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電力・ガス小売自由化に関する課題についての消費者委員会意見

2017年5月23日
消費者委員会

消費者委員会は、本日、公共料金等専門調査会から、本件に関する報告を受けた。本報告で示された論点を踏まえ、今後、当委員会においては、ガス小売自由化についてフォローアップを行うとともに、電力小売自由化についても引き続きフォローアップを行い、必要に応じて、意見表明を検討することとする。

関係機関等におかれては、本報告で示された論点を参考に、電力及びガスの小売自由化に関して、消費者の利益の擁護及び増進に向けて、一層の取組を図ることを期待する。


電力・ガス小売自由化に関する課題について

平成29年5月23日
消費者委員会公共料金等専門調査会

I.経緯

消費者委員会公共料金等専門調査会は、昨年4月に行われた電力小売全面自由化について、関係者からのヒアリングの結果等を踏まえ、消費者の利益の擁護及び増進の観点から注視すべき論点を昨年5月にとりまとめた1

今般、公共料金等専門調査会は、電力小売全面自由化より約1年が経過したことから、昨年5月に提示した論点等を踏まえ、自由化後の状況をフォローアップするとともに、今後追加的に注視すべき論点を整理した。

併せて、公共料金等専門調査会は、本年4月に行われた都市ガス小売全面自由化について、有識者、消費者団体、事業者や行政機関等から行ったヒアリングの結果等を踏まえ、小売市場の健全な競争環境の維持、消費者への適切かつ分かりやすい情報提供、円滑なスイッチングの確保、消費者相談への的確な対応等の観点から、注視すべき論点を整理した。

II.電力小売自由化に係るフォローアップ及び追加的に注視すべき論点

1.自由化後の状況についての評価等

電力小売全面自由化後の1年間で新電力への契約切替えを行った世帯の割合は、全国平均では約5.5%であった2。初年度としては、欧州の先行事例と比較すると、新電力のシェアの拡大ペースは必ずしも低調とは言えないが3、大部分の世帯は未だ新しい料金プランに積極的に乗り換えるという行動には及んでいないものとみられる。また、切替えが大都市部に集中していることや、旧一般電気事業者及びその子会社による旧供給区域外への進出が進んでいないことなどの課題もある。

電力システム改革の目的4に照らせば、消費者にとっての電力小売自由化の成果は、競争の活発化を通じた電気料金の抑制や選択肢の拡大の状況によって評価されるべきであるが、上述したように、競争の広がりが十分でない部分があるので、その進展について、消費者の意見も参考にしつつ注視していく必要がある。

(「電力小売自由化について注視すべき論点」の各論点について)

マル1 料金プラン、事業者からの情報提供

低圧分野においては、全体的に見て新電力の料金プランの平均単価は旧一般電気事業者の自由料金プランの平均単価よりも低くなっている5。いくつかの事業者からは、電力使用量の少ない消費者や節電協力をした消費者にメリットのある料金プラン等も提示されているものの、料金プランの多くは電力使用量の多い消費者を対象としたものとなっている6。また、地域別には、大都市圏にて多くの新電力の新規参入があるものの、北陸、四国、沖縄地域においては、小売参入は相対的に少ないものとなっている。

事業者による電源構成やCO2排出情報の開示は進んでいるものの、開示済みの事業者の割合は半数を超えた程度であり、電力の選択のため電源構成等の開示が必要とする消費者の求めには、まだ十分に応えられているとは言えない7

今般の電力自由化では、事業者間の競争の中で消費者へのメリットを訴求するためのセット販売プランが多くみられた。電力サービスや、セット販売された他のサービスの契約解除に伴う違約金に関するトラブルは、今のところ数としては顕著ではないが、一部では違約金の請求に関する相談も報告されている8

マル2 「電力比較サイト」による情報提供

いわゆる「電力比較サイト」については、多くの消費者が電力会社や料金プランの切替えに際して料金シミュレーションを利用しているなど9、消費者の意思決定において重要な役割を果たしている。他方、情報の公平性・中立性や、比較サイト毎のシミュレーション結果の相違といった点に問題を感じている消費者もいる10

