第361回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2021年12月17日(金)13:28~15:01

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長
    (テレビ会議)青木委員、飯島委員、生駒委員、受田委員長代理、大石委員、木村委員、黒木委員、清水委員、星野委員
  • 【説明者】
    消費者庁奥山取引対策課長
    消費者庁落合企画調整官
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 特定商取引法及び預託法について(特定商品等の預託等取引契約に関する法律施行令の一部改正等について)
  2. 成年年齢引下げについて(成年年齢引下げに向けた意見案について)
  3. 消費者基本計画の検証・評価・監視(消費者基本計画工程表改定に向けての意見案について)
  4. その他(消費者委員会の部会・専門調査会について)

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから第361回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、私が会議室にて出席、受田委員長代理、青木委員、飯島委員、生駒委員、大石委員、木村委員、黒木議員、清水委員、星野委員がテレビ会議システムにて出席です。

開催に当たり、会議の進め方等について、事務局より説明をお願いいたします。

○太田参事官 配付資料は議事次第に記載のとおりです。もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願い申し上げます。

以上でございます。


《2.特定商取引法及び預託法について(特定商品等の預託等取引契約に関する法律施行令の一部改正等について)》

○後藤委員長 本日の最初の議題は、特定商取引法施行令及び預託法施行令の改正に伴う諮問について審議いただきます。

特定商取引法及び預託法では、政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、消費者委員会に諮問をしなければならないこととされております。

本日は、「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」に伴う、「特定商取引法施行令」及び「預託法施行令」の改正について、消費者庁から説明がございます。

本日は、御説明者として、消費者庁取引対策課の奥山課長、落合企画調整官に御出席いただいております。本日はどうもありがとうございます。

それでは、15分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁奥山取引対策課長 委員長、ありがとうございます。消費者庁取引対策課でございます。いつもお世話になっておりまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

本日は、もう委員の先生方は御案内かと思いますが、今年の6月に通常国会で成立いたしました特定商取引法等の改正法の施行に必要とされます政令案のうち、特定商取引法の政令と預託法の施行令につきまして、案につきましてこちらで御説明を申し上げたいと思います。

まず、特定商取引法の施行令でございますが、資料1-1にその諮問対象となる改正の政令案の条文と改正内容を挙げてございます。一番右の施行令の改正内容を御覧いただきますと、ほぼ全て技術的な条がずれるところの番号を正しく改めるというものがほとんどでございまして、一番最後の附則のところは、時限措置となっているものが既に経過してしまってもう必要ないことになるところを削除するというものでございまして、いずれもテクニカルな修正だけで、内容を伴わないものですから、形式的な改正として諮問を省略させていただきたいと考えてございます。

また、もう一つの預託法の施行令の改正につきましては、今回預託法の大改正を行いまして、その実施に伴いまして実質的なところを定める必要がございますので、資料1-2を御覧いただければと思いますが、このとおり消費者委員会への諮問をさせていただきたいと考えてございます。

資料1-3にその具体的な内容を盛り込んでございますので、落合企画調整官から説明を申し上げたいと思います。よろしくお願いします。

○消費者庁落合企画調整官 それでは、資料1-3で御説明をさせていただきます。

資料1-3「特定商品等の預託等取引契約に関する法律施行令の改正に関する消費者委員会への諮問について」でございます。

今し方、奥山課長からも申し上げましたとおり、諮問の経緯でございますが、今年6月に成立しました特定商取引法等の改正、この「等」には預託法も含まれますけれども、その改正に伴い、特定商品等の預託等取引契約に関する法律施行令、いわゆる預託法施行令を改正することから、関係規定の改廃に関する諮問をお願いするものです。

今年6月の預託法の改正は、御案内のとおり販売預託の原則禁止、それと併せて、いわゆる特定商品という形でこれまで金や磁気治療器といった形で対象となる物品が政令で指定されておりました。それを廃止して、特定商品という概念をやめています。実は令和3年の改正によって、特定商品等の預託等取引契約に関する法律から預託等取引に関する法律となっておりますので、後ほど申し上げる諮問事項も、そういう意味では、販売預託の原則禁止に伴う法改正に併せて措置されたことも多々含んでおりますので、そこも含めて申し上げたいと思います。

2の諮問事項を御覧ください。現行の特定商品等の預託等取引契約に関する法律においては、2条1項、2項、4条、10条1項の規定に基づく政令の制定、改廃の立案をしようとするときは、消費者委員会に諮問させていただくとなっております。今回の改正はその全てに該当するものでございますので、(1)から順番に御説明します。

(1)は今、私が冒頭で申し上げました、現行の預託法の規制の対象となる物品は、政令で定める物品、特に典型的なのは金等の貴金属でございますが、これについてされています。今般の令和3年の法改正において、預託法の規制の対象は特定商品のみならず、あらゆる物品とされますことから、特定商品の内容を規制する1条1項を廃止するものでございます。

続きまして、第1条第2項の改正としまして、現行の預託法の規制の対象となる施設利用権、法制定時に例えばゴルフ場の施設を利用する権利を預託させるといった被害がございました。そういった形で定められておりますけれども、今般政令を改正するに当たって、改めて消費者被害の事例とかを調べてみました。特に清水委員はじめ消費生活相談員の皆様が対応くださっている相談事例を見てみますと、ここ最近は下火になっておりますけれども、過去数年前においてエステティックを行う施設を利用する権利といったものについて預託的な行為をする被害がございました。そういうことを踏まえて、エステティックを行う施設を利用する権利という形で追加してございます。

(3)でございます。実は預託法の規制の対象となる概念は預託等取引業者とされておりますけれども、他の法律の規定によって預託等取引契約の締結等に関して預託者が受けることのある損害の防止が確保されるものの適用を受ける者として政令で定めるものは除外されています。現行法においては例えば銀行、信用金庫、信用協同組合、第1種金融商品取引業者、これはいわゆる証券会社です。あと証券金融会社、これは貸株などをされている方ですけれども、それを除外しております。

今般の法改正、令和3年の改正において、販売預託は原則禁止していますけれども、預託法の規制の対象となる権利の範囲も拡大しています。例えば物品の利用をする権利、いわゆる物品の預託を禁止するというように販売預託を禁止することにしていますけれども、それを物品の利用権を売るという形の商法も防ぐということで広げております。これに伴って、例えば資金決済法に規定する前払式支払手段発行者、典型的なのは商品券で、お米券みたいなものをイメージしていただければと思います。あと、暗号資産交換業者、これは資金決済法の登録を受けている者ですけれども、これらについては預託法の規制から除外する。要するに重畳規制を避ける観点から、それぞれ根拠法となるものによるということでございます。

もちろん、これらの登録を受けていない者が預託に該当する行為を行えば、当然預託法の規制の対象になることは申し添えます。

併せて、(4)、(5)を御覧ください。現行の預託法におきまして、預託等取引契約の締結の勧誘をするときに、政令で定める事項の不実告知を行うことは禁止されています。令和3年改正において、販売を伴う預託等取引を原則として禁止するなど改正法の規制が強化されましたので、不実告知の禁止の対象事項も追加してございます。例えば預託等取引契約によって供与される財産上の利益の金額、預託等取引契約の解除に関する事項、こういったものを幅広く追加しております。

(5)は技術的な話なのですが、預託等取引契約の解除を妨げる目的をもって政令で定める事項の不実告知を禁止するというように、現行の預託法では第4条第1項と第4条第2項で、第1項は勧誘をする際の不実告知の禁止、第2項は解除を妨げる目的の不実告知の禁止となって、それぞれ条項は分かれておりますけれども、(5)の2段落目を御覧ください。令和3年改正において、預託等取引契約の解除を妨げる目的をもって、不実告知を行うことのみならず、故意の事実不告知を行うことも禁止した上で、第4条第2項自体を第4条第1項に統合してございます。これによって不実告知の禁止の対象事項を規定する第3条第2項も廃止し、(4)のマル1、マル2で申し上げましたとおり、供与される財産上の利益の金額や解除に関する事項を併せて規定するものでございます。

