第236回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2016年11月8日(火)13:00~13:51

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、池本委員長代理、大森委員、鹿野委員、長田委員、中原委員、増田委員
  • 【説明者】
    消費者庁東出審議官
    消費者庁大元表示対策課長
    消費者庁表示対策課
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 家庭用品品質表示法の告示改正について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第236回本会議」を開催いたします。

本日は阿久澤委員、蟹瀬委員、樋口委員が御欠席となります。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第の下部のほうに配付資料一覧を記載しております。

資料1から7につきまして、「家庭用品品質表示法の告示改正について」の関連資料となっております。

それから、参考資料となっております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。


≪2.家庭用品品質表示法の告示改正について≫

○河上委員長 最初の議題でございますが、「家庭用品品質表示法の告示改正について」というものであります。

家庭用品品質表示法は、家庭用品の品質に関する表示の適正化を図り、一般消費者の利益を保護することを目的とし、その対象となる家庭用品を指定して、品質に関わる事項を表示の標準として規定しております。

また、同法第11条に基づきまして、表示の標準となる事項を制定・変更等をしようとするときは、消費者委員会に諮問し、意見を求めることになっております。

本日は、改正を予定している内容について消費者庁から御説明をいただきまして、若干の意見交換を行いたいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しいところをお越しいただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、大変恐縮ですけれども、15分程度で説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁東出審議官 消費者庁で審議官をしております東出と申します。今日はよろしくお願いいたします。

私から、委員長から御紹介のありました、今日お諮りする告示について御説明いたします。

資料ですけれども、告示の本体はお配りしております資料3、資料4、資料5、資料6ですけれども、大部になりますので、資料2に沿いましてポイントを御紹介するということで説明をさせていただきます。

表紙をめくっていただきますと、今回お諮りする告示の位置付けというものでございます。先ほど委員長から御紹介がありましたように、家庭用品品質表示法、表示の適正化を図りまして、一般消費者の利益を保護するということで定められている法律ですけれども、何について表示をするのかについては、政令、内閣府令というものがありますが、こちらで品目の指定をしております。どういうことを表示すべきか、どういうように表示するのかにつきましては、1ページ目の下のほうにあります告示というもので規定がされておりまして、これは品目別で大くくりで4本の告示があり、今回お諮りをするものであります。

2ページ目、今回の告示の改正の契機でございますけれども、直接には、下の参考というところにあります、規制改革会議におきまして、家庭用品品質表示法に基づく表示内容の見直しに関しまして、消費者にとって正しくわかりやすい表示方法にすることや諸外国における表示制度を参考として表示方法を見直すということが閣議決定をされております。これが直接の契機でありますけれども、上のほうの箱の下のほうを見ていただきますと、ライフスタイルの変化により、品質を表示すべき商品が変化しておるとか、グローバル化が進んでおりますので、いろいろな商品が消費者の手に渡りますので、わかりやすい表示をしていくことが必要になっております。そういうことで、見直しをしております。

今回の見直しに当たりましては、消費者にとってわかりやすくなるように、新しく表示を追加すべきものは追加する、直すべきものは直すということと、もう一つは、マル2のところでありますけれども、安全性を十分に担保して、合理的な方法で表示を行わせる。この2つの考え方に基づきまして、見直しを行っております。

見直しに当たりましては、消費者目線ということで、消費者庁あるいは消費生活センターに寄せられました要望や苦情などを参考にしておりますし、技術的な観点がございますので、事業者からもヒアリングを行いました。また、検討の過程で消費者団体の方にたたき台を御説明いたしまして、御理解を得るという手続を踏んでおります。

具体的な中身に入らせていただきます。3ページからはしばらく、わかりやすく表示をしようということで改正をしておるところのポイントでございます。

3ページ、左上、帽子の件ですけれども、帽子につきましては、繊維の種類と洗濯表示の記載を義務付けるという改正を行うことにしております。現在、帽子については表示の義務付けがないのですけれども、洗濯のトラブルですとか、どう取り扱ったらいいのかというお問合せ、要望というものがございますので、消費者トラブルを未然に防ぐということで、表示を義務付けたいと考えております。

