第178回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2014年12月2日(火)16:00~18:24

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、山本委員、唯根委員
【説明者】
消費者庁 竹田 食品表示企画課長
消費者庁 食品表示企画課担当者
【事務局】
黒木事務局長、井内審議官、大貫参事官、金児企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 機能性表示食品について
    消費者庁 竹田 食品表示企画課長
    消費者庁 食品表示企画課担当者
  3. 食品衛生法に係る答申書案について
  4. その他
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会第178回本会議」を開催いたします。

配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○大貫参事官 お配りしております資料ですが、議事次第の下にございます配付資料のとおりでございます。資料1が1-1と1-2に分かれておりますが、「機能性表示食品関連資料」、資料2「食品衛生法に係る答申書案」。資料3、特定保健用食品の答申書。資料4が「消費者問題シンポジウムin長野」の実施報告。参考資料1として、機能性表示食品の諮問。参考資料2が乳等府令に関する諮問。参考資料3が「委員間打合せの概要」でございます。不足の資料がございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。


≪2.機能性表示食品について≫

○河上委員長 それでは、最初の議題は、「機能性表示食品について」であります。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

本日は、11月4日の委員会で議論を行った機能性表示食品の制度に関しまして、2回目の審議を行います。11月4日の審議では、消費者庁から制度の全体像に関する説明を受けまして、質疑の結果、このような新しい制度をつくっていくことについては、おおむね了承ができるという結論に至ったところです。これを受けて、11月26日の食品表示部会で、諮問されております食品表示基準(案)について御審議いただいたということになります。

まず最初に、その結果につきまして、食品表示部会長である阿久澤委員から御報告をいただきたいと思います。

では、よろしくお願いいたします。

○阿久澤委員 それでは、11月26日の第35回食品表示部会での議論について報告いたします。

部会委員の皆さんには、事前に本会議における議論の内容について、議事録をお配りして内容を御確認いただいた上で、毎回長時間になってしまっているのですが、今回もこの件につきまして3時間半近くにわたり議論を行い、非常にたくさんの意見が出されました。部会で出された意見を分類し、発言順にお手元の資料1-2にまとめております。

今回の審議は、新たな機能性表示食品の制度を食品表示基準(案)に盛り込むための盛り込み方の条文についての審議を付託されたわけですが、制度の詳細部分については、現時点では、まだ作成されていない通知やガイドラインで規定されることになっています。そのため、審議対象の食品表示基準(案)だけでは制度の全体像が見えないこともあり、制度に関する意見・質問が多く出されました。諮問対象の食品表示基準(案)について、条文の記述に関しては、具体的にこのような修正が必要という議論はありませんでした。

部会で出された主な意見について、資料1-2をもとに御紹介いたします。

まず、審議に関する枠組みに関する御意見です。上から順に要約するような形で報告させていただきます。

通知・ガイドラインで規定される事項が多く、食品表示基準(案)だけでは制度がどのように実現されるのか確認できない。

2点目が、パブリックコメントで出された全ての意見を審議の場に示すべき。

3点目が、規制緩和する必要を具体的に示す資料を示してほしい。

次に、具体的な制度の運用に関する御意見です。

違反が明らかになった場合は、消費者がさらなる被害を受けないよう、名前の公表を行ってほしい。

次に、制度開始時の受付体制を十分整備してほしい。

被害情報の収集について、ホットラインの検討が必要。

機能性表示食品制度について、国際社会にも理解してもらうことが重要。

現在も、栄養機能食品、特定保健用食品を、多くの消費者が十分な理解がないまま利用している。消費者教育に力を注いでほしい。

このページの最後です。いわゆる健康食品について科学的根拠を明確にして届けることで、根拠の有効性を担保する面で安心できる制度、監視・指導体制を充実させていく必要がある。

次のページです。食品表示基準(案)には、安全性や機能性の定義を担保する方法が書かれていない。ガイドライン策定に当たっては、検討会報告書に書かれた内容を担保してほしい。

届出がされた際の形式的確認を実効あるものにするためには、適切な客観性を持った評価で対応する必要がある。できるだけ速やかにガイドライン等を策定し、企業に詳細を周知すべき。

