第365回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2022年3月10日(木)10:00~12:43

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長
    (テレビ会議)青木委員、飯島委員、生駒委員、受田委員長代理、大石委員、木村委員、黒木委員、清水委員、星野委員
  • 【説明者】
    消費者庁吉田消費者政策課長
    消費者庁阿部地方協力課長補佐
    厚生労働省社会・援護局地域福祉課松崎成年後見制度利用促進室長
    (松崎成年後見制度利用促進室長の「崎」は、正しくは「たつさき」)
    厚生労働省老健局笹子認知症施策・地域介護推進課長
    厚生労働省社会・援護局地域福祉課小村地域共生社会推進室長補佐
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 消費者基本計画の検証・評価・監視(高齢者等の消費者問題への対応)
  2. その他

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、第365回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、私が会議室にて出席、受田委員長代理、青木委員、飯島委員、生駒委員、大石委員、木村委員、黒木委員、清水委員、星野委員がテレビ会議システムにて出席です。

開催に当たり、会議の進め方等について、事務局より説明をお願いいたします。

○太田参事官 本日もどうぞよろしくお願いいたします。

配付資料は議事次第に記載のとおりでございます。お手元の資料に不足等ございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願い申し上げます。

以上でございます。


《2.消費者基本計画の検証・評価・監視(高齢者等の消費者問題への対応)》

○後藤委員長 本日は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、「高齢者等の消費者問題への対応」について御審議いただきます。

各省庁におかれましては、これまでも高齢者等の消費者トラブル防止に向けた対策を進めていただいているところですが、高齢化やデジタル化等が進展する中で、高齢者や障害者等、ぜい弱性等を抱える消費者を保護するための取組は、ますます重要になってきています。

そこで本日は、「高齢者等の消費者問題への対応」として3つの問題を扱います。

第1に成年後見制度の利用促進、第2に身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての対応、第3に重層的支援体制整備事業と消費者安全確保地域協議会との連携について、それぞれ御審議いただきます。

まず、最初の議題は、「成年後見制度の利用促進」についてです。

成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害等があることにより、財産の管理や日常生活等に支障がある人たちを支える重要な手段であり、高齢者等の消費者トラブル防止の観点からも、一層の利用促進が進められていると認識しています。

今回は、平成29年3月に閣議決定された「成年後見制度利用促進基本計画」に基づく制度の利用、運用の状況や、現在、第二期基本計画の策定に向けて検討が行われている利用者の拡大に向けた制度・運用の見直し状況等について御報告いただきたいと思います。

本日は、御説明者として厚生労働省成年後見制度利用促進室、松崎室長にテレビ会議システムにて御出席いただいております。

本日はお忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。

それでは、20分程度で御説明をお願いいたします。

○厚生労働省松崎成年後見制度利用促進室長 皆様、おはようございます。厚生労働省成年後見制度利用促進室長の松崎と申します。

それでは、早速ですけれども、成年後見制度の利活用促進についてということで、私から説明をいたします。よろしくお願いいたします。

それでは、最初に資料を共有いたします。しばしお待ちください。

こちらが、成年後見制度利用促進法に基づく取組ということで準備した資料になります。

それでは、説明を開始いたします。

まず、こちらにあります、成年後見制度の概要と取組経緯ということになります。

まず、成年後見制度利用促進の取組経緯ということになります。制度の概要、先ほど御紹介いただいたところなのですけれども、改めてということで、成年後見制度なのですけれども、民法等の改正によりまして、平成12年に誕生した制度です。

対象者は認知症、知的障害、精神障害などによりまして、財産管理、日常生活に支障がある人の法律行為を支える制度ということでございます。

実は、もともと法務省の制度、今も法務省の制度なのですけれども、なかなか十分利用されておりませんでした。ということで平成28年4月なのですけれども、成年後見制度利用促進法というものが、議員立法のほうでできました。その法律に基づきまして、成年後見制度利用促進基本計画というようなものができたということであります。

基本計画では、成年後見制度の広報、相談あるいはこれらを各地域で担う体制の整備と、成年後見なのですけれども、多くはこちらあります認知症、知的障害、精神ということで福祉のサービスを利用される方、医療もですけれども、ございます。そういった中で裁判所がコミットメントする司法の支援へつなげていくというのがポイントで、そういったことで、各地域でそういった体制を担う体制を整備していくということで、最高裁、法務省等との関係省庁と連携のもと、計画的に取組を推進するということです。

これは、実はもともと内閣府が省庁をまたがるということをやっていたのですけれども、現在は厚生労働省で担うと、内閣の業務整理化に伴ってということです。

基本計画の見直しについてということで、今年度が基本計画の5か年計画の最終年度に当たりますということで、計画見直しに向けた議論を成年後見制度利用促進専門家会議ということで議論していました。

今後の行く末ということで、今年度末、最終取りまとめを行いまして、年度末、第二期計画を閣議決定と、来年度から新しい計画と、こういったステータスにあるということです。

それで基本的な取組ということで、利用状況と利用促進の実施状況、この5年間でどんなことやってきたのかと、基礎的なデータを見ながら御説明ということでいきたいと思います。

まず、成年後見制度の利用動機ということなのですけれども、多くは預貯金であったりなど身上保護、身上保護はいろいろあるのですけれども、虐待されていたり、あるいは多重債務など、いろいろパターンがあるみたいです。あとは介護保険契約、こういったところをキックオフとして利用に始まるということが多いらしいです。これは、最高裁判所のデータです。

次です。成年後見制度の利用状況ということで、今申し上げました認知症や障害者の方ということなのですけれども、ボリューム感からして、認知症の方であれば令和2年の推計値ですけれども600万人。結構、100万人単位の人数がある中で、成年後見の利用者を23万人超ということで、実はすごく開きがあると。高齢者の中でも、必ずしも成年後見による支援が必要ではない方もいらっしゃるとは思うのですけれども、それにしても、ある程度の数字の開きがあるのではないのかなと、こういった形で評価をしているというところです。

成年後見制度の申立件数ということで、最高裁判所のデータなのですけれども、総数だけ見ますと、増加傾向にあると、下にいけばいくほど新しい数字ということで、伸びてきているという話です。

では、どんな方が利用されているのかということなのですけれども、男性、女性と分けているのですけれども、御覧のとおり、やはり高齢の方が多いということなのです。

次、後見人と本人の関係ということでございまして、どういった方が成年後見として、認知症の方々などを支えているかというデータなのですけれども、見ていただければ、多くは、親族以外というのが80.3パーセントということになっております。

この親族以外というのは、どういうところかというと、弁護士、司法書士、社会福祉士というところが支えているという形が、現状のデータということになります。

次にいきます。

先ほど成年後見制度利用促進法に基づいて、必要な方に制度を使えるようにということで取組を進めているということなのですけれども、こんな法律になっています。

認知や認知症障害によって財産の管理が、日常生活に支障があるもの全体を支えることは、高齢社会の喫緊の課題と。あとは共生社会を実現すると、未来を支えていこうという話であります。

それで、成年後見制度、こういった取組を支える重要な手段なのですけれども、使われていないということで、まず制度が、使って良かったと思えるようにしようと、そして、みんなで支えるネットワークを作っていきましょうと。

あとは、併せて安心して使えるということで、不正防止もというような話で組んでいたのが、現行の計画ということになります。

それで、大体イメージということなのですけれども、ここで地域連携ネットワーク作りとは何なのだと、なかなかイメージが難しいところなのです。こんな感じです。

ベースとして身近な行政機関、市町村、あるいは、多くの場合は、市町村の社会福祉協議会がやっているケースが多いのですけれども、ここがコーディネーションになって、弁護士会、司法書士会あるいは民間団体、医療関係団体あるいは家庭裁判所等と一緒に協議会を作っていくと。要は連携して、意思疎通を図っていくと、なかなか考え方、アプローチの違う面がありますので、そこをきっちりすり合わせしながら、成年後見制度が必要な方は、きっちりそれによる支援ができるように、そういった形で取り組んできているということです。

あと都道府県をバックアップしていきましょうという形でやっているのが、現行計画ということになります。

5年の計画ということで、いろいろ計画を立てまして、5年間で進めていこうということで、御覧のとおりのもので設定しているということです。

ちょうど3年目の真ん中の年度で、中間検証ということもやったりもしています。では、こういった成年後見の必要な方を届けるために、どんな取組をしてきたかというところでまとめたのが、次の資料になっています。

今申し上げましたけれども、中間検証、真ん中の年と、それ以降で、実は取組を少し変えるような形にしています。最初は、中間検証までいっている、キックオフしたというところなので、そもそも全国に成年後見制度とは何というのをしっかり伝えていかなくてはいけないということで、とりあえず、知ってくださいということを頑張ってきたのが最初の3年ということになるかと思います。

ということで、具体的には自治体向けの研修、市町村セミナー、各種手引、ニュースレターなど、そういったもので情報発信をしたのが、前半戦の取組ということになります。

後半戦なのですけれども、ある程度そこを浸透させていきつつ、今度は具体的に体制整備するところをバックアップしていこうというのが中間年度以降の動きになったということになります。

こちらに書いているのですけれども、自治体からの体制整備など、困難事案、難しい事案がございます、司法関係者も必要ですということで、こういったものの個別の相談を受けるような全国の窓口を、全国社会福祉協議会に設置いたしました。

そのほかに、補正予算では、過疎や離島など条件不利地域、何かと申しますと、福祉の必要な方は、地方で支援するということなので、そもそも過疎や離島とには司法関係者がいないのです。どうやってつなぐか難しいところありますので、オンラインなどでつなぎ、バックアップしていこうということです。

あとは、こちらなのですけれども、意思決定支援研修ということで、本人に寄り添った、意思をちゃんと酌み取りながら進めていこうということを、ミクロレベル、個人個人のレベルでできるようにということで研修を作りまして始めております。

そして最後、自治体職員とか全国の取組状況の検索など、情報交換を行えるようなポータルサイト、最新の状況とか現場が分かるようなポータルサイトというのを作ったというのが後半戦の取組ということです。

あと、これ以降は、個別にということで、それぞれの資料をやっているので、簡単におさらいということですけれども、研修なのですけれども、基礎研修、立上げ始めと、でき上がったところは応用研修と、あとは都道府県向けの研修ということで、こういった3つのものを組んでいると。

なかなか御覧いただくと、基礎研修では1,700人を超えるような人が参加で、それなりに受講はいただいているという形になっています。

あと、体制整備に向けた事例集ということで、体制の手引、実務の手引、中核機関の立ち上げの事例集など、あとは基本計画を市町村も作るということで、努力義務になっておりますので、これの策定の手引ということもやって、全国の事例とか見ながら取り組めるようにということで後押ししております。これは前半戦なのです。

後半戦のところなのですけれども、権利擁護支援体制全国ネットということでありまして、全社協に、中核機関とか市町村からの体制整備の相談を受けるような仕掛けを作っております。こちらなのですけれども、自治体、中核機関がいろいろやっているけれども、困っていますということがあったときに、全社協に相談すると。全社協には、日弁連、リーガルサポート、社会福祉会、自治体職員など、こういった経験値のある方と聞きながら、助言が行えると、こういった体制を組みましたということです。

相談実績は右にあるのですけれども、体制整備など、そういったところに、やはり関心が高まってきているということで、市町村の後押しを進めているということになります。

次、厚生労働省の取組ということで、この5年計画の中でKPIも作っております。大きなところは、やはり、どこにいても成年後見が必要な方が使えるようにということがポイントだということで、我々、重要に考えているものが3つあると考えていまして、1つが中核機関等の整備ということです。

こちらを見ていただければなのですけれども、今年度末見込みで5割ぐらい、市町村計画は、大体6割弱ということになるかと思います。

連携の協議会の関係は、今年度末で37.8パーセントの見込みということです。

目標値としては、全市区町村ということなので、もう少し後押しが必要かなということが読み取れるのではないかなと思います。

それで、我々で第二期計画では少し工夫をしております。というのは、このデータ、ちょっと因数分解をしてみたのです。この55.2パーセントなのですけれども、まず、御覧いただければと思いますが、中核機関の整備予定ということなのですけれども、上は年度が新しいのですけれども、新しい年度になるにしたがって、作っていこうというところはぐっと伸びていっているというのが見て取れると思います。

一方で、人口規模別の中核機関等の整備状況をまとめたのが、こちらのデータになります。もう見れば、一目瞭然というところなのですけれども、人口規模が少ないところが、やはりこういった中核機関を作るのが実は難しいと。先ほど申し上げましたとおり、司法の専門職がそもそもいらっしゃらなかったりする中で、どうやってこういったものを作るかと、なかなかイメージがわかないというのは、データで分かるなと。

これは、中核機関の話なのですけれども、ちなみにこれは都道府県別ということで、中核機関の整備が増えれば赤字で増やしていくということをしているのですけれども、大分赤になっているのですけれども。

それ以外に、市町村計画も人口規模別に見ています。御覧のとおり中核機関と同じ傾向です。協議会も同じなのです。結局、司法の連携がなかなか難しいというのが見て取れるのではないかなと思います。

ということで、来年度予算要求ということで、今、提出しているものなのですけれども、次期計画では、今の話の流れだけに沿ってということで、時間も限られていて、省略しながらですけれども、都道府県による市町村体制の機能強化ということで、都道府県の役割を、もう少し明確にできないかと、最初いただいていただいた都道府県では、やはりちょっとざっくりし過ぎていたので、もうちょっと具体的にしなくてはいけないのではないのかということで取組を始めたということで、来年度以降、この予算で進めていきたいということです。