マル3 円滑なスイッチング対応等

新電力への契約先の切替え実績については、件数ベースでは、新規参入状況を反映し、関東、関西地域で件数が多い一方で、中国、北陸地域で低調となっている。

また、電力会社や料金プランの切替えに際してトラブルが発生した消費者の割合は比較的少なく11、スイッチングについては概ね円滑に進められているものと考えられる。

マル4 消費者相談への対応、相談対応への体制整備

各地の消費生活センターに寄せられる消費者相談は昨年4月前後をピークとして漸減傾向にある。なお、4月以降寄せられている相談の特徴として、大部分は高齢者からのもの、また地域的には約半数が関東となっており、販売形態では、電話勧誘及び訪問販売が過半を占め、自由化開始前と同様である。他方、相談内容としては、昨年4月の自由化開始の前には、電力小売自由化の制度自体に関する相談も見られたが、4月以降は、勧誘や契約に関する相談が多い12

また、国民生活センターと電力・ガス取引監視等委員会は、電力小売自由化に関する相談事例の紹介や消費者への注意喚起等を行う文書を連名で定期的に公表している。

マル5 電力小売自由化の消費者への分かりやすい周知等

電力小売自由化に関する基本的事項の認知について、電力会社や料金プランの切替えを行った消費者と比べ、それ以外の消費者の認知度が大きく下回っている13。このことは、基本的事項に関する認知度がスイッチングの進展と大きな関わりがあることを示すものとも考えられる。

2.追加的に注視すべき論点

上記の現状評価を踏まえ、昨年5月の「注視すべき論点」で指摘した事項に加えて、以下の点について、関係機関が重点的に推進すべき取組として注視していくこととする。

(自由化に関する認知度の更なる向上、消費者相談の動向の分析)

地域や年齢層、インターネットの利用頻度等による情報格差が存在することも踏まえ、経済産業省や消費者庁等は、電力小売自由化について、基本的な考え方等の認知をより一層広めるため、周知活動を強化していくことが必要である。なお、高齢者層には、新聞・雑誌等の紙媒体等、インターネット以外のメディアも活用した周知も有効と考えられる。また、電力自由化を契機に家庭用にも設定された電力託送料金についても、検針票での料金明示等、消費者への分かりやすい情報提供の促進が望まれる。

今後は、自由化後の新料金プランからの更なる乗り換えも予想されるため、契約解除に伴う消費者相談の動向については注意深く見守る必要がある。また、新規参入事業者と関係のある代理・取次・媒介等の活動についても、小売営業に関するガイドラインの遵守がなされているか等、引き続き注視が必要である。

(競争の更なる促進)

経済産業省は、事業者の参入状況や自由化された電気料金の動向を注視し、十分な競争が行われない状況がみられる場合には、改善に向けた措置を取ることが重要である。

例えば、大都市圏と比較して新規参入が少ない地方に向けて、自由化のメリットを享受出来るようにするため、卸電力取引の活性化等の新規参入拡大のための競争促進策を進めることや、基幹送電線への接続工事に係る負担金の適正性・透明性を確保すること等により、新規参入の円滑化を一層進め、消費者の選択肢を拡大させる必要がある。

また、新規参入拡大のためには、送配電部門の中立性・公平性確保が重要である。2020年の同部門の法的分離に向けて、中立性・公平性確保のための手立てが適切に講じられるよう、今後の検討状況を注視する必要がある。

なお、昨年5月の「注視すべき論点」でも指摘したように、今後の経過措置料金規制の解除に関しては、その時の事業者の競争状態を見極めて判断することとされており、慎重な検討が必要である。

(電力比較サイトの信頼性向上)

