第250回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2017年6月27日(火)13:20~15:03

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、池本委員長代理、阿久澤委員、大森委員、蟹瀬委員、長田委員、中原委員、樋口委員、増田委員
  • 【説明者】
    消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官
    経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 景品表示法に基づく課徴金納付命令について
  3. 「JIS Z8050安全側面-規格及びその他の仕様書における子どもの安全の指針」について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会第250回本会議」を開催いたします。

本日は阿久澤委員が御欠席、増田委員が若干遅れてお越しになるということになっております。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第の下部のほうに配付資料一覧を記載しております。資料1、資料2、参考資料となっております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますよう、よろしくお願いいたします。


≪2.景品表示法に基づく課徴金納付命令について≫

○河上委員長 それでは、早速議題に入りたいと思います。最初の議題は「景品表示法に基づく課徴金納付命令について」であります。

景品表示法の課徴金制度につきましては、当委員会は、平成25年の12月に景品表示法上の不当表示規制の実効性を確保するための課徴金制度の導入等の違反行為に対する措置の在り方について、内閣総理大臣から諮問を受け、景品表示法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会を設置して、調査審議を行い、その結果を取りまとめて、平成26年6月に答申を行ったところです。その後、消費者庁において検討が重ねられ、平成26年11月、景品表示法に課徴金制度を導入する法律案が成立し、昨年4月1日に施行されたところです。

この課徴金制度が導入されてから約1年3カ月が経過いたしまして、これまでに複数の課徴金納付命令が出されております。そこで、本日は、同法の課徴金制度の運用状況について、消費者庁から御報告を頂いた上で若干の意見交換を行いたいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ御出席を頂きまして、ありがとうございます。

それでは、大変恐縮ですけれども、15分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 消費者庁表示対策課の笠原でございます。

本日、委員長から御説明のございました景品表示法上の課徴金を適用した事案につきまして、最近の執行状況を概括させていただきたいと思っております。

1年3カ月程度、施行後経っておりますけれども、調査に関してはかなりいろいろやることが多くということで、実際に第1号事案というのは本年に入ってからということになってございます。

御説明に当たりまして、一度課徴金制度全体について、ポイントをまず御説明させていただきたいと思います。お手元の資料の一番最後のページ、【参考】とございますこちらの課徴金制度の概要を御説明させていただきます。

御案内のとおり、課徴金制度は不当表示行為についての抑止力、防止力を高めるということから導入されたものであります。また、この景品表示法の課徴金制度に固有の特徴的なものでございますけれども、消費者被害の回復を図るという観点から返金制度というものが導入されておりまして、一定額を課徴金額から相殺するということになってございます。

幾つかポイントを御説明いたします。まず、左上の囲みを御覧頂ければと思うのですけれども、課徴金納付命令は、景品表示法上の禁止規定の中でも特に優良誤認、有利誤認と呼ばれているものについてが対象になります。別途、告示によって例えばおとり広告だとか、そういったものが規制されておりますが、告示による規制、こちらについては課徴金の対象ではないということになっております。

優良誤認というのは、商品の内容、役務の内容等について、実際のものよりも著しく優良だと見せかけるもので、有利誤認というのは商品の取引条件、価格等、そういったものについて特に実際のものよりも著しく有利であると見せかけるといった表示となっております。

課徴金の額の計算につきましては、これは対象の商品・役務の売上高、これに3%を乗じたものという機械的な計算になってございます。

対象の期間は、これは最大算定期間3年間となっておりますが、昨年4月に施行された関係で、現状では遡っても昨年4月1日までとなっております。

主観的要素ということでございますけれども、これは不当表示を行っても、こちらにあります不当な表示であることを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠った者ではないと認められる場合には、課徴金が課されないということでございます。平たく言えば、不当表示であると自ら知って行った場合、もしくは知らなかったとして、その知らなかったことそのものに何か不注意な点があった場合、そういった場合に課徴金が課されるということになってございます。

規模基準という形で、いわゆる裾切りがございます。計算した課徴金が150万円未満の場合、これは単純に売上高ベースでみますと5,000万円未満の売上げの場合につきましては、課徴金の賦課の対象にならないということでございます。

1つ下の枠でございますけれども、課徴金については、自主的な対応のインセンティブを与えるということで、事業者が自主的に違反事実について報告をしてきた場合につきましては、その課徴金額を半額にするという制度がございます。

右でございますが、こちらが先ほど申し上げた返金制度ということの御説明になってございます。返金制度につきましては、事業者が任意に計画という形で返金計画を出してくるのが前提になります。事業者が幾つか法律上の要件、例えばこちらの※印にございます対象となるべき一般消費者に対して、その申出に応じて、それぞれの購入者の購入額の3%以上の金銭を返金するといったようなことが条件になります。そういった内容の返金計画を提出していただき、それを消費者庁長官のほうで法律上の要件に該当するかどうかということで、こちらが要件に該当すれば認定をするという処分を行います。認定された計画に基づいて実際に事業者の方に返金をしていただきます。その返金結果を報告頂きまして、その返金が計画に適合していると認められる場合には、その相当額を予定している課徴金の額から相殺をし、もしそれで課徴金が1万円未満、実質的にはゼロですけれども、ゼロになりましたら、課徴金は命じない。残額が残れば、その分の課徴金を命じるというシステムになってございます。

本年に入りまして幾つかの事案がございまして、大きく分けて、こちらの1ページ、2ページ、3ページにありますいわゆる燃費偽装と言われた一連の事件に関しての対応、それから、4ページ、5ページにございます日本サプリメントという会社、これはいわゆる特保の案件でございます。これにつきまして、これまでの執行事案ということでございます。

幾つか流れでポイントを御説明いたします。まず1ページを御覧頂ければと思うのですけれども、今回燃費の問題につきましては、対象事業者は三菱自動車工業、日産自動車の2社がございました。まず1ページ目ですが、これが三菱自動車の普通自動車等の車種に係るものでございます。普通自動車は5車種ございまして、ミラージュ、RVR、パジェロ、デリカD:5、アウトランダーPHEVという5車種になってございます。こちらにつきまして、三菱自動車が、表示例が真ん中にございますけれども、例えばミラージュであれば、カタログ等の表示上は「25.4」ということで、国土交通省審査値という形で表示をしていたわけなのですが、実際に国土交通省が数字を届け出たものについて認証するという形になってございますが、国土交通省が改めてこれを検査したところ、下の赤い文章のところがございますけれども、実際に国が定める試験方法に基づく燃費性能として表示できる上限値は「24.0」というものでございました。ですから、1.4キロほどリットル当たり過大な表示になっていたというものでございます。

同様に、ほか車種につきましても、同じような燃費のかい離があったということで、これを優良誤認と認定いたしました。これにつきましては、今年の1月27日に措置命令、いわゆる再発防止等を求める措置命令を実施するとともに、課徴金納付命令としまして、5車種合計で4億8,507万円の課徴金納付を命じたものでございます。こちらが課徴金制度施行後、第1号事案ということになってございます。

2ページ、もう一つが三菱自動車、日産自動車のそれぞれ軽自動車に対してのものでございます。こちらも今年の1月27日の時点で措置命令を行っておりますが、これに対しての課徴金納付命令は先日6月14日に行ったというものでございます。事案の中身はほぼ一緒でございまして、今、三菱の表示でございますが、「30.4」と記載していたものが、実際に国が定める試験方法に基づく上限値としましては「26.1」であったというものでございます。これにつきまして、下のほうに青い字がございますけれども、冒頭御説明した返金計画が、こちらにつきましては申請され、消費者庁長官が認定をいたしました。認定返金計画に基づきまして、両社は返金措置を実施しておりました。その結果を踏まえまして、その返金相当額を当初予定した課徴金額から減額した形で、その残額についてが、今回課徴金納付命令を出したものとしまして、三菱が453万円、日産が317万円という形になってございます。

3ページ、先ほどの普通自動車、軽自動車について、幾つかのポイントをまとめてございます。課徴金の対象期間につきましては、三菱、日産とも軽自動車は昨年4月1日から同月の20日まで、普通自動車は少し長くて、同じ4月1日から8月30日が主なものとなってございます。

1つ飛ばしまして、真ん中に「自主的報告による2分の1減額」とございますが、先ほどの自主的に報告した場合半額にするというものですけれども、こちらの三菱の普通自動車、こちらにつきましては、「×」となってございます。こちらは報告はあったのですけれども、法律上の要件で、課徴金納付命令があるべきことを予知して行われた場合にはこれが適用されないということで、この普通自動車に関しましては予知して行われた報告であると我々は評価をいたしまして、この適用をしていない。軽自動車につきましては、これが適用されたという違いがございます。