こちらは、こういった中身を書いているところなのですけれども、自治体、中核機関における権利擁護支援体制の強化ということで、都道府県による司法専門職、家庭裁判所の連携基盤作りということでありまして、都道府県で、今、裁判所は基本県単位で動いている組織なのです。ということもありまして、都道府県で司法専門職と家庭裁判所の定例的な協議の場を設けるということと、専門職など、法律専門職ということなのですけれども、助言が得られるような体制を確保するということで、場合によってアドバイザーを派遣する、日頃の相談など、こういったことを進められないかということで、予算立てをしているということになります。

次が第二期基本計画策定についてということで、今取り組んでおって、年度末に閣議決定を目指しているということになります。

要点だけ、時間も限りがありますのでということなのですけれども、具体的にどんなことが変わっていくかということなのです。

現行計画における課題が左のところにありまして、今言った都道府県の話も含みます。

では、それを踏まえて、第二期計画ではどんなことを取り組んでいくかというのが右側ということになります。今の都道府県のも含めてこれをお話しすると全体が見えるようなると思いますので、御説明の時間をいただければと思います。

まず、1つ目なのですけれども、成年後見制度を使って良かったと思えるようにという話がありました。そういったことも論点になっています。

成年後見制度の運用についてということになるのですが、現行、成年後見制度が選任されると、判断能力が回復しない限り、例えば預貯金の解約の特に成年後見人が必要だと言われたときに、使うと、その課題が解決しても、ずっと使い続けなくてはいけないと。この一瞬のときだけで、成年後見使ってずっとなのです。しかも、後見人に対しては裁判所が定めた報酬を払い続けなくてはいけないということがなりまして、これは、なかなか使いづらいのではないのかという話がありました。

2つ目なのですけれども、後見人で、もともと福祉の支えられている方が多いのですけれども、そういった法律の課題は、弁護士、司法書士は解決するのは得意なところもあるのですけれども、一方で、本人の意思を尊重するのが得意かどうかというのは、なかなか難しいところなのです。支援決定研修みたいなことを進めているのですけれども、そこのプロかというと、必ずしもそうではないという部分があって、なかなか成年後見制度の利用に踏み切れないということがあったというお話がありましたということで、第二期計画なのですけれども、まず1つ目、成年後見制度の見直しに向けた検討と権利擁護支援対策の総合的な充実ということになりまして、まず、成年後見制度、民法そのものを、ちょっと見直す必要があるのではないかということで、見せているということです。

併せて、福祉と司法の連携が必要なこの制度ということで、民法の見直しを行うのであれば、成年後見制度以外の権利擁護支援策、具体的に言えば、意思決定を支援するなど、金銭の管理も含めてなのですけれども、そういったところを福祉の側から支えるような仕組みというのも考えていかなくてはいけないのではないかというのが、2つ目ということです。

ということで、これも、できるだけ高齢者の数も増えていくという見込みの中では、民間事業者も広く参画できるような仕掛け、あるいはもともと民法ということでもありますので、基本は、御本人が必要な費用を負担するということなのですけれども、何か寄附のような取組ができないか、そういったことも考えています。

ということで、そういうことも踏まえて、福祉制度や事業も見直していこうではないかと、こういったことで打ち出しているということであります。

次が、上の最初に申し上げたところは、法改正を伴うもの、息の長い話になります。では、改正するまでは何もしなくて良いのかと、必ずしもそうではないということでありまして、では、改正されるまでの当面の間、何か運用改善はできないかというのが、2つ目の項目になります。

こちらなのですけれども、家庭裁判所の地域の関係者の連携によって、少なくとも御本人が望めるような後見人を選任いただけるようにしないかと、裁判所の職権事項なのですね、後見人を選ぶのは。あと必要に応じて、後見人を交代できたり、あるいは法律専門職がという話も申し上げたのですけれども、意思決定支援研修ということで、本人に寄り添ったような運用ができるだけなされていくよう進めていけないかということが、1つ目です。

2つ目が、後見人の報酬ということになります。後見人の報酬なのですけれども、裁判所が定めるということなのですけれども、支え手からすれば、法律専門職からしたら、この報酬ではなかなか継続性が難しいし、なかなか専門職がやってもらえないのではないかという危惧がある一方で、支えられる方からしたら、この費用を払い続けるのは難しいのではないのかと。特に最初申し上げましたとおり、利用がずっと継続してしまうという話もありますので、こういったところも何とかしなくてはいけないのではないか。

あと市町村の事業の中で報酬助成事業というのをやっているのですけれども、これをやっているところと、やっていないところがあったりということがございますということです。

ということで、第二期計画なのですけれども、後見人への適切な報酬の付与を考えていこうということになります。

現行なのですけれども、最高裁、家庭裁判所で適切な後見人報酬の算定に向けた検討を今、検討しているということになります。

併せて、報酬助成もどうするかということを連動して考えるということになると思います。

あとは、成年後見制度の見直しを行うということを今申し上げました。ということで、制度の全体のバランスが変わるのだったら、報酬の在り方も検討し直すのではないかということでお見せしているということです。

併せて、そこのバランスが変わるのであれば、今やっている報酬助成の在り方も変えていくのではないかということで、こちらも短期的な取組と長期的な取組でアプローチするということで考えているところです。

最後は、少しかぶる部分もあるかもしれませんけれども、地域連携ネットワーク作りについてということです。

先ほど申し上げましたけれども、小規模市町村では、なかなか司法の関係者もいないということで、地域連携ネットワークが進んでいないというのがございます。

こういったところと合わせて、高齢者の増加に伴って担い手を増やしていかなくてはいけない、こういう論点もあるかと思います。ということで右のところです。

1つ目、先ほど申し上げましたとおりなのですけれども、都道府県の機能強化ということで予算を組んでおりますけれども、これを進めていくということになります。

あとは市町村でも計画を策定してくださいということであったり、あるいは市民後見人、法人後見人というのがあるのですけれども、なかなか担い手が進んでいないと。なかなか小さな市町村では、担い手育成が難しいということなので、都道府県が育成方針を策定して取り組むということで、一歩踏み出せないかということで、お示ししているということです。

ということで、この第二期基本計画なのですけれども、令和3年3月29日から審議、検討を開始しまして、御覧のとおり、かなりの数の検討をしまして、12月22日に、今、パブリックコメントで3月末には閣議決定という段取りで進んでいるところです。

これ以降の資料は、御参考までということで、今の基本計画の概要を示しておるということになります。

私からは、成年後見制度の取組と第二期計画、今後の方向性も含めて説明をいたしました。

私からの説明は、以上であります。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、成年後見制度の利用促進について質疑応答と意見交換をお願いいたします。

時間は20分程度を予定しております。よろしくお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いします。

○清水委員 清水です。御説明ありがとうございました。

消費生活相談員としては、この制度、認知度向上と連携だと思っています。先ほど御説明の中に、約600万人中23万人の利用という御説明がありました。私たち相談で受けていると、もうほとんどの人が、この制度を知らないというのと、知らないから、当然成年後見制度を利用していたら相談の解決もできたのにというのが多いです。

ですから、認知度をますます上げていかなくてはいけない、スピード感を持って上げていかなくてはいけないと思います。

ただ、本当に現場では本人を説得するのが大変です。禁治産者というのかとか、それはもう平成12年に変わっていますと言っても、裁判所に行くのか、悪いことをやっていないのになどと言われるレベルです。そこを丁寧に、丁寧に、本人の財産を守るなど、悪質業者の被害から守るということを説明しながら、現場ではやっているという状況でございます。認知度向上が、まず第1かと思います。

もう一つは、地域連携です。名古屋市は、おかげさまでもう15年ぐらい前から福祉との連携をやってきていますので、できているのですが、まだまだできていない市町村があります。計画の中にもありましたが、やはり県がフォローアップしていかなくてはいけない、消費者行政もそうなのですけれども、県がやれないところをやる、県によってはできないところがありますので、ここは国がきちんとバックアップしていただきたいと思います。スピード感を持って、よろしくお願いします。

以上です。

○厚生労働省松崎成年後見制度利用促進室長 現場の実務に基づく御意見を頂きまして誠にありがとうございます。

本当に司法がコミットするからこそできるものというのは、結構大きいというのはいろいろ現場の話を聞いております。

ということで、おっしゃったことができるものは、もう運用改善でできるだけ早く、難しいものは法務省とも連携しながら制度改正にということで、今後、高齢者の方々を含めて、こういった司法の支援を必要とされる方は増えてくると思います。我々としても、こういった御意見をいただきながら、しっかり頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いします。

○清水委員 よろしくお願いします。

○後藤委員長 それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村です。御説明ありがとうございます。

実は、私、利用促進法の以前に、この制度を利用したことがあります。それも踏まえてちょっと質問と意見をさせていただきたいのですけれども、ただ、説明をお聞きしまして、私が利用していたときよりも地域連携などが進んでいること、そういうことは理解いたしました。大変感謝しております。

それで、やはりほとんどの方が、認知度が少ないということもあると思うのですけれども、いざとなったときに困って利用するということがすごく多いと思います。それで制度を知って、使わざるを得ないということで使っているというのが実情なのかなと、いまだにというところはちょっと思うところです。

やはりそこでは分かりやすくて、利用しやすく、広報ですと、必要ということは同意いたします。

説明を伺っておりまして、利用者の声を聞くシステムというのか、そういうのは何かあるのかなと、今回の会議を開きまして有識者の方からなど、いろいろ聞いているのですけれども、そういった例えばアンケートやお声など、そういうものはどういうものがあるのかなというのを分析したことがあるのでしたら教えていただきたいというのが質問です。

あとは意見になると思うのですけれども、私が利用したときに、やはり思いましたのは、遠距離介護になってしまいました。それで、私が本来でしたら後見人になる予定だったのですけれども、やはり遠距離ということで、毎回毎回裁判所に行くのが遠いということで、近くに住む兄弟にお願いしたのですけれども、やはり今回、私のように遠距離介護の方が今後増えてくると思いますので、例えば、オンラインの整備、デジタル化ということで、どこにいても利用できるような、そういった制度にしていただければなと思っております。

もう一点は、オンラインということで、当時e-Taxを利用しようと思ったときに、私が住んでいる自治体ですと、成年後見人がe-Taxを利用することは可能だったのですけれども、親が住んでいるところはそれができないという自治体がありまして、やはりそういう自治体による格差というか、制度の整備が必要ではないかなと思っているのが1点目です。

次に、もう一点は、後見人というのは裁判所が決めるわけですから、親族がなりたいと思ってもなれない場合もありますし、いろいろな場合があって、その辺りの透明性が必要なのかなと思っております。

家族に頼れる人と、家族がいない方、また、いても様々な事情から頼れない方、いろいろな事情があると思いますので、その辺りの透明性をどうしていくのかなというのが、必要だと思っております。

3点目になりますけれども、先ほどの説明にもありましたけれども、やはり費用の問題です。

一番困りますのは、自分で費用を負担するのだけれども、どんどん財産が減っていくという、すごくお金持ちの方は良いのです。あと、お金が本当になくて補助が得られる方はいいのですけれども、そうではない方々、多分この人たちが一番多いと思うのですけれども、その方々の費用負担の負担感というのをどうしていくのかというのが、大事ではないかなと思います。

と申しますのは、やはり私の周りでも、この制度を利用しますかと聞いたときに、毎月毎月1回利用すると、ずっと払わなくてはならないのだねと。専門家の方にお願いするのは良いのだけれども、毎月毎月そんなに案件が発生するわけではないと、何もしてくれならないのにこんなに払うのかというようなお声も聞いております。ですので、その辺りをどうしていくのかということは課題ではないかと思っております。

私からは、とりあえず以上です。

どんどん良い制度になっていって使いやすくなっていくことが本当に求められると思いますし、私も含めて高齢者というのは、本当に今後増えていくので人ごとではないというのは実感しておる次第でした。

以上です。

○厚生労働省松崎成年後見制度利用促進室長 現場、実体験に基づく御意見を頂きまして、誠にありがとうございます。非常に私からも伺って参考になるところがありました。

それでは、幾つか質問がございましたので、説明できるところはやっていきたいと思います。

まず、利用者の意見のお話なのですけれども、実は、今回の基本計画を作るに当たりまして、実はもう半年以上前なのですけれども、都道府県や市町村などから現場の声を拾い上げるということをしてきております。

併せてなのですけれども、成年後見制度、まだ周知が進んでいないと、これは良い部分、悪い部分もあって、要は進んでいないところで、これからやろうというとこには、国から講演などしてくれないのかなという話が、結構来るのですね。そういったときに、今はちょっとコロナ禍でオンラインになっているのですけれども、それ以前は実際に現場に行って講演して、利用者の方々も含めて意見を聞きながら、どういったことが今課題なのかというのを聞いてまいりました。

次期計画になりましても、また改めて計画の目指すところを周知することが必要だと思っています。

そういった中で自治体へのコミュニケーションとかも積極的にやりまして意見を吸い上げて、良い制度に、あるいは運用にやれるように努めていきたいと思います。これは1つ目です。

次がオンラインと、あと自治体の格差ということなのですけれども、最初にお話ししたところとも関連するのですけれども、やはり離島、過疎地域などでは、司法専門職などがいないという、ここをどうするかというのは、なかなか難しいところかと思います。

ということで、我々でも今年度の補正もそうですし、来年度の予算もそうなのですけれども、オンラインを使って都道府県とコミュニケーションできるようなということで予算組みをしております。

特に、来年度、都道府県に裁判所とか司法専門職などで、協議会というか、ネットワークを作って、そこの専門職の知見を過疎地域、離島等も含めて、その知見を伝えていく、相談に乗るということを作ることが大切だと思っていまして、今申し上げました協議会とオンラインの支援、この2つを併せて地方へ身近になるように取り組んでいければなということで考えております。