(6)も法改正に伴うものでございますが、現行の預託法においては、預託等取引業者等に対して、報告徴収を求めることができる事項を政令で個別に定めています。しかし、これは令和3年6月の法改正におきまして、密接関係者も報告徴収の対象に加えた上で、政令委任を廃止し、預託等取引に関する業務とか預託等取引の対象とする物品の販売に関する業務の全般について、報告徴収を求めることができると規定しておりますので、政令の規定自体を廃止するということでございます。

今、申し上げた(1)から(6)の改正事項のうち、(1)、(5)、(6)は法改正に伴う政令事項の廃止、(2)、(3)、(4)も基本的には消費者保護を拡大する範囲での改正でございます。

3でございますけれども、今後の予定としては、今日諮問させていただいて、その諮問に対する御答申を頂ければ、年内には閣議決定し、6月1日から施行することを予定しております。

御説明としては以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

質疑応答の前に事務局より補足がありますので、お願いいたします。

○太田参事官 事務局でございます。

特定商取引法施行令の改正につきましては、先ほど消費者庁から御説明がございましたとおり、改正箇所はいずれも条ずれ等の形式的なものでございます。これまでも条文番号の変更や単純な文言改正など形式的な改正事項につきましては、委員会の場で御確認をいただいた上で、諮問・答申のプロセスを省略するという取扱いをしてまいりました。

特定商取引法施行令の改正につきましては形式的なものとして、諮問・答申のプロセスを省略することで差し支えないか、併せてお諮りをいたします。

以上でございます。

○後藤委員長 ありがとうございます。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は約15分を予定しています。よろしくお願いします。いかがでしょうか。

よろしくお願いします。

○清水委員 清水です。

御説明、ありがとうございました。

預託法のところで感想です。念願のこの法律が成立して、いよいよという感じでうれしく思っています。その関係で、廃止になったことで改正になるということが、理解できましたので、問題ないと思っています。

相談の現場では、やはり法律ができるというのはすごく大きなことで、今、相談では預託法関係はあまり聞かないです。今後様子を見て、どのようになっていくかというのは相談があったらPIO-NETにきちんと書いていきたいと思います。

以上です。

○後藤委員長 ありがとうございました。

ほかにございますか。よろしいでしょうか。

それでは、議論はここまでといたします。

預託法施行令の改正に関する諮問に対し、その答申案をテレビ会議システムの画面上にて表示いたします。

(答申案表示)

○後藤委員長 ただいま追加資料として皆様に配付しました委員会の答申案は、令和3年12月16日付けで内閣総理大臣から当委員会に諮問のあった事項について、「『特定商品等の預託等取引契約に関する法律』の趣旨に鑑み妥当であり、その旨答申する」というものです。

併せて、説明のありました特商法施行令の改正内容につきましては形式的な改正でありますので、諮問・答申を省略するということでよろしいでしょうか。

以上2点につきまして、同意あるいは修正意見をチャット等にてお知らせください。よろしくお願いします。

チャットでも音声でも結構です。よろしくお願いします。

チャットで賛成という御意見をたくさん頂いておりますので、特に修正する個所はないと理解させていただきます。

それでは、皆様の御了解を頂いたということで、この内容で答申したいと思います。

また、形式的な改正については、諮問・答申のプロセスを省略することといたします。

消費者庁におかれましては、本日はお忙しいところ審議に御協力いただきまして、ありがとうございます。

どうもありがとうございました。

(消費者庁取引対策課退室)

《3.成年年齢引下げについて(成年年齢引下げに向けた意見案について)》

○後藤委員長 続きまして、成年年齢引下げに向けた意見案について議論したいと思います。

消費者委員会では、成年年齢の引下げが来年4月に迫っていることを踏まえ、これまで消費者庁をはじめ関係省庁での取組や国民生活センターから相談現場での状況についてヒアリングを行ったほか、消費者団体をはじめとする関連団体と意見交換会を実施し、現状の課題、取組について御意見を伺うなど、調査審議を行ってまいりました。

当委員会としては、新たに成年となる若年者の消費者被害を防止・救済し、自立した消費者の育成を図るためには、成年年齢引下げに向け万全を期すとともに、来年4月以降にも若年者に向けて適切な周知及び消費者教育を継続的に実施することが不可欠であり、関係省庁に対し取組を促すため意見を発出するべく検討を行ってまいりました。

事務局から意見(案)の内容について説明をお願いいたします。

○太田参事官 事務局でございます。

右肩に資料2と書いてあります資料を御覧ください。表題は「成年年齢引下げに伴う若年者の消費者被害防止に向けた対応策に関する意見(案)」というものでございます。

こちらの意見案につきまして、取りまとめの経緯を若干御説明させていただきます。本年9月に第7次となる消費者委員会が発足いたしまして、その後、委員間で検討テーマについて御議論いただいたところとでございます。その中で、委員共通の御関心といたしまして、来年4月からの成年年齢引下げに伴う若年者の消費者被害防止が大変重要であるというような御意見を多く頂いたということでございます。

こういったことを踏まえまして、10月から11月に掛けまして、消費者庁、国民生活センターからのヒアリングを行ったほか、更に関係団体との意見交換会なども実施してきたということでございます。

こういった会議を通じて委員の皆様から様々な御意見が出されたところでありますが、その中から主だった御意見を整理して事務局で意見(案)のドラフトという形で作成させていただき、委員間の打合せで更に御議論いただいたということで、そうした調整を経たものを本日意見(案)ということで御説明させていただくものでございます。

中身でございますが、まず「はじめに」とございまして、こちらは委員会としての問題意識を記したものでございます。

1段落目でございますが、成年年齢引下げが来年の4月1日に迫っているということでございまして、これに伴い新たに成年となる18から19歳の若年者は、未成年者取消権を喪失することになりなる、20代初めで見られる消費者被害が18から19歳の年齢層に拡大することが懸念されるということでございます。

2段落目でございますが、この間、消費者庁、文科省、法務省、金融庁をはじめとする関係省庁においておきまして、平成30年度より集中的・重層的な取組を推進していただいている。それを通じて消費者への周知の徹底、消費者教育の充実というような取組が行われてきておりまして、これ自体については評価されるべきであるとしております。

しかしながら、成年年齢引下げが若年者へ及ぼす重大な影響、更に必要な対策等に関する認識が社会全体に十分浸透したとまでは言えないのではないかということでございまして、こうしたことを受けまして、消費者委員会といたしましては、改正法の施行に向けて取組を一層加速することが急務であるということでございますし、更に適切な周知や消費者教育を継続的に実施することが不可欠であるということで、関係省庁に対して以下のとおり意見を述べるとしております。

具体的な意見の中身でございますが、まず「1 若年者の消費者被害の現状」でございますが、国民生活センターから、若年者からの消費生活相談の情報などにつきましてヒアリングを行い、そちらの結果をお示ししたものでございます。

2段落目にございますように、若年者からの相談内容ということで、「健康食品」、「化粧品」、「デジタルコンテンツ」、「出会い系サイト」等々を書いてございますけれども、18から19歳、20から22歳の年齢層で消費者被害について共通している点も多いということでございました。