その下、ズボンについて、裏生地を表示事項に追加するというものですが、現在、家庭用品品質表示法で、表生地について表示が義務付けられているのだけれども、裏生地については義務付けがないというものについて調べましたところ、ズボンにつきましては、裏生地が付いているものは結構多くなっている実態がわかりましたので、取扱方法や保存方法など、性能を判断するために、裏生地の表示を義務付けることを考えております。

その下、魔法瓶でございます。魔法瓶につきましては、今、ガラス製の卓上用の魔法瓶とステンレス製の携帯用の魔法瓶が表示の対象になっております。ステンレス製の卓上の魔法瓶は今、表示の義務がないのですけれども、この流通量が増えておりますので、それにつきまして、表示の事項を定めるというものでございます。最近は保温ではなくて保冷用のものが増えておりますので、保冷のものについても「10度以下(6時間)」ということで、6時間は10度以下が保てるよという表示を付け加えることが考えられております。

右上の合成ゴムの関係です。合成ゴムの一つのシリコーンゴムというものがあるのですけれども、これにつきましては、今のところ、表示方法について、取扱方法などを広く知らしめる必要があるということで、義務の追加を考えております。

その下のマフラーでございますけれども、マフラーについては、今、いわゆる洗濯表示が義務付けられておりません。ただ、最近マフラーについても手洗い可能なものが多く出回っておりますので、それについて洗濯の仕方を義務付けようというものであります。

4ページ目、左上の強化ガラスの関係です。強化ガラスにつきましては、耐熱ガラスではないという表示を付け加えることを考えております。強化ガラス、耐熱ガラス、見た目ではよくわかりませんので、取扱いを間違えないようにということで、耐熱ガラスではない旨を付け加えることを考えております。

その下、毛布のたて糸の表示の追加です。毛布につきましては、現在、表面の毛羽部分のところについて、どういうものでできているのかを表示すればよいということになっておるのですけれども、たて糸の素材には、表示の関係はございません。ですけれども、たて糸の素材によって値段が違ってくるとか、取扱いが違ってくるということもございますので、その点についても表示を追加するというものであります。委員間の打合せで収縮率について御指摘がございましたけれども、元々一部の繊維製品につきましては、収縮率を表示させていた経緯でございます。ただ、収縮率を示すだけでは、洗濯のトラブルというところがございましたので、その後、洗濯方法について表示を追加するということでやっておりました。しばらくそれでやっておりましたけれども、特にそういう形でやって、洗濯の関係については対応いたしましたので、平成9年に収縮率は義務付けを撤廃しております。こういう経緯でございまして、洗濯のときに縮むということについてのトラブルを防止する観点から、収縮率を示しても、20%縮むのを覚悟で洗濯をされる方はいらっしゃらないと思いますので、縮まないようにするにはどういう洗濯方法をとるのがよいかということを表示したほうが、消費者にとってはわかりやすいと判断いたしまして、収縮率についての義務付けを追加することは考えておりません。

次に右側、表示順の見直しですけれども、寸法の表示順、スプリングマットレス等の詰物の表示順につきましては、海外では寸法の表示の順番について規制がないということもございますので、規制改革会議において輸入障壁となるため改正すべきということで御指摘をいただいておる改正事項であります。現状を申し上げますと、ショッピングカート、たんす、机、テーブル、椅子、腰かけ、スプリングマットレス、ウレタンフォームマットレスの寸法やスプリングマットレスの詰物の材料につきましては、縦、横、厚さ等の規定された順番どおりに寸法を書けということになっております。ただ、現在では製品が多様化しておりまして、ロングサイズですとか、狭いところに入るということが売りになっている商品がございますので、どういうものが消費者に一番価値が高いのかということに応じて表示を変えられるようにということで、表示の順番を任意としたいと考えております。現行、寸法を表示する際には、縦、横、厚さの順番に書くことになっているものですから、何ミリなど、数字だけ書いてあって、どこの長さなのかといった表示がなくとも法令に反しているとはいえないのですけれども、今回は順番を任意にします代わりに、縦何センチ、横何センチと、どこの寸法を表しているものかはちゃんと書くように、義務付けることにしております。縦、横といいましても、どちらが縦で、どちらが横かという話がありますので、縦、横の長さが似たような長さでわかりにくいものにつきましては、図示することを推奨することを考えております。