次が後見人、どういった方が選ばれるかというのは、なかなか難しいと思った方が、これは、なかなか現場でもいろいろ聞こえてきます。

最終的には裁判所の審判事項なので、明確にというのは、なかなか裁判所との話では難しいところがあるのですけれども、1つちょっと工夫を考えています。

というのは、ある地域であれば、申立てをした後見人を裁判所が選ぶ可能性が高まっているところがあるというのがありまして、それは何をやっているかというと、そういった中核機関と裁判所等が、個別名を出してですと、裁判所の裁判官の判断に関わるということで難しいのですけれども、例えば、こういうプロフィールで、こういう方であれば、親族ですねなど、こういう方で、こういうタイプの方には、弁護士ですねということで、こういう方であれば、こんな方にするというイメージのすり合わせを裁判所の間でしている地域があるようです。今回、基本計画を進めていきましょうと書いています。

ということで、そういった取組をする中で、運用の中でということで、限界はあるかもしれないのですけれども、そういった中で、申立人と裁判所の考えが、できるだけすり合わせができるような形で進めていきたいなと考えております。

最後、費用の話がございました。費用の話、さすがに難しいところです。御本人からしたら負担が難しいというとこもありますし、一方で、司法的な支援で弁護士さんが必要だといったときには、ある程度の司法、報酬がないとなかなかそれに携わってもらえないと、こういった難しい問題があって、なかなかというところがあります。

最終的には、民法の改正に合わせてどうやってバランスを取っていくかという話になると思います。

1つ、前向きな話というかどうかあれなのですけれども、今、成年後見制度を利用し始めると、基本はずっと使い続けなくてはいけないという仕掛けなのですけれども、ここの専門家会議の議論の中でも、何らかの課題が解決されたら交代する、終わりにするなどということを制度として検討できないかという話が出ています。

ですので、要はずっと何十年という話では、なかなか難しいのですけれども、特定の課題を解決するまでの、例えば1年間であったり、ということであれば、同じ報酬の形であっても、見え方が変わってくるのではないのかなということで、今後は民法改正の議論に委ねられるということであるのですけれども、そういったことも含めながら検討していくよう、法務省とも連携していきたいと思います。

私からの説明は、以上であります。

○木村委員 ありがとうございます。

是非利用者が利用しやすいような制度に、柔軟に改正していただければと思います。よろしくお願いします。

○後藤委員長 生駒委員、よろしくお願いします。

○生駒委員 御説明ありがとうございます。

認知症の方が、現在600万人、高齢者の方の5人に1人がそういう症状でいらっしゃって、これは、全人口を見ても20人に1人の方が、そういう症状に陥られていると、本当にすごい数字だなと思っているのと、そのうちの23万人しか利用者がいないというところで、成年後見制度の問題、財産管理と身上監護というところがあると思うのですけれども、1つには利用者が少ないという問題と、あと、悪徳商法や詐欺の対象になりかねないというところが心配されているかと思うのです。

ですので、法整備を細やかに、このようにしていただくことは大変重要な急務ではないかと思っているのですが、福祉と司法の両面から支えていかなくてはいけないというところ。

それで、実際、私の場合は、寝たきりの母だったものですから、知り合いの、私がよく知っている弁護士に御相談をして、私の姉が後見人的な形で対応させていただいたということで、やはり見知った、知り合いの方でないと、なかなか委ねられないところもあるなと、自分では感じています。その知り合いがいない方だったら、どうされるだろうみたいなところもちょっと感じるところで、このちょっと先の話になるかもしれないのですけれども、私も弁護士や社会福祉士、いろいろな方が支えていらっしゃるのはいいことだと思うのですが、逆に言うと、成年後見制度の専門家がいらっしゃるのかなというのは、ちょっと知りたいところなのですね。

と言いますのは、例えば海外の例を見ますと、ドイツやオーストリアではプロの成年後見人が存在しているということで、国家が法律で決めて、成年後見センターと呼ばれる場所が存在して、それが政府によって認可されていて、プロの後見人を雇用して、活動資金も負担されている、つまり利用者が、さほど高いお金を払わなくても利用できる公的な制度となっているということを聞くのです。

また、オーストリアでは、監督体制がしっかりしているので、ほとんど詐欺など横領が起こりにくいということのようなのですけれども、それは、事務報告や財産状況を裁判所に月1回必ず報告するというような厳しい制度が取られておりますので、また、その成年後見制度に従事する専門家の裁判官の方もいらっしゃるということで、二重三重に守る制度、そういうものを防ぐ制度が整えられつつあると聞いております。

御質問なのですけれども、今後、そういったプロの成年後見人を養成する、あるいはそういう社会的立場をお作りになる御予定があるのか、成年後見制度の専門性の高い方を育てていくような制度があるのかということを、ちょっとお聞きしたいと思いました。

希望ですけれども、やはりそれぐらい必要な状況に、今、陥っているのではないかなと感じておりますので、よろしくお願いいたします。

○厚生労働省松崎成年後見制度利用促進室長 また、御質問は、御経験に基づくものということでいただきまして、誠にありがとうございます。

成年後見制度の見直し自体は、実は法務省ということで、言える限りのことということなのですけれども、まず、お伝えしたいと思います。

実は、基本計画の中では、今回成年後見というのですけれども、ポイントは身上監護をするとか、今おっしゃったとおり、金銭管理をして、ちゃんと本人の生活を整えていくというのがベースかと思っています。

それで、実は成年後見制度の基本計画なのですけれども、もう少し幅広い観点で権利擁護支援という観点でアプローチできないのかなという話がありました。どういうことかというと、福祉の側でもできるのがあるのではないか、要は、今の成年後見制度というのは、使うと一生使わなくてはいけない、報酬も日々発生して、極めて硬直的だということで、そういった陳情の保護をするということと金銭管理、司法だけではなく福祉ができる余地もあるのではないのかなと、そういった話もありまして、実は、我々も進めていかなくてはいけないと考えています。

それで、それを一応権利擁護支援と我々呼びならしているのですけれども、これは、大きく2つあるのではないのかという話がありました。

1つが、最初おっしゃいました、今回の消費者被害とも関係してくると思うのですけれども、権利侵害からの回復支援というところです。何かがあったときに、それを司法でコミットメントしなければいけないという話と、あと1つが、いわゆる福祉に近いところになるのですけれども、意思決定支援ということで、御本人の意思をしっかり酌み取って、そのことを実現するための保護をして、それの後押しをするための金銭管理をきっちりしていくと、要は、御本人に寄り添って実現するということと、それがなかなか難しい虐待など多重債務とかを負われている方がいます。なかなか難しい。そこは権利侵害の回復支援ということで、要は福祉的なものと、もうその声すら上げられない方を支えていくのが、権利擁護支援だと、これを福祉と司法で一緒にやっていこうではないかというのが、次期計画で示しているという話になります。

ということで、全体としては、民法の成年後見制度を見直すとともに、福祉の側でもちゃんとそれを周りで、対象にならない方も支えていくと、こういった形でやっていくというのが全体の話になっていく。

実は、その成年後見、議論の中ですけれども、今は、市民後見人であろうが弁護士であろうが、例えば、後見人に対して代理することの行為は変わらないのですね、何でもできますと、一括して何でもできますという話になるのですけれども、今、議論に出てきているのは、要は特定の課題が解決されたら終了する、人を交代するなど、そういうことができないかということが出てきています。

すなわち、どういった業務に対して支援が必要なのかというのを考えていこうではないかということで、もう少し分解してくという話になると思います。

となったときに、最初にお話がございました、成年後見制度の専門性は一体何かというとこなのです。要は、いわゆる何でもかんでも、要は、意思決定の支援の福祉に近いものから、消費者被害からの極めて難しい、悪徳業者などの話もありましたけれども、そういった極めて広いもので、それをオールオーバーで見られるような専門職が必要なのか、それとも、各個別の事案に対して支援するという、要は事案に対しての専門性というのですかね、要は何でもかんでもなのか、事案が解決したら人が代わると、その事案に対する専門性を持っているのは誰かと、そういうアプローチもあると思うのです。

ですので、今後、民法の全体の見直しの中ではあるのですけれども、事案解決した特定の事案に対する応対を見たときに、その専門性というのを見るかというようなことがあるので、またちょっと議論の行く末次第なのですけれども、全体の中でやっていくと。

なお、ドイツの取組も我々の専門家会議でもお示ししております。法務省におきましても、そういったことも含めて、やはりドイツでは、期間を限定している部分があると思うのです。そうすると、やはり短い期間でコミットメントすると、今、日本だと、使い始めるとずっとという話なので、結構なかなか中心で見られる期間というのは長くなって、なかなか難しい部分があるので、そういったことも含めながら考えていくのか。

今おっしゃった御意見に関しましては、法務省に、お伝えしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○生駒委員 ありがとうございました。

今おっしゃったことで、ちょっと感じたのですけれども、結局、どこに相談して良いか分からないという方が大半だと思うのです。ですので、成年後見人のプロとまで言わずとも、カウンセラーというか、成年後見制度に関してのカウンセリングができる方がいらして、その方が、いろいろな情報やネットワークをお持ちで、あなたのその状況に関しては、ここに御相談すると良いのではないですかみたいな、何かそういう窓口があると良いのかなって、今、ちょっとふと思いました。例えば、区役所や市役所に行くと福祉課もありますけれども、その中で、多分、賄っていらっしゃるとは思うのですけれども、そういうようなカウンセリングするようなところの窓口からも必要かなと、ちょっと思いました。

すみません、以上です。

○厚生労働省松崎成年後見制度利用促進室長 すみません、1点だけ、実は御説明ではちょっと伝えづらかったことで、中核機関というのがあって、社会福祉協議会、そこがネットワークを作るということになっていまして、基本はそこにお尋ねいただければということで、まだまだ周知が足りない部分があると思います。まだ全国半分ぐらいということがありますので、ちゃんとこれを全国に広げていって、皆さんに知っていただけるよう、我々としても努力していきたいと思います。御意見ありがとうございます。

○生駒委員 ありがとうございます。

○後藤委員長 恐縮ですが、時間の関係で、質問と回答を短めにして御発言いただけたらと思います。

それでは、星野委員、よろしくお願いいたします。

○星野委員 御説明ありがとうございます。

簡単に意見としてでございますけれども、KPIとして職権解任件数とか、横領や犯罪などというので起きたかどうかなど、あとは、被後見人の自己破産申立てみたいなものって結構重要だと思うのですが、それはこういう制度を使ったのに対して、あまりうまくいかなかったという場合は、やはり減らすということは非常に重要だと思いますので、是非実際に、職権解任件数や自己破産申立てみたいなものを、KPIとして持っていただくということは重要かなと思います。

逆に、その制度を利用していない、例えば認知症患者みたいなものに比べて、各種犯罪など自己破産みたいなのが、この成年後見制度を使った人たちだとどれだけ減っているのかみたいなものも非常に分かりやすく示されると、この制度を使ったことは非常にメリットがあるということにもなりますので、そういう観点で、何かをやったとかいうことではなくて、実際結果としてどうなったのかというところを、是非考えていただければと思います。

あと関連して、どんな立場の人が適切な後見人なのかというのは結構関心がありまして、多分、昔は親族が多かったのがだんだん減っていると思うのですけれども、そういったことに伴って、その解任件数が減ったのか、自己破産が減ったのかみたいなことが分かるといいかなと思います。

長くなっておりますけれども、もう一点だけ、日常生活も大事ですけれども、先ほど生駒委員の議論とも関連しますけれども、やはり、財産管理は非常に重要だと思うのです。その場合、例えば、リバースモーゲージを使うみたいな選択肢など、現金は今ないけれども不動産はあるみたいな、その場合、固定資産税は掛かっているみたいなことが多分あるわけですね。

そうしますと、適切なファイナンシャルプランニング能力みたいなものは結構重要だと思うのですよ。そういう経済的な観点というかファイナンシャル的な観点からの研修など、また、税理士などそういったファイナンシャルプランナーみたいなものまで、後見人について議論するみたいなことの促進は、どの程度お考えなのかということを伺いたいと思います。

○厚生労働省松崎成年後見制度利用促進室長 それでは、簡潔に御回答ということなので、簡潔に説明いたします。

まず、裁判事項関係は、なかなかKPIで作るのがちょっと難しいのかなというのがあるかと思いますけれども、我々としては、利用促進法の中で、どうやって利用を進めるかということも含めて検討していますので、その中でできるものは対応ということになるかと考えています。

あと、ファイナンシャルの関係なのですけれども、今後、権利擁護の支援のネットワーク、多様な方が入っていただく必要があると思っています。そういった中で、どういった方で、できるだけ広げていくというのをやりたいと思っていますので、そういった中で、我々も取組を進めていきたいと思います。

以上です。

○星野委員 ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。回答も圧縮していただき、恐縮ですが、どうもありがとうございます。

それでは、黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 よろしくお願いいたします。

私も後見人などをやっていますので、いろいろ言いたいことあるのですけれども、質問だけをさせていただきまして、1つは、令和3年3月31日に、重層的支援事業と成年後見人利用促進に係る取組の連携についてという文書が発出されていて、そこでは、この両者の関係は非常に密接な関係があるということはおっしゃられていまして、今、これから約1年近く経っているのですけれども、どういう形でこれが取り組まれているのかということについてお尋ねしたいと思っています。第1点がそれです。

第2点は、令和3年の2月18日に、今度は全銀協から金融取引に関する考え方と、それから地方公共団体、社会福祉関係機関との連携強化に関する考え方というのが出ていまして、いわゆる親族の無権代理が行われているので、これは非常に問題であるということで、いろいろな福祉協議会など、そういうところと金融機関も連携したい、しなければならないではないかという趣旨の文書が出ていますと。

