第233回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2016年9月20日(火)13:30~15:05

場所

中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室(東京都千代田区霞が関3-1-1)

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、池本委員長代理、阿久澤委員、大森委員、蟹瀬委員、長田委員、中原委員、樋口委員、増田委員
  • 【説明者】
    消費者庁赤崎食品表示企画課長
    消費者庁三上表示対策課食品表示対策室長
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 機能性表示食品制度について
  3. オンラインゲームに関する消費者問題について
  4. その他
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。

皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第233回本会議」を開催いたします。

本日は鹿野委員が御欠席となります。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第の下部の方に配付資料一覧を記載しております。

資料1 「機能性表示食品制度の施行状況について」

資料2 「スマホゲームに関する消費者問題についての意見~注視すべき観点(案)~」

資料3 「『消費者問題シンポジウム in 福岡』実施報告」

それから、参考資料となっております。

不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。


≪2.機能性表示食品制度について≫

○河上委員長 最初の議題は「機能性表示食品制度について」というものです。

この制度につきましては、一昨年、食品表示基準に含めて制度化をしたいという諮問を内閣総理大臣から受けまして、当委員会で審議を行ったものであります。当時、消費者庁から提出されました食品表示基準案には、制度をどのように運用するのかといった詳細が全く盛り込まれておりませんで、後日、消費者庁が作成するガイドライン等によって、制度の運用方法が決定されるという極めて不透明な状況下での審議でございました。そのため、制度導入が消費者の利益につながるようにということで、答申書には、制度導入を適当とするということの前提条件として、かなりの数の附帯意見を付けた経緯がございます。

消費者委員会といたしましては、ある程度状況が明らかになった時期にどのような制度運用がなされているのかということを確認したいと考えてまいりましたけれども、昨年4月に同制度が導入されてからほぼ1年半が経過したということで、そろそろ検証するために必要なデータもそろった頃ではないかと考えた次第です。

本日は消費者庁にお越しいただきましたので、答申書に付けた附帯意見への対応状況などを軸に制度の運用状況についてヒアリングを行って、若干の意見交換を行いたいと考えております。

大変恐縮ですけれども、御報告は15分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 消費者庁でございます。

それでは、お手元の「機能性表示食品制度の施行状況について」という資料に則して、簡潔に御説明をさせていただきます。また、お手元に平成26年12月9日付けの答申書というものが置いてあろうかと思います。この中に、先ほど委員長から御発言のありました附帯意見9項目が付いておりますので、随時これにつきましても触れさせていただきます。

1ページでございます。

食品の機能性表示制度でございます。これは食品ということになっていますので、医薬品とは違うという制度になっています。食品の中の「いわゆる健康食品」について、国が定めた機能性の表示ができる制度として3つあることを書いています。右下が機能性表示食品で、企業等の責任において保健の機能の表示ができる。事前届出制となっています。

2ページでございます。

特保との比較をさせていただきます。下に書いていますが、特保の場合は事前個別許可であるのに対して、機能性表示食品制度は事後チェック制度となっています。あわせて、特保だとヒト試験、臨床試験が必須ですが、機能性表示食品制度については文献評価であるシステマティックレビューも認められているということです。

3ページでございます。

食品の新たな機能性表示制度に関する検討会報告書概要です。これは制度の発足前に有識者検討会で制度化についておまとめいただいたものです。左上、青字で安全性確保、左下の赤字が機能性表示の科学的根拠です。右上に黄色で機能性表示、右下に黄緑色で国の関与が書かれています。ここに書かれている報告書の内容につきましては、基本的には今、きっちりとガイドラインに必要なことを書いています。

4ページは、この3ページの検討会報告の作成に至る経緯と構成員です。

5ページ、機能性表示食品の根拠法等として、「食品表示法に基づく食品表示基準(内閣府令)において、報告書で取りまとめられた制度の基本事項を規定。制度の運用に係る事項は、ガイドライン等で具体的に規定」とあります。併せて食品表示基準、2条1項10号の定義を付けています。

6ページは、同じく食品表示基準の規定です。

実際の表示事項について、そこにあります1)から16)までを定めています。1)機能性表示食品である旨、2)その機能性があります。6)届出番号、これは個別に届け出ていただいた商品ごとにA、B及び数字の組合せで番号を付けたものです。

その次、7ページ、8ページでございます。

7ページの機能性表示食品制度の概要については、基本骨格をガイドラインで定めていますので、8ページで御説明をさせていただきます。

まずガイドラインでは、1.対象食品となるかの判断というものがあります。その上で、2.で安全性をしっかり確保する、その根拠について定めがあります。また、それを担保する一つということで、生産・製造及び品質の管理というものがあり、万が一健康被害が起きた場合の情報収集体制が4.です。2.3.4.が広い意味の安全性担保で、その次に、5.で実際に効果があるのかどうかという機能性の根拠を定めており、以上をクリアした後に6.で具体的な表示の内容、これが適正な表示ということでルールが定められており、以上をクリアすれば届出ということになっています。

9ページでございます。

今、国がウェブサイトで公表している件数は9月16日時点で431件となっています。

その次、10ページでございます。

これはガイドラインの抜粋です。これにつきましては、附帯意見の7.のところに「サプリメント形状の加工食品については、GMPに基づく製品管理の推進」ということが書かれています。それを受ける形になります。左側の中ほど下にアンダーラインを引いていますが、「サプリメント形状の加工食品については、GMPに基づく製造工程管理が強く望まれる」ということで、実際に今、届出を受けているものを実績で見てみると、大体86%はGMPをきちんととっています。

その次、11ページ、これは健康被害が起きた場合の情報収集体制でございます。

いろいろな形でこれは重層的にやっています。今回ガイドラインでは赤字で届出者から消費者庁への報告を書いていますが、それ以外にも左にあります、一般の消費者が消費生活センター、国民生活センター経由で消費者庁に情報を相談、通知するものもあれば、右にある保健所を経由したものもあります。

12ページは、健康被害の情報収集に係る事項ということで、これもガイドラインの抜粋です。

附帯意見の6.で事業者からの事故情報の報告については、「必ず行われるよう」という御指摘を頂いています。12ページの右側を御覧になっていただければ、2.で具体的な健康被害情報の定義があり、このようなものを報告の対象とした上で、3.で消費者庁への報告ということで、被害の発生や拡大のおそれがある場合には、消費者庁へ速やかに報告となっています。

13ページ、適正な制度運用のための普及啓発です。

これは附帯意見の9.で「消費者に対する適切な情報提供と啓発」というものがあります。昨年4月に制度をスタートしていますが、その前後からいろいろな説明会を開催、政府広報の活用、パンフレット、これも随時更新もしていますが、作成、公表をしています。

その次、14ページはこれまでに出したいろいろな留意事項を示した文書です。

届出の関係のほか、普及啓発については、広告も射程に入れていろいろな書類等も出しています。

16ページ以下が、機能性表示食品の事後確認です。

この制度は届出制です。特保と違って許可制ではないので、事後チェックをきちんとすることが極めて大事になっています。消費者庁におきましては、最初のポツにあります、いろいろな疑義情報のほか、消費者庁の方で昨年度いろいろな予算事業をやっていますので、そのようなものも踏まえて、必要な事後確認をしています。また、2つ目のポツにありますように、食品表示法に基づく指示、命令等で担保をするということになっています。

17ページに、平成27年度の事後確認の予算事業の一覧があります。

Iが消費者意向等調査ということで、どのように制度が認知、評価されているかの調査をここでしています。これは18ページ、19ページになりますが、時間の関係で、後で御覧になっていただければと思います。