もう一つの違いとしまして、その右の返金計画でございます。先ほど申し上げたとおり、軽自動車につきましては返金計画が提出されまして、それを消費者庁長官が認定をいたしております。他方、三菱の普通自動車等につきましては、返金計画が提出されなかった、もしくは提出をされましたけれども、消費者庁でこれを不認定という形にしております。不認定とした理由は幾つかございますけれども、一番典型的なものは、返金をすべき相手ということで、当然購入者はいるわけなのですが、その中で、購入をしたけれども、近いうちに手放してしまったような購入者さんにつきましては、この返金計画上は返金の対象外であったというようなケース、こういった形で、幾つか本来返すべき購入者の方に返金がなされないような計画であったということで、これは法律上の返金措置に該当しないということで不認定という形にしてございます。

左から3つ目の囲みでございますけれども、先ほど申し上げた俗に相当注意義務と我々は申していますが、不当表示であることを知らず、知らないことにつき、相当の注意を怠った者ではないことということにつきまして、三菱自動車は、本件につきましては、燃費性能のデータを自ら改ざんしていた、そういったことが今回のかい離につながったということがございます。また、そういった改ざん等の行為を防止するための内部の管理監督体制が不十分であった。こういった点が今回相当注意義務に該当する事項であると認定をしてございます。

日産自動車につきましては、日産自動車の軽自動車は、三菱自動車が製造しておりますもののOEM供給を受けたものということになってございます。それに関しまして、こちらにありますとおり、三菱と共同で燃費値に係る検証ということを行っておりました。その検証の過程で、燃費性能の根拠となる情報、これを日産として十分に確認しなかった。その結果、この三菱の燃費の不正についての実態というものがなかなか発見されず、結果として不当表示が続いてしまったという点が、この相当注意義務違反に該当するだろうと評価いたしております。

補足ですけれども、日産が三菱からOEM供給という形で契約に基づいて供給を受けた中で、契約に沿って、三菱のほうが取得した燃費値等の認証情報、これをそのまま表示する。そういったこと自体を何か過失があると問題にしたわけではなくて、こちらにありますとおり、共同で実施した燃費値に係る検証、この過程における対応の在り方、これを今回我々としては相当注意義務に一定の問題があったのではないかという評価をしているところでございます。

続きまして、日本サプリメントの件でございます。こちらも上の見出しにございますけれども、措置命令につきましては本年の2月14日に行っております。その上で課徴金の調査を進めまして、今月6月7日に課徴金納付命令も行ったというものでございます。

こちらは対象商品がいわゆる特保と言われる商品でございまして、全部で8商品が不当表示であると認定をされてございます。大きくはペプチドエースというタイプ、これはかつおぶしオリゴペプチドが特保の成分ということになります。もう一個のタイプがこの豆鼓エキスというカテゴリーでございます。足し合わせて8商品となっております。

これらにつきまして、表示上、特保なりいろいろ書かれて、消費者庁長官の特保の許可の要件を満たしたものであるかのように表示していたわけなのですが、実際のところは、下の赤字にありますけれども、それぞれ平成23年8月以降、品質管理として製品の関与成分についての試験検査、これを行うということがガイドライン等で決められているわけですが、こういったことが行われておらず、また、それぞれ時期は違うのですけれども、それぞれの対象の商品につきまして、関与成分の特定ができないということが事実として判明していたということでございます。こういった事実に鑑みますと、健康増進法に規定されている特保の許可の要件、これを満たしていないというような状態の中で特保の許可要件を満たしたかのような表示をしていたということで、この部分が不当表示だという評価になったものでございます。

課徴金につきましては、この8商品についてのうち、実際に計算をしたところ、裾切り基準である150万円を超えたものということで、8商品中2商品につきまして、合計5,471万円の課徴金納付命令を命じたということでございます。

5ページ、おさらいにはなりますけれども、この日本サプリメントの件についてのポイントとしまして、商品名は、先ほどの8商品のうちのこの2商品ということになってございます。課徴金の対象期間は同様に4月1日から9月17日になってございます。相当注意義務違反ということにつきましては、先ほど実態という形でお話をしたとおり、製品の試験検査を行っておらず、また、その関与成分が特定できていないことが判明していたにもかかわらず、この表示をしていたということで、これは相当注意義務違反があるだろうという評価をしてございます。課徴金額がそれぞれこちらの金額になってございます。

最後に、6ページですけれども、まとめまして、これまで課徴金制度施行後、今、御説明をいたしました5件が実施されているということでございます。消費者庁におきましては、引き続きこの課徴金制度を含め、景品表示法上の不当表示事案があれば、これに対しては適切に対応していきたいと考えてございます。

私からの説明は以上になります。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの説明の内容について、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがですか。

大森委員、お願いします。

○大森委員 課徴金で集められたお金はどう使われるのでしょうか。例えば購入額の3%を返してもらう消費者もいるわけですけれども、車であれば個人にとってはすごい財産で、そんな僅かなお金でと、すごいダメージだと思うのです。また、健康食品をずっと飲んでいた、食べていた人たちにとって、その3%が果たして納得のいく額かということもありますし、消費者被害が根拠になって集めたお金なので、消費者のためになるように、例えば適格消費者団体の活動資金に回すとか、そういう運用がなされるといいなと思うのですけれども、その辺りはどうなっていますか。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 まず、その3%なのですけれども、これは3%以上が条件でございまして、これは事業者の御判断にはなりますけれども、例えば全額の返金というのも当然できるということでございます。その上で、実際に残額も含めて課徴金として納付を命じたものにつきましては、国庫に一括して入ることになってございます。ですから、現状、例えばおっしゃったような適格消費者団体の資金といったものよりも、国庫の財源に入るということが現状の制度になってございます。

○大森委員 ということは、使い道は限定されない、どうなるか分からないということですか。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 そうですね。一義的には国の歳入ということで、通常の歳入科目の中で処理をされるということでございます。

○大森委員 できたら、この消費者被害で集めたお金なので、消費者被害防止や回復のために使われるような、そういうひもづけみたいな形で、適格消費者団体の活動資金に回すとか、そういう検討をしていただけたらと思います。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 まさに、そういった被害回復を促進するという観点で、今回返金制度という形が入ってございます。ですから、制度の検討に当たってはさまざまな議論があったと承知をしておりまして、その中で被害回復を含めて、現状で望ましい形としまして、この返金制度というものが導入をされたと理解しております。

○河上委員長 池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 池本でございます。

課徴金納付の前提となる返金計画のことについてお伺いしますが、今の質問の中でもちょっと出てきましたが、3%以上の額の返金計画を立てるということですが、それがどのぐらいのパーセント、案件によっては契約の解除・取消しで全額が相当なのか、それとも一定の額か。その計画を提出して相当額かどうかということは消費者庁の側で判定をするのか、あくまでも何%相当というのは事業者の自主的な判断に委ねるのかという点が1点です。

それから、その期間というのは、どのくらいの期間を設けるというのはどういう考慮事情で決めるのか。

もう一つ、一番最後のこのページでもあるのですが、取引したことが特定される一般消費者からの申出があった場合とありますが、これは住所、名前が把握できている人の範囲で計画を作ればいいというのか、それとも、申出を受けて確認できた場合には返金しますということを含むのか。それから、申出があった場合とありますが、通知をしたりという措置は想定されているのかどうか、あるいは現実の運用でどうなのかというあたり、細かいところですが幾つかお伺いします。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 まず1点目の3%以上でどの実際の水準が適切なのかということにつきましては、法律上、要件としましては購入額の3%以上、別途、相互に不当に差別的でない等の要件はございますけれども、額の水準につきましては、3%以上ということが認定の要件になってございますので、それを超えた形で計画が立てられた場合には、もっと高くする必要があるとかということで、消費者庁のほうで何か言うものではないという制度でございます。

期間とおっしゃったのは、返金の実施期間ということでよろしいでしょうか。こちらにつきましては、法律上は、まず大原則としては事業者が実際の実施期間は定めるわけなのですけれども、法律上の要件としましては、余り長くても仕方がないし、短くても不適切であるということで、法律上は4カ月間を最大としまして、その中で返金として十分な期間を取っていただくというのが基本的な整理になってございます。

次のお話で、特定された一般消費者、何をもって特定したのかということでございますけれども、こちらにつきましては、例えば本当に一般的なスーパーで売っているような商品につきまして、どこの誰が買ったということまでは特定は当然できません。運用上はガイドライン等でも示しておりますけれども、例えば購入者のレシートだとか、そういったもので、確かにこの人が購入したということが確認できれば、その人がどのような方かどうかというのは、それは返金の際の連絡先の事項としては別途必要になるかもしれませんけれども、返金の要件としましては、レシート等で確かにこの人がこのくらいの額を買いましたということが確認できれば、それで十分と考えております。

また、今回の日本サプリメントのようなケース、まさに今回の自動車もそうですけれども、恐らく、自動車の場合、一義的にはディーラーにはなりますけれども、通信販売であれば相手方というのは住所、氏名等は当然事業者として把握しておりますので、そういった場合には、その中で特定というのは更に容易になろうかと考えております。