他方、20から22歳の年齢層につきましては、18から19歳と比べまして「フリーローン・サラ金」、投資用教材等の「教養娯楽教材」「ファンド型投資商品」等のお金にまつわる相談ですとか、エスティックサービス等の「美」に関する相談件数が多いということでございます。さらに、トラブルのきっかけとしては、最近のデジタル化の流れを反映いたしまして、インターネットやSNS等の広告、書き込みなど、SNSを通じて知り合った人からの勧誘など、こういったデジタルサービスが起点となるケースが多く見られるということでございまして、今後こういった消費者被害が未成年者取消権を行使できなくなる18から19歳の年齢層にも拡大することが懸念されるというような問題意識を指摘してございます。

次に2といたしまして、成年年齢引下げに係るこれまでの施策の実施の経緯をお示ししてございます。

1段落目でございますが、法改正に先駆けまして、消費者委員会といたしましても成年年齢引下げに関するワーキング・グループを開催いたしまして、平成29年1月に報告書を取りまとめていただいております。その中で必要な各種の取組について意見を述べていただいたという経緯をお示ししております。

2段落目でございますが、その後、平成30年6月に国会において民法の改正法が成立したということでございますけれども、その際、参議院法務委員会において附帯決議が採択されておりまして、消費者委員会の報告書と同様の問題意識に基づき、必要な取組について御指摘を頂いておりまして、こういった取組について必要な措置を講じること、更に施行日までに各措置について効果測定や調査を実施して随時公表することが求められたという経緯がございます。

こうしたことを踏まえまして、3段落目以降でございますが、関係省庁におきましても「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」を策定、推進することや、更に消費者教育の基本方針におきましても、若年者への消費者教育を当面の重要課題に位置付けるというような形で取組を進めてきたということでございます。

具体的な内容としましては4段落目以降でございますが、アクションプログラムにおきましては、平成30年度から令和2年度までを集中強化期間と位置付けまして、消費者向けの教材であります「社会への扉」を活用した事業の実施など、消費者教育コーディネーターの育成・配置といった形で取組を推進してきたということでございます。

さらに、引下げ前の最終年度となった令和3年度、今年度におきましては「成年年齢引下げに伴う消費者教育全力キャンペーン」というような形で、関係省庁が連携しながら、地方公共団体・大学等・関係団体等への働き掛けや、イベント・メディアを活用した周知活動などを行ってきたということでございます。

その後、3といたしまして「これまでの取組の成果と課題」について整理を行っています。

まず、(1)といたしまして成果でございますが、マル1からマル3まで3つ掲げてございます。

マル1といたしまして、「社会への扉」等を活用した消費者教育の充実ということでございますがございまして、全国の高等学校等で「社会への扉」等を活用して授業を実施した割合は86パーセントでございまして、特に国公立の学校では95パーセントまで実施したというような成果を上げてきたところでございます。

マル2といたしまして、消費者教育コーディネーターの配置促進でございますが、このコーディネーターを配置する都道府県の数が令和2年度で34に達したということで、平成29年度と比べて倍増したというような大きな動きも見られたということでございます。

更にマル3といたしまして、周知・広報でございますが、特に消費者庁、法務省においては成年年齢引下げに関する特設サイトを開設して、各種SNS等も活用しながら広報活動を推進してきたというようなことが成果として挙げられるということでございます。

他方、課題もあるということでございまして、(2)でございますけれども、マル1からマル5まで5項目掲げてございます。

マル1といたしまして、私立学校・特別支援学校での授業の実施につきまして、私立学校については授業の実施率が65パーセント、特別支援学校については81パーセントということでございまして、国公立の学校と比べるとまだ低い数字に留まっているというような課題があるということでございます。

マル2といたしまして、社会での認知度でございます。関係省庁において精力的に周知・広報活動を行っていただいているわけでございますが、いまだ引下げに伴う影響等が社会で広く認知されるとまでは言い難いのではないかということでございまして、これまでの周知・広報は、ウェブページやSNSでの検索・閲覧等、ある程度対象者に一定の関心があることが前提となる、いわゆるプル型周知に留まっている。それが認知度不足の一因と言えるのではないかというような指摘もしてございます。

マル3といたしまして、成果の検証でございまして、こういった取組の成果の検証に関しまして、平成29年度から徳島県の高校等において「社会への扉」等を活用した授業実施による効果の検証を本格的に行ったということがございますけれども、この検証を除きますと、消費者教育の有効性・実効性について必ずしも十分に効果測定が行われているとは言えないのではないかという指摘をしております。

マル4といたしまして、学校での効果的な消費者教育の実施でございます。こういった教材を使いまして、概括的な教育手法が取られているといったことが多いということでございまして、実施直後にはそれなりに一定の理解が得られるということでございますが、知識の定着ということになりますと必ずしも十分でないところもございまして、先ほどの徳島の実証実験の結果からも、経年により知識が低下するというような傾向がうかがわれるということでございました。

さらに、新型コロナウイルス感染症拡大の期間と重なったというようなこともございまして、対面での授業の実施にいろいろと制約が生じるという中で、短期間で効果的な教育を実施することに困難を伴う面もあるということでございます。

5ページに参りまして、マル5といたしまして消費生活センター等における相談体制でございます。現状において消費生活センター等では、相談の手段は電話、対面が中心であるということでございまして、日常のコミュニケーションにおいてSNSを積極的に活用する若年者と手段の面で若干ミスマッチがあるのではないかというような指摘も頂いたところでございます。

こういったことを踏まえまして、4といたしまして今後の対応策に関する意見でございますが、来年4月にいよいよ迫っているということでございますけれども、こういった中で依然として対応を要する課題が残されているということでございまして、消費者委員会としては、関係省庁が緊密に連携した上で、以下に掲げる取組を迅速かつ強力に推進することを強く求めるとしてございます。

大きく6項目の意見、対応策を掲げてございます。

まず(1)といたしまして「「社会への扉」等を活用した事業の更なる推進」でございます。アクションプログラムにおいては100パーセント実施するというような目標を掲げてございました。こういった当初の目標を達成すべく、取組を一層強化すべきではないかというような意見でございます。これは主に消費者庁、文科省に対する意見ということになります。

(2)といたしまして、「周知・広報活動の更なる強化及び政府広報等を活用したキャンペーン活動の実施」でございます。6ページ目に具体的内容がございますが、これまでのプル型の周知に加えまして、例えばテレビCM、新聞広告、インターネット、SNS等の広告といったものを活用したプッシュ型の周知を一層強化すべきではないかというようなことでございます。

それから、若年者が「自分ごと」として捉えることを促すことが重要でございますので、周知・広報に際しては、若年者の被害事例に重点を置いた形で情報を発信していくべきではないかということ。

さらに、若者等の今のコミュニケーション手段に合わせまして、インターネット、SNS等のデジタルツールを積極的積極に活用していくべきではないかということで、こちらは消費者庁、文科省、法務省、金融庁を中心に意見を述べるものであります。

(3)といたしまして「制度整備及び執行の強化等」でございますけれども、若年者の被害防止・救済のためには、そのための制度整備、それから法執行等の強化が必要であるということでございまして、この間、消費者庁におきましては消費者契約法の見直しということで、現在、検討を進めているわけでございますけれども、その中にも必要な要素が入っているということでございますので、次期通常国会への法案提出に向けて、検討を踏まえた取組を着実に実施することを求めていくということでございますし、更に特商法違反の事業者等に対して、継続的に法執行を強化していくべきではないかというような意見でございます。

その下の段落でございますけれども、施行に向けて各業界に対して、例えば過剰与信の防止など丁寧な情報提供といった若年者に配慮した自主行動基準の制定・遵守を促していくべきではないかということでございまして、施行後のトラブルの発生状況などを踏まえて、必要に応じ見直し・改善するという働き掛けなど事業所管官庁を中心に行っていただくということを求めるということでございます。