IIが研究レビューの検証事業ということで、20ページ、21ページになります。

これは先ほど言いましたようにヒト試験、臨床試験以外に研究レビューでも根拠とできるとなっていますが、いろいろな論文のいいとこ取りをして、都合の悪いデータを考慮しないと主観的、恣意的な形でバイアスがかかってしまう。それを防ぐということが制度運営の柱となっていますが、実際の研究レビューの在り方について、昨年度検証しました。21ページの【主な結果】のところにあります。評価結果を見ると、いろいろなばらつきがあったということで、21ページの下にあるように、検証の結果ということで、適正な研究レビューの記述例を今年の7月に公表しています。

22ページは、IIIの機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業になります。

分析方法の検証というものも行っています。この結果は23ページに出ていますが、分析方法について、行政の方で後追いの確認をしてみたところ、そのまま分析できたものもありますが、情報が欠けていたようなものもあります。これにつきまして、不十分な届出情報と判断したところには追加で資料を求める取組をしています。

24ページは、実際の買上調査です。

昨年度、実際に17件の食品について買上調査を実施したところ、3.検討結果のところに出ているように、含有量が表示値を下回っている若しくは過剰なものも幾つかありました。これについては、分析方法そのものが不備なので、こちらの方で一部修正するなど補足をして実施したという経緯があります。この対応につきましては、23ページで御説明した追加で資料を求めているという中に17件は入っていますので、その結果を見た上での対応を考えています。

その次、25ページでございます。

食品表示法と食品衛生法の執行の流れです。左の食品表示法、安全性・機能性の科学的根拠に基づかないといった場合、あとは食衛法、公衆衛生に危害を及ぼすおそれがある場合等々は、そこにある法律の規定に基づいた執行で適正な制度運営を担保することになっています。これにつきましては、都道府県等にもいろいろな対応を制度上、お願いをしています。

26ページ以下は、14ページで説明した普及・啓発の具体例です。それが26ページ、27ページになります。

28ページは、食品表示法の実際の執行状況です。

機能性表示食品について見ると、1件指導をしています。

その次、29ページ以下は、実際の健康食品において科学的根拠のないイメージ広告について関係法令に基づく行政上の措置がとれる実際の例ということで、29ページ、30ページ、31ページは景表法、32ページは健康増進法関連の事例です。

33ページは、いわゆる健康食品の表示の取締りの全体像です。

左にある健康増進法、景表法、昔でいう薬事法、今は薬機法です。あと、食品表示法、このようなものに基づいて法執行ができるということで、右側にありますが、健康増進法については、今年の4月から都道府県等にも事務の一部を権限移譲しています。

34ページは、代表的な景表法に基づく表示の取締りということで、昨年の12月から命令は都道府県もできると。あと、今年度から課徴金納付命令も制度としてスタートしています。

35ページは、健康増進法の命令権限が都道府県等へ移譲されたということを踏まえて、チラシを作っている事例でございます。

36ページ、37ページは、執行の関係の予算事業です。

本年度新規で、セカンドオピニオン事業を新しくスタートしています。科学的根拠の確認の迅速化ということで、いろいろな表示がなされる根拠が本当にエビデンスとしてどうか。それを専門の方々に評価をいただいて、結果については、情報を公表するというものです。

37ページは、インターネット広告の監視の件で拡充をした事業です。

実際にインターネットで不適正な表示がなされているのかどうか、この事業を使って監視をするという内容です。

最後、駆け足で恐縮ですけれども、委員長からお話のありました9項目の附帯意見について、ざっと今の状況を御説明させていただきます。

まず、1.施行通知やガイドラインの策定に当たっては、この設置時の検討会報告のうち、「食品表示基準に記載されていない事項が全て網羅され」という点につきましては、基本的には全て網羅をしています。「消費者の安全確保の観点から食品安全委員会の知見を活用することが有効な場合には、積極的に連携を図ること」という指摘に対しては、今年の3月31日付けでガイドラインを改正し、その中で、特保で食品安全委員会が安全性審査をした結果についても、届出をされる事業者がきちんと情報収集して評価をするようにという形でガイドラインの追記をしています。

2.3.4.につきましては「定員・予算を含め、十分な執行体制が構築されること」ということでございます。消費者庁でも取締りの体制を随時強化し、先ほど御説明したようないろいろな予算事業に取り組んでいます。

5.の「消費者庁は本制度の司令塔として、関係省庁と緊密に連携を」という点については、そのとおりやっています。

6.は、先ほどの12ページの説明と重なりますので省略します。同様に7.も10ページの説明と重複しますので省略します。

8.に制度のぜい弱性克服ということで、法的基盤を「すみやかに補強・整備」ということを提言としていただいています。恐らく届出そのものの規定は法律にあるのが一般的にもかかわらず、この制度は内閣府令で書いているというのが問題点の根本ではないかと思っています。現時点ということになりますが、消費者庁としては執行を実際にやっていますが、食品表示法が根拠として不十分とは考えてはおりません。

最後の9.は、先ほどの13ページの説明と重複しますので省略します。

以上、駆け足ですが説明を終えさせていただきます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明の内容について、質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 御説明ありがとうございました。

届出後の期間についてなのですけれども、届出の意味合いとして、必要な書類事項を届け出た日から60日間ということだと思うのですが、例えばその後、その内容について修正等があるといった場合、本来であれば正しい情報が届け出られた日から60日間と一般的には認識されるのかなと思います。そういうところから、一般消費者の方が正しい情報を60日間しっかり見る期間であるのかどうかという点について懸念があります。

もう一つ、いろいろな事後確認をしていただいて、問題があるといったことについて御指導されたという実績を今回お話しされたわけなのですけれども、それについても景表法違反まではいかないまでも、そういうことがあったという情報を出していただくことはできないのでしょうか。この2点についてお願いします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 それでは、先ほどの1点目の御質問にお答えいたします。

60日間というお話がありました。これは答申書の記の冒頭部分に書かれていることと問題意識としては同じなのだろうと思っています。念のため読み上げさせていただきますと、答申書には、「販売開始の60日前には消費者庁に届け出された情報がインターネットで公開され」、この点かと思っていますが、今の制度運用としては、適正な届出がなされた日、消費者庁で書類を頂いた日から、まず消費者庁でガイドラインと突合して不適正な表示でないかどうかというような確認もさせていただいて、不備指摘をさせていただくという形になっています。頂いた60日前の時点ですぐ消費者庁が確認をしてウェブサイトに載せているのかというと、今の運用実態はそうではありません。

ただ、先ほど御説明させていただいたように、個別に確認をして、その上で問題がないというお知らせを事業者の方にするときに、届出番号というものを我々の方で事業者にお知らせします。実際に店頭で商品を売る場合は、容器包装にきちんと届出番号が付されていないと不適正になります。その意味では、実際にこの商品を量産して、そのときに容器包装に届出番号を付けるというような時間が今、現実に必要ですので、そういう意味で整理しますと、届け出ていただいた日からすぐに我々が確認を了してウェブサイトに載せられれば限りなく60日に近い期間ウェブサイトで公開されますが、いろいろな事前の確認というものを我々がしている関係で、その時間は60日から引く形で、結果ウェブサイトに載せる。その分、我々が確認で時間をかければかけるほど事前に消費者が販売前に見る時間というものは減りますが、ただ、実際は容器包装にちゃんと届出番号を付けて印刷するというような実務がくっ付いてきますので、その関係で、基本的には実際上60日程度の情報開示期間がとれている。それが現実かと思っています。

ただ、このような制度運営は、結果として60日程度の情報開示期間がとれているというだけであって、御指摘としては、制度としてきちんと一定期間、それが60日ということで、消費者に事前に判断いただく時間的猶予を与えることが必要ということであれば、またいろいろなことを消費者庁でも考えて、今後いろいろな検討をし、対応をしていきたいと思っています。

