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消費者基本計画の実施状況に関する検証・評価及び計画工程表の改定に向けての意見

2017年1月31日
消費者委員会

消費者基本法においては、消費者基本計画(以下、「計画」という。)の検証・評価・監視について、それらの結果の取りまとめを行おうとする場合は、消費者委員会の意見を聴かなければならないとされている。このため、当委員会としては、計画の実施状況や計画に盛り込むべき新たな課題等に係る検討を、調査審議の重要な柱の1つと位置付けてきた。

平成27年3月に閣議決定された計画においても、「消費者委員会は、消費者行政全般に対する監視機能を最大限に発揮しつつ、本計画に基づく施策の実施状況について、随時確認し、KPIも含めて検証・評価・監視を行う」とされている。

当委員会としては、これまでに発出してきた建議等を踏まえ、計画の実施状況に関する検証・評価において、特に留意すべき事項や計画工程表の見直しに向けて具体的に検討すべき課題について、下記のとおり意見を述べる。関係省庁等におかれては、下記の各項目について十分に検討の上、可能な限り計画工程表の改定素案等に反映されたい。

なお、当委員会としては、状況に応じ、今後、消費者庁において策定される計画工程表の改定素案に対し、更なる意見表明を行うことを予定している。

1.民法の成年年齢引下げに対する対応について

民法の成年年齢が引き下げられた場合、新たに成年となる18、19歳の消費者被害の防止・救済のためには、消費者教育の充実や制度整備等が必要である。こうした観点から、消費者庁からの意見聴取に対する委員会の回答(平成29年1月)を踏まえ、以下の点を中心に工程表に明記されたい。また、成年年齢引下げに対応する各取組を一体的に把握できるよう、例えば各項目に関する工程表を集約するなど、記載の仕方を工夫されたい。

  • (1) 消費者契約法
      消費者契約法専門調査会報告書(平成27年12月)において残された論点とされた点と併せて、若年成人に対する配慮に努める義務やつけ込み型勧誘を含む不当勧誘に対する取消権の検討を含む消費者被害の防止・救済のための消費者契約法の改正作業について、具体的な取組等の内容、スケジュール等を工程表に明記されたい。(消費者庁、法務省)
  • (2) 特定商取引法
      特定商取引法の省令改正作業や、特定商取引法に違反した事業者に対する処分等の執行の強化について、具体的な取組等の内容、スケジュール等を工程表に明記されたい。(消費者庁、経済産業省)
  • (3) 消費者教育の充実
      小中高等学校における消費者教育の充実、消費者教育推進のための人材開発、アクティブ・ラーニングの視点からの手法の高度化や実効性確保・教材の開発、児童養護施設等での消費者教育支援に関するプログラムの検討等について、具体的な取組等の内容、スケジュール等を工程表に明記されたい。
      また、大学・専門学校等における消費者教育推進のための人材開発、地方自治体と大学・専門学校等の消費者被害防止のための連携枠組みの強化、大学における学生相談室等を通じた消費者教育・啓発強化、専門学校等での消費者啓発・教育の取組についての実態把握、マルチ商法における心理的な背景についての調査研究等について、具体的な取組等の内容、スケジュール等を工程表に明記されたい。(消費者庁、文部科学省)
  • (4) 消費者被害対応の充実
      相談体制の強化・拡充等の若年成人に向けた消費者被害対応の充実について、消費生活センターの周知、相談窓口の拡充、若者支援機関との連携、消費生活センターと大学・専門学校等間の情報交換などの具体的な取組等の内容、スケジュール等を工程表に明記されたい。(消費者庁)
  • (5) 若年消費者被害防止の社会的周知
      成年年齢引下げに伴う若年消費者被害防止の社会的周知のための国民キャンペーンの実施について、具体的な取組等の内容、スケジュール等を工程表に明記されたい。(消費者庁)

2.「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の制度・運用見直しについての建議」への対応について

「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の制度・運用見直しについての建議」への実効性のある対応の実施に向けて、平成29年1月17日に発出した「「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の制度・運用見直しについての建議」の実施報告に対する意見」に示した事項を留意の上、それぞれの取組等の内容を具体的に工程表に明記されたい。特に、消費者庁が実施・検討予定としている「3 その他」に記した事項については、スケジュールも含め、必ず工程表に明記されたい。(消費者庁)