こういうような形で金融機関と、こういう福祉機関との取組はどうなっているのかということについてお尋ねしたいのです。特に全銀協の考え方は、民法的には正しいのですけれども、これを貫いていってしまうと、先ほど生駒委員もおっしゃられましたが、認知症が疑われる人たちというのは、もう金融取引からも排除されるということになってしまって、大変なことになりますので、この辺りをどうお考え、今どういうふうになっているのかということです。

最後、この中核機関というのが非常に重要な役割を行っているのだということは、理解というか、あれで見たのですけれども、この中核機関とは利息法との関係では、どういう法的な位置付けになっていて、どういう関係でいろいろな諸機関が集まってくるのかと、協議会とか、その辺りとの法的な位置付けというのをもう少し説明していただけると有り難いなと思いました。

後見人を実際にやっていると、専門職から見ると、もう推定相続人が大げんかしている真ん中に入って、サンドバッグになったりして大変なのですけれども、それは置いておいて、とにかく重要な問題だと思いますので、御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○厚生労働省松崎成年後見制度利用促進室長 それでは、まず、重層との連携ということで、なかなかしっかり知られておりますなということで、ありがとうございます。御関心を持っていただきまして。

実は、我々でも包括的、多層的な支援体制など、いろいろな方が関わるということで、新計画の中で取組を連携して行う際の情報収集は、実は始まったばっかりですので、来年度から2年ぐらい掛けてやっていこうと思っています。

その上で、重層事業、要は具体事例を集めた上で、大体、中間年度ぐらいを目途に、それを更に具体的に進めるにはどうしたら良いのかということも検討につなげていこうかなということで、今始まったばかりで、来年度に情報収集を開始して、中間年度ぐらいから更に深掘りをしていこうと考えていますというのが1つ目になります。

金融機関の関係は、恐縮なのですけれども、今、情報は持ち合わせてはいないのですけれども、こちらも御懸念を伝えて、金融庁と法務省ですかね、ちょっとやっているところになりますので、ちょっと連携してフォローできるようにしていきたいと思います。

最後、中核機関の法的位置付けということなのですけれども、これは、実は法律上の組織ではなくて、利用促進法の基本計画の中で書かれているというものなのです。議員立法ということで詳細まで書き切れていないというのもありまして、基本計画をもって、これは閣議決定ものですので、そこで位置付けして、全国に取り組んでいただいていると、こういった立て付けになっております。

説明は、以上になります。

○黒木委員 ありがとうございました。

○後藤委員長 それでは、大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

時間がないところすみません、一言だけ発言させていただきます。今後、私自身が、この制度を利用すると考えたときに、存在は知っていても実際に利用するとなるとハードルが高いと感じています。心配なのは、まず、どのような人が後見人になるのか、また、後見人との関係が悪くなった場合その後どうなるのか、大丈夫だろうか、ということです。これは自分の親でも、また自分自身であっても同様に心配になります。

その意味では、後見人はもちろん専門性も必要だと思うのですが、先ほどのお話にもありましたように、個人というよりも複数人で対応いただければと思います。いろいろな専門家の人が存在するチームで対応していただき、柔軟性を持って対応してくれると、今後の利用のしやすさにつながるのではないかなと思った次第です。以上です。

○厚生労働省松崎成年後見制度利用促進室長 正しく委員おっしゃるとおりでありまして、専門家会議でもそういった議論を強めていこうということが出てまいりました。御意見を踏まえながら、現場で、それがきっちり実装できるように、我々も後押ししていきたいと思います。よろしくお願いします。

○後藤委員長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。

議論が白熱いたしまして、委員の方々御関心が非常に高い問題だと思います。

成年後見制度は、消費者被害の未然防止や消費者の安全・安心の確保といった消費者行政の目標を達成する上でも非常に有効であることから、積極的な利用を促進していくことが重要であると考えます。

本日の委員の方々の御発言の中には、御経験も踏まえたお話が出てきておりまして、種々の問題点も指摘されております。

これらを踏まえて、利用しやすい制度にするように取り組んでいただくことを期待します。

現在策定中の第二期基本計画における重点課題として、地域連携ネットワークの構築や担い手の育成などが挙げられておりますが、各自治体の消費生活センターへの相談を契機として、成年後見制度の利用につながるような事例も存在するなど、消費生活センターや消費生活相談員も重要な連携先、担い手として位置付けられるものと思います。

今回の厚生労働省の説明資料ですけれども、資料1の11ページの図でありますが、地域連携ネットワークの図の中に、消費生活センターや消費生活相談員等が明示されておらず、消費生活センターや相談員の位置付けが、やや不明確という印象を受けました。

この点から見ますと、厚生労働省の資料の中に、消費生活センター等を位置付けていただくということがありましたならば、各自治体において消費生活センター等が連携先として意識されやすくなるのではないかと思います。こういった点も御一考いただけたらと思います。

また、地域連携ネットワークの構築や担い手の育成については、消費者庁が各自治体に設置を働き掛けている消費者安全確保地域協議会においても共通する課題でありますので、各自治体における制度の円滑な普及や負担軽減を図るためにも、両者が連携して取組を進めることが重要であると考えます。

厚生労働省におかれては、消費者庁をはじめ、関連する取組を推進する他の省庁等とも十分に連携した上で、施策の推進や自治体への支援等を行っていただくようお願いいたします。

消費者委員会といたしましても、本日のヒアリング結果を踏まえて、引き続き、取組状況を注視し、必要に応じて調査審議を行ってまいりたいと思います。

厚生労働省におかれましては、お忙しいところを審議に御協力いただき、ありがとうございます。どうぞ御退席ください。

(厚生労働省松崎成年後見制度利用促進室長 退室)

○後藤委員長 それでは、次の議題に移ります。

次の議題は、「身元保証と高齢者サポート事業に関する消費者問題への対応」についてです。

当委員会は独り暮らしの高齢者等を対象とした身元保証や日常生活支援、死亡時事務等に関するサービスを提供する「身元保証等高齢者サポート事業」に係る消費者被害の発生を防止するため、平成29年1月に、「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議」を発出しました。

その後、厚生労働省及び消費者庁に対し、平成29年8月と平成30年9月に取組状況についてフォローアップをし、自治体への通知、消費者被害への実態調査の実施等の取組を御報告いただきました。

当委員会としては、引き続き状況を注視することが必要と考えており、昨年4月及び12月の工程表改定に関する意見において、身元保証等高齢者サポート事業の消費者問題への対応の必要性について言及しているところです。

それを受けて、今回は、前回のフォローアップ後の取組状況や今後の課題、取組予定について御報告をいただきたいと思います。

本日は、御説明者として消費者庁消費者政策課の吉田課長、厚生労働省認知症施策・地域介護推進課の笹子課長にテレビ会議システムにて御出席をいただいております。

本日は、ありがとうございます。それでは、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁吉田消費者政策課長 消費者庁消費者政策課長の吉田でございます。本日は、よろしくお願いいたします。御説明の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、資料2-1に従いまして、御説明をさせていただきます。

表紙をおめくりいただきまして、2ページ目を御覧ください。

身元保証等高齢者サポート事業に関する消費生活相談件数の推移について記載させていただいております。

御覧いただきますと分かりますとおり、平成27年度に相談件数が増えたということがございますが、29年に消費者委員会からも建議をいただきまして、その後の経過を見ますと、おおむね下がっている傾向にございます。

そして、最近の傾向といたしましては、おおむね年間100件程度で推移しているということでございます。この1、2年、特に増えているという状況ではないと認識してございます。

3ページ目を御覧ください。相談の主な事例ということで掲載させていただいております。大きく事業者に関する相談、また、サービス内容・費用に関する相談、そして解約に関する相談という形で整理をさせていただいております。

事業者に関する相談のところでございますが、例えば、独り暮らしで身寄りがないので、身元保証サービスを提供してくれる事業者を探したいと思うけれども信用できるところはないか、2点目ですが、やはりそういった契約を結ぶことを検討しているけれども、特定業者について何かクレームは入っていないか、安心できる事業者かどうかということについての御相談といったものが寄せられております。

また、2点目でございます。サービス内容・費用に関する御相談といたしましては、これは、どちらかと言いますと、トラブルになっているということかと思いますが、年金を預かると言われて渡した通帳と印鑑を返してもらえない、あるいは、2点目のところでございますが、身元保証サービスの契約を親族が勧められているが初期費用がかなり高額なので心配であるということで、どういう点に留意すべきか、知りたいといったような御相談が寄せられております。

また、解約に関する相談につきましては、契約を締結した後の話となりますが、保証人代理の契約をしたが解約したいとか、返金額に納得できないといった事例ですとか、2点目ですと、身元保証支援業者に財産管理を依頼したが断った項目の請求が紛れ込んでおり利用明細書も開示されないので解約したいと、返金を希望したいがどうすれば良いかといったような相談が寄せられているということでございます。

4ページ目を御覧ください。消費者庁の取組でございますが、やはり消費者が安心して、身元保証等高齢者サポートサービスを利用できるように、平成30年8月、これは厚労省様と連携いたしまして、事務連絡を地方公共団体消費者行政担当部局宛てに、依頼をしておりますが、このときの議題事項というのは、大きく2点ございまして、このサービスを利用する事業者、サービスを検討する際のポイントを示した普及啓発資料というのを作成いたしましたので、その周知など、2点目といたしまして、高齢者の見守りネットワーク、地方における高齢者見守りネットワークを活用した地域連携の構築というものを一層促進していただきたいといったことを依頼させていただきましたが、この平成30年8月の事務連絡の内容等を踏まえつつ、情報発信の部分を中心に実施をしてございます。

大きく下のマル1からマル3のところでございますが、消費者庁のウェブサイト上で、このサポート事業に関する専用ページというものを新たに設けさせていただいております。

また、マル2のところでございますが、地方公共団体の消費者行政担当部局を対象といたします、消費者行政ブロック会議における周知というものもさせていただいております。

また、マル3のところでございますが、先ほど冒頭で消費生活相談の状況を御紹介させていただきましたが、その推移等を注視いたしますとともに、注意喚起の実施というものも適宜実施させていただいております。

少しそれぞれのところの取組を具体的に御紹介させていただきたいと思います。5ページ目を御覧ください。

消費者庁のウェブサイト、このような形で専用のページを、この身元保証等高齢者サポートサービスにつきまして設けさせていただいております。留意事項ということで、注意喚起を促させていただいているということでございまして、例えば、その中に、右側にございますような、このサービスの締結を検討していらっしゃる方々への留意点をまとめたパンフレット等も掲載させていただいてございます。

6ページ目を御覧ください。関連する消費生活相談の状況の注視というところでございますが、相談の案件数など、また、相談の内容につきまして注視いたしますとともに、御覧のように国民生活センターの方からも、左側が令和元年5月、正にこのサポートサービスをめぐる契約トラブルに関しての注意喚起を実施していただいておりますほか、右側は昨年の6月ですが、高齢者の自宅の売却トラブル、これは、ちょっとサポート事業とは直接関係する部分ではないかもしれませんが、売却トラブルというのが横ばいで推移しているということもございまして、その点の注意喚起も実施していただいているところでございます。

おめくりいただきまして、7ページ目でございます。

消費者庁でも、この注意喚起につきましては、適宜実施させていただいておりまして、右側は昨年9月に、このようなチラシ、リーフレットを作成いたしまして、これは住宅の売却資産管理ということで御案内させていただいておりますけれども、下のところにございますように、高齢者サポートサービスにつきましても、注意喚起を促しているということでございます。

8ページ目をお願いいたします。今後の取組等のところでございます。御承知のとおり、基本計画の現在の工程表におきまして、この身元保証等高齢者サポートサービスに関する対応というものを、まず位置付けられておりまして、厚生労働省をはじめとする関係府省等との取組、連携というものを進めております。

正に、今、工程表の見直しということも進めてございますので、引き続き関連する事象、状況等を注視いたしまして、取組を検討し、この工程表にも反映してまいりたいと考えております。

最後のページは、建議の概要でございますので、割愛させていただきます。

消費者庁からは以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。

○厚生労働省老健局笹子認知症施策・地域介護推進課長 続きまして、厚生労働省老健局で認知症施策・地域介護推進課長を務めております、笹子と申します。本日は、御説明の機会をいただきまして誠にありがとうございます。

今、消費者庁から御説明がございましたとおり、消費者庁様をはじめ、関係府省と連携しながら、私どももこの取組を進めさせていただいているということでございます。資料に基づきまして御説明をさせていただきます。

3ページ目を御覧いただけますように、2017年1月の建議事項を端的に申し上げると、厚生労働省は、しっかりと実態把握をし、その結果を踏まえて関係行政機関と連携して措置することという、そういった建議を頂いたと認識しております。

4ページ目をお開きいただきまして、その建議を受けまして、平成29年、2017年でございますが、私ども老人保健健康増進等事業というものにおきまして、調査研究事業を立てさせていただきました。

調査方法、下にございますけれども、キーワード検索によるインターネット調査など、あとは消費者委員会様からお示しいただきましたリスト、あるいは事業者等へのヒアリング調査で出てきた事業者、全体として最大109事業所をピックアップいたしまして、実際には、事業を実施していないというところもございましたので、対象事業所は91事業所でありましたけれども、そういった事業所に対するヒアリングや電話アンケート調査などを行うとともに、あとは類似サービスを提供している自治体や社会福祉協議会など、そういったところもございますので、そういったところに対するヒアリングなどの調査、更には消費生活相談データ、PIO-NETの660件程度、これを分析することによりまして、利用者の実態、こういったものも把握するということに努めたところでございます。