2点目、事後の監視等で、いろいろな問題点に対して指導に準ずることを消費者庁がした場合に、その実態を広く情報公開すべきという御指摘かと思いますが、この不備指摘というものもいろいろなものがありまして、将来的に本当に法律の指示、公表、命令、そういったものにつながる案件と、あとは直ちに是正をすれば不適正な状態が解消されるようなものがあります。事業者の方でも、事業者としての判断、考えがあって、そこは内々消費者庁とお話をしていく中で、問題としては、特にその後とりたてて指導等をしなくてもいいようなものを含めていろいろなものがありますので、一律に指導をしたという事実をもって公表するというのは、今のところ差し控えさせていただいています。なかなか事業者に与える影響等々を考えると難しいのではないかというのが現時点の考えです。

○河上委員長 阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 ただいまの事後監視によっての不備の事例があった場合のことに関連します。今回事後確認として行った研究レビューと買上調査による品質管理の現状についての結果より、まず届けられた研究レビューには不備のある研究レビューが多くあったとのこと、すなわち適切に科学的根拠が示されていないものがあったということになろうかと思います。

さらに、品質管理に関する調査結果によりますと、品質管理上に問題のある商品があったという結果でございます。この調査はわずか17件の商品にもかかわらず、このような結果であったということは、多くの商品に品質管理上の問題があるとも言えるのではないでしょうか。

これらの結果に対して、消費者庁は今の答弁にもありましたが、不適切なレビューに対して適正な研究レビューの記述例を公表した。また、不適切な品質管理については、届出資料の修正を求め、事後対応について検討するとのことでした。

このことは今後の対応としては有効的なことですけれども、科学的根拠が不十分なまま、また、不適切な品質管理によって製造された商品が健康に関与する成分としての効果、そして、安全性が担保されているとして、既に販売されていたという状況に変わりありません。それらの商品について消費者庁はどのようにお考えなのだろうか。特段措置されているというわけではないので、違反にはならないというお考えのことだと思いますけれども、お聞かせいただければと思います。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ただいまの御指摘についてでございます。

研究レビューについては、先ほど言いましたように、チェックリストのようなものを作って、公表して、個別の事業者の方々にそれを踏まえた対応をまず求めていると。その結果によっては、また改めて必要な指導というものを消費者庁ですることもあり得ると思っています。

あと、実際に分析なり買上げの関係で、不十分だと当方で判断した事業者には、更なる情報提供を求めています。それを踏まえた上で、また消費者庁としては必要な対応をとるということです。

委員が言われましたように、不十分なまま実際に販売されているという点につきましては、我々も同様の問題意識を持っていますので、まず今の制度の中でできることをきっちりやっていく。その中で、また必要があればそれに応じた対応をとるということを念頭に、まずは対応したいと思っています。

○阿久澤委員 ただいま御説明いただきましたが、この制度は届け出た内容の範囲で表示ができるとされているものだと思います。今回調査によって得られた結果は、届け出た内容の範囲外ですね。範囲を逸脱しての表示ということになるのではないでしょうか。こういったことは不適切な事実だと思うのですが、表示対策課としては不適切な事実をつかんだ時点でこれを疑義情報とはされていないのでしょうか。これが疑義情報であるのならば、それを更に確認していくのが通常のことだと思いますが、いかがでしょうか。

分析方法のところですが、制度として行政が再現できる分析方法に関する情報を再度提出させるとか、また、それに従って分析、監視、指導を行うということを前提にしているわけですので、それならばそれを満たさない届出を行った時点で、機能性表示食品としての表示は許されないのではないかと思います。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ただいまの御指摘についてでございます。

まず、この分析、買上げについて、本来入っているべき成分の規定量を上回ったり下回ったりという説明を先ほどしました。これについては、分析方法に不備がまず見られて、そのまま実施することができなかったと。一部、分析法について、こちらの方で修正をするなど補足をして実施した経緯があります。24ページにも書いています。その結果、下回っている、若しくは過剰に含まれているとなっていますので、まずは正しい分析方法について事業者に確認をしていますので、その結果を見た上で必要な対応をとりたいと思っています。

また、冒頭にありました研究レビューの件ですが、研究レビューについては、これはトータリティー・オブ・エビデンスと言われますが、基本は自己責任のもとで、いろいろなデータ、論文があります。それを総合的に評価、判断するというものでございまして、画一的といいますか、定量的な運用になかなかなじみにくいといったところもあります。その意味では、明確に線引きをして、ここから先はだめ、ここから先はいいと言いづらいというのも要素としてあります。ただ、我々としては、総合的に判断をした上で不備があるのではないかという点については、まずは事業者の適正に研究レビューを行う意識の醸成を優先しつつ、実際の個別の案件につきましては、個別の案件という形で対応することにしたいと思っています。法律なりガイドラインで定められた要件をクリアしていないとなれば、それは適正な届出とはなりませんので、そうなるのかどうかきちんと事実関係を確認した上で、委員から御発言のあった要件を満たしていないと判断されるものについては、そういうものと受け止めて対応することになると考えています。

○阿久澤委員 先ほども質問させていただいたように、現時点では要件を満たしていないとは受け取れないということでしょうか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今の御質問でございます。

現時点で断定的に判断するには、例えば届出方法一つとってみても、事業者がどういう形で分析なりをされたのか、そこが書類の不備でよく分からないという点等もありますので、そういう点につきまして、まずきちんと事実関係を確認した上でと思っています。その意味で、現状、明確に法律の要件を満たしていないとなれば、それは言葉を言い替えましたら法律違反となってしまいますので、そういうものだと我々が判断すればそのような対応をいたしますが、まだそのような判断に至っていないという形で御理解いただければと思います。

○阿久澤委員 でも、現時点では疑義があるわけですね。疑義があるものをそのまま商品として販売していることになります。それは問題であると私は感じております。

○河上委員長 では、長田委員、どうぞ。

○長田委員 今の阿久澤委員の御指摘のところ、私も本当にそう思います。21ページにエビデンス総体の評価の適正性の検証を行った結果、「十分に記述されていないものが多く、第三者がエビデンス総体の評価内容を十分に把握し、理解できるものは少なかった」とまで書いてあるようなものを、それぞれの事業者が、自己責任とはいえ科学的根拠に基づいて機能性を表示している食品として、現在も公開で431件のものが販売されている実態を考えたら、本当にそんなにのんびりとした対応でいいのかと非常に疑問に思います。こういうことが指摘されたものについて、具体的にその事業者さんに研究レビューのやり直しを求めていらっしゃるのか、それともどうなのかということも含めて、もう少し踏み込んで是非対応していただきたいと思います。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ただいまの御指摘でございます。

この研究レビューの面で、昨年度実際に検証事業をしました。その結果としては、そこに書かせていただいておりますように、まずは適正な研究レビューの記述例というものを公表して、事業者の方でまずは考えていただくということが基本になりますが、ただ、我々の方でも委員からいろいろな御発言がありました問題意識というものは共有をしていますので、その中で、個別の対応としていろいろなことは今後必要に応じてやるというスタンスです。個別にどの事業者にどういう対応をしたのかにつきましては、きちんとまだ事実関係の整理がついていない、いろいろなやり取りをやっている最中におきましては、個別の対応をどうしたという点につきましては、公開の御説明は差し控えさせていただければと思っています。繰り返しで恐縮です。

○河上委員長 池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

今の質問の延長になるのですが、非常にもどかしい印象を受けております。例えば資料1の21ページの研究レビューの検証で、第三者が評価、把握できない、「理解できるものは少なかった」と書いてあるのですが、51編の研究レビューを対象にして、そのうちの何件がこれでは不十分ではないかというような現時点の見極めをされているのか。