さらに、事業者における自主的な取組だけでは奏功しないといった場合には、関係省庁において更なる必要な対策を検討すべきではないかということでございまして、これは消費者庁、金融庁、経産省を中心にした意見でございます。

(4)といたしまして「消費生活相談体制のデジタル化」でございます。若者のコミュニケーション手段に合わせまして、消費生活センターのデジタル化を進展させる必要があるということでございまして、ホームページ上のFAQ等の充実など、メール・SNS等による相談受付、チャットボットの活用等々、こういったデジタル化を一層加速すべきだということで、消費者庁を中心とした関係省庁に対する意見でございます。

(5)でございますが、「各取組の成果の検証及び評価」でございます。こういった取組の検証・評価を継続的に行うべきであるということでございまして、その際に、18から19歳の年齢層における消費者被害に係るKPIの設置を検討するということで、更に施行後においてPIO-NETの情報をより迅速に分析・公表して、注意喚起や取組の改善・強化等につなげていくべきだというようなことでございます。

それから、「社会への扉」等を活用した授業についての成果検証につきましては、これまで授業を実施した学校数が中心になっておりますけれども、更にそれを進めて、生徒・学生の理解度・定着度といったところにも着目していくべきだと。さらに、生徒・学生の理解度については、一部地域だけではなくて全国規模でやっていくべきではないかというような御意見でございました。これは消費者庁、文科省、法務省、金融庁に対する意見となります。

最後に、(6)の「施行後の取組の具体化」でございます。こういった諸課題への対応は改正法の施行によって終わるのではなくて、むしろ改正法の施行後に更なる取組を実施していくことが重要であるという御指摘でございます。これまでの取組を振り返り、成果を検証・評価した上で、更に施行後の効率的・効果的な施策の実施につなげていくべきだという御意見でございます。こういったことを踏まえまして、消費者教育の充実と制度整備の両面におきまして、施行後の取組を早急に具体化すべきであるというような御意見でございます。

8ページ目でございますが、それを進めるに当たりましては、取組の効果の検証・評価が可能となるようにKPIを設置すべきだということでございまして、消費者庁ほか4省庁を中心とする意見でございます。

最後に、消費者委員会としては今後も関係省庁の取組状況を注視して、必要に応じ意見表明を行う所存であるということで、まとめとさせていただいております。

なお、参考資料2といたしまして、本意見(案)のポイントを1枚にまとめた概要版を作成しておりますので、併せて御参照いただければ幸いです。

事務局からの御説明は以上でございます。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、御意見のある方は発言をお願いいたします。質疑応答の時間は30分程度を予定しています。よろしくお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いします。

○清水委員 ありがとうございます。清水です。

「若者の消費者被害の現状」はそのとおりでございます。私たち消費生活センターの消費生活相談員は、一番心配しています。今まで20から24歳を狙っていた悪質業者が18から19歳を狙ってくるだろうということは簡単に想像しております。しかしながら、18歳になったからといっていきなり社会経験が豊かになるわけでもないし、判断力が未熟である。逆に荒波に放り出されるのが2022年4月1日です。

18歳というのは新しい生活に入る方が多いです。一人暮らしを始める、そういうことから、今、インフラの電気、ガス、インターネット、全て自由化されているというひどいことに、ひどいと言ってはいけませんね。自由化されていますので、訪問販売、電話勧誘といったものが若者の住んでいる賃貸マンションを狙ってきます。非常に心配しています。

また、暮らしで独りになると親御さんがいませんので、トイレが詰まった、鍵を忘れた、中に入れないみたいなときにインターネット情報を鵜呑みにして、選んではいけない事業者を選んでしまって高額な請求をされるということも今、実際に20から24歳で被害がありますので、こういったことからすると非常に心配です。

また、バイトを始めて、バイトの先輩からもうかる話を聞く、断れない、マルチ商法だったということもあると思いますし、インターネットのオンラインセミナーでちょっと勉強しようとFXをやってみようかなと思ったら詐欺だったということも増えると思います。

こういったことがありますので、独りで悩まず188番に相談というのを是非どんどんPRしていったほうが良いと思っています。

この中で周知・広報を重視すると書かれていますので、これから国家プロジェクト的な形で、一人でも多くの若者に情報を伝えていけたらと思います。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかに御意見はございますか。

黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 ありがとうございます。

時期を得た意見書を消費者委員会がまとめるということは、大変意味があると思っております。脚注のところにも書いてありますが、既に弁護士会はいろいろな問題点があるという意見を発出しております。その発出している問題意識のところにまず書かれていることですがで、未成年者取消権が18歳まででなくなってしまうということです。若いときに失敗してしまうと、その失敗経験は自己肯定感の喪失につながる可能性が高いわけです。だから、今,このようにいろいろな成年年齢引下げにともなう問題点を消費者委員会が、指摘することは非常に意味があると思っておりますので、私はこの意見書の発出については大賛成です。

とりわけ、事業者に対する自主的な取組を要求されていることも非常に重要なことだと思っております。今、貸金業法などでは年収の3分の1規定がありますけれども、18歳までは年収がないわけですから、本来は借入れなどができない人がいっぱいいるわけです。その点についてもきちんとした形での自主規制ができているかということについて、各省庁がそれを見ていくべきであることを消費者委員会から意見として述べることは非常に重要だと思います。6ページのところです。そのようなところについても今回きちんと目配せができたような意見書ができる、これを社会に発出できることは大変意味がある。何も対策がなされないまま来年4月になったら大変なことになるわけです。まだあと3か月強ありますので、その間、きっちりとそのような取組をするようにということを伝えることは大変意味があると思います。

私としては、この意見書については是非発出して、各省庁において消費者委員会の意見を最大限尊重していただけるようにしていただきたいと思います。

以上です。

意見になりました。ありがとうございました。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村でございます。

私も、この成年年齢の引下げに対して若年者の消費者被害の増加を大変懸念しておりまして、主婦連合会としましても以前、大変懸念されるという意見書を出しておりますが、喫緊の課題として意見書を出すことに賛成いたします。

プラス、もちろん成年本人の被害を救済することは、本人への啓発は大切なのですけれども、周りの大人がみんなで新しく成人になる若者を支えるという意識が必要だと思っておりますので、広報がとても重要だと思っております。意見書の中にもテレビCMなどといろいろ書いてあります。若者に対するSNSだけではなくて、周りの大人も成人年齢が下がることを知らない方が多いと思いますので、お知らせする必要があると思います。

最後に、「施行後の取組の具体化」というのがあるのですけれども、来年4月から施行されて、これに対する取組ももちろん重要なのですが、当たり前ですけれども毎年成人になる若者がいるわけです。ですから、成人に至るまでの消費者教育が本当に必要だと思っておりますので、効果的な取組に関して、今後も意見をしていきたいと思っております。

以上です。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、生駒委員、よろしくお願いします。

○生駒委員 意見書の御説明、ありがとうございました。

私も成年年齢引下げに関していろいろと心配をしているのですけれども、この意見書の中で、オンライン上で、「自分ごと」と感じていただいて、若者たち自身がいろいろと情報を得て、自分たちが守られていくような、そういう情報提供をしていく周知・広報においてのデジタル的な発信は非常に重要だと思っておりました。

あと、相談体制もどんどんデジタル化を強化していかれることが書かれていますので、これは非常に重要な点だと思っておりまして、この意見書が発出されることは本当に意義深いと思っております。