電力比較サイトについては、小売事業者のサービスの諸条件に関する情報の適正な収集と提供に努めることが求められる。また、昨年5月の「注視すべき論点」でも提起した、運営事業者間共通の倫理基準の策定や、比較サイトの公正性や中立性等を認証する公的な仕組みの必要性の検討も含め、信頼性の一層の向上を図る取組が重要と考えられる14

III.都市ガス小売自由化等について注視すべき論点

我が国の都市ガス普及率は約5割であり、従来は地域独占となっていた。本年4月に都市ガスの小売全面自由化が行われ、大都市圏では旧地域電力会社が新規事業者として都市ガス市場に参入してきたが、それ以外の地域ではLNG(液化天然ガス)原料調達等様々な面で障害があり、電力小売市場と比べて参入事業者数は少ない状況となっている15

このため、三大都市圏以外の地方を中心に、経過措置料金規制が解除される地域においては、既存の都市ガス事業者による「規制なき独占」が発生するのではないかとの懸念も指摘されている。

こうした懸念を払拭するためにも、都市ガス事業への新規参入者数の拡大に加え、都市ガスの代替・競合財でもあるLPガス市場の透明性確保が、消費者による選択の確保・充実のため極めて重要である。

こうしたことから、特に以下の点について注視が必要であり、今後の状況により必要に応じて、改めて関係機関に対する意見を述べていくこととする。

1.都市ガス小売市場の健全な競争環境の維持

(1) 小売価格及び事業者間の競争動向の監視

今般の都市ガス小売自由化により、規制料金が残る一般ガス事業者は12社となったことから、規制が解除された供給区域においては、「規制なき独占」のような事態が生じないよう、経済産業省が競争状況を注視することが重要である。経済産業省は各地方経済産業局と密接な連携を図りつつ、規制解除後の「特別な事後監視16」を行う3年間は当然のことながら、それ以降においても各供給区域の小売価格の動向等を注視した上で、必要に応じて指導等を行っていくべきである。

なお、経過措置料金規制が残された事業者・地域における今後の経過措置の解除については、本年4月以降、事業者毎に競争状況を見極め規制解除の可否を検討するとされており、価格の動向を含めた各種要素をきめ細かく総合的に勘案するとともに、消費者の意見等も踏まえながら、慎重な判断を行っていく必要がある。

また、競合・代替財であるLPガスとの間の公正な競争環境の保持も極めて重要である。資源エネルギー庁は、公正取引委員会や、都市ガス小売市場の監視を担当する電力・ガス取引監視等委員会と緊密な情報交換を行いながら、都市ガス・LPガス間の切替えの阻害が生じないよう、ガス市場全体の競争の健全性を確保していく必要がある。

(2) 適正なガス取引の確保及び競争の促進

都市ガス小売市場に関しては、原料であるLNGの調達能力(保管基地の確保等を含む)が限られること、熱量調整設備の使用が必要であること、卸売市場が未発達であること、ガス機器等の保安点検の面でのノウハウと営業拠点が必要であること等から、電力小売市場と比較して新規参入事業者は限定的であると考えられる。消費者が自由化のメリットを十分享受出来るような価格競争を促すためにも、適正で良好な競争環境の維持が不可欠である。

また、都市ガスの託送料金については、電力・ガス取引監視等委員会において、引き続き中立的・客観的かつ専門的な観点から厳しい審査を行い、妥当性や透明性、公平性を確保することが重要である。

経済産業省及び公正取引委員会は、都市ガスの川上市場において競争阻害行為が生じないか等、新たに改定された「適正なガス取引についての指針17」に基づき競争状況を適切に監視するとともに、経済産業省は今後、川下の都市ガス小売段階の一層の競争促進に向けて新規参入事業者の増加を実現出来るよう、川上において、既存のLNG保管基地の新規参入業者による利用の促進や、卸取引の活性化等の様々な取組を図っていくべきである。