それから、個別の事業者名を出してくださいという趣旨ではなくて、届出をした事業者のうちの何社に対していつ頃連絡をして、いつ頃までにそれに対して回答なり補充なりを求めておられるのか、具体的な作業の流れが見えないのです。

同じことは、機能性関与成分の検証あるいは買上調査の検証、17件の中でも問題があるものが複数あるとあるのです。これはいつ、どの時点でそれが判明して、いつ頃何社に対してそれについての補充の裏付けを出せなどの要請をしているのか、それぞれについて時期と件数、いつ頃までにそれの結論を得ようとされているのかという具体的な流れを示していただかないと、全く我々では見えないのです。そこをお願いしたいと思います。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ただいまの御指摘でございます。

この検証事業に関連して、具体的な作業の流れが見えないという点でございますけれども、これにつきまして、やや繰り返しの説明で恐縮ですが、問題意識というものを我々は承知していまして、いろいろな対応を今、やってもいますし、考えてもいます。ただ、基本的には一定の事実関係の整理がついて、仮にこの食品表示法に基づく指示となれば、法律の規定に基づいて指示する案件について公表するとなっています。そういうフレームに従って対応をしたいと思っています。事実関係の確認等も含めていろいろなやり取りを我々の方でやるとしても、個別にその状況なりというものを今のところ公表はしていません。まずはいろいろなやり取りを率直に事業者とやらせていただいた上で、具体的な対応が必要なものについては、今の法令の規定にのっとって対応させていただければというところで、繰り返しの説明で恐縮ですが、以上でございます。

○河上委員長 現時点での運用状況について、ヒアリングを行っているということなのですけれども、そうなりますと、例えば具体的にこれくらいの商品についてこうなったということを今、示していただく必要は全くないわけでして、むしろ現在幾つぐらいの商品について、いつ頃こういう手続をとって、いつまでに報告を求めているというようなことについての情報をいただけないかというお話かと思いますが、いかがでしょうか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 申し訳ありません。一例で恐縮ですけれども、23ページに分析方法に関する検証ということで、4.今後の対応を御覧になっていただければ、我々の方で、この分析方法で「定性確認に関する分析法及び定量確認に関する届出情報が不十分な場合は、追加で資料を求めている」と書かせていただいています。その後、どういう手続をとるのかというお話になるのかもしれませんが、我々の資料を求めているという対応に対して、先方からどのようなものを出してくるのかどうかとか、すぐ我々としてクラリファイはできたと判断するのか、それとも何回かやり取りをさせていただく必要があるのかないのか、いろいろなケースがあろうかと思っています。

ただ、これも定性的な御説明で恐縮ですけれども、問題意識は我々の方も持っていますので、必要に応じていろいろなやり取りを届出をされている事業者とさせていただいた上で、仮に不備等があるとなれば、食品表示法に基づくものであればこの資料にも出ております指導や、指導で済まないと判断されれば指示及び公表、その指示に対して不十分な回答というものがあれば命令のような流れになりますので、スキームとしては法律に基づく実行確保というものがありますので、基本はそれに基づいた形でとなるわけですが、具体的に個別の案件がどうかとか、総じて今どれぐらいの数がそれぞれのステージにあるのかにつきましては、申し訳ございません。お答えを差し控えさせていただければと思っております。

○河上委員長 では、中原委員、その後、樋口委員、お願いします。

○中原委員 ただいま御議論のありましたこの制度の運用の問題とは別に、そもそもこの制度のよって立つ法的な基盤について、これは一昨年12月の消費者委員会の答申では附帯意見の8.に当たるものでございますが、この答申に至る過程の中で、法律を専門とする委員から当時かなり強い懸念が示されておりまして、届出制という人の権利・義務に関わる基本的な部分については、法律で定めるべきであると指摘されています。これは法治主義の大原則であり、憲法論と言ってよいものだと思います。もちろん細部については内閣府令やガイドラインで定めるということで結構だと思いますけれども、最も基本的なところについては法律で書くべきではないか。これは制度の中身に問題があるということとは別の問題でございまして、むしろこの制度を、健康食品市場をよりよい方向に持っていくための制度に育ててほしいという期待を込めた立場からも、しっかりとした法的な基盤の上に制度を構築してほしい、そこがぜい弱で曖昧なまま制度がスタートしてしまうのが非常に残念であると指摘されています。これについては実施後速やかに検討すべきとされていますし、消費者委員会としても常に意識し、問い続けなければならないと考えていますので、是非速やかに御検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○河上委員長 樋口委員、同じ問題ですか。

では、お願いします。

○樋口委員 同じ趣旨なのですが、中原委員からもお話がありましたけれども、附帯項目の8.の部分というのは実は運用に絡んでいるのではないかということを懸念しておりまして、今、確かにいろいろ検証事業等によって問題がかなりあるのではないかということが明らかになっていますが、その詳細についてはなかなか行政の御当局としては、是正指導等の内容を公表しにくい面もあるのかと思います。しかし、それは従来型の行政による指導というスタンスなのでそういうことが起きてくるわけでありまして、法律に明確に位置付け、行政処分をするということになれば要件は明らかなので、逆に指導という見えない形でのもの、指導が全く不要だと言うつもりはありません。細かい点の是正指導等は当然必要だとは思いますけれども、書類の不備等を正すというようなことはあってしかるべきです。そのためのガイドラインでして、届出をスムーズに行わせるためにそういう指導をいろいろ行っていくことについては異論はありませんが、その後、製品にばらつきがあるとか、いろいろ問題が出てきたときに法的ぜい弱性がありますと、国民にとって分かりやすい形での対応がしにくくなってしまうという点も懸念されるのではないかと思っております。

現在、非常に難しいお立場で運用について報告をしておられるのではないかと思いますけれども、私たちから言えば、法律に明確に位置付けられたところに従って、今日行政というのは行政処分を中心として、指導等についてはできるだけ法律に規定された範囲の中で明確にしていくということが、消費者のために分かりやすい制度になるのではないかという大きな流れもあります。そういう意味で、是非この8.のところを、中原委員のおっしゃったような点を考慮していただけるとよりスムーズな制度運用になるのではないかと思っております。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 先ほど頂きました御意見についてでございます。

この附帯意見の8.の点については、この答申を御議論されました平成26年の12月に、消費者委員会でも激論が交わされたというのはよく承知しています。先ほどの御説明でも申しましたように、届出そのものの規定は、ほかの法律の並びを見てみますと内閣府令、省令レベルでなく、法律で規定するのが一般的だというのも我々は事実としてはよく認識をしています。この点につきましては、制度の実質部分を内閣府令という法形式以下で規定したことによって制度上これが問題だということが明らかになれば、必要な検討をし、必要な措置を講じたいということを2年前の平成26年の12月にも当時の消費者庁から御答弁させていただいたということも承知しています。我々としても、冒頭説明したように現時点で直ちに食品表示法がこの根拠として不十分かどうかとなると、今、実際に運用しているということもあり、現実にそれが原因で本来制度の適正さが担保されていないとまでは考えていませんが、過去いろいろな御議論があり、いろいろな論点があるということもよく承知をしています。今、お二方の方から御発言がありました法的ぜい弱性につきましては、引き続き制度運用をするに際して、本当にこれでいいのかどうか、これが問題になっていないのかどうかという問題意識を持ちながら、また、制度の在り方については、別途消費者庁の方で節目節目に制度を見直しするようにという御提言もこれまで頂いていますので、その中でまたよく考えさせていただければと思っております。

