資料を御覧になっていただくと、この中にアンケート調査の結果がございまして、そのアンケート調査で、消費者がどのようなものに着目しながら特保商品を買っているかというところについての記述がありますけれども、御覧になったらわかりますが、消費者は本当に大きな字しか見ていないのです。その意味では、想定している以上に、つまり専門調査会がこれも書いてくれればいいかと思っているけれども、小さいところは読まないのです。ですから、もっとバランスのとれた形で表示をしていただきたい。「併記」という言葉はそういうことですが、本来の法の趣旨に沿った表現と、キャッチコピーも構いませんけれども、そういうものとを合わせて、誤認を避けるような表現を厳格にやっていただきたい。そこは事業者の自律的な行動かとは思いますけれども、できるだけ消費者庁もガイドラインなどでその点は明確にすることで、予見可能性を高めたいということであります。

(答・特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会寺本座長) これは先ほど河上委員長がおっしゃったように、あくまでも特保というのは、かなり国のお墨付きというと変ですけれども、専門性の高い方たちで集まって、非常にこれはいいものだということで認められた製品なので、これを守りたいというのは根本に、この議論の中ではございました。

守るためには、きちんと目的に合った形の使い方をしてほしいということなのですけれども、場合によってはキャッチとか、そういったものを中心にして動いてしまう。そうすると、今、河上委員長がおっしゃったように、大きな文字と小さな文字と、割に強い語調と弱い語調、定型文とでは違ったイメージを受けるということがあるので、その辺のきちんとしたルールを作っていただいて、ルールに従って表示をしていただくというものが基本的には必要になるのかなと。そのときに、一番の基本は食生活をきちんと守っていただきたいということがあるということを書いた上で、併記というのはそういうことになると思いますけれども、そういった上で製品を表示していただきたいということになるのではないかと思っております。

(答) よろしいですか。

(問) はい。

(問) 今の質問の点に関わるのですけれども、新しいルールを作って、それに従って表示・広告をとおっしゃられたのですが、そうなりますと、今、認可されている既に販売されているものにもさかのぼってそのルールが及ぶということは、今まで一個一個パッケージなどを認可していらっしゃいますけれども、これもさかのぼってということになるのでしょうか。その規制の在り方として、今後これから認可されるものなのか、どういうルールの及び方がするのか、アイデアというか、お考えをお聞かせください。

(答) 基本的に遡及効はないということだろうと思います。さかのぼって規制を考えるということは難しい。ですから、これからのものに対しての規範となるわけですけれども、しかし、そのことは今、あるものを放置してよいというわけではないわけでして、業界の中で、自らこの基準等を見ながら律していただくということで、結果として「いわゆる健康食品」でのいかがわしげな広告を市場から淘汰する。そして、特保である以上は、そこに書いてあることは信頼に足りるというような信頼感を全体として醸成していただく。このような取組は特保商品として持っている業界にとってもプラスになることだろうと思います。

ですから、そこの部分について全く手付かずでよいという話ではなくて、むしろ業界に対しては、自らを厳しく律する広告の在り方について考えていただくきっかけになればありがたいと思います。

(問) わかりました。

ただ、機能性表示食品という制度があるとすると、特保に対して信頼に至る表示をしていただきたいという委員長のお考えはよく理解したつもりで質問するのですが、そうすると、企業の判断で表示内容も全て決められるほうへ企業が流れていってしまうという反応も予想されるのですけれども、この辺りのことについて、全体のバランスとしてはどう見ていらっしゃるのでしょうか。

(答) 今回は差し当たって機能性表示食品制度が導入され、特保をもう一度見直すいい機会だということで、特保の部分に集中して議論をしていただいたわけですけれども、同時に機能性表示食品についても問題がないわけではなくて、少しずつ課題も浮き彫りになってきております。これらの機能性表示食品についても将来的には議論をすることを考えております。丁度1年たちますので、幾つかケースが積み重なってきておりまして、消費者庁の中でも機能性表示食品に関して、このような問題がありそうだということのめどがつき始めている段階のようですので、ある段階で、消費者委員会でも更に機能性表示食品についてもあるべき姿というものを考えてみたいと思っております。

その意味では、機能性表示食品も特保も、表示制度が目指しているところというのはそんなに大きく変わらないと思いますので、いずれも遜色ない程度に適正さを競っていただきたいとは思っております。