また、その話とも絡みますけれども、申し出が待つだけなのかというところですけれども、これは認定の要件の中で、計画の中で、周知の方法ということも要件に定めてございます。ですから、例えばどういう形の周知が適切かどうかというのはケース・バイ・ケースではありますけれども、今、申し上げたような、既に顧客のリストがはっきりしているような場合であれば、例えばダイレクトメールとか、そういったようなものが非常に有効かもしれませんし、もちろんウエブサイト上の周知、場合によっては一般紙などの新聞に対して社告を出すということも考えられます。どのような形で返すべき人に情報が到達するかというところで、その辺りの妥当性というのは個別の判断をさせていただくということになっております。

また、併せまして、この返金計画を認定した場合には、消費者庁としても被害回復の支援を図るという観点から、今、消費者庁のウエブサイトにおいて認定した返金計画というものを一覧にして掲載してございます。ですから、こういった商品でいつからいつまで返金が実施されています、詳しくはこちらを見てくださいというようなことは、一覧のリストを作ってございますので、そちらも御参考に御紹介させていただきます。

○河上委員長 池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 ありがとうございます。

今の一番最後の辺りに関連して再確認なのですが、申し訳ないのですが、その庁の公表した一覧を確認できていなかったので少しお伺いしたいのです。今回のそれぞれの措置命令と課徴金納付命令のタイミングで見ますと、ペーパーの1枚めくったところ、これは1月27日に措置命令及び課徴金納付命令となっておりまして、そうすると、これは措置命令の時点で返金の計画が出されたもの自体が、これはもう期間を待つまでもなく控除に該当しないという判断になったのかどうか。2番目の軽自動車については1月27日公表で6月14日ですから、これは5カ月くらいある。これが先ほどのケースでいくと自主的な返金措置を待っていたということだと思うのですが、そうしますと、日本サプリメントは2月14日措置命令で、6月7日で、これは返金措置の対応なり計画なりが出たけれども実施がなかったのか、それとも、これが私はよく理解できないのですが、その点、お伺いします。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 日本サプリメントの件に関しましては、こちらは事業者から返金計画は出てきておりません。ですから、課徴金の額の計算等の調査が終われば、速やかに課徴金納付命令という形で出したということでございます。措置命令と若干時間が前後しておりますのは、課徴金につきましては、売上額の確認だとか、そういった形で追加的な調査が一般的に発生する関係で前後することが往々にしてあるということであります。

○河上委員長 中原委員、お願いします。

○中原委員 私も返金計画の認定についてお伺いいたします。三菱自動車の返金計画が不認定になったということで、その理由として、購入者のうち車を既に手放した人について、本来対象とすべきなのにしていなかったという御説明だったのですが、この返金措置というのは、一般的には事業者にとっても消費者にとってもメリットのある措置ではないかと思うのです。計画が認定されるかどうかについて、事業者の側でもいろいろと分からないこともあるかと思うのですけれども、認定に至るプロセスの中で、消費者庁による指導ですとか、いろいろな問合せを受けたやりとりですとか、そういったことを通じて、こう変えれば認定されるということが事業者に分かるような運用になっているのかどうか教えてください。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 御指摘のとおり、返金計画自体が認定されて返金が進むというのは消費者の被害回復に資するものですので、消費者庁においても、実際に運用上返金計画について前広に事業者から相談を受け、また、必要に応じて問題提起なりをして事業者の返金計画が実施されるような形では、いろいろ調査の中でお互いにコミュニケーションを図っているところでございます。

今回普通自動車につきまして要件を満たさなかったということにつきましては、どうしてそういう形で出してきたのか、これは事業者さんの御判断ですので私から予断めいたことは申し上げられないのですけれども、実際に普通自動車、軽自動車もそうですが、昨年の夏以降、三菱自動車、日産自動車、それぞれ自主的な補償ということは行っておりまして、今回の計画はそれを踏まえたものだろうと考えておりますので、その中で軽自動車、普通自動車、それぞれの返金計画の立案に当たって、いろいろお考えがあったのかなと理解しております。

○河上委員長 鹿野委員、お願いします。

○鹿野委員 鹿野です。

私も返金の点について1つと、その他の点について1つ質問をさせていただきたいと思います。

返金につきまして、自動車に関する話は、今、御説明をしていただいたのですが、日本サプリメントについては返金の計画は出ていないということでした。これは何か理由があるのでしょうか。例えば自動車の場合には購入者などを特定しやすいと思うのですけれども、それがサプリの場合はそうではないとか、何かこの返金措置を取るに当たって困難があるからそうなのか、それとも、単に事業者がそれをしたくないということだったのか、何か事情を把握していらっしゃれば教えていただきたいと思います。

第2点ですが、いわゆる裾切りについてです。これは先ほども御説明がありましたように、課徴金額が150万円未満となる場合、つまり、売上げが5,000万未満という場合には、課徴金制度の対象とはならないということになりました。行政の限られた資源を効率的に使うという点では、それは合理的なところもあるのかもしれません。しかし一方、そこまでの売上額に達しないものであっても、かなり悪質な不当な表示というものもあり、その場合の対応は別に問題になるのではないかと思いますし、この点はこの制度を導入する過程でも議論があったと思います。

今回は、売上げがかなりあるケースに対する課徴金制度の適用事例を御紹介頂きまして、それ自体はこの制度導入の成果として社会的にインパクトがあり、全体として抑止効果を期待できるものとして評価ができるのではないかと思っているのです。一方で、先ほど言いましたように、この裾切りで対象にならないようなものがあり、これについては、実際にどういう対応がなされているのかということについて伺えればと思います。お願いします。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 1点目の日本サプリメントにつきましては、なぜ事業者のほうで返金計画を提出しなかったかですけれども、こちらは完全に事業者さんの御判断になりますので、我々も内容について承知はしておりません。なぜ出さなかったのかということを別に我々も確認するわけではございませんので、そこは事業者さんの御判断であったということでございます。

2点目の裾切りとの関係でございますけれども、御指摘のとおり、行政リソースの中で効率的なものということで、一定のフロアが設けられているわけでございます。基本的に景品表示法の違反行為自体は、悪質かどうかや故意なのかなどはそもそも問わない。行政上の問題ですので、そういった性格なのですけれども、実質的にどれだけ根の深いものなのかということについて、様々な態様に応じて必要な抑止力なり手当てというのは、いわゆるポリシーミックスというか、ポートフォリオの中で対応していく必要があるかと思います。その中で今回一定額、つまり消費者への被害の広がりが大きいような事案につきましては、より未然防止のための抑止力を高める必要があるだろうということで、比較的大規模事案である売上額の大きいようなものにつきましては、金銭的な不利益処分をかけることによって抑止力を高めるということでございます。

他方で、そこまでの広がりに至らないようなものにつきましては、当然措置命令という形で、再発防止等によってこれ以上繰り返し被害が広がらないような手当てというものはされておりますし、また、スピード感を持ってやるという形で、法的措置を取らずにいわゆる行政指導の形で実質的な改善を促すということもしております。

ですから、全てに最大限の抑止力を高めるということよりも、そこはバランスを見ながら、大きな抑止力も重要ですし、機動的な対応も重要というところで、今回の制度設計に至ったと御理解頂ければと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員 蟹瀬です。

この課徴金という制度ができたことによって大変大きな抑止力ができたかと思うのです。この課徴金というのは基本的に企業に対しての抑止力であって、消費者に対する保護ではない形になっていますね。もちろん、幾つか段階を経れば保護ということになるのですが。

これで、先ほど中原委員もおっしゃったように、返金をされることがないというと、間違った表示によって泣き寝入りをしなければいけないのは消費者であるとしたときに、先ほど大森委員もおっしゃいましたけれども、課徴金というものが集まったときに、それを国庫に入れてしまいましたと言ったら、かわいそうだったのは消費者ですよねで終わってしまうみたいなところがどうしてもある。何のために課徴金を取っているのか、この金額というものも含めてもう一度原点に戻ると、消費者を守るためにやるわけですから、課徴金の使い方も含めて一度考えていただくことが必要なのではないかと思うのです。

ですから、今後の表記の抑止力にはなりますけれども、いつもこういうことが起こってくると、消費者が何らかの被害を受けても、課徴金を払えばいいのでしょうという状態になっていくことが一番怖いかなと思います。その辺りを考えて、この集まったお金の使い方も含めて考えていただけるといいなと思います。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 課徴金制度自体は、もともと日本の法制上は昭和52年に独占禁止法に導入をされたというものでございます。それ以来、様々ないろいろな制度の進展があったと理解しております。当時から、そもそも課徴金というのはどういう性格のものなのかということで、おっしゃるような損害賠償との関係でどうなのか、様々な議論があったと承知しております。日本の法制度上、課徴金という形で国庫に納めるような金銭的な不利益処分と損害賠償との関係というのは、いろいろそのときそのときで議論もあったわけですけれども、そこで各私人の金銭的な請求権との関係がこの課徴金制度と一致するような形はなかなか難しいと整理されてきたところでございます。