これもストレートなお答えでなく、まだまどろっこしいとお思いになるかもしれませんが、現状ではこのような説明になろうかということで、御容赦をいただければと思います。

○河上委員長 では、蟹瀬委員、その後、大森委員、お願いします。

○蟹瀬委員 御説明ありがとうございます。

私からは2点質問と1点意見がございますが、基本的にこれだけ食品があふれている世の中で、消費者にとって選択基準を増やすという意味で機能性表示食品というものが出てきたのだと聞いております。機能性表示と言っている限りにおいて、消費者は間違いなくこれは健康にいいのだと理解をしていきます。その理解をするということに誤解を招かないようにいろいろやっていきましょうというのが今の時点だと思うのですが、まず、機能性と表示をするという意味において、食品を製造する現場において、GMPが「強く望まれる」とガイドラインに書いてあるのですが、あらゆる国でこのGMPは義務とされているところもたくさんあるのです。機能性とうたう限りにおいては、今、86%はGMPで出来上がっていますとおっしゃっています。ですが、14%が違うとしたら、これだけ膨大な食品がある中でかなりの数がそうではないということになってきますので、この辺を義務とできないだろうかというのが、私の1つ目の質問です。

36ページに書いてありますセカンドオピニオン事業、これを立ち上げましたと。これは大変大事なことだと思うのですが、セカンドオピニオン事業に関して、これが新規事業として立ち上がってくる。今後この団体はどのぐらいの持続性があり、どのぐらいの方々を考えていらっしゃるのか。それから、どのぐらいのここの意見が生かされてくるのか。その辺の今の時点で考えていらっしゃることをお聞きしたいというのが2点目の質問です。

3点目ですが、19ページ、20ページに、機能性表示食品制度に関する消費者意向の調査結果が出ております。この中で非常に荒っぽく「名前を聞いたことはあるが、どのようなものか知らない」と「どのようなものか知っている」ということを両方一緒にして、知っていると評価がされていることに、私はこれは正しい調査ですかと聞きたいのです。どのようなものか知っているということがあって初めて知っていると言わなければいけないのではないかと思います。まだ1年半しかたっておりませんので、ほとんどの方が知らないという前提で申し上げているとするならば、私はこの機能性表示食品はこういった過程で作られています、こういうことです、ということが明確に消費者に伝わっていかなければいけないと思っていますので、この辺の広報あるいは消費者に対するお知らせみたいなものがもっと強化されていく必要があるのでないかというのが私の意見でございます。

以上3つです。

○河上委員長 大森委員は何か付け加えることはありますか。

○大森委員 私からも3点ほど意見と質問です。

まず1点目ですけれども、機能性表示食品に関しては、消費者委員会の方にも消費者団体からいろいろ御質問や御意見を頂いております。消費者庁にも同じものが行っていると思うのですけれども、貴重な御意見なので、きっちり対応していただいて、きちんとお返事していただきたいと思っています。消費者庁というのは、消費者との信頼というものが何よりも大切な庁だと思っています。消費者庁と消費者が手を携えると、世の中がどんどん良くなっていくと思いますので、よろしくお願いします。

2点目なのですけれども、特定保健用食品が導入されるときに、「いわゆる健康食品」の被害を無くす、「いわゆる健康食品」といういい加減なものを市場から締め出すのが目的であったと聞いております。この特定保健用食品が出てから以降、そういう健康被害が減っているのか、そういう怪しげな「いわゆる健康食品」が市場から排除されたのか、その辺を一度きっちり調べていただきたいと思います。

3点目なのですけれども、この食品の表示というもの自体、消費者にとって分かりやすいツールになっているのかどうかということなのです。例えば服を買うときに、繊維の表示を見るとウール何%、アクリル何%で値段が幾らと非常に分かりやすいです。食品の場合は、加工食品と生鮮食品でルールが違って、その上、栄養機能食品というものもビタミン、ミネラルだけなのに、ほかの栄養素を全面にアピールして、あたかもこれが健康にいいというような商品も見受けられます。私どもの母やおばぐらいになりますと、人形マークを見ると消費者庁が推している体にいい食品だということで、割高な商品を買っています。それがおなかの調子のためにいいのか、体の疲れをとるのか、その辺まで判断できていないと思うのです。ここに加えて、機能性表示食品が市場に出る。これが果たして消費者にとって分かりやすい表示というものを担保できるのか、いたずらに市場の混乱を招くだけではないか。一消費者として、表示というのはお金を使うときの唯一の判断なので、その辺を分かりやすいものにしていただきたいと思います。

○河上委員長 では、お願いします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 それでは、ただいまところの御意見、御発言に対して、お答えできるところをお答えさせていただきます。

まず、GMPについて、「強く望まれる」ではなくて、義務とすべきではないかという点ですが、その点については、同様の御意見というのは多方面から我々消費者庁にも頂いていますので、実際にいろいろな検討をする際には、その点について論点の一つになるだろうと考えています。実際に本当に義務付けできるのかどうか、するかどうかというのはまたいろいろな状況を見て最終的に判断すべきとは思っていますが、今の御指摘も制度の改善に関連する主要な意見の一つということをきちんと認識をして今後の検討で対応していきたいと思っています。

この資料の19ページ、20ページの中で、制度を知っているという中で、「どのようなものか知っている」と「名前を聞いたことはあるが、どのようなものか知らない」を2つくくるのは誤解を招くのではないかという御指摘については、確かにそういう御指摘もなるほどというところはございますので、この調査結果自体は世の中にもう出していますが、今後また消費者の意向等を調査するに当たり、今の御指摘というものを踏まえて整理の方はやっていきたいと思っています。

続けて当課の方から御説明をさせていただきますけれども、消費者庁と消費者団体が手を携えていくと大分世の中的にも良くなるのではないかという点につきましては、そのとおりだと思っています。消費者庁もまだまだ不十分というお叱りは受けるかもしれませんけれども、いろいろな形で外にも出て、外部の率直な声というものもできるだけ聞いて、それを行政に反映したいと思っています。本日、この場で出ました様々な意見もそうですけれども、消費者目線というものを忘れずに、今後とも検討をしていきたいと思っています。

特保導入以降に健康被害がなくなったのかどうか、そういう点も含めて一度調べてほしいという御意見につきましては、基本、この特保にしても機能性表示食品にしても、健康食品市場の健全化というものは大きな狙いの一つなのだろうと思っています。今、エビデンスに基づかないそのような広告も含めていろいろな商品がある中で、エビデンスベーストのものにできるだけ制度としてそれを認めて寄せていくというのが一つの大きな役割だと思っています。どのような形で調査ができるのかというのはこの場では明確にお答えはできませんけれども、本来的にそういうものを狙い、目的としてできた制度ですので、可能な限りそういう形できちんとした裏付けがとれるように、消費者庁としても考えていきたいと思っています。

食品表示が分かりやすいかどうかという点につきましては、消費者庁として当然制度の分かりやすさも重要な要素の一つになりますので、それを目指すという意味では、思いは同じでございます。ただ、現実に本当に今の制度が分かりやすいのかどうかとなると、いろいろな御意見もあろうかと思っておりますので、その点につきましてもまた率直にいろいろな関係の方々の御意見を頂きながら、今後もいろいろな機会を見て制度の検討ということもあろうかと思っています。また、その中にフィードバックをさせて対応していきたいと思っています。

○河上委員長 予定した時間を過ぎてしまいましたので、手短にお願いします。

○消費者庁三上表示対策課食品表示対策室長 セカンドオピニオン事業の御質問を受けたところでございます。

セカンドオピニオン事業は、ここに書いてありますように、個別事案に応じて各専門分野の専門家にレビューをしていただくということでございます。例えば、どういうものがあるのかというのが、29ページ、30ページの景品表示法の事件調査の例です。ここにありますように、ピンク色の四角括弧で掲げられていますように、「裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであった」というような形でアウトプットとして活用するように考えているところでございます。