5ページ目お開きいただけますでしょうか。その結果でございますけれども、マル1とございます。実態調査の結果でございますけれども、事業者の実態ということで、当時でございますが、中途解約の方法に関する利用者に対する説明、これは全ての事業者が契約時に説明していたということ。

右でありますが、契約締結の際の費用の説明方法、これは全ての事業者がサービスごとに費用体系を説明していたということであります。

マル2にございますように、預託金の保全措置、これは自法人あるいは連携法人で、専用口座を設けているとした事業者が大宗を占め、95%程度だったと承知しています。

マル3であります。契約内容が契約者の意向に沿うか否かの確認方法であります。

全ての事業者において、契約書への署名を求めているほか、サービスプランなど、利用者に対してどのようなサービスを適用するか明示した書面を作成する事業者、あるいは公証人を介在させて公正証書を作成するとした事業者もありました。

契約締結の際に契約者を支援する方としては、紹介者とは異なる公証人などケアマネジャー、民生委員、弁護士等と、こういった方が支援すると、回答された事業者が大宗を占めたということでございます。

そのほか、利用者からの苦情の収集、対応、活用の仕組みの構築ということでありますが、最も多かったのは、その都度共有しているという事業所が多かったということで、データベース化まで実施している事業所も半数程度あったということであります。

そうした実態を踏まえて、課題でありますけれども、主に独居の高齢者が、身元保証人あるいは死後事務に関する手立てを求めておりまして、身元保証等高齢者サービスの利用意向を持ちますけれども、その事業者の信頼性や価格の妥当性に関する判断基準がなく、利用をためらい、利用後も不安を残しているという、そういった課題。

2つ目として、医療機関における身元保証人の求めに応じて利用を検討する場合など、十分な判断の時間がないということがあり得る。

更には、小規模な事業者が多いということで、情報が少ないということ。

4つ目として、本人以外の家族や支援者から、契約内容が分かりにくいということでありました。

6ページ目でございます。そうした実態、課題を踏まえまして、それへの打ち手をまとめております。

1つ目が、利用者・家族向けの啓発資料、サービス・事業者検討のポイント集の作成・配付ということでございます。

2つ目として、自治体や社会福祉協議会による先進的な取組の情報の発信ということでございます。

一部の行政あるいは社協が、こういったサービスを提供したり、あるいはネットワーク化をしたり、そういった取組事例についても、この調査研究事業の中で具体的に記載をさせていただいておりますので、こういったものの情報の発信をするということであります。

3つ目として、事業者による健全な事業運営と利用者への理解促進への努力ということ、こういったものが求められるということでございます。

7ページ目でございます。この調査研究事業を踏まえまして、今、申し上げたようにポイント集の作成など好事例のまとめ、そういったものをさせていただきました。これにつきまして、私ども毎年、全国介護保険高齢者保健福祉担当課長会議というものがございますので、自治体の関係者に対して、このポイント集などについて周知を実施させていただいております。

この通知につきましては、消費生活センター窓口にも消費者庁様経由で周知をいただいているところでございます。

2つ目として、自治体や社会福祉協議会による先進的な取組の情報の発信、こちらについても先ほど申し上げたとおり、この調査研究事業の中で取りまとめてございますので、この調査研究事業の周知という形で周知をさせていただいています。

なお、介護保険施設であるとか、あとは、医療関係団体、こうした団体に対してもこの事務連絡については周知をさせていただいております。

8ページ目を御覧いただけますでしょうか。建議の中で、関係行政機関とよく連携してということを御指摘頂いております。

1つ目のマルにございますように、先ほど事業者など、あとは介護保険事業者など自治体に対して周知させていただいたと申し上げましたけれども、このポンチ絵の左にございますように、身元保証等高齢者サポート事業を行っている方々に対しても、こういった成果物について周知するとともに、真ん中にございますけれども、国民生活センターの「契約トラブルの御注意」の中にも、私ども、紹介先ということでしっかりと入らせていただいたということ。

一番右、これは令和元年6月でございますけれども、これも消費者庁と一緒に出したものでありますけれども、注意喚起資料ということで、ここの中であえて申し上げているのは、真ん中にちょっと字が小さくて恐縮なのですけれども、契約時に預託金を払うというところ、そこのところが透明化されていないというところが、消費者委員会本会議においても指摘されているということをしっかり明記させていただいた上で、そこをしっかり対応するようにということで、身元保証等高齢者サポート事業に御協力いただいた事業者に、注意喚起をさせていただいているということでございます。

最後に9ページ目でございます。今後の取組であります。引き続き厚生労働省のホームページで、身元保証等高齢者サポート事業の概要、あるいはこのリーフレットは、公表させていただいて周知をしているところでございますけれども、2つ目のマルにございますように、今年の3月に、全国介護保険高齢者保健福祉担当課長会議がございますので、改めて、身元保証等高齢者サポート事業について、周知を行ってまいりたいと考えてございます。

また、消費者庁並びに各自治体とも連携いたしまして、相談件数なども注視しながら必要に応じて情報発信注意喚起を実施してまいりたいと考えているところでございます。

私からの御説明は、以上となります。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての対応」につきまして、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

なお、質疑応答の時間は20分程度を予定しています。よろしくお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。

PIO-NETの件数なのですが、直近、年間100件とのことですが、現場の感覚ですと、この相談というのが別の調査では4パーセントから7パーセント程度、相談したい人が相談してくる件数が4から7パーセントぐらいしかないというのと、あと188、消費者ホットライン局番なしの188、こちらの知名度からしても消費生活センターでも知名度を上げるように努力しておりますが、まだまだ知名度が低いと思います。

この点からしても、この数値だけで判断してはいけないかなと私たちは思っています。相談は増えていませんが、超高齢化は他国に例がない、我が国でありますので、危機感を持っています。どんな危機感かと言いますと、やはりそもそも身元保証という定義が明確ではないということで、今使える法整備、法律がないということ、法律整備の必要性を感じます。

ただ、今の御説明、厚労省、消費者庁等々、ルール等を周知していただいているということでの、今、過渡期かなと思っています。やはり末端の地方にいますと、なかなか情報が徹底していないと思います。

先日も身寄りのない人が急に倒れられて病院に入られた。意識がもうろうとしている中で、入院することによっての身元保証契約をしたのですが、退院したときに返金が少ないという相談がありました。

NPOと契約したときどうだったかというのが、あまり覚えていないということだったので、その方には今後の対策として、契約書をよく読むようにと言いました。内容からして、まずあっせんをしたのですけれども、NPOは契約どおりであると、そのとおりであるということで、消費生活センターがあっせんしても、返金額は変わらなかった。説明不足というのはあったのですけれども、NPOは今後きちんと説明しますということで終わってしまったのです。被害回復ができたかどうかというのは悩ましいです。

しかしながら、適格消費者団体に契約書の文言が、ちょっと問題ではないかと私は思ったので、そちらに情報提供をして、適格消費者団体が検討する流れはあったので、ある程度は消費生活センターではそういうような流れでやっている現状ではありますが、法整備を望みます。

以上です。

○後藤委員長 よろしいでしょうか、何かございますか。コメントをいただけますか。

○消費者庁吉田消費者政策課長 消費者庁でございます。

相談件数についての御指摘ございましたので、コメントをさせていただきたいと思います。

清水委員から、寄せられている相談件数が潜在的な相談ということも含めまして、必ずしも全てを表しているわけではないのではないかという御指摘があったかと思います。その点重々承知もしておりますが、今寄せられている件数というのを整理させていただいて、お示させていただいたということで御理解をいただければと思います。

他方、188の消費者ホットラインの周知ということにつきましては、我々もあらゆるルートを使って、しっかり取り組んでいかなくてはいけないと考えております。そういう中で、またより実態を反映するような形で、相談件数というものも捉えていくことができるのではないかと考えておりますので、我々もしっかり取り組んでまいりますので、引き続きの御協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

当庁からは、以上でございます。

○清水委員 ありがとうございます。

なかなか188の周知もままならず、サービス契約で相談してもいいですかみたいなレベルも現場であります。消費生活センターは、欠陥商品など、物だけの相談ですねなどと言われて、実は詳しく聞いてみたら、サービスは大丈夫ですよ、何ですかと言ったら、先ほど御紹介した事例みたいな身元保証だったというのもあるので、やはり奥の奥を聞いていかないといけないかなと思っていますので、現場でもきちんと相談を受けて、PIOに反映します。今後ともよろしくお願いします。

○消費者庁吉田消費者政策課長 こちらこそ、よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 それでは、笹子課長、よろしくお願いいたします。

○厚生労働省老健局笹子認知症施策・地域介護推進課長 私どももPIO-NETに限らず、しっかりと相談というものを受け止める体制というものが必要だと承知しております。

私の所管しているところでも、地域包括支援センター、これは介護保険法に基づいて市町村が設置するものでございます。これは地域支援事業の中で、公費3900億円程度で全体の中で運営されているものではありますが、こういった地域包括支援センターにおいての相談、こういったものも、今回のこの成果物については周知をしておりますし、先ほど申し上げた担当者会議において周知をすることによりまして、包括支援センターにも伝わるということになりますので、しっかりと周知をするとともに、先ほどの成年後見もそうですが、権利擁護相談事業、これも地域包括支援センターは行っておりますので、全国で7,000を超える拠点がございますので、しっかりと拠点の活用あるいはネットワーク化、私どもとしても進めてまいりたいと思います。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 大変丁寧な御説明をありがとうございました。

同時に、この身元保証については、事業者の破綻から大問題だということで、ずっと取り扱っている問題でありまして、私ども弁護士会の中でもこの問題については、かなり継続的な議論をしているところです。

先ほど御説明いただきましたけれども、調査報告というのは、株式会社日本総合研究所に委託した平成30年3月の報告書がベースだと思っているのですけれども、その中では、預託金のことについて、可能な限りアンケート調査において把握を試みたが、全容をつかむことは難しかったと、主に入会金、身元保証を行った場合の費用弁済、生活に係る費用の前受け、葬儀、納骨の費用の前受け、遺品整理の費用の前受け、死後事務等の前受けだったら、用途があることが把握できたけれども、事業者により、その効用や組合せ、金額は様々であって、個人に合わせて金額を設定することも多かったということで、どういう形でお金を取っているのかということについても、なかなか難しいという問題があると考えています。

これは、深く考えていきますと、結局のところ、身元保証サービスというのは、その後のフォローアップで平成30年にも消費者委員会に御報告を頂いているのですけれども、その中でも、結局のところ、なぜ必要かというと施設を利用したりする際に、身元保証を7割以上の、まだ当時の事業者が要求していると。

これが用意できないために、私どもとかよく聞いているのが、ケアマネが身元保証人になる、あるいは私も要求されたのですけれども、成年後見人に身元保証をしてくれという事業者があるといったようなことで、それは施設制度としておかしいですねということがあるのですけれども、しかしながら、それについてまともな、どういう形でやっていったらいいのかということについてのルールがない。まして、この身元保証をやっている業界団体といったようなものもない。どこが行政的にこの問題について最終的に調査して、監督権限を持つのかということについても、建議の段階からまだあまり進んでいないと思っていて、この点はやはり、もっと加速していただきたいと思っています。

実際ですけれども、これは、例えば、こういう事例があったという報告を受けています。京都地裁の令和2年6月26日の判決ということですけれども、たまたま高齢者に成年後見人が就任したために、非常におかしな身元保証契約があるということが分かって、これの取消しを認められた事例があるなど、それから、京都消費者契約ネットワークが、これは裁判外で交渉して、2019年に事業者との間で和解をしたというようなことで、まだまだ多くの問題があるだろうと考えております。

したがって、私どもとしては、やはり1つには、少なくともモデル約款みたいなものを国としても検討していただきたいというのが1つです。

あと、もう一つは、建議の3なのですけれども、結局、情報提供を充実していっても、高齢者の人たちにどうやって情報提供をするのかというのは、なかなか難しいと思っていまして、やはりそういう意味では、情報提供に加えて、この業界団体というようなものを勘案して、そして、何らかの形の業法などを作っていかないと、今後この問題は、なかなか解決しないのではないかなと思っております。

以上です。意見と質問みたいなことになりました。失礼いたしました。

○後藤委員長 いかがでしょうか。

○消費者庁吉田消費者政策課長 消費者庁でございます。ありがとうございます。

2点目ですかね、情報提供の仕方、注意喚起に関する御指摘を頂いたかと思います。高齢者の方御自身に直接伝えるということは、もちろんそういったケースも想定はしておりますけれども、周りにいらっしゃる方々、御親族など、あと、地域であれば見守りネットワークなどもございますので、そのような形態でサポートされている地域というのもあるかと思いますので、そういった周りにいらっしゃる方々等にもまた適時適切な情報をお伝えできるようにということで、注意喚起については尽力をさせていただいているというところでございます。

あと、ちょっと業法的なものというところについて、ちょっと我々がどこまでお話しするのが適切なのかということがございますが、やはりこの身元保証サービス、いろいろな側面を持っており、身元保証ということもありますれば日常生活支援、あるいは死後事務に係るいろいろな側面を持っているのではないかと考えておりまして、この消費者委員会からの建議を頂いた後も、例えばですけれども、賃貸住宅の入居につきましては、家賃債務保証業者は国に登録、公表して、保証業者の選択時の判断材料としていただくような家賃債務保証業者登録制度、そういったものも、国土交通省で立案、運用されているという承知しております。一例でございますけれども、いろいろな側面を持つこの身元保証等サービスについて、それぞれの分野について取組が始まっている部分、まだまだ足りないというところもあろうかと思いますけれども、必要な取組は進められているのではないかと認識をしております。

