内閣府 Cabinet Office, Government of Japan

内閣府ホーム  >  活動・白書等  >  審議会・懇談会等  >  消費者委員会  >  建議、提言、意見、答申 及び 報告書  >  2013年  >  「健康食品」の表示等の在り方に関する建議

「健康食品」の表示等の在り方に関する建議

2013年1月29日
消費者委員会

 近年の健康に対する関心の高まり等を背景として、「健康食品」(注1)は、多くの消費者にとって非常に身近な食品として定着してきており、その市場は1兆円とも2兆円とも言われる規模となっている。

 国民が健康な生活を送るためには、適量でバランスの良い食事、適度な運動、適度な休養こそがその基本となる。専ら健康食品の利用により疾病が予防されるなどといった過大な期待に惑わされることなく、消費者自身が、様々な食品の特性を理解し、正しい情報に基づき、適切に健康食品の利用の要否や適否を判断できる環境整備が必要である。

 健康食品の表示等の在り方については、平成21年度から22年度にかけて、消費者庁において「健康食品の表示に関する検討会」が開催され、「「健康食品の表示に関する検討会」論点整理」(平成22年8月27日公表。以下「論点整理」という。)が取りまとめられた。この論点整理において、健康食品の表示の効果的な規制や適切な情報提供の仕組みについては、更に議論が必要であるとして、消費者委員会に対してその検討要請がなされた(注2)。これを受けて、当委員会では、有識者からの意見を聴取し、「「健康食品の表示の在り方」に関する中間整理」(平成23年8月23日公表)を取りまとめた。さらに、「消費者の「健康食品」の利用に関する実態調査(アンケート調査)」(平成24年5月18日公表。以下「アンケート調査」という。)を実施し、これを受けて、「「健康食品の表示等の在り方」に関する考え方」(平成24年6月5日公表)を取りまとめた。
 その後、これら一連の取組を踏まえ、再度有識者との意見交換を行い、調査審議を重ねた結果、健康食品の表示・広告の適正化に向けた取組の強化、健康食品の安全性に関する取組の推進、健康食品の機能性の表示に関する検討、及び健康食品の特性等に関する消費者理解の促進の各点についての対応が必要であることが明らかとなった。

 当委員会は、以上の調査審議の結果を受けて、内閣府特命担当大臣(消費者)及び厚生労働大臣に対して、消費者庁及び消費者委員会設置法(平成21年法律第48号)第6条第2項第1号の規定に基づき、次のとおり建議する。また、本建議への対応について、内閣府特命担当大臣(消費者)及び厚生労働省に対して、平成25年7月までにその実施状況の報告を求める。

  • (注1) 「健康食品」の概念は、法的には明確に定義されていないが、ここでの「健康食品」とは、健康の保持・増進に資する食品として販売・利用されているもの全般を指す。また、「いわゆる健康食品」とは、健康食品から保健機能食品(栄養機能食品及び特定保健用食品)を除いたものを指す。
  • (注2) 今回取り上げた論点のほか、健康食品については、取引に関する消費者トラブルが多いとみられる。全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET: Practical Living Information Online Network。以下「PIO-NET」という。)に寄せられた健康食品に係る相談情報をみると、平成23年度の相談件数約1万2,000件のうち、複数選択で「契約・解約」及び「販売方法」に関する相談がそれぞれ69%を占め、取引に関するものが多数を占める。こうしたトラブルへの対策としては、例えば、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「特定商取引法」という。)において、販売方法等に関する規制がなされている。なお、新たな取組として、特定商品等の預託等取引契約に関する法律(昭和61年法律第62号)の政省令等の見直しの中で、規制対象商品等として健康食品(酵素等)の追加が検討されている。
     また、食品表示については、現在、関係する3法(食品衛生法(昭和22年法律第233号)、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和25年法律第175号)及び健康増進法(平成14年法律第103号))を一元化し、食品の安全性及び消費者の適切な商品選択機会の確保という、より一般的・包括的な目的を持つ食品表示法(仮称)の作成に向けた取組が進められている。食品表示の一元化を巡る問題の重要性は言うまでもないが、本建議においては、健康食品の表示等に係る問題に的を絞ることとした。

1.健康食品の表示・広告の適正化に向けた取組の強化

(建議事項1-1)

 消費者庁及び厚生労働省は、健康食品の表示・広告の適正化に向けた現行法における取組として、次の措置を講ずること。また、消費者庁は、これらの措置等を通じ、健康増進法に基づく勧告・命令の実績を積み上げること。