また、36ページにあるのでございますが、このセカンドオピニオン事業で得ました科学的な検証につきましては、栄養研のデータベースのところに反映させていただくことにいたしておりまして、それを事業者の皆さんや消費者の皆さんが見ることで、こうした健康を標ぼうする食品の素材について、正しい認識が得られるような仕組みにさせていただきたいと思っておるところでございます。これは今年の事業でございますが、来年に向けても拡充できないかなということで、今、財務省と調整させていただいているところでございます。

○河上委員長 それでは、この辺りにしたいと思います。

この機能性表示食品という制度、これは特保と並ぶ形で出来上がったわけですが、特保には時間がかかるとか、いろいろな壁があって、機能性表示食品を自分たちの責任でやりたいという強い業界の要望というもので導入が決まったわけです。けれども、その制度そのものの信頼が崩れれば、これには意味がないということになります。いかがわしい健康食品を市場から排除するためのこの制度が機能しないということになったのでは、せっかく導入したこの制度が結果的には奇妙な食品をそのまま市場に出して消費者を誤認させてしまうということになりかねない。先ほど来、委員の間からもいろいろ出ていましたけれども、やはり届出に不十分なところがあるのであれば、その届出が受理されてから60日がきちんと確保できるように配慮するということは絶対に必要なことだろうと思います。

それ以外にも、GMPの義務化の問題もありましたけれども、現に疑義情報があって、その表示値を下回っているということであれば、これはもう食品表示法に違反しているわけです。さらに、過剰に摂取されている可能性があるとなると、これまた健康に被害が及ぶ可能性があるということは明らかなわけでして、こういうときに届出番号が既に与えられて市場に物があるということ自体、憂慮をすべき事態だと思います。

その意味では、委員会として、これまで懸念していた幾つかの条件に関して事後チェック機能がうまく働いているのかどうかという点について、疑問を禁じ得ません。消費者庁としては、制度運用開始から2年をめどに問題点があれば制度見直しを検討するということが言われているわけでありますが、事後チェックが必ずしも機能していないのであるとしますと、これは消費者の利益につながらないわけであり、またいろいろと問題が顕在化しているという現状を考えますと、速やかに体制整備も含めて見直しが行われるよう希望したいと思います。

委員会としても、更に今日の御報告を踏まえて、問題点を検討する機会を持ちたいと思いますけれども、消費者庁におかれましても、できるだけ速やかにこの問題点に対して対応ができるように検討を進めていただきたいと思います。

いろいろと厳しい意見も出ましたけれども、この制度がうまくいくようにということが我々の願いでありますので、消費者庁にも引き続き頑張っていただければと思います。

今日は本当にどうもありがとうございました。

(消費者庁退席)

≪3.オンラインゲームに関する消費者問題について≫

○河上委員長 さて、ちょっと押しておりますけれども、次の議題は「オンラインゲームに関する消費者問題について」であります。

国民生活センターによりますと、平成27年度にオンラインゲームに関して、PIO-NETに登録された相談件数は4,300件となっております。相談の内訳を見ますと、スマホゲームに関するものが中心となっているということや、スマホゲームに関する高額課金などについては社会的な関心も高いと思われるところでございます。こうしたことから、当委員会ではスマホゲームに着目することにして、スマホゲームに関する消費者問題について調査を行うとともに、本会議において、三菱総合研究所や国民生活センターにお越しいただいて、スマホゲームの利用実態あるいはスマホゲームに関する相談内容などをお聞きしたところでございます。また、有識者の方にもお越しいただいて、スマホゲームの特徴や高額課金等の消費者問題についてお話を伺いました。

委員会では、調査の結果や本会議におけるヒアリングの結果などを踏まえまして、スマホゲームに関する消費者問題について、今後委員会として注視すべき観点について案を取りまとめることにいたしました。本日はこの観点の案について議論をいただきまして、できましたら取りまとめを行いたいと思います。

担当委員は大森委員、蟹瀬委員、長田委員でございますけれども、長田委員から、恐縮ですけれども、15分程度で御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○長田委員 よろしくお願いします。

資料2を御覧いただければと思います。

まず、検討の経緯につきまして、初めのところは委員長の御紹介がありましたので、直接的に注視すべき観点のところから御説明をさせていただきたいと思います。

まず、1ページです。

オンラインゲームの中で、特にスマホのゲームを今回は取り上げさせていただきました。このマル1からマル5まで書いてありますように、小さな子供から大人まで年齢を問わず利用が可能であり、時間や場所を選ばない。それから、ゲームの中で比較的簡単に課金される仕組みを持っている。スマホゲームで見られる電子くじは一般的に射幸性が高いと考えられている。位置情報を利用するなどスマートフォンの機能を利用したゲームがあるといった特徴がこのスマホゲームにはございます。

スマホゲームのように、まだまだ社会的に言えば技術の進歩に伴って登場した新しいサービスが、今後社会の中で定着していく過程において、その在り方については、事業者や事業者団体に加え、家庭、学校での教育を含む社会全体で考えていくことが重要と考えました。

また、サービスの提供方法やその利用の仕方などについても、今でも事業者などにおいては、引き続き、一層消費者の意見や相談に対して、全く対応していないというわけではないですけども、今後より誠実に対応していかれることが期待されるものです。

特に未成年者につきましては、没入感が高いなどの特徴がありますので、未成年者の健全な育成の観点から配慮されることが望まれるものです。

また、消費者においてもスマホゲームの特徴を理解した上で、ゲームを利用していくということも望ましいのではないかと考えています。

こうした考えのもと、消費者委員会からスマホゲームに関する消費者問題についての意見、注視すべき観点を表明したいと思います。私ども委員会は今後本観点を踏まえ、スマホゲームをめぐる消費者問題について注視をし、必要に応じて意見表明を検討することにしたいと思っています。

スマホゲームは技術の進歩に応じた新しい形態のものも生じること、これからどんどん変わっていくことが想定されますので、今後の消費者問題の状況等によっては、その他の点についても必要に応じて注視をしていきたいと考えております。

2ページを御覧ください。

現状、スマホゲームの背景ということになりますけれども、スマホゲームの利用が大分拡大をしているというところをまず御説明します。図1にありますように、スマートフォンの利用率は60.2%、特に20代の利用率が高くなっております。図2を御覧いただきますと、スマートフォン利用者のうち、スマホゲームで遊んだ経験者が約7割となっており、かつ、その次のページの図3を御覧ください。おおむね年齢が低くなるほど遊ぶ頻度が高いという傾向が見られています。

スマホゲームの利用実態を見てみますと、図4を御覧いただきたいのですけれども、スマホゲームで遊んだことがある人のうち、課金をしてお金を支払ったことがないと答えている人が7割を占めてはいます。ただ、その次のページ、図5を御覧ください。毎月のゲーム内のアイテムなどの支払額は、7割弱が1,500円未満。つまり3割の人が課金をしていて、その課金経験のうちの7割弱は1,500円未満なのですけれども、図6を見ますと、未成年者にとっても高額と思われるような金額を支払っているようなケースが現実にあります。

ゲーム1タイトル当たりの支払総額につきましては図7になりますけれども、過半数は1,500円未満ですが、10万円以上払っている人、100万円以上払っている人も見られます。

図8、スマホゲーム1週間当たりの利用頻度、1週間当たりでも約7割の人が毎日若しくはほとんど毎日スマホゲームを利用しています。

図9、1日当たり利用時間も、1日当たり1時間以上遊んでいる人が約3割ということで、スマホゲームがかなり我々の暮らしの中で利用されているということが分かると思います。