委員間の打合せで、スプリングマットレスの詰物の表示順につきまして、重量順にすべきではないかという御指摘がございましたけれども、現在の告示では、詰物につきましては、表面に近いものから表示をする規定になっております。これは昭和46年に規定されたものですから、資料が現存しておりませんので、どうして詰物が表面に近いところからということは定かではないところはあるのですけれども、恐らく体に一番接するところが寝心地に効いてくるのだろうということで、そういうことになったようでございます。ただ、現在だと、材質の進歩だとか、点で支えるなどいろいろなやり方があるようで、必ずしも体に近いところの材質が寝心地に直接響くというものではないようでございます。また、沢山使っている、あるいは重いものを使っているということが寝心地に直結するものではないようですので、何が使われているのかは表示させることが大事かと思いますけれども、どういう順番でということにつきましては、特に規制する必要はないと考えておりまして、どういう順番で詰物の表示をするのかにつきましては、任意としたいと考えております。

5ページ目、安全性を十分に担保しつつ、合理的な方法で表示を行わせるということでありまして、左上のところですけれども、現状、ミリメートル単位で寸法については表示させることになっておりますが、これにつきましては、センチメートル単位でも表示ができるとしたいと思っております。

ただ、ミリメートルに加えてセンチメートルの表示することができるということにするわけですけれども、ミリのところ、小数点以下のものについても、小数点第1位まで原則として表示させる。100.0センチのときには「100センチメートル」でいいのですけれども、100.5センチのときには「100.5センチメートル」まで書くということで規定をするつもりでおりますので、寸法の精度につきましては、現状と変わらないと考えております。

次に、左下です。家具の取扱い上の注意についての表示方法ですけれども、現状、取扱い上の注意につきましては、本体に表示しなければならないという規定になっております。その結果、見にくいところに取扱いの注意が貼ってあるせいで、かえって見にくいとか見落とすというようなことがありますので、消費者が見やすい場所に表示できるように、どこに表示するのかにつきまして、可能な場所を拡大するということでございます。

直射日光又は熱を避けるということを表示しなければならないということになっているのですけれども、庭で使うようなガーデンファーニチャーにつきましてもそれを書いて貼っておけということになっておりますので、明らかに目的にそぐわないものについては、省略ができるとしようと考えております。

右上、耐熱温度の試験開始温度の見直しであります。現状、合成樹脂加工品の耐熱温度の試験につきましては、全て50度から開始しなければならないとなっております。そういう試験でやった結果について表示するということになっているのですけれども、過去の実績から見て、明らかに50度よりも耐熱温度が高いというものもございます。例えばポリプロピレンにつきましては、耐熱温度が140度だということが明らかになっておりますので、そういうものについては、50度よりも高いところから試験を始めて、その結果について表示をすればよいと合理化をしようと考えております。

右下、人工皮革についてです。人工皮革と合成皮革というものがございまして、人工皮革というものは合成皮革の一種でございます。ただ、人工皮革のほうがより天然の皮革に似ているものなのですけれども、現状、人工皮革と合成皮革は区別して表示すべしということになっておるのですが、なかなか判別が困難だというのと、取扱いについては大きく変わることがないということでございますので、人工皮革でも合成皮革と表示することも可という改正をしようということで考えております。

6ページ目、ウレタンフォームマットレスの試験方法ですけれども、こちらは、ウレタンフォームの硬さといいますか、弾力性といいますか、それについての試験方法が定まっておりまして、それに応じて硬さがどれぐらいかを表示しなければならないという規制です。この試験方法がJISで改正がありましたので、それに応じまして、家庭用品品質表示法もJISの規格の試験方法で出た結果を表示するようにということの改正をしようというものであります。

右、魔法瓶の保温効力の表示につきましても、試験方法について改正をしようと考えております。今、試験方法の中で、24時間蓋を開けずに放置した後の結果を表示しなければならないということになっているのですけれども、普通、魔法瓶にお湯を入れて、24時間たってからそのお湯を使おうと思う方はいらっしゃらないと思いますので、その表示については削除ということで考えております。