  • (1) 消費者庁は、食品の健康保持増進効果等に関する虚偽・誇大な表示・広告に係る指針(ガイドライン)等について、現場で監視指導を担う都道府県等の担当者、消費者、適格消費者団体等の意見を十分踏まえ、虚偽・誇大な表示・広告の判断基準が理解しやすいものとなるよう、以下の措置を含めその大幅な改善を図ること。また、監視指導等の実情を踏まえ、当該指針等の内容を定期的に更新すること。
    • 1) いわゆる健康食品の表示・広告の実態を分析し、標ぼうされる健康保持増進効果等に即して、違反となるおそれのある具体的表現を可能な限り多数示すことにより、指針等が平易で明快なものになるよう努めること。また、直接的表現による表示・広告のみならず、表示・広告を全体でみた場合に、消費者に健康保持増進効果等を誤認させるような暗示的表示・広告についても、それが禁止されている旨を、具体的表現を示しつつ改めて明確にすること。
    • 2) 消費者庁、地方厚生局及び都道府県等が行った指導事例等を収集・分析し、監視指導等に有益な具体的事例を取りまとめた事例集を盛り込むこと。特に、間接的に健康保持増進効果等を標ぼうする表示・広告についての事例や、都道府県等から消費者庁又は地方厚生局に対して問い合わせが多い事例の例示を充実させること。また、各事例については、特定の文言のみならず絵図等を活用した表示・広告全体の具体的イメージ、指導等の理由、薬事法、景品表示法等の関係法令の適用の可否等を記載すること。
  • (2) 消費者庁は、健康食品の表示・広告について、消費者等からの申出や一部の消費者にその監視を委嘱するモニタリング等の仕組みを充実させることにより、消費者等の協力に基づく表示・広告の監視を行うこと。
  • (3) 消費者庁及び厚生労働省は、健康食品の表示・広告に関し、健康増進法、景品表示法、薬事法等の担当部局間の有機的連携のもと、それらの厳格な執行に努めるとともに、都道府県等においても保健所等の関係部局間の緊密な連携による行政指導や法執行が促進されるよう、都道府県等への周知及び必要な支援を行うこと。

(理由)
建議事項1-1(1)について

  •  健康食品の表示・広告については、アンケート調査において、約5割の消費者が「行き過ぎた宣伝・広告が目立つ」と回答しているなど、虚偽・誇大なものが目立つとの指摘がなされている。
  •  食品として販売される物については、健康増進法第32条の2第1項により、健康保持増進効果等について著しく虚偽・誇大な表示・広告を行うことが禁止されている(注)。同条同項の監視指導は、消費者庁のほか、地方厚生局、都道府県並びに保健所を設置する市及び特別区(以下「都道府県等」という。)により行われており、虚偽・誇大な表示・広告の判断基準については、消費者庁が所管する「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)」(平成15年8月29日付け薬食発第0829007号厚生労働省医薬食品局長通知。以下「指針」という。)及び「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)に係る留意事項」(平成15年8月29日付け食安基発第0829001号及び食安監発第0829005号厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課長及び監視安全課長通知。以下「留意事項」という。)において示されている。
    (注) 健康増進法第32条の2第1項の規定に違反し、国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認められる場合には、同法第32条の3第1項に基づき、消費者庁長官より当該事業者に対し勧告がなされ、更にそれに従わない場合には同条第2項に基づき命令がなされる。
  •  指針及び留意事項に関しては、そこに示された判断基準が不明確であるとの声が数多く聞かれ、第102回消費者委員会(平成24年10月16日)においても、都道府県等には、多種多様な表示・広告が持ち込まれることから、少数の事例の摘示のみでは指導が困難である、指導に当たって地域差が生じないよう、具体的判断基準が必要である、などの指摘がなされた。また、健康食品の表示・広告を行う事業者からみても、判断基準の理解が難しく、平易な表示・広告のガイドラインを示すことが違反の予防に効果的である、食品衛生法、薬事法(昭和35年法律第145号)、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」という。)等の表示・広告に関する関係法令の適用の可否も含めた説明があれば、事業者の理解が深まるなどの指摘もなされた。
  •  さらに、論点整理においても、「消費者庁は、虚偽・誇大なおそれのある表示や広告の具体例を明らかにするなどしたガイドラインの作成に速やかに着手」すべきとの見解が、既に示されているところであるが、現時点でガイドラインが作成されるには至っていない。
  •  したがって、健康食品の虚偽・誇大な表示・広告に関する監視指導を強化するには、虚偽・誇大な表示・広告に該当するか否かの判断基準を明確化することが不可欠であり、以下の点を含め指針や留意事項等を大幅に改善する必要があると考える。
    • 現場で監視指導を担う都道府県等の担当者、消費者、適格消費者団体等の意見を十分踏まえること。
    • 監視指導等の実情を踏まえ、定期的に内容を更新すること。
    • いわゆる健康食品の表示・広告の実態(痩身効果、老化防止等)を分析し、その標ぼうする健康保持増進効果等に即して、違反となるおそれのある具体的表現を可能な限り多数示すことにより、指針等が平易で明快なものとなるよう努めること。また、直接的表現による表示・広告のみならず、表示・広告全体でみた場合に、消費者に健康保持増進効果等を誤認させるような暗示的表示・広告についても、それが禁止されている旨を具体的表現を示しつつ改めて明確にすること。
    • 消費者庁、地方厚生局及び都道府県等が行った指導事例等を収集・分析し、監視指導等に有益な具体的事例を取りまとめた事例集を盛り込むこと。特に、間接的に健康保持増進効果等を標ぼうする表示・広告についての事例や、都道府県等から消費者庁又は地方厚生局に対して問い合わせが多い事例の例示を充実させること。また、各事例については、特定の文言のみならず絵図等を活用した表示・広告全体の具体的イメージ、指導等の理由、薬事法、景品表示法等の関係法令の適用の可否等を記載すること。
    • 消費者庁、地方厚生局及び都道府県等が行った指導事例等の収集・分析の結果を踏まえ、実質的に広告であると判断される(注)にも関わらず、規制の対象となることを逃れようとする表示・広告については、具体的事例を示しつつ、それが規制対象となり得ることを明示すること。その際、消費者が表示・広告には当たらないと誤認するおそれがある事例については、必要に応じて、当該表示・広告に、それが表示・広告である旨を明示することを推奨することも考えられる。
      (注) 留意事項によれば、特定の顧客を誘引する意図が明確であり、特定食品の商品名等が明らかにされているものであって、一般人が認知できる状態にある場合には、広告にあたると判断される。
  •  以上を踏まえ、消費者庁は、上記建議事項1-1(1)に基づく措置を講ずべきである。