6ページを御覧ください。

オンラインゲームに関する相談のところです。これは図10の国民生活センターのデータを見ていただきますと、PIO-NETに登録された相談件数は2012年度をピークに減少傾向にはございます。国センからの注意喚起、事業者の取組などにより、相談件数が減少したことが考えられるということでした。

7ページ、図11、オンラインゲームに関する相談のうち、契約当事者が未成年者となっている割合は2013年度をピークに減少傾向にありますけれども、2015年度においても36.2%となっています。消費生活相談における未成年者の割合が、ほかのもので3%前後、普通では3%前後であることを踏まえますと、オンラインゲームに関する相談は、未成年者の割合が非常に高い傾向であると言えます。

また、平均契約購入金額ですけれども、図12を見ていただきますと、PIO-NETに登録された相談で2015年度の平均購入金額は、契約当事者が未成年者の場合32.5万円であり、成年者の場合は33万円となっております。また、次ページですけれども、図13のとおり、10万円以上購入した人の割合は、未成年者は56.7%であり、成年者よりは高くなっております。

8ページ、図14の支払方法を御覧いただきたいのですけれども、未成年者の契約当事者の67.5%がクレジットカードなどによるものであるのに対し、成年者の場合はプリペイドカードなどによるものが65.7%になっております。図15のとおり、未成年者、成年者を問わず、販売信用による支払いの場合の方が契約購入金額が高い傾向が見られています。

9ページを御覧ください。

オンラインゲームに関する相談事例ですが、契約当事者が未成年の場合、スマートフォン等にクレジットカードの情報が残っており、保護者などに無断で使ってしまったというものが見られます。契約者が成年者の場合、期間限定で入手できるキャラクターが恒常的に入手できるものになったので救済措置を求めたというものや、お金を支払って入手したキャラクターについて、運営会社に一方的に能力を下げられたといった相談が見られました。

以上のことを踏まえて、消費者委員会として今後注視すべき観点を取りまとめました。10ページ、観点としては、3点挙げています。

1つ目は「消費者が安心して利用できる適正な環境」、2つ目は「スマホゲームの電子くじの射幸性」、3つ目は「未成年者における高額課金」としています。

まず、「消費者が安心して利用できる適正な環境」です。

注視すべき具体的観点としては、最初に適正な表示です。アイテム等の出現率やアイテム等を取得するまでの推定金額については、利用者に適切に情報提供されることが望ましいと考えます。

また、アイテムなどの適正な出現率については、極めて低い確率に設定した場合、利用者がそのことを認識できないような形で電子くじを引かせることは消費者保護の観点から問題になり得ると考えられます。

事業者が合理的な理由なく恣意的に出現率を変え、利用者がそのことを認識できないような形で提供することは、消費者保護の観点から問題になり得ると考えられます。

フリーミアムモデルのように、ゲームを進行させていく上で課金が発生し得るゲームについては、適切な場面において利用者に認識できるような形で表示することが望ましいと考えます。

スマホゲームは未成年者にも利用可能なサービスであるため、表示方法や表示内容について未成年者にも理解できるよう分かりやすいものとすること。また、スマホゲームには性的、暴力的な表現など、未成年者に与える影響を考慮する必要があると考えられる内容を含むものも想定されるため、ゲームのダウンロードの際に、スマホゲームの内容が分かるような表示とすることが望ましいと考えます。

次に11ページ、ガイドラインの策定等の事業者等の自主的取組です。

スマホゲームについて、事業者団体によるガイドラインの策定など、消費者保護のための自主的な取組が見られます。これらの取組は、事業者等が自主的に取り組むものですが、各事業者等においてガイドラインを尊重し、その内容を遵守することが望まれます。事業者等の自主的な取組によるスマホゲーム市場の適正化の観点からは、事業者団体への加入の促進や、その取組内容の普及が望まれます。

次は、スマホゲームの電子くじと賭博罪との関係です。

刑法における「賭博」とは、「偶然の勝敗により財物や財産上の利益の得喪を争う行為」となります。「財産上の利益」とは、財物以外の財産的利益の一切をいいます。また、一般に、刑法上の財物や財産上の利益該当性については、客観的価値に加え、主観的な使用価値等も含まれると解されております。なお、「賭博」に当たる場合であっても、「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」は、違法性は阻却されます。

これらを踏まえますと、一般論として、スマホゲームで見られる電子くじは、専らゲームのプログラムによって排出されるアイテム等が決定されることからすれば、上記「賭博」に言う「偶然性」の要因を満たしていると考えられます。また、有償で入手したオンラインゲーム内のアイテムを詐取した事案につき詐欺罪の成立を認めた下級審判決があることなどからすれば、アイテム等については「財産上の利益」に当たる場合もあり得るところです。

実際に電子くじが賭博罪に該当するか否かについては、事案ごとに判断されるものですが、電子くじで得られたアイテム等を換金するシステムを事業者が提供しているような場合や利用者が換金を目的としてゲームを利用する場合は、「財産上の利益」に該当する可能性があり、ひいては賭博罪に該当する可能性が高くなると考えられます。

スマホゲームに関わる事業者は、アイテム等の転売等の換金を規約等において禁止しているものも見られますが、引き続き、事業者、消費者ともにこうした観点を踏まえて行動することが望ましいと考えます。

次は、「スマホゲームの電子くじの射幸性」です。

まず、注視する理由です。スマホゲームで見られる電子くじは、消費者にとって、ゲームを有利に進めることができる、レア度が高いなど、獲得意欲を生じさせ得るアイテム等をくじの対象とした上で、スマホゲームのプログラムという、消費者にとっては全くの偶然性によって排出されるアイテム等が決定されるといった特徴があり、一般的に射幸性が高いものと考えられます。

射幸性に関する営業については、いわゆる風営法が、善良の風俗の保持と清浄な風俗環境の保持及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止といった法の目的を踏まえ、射幸心をそそるおそれのあるものを同法の対象営業としておりますが、その対象となるのは、射幸性に加え、その営業が物理的設備を設けて行われるものであるとされております。

風営法は、こうした営業につき、許可制をとるなどして、これを適法な営業としています。ただし、こうした営業であっても年少者を営業所に客として立ち入らせることは禁止しています。

なお、現時点においては、スマホゲームの利用による法の目的にあるような悪影響が顕著ではないとは思いますが、スマホゲームについては、パチンコ等とは異なり、物理的設備を設けて行われるものではないことから、現行の風営法の規制の対象とはならないと考えられます。

注視すべき具体的観点については、スマホゲームの利用を要因とするトラブルの動向について、社会的悪影響が生じていないかどうか、今後の動向が重要となります。

具体的には、スマホゲームに課金するための金銭を得ることを目的とした恐喝、窃盗、親族名義のクレジットカードの不正利用の多発等、社会的悪影響が増加していないかについて注視をします。

最後は、「未成年者における高額課金」です。

まず、注視する理由ですが、スマホゲームに関わる課金は成年者でも見られますが、スマホゲームは基本的には年齢制限がないため、利用者には未成年者も含まれており、未成年者の高額課金事案も見られます。

未成年者については一般的に年齢が低年齢であれば、ゲームへの没入感が高い、未成年者は成年者と比し判断能力が十分であるとは言えない、未成年者のうち中学生以下の者が自由に使える金額は主に小遣い程度といった状況があります。したがって、特に未成年者については、スマホゲームに関する高額課金の消費者被害から保護することが必要であると考えられます。