7ページ目、この辺はいろいろ細かい事項があるのですけれども、一番上の繊維の名称を表す用語でございます。今、衣料品などにつきましては、どういう繊維でできているのかということについて、こういう繊維でできているものについては、こういう名前で書かなければならないという規定をしております。従来、特定の名前で「綿」とか「コットン」とか、その手のものがないものについては、「指定外繊維」という書き方ということになっていたのですけれども、イメージが湧きませんので、「植物繊維」あるいは「動物繊維」という書き方を加えるということで考えております。

その下の使用することのできる用語の追加という箱でありますけれども、合成樹脂加工品の食器や調理器具の中で、「熱可塑性エラストマー」というもので作られておるものがございます。これは常温ですと、ゴムのように弾力があるのですが、加熱すると軟らかくなって成型できるという性質を持っています。これにつきましては、「熱可塑性エラストマー」という言葉で統一することになっておりませんので、いろいろな言葉が使われておりまして、若干誤解を招く可能性もあるといたしまして、それにつきましては「熱可塑性エラストマー」と書くということで統一したいと考えております。

次の下のところ、現在樹脂の書き方の指定用語で、「飽和ポリエステル樹脂」が指定をされております。これは合成樹脂のバケツとか洗面器というものに使われているものなのですが、飽和ポリエステル樹脂というのは、実はペットボトルの材料のポリエチレンテレフタレートというものがほとんどでございますので、「飽和ポリエステル樹脂」と書くよりは「PET」あるいは「ポリエチレンテレフタレート」と書いたほうが消費者にとってはわかりやすいと思いますので、そちらに変えるということで考えております。

その下、家具の関係です。家具の材料として、板ですけれども、中密度の「繊維板」がよく使われるということでございます。現在「繊維板」ということで、名前を書けということで指定をしておりますけれども、最近、店頭やカタログでは、「MDF」という用語で宣伝をされていることが多くなっておりまして、消費者の方にも「MDF」という用語がなじんできているようでございますので、「MDF」という表示をすることも可ということに変えたいと思っております。

委員間の打合せで、「繊維板」はわかりにくいという御指摘がございましたけれども、これは昭和41年以降使われておりまして、比較的広く普及をしておると考えております。「繊維板」がなくなって「MDF」ということなのですが、同じものか違うものかがかえって混乱してもまずいと思いますので、「繊維板」と「MDF」、両方使えることにさせていただきたいと考えております。これにつきましては、当方が出しておりますホームページですとかガイドブックなどで周知を図っていこうと考えております。

「繊維板」につきましては、接着剤の関係でアレルギーについて御指摘もございました。アレルギー反応を引き起こす関係で、ホルムアルデヒドがあるかと思いますけれども、こちらにつきましては、国土交通省で所管しています建築基準法で規制されており、基本的には安全な材料で作られた製品が流通する状況になっておりますので、表示でその辺について規定をする必要はないかと現状は考えております。必要に応じて情報提供ということはやっておきたいと思います。

その下、スプリングマットレスの表示の見直しがありますけれども、現状、スプリングマットレスにつきましては、コイルのばねのところにつきまして、例えば数が70個あって、形状がちょうちん型ばねで、材料の種類が何でということを表示しなければならないということになっているのですが、スプリングの形状や材質が寝心地がどう反映するのかは必ずしもわかりよいものではございませんし、かえって混乱するということがありますので、コイルスプリングを使っているということのほかに、詰物について書いてもらうことで合理化を図るということで考えております。

一番下ですけれども、表示事項名の統一ということで、現在、いわゆる取扱方法につきましては、「手入れ方法及び保存方法」あるいは「使用上の注意」あるいは「取扱い上の注意」と表示事項名がばらけているところがありますけれども、これにつきまして、「取扱い上の注意」ということで統一したいというものでございます。

最後になりますけれども、今回の改正につきましては、周知徹底、事業者につきましては、業界団体を通じて周知を徹底するということでやっていきたいと思っております。それから、私どものホームページで家庭用品品質表示法用のページを作っておりますので、そこの改正、あるいは経産省と連名でガイドブックというものを作っておりますけれども、こちらも改正して広く配布をしたいと考えております。そのほか、説明会等につきましては積極的に対応したいと考えております。