ちょっと2点目は、すみません、コメントということになるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 ありがとうございます。

○後藤委員長 笹子課長、よろしくお願いいたします。

○厚生労働省老健局笹子認知症施策・地域介護推進課長 厚生労働省でございます。

本日は建議事項1についてということで、説明は割愛させていただきましたけれども、高齢者施設あるいは医療現場において、この身元保証サービスというのをどう受け止めていくのか、これは建議事項2、3において御指導いただいていると承知しております。

各課各局連携してやらせていただいておりますが、まずは施設、医療機関において、この身元保証人がいないということをもって、入所拒否あるいは入院拒否をすることというのは、これは法律上の正当な事由には当たらないということはしっかりと通知をさせていただいているというのが1つと、もう一つは先ほど消費者庁が御説明いただいたとおり、この身元保証等サービスは様々な側面があるのではないか。生活支援、死亡事務、あるいは入院の際の様々な費用の保証、そういったことも含めて様々な側面があり、あとは利用者さんも、健康状態などの状況によって、様々な側面があり、それぞれどういったサービスがあるのか、身元保証サービスだけではなくて、先ほど御紹介したような市町村が行っているようなサービスもございますので、代替するようなものがあるのではないかというようなことを含めて、調査研究事業でそれぞれ整理をさせていただいています。

高齢者施設、それから入院に関しても、この医療に関わる意思決定が困難な方への支援に関するガイドラインということで、これは令和元年度に医政局で作っておりますが、令和2年度以降においても、その活用状況の調査など、実践の手引のような形で、引き続きものを作成し、更に作るだけでは駄目なので、しっかりと医療関係団体などを通じて周知をしていくという、そういった整理をし、必要なマテリアルの提供をしているという、そういった状況であるということは御説明させていただきたいと思います。

以上です。

○後藤委員長 それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村です。御説明ありがとうございます。

日本の慣習として身元保証は、実は高齢者だけの問題ではないのですが、それはちょっと今回置いておいて、高齢者は、なかなか家族もどんどん少なくなっていく中で、身元保証がされないということで、いろいろ不利益を受けるということは、本当にあってはならないことではないかと思うのです。

今までの議論でもありましたけれども、やはり良い制度があっても知らないということはとっても残念なことで、例えば、もう既に介護を受けている方は、地域の包括センターに御相談もできるのですけれども、そうではない方は、やはりまだまだの地域包括センターさえ御存じないという方も多いので、そういったところをどういうふうに、まず、窓口はどこなのですと、自分にどういうサービスがあるのかということが、どうしたら分かることができるのかというところは、まず、物すごく大事なことではないのかなと思います。

そういうことによって制度を利用して、悪徳な事業者などにだまされることも防げるのではないかなと思っているところですので、是非広報を、そして、どういうふうに広報しているのかというところは御検討いただきたいと思います。

以上です。

○消費者庁吉田消費者政策課長 消費者庁でございます。

木村委員、御指摘ありがとうございます。広報の重要性について御指摘いただきました。我々も今、いろいろ成年年齢の引下げで若い方への周知など、あと、こういった身元保証サービスですと高齢者の方々あるいはそれを支える方々への周知ということで、いろいろと手法も、しっかり研究して、より効果的に情報をしっかりお届けできるように、それはリアル、対面ということもあるでしょうし、また、いろいろなデジタル技術を使いながらということもあると思いますので、そういったところを深めてまいりたいと思います。

すみません、総論的なコメントになってしまいますが、頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

○厚生労働省老健局笹子認知症施策・地域介護推進課長 厚生労働省でございます。御指摘ありがとうございます。

地域包括支援センターを知っていただくというのは、もちろん重要だと思いますが、要介護状態あるいは要支援状態にならない前にどうアプローチしていくのかという御指摘だと思います。

介護保険法に基づく地域支援事業の中に、この地域包括支援センターの運営というのは位置付けられているわけでありますが、そのほかにも認知症の施策など、あるいは、いわゆる新しい総合事業ということで、訪問型サービス、通所型サービス、生活支援サービス、そういったものに加えまして一般介護予防事業というもの、これは、65歳以上の方であれば全て対象になるということで、例えば通いの場に通っていただくなど、そういった事業を市町村は行うことになっており、多層的な接点がありますので、そういったところで消費者のニーズというものを酌み取れるようなことも可能でしょうし、更にはケアマネージャー等からの情報というものもあると思いますので、総合的に考えていきたいと思います。

○後藤委員長 ありがとうございました。ほかにございますか。

よろしいでしょうか。御説明、そして御回答いただきまして、ありがとうございました。

身元保証等高齢者サポート事業につきましては、今後、高齢化が加速する中で、多様なサービスを提供する者として利用者が増えていくことが見込まれ、事業の適正化が図られる必要がありますが、消費者が事業者を信頼してよいか迷う、といった問題等もあり、少なからず、課題があるように思います。

また、指揮監督に当たる行政機関が必ずしも明確ではないという点も問題として挙げることができます。

本日、委員から御指摘を受けました点を踏まえて、厚生労働省及び消費者庁には、身元保証等高齢者サポート事業の消費者被害の状況について、まずは実態把握を実施し、消費者が安心して当該サービスを利用できるような実効的な取組を、関係行政機関等と適宜適切に連携しながら実施していただくことを期待しております。

消費者委員会としましては、引き続き、取組状況を注視し、必要に応じて調査審議を行ってまいります。

消費者庁、厚生労働省におかれましては、お忙しいところを審議に御協力いただき、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

(厚生労働省老健局笹子認知症施策・地域介護推進課長、消費者庁吉田消費者政策課長 退室)

○後藤委員長 次の議題は、「重層的支援体制整備事業と消費者安全確保地域協議会との連携」についてです。

平成26年の消費者安全法の改正により、高齢、障害、認知症等により、判断力が不十分となった方の消費者被害を防ぐため、消費者安全確保地域協議会、いわゆる見守りネットワークが設置できることとなりまして、消費者庁では、現在、一定の数値目標を掲げて、その設置促進に取り組んでおられると承知しております。

また、令和2年の社会福祉法の改正により、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するため、子供、障害者、高齢者といった対象者の属性を問わない相談支援、参加支援及び地域づくりに向けた支援の3つの支援を一体的に実施する「重層的支援体制整備事業」が創設され、現在、厚生労働省がその利用促進に取り組んでいると承知しております。

両制度については、国や地方公共団体における担当部局が異なる一方で、制度の趣旨、目的、支援対象者や参加者等に共通する部分や、補完関係にある部分が多いことを踏まえますと、両制度を連携して推進することが重要と考えられます。

このため、両省庁においては、昨年10月に地方公共団体に対して、連名で通知を発出するなど、連携して取組を進めていると伺っております。

本日は、重層的支援体制整備事業、見守りネットワークの趣旨・概要や両制度の連携状況と課題、今後の取組方針等について御報告いただきたいと思います。

本日は御説明者として、厚生労働省地域共生社会推進室、小村室長補佐、消費者庁地方協力課、阿部課長補佐にテレビ会議システムにて御出席いただいております。

本日は、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。

それでは、厚生労働省、消費者庁の順にそれぞれ10分程度で御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○厚生労働省小村地域共生社会推進室長補佐 よろしくお願いいたします。

では、厚生労働省から説明ということで、よろしいでしょうか。

○後藤委員長 はい、お願いいたします。

○厚生労働省小村地域共生社会推進室長補佐 では、資料共有させていただきます。

こちらで説明させていただきます。今日はお時間いただき、ありがとうございます。

まず、重層的支援体制整備事業ということで、先ほどもお話しいただきましたが、その事業の説明の前に、その理念について、まず御説明したいと思っております。

こちらは、現在の日本社会や国民生活の変化ということで、まず、前提を共有させていただきます。

日本の社会保障と言いますのは、高齢や障害など、そういった人生において典型的と考えられるようなリスクや課題を想定しまして、その解決を目的として、現金、サービスなどの現物給付をやっており、量的な拡大と質的な発展というものを実現してまいりました。

ただその一方で、個人や世帯が抱える生きづらさなど、リスクが複雑化、多様化しているという状況がございます。

これらの課題については、誰にでも起こり得る社会的なリスクと言えますが、個別性が極めて高く、対象者別の今までの現行の制度のもとでの支援については、各自治体でも苦慮しているような例が拝見されました。

また、その共同体機能の脆弱化、地域のつながりそのものが弱くなっているし、家族機能というものも低下していると。

また、人口減による担い手の不足ということでして、例えば、大規模災害なども多発する中であっても、その災害時の支援ニーズへの対応も課題となっている。それで、地域社会の持続そのものへの懸念というものが生まれておりますと。

こういったことから、こういう問題があるのだけれども、今、地域の実践では、地域の方に目を向けると、多様なつながりや参加の機会の創出によって、今までの縁ではない、第4の縁が生まれているような例もあります。

一方、また、人口減についてなのですけれども、これまでの制度別の領域を超えて、例えば農業や産業リスなど、そういった様々な資源とつながることで、多様な社会参加と地域社会の持続の可能性というもの、両方を目指すような試みというのも行われているということであります。

そして、続いて、資料になるのですけれども「地域共生社会とは」とあります。制度・分野ごとの縦割り、支え手、受け手といった関係性を超えて、地域住民や地域の多様な主体が、我がこと、自分のことだなと思って参画してもらって、人と人、人と資源が世代を超えて分野を超えて丸ごとつながっていただくことで、住民一人一人の暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会というものを目指しております。

この資料の下にありますけれども、これまでの社会保障みたいなところが上だとすると、それだけではなくて、例えば農業や環境など、産業、交通、こういったものとも丸ごとの連携というものが必要ですねというようなものが、地域共生社会の理念となります。

続いての資料が、今の絵をちょっと文字にしたものなのですけれども、繰り返しになりますが、制度の狭間の問題というものがあるということが分かったので、縦割りの関係を超えましょうと。

また、今までは支え手と受け手というような関係があったけれども、そうではなくて、双方向の関係性にしていきましょうということ。

また、先ほども委員長から御発言ありましたけれども、世代や特定の分野など、世代ではなくて、世代や分野を超えて世代を問わない対応で、また、福祉分野とそれ以外の分野で一緒にできることを一緒に考えていこうと、こういったものが地域共生社会というような理念になります。

続いて、今、御説明した地域共生社会の実現するに当たっての1つのツールとして国から御提案しておりますのが、この重層的支援体制整備事業と申しまして、社会福祉法の改正によって生まれた事業となります。

こちらは、下にありますけれども、赤い包括的な相談支援と、2つ目、参加支援というものがありまして、分かりやすい例で言うと、就労支援など、おうちがない方への居住支援とか、そういったものがあるのですけれども、そういう型にはまらなくても何らかの社会とのつながりを生み出していこうというのが、この2番目の参加支援というものです。

最後の地域作りに向けた支援というものがあって、こういう顔の見える関係性が生まれるような地域そのものを元気にしていきましょうというものが、地域作りに向けた支援と申します。

この3つの事業というものを一体的に実施するというのが、重層的支援体制整備事業で、真ん中にありますとおり、今年度、昨年の4月1日から施行しております。

先ほど分野など制度を超えますというお話があったと思うのですが、この右下に書いておりますのは、現行の高齢、障害、子供、生活困窮といった、この4分野というものを1つの実施体制としてやっていきましょうというものが、この重層的支援体制整備事業となります。

今の事業の実施の具体的なイメージになるのですけれども、まず、イメージしていただくのが、困りごとがあったときには相談されると思いますので、それを赤い真ん中の包括的相談支援事業というところで、どんな相談でも受け止めていただく。その受け止めた相談のうち、従来の制度別で解決ができるものは、その専門機関につないでいただいて、それが難しい場合には、一番真ん中にあります、赤で新と書いております多機関協働事業というところにつないでもらって、いろいろな関係者が入ってもらった事業に入っていただくことで、課題の解きほぐしや関係機関の役割分担みたいなものを行っていただきます。

それから、重層的支援会議にそのケースについていろいろ皆さんで考えていただいて、先ほど申し上げたような居住や居場所など、就労などの参加支援につないでいただくと。こういった事業全体を支えるための地域作りというのも併せていきます。

これが、重層的支援体制整備事業になるのですけれども、一つ一つの点線が重なっているところが、事業のポイントでもありまして、相互に重なり合いながら、市町村全体の体制として、本人に寄り添って伴走していくような支援体制を構築すると、こういうことを目指しております。

こちらが今年度から開始した事業でして、今年度42自治体に手を挙げていただいて、実際に事業をやっていただいているというところです。

ここからが守りネットワークさんとの連携に向けた取組ということで、御説明させてもらうのですが、先ほど委員長からもありましたとおり、重層事業というのが様々な分野との連携が必要な事業になりますので、こういった形で、連携通知というものを出しております。

昨年10月には、見守りネットワークとの間でも、連携通知を発出しております。

重層事業そのものなど、地域共生社会の理念などについては、普及啓発というものをやっておるところですけれども、例えば、その見守りネットワークとの関係で言いますと、赤枠で囲ってある箇所、日弁連のお声掛けによって、消費者被害の予防と救済を考えるといったイベントがございまして、こちらにも御出席させてもらいまして、重層事業について御説明させてもらいました。

また、同日、消費者庁が主催の見守りネットワークの連絡協議会というものもありまして、重層について御説明しております。

また、今年度末、来月になるのですが、厚労省の主管課長会議というものもございますので、そちらに見守りネットワークについて、消費者庁がお声掛けをして、資料を掲載させていただくというようなことをやっております。