その中で、今回景品表示法の課徴金制度、返金制度につきましては、そういった法制上の整理を前提にしながらも、なお消費者の被害回復をいかにして促進できるかというところで考え出された制度だと理解をしておりますので、まずは現状の制度の運用ということにつきまして、消費者庁として的確に進めて、結果として、消費者の被害回復についてこの課徴金という観点からもそれが資するような形で運用していきたいと考えております。

○蟹瀬委員 もう一つ、先ほどの発言の中にたくさん、なぜ返金制度を取らなかったのですかと言ったときに、企業に任せておりますという言葉が結構出てきたのですが、あのときに行政指導は入らないのですか。要するに、課徴金がこれだけ取られますよと言われたときに、消費者に対しての返金制度をなぜ使わないのですか。先ほど中原さんもおっしゃいましたけれども、行政指導というのは入らないのですか。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 なぜ使わないという言い方はしませんけれども、こういう制度がありますというのは、こちらからも積極的に制度の周知なりはしております。その上で何か質問なり、具体的にどうしたらいいのでしょうということが事業者からありましたら、そこは我々のほうで、こういう形で、例えばまずその案なりを提示していただいて、法律上の要件はどう考えるのか、そういったものについての相談は前広に受けているということでございます。

○河上委員長 よろしいですか。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 課徴金の対象期間のことについてお伺いします。平成28年4月1日というのは、これは制度の施行日だから一律になるのは分かるのですが、4月20日というものと8月30日、それから、9月17日とあります。この課徴金納付命令の8条の2項を見ますと、その対象行為をした、つまり、不当表示があった場合に、それをやめた日から6カ月を経過する日までで最後の取引が行われるときという基準と、ただ、その中でも自主的、合理的な選択を阻害するおそれを解消するための措置として府令で定める措置を取ったときにはそこまでとなっております。たしか4月20日というのは、公表と国交省への報告が行われたときかと思うのですが、どういう中身のことをやったから4月20日と認定したのか、あるいは同じく8月30日もです。それから、日本サプリメントの9月17日というのは、どういう措置を取ったことをそれに該当すると判定されたのか、それぞれについて、そこの事情がお分かりでしたら教えていただきたいと思います。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 まず、軽自動車の20日につきましては、御指摘のとおり、この20日に三菱自動車が燃費の不正があったということで国交省に報告をするとともに、記者会見を行った日でございます。実際の認定といたしましては、この日をもってカタログ等における不当表示が止まった日であると認定をしています。

その上で、その後、7月1日に三菱自動車、日産自動車、それぞれ新聞の社告を打ちまして、我々は誤認解消措置と呼んでおりますけれども、一般消費者に対してこういう事実と異なった表示があったということを周知する行為を両社は行いました。ですから、違反をやめた日の20日から今の7月1日までが期間になるわけですけれども、その間で一番最後に取引をした日まで、課徴金の算定期間の終期は延長されるわけなのですが、実際に事実関係を確認したところ、この20日に公表した時点で販売も全て取りやめていたということで、実際にはこの20日までが課徴金の対象期間となっております。

他方の普通自動車につきましては、こちらは8月、この時点ぐらいまで三菱自動車は販売を継続しておったのですが、8月30日に国土交通省で自ら全ての車種につきまして走行試験を行って、その結果を国土交通省が公表した日でございます。それを受けた三菱自動車は、普通車につきましても販売を一時的に取りやめまして、表示もその時点で取りやめたということでございます。ですから、その後、また先ほどの誤認解消のための措置をその少し後に社告という形で取りましたけれども、軽と同じように実際にその間で最後に取引をした日というのが8月30日だったということでございます。

日本サプリメントにつきましても、これは9月17日まで表示は続いていたわけなのですけれども、その時点で表示を取りやめるとともに、販売自体もそれ以上は販売をしていないということでしたので、その日をもって課徴金対象の終期が来たという評価をしております。

○河上委員長 よろしいですか。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 日本サプリメントは、その後も昨年の秋以降、今年の初め辺りまで販売をしていたような認識が少しあるのですが、それはこの対象2品目ではないほかの問題なのでしょうか。それとも、私の前提が間違っていれば申しわけないのですが。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 2品目、もしくは措置命令の対象になった8品目につきましては、この9月17日で表示も販売も取りやめているということです。

○池本委員長代理 分かりました。

○河上委員長 よろしいですか。

私も少しだけ聞きたいのですけれども、返金ですが、これは3%以上ということで計画を立てますね。この返金の計画を実際に御覧になっていて、通常を考えたときに、つまり有利ではない状態での価格として考えたときの減額請求権とほぼ対応するような返金計画なのですか。それとも、3%という数字ありきである程度割って出したような金額になっているということなのですか。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 3%自体の、なぜこの数字に決めたのかということにつきましては、請求権との関係というよりも、もともと課徴金の計算自体が売上額の3%で計算するということですので、少なくとも単純に考えれば3%の返金をすれば、それは課徴金の額と一致をするという整理があります。なので、少なくともそれ以上は返金をしていただきたいということで、3%以上が基準になったと理解しております。

○河上委員長 ということは、実際には売上げのうちの50%ぐらいが有利誤認によって生じているものだとすると、3%を返してもらっても、本当は47%分は、まだ損害として残っているということになりますね。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 3%自体は各消費者、購入者それぞれに対して返すものでございますので、例えば1万円の商品であれば300円以上を返すということだと思います。委員長がおっしゃるのは、不当利得という趣旨でございますか。

○河上委員長 ですから、その表示が、仮にイセエビだったら1万円、バナメイエビだったら5,000円だったということになれば、本来は消費者は5,000円払えばよかったものを1万円払わされたわけですから、5,000円分の減額請求ができるのですね。しかし、課徴金のもとではこれは300円分が返金されれば、課徴金は返還の部分に関しては済みということになってしまうのですが、残りの4,700円分というのは、これは別途、民事で損害賠償請求ができるという話にならないとおかしいですね。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 おっしゃるとおりだと思われます。課徴金の返金に応じることで自動的に全ての請求権が消滅するということにはならないと思います。これは民事上の請求権とのバーターではございませんので、あくまでも行政上の措置である課徴金の額について、その相当額を減じるための返金措置でございます。

○河上委員長 ですから、私が伺いたかったのは、現実に返金計画を御覧になったときに、実際の企業さんは減額請求に相当するぐらいの返金をしようとされているのか、それとも3%という数値をにらみながら適当な返金計画を立てていらっしゃるという印象なのかということを知りたかったのです。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 正直申しまして各企業が、実際に返金計画という形につきましては、この三菱、日産自動車だけでございますけれども、なぜその額を出してきたのかということにつきまして、特に実際に想定される民事上の損害額との並び、そういったものをお考えになっているのかどうか、そこは我々も把握はしておりません。我々は法律の立て付けとして3%以上かどうかというところにつきまして、これをチェックしているというところでございます。

○河上委員長 場合によっては、集団的な消費者訴訟の特例法の問題に関わってくる可能性があるかと思ったものですから。

実は審議の過程を私もずっと見ておりまして、今日お話のあった課徴金の国庫帰属が本当にそれでいいのかとか、3%が適切なのか、あるいは裾切りがこれでいいのかといったようなことは随分議論があった上で、最終的には政治的な決断があって今のような形になっていることは承知しています。笠原審査官にそこはどうなのだと言って詰め寄るのは大変気の毒なことなのですが、ただ、今回の事件を見てみても、事業者の判断一つでたまたま返金されたときは被害者の被害の救済に役立ち、そうでないときには課徴金として国庫に入ってしまって、あとは国の自由な裁量のもとでそれが使われてしまうことになるのが本当にいいのかが、余計目立つ状況になっています。最初のもので4億8,500万、これについてはもう国庫に入ってしまうわけですから、そこから先は消費者は手を出せないということになります。後のほうの軽自動車に関しては、ある程度返金で救済された人がいるということですがそこはたまたま事業者の判断でそういうことになってしまっているというのは、不公平な感じがしないではありません。ですから、この辺については表示対策課で考えてくれというのは気の毒ですけれども、問題はあるぞということを対策課としても認識をして、消費者庁の中でまた検討する機会を持っていただければ有り難いと思います。

先ほど審査官がおっしゃったように、課徴金というのは消費者の利益保護のための不当表示を事前に抑止する。将来にわたってそれが無くなるということなので、本来的には消費者の被害回復を直接の目的とするものではないということですけれども、消費者法としての景品表示法の目的あるいは不当表示事案における被害回復が困難であるということを考えますと、こうした返金措置の実施によって課徴金を減額するという曖昧な形で中間的な解決が図られたということになります。少なくともこの制度の適切な運用でもって不当表示が抑止され、また、消費者の被害が少しでも回復されるというように、消費者庁におかれましても引き続き適切な法執行、あるいは場合によっては行政指導といったようなことに努めていただければ有り難いと思います。