建議事項1-1(2)について

  •  先に述べたとおり、健康増進法第32条の2第1項の監視指導は、消費者庁、地方厚生局及び都道府県等において行われている。しかしながら、その監視体制は十分とは言えず、現体制を前提とする場合、執行力の強化には限界があるとの声が聞かれる。第102回消費者委員会においても、現状では、膨大な健康食品に対して対応できる体制が構築されているとは言い難いとの指摘がなされた。
  •  このため、健康増進法第32条の2第1項で禁止されている著しく虚偽・誇大な表示・広告を監視するには、行政における執行力強化のための予算・人員の確保に努めつつ、併せて、市民力の活用を行うことが有効と考える。具体的には、違反が疑われる表示・広告を監視するため、ホームページや電話などによる消費者等からの申出や、一部の消費者にその監視を委嘱するモニタリング等の仕組みを充実させることが必要である(注)。
    (注) 市民力を活用した制度として、景品表示法では、消費者等より違反に関する情報提供を郵送、電話、インターネット等により受け付けている。また、消費者にインターネット上の表示・広告の調査を委託し、違反に関する報告を受けている。
  •  なお、市民力の活用による監視の強化には、監視を担う消費者等が、虚偽・誇大な表示・広告の判断基準を容易に理解できる必要がある。このためにも、上記建議事項1-1(1)の指針等の大幅な改善が不可欠である。
  •  以上を踏まえ、消費者庁は、上記建議事項1-1(2)に基づく措置を講ずべきである。

建議事項1-1(3)について

  •  健康食品の表示・広告を規制する法律としては、健康増進法のほかに、食品衛生法、薬事法、景品表示法、特定商取引法等がある。
  •  健康増進法第32条の2第1項は、上記関連他法令の表示・広告規制と重畳的に適用され得るものであり、健康増進法の規制に違反する表示・広告は、関連他法令の規制にも違反する可能性が高い。
  •  これらの法令の執行体制をみると、健康増進法の執行は消費者庁及び地方厚生局が行うが、同法に基づく日常的な監視指導は、都道府県等の保健所が主として担っている。食品衛生法の執行及び日常的な監視指導は保健所が実施しており、事案によっては、消費者庁及び都道府県の食品衛生行政部局も行っている。薬事法の執行は、厚生労働省、地方厚生局及び都道府県の薬事行政部局が行っているが、日常的な監視指導は保健所も実施している。また、景品表示法は、消費者庁及び都道府県の消費者行政部局が、特定商取引法は、消費者庁、経済産業局及び都道府県の消費者行政部局が執行を行っている。このように、健康食品の表示・広告の取締りについては、多数の部局が関与している。
  • このため、国及び都道府県等において、これらの関係法令を主管する部局が一層緊密な連携を図り、それらの法執行を厳格に行うことが、虚偽・誇大な表示・広告の取締りには効果的である。例えば、都道府県等の中には、健康食品に係る法令の主管部局が共同で違反の可能性が高いとみられる健康食品を購入し、表示・広告調査や成分検査を行う「試買調査」を実施する取組(注1)もあることから、こうした取組を推奨していくことも必要と考える。また、健康増進法の執行力強化については、インターネット上の虚偽・誇大な表示・広告の監視(注2)により得られた情報を必要に応じて、消費者庁及び厚生労働省が共有し、両省庁が連携して処分を行うことが望まれる。
    (注1) 第43回消費者委員会(平成22年12月24日)において、東京都より、平成8年10月に、保健栄養、食品衛生、薬事衛生及び消費生活対策の関係部局が相互に連携し健康食品に関する事業を一体的に推進する組織として「健康食品対策推進連絡会」を設置し、健康食品試売調査、健康食品取扱事業者講習会等を実施しているとの取組が紹介されている。
    (注2) 消費者庁では、インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大な表示・広告を監視し、違反のおそれのある事業者への改善要請等を行っており、四半期ごとにその状況を公表している。
  •  以上を踏まえ、消費者庁及び厚生労働省は、上記建議事項1-1(3)に基づく措置を講ずべきである。
  •  なお、健康増進法については、これまで第32条の3に基づく勧告・命令に至った実績が1件もない。また、第102回消費者委員会では、事業者に同法を遵守するとの意識が浸透していないとの指摘もなされている。同法に対する事業者の意識を高め、同法に則した表示・広告の適正化を促していくためには、厳正な法執行により、勧告・命令の実績を積み上げていくことが極めて重要である。また、消費者庁における同法の執行体制が十分ではないとの指摘もされていることから、併せて執行体制の強化も図られるべきである。
(注) 景品表示法第11条の規定により、事業者又は事業者団体は、表示等に関する事項について、消費者庁及び公正取引委員会の認定を受け、不当な顧客の誘引を防止し、公正な競争を確保するための規約を設定することができる(公正競争規約)。健康食品に係る公正競争規約に関しては、第103回消費者委員会(平成24年10月30日)において、健康食品産業協議会から研究を行っている旨の説明があった。当委員会としては、こうした業界の自主的取組についても、正しい情報に基づく消費者の合理的選択を可能とするとの観点から、速やかに進められることを期待する。また、行政においても、業界の取組を踏まえ、必要に応じて積極的支援を行うことが重要と考える。

