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松本消費者委員会委員長 記者会見

2011年3月11日
消費者委員会

日時

2011年3月11日(金)17:00~17:29

場所

消費者庁6階記者会見室

冒頭発言

 地震の影響もございまして、皆さん、取材に飛び回っておられることかと思います。大変少ない人数ですけれども、予定どおり記者会見を行いたいと思います。
 本日の「消費者委員会」におきまして、一つは、公益通報者保護制度の見直しについての消費者委員会としての意見を採択いたしました。専門調査会の報告書を受けて消費者委員会としての意見ということでございますので、専門調査会が指摘しております事項について、消費者庁としてしっかり受けとめて、調査をもっと充実してやっていただきたいということが中心でございます。
 その中で、とりわけさまざまな紛争の実態の調査、労働相談窓口、労働委員会、裁判所、弁護士会といった紛争が持ち込まれるところ、あるいは、実際に問題を掲げてそういう相談窓口、裁判所等に足を運んだ当事者のヒアリング等も含めて、実態をきちんと把握していただきたいということを一番中心にしております。
 もう1点は、公益通報者保護法ができて5年、最初の2、3年はかなり積極的に啓発活動が行われた。あるいは、産業界等で意識が高まったことから、企業内部のさまざまなルールの見直しとか、ヘルプライン等の整備が行われたということはございますけれども、その後、政府としての積極的な啓発が少し止まったということもあって、周知が進んでいないところもあります。単に啓発をしていないから周知が進んでいないのか、そんな単純な話なのかどうかというところも含めて、調査をしていただきたいということです。
 ただ、消費者委員会として、公益通報者保護法のねらいが企業としてのコンプライアンスをきちんと実現していただくことにあるという観点から見れば、コンプライアンスの促進・維持を公益通報者保護制度だけで担うのは少し負担が大き過ぎると考えております。他の現在ある制度との組み合わせ、あるいは、現在ないけれども新たに導入すべき制度等も考えた上で、公益通報者保護としてはどこまでをカバーするのが適切なのか、そのために改正が必要なのかどうかを議論する必要があるだろう、ということを最後に指摘しております。
 この調査につきまして、いついつまでにということは区切ってはおりませんが、「消費者基本計画の検証・評価・監視」という流れの中で、随時、進行状況等についてお尋ねしていきたいと考えております。それが第1点です。
 第2点といたしまして、本日の閣議で幾つかの法案が決定されております。その中に、消費者委員会が建議や提言で取り上げた課題に応えていただいた部分がございます。
 一つは、金融庁が出しております法案の中に、昨年の4月に消費者委員会が提言いたしました、無登録業者による未公開株の販売による被害に対して、もう少し被害を救済しやすくする。あるいは、予防効果を発揮させるような手を打っていただきたいということに応えていただく内容が含まれているということで、無登録業者による未公開株の売買契約は無効とするという内容が入りました。
 これによって民事レベルにおける被害救済がしやすくなるし、更に、無効なのだからお金を返してもらえる権利があるということで、悪質事業者の資産を早い段階で仮差押ができるという状況になります。更に刑事罰も強化されるようでありまして、無登録業者による広告・勧誘だけで1年以下の懲役、100万円以下の罰金とする。更に、実際に取引をした場合には、現在3年以下の懲役であるのを5年以下の懲役に引き上げるということですから、3年を超える懲役になると執行猶予がつかないので、抑止力がかなり上がるということです。
 それから、今回、法人の両罰規定が入りまして、法人については5億円以下の罰金というかなり大きな罰金額が設定されております。これが一つです。
 もう一つは、昨年の暮れでしたが、有料老人ホームについて消費者委員会として建議をいたしました。その建議の中の1つの項目に、「90日ルール」という、有料老人ホームの契約をした日から90日以内に何らかの事情で退去した場合には、いったん納めた入居一時金については、実費分を除いては返してもらえる。これは従来、行政指導的に行われていたわけですが、今回、法律にはっきりとそれを書き込むことになった点で、消費者委員会の建議が実現に移されたということになります。
 我々は、いろいろな問題について取り上げて建議や提言を重ねてきておりますが、こういう形で実現していく例が増えていることについて、喜びたいと思っております。
 以上です。

質疑応答

(問) この意見の名宛人は、消費者庁の長官に今日、意見を言ったということになるのでしょうか。

(答) 意見の名宛人というのは余り深く考えていなかったのですが、消費者庁に対して更に調査を求めるということですから、消費者庁がまず第一義的な名宛人ということになると思います。

