中村消費者委員会委員長代理 記者会見

2010年5月26日
消費者委員会

日時

2010年5月26日(水)16:00~16:35

場所

消費者庁記者会見室

冒頭発言

 それでは、皆様、お忙しいところ御苦労様です。
 消費者委員会の委員長代理の中村雅人です。今日は松本委員長は所用により、私が代わりに会見をいたします。私の方は、消費者委員会の中でもリコール問題を含む消費者安全の分野を担当しておる関係もございますので、今回、この席に臨ませていただきました。
 本日の発表は、消費者委員会として初めて公文書による資料要求、これは消費者庁及び消費者委員会設置法の第8条、それから、関連条文で第6条というものがありまして、消費者委員会は、建議をしたり、いろいろ提言をするに際して、関係省庁から資料の要求や説明を求めることができるという条文がございます。これに基づいて、今までは例えば金融庁に未公開株の問題などでヒアリングをして説明を求めた。その際に資料を持ってこられることがありましたけれども、今度は委員長名で正式に国交省に対して資料要求を出すということで、そういう形を取るのは今回が消費者委員会始まって8か月で初めてでございます。
 今回、なぜ、このような資料要求をすることになったかといいますと、自動車リコールに関して、昨年の秋ごろからアメリカでトヨタの問題始め、いろいろ日本のリコールの在り方について問題指摘がありまして、我が国のリコールの在り方について、改めて消費者目線で制度の見直しが必要ではないかという声が上がっております。
 実は、平成19年、平成20年に国交省も現在のリコール制度についての検討会をして、報告書をまとめておりまして、その中でも幾つかの改善の視点は提言されておりますけれども、私どもが今回やろうとするのは、今までの所管庁の国交省の見直しではなくて、消費者委員会として、この日本の自動車リコール制度を見直していこう。そして、できれば何らかの提言ができるのではないか。その提言する前に、今回、資料要求をして、リコールの現状がどうなっているのかという辺りを調査しようとするものでございます。今日記者会見をさせていただいたので、間もなく、この通知を出して動き出すという予定でおります。
 それから、製品安全に関しては消費者庁自身も所管庁ではありますので、細かい資料をいっぱいというものは消費者庁に対しては余りないんですけれども、事故情報を収集し、消費者の被害防止のために役立てようとしている消費者庁の内部の資料についても、あるものについては要求しようという、この2つの役所に対して消費者委員会から資料要求をするものであります。
 スケジュール的に、多分、質問が出るんだろうと思うんですが、私どもとしてはできるだけ短期間に調査を遂げて、今年8月の概算要求に間に合うように制度改善をするのであれば、そこに間に合うような何らかの意見のとりまとめをしたいと考えて進めていく予定にしております。

質疑応答

(問) このリコールは、平成19年、平成20年に国交省の報告書が出されて、提案があるということなんですけれども、今回、トヨタのリコールなどを踏まえて、消費者委員会でリコールの調査をされるということだと思うんですが、これまでの報告書の足りない点とか、そういう問題意識というものは何かあるんでしょうか。

(答) 大ざっぱに言いますと、制度そのものもやはり、今まで自動車とか運輸部門を所管していた省庁の側から、言い換えますと、産業界を保護・育成しなければならない立場も併せ持ったところが、このリコールをやってきたわけですが、その所管庁の立場からの見直しの範囲を超えて、私どもはやはり消費者目線で、今の日本の制度はどうかというところを見直すという意見はかなり、総論的に言いますと、大きな違いであろうと考えております。

(問) 総論的には非常によくわかって、消費者庁や消費者委員会の存在そのものが総論の下にやられていると思うんですが、もう少し具体的な点をお聞きしたいんです。

(答) 調査をしてみて初めてわかることも多分、たくさんあると思うんですが、幾つかねらいといいますか、そういうポイントとして、やはり今回、アメリカの例と比べるとおわかりのとおり、危険な状態が生じたらすぐアナウンスするアメリカと、そうでない、なかなか消費者に対するアナウンスそのものが遅い日本という違いは、今回のトヨタのアメリカとの比較で見えてきていると思います。
 それを機会に、私どもも業界の関係者、それから、国交省もお呼びして、実は既にヒアリングを消費者委員会としてやっておりまして、そういう中で幾つか見えてくる問題点が、感じているところが実際にそうなんだというところをこれから資料要求して、確信にしていこうかということで準備に入るわけです。