(建議事項1-2)

  消費者庁は、健康食品の表示・広告の適正化に向けた健康増進法及び景品表示法における制度の在り方に関し、次の措置を講ずること。

  • (1) 建議事項1-2(2)の措置を踏まえ、景品表示法第10条の適格消費者団体による差止請求権の利用実態を検証した上で、これに類する規定を健康増進法に導入することの要否を検討すること。
  • (2) 景品表示法第10条の差止請求権を行使した実績が低調であるとの指摘があることについて、その原因を検証した上で、所要の措置を講ずること。
  • (3) 景品表示法第6条の措置命令権限及び第4条第2項の不実証広告規制に関して、都道府県の要望等も踏まえ、都道府県への権限の付与について積極的な検討を進め、一定の結論を得ること。

(理由)
建議事項1-2(1)について

  •  景品表示法第10条では、消費者契約法(平成12年法律第61号)第13条により内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体に対し、優良誤認・有利誤認が認められる表示・広告への差止請求権が付与されており、同種の被害の拡大防止が図られている。
  •  これは、より消費生活に密接な情報に基づいて違反行為を排除する活動が期待されること、行政処分とは別に民事ルールとしての差止請求権を付与することにより、事案に応じて柔軟かつ迅速な解決を図ることができること等を理由に導入されたものである。
  •  健康増進法においても、適格消費者団体による差止請求権を導入することは、同様の理由により、同種の被害が不特定多数の者に拡大することを防止するのに有効とも考えられる。また、適格消費者団体による差止請求が行われていくことを通じて、健康増進法に対する事業者の意識が向上し、同法に則した適切な表示・広告が行われるよう促されていくことになるとも考えられる。
  •  一方で、景品表示法に基づく差止請求権を行使した実績が低調であるとの指摘がある。このため、まずは、その理由を検証し、所要の措置を講じた上で(下記建議事項1-2(2))、同制度の利用実態を踏まえつつ、中長期的課題として、これに類する規定を健康増進法へ導入することの要否を検討する必要がある。
  •  以上を踏まえ、消費者庁は、上記建議事項1-2(1)に基づく措置を講ずべきである。

建議事項1-2(2)について

  •  先に述べたとおり、景品表示法第10条に基づく差止請求権を行使した実績が低調であるとの指摘があるが、これまで、その原因について十分な検証が行われてきたとは言い難い。
  •  このため、その原因を検証し、差止請求制度の実効性を確保する等の観点から、所要の措置を講ずることが必要である。
  •  以上を踏まえ、消費者庁は、上記建議事項1-2(2)に基づく措置を講ずべきである。

 

建議事項1-2(3)について

  • 現在、景品表示法では、都道府県は、第7条により不当な表示・広告の是正や再発防止のために必要な措置を講ずるよう、事業者に対して指示を行う権限を有しているものの、第6条にあるような命令を行う権限は有さない。また、同法第4条第2項の不実証広告規制(注)はこの命令を前提としている。
    (注) 景品表示法では、第4条第2項により、事業者が行った表示・広告が優良誤認に該当するかを判断するために必要があると認めるときは、当該表示・広告を行った事業者に対し、裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合に、事業者が当該資料を提出しないときは、第6条の措置命令の適用については、当該表示・広告が優良誤認に該当するとみなすとされる。
  •  健康食品の表示・広告に関しても、不当なものに対し、発見後速やかに対応がなされなければ、消費者被害が拡大してしまう可能性が高い。このため、地方の実情や現場の実態に通暁した都道府県が不当な表示・広告か否かを判断し、必要な措置を迅速に講ずることが、被害拡大を防止するために有効である。
  •  したがって、都道府県への措置命令権限及び不実証広告規制の付与について、都道府県の要望等を踏まえ、積極的に検討を進めていくことが必要である。
  •  以上を踏まえ、消費者庁は、上記建議事項1-2(3)に基づく措置を講ずべきである。
(注) 特定保健用食品の広告の在り方について、当委員会の問題意識を付言しておく。特定保健用食品は、個別の食品ごとに提出されたデータに基づき、その有効性や安全性について国が審査を行い、科学的な根拠の存在が確認された範囲内で、特定の保健の用途を表示することについて許可を与える食品である。したがって、許可された保健の用途を殊更に強調する広告を行うことは、特定保健用食品として国が確認した以上の機能性があるかのような誤認を与えるおそれがある。このような広告は、特定保健用食品制度に対する消費者の信頼はもとより、消費者の健康や商品の選択権をも損なうおそれがあることから、当委員会としては、特定保健用食品の広告についても、引き続き、注視していく所存である。

2.健康食品の安全性に関する取組の推進

(建議事項2)