3.電力託送料金に関する取組について

送配電事業を行う電力会社の託送料金に係る査定に関し、「電力託送料金に関する調査会報告書」(平成28年7月)を踏まえ、資材・役務調達コスト等に係る更なる効率化の手法、コスト削減のための妥当な託送料金算定手法の在り方等の諸論点における問題点の改善に向けた具体的取組及びそれらの取組の監視について、工程表に明記されたい。(消費者庁、経済産業省)

4.東京特別区・武三地区のタクシー運賃組替えについて

平成28年12月に発出した「一般乗用旅客自動車運送事業(東京都特別区・武三地区)の運賃組替え案に関する消費者委員会意見」を踏まえ、タクシー運賃組替えに関する課題への具体的取組及び運賃組替え後の事後検証について、工程表に明記されたい。(消費者庁、国土交通省)

5.医療機関のウェブサイト等の取扱いについて

「医療機関のウェブサイト等の取扱いについて(とりまとめ)」(平成28年9月医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会)を踏まえ、医療機関のウェブサイト等による情報提供の適正化を進めるための今後の取組について、具体的な取組等の内容を工程表に明記されたい。(厚生労働省)

6.その他

前記1から5に掲げた内容の工程表への記載に当たっては、「消費者基本計画工程表の改定素案(平成28年4月)に対する意見」(平成28年5月24日。別添)の第1で示した内容に留意の上、工程表の改定素案に反映されたい。 そのほか、同意見の第3に示した内容についても、それぞれの取組等を工程表に明記することを検討されたい。

(以上)


別添

消費者基本計画工程表の改定素案(平成28年4月)に対する意見

2016年5月24日
消費者委員会

当委員会は、消費者基本計画工程表(以下「工程表」という。)の検証・評価及び見直しについて、本年2月24日に「消費者基本計画の実施状況に関する検証・評価及び計画工程表の改定に向けての意見」(以下「2月意見」という。)を取りまとめ、本意見の内容を、可能な限り工程表の改定案等に反映することを求めてきた。

その後、消費者庁をはじめとする関係府省庁等では、2月意見も踏まえつつ、工程表の検証・評価及び見直し作業を行い、取りまとめられた工程表の改定素案は、本年4月21日よりパブリックコメントにかけられた。

当委員会は、本年5月10日の消費者委員会本会議において、工程表の改定素案について、消費者庁よりヒアリングを行ったところである。本ヒアリングの結果や、これまでに行った建議・提言その他の意見等の内容、本年2月から4月にかけて実施した建議(注1)に関するフォローアップについてのヒアリングの結果等を踏まえ、工程表の改定素案に対し、下記のとおり意見を述べる。関係省庁等におかれては、下記の各項目について積極的に検討の上、可能な限り工程表の改定原案等に反映されたい。

当委員会としては、本意見の工程表への反映状況や、その後の実施状況等について引き続き監視を行い、消費者被害の状況が深刻なものや、取組が不十分と考えられるもの等については、今後、重点的に当委員会の調査審議を通じて取り上げていくとともに、必要に応じて建議等の意見表明を行っていくこととする。

第1 全体的な事項

1.KPIについて

当委員会が公表した「次期消費者基本計画の素案(平成27年2月)等に対する意見」(平成27年2月17日)において指摘したような基準(注2)を念頭にKPIの見直しを行うほか、施策の達成状況等に応じ、指標の見直しや追加設定を検討するとともに、目標の数値等についても、不断の見直しを図られたい。

2.工程表の図について

年限を区切らずに5年間で取り組むことが示されているものについては、定期的・継続的に実施しなければならないものを除き、可能な限り具体的な取組に分けた上で、当該具体的な取組ごとに期限を明確に設定した上で、図示されたい。

第2 個別の事項

1.軽井沢スキーバス事故を受けた対応(1(1)(3)関係)

「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」の中間整理(平成28年3月29日)を踏まえ、少なくとも「速やかに講ずべき事項」とされている取組について、可能な限り工程表に明記されたい。(国土交通省)

2.基礎ぐい工事の適正な施工を確保するための取組(1(1)(5)関係)