次に、既存の栄養施策と連携させるための調整が必要。

次、機能性表示食品との違いを消費者に伝えてほしい。

次は、システマティックレビューを行った場合でも、有効性に関するエビデンスが弱い可能性があることを消費者に理解してもらう必要があると思う。

本制度は、いわゆる健康食品について有効性の確認できるものと、そうでないものに仕分けられる制度として期待できると思う。そのためには、明確な情報提供などが必要になると思う。

次のページです。機能性及び安全性について、個別審査を受けたものではありませんと書くべき。

次、今後の省庁協議の際、安全性のガイドラインについては、リスクアセスメントの立場から、食品安全委員会の意見を聴取してほしい。

消費者に誤認をさせないような義務表示事項をたくさん盛り込んでいる点は、大変評価できる。このまま義務表示事項は残す形で進めてほしい。

最後に、制度の実現の方法についての御意見です。

食品の安全性については、規格基準や添加物の指定、遺伝子組みかえ食品の審査制度など、内容に関する規制と表示に関する規制がセットになったものが多い。今回の制度は内容規制がなく、表示規制だけを先行させることで、安全上の問題をおろそかにしているおそれがある。

次、GMPを民間団体の認証であるから義務化しないと言われるが、法律上のGMP制度を導入すれば安全品質が保てる。そういった制度をもっと考えていただきたい。

次、機能性表示を突き詰めていくと、従来の食品の概念とはどんどん離れていく。食品・医薬品とは異なる第3のカテゴリーとして規制をすべきといった議論も本来は必要。

次、内容に関する国の関与が基本的にない届出という制度のもとで、届出後に科学的根拠がないことがわかった場合に、表示の撤回を求めることができるか疑問。

次のページになります。基本的に、法律上の制度として導入すべき。届出を受理する要件として、機能性の科学的根拠があることと言うが、形式審査である。制度設計の内容が実体なのか手続なのか、届出制度との整合性が納得できないので、現時点では表示制度として諮問に承認を出す時期ではないと思う。

次、サプリメントについての安全性を担保する制度が必要。GMP制度が推奨されているが、今回は義務化されておらず、安全の内容に関する規制についての手当てがされていないように思う。

次、本制度は、食品衛生法と食品表示基準だけであって、それ以外の内容規制的な法律がない。このことは重大な問題である。

次、システマティックレビューの形式審査をするということについて、レビューに巧拙があり得るとしたら、届出受理に関する行政訴訟が想定されるのではないか。

それと、その他の意見として2件記されております。

以上のように、基準(案)に具体的な不備があるので不適当とする意見は出されませんでしたが、一方、制度の実現の方法に関して異論があり、諮問された基準(案)に対して適切、適切でない、両方の意見があったため、部会では結論に至りませんでした。報告は以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、部会長代理である夏目委員からも何か補足がありましたら、お願いいたします。

○夏目委員 部会で発言された委員の意見は、今、報告があったとおりでございます。

この中で問題にされましたことは、法的な問題の検討がなされてこなかったということが指摘されております。ですから、そこのところをどうするかという議論がございました。基準(案)に具体的な不備があるので不適当という意見は出されなかったと、今、部会長のほうから御報告がございましたけれども、委員の中には、2条の15の定義そのものに疑義が生じているのではないかという御発言もございました。したがいまして、定義自体、もう少しやり直しが必要であるとするならば時間が足りないので、部会として、この審議についてイエス、ノーという判断はできかねるという御意見だったと思われます。

それから、委員の中で多く出ましたのは、安全性の担保をするのがガイドラインということになっておりますけれども、そのガイドラインの中身が今の段階では全く示されておりません。したがいまして、安全性という食品にとって非常に大事な観点のガイドラインが示されないままに、基準だけを審議するということについても、委員の中から非常に多くの異論が出てきたというのが事実でございます。

もう一つは、この制度を検討するときに、確かに厚労省、農水省、消費者庁が協議して進めていくことになっていたわけでございますけれども、委員の中にも御意見がありましたように、食品の安全性の評価という部分では内閣府に食品安全委員会がございます。これまでもトクホの審査に関する問題とか、そういう点では全て食品安全委員会がかかわってきたわけでございますので、この機能性表示食品を進めていくに当たりまして、ガイドラインの設定とか、あらゆる安全性については食品安全委員会が関与することが望ましいと、多くの委員から御発言がありましたし、私自身もそのように考えているところでございます。とりあえず以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