(問) その感じている点というものを、ほかに幾つか挙げていただけますか。

(答) 本当に資料を見てずばりというところでないと、なかなか今の段階で明確には言いにくいんですけれども、やはり、まず情報の集め方がこれでいいのかという問題と、それから、その集まった情報をてきぱきと分析して、リコール届け出にこぎつけているのか。少し時間がかかっているのではないかとか、いろいろ消費者目線から見ると今の集め方がどうかとか、公表までの時間がかかり過ぎているのではないかとか、一般的にそういう懸念はかなり持っておりますので、そういう辺りも含めて調べていこうと考えております。
 ですから、今回は国交省に公文書で資料要求するわけですが、当然、メーカーサイドというところに対してのヒアリング等々、アンケート等も予定しておりまして、いろんな方面から多角的に見ていかないと、日本の制度全体の問題はなかなか浮かび上がってこないと思っております。

(問) あと2点なんですが、今回、法に基づいて初めてやるということで、今までのヒアリングと違う手法を取られるという理由ももう少し詳しくお願いします。

(答) 前原国交大臣が今年の2月初めごろでしたか、リコール制度の見直しについて少し触れておられるんですが、どうも、そのニュアンスが、現状の制度の運用の改善といいますか、運用の見直し程度のニュアンスにしか響いてきません。それから、消費者基本計画というものを3月末に閣議決定いたしましたが、その中の8番目で国交省が言っている、自動車リコール制度に触れているところも、言ってみれば、なかなかリコール制度そのものの見直しというところまで踏み込んでいなくて、情報提供をできるだけ行うとか、技術的な検証を行うとか、情報収集に努めるとか、そういうような書きぶりでして、これで制度全体の見直しまで届くんだろうかという懸念がありますので、そこまで届かせるのはやはり消費者委員会かなと考えております。

(問) 最後に、この調査をする体制といいますか、何かこういうグループをつくったりするのか。どういう感じでやられるのかをお願いします。

(答) 消費者委員会は事務局が23名しかおりませんけれども、今日、ここに来ておりますが、全部で5人のチームをつくっておりまして、そのチームで集中的にやろうというふうに考えております。

(問) 配布資料の左側の「●調査項目」で「4 自動車のリコール等の改善措置の実施状況」とあるんですが、これは、今、触れられた、国交省がこれまでやってきたこととか、あるいは前原大臣指示でやるか、やらないかというのをちゃんとやっているかというものも点検するということですか。

(答) それはどのみち、消費者基本計画の中で国交省が言っている、そういう制度の運営の見直しみたいなところは、また別個に、我々は今、消費者基本計画に対する、消費者委員会としての検証・評価・監視をやろうというので、今週の金曜日が第1回で、これからずっと6月中に、このリコールの調査の作業とは別に、消費者基本計画の検証・評価の中で勿論、やる部分もございます。そういうところで今までの、国交省がやっていることはどうなんだとか、今度の概算要求までに何をしようとしているのかとか、そういうところは検証・評価の中でやっていく予定です。

(問) あと、設置法に基づく初の資料要求ということですが、その調査結果によっては設置法に基づく総理大臣への建議ということもあり得るというお考えなんでしょうか。

(答) 勿論、可能性はあると思います。今の段階でどこまでまとめるのか、まだわかりませんけれども、場合によったら、そういう建議ということも射程に入れて取り組もうとしております。

(問) 少し確認なんですが、言葉としては、これは調査をして、審議をして、建議をするという流れになるわけですね。

(答) 建議まで行くかどうかは、調査の結果によります。

(問) 建議するかどうかは、調査したからといって建議しなければいけないというわけではないんですね。

(答) そうです。

(問) わかりました。
 あと、具体的なことで、国交省の情報収集の在り方についてですけれども、理想とする、こうなってほしいと思う姿としては、消費者から、例えばメーカー経由ではなくて、直接相談などがあった車についても、メーカーがまだリコールを出さない段階でも、もっと早い段階で類似事故があるかもしれないから、注意喚起をするようなシステムができたらいいのではないか。PIO-NETにも載せようではないかという具体的なことはお考えでしょうか。

(答) まだ、そこまで確定的にこうしろというのは今の段階で言いにくいんですが、今のリコール制度は御存じのとおり、メーカーからの申告を前提にしております。それでうまくいかなかったものが三菱のリコール隠しの事件だったわけで、それを機会に一つ制度的に踏み込んだものが、今、国交省がやっている自動車不具合情報ホットラインというもので、ユーザーからの申し出をそのままホームページ上にアップするというものをやって、そこでクロスチェックをすることによってリコール隠しがないかどうかも見ているというシステムをようやく導入したんですが、あの制度そのものは私は一定の評価はしているんですけれども、果たしてそこに迅速に、てきぱきと本当に集まるべきものが全部集まっているかといいますと、どうなんだろう。今回、そういうところも調査しようと思っています。