  • (1) 厚生労働省及び消費者庁は、健康食品による健康被害情報を収集、解析し、必要な対応がとれる体制の強化を図るため、次の措置を講ずること。
    • 1) 厚生労働省は、行政上の制度への反映を念頭に、健康食品の摂取と健康被害の発生との因果関係が速やかに特定できるよう、類似の被害情報を統一的な基準で効率的に収集する仕組み及び当該被害情報を解析する手法について研究を行うこと。
    • 2) 厚生労働省及び消費者庁は、上記 1) の研究の成果等を踏まえ、健康被害防止のための対応の必要性が明らかとなった場合には、当該製品・成分の流通規制、表示規制を含め所要の措置を講ずること。
  • (2) 厚生労働省は、消費者による健康食品の安全な利用に資するよう、次の措置を講ずること。
    • 1) 医療機関における診療や薬局における医薬品の調剤及び販売の機会に、医師、薬剤師等が、患者より健康食品の摂取状況を聴取し、過剰摂取や医薬品との相互作用等について、患者に対し適切な注意喚起を行うなどの取組を進めるよう、関係機関への協力要請を行うこと。
    • 2) 医師、薬剤師等が診療、調剤等を行うに当たり、健康食品に関する問題に適切に対処できるよう、医師、薬剤師等に対し、健康食品に関する情報提供を行うこと。
  • (3) 厚生労働省は、第三者認証制度の整備・普及促進等を通じて、錠剤、カプセル状等食品の製造業者に対して、適正製造規範(GMP)ガイドライン及び原材料の安全性に関する自主点検ガイドラインの活用を促すとともに、消費者がそれらに基づき製造された製品を的確に選択できるよう啓発を行うこと。

(理由)
建議事項2(1)について

  •  いわゆる健康食品の健康被害に関する情報収集については、厚生労働省の「健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領について」(平成14年10月4日付け医薬発第1004001号厚生労働省医薬局長通知)により、保健所が、医療機関、消費者行政機関等と連携し情報収集を図るとともに、消費者からの苦情相談を受け付け、被害発生時には厚生労働省へ報告を行うこととされる。また、食品衛生法第58条では、医師から保健所への食中毒の届出が義務付けられており、その情報は、保健所より都道府県等へ、更に都道府県等を介して厚生労働省へ報告される。さらに、同法50条第2項に基づく条例(注1)により、多くの都道府県において、事業者が消費者から健康被害に関する情報を得た場合に、それを保健所に報告する義務を課している。(注2)
    (注1) 厚生労働省は、食品衛生法第50条第2項に基づき都道府県等が条例を定める際の技術的助言として、「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)」(平成16年2月27日付け食安発第0227012号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)を示しており、その中で「食品の製造、輸入又は販売等を行う者は、製造、加工又は輸入した食品等に関する消費者からの健康被害(医師の診断を受け、当該症状が製造等した食品等に起因する又はその疑いがあると診断されたもの)及び食品衛生法に違反する食品等に関する情報について、保健所等へ速やかに報告する」とされている。
    (注2) 厚生労働省は、この他にPIO-NETや海外等からの情報収集を行っている。
  •  上記ルート等により、健康被害に関する情報が得られた場合には、食品衛生法第7条により、厚生労働大臣は、食経験のない物や、食経験はあるが、錠剤・カプセル状等の形状の食品(以下「サプリメント」という。)等通常と異なる摂取方法の物などで、安全性が疑われるものについては、暫定的に販売を禁止できるとされる(注)。また、厚生労働省では、医師から、患者の症状の経過等が明らかにされており、当該製品の摂取が原因と疑われる被害情報が得られた場合、予防的な観点から、当該製品名や事例の概要等を公表するなど、健康食品の安全性に関する注意喚起を行っている。
    (注) この他に、食品衛生法第6条により、有毒・有害な物質が含まれる物や腐敗・変敗した物など、健康を損なうおそれがあると認められるものについては、販売を禁止することができる。
  •  このように、健康被害に関する情報については、厚生労働省に集約される仕組みとなっており、因果関係が必ずしも明確でない場合であっても、安全性が疑われる場合には、必要に応じ販売を禁止する等の措置が講ぜられることとなる。しかしながら、現状においては、被害情報の質・量が不十分であると考えられる。即ち、都道府県等から提供される情報は専門家による一定の評価はなされているものの、結果として件数は少なく、他方で、医療関係者等を介さずに寄せられるPIO-NETの危害情報等は、件数は多いものの消費者の自己評価であることから当該食品と健康被害の因果関係を特定するという面においては、その質が不十分である(注)。このため、これらの情報は因果関係の解析には十分活用できておらず、さらなる安全対策にはつながっていないと考えられる。
    (注) PIO-NETは、消費者からの商品購入、契約等の消費生活に関する相談内容を記録・蓄積し、消費者行政に活用することを目的とするものであり、食品の健康被害の因果関係の特定等のためのシステムではない。
  •  したがって、健康食品の摂取と健康被害の発生との因果関係が速やかに特定できるよう、類似の被害情報を統一的な基準で効率的に収集する仕組み、及びその被害情報を解析する手法について研究を進める必要がある。厚生労働省においては、本年度よりこうした研究に着手したところであり、その取組を継続すべきである。また、それらを踏まえつつ、必要に応じ食品安全委員会に対する個別製品・成分のリスク管理(注)のための諮問等を行い、健康被害防止のための対応が求められる場合には、流通規制、表示規制を含む所要の措置を講ずる必要がある。
    (注) リスク管理とは、厚生労働省、消費者庁等のリスク管理機関が、リスク評価機関である内閣府食品安全委員会によるリスク評価(食品健康影響評価)の結果に基づいて、その他の科学的・社会的要因等を考慮し、リスクを低減するための適切な措置を決定、実施することをいう。 食品衛生法に基づく食品、添加物の規格基準の設定(食品に残留する農薬等の基準の策定など)やその基準が守られているかの監視などがリスク管理に当たる。
  •  以上を踏まえ、厚生労働省及び消費者庁は、上記建議事項2(1)に基づく措置を講ずべきである。