2.消費者への適切かつ分かりやすい情報提供

(1) 都市ガス小売自由化に関する消費者への丁寧な周知

電力小売自由化に比較して、都市ガス小売自由化に関する消費者の認知度は低いとみられる18ことから、自由化に関する基本的事項や、既に経過措置料金規制が適用されていない地域等について、経済産業省や消費者庁により、業界団体による協力を必要に応じて得つつ、消費者に対する丁寧な周知が行われることが必要である。併せて、都市ガス小売自由化に関し、消費者の意見を積極的に聞くことが求められる。

また、消費者によるガス体エネルギーサービスの選択の機会を十分に確保するためにも、代替・競合財であるLPガスに関し、資源エネルギー庁は、その価格が自由料金であり、事業者に価格の透明性確保(基本料金と従量料金の内訳等)が求められていること等を含めて、今般策定された「液化石油ガスの小売営業における取引適正化指針19 (LPガス取引適正化指針)」の内容について、業界団体の協力も必要に応じて得つつ、都市ガス小売自由化を契機に消費者への周知が行われることが求められる。

(2) セット販売等に係る事業者からの情報提供

都市ガスの新料金プランについては、電力サービス等とのセット販売が大部分を占めており、契約内容が複雑となることから、事業者による各サービスの諸条件(契約期間・解約条件等)に係る丁寧な説明が行われることが期待される。

また、既存の都市ガス会社では、既成の料金プランと併存して新料金プランを提供しているところもある。新料金プランでは多消費世帯をターゲットにしたものが多いことから、少消費世帯が不利益を被ることのないよう、利用特性に合ったきめ細かで丁寧なプランの説明が必要である。

さらに、事業者による料金プラン等の広告については、消費者に料金や付与されるポイント等に関する前提条件等を誤認させることなどにより、実際以上に他社の料金プラン等からの優位性を強調するようなものとならないよう、客観性や正確性が十分に確保されることが必要である。

3.円滑なスイッチングの確保

(1) 「比較サイト」の公平性・中立性を確保するための周辺環境の整備

電力小売自由化での例に鑑みるに、料金比較サイトは、消費者にとって嗜好に合う事業者を選択するための有効な手段であると考えられる。都市ガス小売市場においても、消費者による適切な事業者や料金プランの選択に資するものとなるよう、比較サイトについては、小売事業者のサービスの諸条件に関する情報の適正な収集と提供に努めることや、ガスの標準使用量等、事業者毎に異なる前提条件で示されている料金を可能な限り公平に比較出来るような工夫を行うことが求められる。また、電力分野と同様に、信頼性を評価する仕組みの検討等を通じ、公平性・中立性確保のための周辺環境を整備することが重要である20

また、料金比較サイトに類するものとして、従来からLPガス市場において、消費者に対して料金比較情報を提供するサービスが存在しているが、こうしたサービスについては、情報の公平性・中立性に課題があるとの指摘もなされている。LPガスの価格透明性の不足がこのような問題を惹起している面もあるため、資源エネルギー庁によるLPガス取引適正化指針に基づく監視の強化等を通じて、消費者がより的確にLPガスの料金比較を行えるようにすることが重要であると考えられる。

(2) スイッチングを阻害する取引慣行の排除・透明化

従来からLPガス市場では、賃貸住宅における賃貸事業者等からの要請等による設備貸与が取引慣行となっており、それが消費者による事業者切替えを阻害するような例もある。都市ガス市場においても小売自由化に伴い、例えばコジェネ機器の貸与等、同様の状況となる可能性も指摘されている。消費者にとっては、条件を勘案した上での事業者の適切な選択が阻害されるという点においては望ましくない面もあるとの指摘もある。このため、少なくとも賃貸入居契約の段階等で、賃貸事業者やガス事業者がサービスの提供条件につき消費者に十分な説明を行うことが消費者利益の観点から不可欠であり、LPガス市場の例に鑑みるに、関係省庁により、消費者への説明の実施状況等について目配りがなされることが重要である21