今日はどうもありがとうございました。

それでは、この問題については、ここまでとさせていただきます。

(消費者庁退席)

≪3.「JIS Z8050安全側面-規格及びその他の仕様書における子どもの安全の指針」について≫

○河上委員長 ちょっと時間をオーバーしてしまいましたけれども、次の議題に移らせていただきます。次の議題は「JIS Z8050安全側面-規格及びその他の仕様書における子どもの安全の指針」というものについてであります。

子供の安全の確保というのは重要な課題でありまして、消費者委員会としても強い関心を持っているところですが、残念ながら子供の事故は、日々の報道においてなお頻繁に見られるところであります。この子供の安全に関して、昨年の12月に「JIS Z8050安全側面-規格及びその他の仕様書における子どもの安全の指針」が策定されたということですので、本日は経済産業省からその概要を御説明頂いた上で、若干の意見交換を行いたいと思います。

経済産業省におかれましては、お忙しいところ御出席を頂きまして、ありがとうございます。

それでは、概要について20分程度で御説明をお願いいたします。

(経済産業省着席)

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 では、お手元に2種類の資料、パワーポイントの資料と実際のJISがございます。こちらは日本規格協会というところで販売しておりますので、大変申し訳ございませんが、終了後回収させていただければと思っております。こちらは分厚いので、お手元のパワーポイントで説明させていただきます。

先ほど委員長から御紹介がありましたように、私どもはいろいろな分野のJISを定めております。アルファベットで言うとAからZまでありまして、土木・建築とか、機械とか、電気とか、いろいろなものを定めております。当然ながら、JISというのは作る側の観点のJISもありますし、使う側のJIS、いろいろなものがございます。そういった観点で、まず冒頭でそもそもJISは何なのかということを簡単に説明した上で本題に入らせていただきます。

ページをめくっていただいて、今日の目次、事務局からこういったことについて説明するという提示があったので、5つ、そもそもJISは何なのか、JISの役割は何なのか、制定手続、3番目として今回の本題であるISOのGuide50、JISで言うと8050の作成経緯とか、それを作成した背景、経過、4番目としてJISの概要、あとは今後の予定などを簡単に説明させていただきます。

3ページ目、日本工業規格のJISの概要と書いてございます。これは皆さん、JISというお名前は多分聞いたことがあると思いますけれども、ここに書いてありますように、JISというのは工業標準化法という法律に基づいた国家規格でございます。ただ、普通の国が定めるものと若干違うのは、例えば製品安全関係の法律は罰則規定がございますけれども、JISは国家が定めるけれども、使う使わないは自由というところに大きな違いがございます。

2番目として、先ほど口頭で説明したのですが、JIS、工業標準化法の目的としては、ここに書いてありますように製品の品質向上、もともと工業標準化法自体が昭和24年にできたということもあって、戦後日本の製品、安くていい製品をどんどん作ろうという背景があったので、こういった文言になっております。余談になりますけれども、当然ながら標準化の目的というのは時代とともに変わっておりますので、こういった根幹的な役割は変わりませんけれども、最近は皆さん御存じのように、国際競争力のルールづくりとか、いろいろな目的が入っておりますので、最近ではいろいろなJISができております。

製品の品質向上とか取引の単純公正化、当然ながら使う人がいろいろな種類を設けると大変なことになるので、必要最低限を共有化しようといったようなことで、例えば土木・建築であれば施工主が不必要にたくさんの種類を設けると生産の合理化がなりませんので、必要最低限の標準的なパターンを定める。それ以外は当事者間同士で決めてくれといったようなJISもございます。

あとは、商品の合理化等ございまして、消費者の方々が製品を見ただけでは分からないので、例えばJISマークがついているものについては、言い方は微妙なのですが、必要最低限の品質が保たれるといった目的、そういったことについて現在約1万800のJISを制定しております。これらのJISは法律上、5年おきに見直すことになっておりまして、毎年大体500から550のJISを制定または改正しております。そういった形で、我々としては一旦制定したら放っておくのではなくて、不断の見直しを行って必要があれば改正する。そもそも役割が無くなったものについては廃止といったようなことを行っております。

そういったことで、国が定めるJISということで、ただ、工業標準化法というのは経産省だけではなくて、例えば船であれば国交省、あるいは労働者関係であれば厚労省とか、複数省庁の共管になっております。したがって、先ほど申し上げた1万800のうち、当然経産省が8割以上なのですけれども、医療電子機器あるいは土木・建築などについては、ほかの省庁が専管しております。

先ほど申し上げたようにJIS自体は任意でございますけれども、強制法規、例えば薬機法などに引用されると、結果的にそれが強制になるといったこともございます。

そういった形で、私どもはJISというものを制定・改正してございましたけれども、今度は役割としてどのようなものがあるのかということで、4ページでございます。口頭で説明するより視覚的のほうが分かりやすいと思いまして、図でベーシックな役割について示しております。

左から言うと互換性、品質の確保ということで、ここで書いていますように乾電池やトイレットペーパー、今はほとんど無くなっているのですがフィルムなど、こういったものを単一化している。ただし、ここには書いてございませんが、時代によって標準化の対象というのは変わってきて、例えば乾電池であればマルイチからマルヨンは形を決めるのが第1目的で、逆にボタン電池と言うのですが、あれは形を決めると製品の形状もそれに縛られてくるので、そういったものは性能しか定めないといったように、ケース・バイ・ケースで標準化することは、我々としては産業界あるいは消費者の方々と検討して、そこはいい意味でケース・バイ・ケースで、何を標準化するのかというのは件名ごとに検討して決めていくといったことでございます。

あとは、安全・安心ということで、消費者委員会だったので消費者団体に協力してもらったマッチ、これは昭和20年ごろの時代でございますけれども、佐野さんとかにいろいろと言われていたのですが、そういったもの。あるいは情報・認識の共有ということで、新聞等で御覧になった方もいらっしゃると思いますが、温泉マークとか、こういったものを定めるとか、あるいは環境保護、あるいは高齢者・障害者への配慮、数が少ないので子供の安全などは書いてございませんけれども、これから説明しますが、我々としてはそういった高齢者・障害者の保護とか、あるいは子供の保護とか、そういった観点のJISも今後どんどん作っていかなければいけないと思っています。

最後に競争力強化。日本企業のルールが国際標準になれば、当然ながら日本企業としては生産コストが下がる。ぐるぐる回って、日本の消費者もいいものを安く買えるといった観点で、我々としては、最近は当然ながら、最終的には消費者に便益するもの、日本の国家全体を考えると産業競争力強化ということで、こういった面での標準化にも力を入れているということで、最後に入れさせていただきました。

次の5ページで、どうやって作るのかということでございますけれども、端的に申せば、下から順番に行くと、冒頭申し上げたようにそれぞれの主務大臣が制定しますが、法律上、日本工業標準調査会、これは国の審議会でございますけれども、この議決を経なければ制定してはならないとなっております。それ以前は当然我々は事務局として機能してございますけれども、実際のJISというのは技術文書でございますので、上のほうに書いてありますように、いろいろな方々、工業界や学会など、そういったところでJISの原案を作っていただく。その原案の委員会の中、ここでは経済産業省の委託によるJISの作成とか、あるいは団体、学会の自主的な作成、この2通りございますが、それぞれの原案作成委員会、これは3者、作る人、使う人、中立者ということで、この3者がちゃんと入っているといったことを前提として、我々としてはそれぞれ委員会、工業界、学会等で作られたJIS原案について、先ほど申し上げた日本工業標準調査会の専門委員会で審議して、それを経て制定改正するといったような大きな流れでございます。

タイムラインとしては、物にもよりますけれども、原案づくりに1年、あとは日本工業標準調査会の審議とか、あと、JISの場合は海外には事前意図公告という義務がありますので、それが60日あるので、原案終了の半年後ぐらいに制定改正の告示をしているといったようなところでございます。

次は実際にどのようなJISがあるのかということで、参考1、参考2とございますけれども、これも御覧のとおりでございますので、省略させていただきます。

8ページでございますけれども、今日の本題である「JIS Z8050安全側面-規格及びその他の仕様書における子どもの安全の指針」ということで、どういった経緯を経て作られたのとかということで、簡単ではございますけれども、ISOで作られたのですが、これは国際機関でございます。国際規格を作るのはいろいろな技術委員会、現在300ぐらいあるのですが、そういった分野ごとの技術委員会と、あとは横断的なテーマの消費者政策委員会というものがございまして、これはここのことを言っているのです。