(問) できることなら、PIO-NETとリンクさせたいというようなお考えでしょうか。

(答) そうですね。情報の一元化というものはこの分野だけではなくて、いろんな分野で大変大きな課題でして、消費者委員会の消費者安全専門調査会というところでも、今、一番のテーマになっているものが、そういう情報の一元化といいますか、いろんな部署にぽつぽつとある情報をどうやって一元的に集めて、施策とか被害防止に役立てるか。やはり、それは本当に大きな課題だと思いますから、車だけではなくて、全体に言えることであると思います。

(問) 確認なんですけれども、以前の委員長会見では、大分、提言ということを考えているかと思ったんですが、今、建議も射程に入れているということなんですけれども、あくまで現時点で念頭に置いているのは提言で、もしかしたら建議もあるぐらいという、そんなイメージなんでしょうか。

(答) そこはまだ確定しておりません。内部での議論でも、別にまだ固めておりません。
前回、未公開株のことをやったときも御質問が記者からあったようで、提言ではなくて、なぜ建議ではないかという御質問があったんですが、その辺は前回の経験を踏まえて、今、議論しておりますけれども、今回、どういう形にするか、今のところ、まだ決めているわけではありません。

(問) その辺、どういうものが資料として得られて、結果が出たら建議にする。どういう場合に提言にするとか、その辺はどういうところで判断が分かれるんですか。

(答) それもまだ明確に決めているわけではないんです。ですから、前回の未公開株のときも建議でよかったのではないかという意見は勿論ございますので、そこら辺を踏まえて、今、内部で議論をして、これから整理をしようとしているところです。

(問) それと、今回の資料要求ですけれども、これはどの法律の何条何項に基づくんですか。

(答) 消費者庁及び消費者委員会設置法の第8条という条文があります。この条文は「委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、報告を求めることができるほか、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる」。こういう条文があるわけです。

(問) 普段の消費者委員会でも各省庁が資料を作成して報告されていますけれども、そういった通常の委員会と違って、今回、この8条に基づく資料要求したというのは、これまでの委員会で開催して、そこに資料を持ってきてもらうのとは違う、より資料を得ようとしているからなんですか。

(答) はい。多分、相当な分量があると思います。今まで、各省庁に委員会に説明に来ていただいて持ってこられるのは、2時間の委員会のうちの3分の1とか2分の1の時間を取って、そこで説明・質問・回答できる範囲の資料で、数枚とか十数枚程度のものが来ておりましたが、今回、我々が要求するのは、先ほど言いましたように、国交省に集まってくる情報、それから、検討しておられる書類というものを含めたデータを提出要求するつもりでおりますので、これは分量も全然違うと思います。

(問) それで、そうした委員会の要求に対して、国交省が非開示あるいは要求を拒否することはできるんですか。

(答) これは一応、法律上、我々が要求する権限を与えられているということですから、これに対して、こういう場合は開示しないことができるという条文は特にないんですけれども、国交省の側が何か別の理由を付けて非開示にされるかどうかはまだわかりません。

(問) 関連してですけれども、これまでも既にヒアリングをしてきておられるということで、今、任意で資料要求したり、ヒアリングをしてきた。それで、それをそのまま継続するわけではなくて、法律に基づいて出させるというふうになった大きな理由は何ですか。

(答) やはり我々として制度改善を、もし見直しといいますか、消費者目線で見るには、原資料に当たってやりたい。要するに、今まで関係省庁側の説明ですとなかなか出てこない。はっきり言いますと、例えば国交省に消費者委員会に来てもらって説明いただいたんですが、必ずしも我々が知りたいことを全部おっしゃっていないんです。それで、我々はほかの方面からの情報で、こういうこともやはり国交省はきちっと出したり、説明すべきではないかと思っていることは幾つもありますので、そういうところを含めて、今回はずばり原資料の提出を求めている。やはり、担当省庁にプレゼンテーションをさせると、その場をうまくごまかすと言ってはあれなんですが、繕われるので、なかなかうまく突っ込めないところがございますので、今回は原資料を出させようということです。