建議事項2(2)について

  •  健康食品の安全性については、過剰摂取、医薬品との相互作用等による健康被害が懸念されている。特に、サプリメントについては、濃縮等した特定成分の摂取が容易であることから、その過剰摂取による健康被害の危険性が指摘されている。
  •  いわゆる健康食品を適切に利用するための表示に関しては、消費者庁が所管する「「いわゆる健康食品」の摂取量及び摂取方法等の表示に関する指針について」(平成17年2月28日付け食安発第0228001号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)により、1日当たりの摂取目安量、摂取方法、摂取上の注意事項(過剰摂取、医薬品等との相互作用、特定の疾病がある者への注意事項)等を表示することが、事業者に対し周知・指導されている。
  •  サプリメントの過剰摂取については、アンケート調査によれば、サプリメント利用者の93%が摂取目安量以下の利用となっているものの、61%が複数種類を利用していることから、それぞれに含有される共通成分について過剰摂取を引き起こす可能性も考えられる(注)。
     また、健康食品と医薬品との相互作用については、現在の健康食品利用者の34%、肥満・生活習慣病等・アレルギー体質の健康食品利用者の46%が、健康食品と医薬品を併用している一方で、健康食品利用者のうち通院している者の78%が、「医師等から健康食品の利用状況に関する確認を受けていない」と回答しており、安易に両者を併用している可能性が認められる。
    (注) アンケート調査では、「摂取目安量の表示がない」との回答は0.1%と極めて少数であった。
  •  第103回消費者委員会では、社団法人日本医師会及び公益社団法人日本薬剤師会より、医師、薬剤師から患者に対し、健康食品の利用に関する注意喚起に取り組んでいる旨の説明がなされ、医師、薬剤師による一層の関与の必要性について発言があった。健康食品の安全な利用に関し、医師、薬剤師等の専門家が、患者に対し注意喚起を行うことは、健康被害の防止に有効と考える。
  •  このため、医療機関における診療や薬局における医薬品の調剤及び販売の機会に、医師、薬剤師等が、問診票や質問票等を通じ、患者より健康食品の摂取状況を聴取し、医薬品との相互作用、過剰摂取等について、注意喚起を行うなどの取組を進めることが有益である。
     あわせて、医師、薬剤師等が診療、調剤等を行うに当たり、健康食品に関する問題に適切に対処できるよう、健康食品に関して必要な情報提供を行うことも求められる。
  •  以上を踏まえ、厚生労働省は、上記建議事項2(2)に基づく措置を講ずべきである。

建議事項2(3)について

  •  サプリメントについては、製品に含まれる成分のばらつきや、その製造過程で毒性物質が濃縮される危険性等の指摘が多くなされている。
  •  食品の安全性については、食品衛生法第3条により、事業者に一義的な安全確保の責任を課しているが、サプリメントの製造については、一定の安全性確保の観点から、「「錠剤、カプセル状等食品の適正な製造に係る基本的考え方について」及び「錠剤、カプセル状等食品の原材料の安全性に関する自主点検ガイドライン」について」(平成17年2月1日付け食安発第0201003号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知。以下「GMP等ガイドライン」という。)により、適正製造規範(GMP)及び原材料の安全性の確保に関するガイドラインが示されており、これらに基づき事業者が自主的な取組を推進するよう指導が行われている。
  •  現在、GMP等ガイドラインを担保するための措置として、これに対する第三者認証制度の整備・普及促進が図られているところである(注)。安全性が客観的に確認されたサプリメントを消費者が選択することを可能にし、それが確認できていないものを市場から淘汰するためにも、第三者認証制度の整備・普及を通じて事業者に対してGMP等ガイドラインの活用を促すとともに、同制度に対する消費者の認知度の向上を図っていく必要がある。アンケート調査によれば、健康食品を購入する際に参考にする情報として、事業者団体の認証マークを挙げた者は10%、認証マークを商品選択の決め手としている者は1%未満であることが明らかとなっており、健康食品に関しては、事業者団体による自主的な取組に対する消費者の利用度が必ずしも十分とは言えない。このため、行政による一層積極的な支援が必要と考える。
    (注) 原材料の安全性確保に係る認証制度については、公正・中立な認証行為を担保するための組織(認証協議会)として健康食品認証制度協議会が設立され、同協議会から指定を受けた認証機関が認証行為を行っている。しかし、GMPに係る認証制度については、未だ認証協議会が整備されていない。
  •  以上を踏まえ、厚生労働省は、上記建議事項2(3)に基づく措置を講ずべきである。

3.健康食品の機能性の表示に関する検討

(建議事項3)

 消費者庁は、消費者自らが食品の特性を十分理解し自らの判断に基づき食品の選択を行えるよう、正しい情報提供を行うとの観点から、食品の機能性表示に関し、次の措置を講ずること。