今後の予定ですけれども、答申をいただきましたら、経済産業大臣への協議という手続もございますし、パブリックコメント、貿易協定の関係でTBT通報と言われるものの手続もございます。その辺の手続を済ませまして、できましたら、来年の4月1日から施行したいと考えております。現状、表示義務がないものにつきましては、来年ではなくて、平成30年の4月1日から表示をするということで、経過措置を置きたいと考えております。現状、表示義務があるものにつきましては、切り替えの関係もございますので、新しい表示ができるものはできるだけ早くということで、平成29年の4月から施行と考えておりますけれども、平成30年の3月31日まで、1年間はこれまでの表示を行ってもよいということで、できるものからやっていきましょうという経過措置を置きたいと考えております。

若干早口になりましたが、以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

ただ今の御説明の内容について、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 大変御苦労様です。新しい商品が出てきたり、ライフスタイルが変わってくるので、それに合わせていろいろ表示などを変えていくことはとても大変だと思います。すごく対応してくださっていて、感心しているのですけれども、外国との統一化と日本人としての見やすさと、両方があったりなど、いろいろ御苦労も多いと思うのです。一番困るのが、ものによってルールが違ったり、ころころルールが変わるのが一番問題なので、私の意見も、すぐに対応していただかなくてもいいのですけれども、ちょっと耳にとめておいていただきたいという発言なのです。

一つは、収縮率のことです。洗濯表示で対応できるではないかというお話だったのですけれども、今は割と繊維業界なども自己防衛的にすごく洗濯表示を厳しくしているのです。一方、洗濯機とか洗剤がすごく良くなって、私などは家で、洗濯機で全部洗っています。喪服からコートからスーツから、それで、今まで全然トラブルなしで来ているのです。こういう消費者もおりまして、そういう消費者は、余り洗濯マークを気にしないのです。逆に収縮率を知りたい。買うときに、収縮率がすごく大きいものであったら買わないようにしたい。そう判断する者もおるかと思うので、収縮率も廃止してまたすぐに復活というのもややこしい話だと思いますけれども、洗濯機とか洗剤が良くなっていることと、割とメーカーさんが自己防衛的に丁寧な洗濯の仕方をアピールしている中で、また収縮率の表示が、消費者からニーズが出てきているのではないかということを心にとめていただきたいと思います。

もう一点、家具などの場合、アレルギーに対してはホルムアルデヒドは、安全なものしか使われていないので問題ないのではないかというお話でしたけれども、実際、引っ越してシックハウス症候群になった人とか、私自身、割と安い家具メーカーの会場をうろついているとすぐ目が痛くなったりするようなことがあるので、現状の規制で大丈夫なのか。実際に被害者が多く出ているので、この辺りももうちょっと丁寧に見直す必要があるのではないかと思いますので、今後考えていただけたらと思います。

○消費者庁東出審議官 アレルギーの関係につきましては、私どもは何の問題もないということを申し上げたつもりはなく、原材料、合板の段階で規制がかかっておりまして、ある程度安全と言うと語弊があるかもしれませんけれども、一定の基準をクリアしたものが家具として作られていると認識をしております。ですから、そこに新たな表示事項として何かを追加することにつきましては、今回は見送りましたということでございます。

○河上委員長 収縮率というのは、洗濯するときには一番大事な要素なのですか。

○大森委員 どれぐらい縮むかです。収縮率が大きいものというと、結局、今、ぴったりのものであっても着られなくなる可能性があるので、収縮率の高いものはお洗濯を慎重にしないといけない、若しくはクリーニング屋さんに出さないといけないということになるのです。安く合理的に暮らしたい主婦は、なるべく収縮率の少ないものを選ぶと思うのです。ですから、あったほうがありがたいです。

○河上委員長 さっきの審議官のお話では、洗濯の方法については残すという話でしたね。

○消費者庁東出審議官 洗濯の方法については表示をさせておりますし、そこにつきましては変更するつもりはございませんので、詳しい方につきましては、収縮率というものは非常に参考になるかと思いますけれども、私どもが理解しておりますところでは、一般の方については洗濯の仕方、要はこう洗濯してくださいという表示をするほうがわかりやすいということを今回優先させていただいたということでございます。