(問) いついつまでにと区切っていないというお話でしたけれども、ただ、何か月あるいは何年とか、そのスケジュール感はどういう感じになるのでしょうか。

(答) 何年というものではないと思います。半年とか1年あれば十分できるのではないかと思いますが、消費者庁自身のスタッフが大変不足しているという現状があります。消費者庁はいろいろなところで人が足りないという状況があるので、この調査のためにどれぐらい人を割いてもらえるか等は今すぐわかりませんので、その辺は消費者庁に判断を委ねるということです。あるいは、外部に委託調査に出すということも考えられるかもしれません。

(問) 半年とか1年あれば十分できると思う、というお話で承っていいわけですか。

(答) どこまでの深さでやるかということがポイントになるとは思いますが、1年もあれば普通この種の調査であれば、十分だろうと思います。ただ、それに基づいてどういうふうに現行制度を直していくかという議論に入ると、どれぐらいかかるかというのはちょっとわかりませんが、調査だけであればそんなにかからないだろうと思います。

(問) 附則2条の5年後見直しで、例えば法の改正を言うのかどうかというのを注目していたのですけれども、それについては言わないということですね。

(答) はい。つまり、この法律が非常に効果があるというデータもなければ、全く無意味だというデータもないわけなので、そういう意味で変えるべきだとも変えるべきでないとも、積極的な評価ができる状態にはないというのが専門調査会の認識だったと思います。消費者委員会としても基本的にその認識です。

(問) 委員長としてこの法律の制定にもいろいろとかかわられたわけで、率直なところ、施行されて5年を振り返って、どういう御感想をお持ちでしょうか。

(答) 私は、全く無意味だったとは思っていません。一定の効果があったと思っています。消費者庁・消費者委員会が発足するきっかけの一つが偽装表示問題だったわけですが、偽装表示問題のかなりの部分が内部告発として外に出てきたと言われています。2007年ころ、食品を中心とした偽装表示が日本でいっぱい報道されて、年末の「今年の漢字」が偽装の「偽」だというふうになった年があるわけですけれども、その1年前に公益通報者保護法が施行されております。制定は施行のさらに2年前で、なぜその年に急に偽装表示の報道が増えたのか。その年に、偽装表示が急に増えたはずはないわけです。以前からいっぱいあったはずだけれども、ある時期、報道が増えたということは、偽装表示の実態が外に出るようになったということです。公益通報者保護法というものができて、内部告発をマイナスイメージのみで見ていた時代から、必ずしもそうではないんだということを、国家の意思で示したことは意義があったのだろうと思っています。
 そして、それに応えて企業も一定の対応をある時期はしようとした。それが形だけの仕組みになっていたかもしれないという辺りは、企業の経営陣として点検していただきたいと思います。仕組みをつくったのはいいけれども、それがうまく機能しているのか等について絶えず点検して見直しをしていかなければならないということを、企業トップが常時意識しながら、コンプライアンス全体を動かしていくことが必要だろうと思います。
 そういう意味で啓発をし続けるというのは必要だと思いますが、同じレベルの啓発を続けていることは、受ける側としてはだんだん感受性が鈍ってきて、「ああ、いつものことだ」ということになりますから、その辺りは少し工夫をする必要があると思います。

(問) 先ほど採択されたばかりなので、質問としては早過ぎるかもしれませんけれども、消費者庁から、この意見に対する返答といいますか、承りましたという反応といいますか、どうするという反応は聞いておられますでしょうか。

(答) まだ、全くどういう反応があるかわかりませんが、消費者庁としても、万全のデータを出して審議していただいたというほどではないということは、専門調査会の審議の中から意識はされていると思います。もし、もう少し調査をして何かが出てくれば、それに基づいてまた議論を行うことになると思いますし、調査をしても決定的なデータが出てこないということであれば、しばらく見直しは置いておくということになるのだろうと思います。

(問) 何かが出てくればまた議論するというのは、消費者委員会に専門調査会のようなものをつくって、また議論をすることもあり得るという意味ですか。

(答) そうですね。消費者基本計画を毎年見直すことになっておりますから、そこで消費者庁として、この問題についてもう少し続けて調査をして、調査結果に基づいて委員会で審議してもらうというような趣旨が基本計画に入れば、それで行くことになると思います。
 あるいは、消費者庁が自分たちで考えた上で、こういう形で見直しをしようということについて、委員会としての意見を聞きたいという形で出してくるかもしれないです。その辺はいろいろなやり方があると思います。

(以上)

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