これによって、見守りネットワークと連携することによって、我々が得られるのではないかと思っている効果についてなのですが、こちらのイメージの図というのは、先ほど1回お見せしたものにはなるのですが、期待される効果マル1というところを御覧いただきますと、包括的支援相談事業や多機関協働事業などいうものを先ほどお話しましたが、これも見守りネットワークと一緒にやることによって、情報共有が早い段階から可能になりますので、深刻化するよりも前の課題解決ができるようになるのではないかと、1つ考えております。

もう一つなのですが、重層的支援会議というものを、そのケースについて考えていただくときに、開催いただいているのですが、これについて見守りネットワークの会合と一緒に開いても良いですよと、開いてくださいねというような話も、連携通知の中でお示ししておりまして、ここで一緒に会議開催することによって、そうした行政関係者の方も巻き込んだような形で、より専門的なアプローチで課題解決が可能になるのではないかということを効果として狙っておるところです。

今年度、重層事業を実施している中で、消費者庁というか、消費者関係の取組と一緒にやっているような自治体がございましたので、1つ目が、鷹栖町で一緒にこのワンストップの相談窓口というところで、生活、困窮、子供、高齢者などと一緒に、消費者生活相談についても、一緒に受け止めているというような事例となります。

続いてが野洲市でして、野洲市は重層を、本事業を実施はしていないのですが、実施に向けた準備を行っていただいている自治体になります。

こちらも同じように、総合相談窓口というものの中に、消費生活相談というものを位置付けていただいております。

最後なのですが、現在、今やっている自治体数が42と3年度は申し上げましたが、4年度なのですが、これが134自治体、今の3年度プラス100自治体ぐらいまで広がる予定でおります。

見守りネットワークと自治体が同じようなところも、同じ自治体がやっているような例もあると思いますので、是非消費者庁とも連携させてもらいながら、具体的な取組について、ヒアリングなどをしていければなと、今は考えておるところです。

以上です。

○後藤委員長 ありがとうございました。

続いて、消費者庁からお願いいたします。

○消費者庁阿部地方協力課長補佐 消費者庁の阿部と申します。本日はどうもありがとうございます。

(通信不良)

○消費者庁阿部地方協力課長補佐 改めて御説明させていただきます。

すみません、電波の調子も悪いみたいなので、お手元にお送りしております消費者庁地方協力課のクレジットが入った資料を御覧いただきながら、御説明をさせていただければと思います。

見守りネットワークにつきましての簡単な概要の御説明でございますが、従来の福祉、防災、地域のつかさ、つかさにございます見守りのネットワークに消費者行政の関係者を追加していただくような形で、消費者被害の防止という観点から見守りを充実させるという取組でございまして、法律的にも、個人情報の共有ができるといったようなメリットもありまして、いろいろな自治体に御活用をいただいているといったような状況でございます。

3ページ目に、具体的な活用の事例などを掲載させていただいております。

左上に福祉のネットワークということで、既存の福祉ネットワーク、見守りのネットワークでありますと、ケアマネが、怪しい現象だと気付いて、消費生活センターに掛けていただき、相談員があっせんをして、クーリング・オフが成立したといったようなケースなど、防災のネットワークでありましたら、よくあるのがリフォーム詐欺、こちらについて、民生委員がお気付きになられて、クーリング・オフが成立したなど、そういったようなケースを想定して運用させていただいております。

3ページ目の下半分に、個人情報を活用した見守りリストの作成と共有というタイトルがございますけれども、こちらが冒頭申し上げた個人情報の共有の話でございますが、消費者庁等で、法執行の過程で押収した顧客名簿なども、通称見守りリストと呼ばれているものでございますが、こちらを消費者安全確保地域協議会に共有をさせていただき、もちろん厳格な手続のもとに共有をさせていただいて、この見守りネットワークにおいて、重点的に見守る対象者を選定し、見守りの充実につなげていただくといったような取組もしているところでございます。

4ぺージ目に、見守りガイドブックというものの表紙と目次のほうを掲載させていただいております。

消費者被害の観点からの見守りと申しましても、既に分かる人はいいのですけれども、なかなかこれまでなじみのなかった消費者行政が、この見守りの領域に進出していくに当たって、具体的にどういう点に気を付けて見守れば良いのかといったようなことを事例集なども使いながら整理をさせていただきまして、令和2年2月に発行をさせていただきました。

5ページ目に、ウェブサイトのスクリーンショットを掲載させていただいておりますが、こうした見守りのガイドブックも含めて、見守りネットワーク総合情報サイトというものを立ち上げて、積極的に広報をしているというところでございまして、厚労省の担当課長会議などでも御説明をさせていただいたというところでございます。

次の6ページ目に、令和2年度消費生活協力員・協力団体養成事業というもの概要を掲載させていただいておりますが、これは、見守りネットワークの中で、消費者生活協力員・協力団体というものを指定して、委嘱をすることができると定めておりますけれども、そうした地域において、消費者行政の観点から、消費者被害防止の観点から見守りを行っていただく協力員あるいは団体を養成するという事業でございまして、昨年度は、2月24日に実施いたしまして、延べ90名の参加をいただきまして、専門家の方を招きながら協力員・協力団体の育成をやっているというところでございまして、今年度は、更に対象を拡張させていただきまして、今、正にやっている最中でございますが、既に委嘱をしてほしいという申入れなども幾つかいただいておりまして、こうした協力員・協力団体の養成をして、更に見守りネットワークの強化に努めていきたいと考えているところでございます。

次の7ページ目でございますが、先ほど、厚労省の資料にもございましたが、高齢消費者・障害消費者見守りネットワーク連絡協議会というものを毎年開催させていただいておりまして、こちらも下に、高齢福祉関係団体、障害者関係団体などなど、様々な団体と連絡協議会を設置させていただいておりまして、年に1回に消費者庁からもトピックス的なことの発信をさせていただいたり、あるいは見守りの中で、ベストプラクティスのようなものがあれば、是非積極的に共有をということで、自治体などを巻き込んで、情報共有などを図っているというところでございまして、去年の10月に開催をさせていただきました。

その次が、「地方消費者行政強化作戦2020」の進捗の状況の御説明でございますが、9ページ目に改めてということではございますが、私ども消費者庁で定めております地方消費者行政の数値目標が幾つか並んでいるような資料でございますけれども、この中で、政策目標の4というところで、見守り活動の充実という目標を掲げさせていただいているところでございます。

このうち4-1、4-2、4-3という目標がございますけれども、このうち4-1と4-2について具体的な数値目標を掲げさせていただいておりまして、とにかく見守りネットワークの設置を促す、これが4-1、そのうち、更にネットワークの充実強化を図るという観点から、協力員・協力団体を活用する自治体を増やす、これが4-2ということで、どちらも現在の人口カバー率50パーセント以上という目標を掲げさせていただいておりまして、この目標の達成に向けて、日々政策を推進しているというところでございます。

次のページに、見守りネットワーク設置自治体の一覧を掲載させていただいておりまして、こちらが2022年1月末日までに消費者庁に対して設置報告のあった自治体のリストと言うことでございますが、合計で、右下に設置自治体数367という状況でございまして、毎年大体60件から70件程度のペースで、順調に増えております。もうそろそろ400が見えようかという段階でございますので、今後は、協力員・協力団体の養成でなど、福祉との連携、そういった観点で、この見守りネットワークの充実を図っていきたいと考えております。

次のページに具体的な都道府県ごとの状況みたいなものをお示しさせていただいておりますが、見守りネットワークを設置している自治体の人口カバー率50パーセント以上という4-1の目標の達成状況につきましては、47都道府県中16府県ということで、順調に進捗をしていると考えております。

ただ、一方で、引き続き0パーセント台の自治体も幾つか散見されるといったような状況でございますので、引き続き、こうした自治体に対しても積極的に働き掛けを行いながら、見守りネットワークの意義について、しっかりと御説明をし、御理解をいただきたいと考えております。

次が4-2の目標でございますが、こちらは、協力員・協力団体を活用する自治体の人口カバー率に関する目標でございます。

山梨、兵庫、徳島において目標値である50パーセントを達成しておりまして、去年までは非常に達成状況が悪くて、なかなか難しいかなと思っていたところではあるのですが、先ほど申し上げたような協力員・協力団体の養成講座など、自治体に対する草の根というか、地道な働き掛けなどもありまして、50パーセントを達成する自治体が3つほどになってきたというところで、ほかにも40パーセント、30パーセントの自治体も幾つか出てきているところでございますので、引き続き50パーセントの達成に向けて各自治体に対して働き掛けを行っていきたいと考えております。

次のページが最後でございますが、令和3年度補正予算及び令和4年度予算案額ということで、これが地方消費者行政に対する国としての予算の令和4年度の概要ということでございますけれども、一番下に、地方消費者行政強化交付金による支援ということで、31.5億円を計上させていただいておりまして、その右側に点線で囲ったボックスに、下に見守りネットワークの推進ということも入れておりまして、今、正に交付金の手続を行っているところでございますが、引き続き、交付金を活用した見守りネットワーク設置の財政的な支援についても働き掛けていきたいと考えているところでございます。

2つ上に地方消費者行政人材拡声1.0億円ということで、見守りの担い手である協力員等の育成というところで関連する予算を計上しております。

更にその上、先進的モデル事業ということで、政府全体としても言われておりますが、孤独・孤立化する人々に対する対応という中で、消費者庁としては、孤独・孤立化する消費者に対する対応事業ということで、見守りネットワークの先進的なモデルとなるような事例を創出するべく、予算を獲得しているというところでございまして、令和4年度の執行に向けて、今、準備をしているところでございます。

大変雑駁ではございますが、以上で御説明を終わらせていただきます。

ありがとうございます。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、御意見のある方は発言をお願いいたします。質疑応答の時間は20分程度を予定しています。よろしくお願いいたします。

いかがでしょうか。

黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 委員の黒木です。

同時に労働省の資料にもありましたけれども、昨年の10月に人権擁護大会に、2つのところから御参加いただきまして、貴重な説明をいただきまして本当にありがとうございました。まず、その点を感謝させていただきます。

実はその後も日弁連の中では、見守りネットワークと重層的支援事業とを連携させるために福祉部局に働き掛けるなど、いろいろなことをしております。その報告とかも出ているのですけれども、福祉部局からは消費者問題に対する理解というのが、まだまだ進んでいないのではないかというのが率直な感想です。

先ほどの重層的支援のところでは、先ほど老健局でも、これが成年後見制度利用促進との連携に関する文書も、今年、令和3年3月31日に発出されていて、ある意味では重層的支援体制事業を媒介として、いろいろな司法や消費者など、そういうようなものを、地域共生社会の中で実現していけるすばらしい仕組みではないかと私ども思っています。

そういう意味で、是非この重層的支援体制事業については、より充実したものを各基礎自治体でやっていただきたいなと思っているのですけれども、それで1点、情報提供というか苦情というか、何というか不思議なものなのですけれども、実は、人、暮らし、未来のために厚生労働省の地域共生社会のポータルサイトで、多分野との連携というところがありまして、ここからは、消費者庁の見守りネットワークに行けないのです。

ところが、消費者庁の見守りネットワークについての情報総合サイトでは、厚生労働省の参考情報があって、成年後見利用促進法と重層的支援体制事業を取り上げられています。

ホームページレベルでも、どうも消費者庁の片思いみたいになっているというところがありまして、是非その辺りは相互にリンクを張っていただくようにしていただけると良いのかなと思っているところでありまして、これにも端的に表れるように、なかなかまだ福祉部門から消費者問題部門に関する基礎自治体の方々にとって見ると、ほかにもいっぱいあるのに消費者問題まで俺たちにやらせるのかという感じがどうも強い感じがしております。この辺りのところについて、感想方々、1つちょっとした情報提供をさせていただきました。

以上です。

それから、本当に人権大会は、ありがとうございました。我々は、これから、弁護士会は弁護士会で、また皆様方にいろいろとお願いしていくことになると思います。よろしくお願いします。

○後藤委員長 いかがでしょうか、厚生労働省からコメントはございますか。

○厚生労働省小村地域共生社会推進室長補佐 すみません、ホームページの件、御指摘いただいてありがとうございます。

実は、ちょっとお恥ずかしい話なのですけれども、地域共生のポータルサイトというもの、かなり作り込んでいる関係で改修がかなり難しいというところがあって、ただ今年度、そういったものを改修すべく、自分たちで改修できるようなマニュアルを作りましたので、多分すぐにできるというか、ちょっとコンピュータのホームページの改修、ただそれだけの話でして、実はあちらの共生のポータルサイトは、すごく改修が難しくてなかなかできていないところなのですが、連携通知とかについては、早速、厚労省の本体のホームページには載せさせてもらっているところです。本当に、ただ技術的な話だけですので、全く連携をしたいという気持ちには変わりはありませんので、早急に対応させていただきたいと思います。ありがとうございます。

○黒木委員 あわせて、内閣府のいろいろなところも全部、今、見られなくなっています。飛んだところがありませんとなっていますので、その点も含めて。

以上です。

○厚生労働省小村地域共生社会推進室長補佐 ありがとうございます。すみません、間に合っていないというか、本当に作り込んだがゆえに、なかなか難しくなっておりまして、失礼しました。

○後藤委員長 消費者庁からはございますか。

○消費者庁阿部地方協力課長補佐 どうもありがとうございます。

私どもの片思いということではなかったということで、大変有り難い御発言で、大変感謝しております。

特に最近、民生委員の読まれるような専門のテキストみたいなもの、市販のテキストみたいなものを拝見していると、こんなところに消費者庁というか、消費生活センターの記述があるとか、ちょっと古い本だったので重層とかの話は書いてなかったのですけれども、そういったところで、少しずつ福祉の方々にも御理解をいただけているというか、そういう措置が少しずつ広がっているなということが、すみません、個人的に見ているだけなのですけれども、そういうことが分かっておりますので、引き続き、連携しながら、手を取り合いながら、施策をさせていただければ大変有り難いなと思っております。

