委員長声明 -家庭用電気料金値上げに係る認可申請について-

2012年5月10日
消費者委員会

 消費者委員会では、本年2月28日に、関係大臣に対し、公共料金の決定過程の透明性及び消費者参画の機会を確保する観点からの取組の推進を求めるとともに、経済産業大臣に対しては、「電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議」における議論の結果等を踏まえ、電気料金を決定するために必要な情報の提供等に努める必要がある旨建議を行った。

 この度、東京電力株式会社から、家庭用電気料金の値上げ等を盛り込んだ「総合特別事業計画」の認定申請があった。
 消費者委員会としては、電気料金の値上げが国民生活に与える影響の大きさに鑑み、経済産業大臣に対し、下記のとおり、先の建議への適切な対応等を改めて要請する。
 なお、消費者庁とも連携を図りつつ、その後の取組状況について常時監視し、問題提起を行っていく所存である。


1 適切な審査について

  • (1) 有識者会議の議論等を踏まえて作成した「一般電気事業供給約款料金審査要領」(平成24年3月改正)に沿って審査を行うこと。
  • (2) 行政手続法第6条に基づく本件に係る標準処理期間は4か月となっていることを踏まえ、拙速に結論を出さず、十分な審査を行うこと。
  • (3) 外部の有識者からなる中立的な機関によるチェックを行い、同機関による審査の過程を原則として公開すること。

2 公聴会の適切な開催について

  • (1) 公聴会は、参加者数等を考慮し、相応の回数・時間をとって開催すること。また、より多くの消費者が傍聴できるような工夫を行うこと。
  • (2) 公述人は偏りがないよう適切に選定するほか、消費者団体等の代表者を含めること。
  • (3) 議事進行役については、可能な限り中立的な第三者を選任すること。
  • (4) 消費者庁「公共料金に関する研究会中間取りまとめ」(平成24年4月)の中で指摘されている以下の事項についても的確に対応すること。
    1. 公述人の決定及びその意見の発表に資する十分な内容の情報提供を時間的余裕をもって行うこと。
    2. 公聴会の場においては質疑応答の場を設ける等、一方的な意見発表の場としないこと。
    3. 議論の内容を消費者委員会へ提供すること。
  • (5) 公聴会の開催後、議論の内容等を速やかにHPに掲載すること。

3 適時適切な情報提供について

  • (1) 資源エネルギー庁「電気料金情報公開ガイドライン」(平成24年3月改正)に基づき、情報提供を迅速に行うこと。
  • (2) 「公共料金に関する研究会中間取りまとめ」の中で指摘されている以下の事項についても情報提供を迅速に行うこと。
    1. 主要な他事業者との料金格差の要因
    2. 設備投資の妥当性を検証できる情報
    3. セグメント別収支