(3) 小売事業者と導管事業者の保安業務に係る連携確保の徹底及び非対称競争状況の排除

都市ガス自由化に伴い、それまで小売事業と導管事業は一体であったが、担当する事業者の分離が可能となった。ガス小売事業者を切り替えた場合でも、消費機器の調査を担う小売事業者と内管保安・緊急時対応を担当する導管事業者との適切な連携・協力の下、保安体制が確実に維持されるよう、安全性確保の徹底が不可欠である。

加えて、導管事業者は住宅の新築・改修に際して通例内管工事を担当することとなるが、前述の設備貸与と同様、例えば無償で工事を行う見返りにガス小売サービスも併せて契約するといった事態が生じることも考えられる。内管工事については導管事業者による指定事業者制をとっていることからも、同事業者が競争優位者となり、新規小売事業者との間で非対称競争状況が発生することも考えられる。こうしたことから、経済産業省及び公正取引委員会は適切な監視を行う必要がある。

加えて、内管工事に伴う適正競争確保の必要性についても、今後の検討課題として挙げられる。

4.消費者相談への的確な対応

現在のところ、都市ガス小売自由化に関して消費生活センターに寄せられた相談は、主に新規参入者のある大都市圏の高齢者を中心に、事業者の信頼性についての確認等が中心であったものの、足元、新規契約の勧誘に関し、消費者に虚偽の説明を行う、書面を交付しない等の問題行為によるトラブルの増加の兆しがあるとの指摘もある22

今後事業者間の競争が活発になるにつれて、金銭的な被害を伴う相談の増加も否定出来ないことから、経済産業省は、新たに策定された「ガスの小売営業に関する指針23」を踏まえ、事業者に適正な営業活動や契約を遵守させる必要がある。併せて、特定商取引法の規制対象として都市ガスサービスも加わったことから、消費者庁は、訪問販売や電話勧誘販売へのクーリング・オフの適用等、消費者被害への的確な対応方法に関する周知を行うことが必要である。

また、公正取引委員会は、競争上問題のある行為に関する通報を受け付けていることについて、消費者に広く周知することが重要である。

さらに、LPガスに係る消費者相談についても、都市ガス小売自由化を契機に変化が生じていないか、都市ガスに係る相談との一体的な監視が必要である。なお、その際、資源エネルギー庁が、LPガス取引適正化指針を踏まえた、事業者による標準料金公表や料金内訳明示等の「必要な」行為を監視するとともに、関係省庁は、集合住宅の入居者への家賃とLPガス供給(「設備貸与」の状況)の関係に係る説明の実施状況等についても目配りを行うことが必要である。

IV.その他

小売自由化後の電気料金及びガス料金の動向が、消費者世帯におけるエネルギー関連支出にどのような影響をもたらしているか、消費者庁をはじめ関係府省庁は、証拠に基づく政策立案(EBPM:Evidence-Based Policy Making)の推進が政府として積極的に求められていること24からも、物価モニターの活用も含めて関連する情報を収集し、電力及び都市ガス両分野での経過措置料金規制解除に関する議論等に向けて、機動的かつ的確な状況把握を行っていくべきである。

V.引き続きのフォローアップの実施

電力小売全面自由化については、1年強を経過した段階であり、そのメリットを十分に消費者が享受出来ているか否かの総括的な評価を行うためには、引き続き多角的な視点から見守っていくことが必要である。

都市ガス小売全面自由化についても、地域による状況の違いを踏まえながら、今後、事業者間競争の進展の動向を見ていく必要がある。特に経過措置が解除された地域においては、小売価格等を重点的に注視しながら、代替・競合財であるLPガス市場を含めた市場全体の競争環境に問題が生じていないか見守っていく必要がある。

このため、消費者委員会公共料金等専門調査会においては、電力及び都市ガス小売全面自由化が消費者にもたらす影響につき、今後も引き続き検証(フォローアップ)を行い、必要に応じて、電力、都市ガス及びLPガスの小売営業に関するガイドラインの改定要請も含め、意見表明等を行うこととしたい。