そういったところで、ISOでも高齢者・障害者に関するガイドラインも作っているのですが、子供の事故が多い。私も6年か7年前、製品安全課の事故対策室長をやっていたので、消費者委員会には大変お世話になっているのですが、そのときの事故例からすると、お子さんというのは大人は誤使用ということがありますけれども、子供はそもそも誤使用というか、言い方は微妙なのですが、想定できない使い方をするので、規格を作るときにはそういった観点、通常の我々の一般常識だけで規格を策定しないほうがいい。

では、どのようなことに気をつければいいのかというとまちまちなので、ISOとして規格を作る人のためとか、あるいは国家規格以外でもいろいろな規格があるのですが、そういった人のために子供の安全面を考慮したような規格を作るときの参考書として、国際的に統一したほうがいいのではないかというような提案がございました。

そこでISOのほうで、大分昔、1987年でございますけれども、そこで制定されました。当然ながら、日本もいろいろなISOの委員会が200から300あって、年間1万人ぐらいのエキスパートを派遣しているのですが、そういったところにも、ここに書いてありますように、メンバー構成としては学識経験者、試験機関、消費者団体、メーカー団体、関係省庁にも入っていただいて、1987年の制定の際、当然ながら日本からコメントを出すといったような作業をしておりました。その後、我々としては国内においてもこういった子供の安全を十分に配慮した規格づくりが必要ということで、備考で書いてございますけれども、若干ISOができてから時間が経ってございますが、JISとして国際一致規格、アイデンティカルということで、日本語と英語の差ということで制定いたしました。

10ページ、規格の内容は分厚くて、説明するには多分1時間でも足りないので、簡単に書いてございますけれども、黄色で囲んでいるように、適用範囲というのは先ほど申し上げたように、規格、仕様書とか、類似の出版物を作成する、あるいは改正する専門家に対する規格を作るときの参考書という位置づけでございます。

それぞれそういった際にそういった方々が考慮すべき事項として、子供の安全に関する一般的なアプローチとか、年齢区分をどうするのか、あるいはリスクアセスメント。当然ながら、通常の大人と子供に対するリスクアセスメントというのは全く手法として違うので、どうやるのか。あるいは、安全上の考慮事項、例えば子供の発達やあるいは行動などを十分に考えなければならないといったようなこと。子供の安全環境あるいは子供に関連するハザード。ここに書いてございますように、ハザードとしていろいろなものがございます。単に物が落ちてくるとか、溺れとか、あるいは窒息とか、首の締めつけとか、そういったいろいろなものが、大人では想定できないような項目がございます。そういった項目についても規格を開発するときに検討してくださいといったようなことを書いております。

ただし、当然ながら製品によってどこまで反映されるのかということがございますので、我々も後で紹介しますが、この中から適宜該当する部分を見ながら現実的にはいろいろなデータを参考にしながら規格を作っております。

あとは保護方策の適格性とか、こういったものについて、規格を作る際に必ず子供の安全性という観点では考慮しなければいけない事項というものを羅列しておりまして、例えばリスクアセスメントをどうするのかというものとか、子供というのは意外と関心のあるもの以外視角に入らないので、そういったものをどうするとか、子供の体力あるいは子供の人体の大きさとか、そういったものも含めて規格を作りましょうという、大ざっぱに言うと、そういったことを定めております。

次が11ページで、実際にどのように使われているのかというと、私どもも多くはございませんけれども、昨今、子供の安全性ということでJIS作りをやっておりまして、8050というのがいわば規格を作るときの参考指針ということで、それ以降限られた数でございますけれども、横断的な子供の安全に関する規格あるいは試験方法規格というものを制定したとか、あるいは現在調査研究で準備中というものが右に書いてございます。

個別具体的に言うと、個別製品であれば、消費者庁にも当時お世話になったのですが、チャイルドレジスタンス、子供が点火出来ないようなライターの試験方法です。あるいは最近ですと2年前でございますが、子供服のJIS、子供服にいろいろな飾りでひもなどがついていると、日本では製品事故は多くはございませんけれども、海外では多いし、医者の方に聞くと潜在的な事故というものは多いので、お子さんの服、例えば昔ナップサックなどで首を絞められたこともありますので、不要な長さにしないとか、あるいはこの部分も必ず取れるようにするとか、そういった子供服の安全という観点で2年前に制定いたしました。

次は、現在29年度JIS化予定ですが、ブラインドのひもです。皆さん御存じのように、これも日本国内では多くの事故はございませんけれども、海外では通常の家庭にこういったブラインドがあるので、それで引っ掛かる。したがって、ある程度の力を加えればぱっと抜けるといったような構造にするとか、そういった形のJISを今後制定する予定でございます。

随分昔で言えば、ペンキャップです。誤飲等がございますので、小さい穴をあけて窒息しないようにするとか、そういったことからJISを定めるということ。

もう一つ、今、取り組んでおりますのが収納家具の安定性ということでそこは安定性のある家具の試験法とか、そういったものを作らなければいけないということで、ここは29年から31年度、そうすると冒頭申しましたように、JIS原案作成自体は1年なのですが、我々は技術的なデータに基づいた規格というものが必要でございますので、29年度、30年度は調査データを積み上げてJISを作っていこうといったようなことに取り組んでおります。

以上、雑ぱくではございますけれども、簡単ではございますが、8050の前後関係とそれに基づいて私どもがどのような標準化をやっているかということで簡単に説明申し上げました。

ありがとうございました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

ただいまの説明の内容について御質問、御意見のある方は発言をお願いします。

大森委員、お願いします。

○大森委員 ライターや服、ブラインド、家具とか、気になるところを手当てしていただいていて、有り難いと思います。コンニャクゼリーも昔かなり窒息が多かったのですけれども、大きさとか、かみ切る力、弾力性とか、そういうものは基準がないのかどうかが質問です。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 弾力性というと。

○大森委員 食品はかみ切る、粘ると言うのですか、弾力によってかみ切りやすさというものはあると思うのです。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 それは食品ですか。

○大森委員 はい。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 すみません。JISというのは工業なので、申し訳ないです。

○大森委員 では、それは外れるということですね。

あと、キッズデザインというものがありますね。倒れてもお湯が漏れないポットだとか、子供の安全性の高い商品だけではなくて、建物なども子供に配慮しているかどうかでキッズデザイン賞がもらえるとか、そういうところがあると思うのですけれども、そことは何か情報の提供とか、いろいろ連携されているのかどうかということをお聞きします。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 端的に言えば、連携しております。ただし、キッズデザインというのは基準なり規格の考え方が違っておりまして、我々は個々の製品に関する規格を作る。キッズデザインというのは、御存じのように個々の製品に関する規格ではなくて、キッズデザインはプロセス認証です。要は、子供の安全に配慮したプロセスで物を作っているかどうかといった観点なので、いわば標準化の切り口が違うといったようなことでございます。当然ながら、キッズデザインを検討した際、弊省の違う部署が担当しておりますが、そこの人間とも十分意見交換をしております。ただし、手法と標準化の対象が違うということで私は認識しております。

○大森委員 ありがとうございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

長田委員、お願いします。

○長田委員 ありがとうございました。

私自身もブラインドのひもの規格などには参加をさせていただいています。このGuide50ができたときに、これを日本でもということでJIS化までできました。その後、収納家具の安定性の試験方法も、これに取り組んでいただくにはかなりいろいろな方々の努力があって、そしてやっとこのJISの原案作成が実現したと私は思っています。つまり、子供用製品自体に子供への配慮を求めるのはすごく当たり前のことなのでできるのですけれども、大人用の製品に対して子供への配慮を求めていくというのはなかなか難しいことなのですね。ですから、今後JISの8050をどうやって全てのそういう方々に認識していただいて、JIS化に取り組んでいただけるか、これから何か働きかけの御予定があったら教えていただきたいと思います。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 私は役人なのですけれども、役人的な答え方はしないのでストレートに申し上げますと、大変難しいと思います。そういった製品に全ての項目を盛り込むということは結局総花的になりまして、ほとんどそういった製品を作る人がいなくなってくる。例えば私も製品事故を2年やっておりまして、よく感じていたのですけれども、いろいろな企業と話をすると、ほとんど事故が起こらない製品を作ることは可能である、ただし、それが通常1,000円で売っているものが10万円、20万円になりますといったようなことなので、気持ちとしては、私は入れたほうがいいと思います。ただし、結局規格は使われて何ぼの世界でございます。入れれば入れるほど、結局はその製品に対する要求事項が多くなってきて、端的に申せば、作る人も作らなく、作っても買う人がいない。

物によっては、当然ライターもそうでございます。私もたばこ吸いなのですが、ライターも従前は全く何も考えずにやっていたけれども、余りにも事故が多いのでチャイルドレジスタンスということにしたということで、我々としては必要最低限、製品に対する要求事項がオーバースペックにならないように、ただ、子供の安全というのは重要でございますので、製品の製造プロセスで企業の自主努力の範囲内でできるものについてはやるべきだと思っております。