2月意見に盛り込まれた内容(工事監理者が基礎ぐい工事における工事監理を行うにあたって留意すべき点が示されている「基礎ぐい工事における工事監理ガイドライン」について、その実効性を確保するための取組のスケジュール等の工程表への明記)について、同ガイドラインの実効性を確保するため、周知のみならず、同ガイドラインのフォローアップ等の取組について、工程表に明記されたい。(国土交通省)

3.事故情報の収集、公表及び注意喚起等(1(2)(3)関係)

商業施設以外の遊戯施設における事故防止対策について、平成27年8月に発出した「商業施設内の遊戯施設における消費者安全に関する建議」及びそのフォローアップ結果を踏まえ、具体的な取組を工程表に明記されたい。(消費者庁)

4.高齢者向け住まいにおける安全の確保(1(2)(6)関係)、高齢者向け住まいにおける消費者保護(3(2)(11)関係)

2月意見に盛り込まれた内容(サービス付き高齢者向け住宅を含め、消費者が選択にあたって必要な情報が入手できるような分かりやすい情報提供等の工程表への明記)について、「サービス付き高齢者住宅の整備等のあり方に関する検討会」の議論を踏まえ、情報提供等のための取組を工程表に明記されたい。(厚生労働省、国土交通省)

5.健康増進法による表示・広告の適正化の在り方に関する検討(2(3)(2)関係)

平成28年4月に「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の制度・運用見直しについての建議」を発出したことを踏まえ、健康増進法による表示・広告の適正化の在り方に関する検討について、工程表に明記されたい。(消費者庁)

6.個人情報保護法制の周知(5(2)(2)関係)

平成28年1月に個人情報保護委員会が設置され、個人情報保護法が同委員会に移管されたことを受け、同法に係る制度の周知は同委員会が行うこととなることから、法制度の周知に係る今後の取組を、工程表に明記されたい。(個人情報保護委員会、消費者庁)

第3 今後の課題

1.特定商取引法の適用除外とされている消費者保護関連法の必要な執行体制強化及び制度改正(3(1)(3)関係)

工程表の改定素案には、執行状況の把握のための調査結果を取りまとめたものとして、別表1において行政処分等の執行件数が記載されているが、行政処分等の種別ごとの件数を把握するのみでは、特定商取引法の適用除外とされている消費者保護関連法においても、特定商取引法における違反類型(不実告知等の不当勧誘や虚偽・誇大広告等)と同様の行為に対して行政処分等がなされ、消費者の保護が十分に図られているのか否かが明らかでない。調査された執行状況については、さらに違反行為ごとに分析した上で、今後はその内容を明らかにされたい。(消費者庁)

2.消費者教育の推進について(4(2)(1)関係)

消費者教育の推進に関する法律(平成24年8月22日法律第61号)及び消費者教育の推進に関する基本的な方針(平成25年6月28日閣議決定)に基づき、これまで取り組んできた消費者教育について、実態を把握し、必要に応じて工程表を見直すことを検討されたい。

3.地方消費者行政の充実・強化に向けた地方公共団体への支援等、地域の見守りネットワークの構築(消費者安全地域確保協議会、消費生活協力員、消費生活協力団体)(6(2)(1)、(2)関係)

消費者安全確保地域協議会の設置状況をKPIに設定しているが、当該指標のみならず、消費生活協力員・消費生活協力団体の活用支援についても、施策目標の方向性を検討されたい。

また、地方消費者行政推進交付金が平成29年度で終了することから、地方消費者行政の計画的・安定的な取組が可能となるよう、同交付金終了後の施策の方向性について、十分検討されたい。(消費者庁)

4.新たに発生する課題について

社会経済情勢が変化する中で、新たに消費者問題として課題が発生することがあるが、必要に応じて新規の政策レベルで工程表に追加することを検討されたい。

(注1) 「美容医療サービスに係るホームページ及び事前説明・同意に関する建議」、「電子マネーに関する消費者問題についての建議」及び「商業施設内の遊戯施設における消費者安全に関する建議」

(注2) (i)法令及びガイドライン等の見直しや改訂の実施状況、(ii)消費者や事業者等への、法令及びガイドライン等の周知状況、(iii)消費者関連法令の執行等、行政処分の実施状況、(iv)関連する取組全体の効果としての消費者被害の発生状況を基準としている。

(以上)

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