○河上委員長 縮みやすいものに関しては、例えばお水では洗わないでくださいとか、そういう洗濯の方法で、わかることはわかるのですね。

○大森委員 多分、クリーニング屋さんに出してくださいというようなことになっていると思うのです。ドライクリーニングとか。でも、全然大丈夫なものでもそうなっている場合もある。

○河上委員長 クリーニング屋さんへの情報提供も大事ですね。今回改正してくださいという話ではないけれどもということですね。

○大森委員 はい。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 今、御説明いただいたこのペーパーの洗濯の表示例が、どうして新JISの洗濯表示になっていないのかなということが素朴に、まだ今が11月だからなのかもしれないのですが、来年以降の実施ということであれば、この段階、今はっきり決まっているものなので、まず一つは、表示例は新JISで掲載なさったほうが、この後すぐ12月になりますので、違和感がありますということが一つです。

今ほど大森委員がおっしゃっていたのは、本当に最近は、ほとんどのものがドライ表示に傾いている。自分で洗って何か事故があるということを多分避けていて、非常にドライ表示のものが多い。でも、実は洗えますというところをおっしゃっていたのだと思うのです。そういう意味では、これは体験的に大丈夫だろうと思って洗っていらっしゃる方も大勢いらっしゃるかもしれないけれども、新しいようなタイプのものであれば、収縮表示もあればずっといいのだろうとは私も思いました。

○消費者庁東出審議官 洗濯表示につきましては、御指摘のとおりでありまして、新しいものがまだ施行前ということで、こういう表示をさせていただいております。洗濯表示の改正につきまして、別途、周知につきましては、今、広報をいろいろ取り組みかけておるところでございます。

○長田委員 それは重々承知なのですが、この告示をして、実際に表示をするのが先であることがはっきりわかっていて、もうすぐ切り替えになっているものを載せているのは、私としてはすごく違和感があります。

○河上委員長 適当な時期に修正いただけるわけですね。

○消費者庁東出審議官 今後パブコメ等々の手続があるので、時期に応じてこの辺は適宜修正をさせていただきます。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。

鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 消費者にとって正しくわかりやすい表示に整理するということで、大変御苦労なさったと思うのですけれども、全体としてとても良くなったのではないかと思います。その上で、1点質問と、1点将来に向けた要望的なものをお話しさせていただきたいと思います。

第1点は、4ページの表示順の見直しということなのですが、右側の下のほうに、表示の順番が決まっていたところを、順番は自由にするということで、その例として、例えばショッピングカート、たんす等については順番を自由にします、ただし、縦、横、厚さという表示についてはきちんとしますということでありました。これ自体は、きちんと何が縦、横、厚さなのかが明示されれば、それはそれで正しく理解されるのではないかと思いますし、確かにおっしゃるとおり、どういうものかによって、どこのサイズが大切なのかも違ってくる可能性がありますので、その点は理解しました。

その右側のスプリングマットレスの詰物についてなのですが、従来は表面に近いものから表示をすることになっていたけれども、表面から近いということにそれほどの意味があるとは思われないので、その順番を自由化するということでございました。その限りでは理解しているつもりなのですが、考えてみると、今までもなかったのでしょうけれども、詰物の割合とか、そういうものは余り品質に影響しないのでしょうか。このペーパーの7ページの表の下から2段目の右側の文章の中に「スプリングマットレスの品質はスプリングよりも詰物によって左右される場合もある」と書いてあって、詰物がどういうものであるかによって、スプリングマットレスの品質がかなり決まってくるのだということだとすると、その割合などは、もしかしたら影響するのかもしれないと思いました。今までもなかったので、今回新たにそれを直ちに付けないとおかしいと申し上げるつもりはないのですけれども、もしそういう品質への影響があるとすると、表記の順番の自由化ということで、例えばほんの少しの割合だけれども、良く見えるような詰物を一番先に表示して消費者に誤解を与えるようなことがないだろうかということにつき、先走り過ぎかもしれませんけれども、少し心配に感じたところであります。スプリングマットレスについて、詰物によってどういう影響があるのかということ自体につき、私自身、余り知見を有しているわけではないので、その辺りのことをもしおわかりになれば教えていただきたいと思います。