(以上)

  1. 「電力小売自由化について注視すべき論点」(平成28年5月17日消費者委員会公共料金等専門調査会)
  2. 「スイッチング支援システムの利用状況について(3月31日時点)」(平成29年4月7日電力広域的運営推進機関)によると、平成29年3月31日までのスイッチング開始申請(需要者による小売電気事業者への契約申込み)の件数は約343万件であった。これは、自由化対象となった契約の総数(約6,253万件(平成27年度))の約5.5%となる。
  3. 我が国では、平成28年12月時点において、低圧分野に占める新電力の販売電力量のシェアは3.5%(出所:平成29年3月23日公共料金等専門調査会における経済産業省提出資料)。他方、英国とフランスでは、小売全面自由化1年後の新電力のシェアは、それぞれ約12%と約1%(出所:「電力市場における競争状況の評価」(平成29年4月5日電力・ガス取引監視等委員会資料))。
  4. 「電力システムに関する改革方針」(平成25年4月2日閣議決定)では、電力システム改革の目的として「安定供給を確保する」、「電気料金を最大限抑制する」、「需要家の選択肢や事業者の事業機会を拡大する」の3つを掲げている。
  5. 「電力市場における競争状況の評価」(平成29年4月5日電力・ガス取引監視等委員会資料)では、総販売額を総販売電力量で除した平均単価でみると、低圧分野では、新電力の平均販売単価(20.5円/kWh)は、旧一般電気事業者の自由料金プランの平均販売単価(21.4円/kWh)よりも低くなっている(p100)。
  6. 「電力市場における競争状況の評価」(平成29年4月5日電力・ガス取引監視等委員会資料)では、東京電力管内における新電力の料金プランについて、東京電力の規制料金メニューと比較して、使用電力量が350kWh程度で5%程度、450kWhで10%程度低いとしている(p104)。また、完全従量制の電気料金プランを利用した場合は、使用電力量が少ない家庭でも電気料金の引き下げが可能であるとしている(p105)。
  7. 一般家庭への供給を開始している事業者のうち、平成28年10月時点で電源構成を開示済みの事業者の割合は54%、CO2排出係数を開示済みの事業者の割合は51%で、平成28年5月時点(それぞれ25%、23%)と比較するといずれも2倍以上に増加している(出所:平成29年3月23日公共料金等専門調査会における経済産業省提出資料)。
  8. 「電力市場における競争状況の評価」(平成29年4月5日電力・ガス取引監視等委員会資料)では、電力・ガス取引監視等委員会へ報告された料金メニュー(579件)中、電気以外の商品・役務とあわせて販売する「セット販売」は約22%、契約期間途中の解約により需要家が小売事業者に対して金銭的負担を負うことを求める「違約金条項」は約31%の料金メニューで採用されている(p112)。
    また、「電力小売自由化に関する消費生活相談の状況」(平成29年2月2日公共料金等専門調査会における独立行政法人国民生活センター提出資料)では、「(契約先変更後の電気料金に納得出来ないため)解約しようとしたら、解約料15,000円が必要だと言われた」といった相談事例が報告されている。
  9. 電力会社や料金プランを切替え済または切替え予定の人のうち48.1%が電力比較サイトの料金シミュレーションを利用している(出所:「電力・ガス小売自由化に関する消費者の意識について」(平成29年3月2日公共料金等専門調査会における消費者委員会事務局提出資料))。
  10. 「電力・ガス小売自由化に関する消費者の意識について」(平成29年3月2日公共料金等専門調査会における消費者委員会事務局提出資料)では、「電力比較サイトの公平性や中立性に疑問を感じた(10.1%)」、「電力比較サイトごとに料金シミュレーション結果が異なり、判断に迷った(10.0%)」との結果が得られている。
  11. 電力会社や料金プランを切り替えた消費者のうち、86%が切替えに際して「特にトラブルは発生しなかった」と回答している(出所:「電力・ガス小売自由化に関する消費者の意識について」(平成29年3月2日公共料金等専門調査会における消費者委員会事務局提出資料))。
  12. 出所:「電力小売自由化に関する消費生活相談の状況」(平成29年2月2日公共料金等専門調査会における独立行政法人国民生活センター提出資料)。