本日は、先日の委員会での議論、その後に行った委員間打合せの場で出された各委員の御意見を取り込む形で作成しました答申(案)を議論のたたき台として皆様の前に提出しております。この議論を行う前に、答申(案)の内容について、まず説明させていただきまして、その後、先ほどの部会での意見も加味する形で皆様から御発言を頂戴したいと考えております。

では、事務局から答申(案)について説明をお願いいたします。

○大貫参事官 それでは、資料1-1につきまして読み上げさせていただきます。記のところでございます。

食品表示法第4条第1項の規定により内閣府令で定める食品表示基準について、別添の諮問案のとおりとすることが適当である。

なお、食品の安全と消費者の商品の合理的選択の確保の観点から、構想されている新たな制度を万全のものとするため、消費者委員会としての問題意識を別紙にまとめ、付帯意見として付す。

1ページめくっていただきまして「別紙」でございます。

新制度が、事業者が自己認証により当該食品に機能性があることを確認し消費者庁に届け出る制度であることに鑑み、届出内容が事実と異なる場合の対応方法や、消費者の安全性の担保が重要な課題となる。この点、届出がなされた場合には、当該食品に機能性があると事業者が結論づけた根拠も含め、販売開始の60日前には消費者庁に届け出された情報がインターネットで公開され、誰でも内容を確認できる制度であることや、行政が市場から製品を購入し、実際の製品に届出内容どおりの関与成分が正しく含まれているかを検査する体制を検討していること、また、万が一、事故が起こった場合に備え、届出事業者に消費者庁への事故情報の報告義務を課すこととなっている点など、評価できる点も多く、加えて、このような制度を設けることは、一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会の確保につながるため、本委員会として、本制度の創設は基本的に望ましいものと判断した。

一方、制度の実現にあたっては、今後消費者庁が策定を予定している通知やガイドラインにおいて規定されるべき事項も多く、今回の審議において具体的に確認できていない。そこで本制度の策定にあたっては、以下の実現に留意しつつ検討されることを期待するものである。

なお、特保制度との関係・整序などの根本的な問題やいわゆる健康食品や特保を含めた広告の問題については、さらに消費者委員会として、引き続き検討を加える所存である。

  1. 施行通知やガイドラインの策定にあたっては、「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会報告書」のうち食品表示基準に記載されていない事項が全て網羅され、消費者の安全が必ず確保されるよう、慎重に内容を検討されること。
  2. 食品の性格上、安全性の徹底は極めて重要であり、安全性に問題がある場合は、早急に厳格な行政処分や罰則が科されるよう、所管省庁において定員・予算を含め十分な執行体制が構築されること。
  3. 届出後、当該食品の機能性に十分な科学的根拠がないことが判明した場合には、食品表示法に基づく指導、命令を通じた回収が速やかに実施されるよう、所管省庁において定員・予算を含め、十分な執行体制が構築されること。
  4. 機能性表示食品の新たな制度が実現することで、現在「いわゆる健康食品」として一括して取り扱われている製品群のなかから、科学的根拠に基づく機能性を表示した製品群が消費者に選択されることによって、科学的根拠のない製品群が市場から淘汰されることを強く期待したい。このためには、容器包装への表示のみならず、科学的枝拠の無いイメージ広告等に対する景品表示法や健康増進法に基づく行政処分をより強化すべきであり、そのため、所管省庁において定員・予算を含め十分な執行体制が構築されること。
  5. この制度をより堅固なものとするには、次の義務及び権限についての法的基盤について、機会をとらえてすみやかに補強・整備すべきである。マル1食品の機能性表示を行う事業者は、科学的根拠を証する情報を含む所定事項を消費者庁長官に届け出なければならないという、事業者の義務。マル2科学的根拠を証明せずに、又は消費者庁長官に対する届出をせずに食品の機能性表示を行う事業者に対し、行政処分を行う権限。

以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。

部会においても、それからここの本会議、そして委員間打合せの場においても、今回の新しい制度を前提とした表示のあり方についての諮問については、いろいろな疑念、疑問、御意見がかなりたくさんあったということでありまして、このまま答申の内容について無条件で適当であるということは、およそふさわくないだろうという判断をいたしまして、ここに追加の形で付帯条件というのを整理させていただきました。