以上です。

○後藤委員長 ありがとうございました。

受田委員長代理、よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 ありがとうございます。受田です。

まず、委員の皆様がおっしゃっておられるとおり、来年4月1日からの成年年齢引下げの施行が間近に迫っていることに対して、当該の年齢の方々に対する周知・啓発が十分に間に合うのかどうか、社会の皆様も大いに心配しておられます。そして、消費者委員会の全ての委員もそこに極めて危機感を感じながら今回の意見書発出につながったというところで、まず、この意見書の発出に関しては、委員の一人として、取りまとめていただき感謝を申し上げたいと思います。

その上で、今後4月に向けて施行されると同時に、対象となる例えば現在の高校3年生がこのコロナ禍において多くの皆様が親元を離れて大学に進学したり、社会へ旅立っていくことになると思います。当該の成年年齢引下げに伴う若い方々もそうですけれども、その若い方々を抱えておられる保護者の皆様の心配もこれから1、2、3月において極めて高くなっていくことが懸念されます。そのことを踏まえて、この3か月、十分な対応をこの意見書を基に関係府省が連携して進めていかれることを強く期待をし、また、それが一過性に終わることなく継続していかれることを心より強く願う次第です。

以上でございます。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 ありがとうございます。

御説明、ありがとうございました。

今まで委員の皆様がおっしゃいましたように、来年4月までということで、もう時間もあまりありませんので、今回ここで消費者委員会から意見を出すということは大変重要だと思っております。

加えまして、この3か月ちょっとの間に国として、省庁がそれぞれ何を行っていくべきかについて、今回の意見書のなかにも書いていただいておりますが、意見書を出したからには、それぞれの省庁で何を行ったのか、何が足りていないのかを消費者委員会としてもしっかりウォッチをしていかなければいけないと思っているところです。

それから、今度は特に施行後の取組の具体化について、7ページの(6)に書いていただいておりますが、これも今まで委員の皆様がおっしゃいましたように、どういう状況が起きているのか、どういうところに問題が起きているのかということをできるだけ迅速に取りまとめて、更にその対応を重ねていく必要があると思っておりますので、引き続きましてよろしくお願いいたします。

もう一つ気になるのは、成年年齢引下げによる影響は学校以外の場、例えば職場、専門学校などいろいろなところで起きますので、国全体として取りこぼすことのないよう行っていくことを私たちもしっかり見ていかなければいけないと思っております。

以上です。

○後藤委員長 ありがとうございました。

ほかに御意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

委員の方々から、この時期に消費者委員会として意見を出すことについての重要性について御指摘を頂いたと思います。

以上の御指摘は今回の意見(案)について強調しておきたいこと、あるいは補足しておきたいことの御発言を頂いたということで、この意見(案)自体については特に異論はなかったと理解します。

そういうことですので、皆様に御了解を頂いたものとして、消費者委員会の意見として、消費者庁長官及び関係省庁宛てに送付したいと考えます。よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○後藤委員長 ありがとうございます。

関係省庁におかれましては、是非この意見の内容について積極的に御検討いただいて、今後の取組にしっかり反映していただきたいと思います。

それでは、この議題については以上といたしまして、次の議題に入ることにいたします。

《4.消費者基本計画の検証・評価・監視(消費者基本計画工程表改定に向けての意見案について)》

○後藤委員長 次の議題は、消費者基本計画工程表改定に向けての意見案についてです。

当委員会では、第353回本会議以降、消費者契約法や成年年齢引下げ等、様々な議題について調査・審議を行ってきたほか、第358回から第360回までの本会議においては、「消費者基本計画の検証・評価・監視」として、関係行政機関等からヒアリングを行ったところです。それらを踏まえまして意見(案)を作成しました。事務局から、その内容について説明をお願いいたします。

○太田参事官 事務局でございます。

右肩に資料3とある資料を御覧ください。表題は「消費者基本計画等の実施状況に関する検証・評価及び消費者基本計画工程表の改定に向けての意見(案)」でございます。

まず、中身に入ります前に、本意見の趣旨や位置付けにつきまして簡単に御説明をさせていただきます。

現行の消費者基本計画は第4期となっておりまして、令和2年3月に閣議決定をされております。さらに、この基本計画の工程表もございまして、令和2年7月に消費者政策会議において決定されているということでございます。

このうち工程表につきましては、その実施状況につきまして毎年検証・評価を行い、改定を行うことになっておりまして、その際、消費者委員会の意見も踏まえて改定作業を行うことになっているということでございます。

年明け以降、消費者庁ほか関係省庁等におきまして、工程表の改定作業が本格化していくということでございまして、その改定作業に先駆けまして、消費者委員会として本意見を発出していただくことによりまして、工程表の改定作業にこの意見の内容を反映していくということを意図したものでございます。

本年9月の第7次消費者委員会の発足以降、委員会におきまして様々なテーマについて御審議をいただいたということでございますし、更に委員間打合せにおきましても、委員間で活発に御議論をいただいてきたということでございます。

そのような中で、委員の皆様から頂きました主な御意見を事務局で整理をいたしまして、意見(案)という形で作成させていただいて、調整をさせていただいたというものでございます。

以上が前置きでございまして、早速中身でございますが、まず1ページ目に前文が書いてございます。1段落目、2段落目は、消費者基本法など計画、工程表における記載の内容をかいつまんで書いたものでございまして、計画の検証・評価・監視というPDCAサイクルの中における消費者委員会の役割について、確認的に記載しております。工程表の改定などにおいて消費者委員会が意見を述べていくというようなことを書いてございます。

こういったことを受けまして、3段落目でございますが、消費者委員会としましては個別施策に係るヒアリングの結果や最近の被害の実態等を踏まえて、計画等の実施状況に関する検証・評価において特に留意すべき事項など、工程表の見直しに向けて具体的に検討すべき課題、これらについて下記のとおり意見を述べるとしてございます。この意見を踏まえまして、関係省庁等におきましては、各項目において十分検討の上、可能な限り工程表の改定素案等に反映してきたいというようなことを述べてございます。

4段落目でございますが、消費者委員会としては、年明け以降もコロナ禍やデジタル化等の社会情勢の変化に伴う消費者問題等についてヒアリングを行うとともに、今後、工程表の改定素案が策定されるわけでございますが、その改定素案に対して更に意見表明を行うことを予定しているとしてございます。

以上が前文でございまして、「記」以下が具体的な意見の内容となっております。1から7まで大きく7つの柱立てによって全体を構成しております。

1ポツは「工程表全体に関する事項」でございまして、大きく2項目掲げてございます。

まず、「(1)コロナ禍やデジタル化等の社会情勢の変化に伴う新たな消費者問題に関する記載の充実」でございます。

次の段落は、コロナ禍の中で社会状況がいろいろ変化しているといったことなど、そういった中での消費者問題の状況について記載をしてございます。

ページをおめくりいただきまして、「そのため」とある2段落目のところでございますけれども、コロナ禍やデジタル化等の社会状況の変化に伴って生じている新たな消費者問題への対応について、工程表の全般にわたって改めて検討し、必要に応じて記載を充実させることを求めるということでございまして、とりわけデジタル取引につきましては、デジタルならではのぜい弱性を踏まえた消費者への望ましい情報提供の在り方等に関し、国際的な動向も踏まえた今後の取組を検討することとしております。

さらに、「また」といたしまして、若年者、高齢者、障害者及び外国人等、それぞれの消費者の置かれた状況やぜい弱性に由来する消費者問題が見られるということでございますので、こうしたぜい弱性の多様性といったものを踏まえて、消費者被害の防止など消費者への支援の在り方について引き続き記載を充実させるということを消費者庁と関係省庁等に対して求めているというようなことでございます。