以上です。

○黒木委員 よろしくお願いします。大変期待しておりますので。

○後藤委員長 それでは、青木委員、よろしくお願いいたします。

○青木委員 青木でございます。どうも御説明ありがとうございました。

地域のところが中心になっていく、この地域共生社会、お示しいただいたものの理念については、これは誰もが、是非実現したいという今、喫緊の問題であることと同時に、理念は非常に目指すものははっきりしているのですが、やはりネットワークとか連携といったときには、言葉としては存在するのですが、非常に、いろいろな様々な障害が生じてしまうと思いますし、誰が中心になって動くのかという、本当にこれから推進される側のいろいろな課題のところへの取組に対しても、非常に大きなものがいろいろあるだろうなと思いつつ、非常に期待しております。

そういう中で、これは、もう既に市町村単位でも、これは本当に地域の中での見守りネットワークもそうですし、様々なケア関係を含めたので、いろいろな連携が、そういう意味では非常に良い事例も出てきていると思います。

今、そういう意味では、地域あるいは市町村が中心なって進めていただく問題であり、逆に、うまくいっているところについて、更に進めようとしたときに何が一番進めるに当たっての障害になっているのか、市町村の中でも縦割りの部分が残っていたり、あるいは国との関係であったり、あるいはそれ以外の住民の理解など、いろいろあると思うのですが、そういう視点で課題を抽出されたことがおありでしょうか。全体の計画から考えた進め方だけではなく、進みかけていて、なかなか進めない問題点がどういうところにあるのかという課題の整理を、そういう整理をされておりましたら、ちょっと消費者庁、厚生労働省からお伺いできたらと思っております。よろしくお願いします。

○後藤委員長 それでは、厚生労働省からお願いいたします。

○厚生労働省小村地域共生社会推進室長補佐 ありがとうございます。

地域共生社会の、多分、理念が大事というところは、多分、皆さん分かっているけれども、なかなかというところを、多分、そういう意味での御質問かなと理解しております。

実は重層事業を始める前から、こういったワンストップの窓口、属性を問わない何でも受け付ける窓口を作っているような自治体はあったのです。ただ、それは、地域包括のセンターがその役割を担ってるなど、自治体によって様々だったのですけれども、とてもその地域包括のセンターが窓口をやっている場合は、ちょっと予算上は地域包括の介護のお金を使ってやっているのに、何で高齢者以外の人を受け付けるのですかみたいな、そういった指摘が実は会計検査院などからあったというところがあって、せっかく良い取組をしているのに、予算上の制約というか、目的外使用みたいな声があったことから、取組にちゅうちょするような自治体が出てきたということが、実は重層事業のもう一つの背景としてありまして、そういった問題意識を踏まえて、今回は、そういった高齢の窓口で全部受け止めたとしても、子供で受け止めたとしても、目的外使用にはなりませんよということで、全てのお金を1つの一括の交付金として、お財布を1つにしました。というのが重層事業の1つのメリットではあります。

これによって、皆さんが一体化できるということの1つの後押しになるのではないのかなと我々としては思っておるところです。

以上です。

○青木委員 ありありがとうございます。

実際には、そこが一番大きいと思いますが、こういう包括的な交付金になって、その用途ですとか、そういう今言われた目的どおりのところの効果というのが出るような、何かKPIというのは考えておられますか。

○厚生労働省小村地域共生社会推進室長補佐 すみません、効果というか、今年度から始まったというところもあって、実はこの事業自体は、一気に皆さん、今年度からやるぞというようなことではなくて任意事業としております。

と言うのも、やはり自治体によって考え方は様々ですので、えいやで国がやれというようなものではなくて、皆さんが、準備ができたところから順次やっていただければ良いし、反対に、重層事業というツールを使わなくてもできるのであれば、それはそれで問題ないわけですので、包括的支援体制をとにかく作ってくださいねということは言ってはおるのですが、できる自治体から順次やっていただくということで、KPIというのは作っていないところですが、ただ、自治体数を考えていただきますと、今年度42だったのが、来年度100近く増えるということは、それが何よりも、自治体の中で、この良さというものが伝わってきているのかなと受け止めております。

○後藤委員長 消費者庁は、いかがでしょうか。

よろしいですか。

○消費者庁阿部地方協力課長補佐 消費者庁です。

厚労省ですと、予算の話など、制度的な立て付けみたいなものが大きな問題になるのだと思うのですけれども、消費者庁がカウンターパートとしている地方の消費者行政部局ですと、そもそもやりたい趣旨は分かるし、意義は分かるのだけれども、そもそも福祉部局とこれまで何もお話をしたことがなかったので、そもそもコミュニケーションするための素地みたいなものが全くないという、そういったところからのスタートになっておりまして、動き始めるにしても、消費者行政部局だけでやるというのはなかなか難しいというところもあり、まずは顔の見える関係から作るなど、すごい基本的なことで恐縮なのですが、コミュニケーションが全てだと思っておりますので、そういったところで、できることから少しずつやっていきましょうということで、自治体に対しては働き掛けを行っているというところでございます。

○青木委員 ありがとうございます。

本当にそこだと思います。中心は、それぞれ地方自治体、市町村で進めていただくに当たってということで、国としてやっていただく部分と、今のような、本当にこれはもう合同でやるのですよということを示すことが、地方における縦割りのところだけ削除できるというところもあるかと思います。是非実際に実行している市町村の視点で進めていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 それでは、大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。

前提部分について、質問と言いますか意見になります。先ほど厚労省様から御説明いただきました、資料の2ページ目で、今回の重層的支援の対象者のところにいろいろと書かれております。このコロナ禍で、更にこの対象者が増えてくるのではないかというのを大変心配しております。長引くコロナの影響で、地域で支援しなければいけない人が、今後ますます増えてくると予想される中で、青木委員のお話にもありましたけれども、国なのか地方自治体なのか誰の責任なのかということではなく、もちろん地域で支援していかなければいけない人については、地域だけでなく、国としてももちろん支援していく必要があります。その意味で、この取組を更に迅速に進めていく必要性が高まっていると思いました。意見ということで、是非、迅速に進めていただければと思います。

以上です。

○後藤委員長 御意見ということで、特にコメントがあればですが、よろしいでしょうか。

それでは、受田委員長代理、よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 受田です。御説明ありがとうございました。

時間も限られているので短く2つです。

私、今、高知県から参加をしていて、地方の現場という部分では、様々最前線を見聞きしております。

先ほどの青木委員からの御発言にも関わるのですけれども、今回のこの重曹的支援体制というのは、地域においても望まれている1つの方法だと思います。

これまでの役割や機能、部門という縦割りから、人を中心に、人生100年時代をしっかり見据えて、シームレスにつないでいくということかと思います。

例えば、私たちも、子育て支援のところをシームレスにということで、日本版のネウボラであり、地域でいろいろな仕組みを作っていますので、それらを連携していくということで、是非それが一体化してほしいという思いです。

そのときに1つだけ、こういったものを市町村に落とし込んでいくときに、多分、まち・ひと・しごと創生総合戦略との親和性が非常に高いのではないかと思います。そういったところの施策上の連携というのをどう考えているかというのが1点です。

2点目は、現場である市町村ですけれども、人的資源も限られていることから、こういった、例えば、悪い表現かもしれませんけれども、重層的支援会議ができることによって、仕事が、更に負荷がかかってくる可能性もあると思います。

この辺りを連携という言葉の意味というのは、より効率的に仕事を進めていく、そういう形へとつなげていかないといけないのではないかと思いますので、是非、いろいろな課題はあると思うのですけれども、市町村の現場における仕事の効率化あるいは重複を避け、漏れをなくすという視点を、是非見える化にしていただいて、行政への落とし込みに、是非御尽力いただきたいと思う次第です。

以上、2点です。

○後藤委員長 お願いいたします。

○厚生労働省小村地域共生社会推進室長補佐 ありがとうございます。

1点目、まち・ひと・しごと創生本部事務局ということでお話があったかと思います。我々としても、まちづくりというか地域づくりとの連携というのは、欠かせないなと考えておりまして、実は消費者庁と一緒に10月に連携通知を出しているのですけれども、同じタイミングで、まち・ひと・しごと創生本部事務局と、内閣府の地方創生推進室と一緒に、地域力創造施策と、重層事業を連携してくださいねというような通知も併せて出しておるところです。

今、まち・ひと・しごと創生本部事務局が、デジタル田園都市というところに、また、名前が変わっていまして、変わってからも、コミュニケーションは今もとっておりまして、実は次の3月の我々の会議にも、旧まち・ひと・しごとの取組について御紹介させていただく予定ですので、是非おっしゃっていただいたとおり進めていきたいなと考えております。

もう一つ、効率化しないといけないというようなお話がありました。そうなのです。重層事業をやることによって市町村が負担感を持つということは、確かに何か大変になるのかなと思われている自治体もいらっしゃるのですけれども、ただ、それは、市町村全体としては、今まで埋もれていたような課題とか、例えば1つの窓口に行っていたのだけれども、その担当者がとってもとっても困っていたような、そういう問題を全体としては解決できるので、プラスには動くと思います。

ただ、導入に当たっては、やはり最初は大変だとは思いますけれども、やはり一つ一つ数、ケースをこなしていく中で、解決方法というのも見えてきて、平準化されていくのではないのかなというのと、実は消費者庁との連携通知の中にも書かせてもらっているのですが、我々の重層事業をやっている会議体と見守りネットワークさんは、一緒に開催しても良いですよと、それによって情報共有もできるし、効率的にできますねというようなことも、連携通知の中で御提案させてもらっているところでして、そういった負担増ばかりに動かないようにというのは、我々も、今後とも気を付けていきたいなと考えております。ありがとうございます。

○後藤委員長 消費者庁としては、コメントございますか。

よろしいですか。

○消費者庁阿部地方協力課長補佐 消費者庁でございます。

まち・ひと・しごと創生総合戦略に限らず、いろんな戦略ものが自治体の中において、そういった戦略を作る部署に対する働き掛けの一環として市長、副知事みたいなところに対する働き掛けも、当庁としては、(接続不良)・・・。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、飯島委員、よろしくお願いいたします。

○飯島委員 飯島でございます。恐れ入ります、一言だけ申し訳ございません。

重層的連携の必要性ということは、重々承知をしております。

ただ、法律から見ますと、やはり消費者安全法は消費者生活上、特に配慮を要する消費者とターゲットを定めていますし、それに対して社会福祉法は、地域生活課題を抱える地域住民及びその世帯と、その役割分担というものがあるかと思うのですが、その市町村ごとに、この役割分担を地域の特性に応じて考えていくのだろうと伺っておりました。

特に地域共生社会につきましては、支え手と受け手という関係を超えるということが1つの基本的な理念になっていると思うのですけれども、その辺りに、1つ難しさが、もしかするとあるのかもしれないと思いましたのと、効果として、情報共有が非常に重要だと、アウトリーチのことからしても重要だと思うのですが、この情報共有に対する懸念というものもあるのかと思っておりまして、そういったことも含めて、今後、このお二つの連携ということを進めていくのかと、感想にとどまりますけれども、勉強させていただきました。どうもありがとうございました。

以上でございます。

○後藤委員長 ありがとうございました。

御意見ということ、感想ということでよろしいでしょうか。

○飯島委員 結構でございます。ありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかには、ございませんでしょうか。

それでは、議論は以上にさせていただきたいと思います。御説明、そして御回答をいただき、ありがとうございました。

高齢化や地域コミュニティの機能低下等が進む中で、消費者被害に遭う可能性の高い「見守りを必要とする消費者」が増加しておりまして、地域における見守りネットワークのような制度を整備、運用していくことは今後ますます重要になってくると考えられます。

一方、見守りを必要とする消費者は、同時に病気や障害、生活困窮といった別の問題を抱えることも多く、こうした複合的な問題に対処するためには、地域の関係機関や専門家等による連携した取組が不可欠であると思います。

厚生労働省の新事業は、正にこのような観点から創出されたものであって、両者が連携して取組を進めることにより、消費者問題と社会福祉上の問題を同時に解決していくという相乗効果が期待できると思います。

このため、今後、消費者庁と厚生労働省におかれましては、他の関係機関とも十分に連携した上で、取組を進めていただけたらと思いますが、特に現場に近い市町村の関係部局間で十分な意思疎通や連携が図られるよう御配慮いただけたらと思います。

この点につきましては、昨年に両省庁連名による通知を発出するなど、一定の対応をしていただいているところですが、現場レベルで実効的な取組を行うためには、更に踏み込んだ方策を検討することが必要なのではないかと考えます。

両省庁におかれましては、地域の現場の意見やニーズを十分に踏まえた上で効果的な支援策を実施し、各地域における取組を強力に後押ししていただくことを期待しております。

消費者委員会としましては、本日のヒアリング結果を踏まえまして、引き続き、取組状況を注視し、必要に応じて調査審議を行ってまいりたいと思います。

消費者庁、厚生労働省におかれましては、お忙しいところを審議に御協力いただき、ありがとうございました。どうぞ御退室ください。

(厚生労働省小村地域共生社会推進室長補佐、消費者庁阿部地方協力課長補佐 退室)

○後藤委員長 どうもありがとうございました。


《3.閉会》

○後藤委員長 本日の議題は、以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について、説明をお願いいたします。

○太田参事官 長時間にわたりまして、熱心に御議論いただきましてありがとうございました。

次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。

以上でございます。

○後藤委員長 大幅に終了の予定時刻を過ぎてしまって申し訳ありません。

本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)