先ほどの部会での御意見、非常に熱心な御討論の成果も披露していただきましたので、それも含めて、ただいまの原案、皆様には一応事前にお配りして見ていただいているわけですけれども、皆様からもございましたら、ここで意見を御披露いただいて、消費者委員会としての問題意識をより鮮明な形であらわしたいと思います。どうぞ、忌憚のない御発言をお願いしたいと思います。

では、よろしくお願いします。いかがでしょうか。石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 まず、答申の案というのは、いろいろ議論した結果、こういう案でどうだろうかというのが出てくると思うのですけれども、前回、11月4日に本会議をやりまして、今日、いきなり答申の案から議論するというのは、ちょっと手順としておかしいのではないかと思います。まず、議論した上で、どういう案がいいのかということを手順としていくべきだ。答申(案)を議論する前に、せっかく消費者庁のほうがいらしているので、それについて何かしらのやりとりがあって、それを受けて議論して答申の案の議論になるのかなと思っていたんですが、どういう議論の仕方になるのか。消費者庁はいらしていただいているわけですが、どういう段取りなのか、よくわからないです。

○河上委員長 これまでの委員間での問題意識というものを文章としてまとめて、それを付帯意見として付する形にしようかというところまでは、委員間で合意しておりましたので、それを私のほうでまとめさせていただきました。まとめるに当たって、こういう付帯意見を出すことになりますよということは、消費者庁にはお話をして、消費者庁の御意見も伺ってきた部分もございます。

今日は、むしろ我々の意見交換だけではなかなか明らかでなかったこともございますので、消費者庁にも同席いただきました。消費者庁に対して質問していただいても結構でございます。どうぞ。

○石戸谷委員長代理 では、せっかく来ていただいているので、まず質問させていただきたいと思います。

部会のほうの議事録を拝見しましたが、そこでも薬事法との関係がはっきりしないということが意見として出たと思うのですけれども、今回の機能性表示食品と薬事法の関係というのは整理されたのでしょうか。

○河上委員長 竹田課長、どうぞ。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 基本的には、各制度間に齟齬ができてはいけないということでございますので、現時点で結論を得ているものではありませんけれども、厚生労働省の薬事法の解釈と、それから私どもが今回規格をつくっている機能性表示制度について、齟齬がないようにこれから最終の調整をするということで、厚労省と作業を進める予定になっております。

○石戸谷委員長代理 要するに、今の段階でははっきりしないということになるわけですかね。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 今の段階で厚生労働省が薬事法の解釈はこうですということを表明できる段階ではございませんけれども、この制度が施行されるまでには、薬事法の世界と機能性表示制度の世界で矛盾がないように調整して、その上で制度をスタートさせるということでございます。

○河上委員長 どうぞ。

○石戸谷委員長代理 薬事法の違反については罰則があるわけでありまして、罰則については構成要件の明確性が要求されるというのは大原則だと思うのですけれども、その薬事法に違反するかしないかというときに、消費者庁のほうで今回つくられた機能性表示食品が違反のところから除かれてくるという考え方でよろしいのでしょうか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 これは、さきの検討会の中でも厚生労働省の担当課長から御説明がありましたけれども、基本的には、今回、部位ということにとても焦点が集まりましたので、部位について言及する。それから、その表示の内容が健康の維持・増進の範囲であると。つまり、健康状態にあるけれども、それが維持されるとか、より良い状態になるという表現であれば、直ちに薬事法との関係は生じませんということが厚労省の担当課長から検討会の場で御発言なされております。

そういった発言をベースに、最後の詰めの作業になりますけれども、制度が走るときには、薬事法とこの制度で齟齬がないように、つまり、この制度で適法に機能性を表示するものについては、薬事法には抵触しないということを明確にするよう、これから両省庁間で調整していくということを考えております。

○石戸谷委員長代理 今の御説明ですと、一般的な話だと思うのですよ。この機能性表示制度に乗ってくる表示を言っているのか、それとも特定部位あるいは一般的な健康増進という、この届出をしない場合でも、そういう表現も含めてオーケーだという解釈になるのかがはっきりしないので、そこをお尋ねしているわけです。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 これは本来、私から申し上げるべきことではないと思いますけれども、この機能性表示制度に乗った上で機能性を表示するということについては、エビデンスがある限りにおいて、薬事法に抵触するものではないという趣旨が厚労省の課長の御発言、御説明でしたので、そのラインで調整するということでございます。したがって、この制度の外にそれを広げていくということではないと理解しております。