全体に関わるものの2番目といたしまして、「消費者政策におけるEBPMの推進」でございます。消費者政策の企画・立案に当たっても、証拠に基づく政策立案と言われておりますけれども、いわゆるEBPMを推進していくことが必要であるということでございまして、その際、事前分析と事後検証の2つの観点からデータ収集を行ってKPIを設定していくことが重要だとしております。

KPIに関しましては、これまでも消費者委員会の意見におきまして、KPIの見直しをしっかり行うということを求めてきているということでございまして、下に4項目掲げてございますが、法令及びガイドライン等の実施状況や周知状況、それから法令に基づく行政処分の実施状況、更に消費者被害の発生状況という、大きくこの4項目を中心に、こういった基準を念頭に置いた上でKPIを見直すということをこれまでも述べてきておりまして、今回の作業においても、改めてこの4項目を重視して作業してほしいということを求めるということでございます。

さらに、その見直しに当たりまして、現状のKPIについての検証・評価を行うとともに、より効果的なKPIの設定方法等について検討の上、指標に設定するということでございます。具体的には、事前分析と事後事業検証を適切に行うようにするために、取組を内容に応じて区分した上で、対応した形で複数・定量的な指標を設定していくなど、今はどうしてもアウトプット指標によるKPIが多いわけでございますが、認知度や理解度といったアウトカム指標を積極的に設定していくべきであるとしてございます。

3ページ目に入っておりますけれども、更に同種の取組について現状はKPIの設定がばらばらなところが散見されるところですけれども、そういった同種の取組についてできる限り同様の指標を定めるということを消費者庁、関係省庁等に対して求めるということでございます。

中長期的な課題といたしましては、好事例としてSDGsの推進等が出てまいりますけれども、政府の他の重要政策における目標との整合性を十分確保する必要があるだろうということで、他の重要政策とこの工程表の施策や目標を更に体系化・構造化していくことが必要だということであります。

諸外国では、各種の、相談情報などを使って進んだ分析がなされているということでございまして、PIO-NETの情報とその他の関連情報を連携した形で、更なる利活用を検討すべきだということでございます。

さらに、KPIの定点観測を可能にするという観点から、各種の意識調査などを関係省庁で行っておりますけれども、そういった各種調査における質問項目を見直した上で、KPIとして活用していくというようなことも検討すべきではないかというような問題提起を行ってございます。

以上が全体に関わる部分でございます。

次に2ポツといたしまして「消費者法令の企画・立案等」という法令に関わる部分でございます。ここにつきましては大きく3項目掲げてございます。

「(1)消費者契約法及び消費者裁判手続特例法」でございます。消費者庁におきまして、この2つの法律に関して検討会が開催されておりまして、それぞれ今年9月、10月に報告書が公表されているということでございますので、これらのこの報告書を踏まえて、今後の具体的な取組内容、それぞれの報告書の中で将来の検討課題とされている事項もございますけれども、そういったことも含めて工程表に記載すべきということでございまして、消費者庁に対する意見でございます。

「(2)特定商取引法及び預託法」でございます。特定商取引法等の契約書面等の電子化は、第6次消費者委員会で建議を取りまとめていただいておりまして、その中で、電磁的方法による提供の在り方などデジタル技術を積極的に活用した消費者保護の拡充といったことについて求めているところでございますが、それを踏まえまして、現在、消費者庁の検討会を設置して検討が進められているということでございまして、同検討会における検討状況について、引き続き消費者委員会に報告を求めるということでございます。さらに、その検討を踏まえた今後の具体的な取組内容について工程表に記載してほしいという消費者庁に対する意見でございます。

次の段落でございますが、特商法と預託法の執行強化、これは今年6月に改正法が成立しておりますけれども、その中で詐欺的な定期購入商法や送り付け商法抑止に向けた対策が取られておりますので、それに基づく具体的な取組内容について、工程表に記載してほしいということでございます。

4ページ目に入っておりますが、併せて法改正の効果の検証・評価が可能となるような指標を検討して記載するということを消費者庁に対して求めてございます。

「(3)公益通報者保護法」でございます。来年6月に改正公益通報者保護法が施行されるということでございまして、その改正法に基づく指針及び指針の解説を消費者委員会でも御議論いただいたところでございます。その指針と解説の内容につきまして、関係当事者に対して効果的に周知・広報するための方策を検討してほしいということでありますし、更に法改正による効果の検証・評価が可能となるような指標を検討して工程表に記載してほしいという求めでございます。

併せて、民間向けの指針のほかに、国の行政機関向けなど地方公共団体向けのガイドラインを改正・周知する必要があるということでございますし、更に改正法の施行に向けて、消費者庁における体制・運用面での整備を行う必要があるということでございますので、そういった残された課題に対する今後の具体的な取組内容についても記載してほしいという消費者庁への求めでございます。

次に「3.デジタル化への対応」ということで、ここは項目数が多くて6項目となっております。

まず、(1)としまして取引デジタルプラットフォーム消費者保護法でございまして、来年度にこの法律が施行されるということでございますので、円滑な施行に向けて内閣府令、指針等が実効性のある内容となるように、今、官民協議会の準備会で議論が進められているわけでございますが、そこでの十分な協議を進めていただくとともに、この法律の周知に努めていただく必要があるということでございます。更に実績、KPI、施行後の具体的な取組内容についても工程表に記載するということでございます。

それから、法律の成立時に国会の附帯決議が付されておりまして、今後の課題としてCtoC取引、いわゆるODR、SNSを通じた被害の実態把握といった宿題が出されているということでございますので、そういった宿題事項について、検討の時期や取組を工程表に記載してほしいという消費者庁への求めでございます。

「(2)デジタル広告」でございます。今、消費者庁においてアフィリエイト広告の検討会が進められておりまして、その具体的な検討内容に基づく取組について、工程表に記載してほしいということでございます。併せて、デジタル広告については内閣官房の報告書も取りまとめられておりまして、これに基づく消費者庁以外の関係省庁等における取組についても記載してほしいということでございます。

この際には、第6次消費者委員会で、自主規制の実効性向上という観点で意見を取りまとめていただいておりますので、アフィリエイト広告やターゲティング広告等に関する自主規制の整備や実効性の向上を図るための方策について、この消費者委員会の意見を踏まえて検討してほしいということを消費者庁や内閣官房、関係省庁等に求めるというものでございます。

「(3)通信分野の消費者保護」でございます。前回の委員会でヒアリングを行っていただきました。総務省の消費者保護ルールの在り方に関する検討会の報告書を説明させていただいておりますけれども、この報告書を踏まえた今後の具体的な取組、さらに、引き続きの検討課題となっている苦情相談の処理の在り方の進め方も含めて工程表に記載してほしいという総務省に対する求めでございます。

「(4)食品表示におけるデジタルツール活用等」ということでございまして、第5次消費者委員会におきまして食品表示の全体像に関する提言をまとめて、御提言頂いておりまして、それを基に消費者庁におきまして、実証事業を含む各種調査等を進めているということでございますので、特にインターネット販売における食品に関する情報提供の在り方について、工程表への記載を充実するとともに、Codexでの議論が進められているわけでございますが、それを踏まえつつ取組を加速させることを消費者庁に対して求めるということでございます。

さらに、保健機能食品制度の在り方について、消費者庁の特保の検討会において、特定保健用食品制度の在り方の全般的な課題について検討すべきだという意見が出されたということでございますので、そういった検討の方針などを工程表に記載してほしいという消費者庁への求めでございます。

「(5)デジタル化に対応した消費者教育の推進」ということで、消費者庁の消費者教育推進会議におきまして、「社会のデジタル化に対応した消費者教育に関する分科会取りまとめ」というものが出されているところでございますし、徳島の新未来創造戦略本部におきまして、啓発用デジタル教材開発に向けた有識者会議が開かれているということでございますので、それを踏まえた具体的な取組内容について、その活用方策も含めて工程表に記載してほしいという消費者庁と文科省に対する求めでございます。