(問) 逆に言いますと、今までのヒアリングでは向こうが十分に情報開示をしてこなかったということですか。

(答) 短い時間ですからしようがないのかもしれませんけれども、やはり消費者目線で見たときに、問題点を浮かび上がらせてくれるような説明では必ずしもない。所管庁として、今までの自分たちが所管している制度をそのままストレートに説明されるというのがやはり多いので、担当している者が自分から、ここが問題ですというのはなかなか言いにくいんだと思います。

(問) 今日の会見は資料要求するということなんですけれども、自動車リコールに関する調査を始めたのはいつからというふうに言われるんですか。何月から始めたとか。

(答) 調査を始めたのは今年になってからです。去年の12月に1度、我々がリコール問題に目をつけて、一度、消費者庁を呼んでおりまして、そのときは、アメリカであれだけトヨタ車が言われているのに、日本の行政も、それから、日本のメーカーもホームページに一切、日本の消費者に対するアナウンスがなかったんです。そういう状態が昨年の秋口から暮れまで続きましたので、日本の消費者に対してもっとメッセージを出さなければおかしいではないかということで消費者庁に来ていただいて、そういう意見を私たちは申し上げました。
 そうしたら、12月1日でしたか、消費者庁の方で国民向けのアナウンスを出されて、フロアマットの外れているものがあったらちゃんととめなさいとか、純正品を使ってくださいとか、そんなような程度のアナウンスを1度鳴らされました。その後、追いかけるように国交省が似たような情報を再度、また国民向きに流したということがありまして、それが私ども消費者委員会がリコール問題に手を染めたスタートであったと思います。
 その後、それでは、引き続きやろうかということで、たしか年明けであったと思いますけれども、国交省を1度お呼びし、それから、業界内部のことをいろいろ知っておられる方をお呼びして、ヒアリングをしております。

(問) 1月でいいですか。

(答) 2月22日です。
 これは、調査の実施というより、今回の調査をするための情報収集というのが正確だろうと思います。

(問) それでは、調査を始めるのは今からですか。

(答) はい。本格的な調査は今からです。

(問) 済みません、もう少し具体的にわかればと思うんですけれども、具体的にどういう資料を求めていくのかなんですが、言い方を変えますと、これまでも国交省の担当者からのヒアリングでは出てこなかったけれども、こういう資料があるはずだろうと思っているのだと思うんですが、単に件数とかそんなものを今更出してきたところで制度改善につながるとは思えないんですけれども、もう少し、どういうような資料を出してもらっていないと考えているのかをお願いします。

(答) さっきも言いましたけれども、実際にリコール届け出をされたときの原資料みたいなものですね。メーカーから国交省に届けるときに、我々が目にするのは公表されたリコール届の1枚紙ぐらいですね。それにもっといろいろ関係資料が付いているはずなんです。それから、その中に今まで不具合件数が何十件あったとか、そういう記載があって、それでは、それの元データみたいなものがあるであろうというふうに思われるんですが、そういうものについては国交省のホームページからしてもなかなか出てこないので、そういうメーカーから国交省に届けられた原資料、リコール届に際して出された原資料、添付書類を含めての一式みたいなものを求めようとしているわけです。

(問) ごめんなさい、いつごろからのものを求めていこうと考えていらっしゃいますか。

(答) そんなにさかのぼっては大変だと思いますので、何十年も前までさかのぼるわけではなくて、ですから、今、言ったように、公表されていないけれども、メーカーから出ている情報。あと、不具合情報も、ホットラインで表示されているだけではなくて、メーカーから関連する不具合情報があるだろう。そういうものを要求しようとしています。
 それで、年度は一応、平成20年度と平成21年度を予定しています。

(問) 今の質問に関係することなんですけれども、その不具合情報とか、届け出のときの資料の状態ですが、そういうものから何を読み取るかということなんですけれども、例えばリコール件数などを見ますと300件前後、ずっと推移していて、相当な数ですね。リコールが悪いというわけではないんですけれども、例えば同じ車で繰り返しリコールされている車種もあったりとか、そもそも消費者目線で言えば、何でこんなにリコールがあるのかというところもあると思うんですけれども、その辺の皆様方の問題意識をもう少し教えてほしいんです。

(答) まさに、今、言われたようなことも含めて念頭に置いております。

(問) 要するに、なぜ、リコールが同じ車種で繰り返されているのかとか、あるいは改善策がちゃんと図られているのかとかということでいいですか。

(答) そうですね。

(問) 国交省は一応、平成19年と平成20年、2年間、検討を重ねてきて、課題を明確にしてきたと書かれていますけれども、先ほど少し触れておられましたが、この2年、彼らは彼らなり一応やってきて、何ができていないんですか。