また、未成年者の高額課金については、未成年者を一律に考えるのではなく、年齢により高額と思われる金額が異なることに配慮することも重要と考えられます。さらに、高額課金をする未成年者と、課金をしない、又は低額しか課金しない未成年者の状況を比較・検証するなど、未成年者をめぐる高額課金の実態を把握することも重要です。

注視すべき具体的観点としては、高額課金に関わる相談件数の増減、高額課金となっている要因、その背景等を見ていきたいと考えております。

以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの説明の内容について、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 ありがとうございました。

この案について特にこうしてほしいということではなく、消費生活相談の中で感じていることから3点、ここであえて発言させていただきたいと思います。

まず1点ですけれども、事業者団体の一定の取組については評価したいと思います。ただ、業界自体がまだ一定数しか加盟していないとか、複数の業界団体があるなどという問題があって、それらについて今後も取り組んでいく必要がある。反対に言えば、消費者サイドがもっと注意深く付き合っていかなければいけないということだと思いますので、引き続き、消費者サイドに対し、現状はこうなっていますということを周知徹底していく必要があると思います。特に親に関して言えば、クレジットカード番号を入力するということがどういう意味合いを持つのかということについても、あらゆる場面で教えていってほしいということです。

2点目ですけれども、賭博罪や射幸性などという問題についてです。「財産上の利益」かどうかということについては、それはイコール金銭かという話で、このアイテムが金銭ではないということですが、ただ、今後仮想通貨が財産ではないのかという議論とも通じるのではないかと思うのです。それから、物理的な条件がなければ風営法の要件にならないということも含めて、リアルとネットが非常に近接していて、これからの状況を考えれば、そういう部分についても、要件を変える必要性も出てくるということを踏まえて今後見ていく必要があるのではないかと考えます。

3点目ですけれども、現状、未成年者の利用の仕方がお小遣い程度であることが多いという状況かもしれませんが、高額な商品を1回買うだけではなくて、毎月継続して2,000円とか3,000円を使うということは、それはお小遣いの範囲なのか。例えば、お小遣いが2,000円、3,000円の人が全額毎月それに使ってしまうということが、許されたお小遣いの範囲かどうかとなると、非常に疑問を感じるということをお伝えしておきたいと思います。

以上です。

○河上委員長 特に意見の修正は必要ないですね。

○増田委員 ありません。

○河上委員長 ほかにいかがですか。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 本日のこの意見としては、記載された中身で出すということで、これ自体の修正を求める趣旨ではありませんが、現時点で特に未成年者等の相談件数がやや減少傾向にある。その意味で、社会的な悪影響というものが現時点では顕著だとはなかなか言いにくいということもあって、直ちに措置を講じようというのではなくて、もうしばらく注視しようというのが今回の結論であろうと思うのです。ただ、着眼点の中で少し補足をさせていただきたいと思います。

12ページで、「スマホゲームの電子くじの射幸性」というところ、それから「未成年者における高額課金」という辺りのところですが、風営法では、目に見える要件として、射幸心をそそるおそれのあるもので、物理的設備を設けて行われるものです。スマホゲームは物理的設備がない、いわば自宅でもベッドの中でも電車の中でもどこでもやれるという意味では無限の広がりがある。私などは、むしろだからこそいっそ射幸心をそそるおそれという要件は広く解して、一段広めに対象にすべきだと思うのですが、物理的設備ではないということと、見えざる要件として、法の目的からすると社会的な悪影響があるから規制するのだという実質的な要件があるとされています。その点が今回は見送りになったポイントだと理解しています。

そうだとすると、実はこの論点は、未成年者の高額課金の問題とか、前のページの電子くじのアイテムの換金市場の問題に関係します。事業者そのものが規約で規制するだけではなくて、現実にネット上で換金が横行しているような事情があるか、そういう全体像を見て社会的悪影響が出てきた場合には、法的な措置が必要になる問題なのだと思います。そうならないようにするためには、事業者がきちんと自主的な規制をする、個々の事業者だけではなくネット全体の環境としてルールを作っていくこと、あるいは社会全体としてもスマホゲームに対する対応の仕方を啓発していくこと、そういうことをきちんとやってトラブルを最小化していくことが必要なのだろうと思います。そういう観点で、もうしばらくこれは注視していきたいと考えます。

以上です。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、特にこれ以上御意見がないということでしたら、原案どおり注視すべき観点ということで意見を取りまとめたいと思います。

オンラインゲームに関する相談件数については、国民生活センターによりますと、ゲーム事業者の取組や国民生活センターからの注意喚起などによって幾分減少していると考えられるということでありましたけれども、冒頭申し上げましたとおり、平成27年度においても約4,300件の相談が寄せられているのが現状であります。

また、スマホゲームは技術の進歩が早くて、今後新たな形態のゲームが出てくることも考えられます。

そのため、当委員会としては、今後このような観点を踏まえて、スマホゲームをめぐる消費者問題について注視をし、必要に応じて意見表明について検討してまいりたいと考えております。

この意見は、委員会としての問題意識をまとめたものでありますので、それ自体、どこかの官庁に向けて直接何かをしてくださいという趣旨のものではございませんけれども、関係官庁あるいは事業者団体、消費者の皆様におかれましても、是非こうした観点を参考にしていただいて、スマホゲームと適切な形で付き合っていただければと思う次第でございます。

それでは、これは意見として取りまとめを終えたいと思います。どうもありがとうございました。

≪4.その他≫

○河上委員長 さて、続きまして、議題「その他」といたしまして、去る8月27日に実施いたしました「消費者問題シンポジウム in 福岡」について、実施報告を事務局からお願いします。

○黒木事務局長 資料3を御覧ください。

平成28年8月27日に「消費者問題シンポジウム in 福岡」を、NPO法人消費者支援機構福岡との共催で開催をいたしました。その内容について概要を御報告いたします。

当日は、福岡県、福岡市をはじめ、近隣の市の消費者行政担当者の方、あるいは相談員の方々、消費者団体、弁護士、司法書士、事業者、一般消費者など、61名の参加をいただきました。

シンポジウムのテーマは、「消費者の選択に資する広告のあり方を考える」ということで行いまして、冒頭、共催団体でありますNPO法人消費者支援機構福岡の朝見理事長に開会の御挨拶をいただき、その後、河上委員長とNPO法人佐賀消費者フォーラムの岩本理事長に基調講演をいただきました。

その後、後半といたしまして、パネルディスカッションを実施いたしました。パネルディスカッションでは、「消費者の選択に資する広告のあり方を考える」というテーマで、コーディネーターを委員長にお務めいただきまして、パネリストとして増田委員に御参加をいただき、また、消費者庁からは東出審議官にも御参加をいただきました。開会挨拶をいただいた朝見理事長、基調講演をいただいた岩本理事長も併せて御出席をいただきまして、それぞれの取組、あるいは必要となる体制などについて討論を行いました。詳細については資料3を御覧ください。

また、河上委員長におかれましては、前日の8月26日に福岡県の人づくり・県民生活部の森部長、福岡市の井上市民局長を表敬訪問いただきました。

以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。

大変熱心に広告の問題について議論をしていただきました。このテーマは、消費者委員会のシンポジウムでは初めての試みで、広告について今後消費者がどういうスタンスでこれを考えていけばいいかということについての基本的な視点というものが得られたシンポジウムではなかったかと思います。後ほどホームページなどで議論の様子を公開いたしますので、参考にしていただければありがたいと思います。


≪5.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上でございます。

最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程や議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。

この後、委員間打合せを行いますので、委員におかれましては委員室にお集まりください。

なお、明日21日の午後4時ですけれども、報道機関の皆様を対象とした委員長記者会見を予定しておりますので、併せてお知らせさせていただきます。

○河上委員長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)