  • (1) 栄養機能食品制度において、海外の事例、実証研究等を参考としつつ、新たに追加すべき栄養成分の有無を検討すること。
  • (2) 特定保健用食品制度において、有効性に関する審査基準の作成、及び有効性の科学的根拠に関する一定の審査内容の開示について検討を進めること。

(理由)

  •  食品の機能性表示は、国民の健康に対する関心が高まり、多種多様な特性を持つ食品が流通している中で、消費者に対して正しい情報提供を行い、消費者がその食品の特性を十分理解し自らの判断に基づき食品の選択を行うことができるようにすることを目的としている。
     現在、我が国において、機能性表示が行える食品としては、栄養機能食品と特定保健用食品がある。栄養機能食品とは、身体の健全な成長、発達、健康の維持に必要な栄養成分の補給を目的として利用される食品で、その機能を表示するものである。栄養表示をしようとする者が自ら国が定めた規格基準への適合を確認することで、栄養機能食品としての販売が可能となる。また、特定保健用食品とは、身体の生理学的機能や生物学的活動に影響を与える関与成分を含んでおり、食生活において利用することで、特定の保健の目的が期待できる旨を表示する食品である。その販売には、製品ごとに国による審査を受け、表示の許可等を得なければならない(注)。
    (注) 特定保健用食品は、次の4類型で構成される。i)制度創設時からある特定保健用食品、ii)疾病リスク低減表示を認める特定保健用食品(疾病リスク低減表示)、iii)科学的根拠が蓄積された関与成分について規格基準を定め、簡易な審査で許可を行う特定保健用食品(規格基準型)、iv)一定の有効性が確認された食品を、限定的な科学的根拠の表示を条件に許可する条件付き特定保健用食品。

建議事項3(1)について

  •  栄養機能食品制度は、平成13年の薬事・食品衛生審議会答申(平成13年2月26日)に基づき創設されたものである。対象成分については、同答申別添の報告書「保健機能食品の表示等について」によれば、「栄養機能食品の対象となりうる成分としてビタミン、ミネラル、ハーブ類、タンパク質、脂肪酸及び食物繊維を取り上げ」て討議が行われ(注1)、「当面検討すべきものとして、平成11年に第6次改定が行われた日本人の栄養所要量で取り上げられた25群のビタミン、ミネラルを優先」すべきとされ、さらにそれらのうち「規格基準を設定する対象、上限値の設定については、医薬部外品の基準を参考とすることが適当」とされたとのことである。その結果、制度創設に当たり、12種のビタミンと2種のミネラルの規格基準が設定されている(注2)。この際に対象とされなかった成分については、「栄養機能食品を広く認めることが必要であり、今回、規格基準を設定しなかったビタミン、ミネラルさらにはタンパク質、脂肪酸、食物繊維については、可能なものから順次規格基準を設定すべく、引き続き検討することが必要」とされ、その後、平成16年には、国民栄養調査結果等を踏まえ、亜鉛、銅及びマグネシウムが追加されている。
    (注1) ハーブ類については、同報告書において、「比較的作用の緩和のものから強いものまで、さらに副作用の強いものまで広範囲に存在することから、保健機能食品の体系中では栄養機能食品になじまず、個別許可型である特定保健用食品で対応することが適当である」とされている。
    (注2) ビタミン類: ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸
     ミネラル類: カルシウム、鉄
  •  他方、海外に目を転じると、欧州連合(EU)においては、健康強調表示について、一般機能表示、新規機能表示、小児関連表示及び疾病リスク低減表示の4類型が制度化されており、このうちの一般機能表示は、既に確立した異議のない科学的根拠に基づく健康強調表示とされ、我が国の栄養機能食品に比較的類似するものである。この一般機能表示については、平成19年に各EU加盟国から対象成分等の申請を受け付け、その後順次、欧州食品安全機構(以下「EFSA」という。)による評価が行われてきている。
  •  EFSAによる一般機能表示の評価で、科学的根拠が認められた製品の多くは、ビタミン・ミネラルを含むものであるが、この中には我が国の栄養機能食品で認められていない成分も含まれる。我が国の栄養機能食品制度においても、こうした国際動向を踏まえつつ、科学的根拠の確実性や我が国国民の栄養摂取実態等も勘案し、国民の健康保持増進の観点から、成分の拡充について検討する必要がある。
  •  以上を踏まえ、消費者庁は、上記建議事項3(1)に基づく措置を講ずべきである。