(答) あそこに書かれている提言がほとんど実行されていないと思います。

(問) 済みません、少し勉強不足で、その内容を詳しく知らないんですが、どういう点が彼らの解釈等が少し足りないのではないかという問題意識ですか。

(答) 検討会ですので、検討しましたけれども、それが国交省全体の政策までなったかといいますと、必ずしもそうではないので、検討した結果の報告書をつくってとまっているというのが正直なところのように見受けられますけれども、こういう形でリコール検討会とりまとめというものがホームページに載っておりまして、一応、項目的には、例えばリコールに対する正しい理解の普及とか、こういうことが書いてあるんです。それから、リコールに至る過程の透明性の確保とか、不具合の発生原因の分析と削減方策。こういうようなことを項目に検討をやっておられまして、できるだけリコールの国民への理解に努めましょうとか、そういうことがいろいろ書いてあります。
 ですから、その提言の中で、さっきも言ったように、制度改善までこぎつけたという項目はなくて、例えばさっき言った正しい理解の普及は、機会があるごとに周知を実施しましたとか、国民にできるだけ知らせるということでホームページに公表していましたとか、そういうようなことは書かれております。あとは、メーカーがユーザーへ注意喚起する取組みの支援とかというものも検討中であるとか、そのように出ております。などなどでございます。

(問) 済みません、先ほど中村さんの、前原大臣の言葉で、リコールの具体的な見直しまで踏み込んでいなくて、まだ不満であるというようなことをおっしゃっていたと思うんですけれども、それでは、むしろ消費者委員会としてはそういう具体的な姿があるからおっしゃっていると思うんですが、また繰り返しになると思うんですけれども、その辺りをもう少し具体的におっしゃっていただかないと、このままですと、消費者委員会で検討する姿もなかなか見えにくいように思えるんですが、その辺りはいかがですか。

(答) ですから、さっきも抽象的に言っていますけれども、要するにリコール制度というものは今まで、かつての運輸省始め自動車業界とか、そういう業界サイドの目線でつくられてきた制度であった。それで昨年、消費者庁、消費者委員会というものができて、消費者目線でこれからの世の中を回していきましょうというメッセージは大きく投げられたんですが、個別の制度は必ずしもすぐには変わらないわけです。例えば今回、昨年の秋にアメリカからいろいろリコール問題について指摘されてみますと、やはり日本の制度はまだ消費者目線で直っていない。ですから、そこのところを今回、我々は消費者目線で、この自動車リコール制度というものを本当に見直して、改善すべきところをしよう。
 やはり皆さん、アメリカと比べてみて、多分、マスコミ等でも言われていますけれども、アメリカは危険な状態があるということを、まず、いち早く知らせるという対応をしておりますが、日本の場合はどうも、その辺が遅くて、対策の準備が完了といいますか、ほとんどできないとなかなか公表にこぎつけない。それは言ってみれば、メーカーサイドの都合ですね。自分たちが各修理工場でスタンバイできる状態に整えてからやっと発表する。それでは、その間に危険な状態の状況を国民は知らされずに運転しているわけでして、アメリカの場合は修理工場のスタンバイが仮に完了していなくても、まず国民に、この車はこういう問題があるから危ないというメッセージを先に投げてくれるんです。そこら辺がやはり大きな違いで、まさに消費者目線で制度を動かしているのがアメリカで、そこがやはり今まで欠けていたのが日本ではないか。今回のトヨタのケースなどを見ていると、そういう大ざっぱな感想を持ちます。
 そういうところを皮切りに、ほかの分野でも消費者目線で見ればまだまだ改善するところがあるのではないかということで、いろいろ調べていこうとしているわけです。

(問) 済みません、それで、リコールを早く、危険を察知した段階で知らせるということを、運用改善だけでは、逆に言えばできない。もっと抜本的に、例えば法律的なこととか、そういうところまで踏み込まずにという考えでいらっしゃるということでよろしいですか。

(答) それは、皆さんが発想を変えて、ぱっと今までの運用を変えてくれればいいけれども、やはり一斉にそういう発想を変えていただくというのは、法律とか制度そのものを変えないと難しいことではないかと思います。

(問) 済みません、また配布資料なんですが「●調査対象」で「1 対象機関」では国交省とか消費者庁になっていて「2 関連調査等対象機関」ではメーカーとか独法とかということで、これは、要は設置法に基づく調査対象がこの2つの役所であり、メーカーとか独法などは任意の資料要求である。そういう位置づけなんでしょうか。

(答) そうです。

(以上)