「(6)キャッシュレス決済への対応」ということで、清水委員などからも御指摘がございましたように、キャッシュレス決済関係の消費者トラブルが増加しているということでございますので、こういったトラブルの現状などをしっかり確認した上で、その取組状況について記載を充実させてほしいという消費者庁、金融庁、経済産業省への求めでございます。

6ページ目でございますが、「4.成年年齢引下げ後を見据えた対応」ということで、これは先ほど委員会として意見を取りまとめていただいたということでございますので、こういった意見も踏まえまして、消費者教育や周知・広報活動を強化するとともに、これまでの取組の検証・評価を行って、今後の具体的な取組方針について工程表に記載してほしいということでありまして、消費者庁ほか御覧の関係省庁に対する意見でございます。

「5.地方消費者行政の充実・強化」でございます。大きく3項目ございます。

(1)としまして消費生活相談等のデジタル化でございますが、消費者庁、国民生活センターにおきましてデジタル化のアドバイザリーボードが開催され、中間取りまとめが出されているということでございますので、それを踏まえた今後の取組内容について工程表に記載することを求めるということでございます。

その上で、次期PIO-NET刷新を含めた消費生活相談のデジタル化に向けた方針について、可能な限り記載してほしいという消費者庁への求めでございます。

「(2)地方消費者行政への支援」でございますが、10月27日に令和3年度地方消費者行政の現況調査が公表されておりまして、この中で地方消費者行政をめぐる予算や人員配置、相談員の数、いずれも引き続き厳しい状況にあることが浮き彫りになったということでございます。こういったことを踏まえまして、相談員の更なる処遇改善、人材の育成・確保、必要な支援策について工程表に記載してほしいという消費者庁への求めでございます。

「(3)高齢者や障害者等の消費者問題への対応」でございまして、高齢化、デジタル化ということで、いわゆるぜい弱性を抱える消費者の保護が重要になるということでございます。このため、成年後見制度の利活用の促進など、身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題、これは第4次消費者委員会のときに建議をまとめていただいておりますけれども、建議への対応状況も含めて取組状況を確認いただいた上で工程表への記載を充実させるという消費者庁と厚労省への求めでございます。

さらに、社会福祉法が改正されておりまして、その中で重層的支援体制整備事業というものが新たにできるということでございますので、そういった整備事業と消費者安全法に基づく、いわゆる見守りネットワークとのさらなる連携強化について検討して、取組を工程表に記載するという消費者庁と厚労省への求めでございます。

「6.事故情報の収集、通知制度の運用」でございまして、令和2年11月に総務省から勧告がなされているということでございまして、その勧告を踏まえた対応について具体的に工程表に記載するということで、消費者庁のほか警察庁、消防庁、厚労省への求めでございます。

「7.SDGsの推進」ということで3項目お示ししております。

「(1)エシカル消費の普及啓発」でございますけれども、消費者政策の立場からもSDGsの達成に向けた貢献を行うということで、各種の普及啓発活動など、食品ロス、ファッションロスの削減をはじめとする事業者と消費者の連携・協働を促進していくことが重要だということでございます。

このうち、食品ロスの削減につきましては、食品ロス削減の基本方針がございますけれども、その進捗状況を踏まえて、必要に応じて工程表を充実させるということであります。

更にサステナブルファッションにつきましては、関係省庁連絡会議が開かれているということでございますので、そこでの検討内容を踏まえて、工程表への記載を追加するということでございます。こういったことを踏まえて、エシカル消費の関連記載との整合性を確保した上で推進していただくということで、消費者庁、経産省、環境省等への求めとなります。

「(2)消費者志向経営の推進」でございます。事業者と消費者の連携・協働の促進に向けて優良事例表彰の見直し・改善など、消費者志向経営を実施する事業者への資金調達の円滑化を図るといった有識者検討会での検討内容も踏まえまして、工程表に記載するということでございます。

さらに、第6次の委員会で「事業者による消費者関連情報の積極的な活用を促すための対応策・環境整備に関する意見」を取りまとめていただいておりますので、こういった意見を踏まえて、事業者と行政との対話に基づく共創体制の構築・整備など、事業者による自主的な取組を応援するための仕組みの充実といったことも工程表に記載すべきということでありまして、消費者庁ほか関係省庁等への求めでございます。

最後でございますが、「(3)循環型社会の形成やカーボンニュートラルに向けた取組」でございまして、SDGsの達成に向けて、循環型社会の形成が非常に重要になっていくということでございます。特に2050年のカーボンニュートラルに向けて、消費者が行動様式の変革など行動変容に取り組むといったことを通じて事業者の取組を後押ししていくことも重要だという御指摘を頂いております。こういったことを踏まえまして、地球温暖化対策計画が今年10月に閣議決定されておりますけれども、その内容を踏まえまして、工程表の内容についても見直していくという環境省への求めになります。

雑ぱくではございますが、事務局からの御説明は以上でございます。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。なお、質疑応答の時間は30分程度を予定しています。よろしくお願いします。

清水委員、お願いいたします。

○清水委員 3点です。

4ページの「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」です。こちらは全てのデジタルプラットフォームが対象になります。既に大手のデジタルプラットフォームでは、様々な自主的な取組がされているという現実はありますけれども、まだ十分でないデジタルプラットフォームが存在することは悩ましいです。更に問題なのは、自主規制すら守らないアウトサイダーみたいなおおよそ期待できないデジタルプラットフォームが存在するということがあります。こちらは書かれているように、これらを注視していく必要があると思っています。

次に5ページの「(6)キャッシュレス決済への対応」です。こちらも書かれているとおりなのです。実際、キャッシュレス化を国が進めています。しかし、相談の現場では、例えば弱者、クレジットカードを作れない人たちが少額決済で多重債務になってしまうという現状もあります。特にクレジットカードを作れない方というのは未成年者、未成年者は18歳引下げという問題もありますけれども、例えば未成年者が悪質なプラットフォームでいろいろな少額決済を使ってしまうという問題もあります。既に今年5月に日本後払い決済サービス協会が設立されまして、取引の公正、消費者保護、利便性に貢献ということで、業界団体が作られています。

ここでも言えるのですが、早く業界団体を作って自主ルールで守ってくれる方たちはいいのですが、アプリ決済やキャリア決済等の少額なものはなかなか悩ましい面があります。これも注視していく必要があると思いました。

最後、6ページの「(2)地方消費者行政への支援」です。私も消費生活相談員で担い手を必死に探して、育てなければいけないと思って何十年という感じなのですけれども、担い手がなかなか育ちません。一言で言うと、消費生活相談員の待遇の悪さにあると思います。相談員はすぐお金のことを言うと言われますが、仕事を選ぶ中で一番のポイントはお金ではないでしょうか。今回、相談員のいない市町村は4割強という数字が現況調査で明らかになっています。誰一人取り残さないということで、どこでも相談できる体制というように目標を掲げておりますが、ここは当委員会としても注視が必要だと思います。

以上3点です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

清水委員にお聞きしたいのですが、今、御発言なさった3点は特に注意すべきことということで、修正を要するということではないということでよろしいでしょうか。

○清水委員 はい、意見は伝えた上でこのような意見書になっておりますので、説明していただいたのですが、特に強調したい点をあえて申し上げました。

よろしくお願いします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、受田委員長代理、よろしくお願いします。

○受田委員長代理 ありがとうございます。

私自身は、今回の消費者基本計画等の実施状況に関する検証・評価及び消費者基本計画工程表の改定に向けての意見(案)については全く異論ございません。このようにまとめていただき、そして関係府省との意見調整と言いますか確認も経て、このような形で発出できるというところで、大変意義深く感じております。