建議事項3(2)について

  •  先に述べたとおり、特定保健用食品制度においては、販売に当たり、製品ごとに有効性や安全性について審査を受け、その表示について国の許可等を得る必要がある。第104回消費者委員会(平成24年11月13日)では、この表示許可手続について、審査の指針を作成・公表すべき、また、科学的根拠に関する一定の審査内容についても公表すべきとの指摘があった。これは、有効性の評価基準が評価者の考えにより変化することがあり得ること、外部の専門家や消費者等が活用する有益な情報となり得ることによる。この点については、論点整理でも、公表すべき情報の範囲や審査の基準を統一するなどにより、手続の透明化を図るべきとの指摘がなされている。
  •  有効性に関する審査の基準や一定の審査内容の公表は、特定保健用食品の有効性に関する科学的根拠を対外的に明確にするものであり、事業者の知的所有権等の保護への留意は必要であるが、外部の専門家や消費者等にとって、科学的根拠を吟味・理解する有益な情報となり得ることから、これらの検討が進められるべきと考える。
  •  なお、特定保健用食品制度については、当委員会で「特定保健用食品の表示許可制度についての提言」(平成23年8月12日公表)を取りまとめ、消費者庁に対し、許可の更新制(注)の導入等を求めており、これらについても着実に取組が進められるべきと考える。
    (注) 特定保健用食品の有効期間は、制度創設時の平成3年は2年間とされていたが、事業者への負担軽減の観点から、平成8年に4年間に延長され、平成9年以降、許可に期限が付されていない。
  •  以上を踏まえ、消費者庁は、上記建議事項3(2)に基づく措置を講ずべきである。
  •  一定の科学的根拠のある食品に機能性表示を認める仕組みを巡っては、多様な意見・指摘が存在しており、第104回消費者委員会においても、消費者への適正な情報提供等を進めるため、一定の機能性表示を認める制度を創出すべきとの意見や、現行制度は科学的合理性も国際的整合性(注)も高いことから、現行制度の枠内で必要な改善を行うべきとの意見、また、現行制度でさえ消費者はその意味を理解しておらず、消費者の理解の浸透が先決であるとの意見が示された。
    (注) 食品の健康強調表示の国際規格としては、FAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)による「栄養及び健康強調表示の使用に関するガイドライン」(CAC/GL 23-1997)において、「栄養機能強調表示」、「その他の機能強調表示」、「疾病リスク低減強調表示」が示されている。
  •  この一定の機能性表示を認める仕組みについては、論点整理においても、「新たな成分に係る保健の機能の表示を認める可能性について研究すべき」とされており、これを受けて、消費者庁は、平成23年度に「食品の機能性評価モデル事業」を実施している。当該事業の報告書においては、食品の機能性評価方法や科学的根拠レベルを表示に反映させる方法等に係る様々な課題が挙げられており、今後検討されるべき事項は多い。
  •  このため、一定の機能性の表示を認める仕組みについては、引き続きこれらの課題解決等のための研究が行われる必要があり、一定の機能性表示の検討に際しては、その成果を踏まえて行うことが有益と考える。

4.健康食品の特性等に関する消費者理解の促進

(建議事項4)

 消費者庁及び厚生労働省は、保健機能食品を含む健康食品の特性、それらの適切な利用方法、機能性表示の意味等について、消費者に対し積極的な啓発を行うこと。


(理由)

  •  健康の保持増進の基本は、適量でバランスの良い食事、適度な運動、適度な休養である。健康食品は医薬品とは異なり、疾病の治癒を目的とするものではなく、むしろ、医薬品と同様の利用は、疾病の治癒を遅らせ、また症状の悪化をもたらす危険がある。健康食品の利用を健康の保持増進に結びつけるためには、その利用をきっかけに、食生活や生活習慣を改善させることが重要である。
  •  また、健康食品の利用に際しては、次のような点に留意する必要がある。健康食品と医薬品の併用は、その組み合わせや摂取方法によっては、医薬品の効果を増強・減弱させるとの事例が報告されている。健康食品、特にサプリメントは、食品とは言え、過剰に摂取すれば健康への悪影響を生じることもあり得る。複数の健康食品の利用は、含有成分の相互作用が未解明のものが大部分であることから、健康被害の危険性を高める可能性も否定できない。また、海外で健康食品と称される製品をインターネット等で個人輸入する場合、我が国の法令で定められた品質や安全性が確認されていないものも多いと考えられ、過去には、医薬品成分を含む製品による健康被害の例もみられるなど(注)、個人輸入による海外製品の購入には十分な注意が必要である。
    (注) 海外で健康食品と称される製品であっても、医薬品成分が含まれる場合、我が国では医薬品に分類され、薬事法による輸入規制を受ける。
  •  第103回消費者委員会でも、健康食品の適切な利用法や健康被害をもたらす成分について、消費者への啓発・注意喚起を行う必要性が強く指摘されたところ、このような取組は、健康被害を回避し、国民の健康の保持増進を図るためには必要不可欠である。
  •  平成24年8月には、消費者教育の推進に関する法律(平成24年法律第61号)が成立し、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるよう、その自立を支援するため、国、地方自治体、消費者団体、事業者団体が消費者への教育や啓発活動に尽力することが求められている。
  •  このため、消費者が、健康食品の持つ特性、安全性の確保を含む適切な利用方法、機能性表示の意味等を十分理解し、自らの判断に基づき適切な食品の選択を行えるよう、行政が、消費者に対する啓発を積極的に進めるとともに(注)、消費者団体や事業者団体等関係機関の取組を支援することが重要である。例えば、健康食品の安全性等に関する情報を集約したホームページ等の整備・周知を行うなど、消費者が必要な情報を容易に入手できる仕組みの構築・活用を図ることも有益である。
    (注) 消費者への啓発活動として、消費者庁においては、リスクコミュニケーションの一環としての健康食品に係る意見交換会の開催、食品表示に係るパンフレットの作成などの取組が行われている。また、厚生労働省においては、健康食品の利用法に係るパンフレットの作成、食品衛生法に基づく措置のホームページへの掲載などの取組が行われている。
  •  以上を踏まえ、消費者庁及び厚生労働省は、上記建議事項4に基づく措置を講ずべきである。

内閣府 Cabinet Office, Government of Japan消費者委員会事務局
〒100-8970 東京都千代田区霞が関3-1-1 中央合同庁舎4号館8階
電話番号(直通):03-3581-9176