○河上委員長 蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員 蟹瀬です。

同じことに関連してです。1つ目は子供用、2つ目は大人用なのですけれども、子供用のベビーベッド、それから、ベビーカー、最近レンタルが非常にはやっておりまして、こちらから選んで、例えば首の幅がこうだからこのぐらいの狭いものを探そうとしても、買えばありますが、レンタルではそこまでは規定はされていない。今からエコシェアリングみたいなものがはやってきて買わない方が非常に増えてきた中で、このようなすばらしい8050ができましたので、そういうベビー用品の一番レンタルが起こりそうな部分から厳しいJIS規格を決めていただいて、今から作られていくものがそれに合ってくれば割と安全に、あるいは保育園で使われていくもの、そういったものに先にそれを入れていただければ、結構安全面に対しての制作者の目が向いてくるのではないかと思いますので、ぜひ、その辺りはお願いしたいかなと思います。

それから、大人用品ですが、最近ウォーターサーバーが家の中に入ってまいりまして、冷たい水と温かいお湯、それは完全にチャイルドロックがかかるものが出てきております。ですから、意識が強い企業はそういうようにして、子供が触るかもしれないものに対してのチャイルドロックのようなものをしっかりつけてきている時代になっていますので、できましたら、ここまで8050が適用されるかどうか分からないのですけれども、そういったところで少し大人用のものを喚起していくということが大事かと思います。

ちょっと前の話で、お風呂のバブルバスの中で溺れて、子供がお湯の中で死んでしまった事故がありましたね。あれは、そういう時代はバブルで遊ぶというのが、お風呂に入れてすごく贅沢だといったときに、子供がそこで足がすくわれていくということを、大人が気が付かなかったんですね。ですから、例えばそういうバブルバスを作っていらっしゃる企業さんにもそういう注意喚起はしてくださいねということを、ここが言うかどうかは分からないですけれども、必要かなとちらっと思っていたりはします。

子供は思わずいろいろな行動をします。ターザンごっこをして上のほうへ上がって、そして倒れて一緒に来て怪我をしてしまったとか、死んでしまったという事故がアメリカでもしょっちゅう起こっていたりしますので、そういう意味では、大人用品に関してもある程度の子供の目から見たこういう制度ができまして、JISができましたよというPRをきちんとしていただくということが大事ではないかと思います。その辺り、よろしくお願いいたします。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 今、おっしゃった意見は、非常に重要なことだと思います。ただし、非常に難しい課題でもあると思います。我々としてもそういった方面における標準化というのは、それこそが国がやるべきテーマだと思っています。ただ、すぐにはなかなかできないと思います。ただ、我々としては、今、おっしゃった観点も、8050は言い方は微妙なのですけれども、以前の問題のこともありますので、我々としては規格を作る際に可能な範囲内でそういった配慮事項は入れていきたいと思っています。

ただし、高齢者・障害者のJISづくりでも苦労したのですけれども、それぞれの特徴がありますので、特に障害者の方々は、障害者の方々に配慮したトイレになってくると、例えば手足が動かない方は水洗ボタンがたくさんあったほうがいい。ただ、目が見えない方はたくさんあると迷ってしまう。どうやってそのバランスを取っていくのかというのが大きな課題だと思っています。

ISOのほうでも重点テーマとして消費者保護あるいは子供とか、そういったものが挙がっておりますので、我々としては、すぐには解決できませんけれども、そういった心づもりで仕事をしていきたいなとは思っております。

ただ、課題がございまして、そういった際に、JISはみんなで作っていただくので、これを言うと長田さんに怒られるのですけれども、いろいろな方々に我々も時々説明会、JISはこうやって作るのですということをやっているのですが、どうしてもメーカーの方だけでは思いつかない観点がございます。それがゆえに、JISというのは作る人、使う人、関係者ということが入ってくるので、時間がかかるというのは、そういった方々にも気軽に入っていただけるようなプラットフォームを作っていけば、JISというのは公の場で議論するので、なかなかそういった場に人数が足りないという人材の観点もございますので、我々としてはそういった観点でも検討していきたいと思います。指摘されて返すようで大変申し訳ないのですが、消費者委員会あるいは消費者団体の方々の御協力も賜れればと考えております。

レンタル関係はなかなか難しゅうございまして、ただ、一つあるのは福祉用具、JISも30、40作っているのですけれども、あれは保険制度があって、JISに合致していると保険の対象になってくると、インセンティブが働くのです。それは標準化以外の取組になるのですが、そういった取組と併せてやると効果が出るかなと思っております。

○蟹瀬委員 あと、保育園のベビーちゃんが寝ているベビーベッドですね。あれがやはりJIS規格があって、全国のベビーベッドがそれになっていくと量が流れていきますので、赤ちゃんの安全性というものから一般の方が気が付いてくると思いますので、ぜひその辺りもよろしくお願いします。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。

樋口委員、お願いします。

○樋口委員 今回お話し頂いたことと直接関係のないことなのですが、もし御存じでしたら教えていただきたいのです。JISはZ8050という番号になっていますが、ISOのほうは実はランダムに番号が決まっているということなのですね。たまたま調べたら、例えば26000とか20400とか、いろいろ出ていますけれども、番号がランダムで非常に分かりにくいような気がするのです。今回のJISのZ8050というのはルールがおありなのかどうか。

私の希望としては、ISOのほうはランダムで、国際機関なので働きかけをしていただくことがいいのではないかと思うのですが、JISについては、もしそこに何か法則性があるのであれば。というのは、資料を拝見していると、例えばライターとか子供服のひもとか、それぞれ番号がついているわけですが、これらが体系的に、例えばお子さんだったら何番を見ればその関係のものが見られるとか、そういう仕組みがあるといいなと。少なくとも、ISOについて私が調べた範囲ですけれども、どうもそこまでの法則性がないというのが事務局の見解のようだったので、JISはどのような感じなのですか。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 事務局はどこの事務局ですか。

○樋口委員 ISOの事務局ですね。それは正しいかどうか分かりませんが、その辺りについてはどういう状況になっているか教えていただければと思います。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 ISOのほうはランダムで時系列です。1番から順番につけております。でき上がった順から作っております。ただし、ISOも国際標準化を売る機関なので、ISO9000とか、売れそうな使えそうな規格は、前もって分かりやすい番号、9000とか14000とか、前もって予約する。これは本当のことです。26000とか、覚えやすいではないですか。それが例えば32586と言うとぴっと切れたりするので、法則性としては、基本的には時系列ということがございます。ただし、それ以外にもあって、1から順番につけていって、今は20,000幾らあるのですけれども、例えば欧州との整合関係では一挙に50000台に飛ぶとか、そういった法則性がございます。

JISについて、樋口委員がどういう体系でやっているのかというと、まずJISの場合には部門記号A、B、C、D、Eというものがございまして、分かりづらいといえば分かりづらいのですけれども、Aというのは建築、ここで書いているLというのは繊維、これもアルファベットを順番につけているので、因果関係はないのですが、Sというのは消費者関係、Zというのは共通、全ての機関に共通するということです。今回の子供の安全については全ての規格に共通するので、Z部分というのは共通部分ということでつけております。ただ、我々もISO9000とか、国際的に著名な規格数については、なるべく同じ番号にしている。ただ、先ほど申し上げました、JISは1万800ございまして、なおかつ、今まで廃止したものを加えると何万という規格を作っているので、要は昔の番号を使えないのです。それがあるので、法則性はあるけれども、制限があるというのは、空いている番号でやる。

ただ、我々も一応考えておりまして、11ページを御覧になっていただきたいのですけれども、子供のひもはJIS L4129、クイズではないのですが、4129、ヨイフクということで、一応我々も語呂合わせというか、これも真面目にやっているのですけれども、そういった工夫はしております。例えばホームページなどの標準化だと、X8341、人にヤサシイとか、そういった形で、なるべく覚えてもらえるような努力はしております。

○樋口委員 よく分かりました。少しでも消費者の方にも分かっていただけるような形で工夫していただければと思います。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 分かりました。ありがとうございます。

○河上委員長 電話番号のようにいい番号を買ってとか、そういう話よりも、むしろ図書の分類記号のように、ある意味では客観的な分類をして、この項目についてはこうなっているというように機能的整理したほうがいいですね。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 それはございます。なっております。専門的なのであえて説明しなかったのですが、分野別がA、B、C、Dとなっておりまして、例えば番号でAの0から1000は共通試験方法とか、何千番から何千番は製品というのはマトリックスになって、我々としては基本的にアトランダムにやるのではなくて、そういった法則性、マトリックスの法則性でやっております。ただし、ISOと番号を一致したほうがいいということがございますので、その中で若干法則性というものがずれておりますが、我々としてはマトリックス、ただし、1万もあるので一目瞭然で分かるというのは難しいので、それは我々の責務としていろいろなところで普及していこうとは思っています。一応考えてやっております。