  13. アンケート調査の中の電力小売自由化に関する認知度についての質問事項において、提示された5つの事項について「どれも知らなかった」回答者は、回答者全体の38.3%であった一方、電力会社や料金プランの切替えを行った回答者の中では12.7%であった(出所:「電力・ガス小売自由化に関する消費者の意識について」(平成29年3月2日公共料金等専門調査会における消費者委員会事務局提出資料))。
  14. 英国では、ガス電力市場規制庁(Ofgem)により、比較サイトのエネルギー供給事業者からの独立性の確保や料金メニュー情報の提供方法等の要件を定めた比較サイトの「Confidence Code」が策定・公表されている。
      なお、「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(平成24年5月9日一部改定 消費者庁)においては、商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させ、当該「口コミ」情報が、当該事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表示法上の不当表示として問題となるとされている。
  15. 平成29年4月20日時点で、都市ガス小売事業者は、45社が経済産業省に登録済み。うち、越境販売を含め新たに一般家庭へ供給を予定しているのは12社。また、同年5月5日時点のスイッチング申込件数は全国で約19万件となっている(内訳:関東約2.0万件、中部・北陸約2.9万件、近畿約13.6万件、九州・沖縄約0.7万件)。
    http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/gas/liberalization/switch/
    平成27年度の都市ガス小口需要家契約総数2,600万件(商店等約1.2万件も含む)と比較すると、スイッチング率は約0.7%と試算される。
  16. 経過措置料金規制が課されない旧一般ガス事業者等を電力・ガス取引監視等委員会が監視。具体的には、標準家庭における1か月のガスの使用量を前提としたガス料金(標準的な小売料金)の推移を定期的に確認していくことにより、原料費や託送料金等の上昇等に比して、小売料金の合理的でない値上げを行っていないかどうかをチェックすることとされている。特別な事後監視は小売全面自由化後3年間の時限措置。ただし、事後監視期間に合理的でない小売料金の値上げを行ったと判断される場合には、更に3年間期間を延長して事後監視を実施。
  17. 平成29年2月6日改定。
  18. 「電力・ガス小売自由化に関する消費者の意識について」(平成29年3月2日公共料金等専門調査会における消費者委員会事務局提出資料)では、「電力会社や料金プランの切替えはしておらず、検討もしていない」という回答者(全体の58.4%)のうち、その理由として「電力小売自由化が始まったことを知らなかったから」と回答したのは0.7%となっており、他方、都市ガスの小売自由化が始まることと開始時期の「どちらも知らなかった」という回答者は全体の32.2%となっている。
  19. 平成29年2月22日制定。当該指針は、LPガスの料金の透明化及び取引の適正化を図る観点から、「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則」及び「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の運用及び解釈について」の一部の改正を踏まえて策定されたもの。
  20. 脚注14参照。
  21. 賃貸住宅における設備貸与の問題に関しては、例えば消費者支援ネット北海道(ホクネット)より、LPガス販売事業者が自己の費用負担により設置した設備の費用をLPガス料金に含めることについて、「見かけの賃料を安くしておきながら、LPガス料金名目で実質的に賃料を別途徴収しているのと同じ」として、不公正な取引であるため禁止すべきとの要望が示されている。(出所:「消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」(平成29年2月28日)資料(抄)(平成29年3月2日公共料金等専門調査会配布資料))
  22. 平成29年5月2日付全国消費生活相談員協会エネルギー問題研究会要望資料(平成29年5月11日公共料金等専門調査会配布資料)
  23. 平成29年1月26日制定。
  24. 統計改革推進会議最終取りまとめ(平成29年5月19日統計改革推進会議決定)
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