もう一つは、将来に向けての要望と申しましたところです。今回の告示の改正の趣旨の一つに、グローバル化対応ということがあるものと伺いました。そういうことを考えますと、これは直ちに強制でというのは行き過ぎだとは思うのですけれども、表示の外国人消費者対応の推進が課題になると思います。日本でも外国人の消費者が、旅行者であれ、あるいは若干長期に滞在する人であれ、かなり増えているように思うのです。例えば先ほどの洗濯表示のところで、「綿100%」とされ、その下に洗濯の記号が載っています。記号は比較的わかりやすいのかもしれないのですけれども、「綿100%」という「綿」が、正しく外国人に伝わらないと、買うのに困難が生ずるかもしれません。昔、私自身も今のようにEUで多言語での表示がまだ整備されていなかった時代に、ヨーロッパのある国に行って、英語などであればともかく、慣れない言語の国で、寒くなったからマフラーを買おうかと思ってもその表示がわからないから躊躇(ちゅうちょ)するという経験をしたこともございました。一消費者としては、どういう素材で作られているのかは、最低限わかる状態が望ましいのではないかと思います。特に、グローバル社会がこのように進んできて、それを日本でも推進している時代なので、そういうことを考えますと、せめて英語表記を加えることを推進していくことも考えられるのではないかと思いました。これは将来に向けてそういう方向性は考えられないでしょうかという一つの要望です。

以上です。

○河上委員長 何かございますか。

○消費者庁大元表示対策課長 鹿野委員の御質問と御要望の件に関しまして、若干の補足でございます。事業者にスプリングマットレスの品質についてはどう考えたらいいのかということを改めて確認させていただきました。そうしますと、まず、表面からの順番とか、詰物の量そのものというものは、現在のスプリングマットレスでは品質を表す形にはなっていない。基本的には、低反発、高反発というところとか、形状が大きく品質には作用してくるものだというお話でございましたので、現状は、そういう意味からすると、この表示順等につきましては、重量順とか表面から近い順ということは必要ないのかなと考えておるところでございます。

繊維製品につきましては、現在、綿であれば「COTTON」とか、羊毛は「WOOL」、絹は「SILK」、一部のものでございますけれども、英語表記もできるとしてございます。いずれにいたしましても、今回の見直しでは見送りますが、将来的には、今回様々御指摘等をいただいた点については、商品の流通実態等を勘案しながら、また引き続き見直し等のアップデートは当然していかなければいけないと考えているところでございます。

○鹿野委員 ありがとうございました。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 ありがとうございました。

これを機に、消費者の方に広く周知をしていただくことが、クリーニングトラブルなどもなくなるかと思いますので、よろしくお願いします。

一つ質問なのですけれども、国際化に向けた対応ということがうたわれていますが、海外から日本向けに輸出してくるような商品について、海外の事業者に対してもこういうお願いをされているのかとは思うのですが、その辺のことについてはどういうことをされているのでしょうか。

○消費者庁大元表示対策課長 家庭用品品質表示法は、国内で販売される商品に際して製造業者又は販売業者、あるいは表示に特別に責任を負う方があれば表示業者と、そういう者に対して、この表示義務を課す形になってございますので、例えば輸入品であれば、輸入業者なりに日本向けの表示を作っていただくことが必要になります。ですから、基本的には国内業者に向けた周知活動が一番必要になるということでございます。

ただし、これは国際標準という観点から、最後、東出から御説明させていただきましたけれども、WTOのルールに沿って、この新しい表示義務の関係について、輸入障壁にならないのかという観点で、WTOの加盟国に対してはコメントを求める手続を経た上で、問題なければこのものを成案として得るという形で手続を進めてまいりますので、必要に応じて御意見は出てくるのかなと考えているところでございます。

○河上委員長 ほかはよろしいですか。

私も1点だけ聞きたかったのですが、センチメートルとミリメートルの話ですけれども、確認ですが、例えば今まで「1,000ミリメートル」と書いてあったところは、表示としては、「100.0センチメートル」と書くのですか、それとも「100センチメートル」と書くのですか。