○河上委員長 考えていないとは思いませんでしたけれども、ただ、やはり外からマトリックスが余り見えないと逆に使いづらいのです。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 それは我々も、ひたすら念仏ではないけれども、どんどん何番何番といろいろなところで普及させていただくのが、一番ベーシックですが効果がある方法だと思っております。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 5ページの制定手続に関連して御質問ですが、原案作成委員会で原案を作成し、それが提案される、あるいは委託事業で成果として提出されるということですが、そこで生産者、利用者、中立者となっています。そういう中で、例えば消費者庁で事故情報を集めていたりとか、国民生活センターでトラブル・苦情情報を集めていたりとか、そういうものが活用されるということが審議の手順の中であるのかどうか。消費者庁の事故情報をどう整理してどう活用するかということ自体、まだ消費者庁で議論を重ねているところなので十分活用できる窓口になっていないのかもしれないのですが、その辺りはいかがでしょうか。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 事故情報は活用しております。端的に申せば、私も両方いたのでよく知っているのですけれども、病院用ベッドで、昔のJISは隙間を首が入らないようにしたつもりだったのですけれども、我々の想定以上にお年寄りで痩せた方の首が入って窒息してしまうということがあったので、それは事故情報に基づいて、我々はこれ以下だったらまず入らないだろうといったようなことで活用させていただいた。

それ以外にも、釈迦に説法ですけれども、消費者庁の事故情報ですが、分析自体はNITEeがやっておりますので、NITEeの分析結果を見て標準で対応できるところは標準で対応する。それ以外は、当然ながら経産省の原課とか他省庁にお願いして注意喚起などをやっておりますので、我々としては可能な限りそういった事故情報というのは、言葉を選ばなければ標準化のネタになるものでございますので、そこは十分な連携を取っているつもりです。例えば、この8050に関する国内委員会というものがあるのですが、当然その中には消費者庁も入っていただいているし、いろいろな関係団体も入っているので、我々としては使えるものは何でも使うといった方法でございます。

○河上委員長 よろしいですか。

つまらないことですけれども、この8050の本体の資料、これは著作権上という話で、机上の配付・回収資料にはなっておりますが、一般の配付資料には入れておりません。それで、一つ伺いたいのですけれども、これは考えようによっては世の中に知られることが非常に望ましいもので、実は我々もこの間から、例えば子供向け広告についてセーブ・ザ・チルドレンが出している基準だとか、いろいろな子供向けのものについてのガイドライン等々について、これは普及させなくてはいけないと思うようなものがたくさんあったのです。先ほどからぱらぱらと拝見していると非常によく考えられた内容で、しかも、例えば子供の体であるとか精神的な発達状態などに応じて何をしなくてはいけないかということを非常に細かく検討された形跡があって、これが世の中でみんなの共有財産になると本当にいいなと思ったのです。性格から考えてみると、こうしたものはある意味では公共財に近いので、その意味では、これをもう少しみんなが自由に参照・利用できるような形にできないものかということを拝見していて思ったのです。それは難しいのですか。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 端的に申せば、この著作権というのはISOも関係していまして、標準というのは公共財だけれども、公共財と著作権のあるなしは全く別なので、我々としては私どものホームページでは皆さん閲覧できることになっています。

○河上委員長 経済産業省のホームページから見ることができるのですか。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 厳密に言うと、経済産業省ではなくて日本工業標準調査会、JISCの独自のホームページに載っておりまして「jisc.go.jp」でやると、日本工業標準調査会のホームページが出て、そこにJIS検索というものがあって、JIS番号とかキーワード検索をすれば、印刷はできませんけれども、御覧になっていただけます。

○河上委員長 見るだけですか。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 はい。

これはなかなか難しいところがあって、ISO、IECというのは国際的機関でございまして、これは民間の機関です。海外の主要機関も民間機関です。民間機関はどうやって標準を作っているのかというと、要はこれを売っていい規格をたくさん作って、これを売ってその収入でまたいい規格を作るということなので、まず、公共財だけれども、これが皆さんにただで手に入るようになってくると、日本の場合は国がやっているのでホームページに載せますけれども、プリントアウトできないのは国際的にそういった取決めがあるので、日本以外のISOのメンバーボディー、アメリカとイギリス、彼らの規格は買わなければ見られないといった仕組みになっております。そういった関係があるので、我々としても言葉を選ばずに言えば、痛しかゆしのところがある。

これは引用していただくのは自由なのです。例えばいろいろな本などでこれを引用するというのは、私どもと日本規格協会に一言おっしゃっていだたければ、そこは自由にできます。

○河上委員長 フルにはだめでしょう。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 フルには難しいですね。

ここはどういう委員会か知りませんけれども、これは幾らでも議論しますが。

○河上委員長 樋口委員、お願いします。

○樋口委員 課長のお立場ではなかなかこれは大変な話でして、ISO26000という社会的責任のガイダンスができたときに、これも同じ考え方で、社会的責任のガイダンスなので当然これが世界のあらゆる組織のソフトローですから、これを普及しなければいけない。ところが、このISOの本部では、この原則は絶対に崩せないと。ISOの本部のルールは、ページ数によって値段が決まる。そうすると、26000はかなり厚いので1万円を超えてしまうという話がありまして、日本の検討委員会あるいは規格協会も大変苦労されて、たしか今、4,000円台ぐらいで買うことができるのです。また、それをJISにしましたのでJISとして参照することはできるのです。

広く知っていただかなければいけないものなのだけれども、今、国際的には有料であるというルールが確立したルールになってしまっていまして、ある意味、非常におかしいのですが、藤代さんが国際標準課長ですから、ぜひ日本から働きかけてほしいし、既にISO26000のときには日本はかなり強くそういうことについては議論してやった経緯はあるのですけれども、結果としては日本では安く売る、皆さんが手に入る程度の価格にするというところが妥協点だったということが実情だと思います。非常に矛盾は感じておりますけれども、現実はそのような感じです。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 ありがとうございます。

実際ISOで、例えばISO9000とかISO14000、ISOのそのままの規格を買うと1万2,000円から1万3,000円するのです。規格というのは知的財産の固まりなので、当然ながらそのぐらいするのですけれども、日本においては、先ほど樋口さんがおっしゃったように、ぎりぎりのところで皆さんに使っていただこうということで、翻訳など莫大な人件費がかかっているのですけれども、日本のJISを買うと4,000円で済むといったようなことで、我々もなるべく可能な範囲内でぎりぎりの努力はしております。

○河上委員長 でも、他方で、この規格に関して、日本の法律の中で引用してそれに従うことを義務づけているようなときは、まさに政令やガイドラインなどと全く同じ役割を果たすわけですね。それを考えたときに邦語で公示をされていないというのは、ガイドラインとしては欠陥だと思いますけどね。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 この場が適当ではないので反論はしませんけれども、そこは十分な議論の余地があると思います。そこはイエスとは言いません。十分な議論がありますので、こういった場でそういったことを議論されるのであれば、我々も隠すことなく議論しますけれども。

○河上委員長 いつか十分やりたいと思います。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 消費者委員会でそういったことをおっしゃられても、我々としては、この場で幾らでも議論できますけれども、関係のない方、関心のない方は大変なのでしょうが、指摘自体は重要だと思っています。ただ、その矛盾も120%理解しております。

○河上委員長 分かりました。時間を使わせてしまって申し訳ございませんでした。せっかくの優れた指針が、有料であるがために普及しないのは、もったいないと思ったものですから。

このJIS Z8050は子供の安全を確保するためにISOと整合性の取れた国際一致規格ということで、画期的なことであろうとは思います。ただ、御説明の中にもあったとおり、これは安全上の考慮事項や子供の安全環境への配慮等を取り入れた規格作成のための指針ということであって、まだまだ抽象度は高いものになっているという感じがいたします。

今後、製品横断的な規格などへ落とし込みがなされるのではないかと思いますけれども、これはまた経済産業省におかれて、個別の製品等にも適用できる規格の制定に向けて、引き続き子供の安全性に配慮した製品づくりが促進されるように、ぜひ取り組んでいただければと思います。

今日はお忙しいところ審議に御協力頂きまして、誠にありがとうございました。

○経済産業省藤代産業技術環境局国際標準課長 いろいろと申し上げて恐縮でございます。また機会があればお呼び頂ければと思います。

ありがとうございました。

(経済産業省退席)


≪5.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上になります。

最後に事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせさせていただきます。

なお、この後委員間打合せがございますので、委員の皆様は、委員室までお集まりください。

また、先ほどお話がありましたように、こちらのJISの本体につきましては、恐縮ですけれども、回収いたしますので、そのまま机に置いていただければと思います。

以上です。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

時間としては、3時15分を目途に委員会室にお集まりください。

(以上)