その上で、内容的な部分に少し思いと言いますか、私自身が意識を持っているところをコメントさせていただきたいと思います。

5ページに「(4)食品表示におけるデジタルツール活用等」という項目がございます。御存じのとおり、コロナ禍においてインターネット販売が非常に伸長しております。食品に関しても同様でございます。

一方で、今の食品表示自体は法律の及ぶ範囲は容器しばりということで、容器への表示が義務付けられているというところで留まっております。インターネット販売における食品の自主的かつ合理的選択の機会あるいは言うまでもなく安全性の確保をどのようにするかというところは、消費者の皆様の大いなる関心事であり、決してここにおいて事故が起こってはならないことかと思っております。

そういう意味で、こういったインターネット販売における食品に関する情報提供をより整備していくことに関して、今回このようなコメントを記入させていただいたということは非常に意義深く、また、取組を加速させていくという文言が盛り込まれたということについても極めて意義が深いと思っております。

Codexにおける議論がまだ見えてきておりませんので、いち早くそのことをにらみつつ、整備を加速していただきたいという思いを強調しておきたいと思います。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 ありがとうございます。

今まで第7次の中でヒアリングをさせていただいていた内容について、かなり的確におまとめいただきました。大変有り難いと思っております。

そこの中で、今後に向けての話として少し意見を言わせていただきますと、第7次としては4ページにある「デジタル化への対応」について具体的な法制度ができてきている中での消費者委員会としての意見となりますので、デジタル化というものについて、今後もより深掘りしていかなければならないのではないかと思っております。

それから、第7次ではまだあまり深くやっていないのですけれども、6ページの「高齢者や障害者等の消費者問題への対応」でございます。これにつきましては、私は日弁連の人権擁護大会第2分科会の実行委員長をしていました。この問題を「超高齢社会における消費者被害の予防と救済を考える~誰一人取り残さない社会をめざして~」というテーマでとりあげました。その中では、「ぜい弱性」というものをより深く掘り下げていくと、それは高齢者や若年者などという一定のカテゴリーに属する人の属性ではないのだと。人間が持っている本来的な弱さを「ぜい弱性」としてより普遍性のある概念としてみたいなところをいかなければならないのではないかということを考えております。

現在の消費者基本計画においても、人間の中の一つのカテゴライズされたものの中に「ぜい弱性」を位置付けるというような考え方でまとめられておりますけれども、この点をもう少し深掘りして、消費者基本計画全体を見直すときにはそういう観点も考えていったら良いのではないか。工程表とは関係ないのですけれども、そう思っております。

以上2点、意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。

○後藤委員長 黒木委員にお尋ねしたいのですが、ただいまの御発言は特に修正を要するということではないということでよろしいでしょうか。特に強調したい点を御発言いただいたという理解でよろしいでしょうか。

○黒木委員 はい、委員長の御説明のとおりでございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 ありがとうございます。

私も、今回のこの意見書については全面的に賛成しておりまして、修正を求めるものではありませんが、強調したい部分について発言させていただきたいと思います。

まず、1ページ、2ページ目の工程表全体に関する事項のところで、今回(1)の最後のところにコロナ禍によって新たに起こった消費者問題に関することと書かれているところです。ただいまの黒木委員の発言にも重なるのですが、最後のパラグラフにあるように、若年者、高齢者、障害者という個別のものではなくて、様々な置かれた立場によって、これまでも大変弱い立場にあった人々が、更にコロナ禍においてその格差が拡大しているということがますます顕著になっているような気がいたします。ここのところは「等」の中にいろいろな人々が入るとは思いますけれども、消費者委員会としても今後しっかり見ていかなければいけないなと思いましたので、強調という意味で発言させていただきました。

もう一点、最後の循環型社会の形成及びカーボンニュートラルのところもしっかり書いていただいておりますけれども、2050年のカーボンニュートラルの目標達成は実際には大変厳しい状況にあります。その中で一歩ずつでも進めていくためには、事業者、消費者が共に協働し、今からでもすぐに進めていかなければいけないわけで、この実現が大変厳しいという前提の下に、是非工程表の中には具体的に進めていくべき事例をいろいろと入れていただきたいなと思い、強調の意味で発言させていただきました。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村でございます。

私もこの意見書には賛成で、その上で強調したいことという意味で発言させていただきます。

全ての問題が大事なことで、本当にそれぞれやっていただきたいと思うことばかりなのですけれども、コロナ禍ということでデジタル化が本当に進みました。先ほど皆様もおっしゃいましたけれども、消費者のぜい弱性というところがこんなにクローズアップされていることは本当に重要なことだと思っています。

そうした中で、消費者が日々の生活の中でどのように対応したら良いのかということが分からなくなる場面が多々あると思うのです。例えば、先ほど清水委員もおっしゃっていましたが、キャッシュレス決済の問題があります。このようなものは少額ですし、消費者被害に遭ったとしても、被害に遭ったと思わないなど、泣き寝入りすることも多いと思います。通信分野の保護はかなり整備されてきておりますけれども、新たな課題もデジタル化においていろいろと出てきております。ですから、通信分野の消費者保護だけではないのですけれども、苦情相談を消費者のためにきちんと行ってきてほしいという思いがありまして、特に通信分野の消費者保護につきましてはADRを作ろうという動きになっておりますので、そういったことを強調させていただきたいと思います。

通信だけではなくて、消費者被害が減って安心・安全に暮らせるようにと、このような意見書を出すことは本当に意義があると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございますか。よろしいでしょうか。

それでは、各委員から今回の意見案につきまして強調しておきたいこと、あるいは補足しておきたいことを御発言いただいたと理解しました。この意見(案)自体については特に異論はなかったと思いますので、皆様に御了解を頂いたものとして、消費者委員会の意見として、消費者庁長官及び関係府省庁宛てに送付したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○後藤委員長 ありがとうございます。

これをもちまして意見としますが、関係省庁におかれましては、是非この意見の内容について積極的に御検討いただいて、工程表の見直しに反映していただきたいと思います。

《5.その他(消費者委員会の部会・専門調査会について)》

○後藤委員長 それでは、次の項目に移ります。消費者委員会の下部組織の委員について御報告いたします。

第352回委員会におきまして、部会、専門調査会の活動継続について御確認いただいたところですが、先般、内閣総理大臣から臨時委員及び専門委員がそれぞれ任命されました。そこで、消費者委員会令第1条第2項、新開発食品調査部会設置運営規程第4条第3項及び第4項、公共料金等専門調査会設置運営規程第2条第2項及び第3項に基づき、各組織に属すべき臨時委員及び専門委員、専門調査会等の座長につきまして、参考資料3-1から3-4までのとおり指名いたしました。

「食品表示部会」及び「新開発食品調査部会」につきましては、既に第352回委員会におきまして、部会長に受田委員長代理を指名したところですが、「新開発食品評価第一調査会」の座長には石見佳子臨時委員を指名いたしました。本委員会からは生駒委員が「食品表示部会」に、木村委員が「新開発食品調査部会」にそれぞれ御参加いただくことになりました。

「公共料金等専門調査会」の座長には野村宗訓専門委員を指名いたしました。本委員会からは大石委員と星野委員にオブザーバーとして御参加いただくことになりました。

各下部組織の部会長代理、座長代理の指名につきましては、各部会長、座長より、それぞれの初回会合において行われる予定です。

以上、御報告をいたします。よろしいでしょうか。


《6.閉会》

○後藤委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○太田参事官 本日も大変御熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。

以上でございます。

○後藤委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)