○消費者庁東出審議官 端数がないときは「100センチメートル」と書いていいということにしております。

○河上委員長 端数があるときは、小数点を。

○消費者庁東出審議官 「1,005ミリメートル」でしたら、「100.5センチメートル」と書かなければなりませんが、端数がないときは「100センチメートル」と表示しても構いません。

○河上委員長 そうすると、見た感じだと、今までずっとミリで頭にある人は、4桁で書いてあると思っていたけれども、3桁になっているときに、勘違いする可能性はないのですか。

○消費者庁大元表示対策課長 単位は書きます。

○河上委員長 私などは数字しか見ないことが多くて、この間飛行機がどこか変な方向へ行ってしまったのは、実は新しい新機種で、一番最後のゼロを足したがために違うところへ行ってしまったという事件がありました。変更の過程で、きちんと単位が変わったということの周知徹底を相当やらないと、混乱するかもしれないですね。

消費者委員会に対して諮問をいただいたということで、こちらから答申案を考えることになりますけれども、この間、委員間打合せでお話をさせていただいたところを前提にして、事務局で答申の案を考えてみましたので、お配りいたします。

(答申案配付)

○河上委員長 よろしいでしょうか。

答申書の最初の部分は、基本的にこの変更については、家庭用品品質表示法の趣旨に鑑みて、妥当であるということで、その旨を答申するということにしてありますが、ただし書きがございまして、本案を含めて、同法の運用に当たっては「下記」の事項に十分留意し、同法に基づく表示制度が、消費者にとって理解のしやすい制度となるよう努めてほしいということで、「記」を1、2、3と挙げてあります。

1番目は御覧のとおりでございまして、「広範囲の改正であることから、表示方法の改正による消費者の混乱や誤解を招かないよう、新しい制度の施行前に消費者に対して十分な説明を行う等、丁寧な周知を図ること。その際、改正部分のみならず、表示方法の意味するところを消費者が正しく理解できるよう説明を尽くすこと」、既にもう説明にかかっていらっしゃるというお話を伺いましたけれども、それが1番目であります。

2番目が「国際的な基準により準拠した表示方法については、消費者が当該表示方法を正しく知ることにより、国内外の製品を購入する際に、当該製品の品質等を適切に評価することができる側面がある。そのため、消費者が表示を十分に理解できるよう、積極的に広報を行うこと」というものであります。これまでと違った国際標準になるものですから、その意味では、中では混乱があるし、外国から来たものについてはプラスになる部分がありますので、そこの部分をきちんと理解できるように、積極的な広報をお願いしたいということです。

3番目が「消費者の製品選択及びより良い製品利用に資するよう、製品に使用されている材料の性質等に関する、取扱い上の留意点やアレルギー等安全性に関する情報を、積極的に消費者に提供する自主的な取組を、事業者に対して促すこと」ということで、特に家具などの場合の、先ほどアレルギーの問題に関してはある程度安全なものが使われている前提でお話をいただいたのですが、全く問題がないわけではないと思われますので、そうした情報提供は、表示とは別にきちんとやってもらえるように、事業者に取組を要請していただきたいということです。

ほかにも、例えば国内における外国人の消費者が増加するということがあるので、将来的にはそういうことに対応して、表示の在り方、せめて英語表記を進めていくということもお願いしたいということが先ほど鹿野委員からありました。さしあたって、ここには3つだけ条件として書き込んでみましたが、課題はこれに尽きません。この案について何か御意見のある方は、委員の方々で修正案あるいは追加案がございましたら、発言をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

よろしいですか。

特にないようでしたら、この形で答申書を皆様の御了解をいただいたということで、内閣総理大臣宛てに発出したいと考えております。消費者庁におかれましては、今日いろいろ意見も出ましたので、また将来的な課題も含めて御検討いただくということにして、いろいろとよろしく御協力をお願いしたいと思います。お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、誠にありがとうございました。

○消費者庁東出審議官 どうもありがとうございました。

(消費者庁退席)


≪3.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上になります。

最後に事務局から今後の予定について説明をお願いしたいと思います。

○丸山参事官 次回の本会議の日程や議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。

なお、この後、委員間打合せがございますので、委員におかれましては委員室にお集まりください。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。

2時ちょうどに委員間打合せを始めたいと思いますので、委員会室にお願いします。どうも今日はありがとうございました。

(以上)