(問) 確認なのですけれども「条件付き特保」についてはとても消極的に考えていらっしゃると理解していいですかということと、更新制なのですけれども、これは消費者委員会が6年前か、更新制については、何か専門調査会があるときにも、更新制についてはいろいろ提案されてはきたのですが、今回更新制は、更新制の代替制度みたいな形で書かれている記述がありますけれども、つまり、更新制そのものは導入というものは求めていかないのでしょうか。

もう一つが、事故情報の報告なのですけれども、特保に関わる事故の情報について、健康被害情報、それとは違うものをシステムとして導入するというものはどこかで書いてあるような気がしますけれども、直接情報の一元的な収集とかということは余り考えていらっしゃらないのかということです。

(答) 「条件付き特保」については、これも寺本先生からお願いできますか。

(答・寺本座長) 「条件付き特保」については、もともと少し曖昧になっているわけです。今度、特にこの機能性表示食品というものが生まれて以来、そことの線引きが非常に難しくなったということで、特保としてどうすべきかというのは、これから検討課題として残していったほうがいいだろうと。むしろこれについては、今回は十分な検討はできないということになったので、引いたような形になっているというのはそういう意味だろうと考えております。

(答) もう一つ、更新制ですけれども、これは私も専門調査会でも発言したときに、更新制ぐらいはもうそろそろ入れないとだめではないかということを申し上げました。ただ、例の規制緩和との関係で、一度は入った更新制を廃止したという経緯のある制度でして、これを現時点で復活させるのは、法制度的には難しい面もある、かなりハードルの高い要請になります。

それを考えると、あえて更新制について検討しろと申し上げるよりは、更新制の代替として、せっかくある再審査制、これが一度も使われたことがないという現状のほうが問題で、この再審査制の部分をきちんと機能させることによって、かなりのところまで問題のある製品に関しては、チェックが働くのではないかというわけです。ですから、専門調査会での意見対立があった中で、ぎりぎりのところで、座長にいい線でおさめていただいたと私は考えております。この再審査制がうまくいかないのであれば、やはり更新制までいかないといけないという議論になる可能性はあると思います。

被害情報はどうしましょうか。

(問) 直接には、ここに書かれてあるとおりということですね。

(答) そういうことですね。

(問) 今、おっしゃった再審査制のあれも、前々から言われてきたことかと思います。そうなると、食品安全委員会とか厚生労働省というところにも関係してくると思うのですけれども、つまり、これは消費者庁に対しての建議と考えて、厚生労働大臣というところまでは行っていないですね。

(答) 名宛て人は消費者庁にしてあります。むしろ、今度のいろいろな省庁での役割の見直しで、総合調整機能が消費者庁に移りました。この特保制度に関しては、消費者庁がいわば司令塔になって、それぞれの省庁との間できちんとやり取りをしてしっかり調整機能を果たしてもらいたいということで、まずは消費者庁を名宛て人にしております。どのくらいまでやっていただけるかというのをフォローアップの際に状況を見て、次の手を考えたいと思っております。

(問) もう1問どうしてもというのが1つありまして、2ページの6のところに「専門調査会報告書での現状確認によれば、健康食品全般に対する消費者の知識が不足している現状と」と書いてあって「いわゆる健康食品」は消費者が過信する表示があると。それで、先ほどの御質問にあったと思いますけれども、要するに、消費者の知識が不足していると考えるのか、それとも機能性表示との関連の中で製薬メーカー二十何社が集まった団体がアンケート調査をしたときに、機能性表示食品を食べているかということの回答の中に、消費者は特保を回答している、つまり、特保と機能性表示食品との混同があると。機能性表示が1周年を迎える中でアンケートされたと聞いておりますけれども、つまり、消費者の知識が不足しているのか、それとも制度的に機能性と特保を理解するのが本当はとても難しいのか、どう理解していいのか。消費者委員会の御判断としては消費者の知識不足と書いてあるわけですけれども、そこはそう捉えていいのですか。

(答) 両方あるのだろうと思うのです。もちろん制度としてわかりにくくなっているとすれば、その点についての説明が不十分であるということですから、消費者教育案を通じて、食育もそうですけれども、消費者自身が勉強できる機会というか、よくわかりやすい形での情報提供が必要である。これは報告書の中でも強調されているところであります。その結果として、消費者自身が十分な理解が進んでいない現状があるということと、これはどちらが先というよりも、両方それぞれ存在している現状だろうと思います。

(以上)