○石戸谷委員長代理 そうしますと、薬事法違反については罰則の適用があるのだけれども、届出制に乗ってきたものについては適用されない。しかし、その届出制で乗ってくる機能性表示食品というものは、法律それ自体に書いてあるわけではない。政令を見ても出てこない。府令を見てもばくっとした定義が書いてあるだけである。そうしますと、さらにその中身というのはガイドラインを見ていかなければわからない。そういうことで、果たして構成要件の明確性というものに答えられているのかという疑問があるので、先ほどからお尋ねしているわけです。いかがですか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 御指摘の趣旨ですと、現在、機能性を表示している、いわゆるトクホ、栄養機能食品というものの並びで、この第3次案での機能性表示食品を取り扱うということでございますので、その点において、今回、これを追加するということで明確性が欠けるということにはならないのではないかと我々、理解しています。ただ、いずれにせよ、薬事法の所管ではございませんので、そこについて責任を持ってお答えする立場にありませんけれども、そのような懸念がないように、我々、厚生労働省とこれからきちんと調整して、最後のセットをしていきたいと思っています。

○河上委員長 石戸谷委員、よろしいですか。もし、ほかの関係で何かほかの委員の方から御質問なり、御意見なりがあれば、お願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。竹田課長。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 あと、補足になりますけれども、部位に触れないということだけではなくて、以前も申し上げましたけれども、痛みがやわらぐとか花粉症が気になる方へとか、そういう疾病名に触れるのは薬事法違反になりますので、当然そういうことはできないということもございますので、部位に限定したことではないというのを、すみません、補足させていただきます。

○河上委員長 少なくとも厚労省所管というか、薬事法の対象品と、今回の機能性食品の対象品との間にすき間ができるということは、これはないと考えていいですか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 はい。この制度で、あくまでも健康の維持・増進の範囲で機能性を表示する、エビデンスを揃えて表示するというものについては、薬事法への抵触はないですというところが整理されますので、そういう意味で、今、委員長がおっしゃいましたようにすき間が出てくるということはございません。疾病名に触れるとか、あるいはドーピングのような効果ですね。発毛しますとか、そういうことをうたえば、それは薬事法の世界で直ちに問題になってくるということでございます。

○河上委員長 では、石戸谷委員、続けてお願いします。

○石戸谷委員長代理 次の点ですが、12月に入ったわけですけれども、ガイドラインというのはまだ出ないのでしょうか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 はい。こちらの審議がまだ続いてございますので、それを追いかける形で、今、準備作業をしているということでございまして、早ければということでありますけれども、こちらの御審議を終えていただいて、早急にお示しをしたいと思っております。

○石戸谷委員長代理 早急に出してほしいので言っているわけですけれども、既に相当遅いのではないかと思ってお尋ねしているのだけれども、そうですか。わかりました。それはそれで、ガイドラインの性格で、ガイドラインに違反している場合に行政処分ができるのか、甚だ疑問だという点がありまして、4日の本会議の質疑でも、行政処分するとはおっしゃっているのですけれども、他方で、「今、申し上げたのは企画部門としての我々の現在の考え方でございますので、最終的に制度が走り出したときには変わる可能性はございます」となっているのですが、これは大変重要なところなので、変わる可能性はございますということだと、ちょっと納得がいかないわけなので、それでいいのかどうかという執行部門との調整というのをやった上で、話していただく必要があると思うのですけれども、いかがですか。

○河上委員長 竹田課長、どうぞ。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 ちょっと言葉が足りなかったかもしれませんけれども、処分はいたします。技術的なことを申し上げますけれども、今、表示すべき事項と遵守すべき事項という2つの義務が食品事業者にはかかっています。正しい表示がなされていないときには、JAS法のこれまでの運用では、遵守すべき事項が遵守されていないという整理をしています。先日申し上げましたのは、正しい表示がなされていないときに、それを表示義務の違反なのか、遵守義務の違反なのか、どちらでとるのかということについては、執行体制の中で最終的にセットいたしますので、違反をとるということ自体については確定しているということで申し上げられます。そのような意味で申し上げたことを御理解いただければと思います。

○河上委員長 いかがですか。

○石戸谷委員長代理 わかりました。では、今のは4条1項2号の遵守すべき事項に当たるのか、1号の表示の部分に当たるのか、そういうことですか。

○河上委員長 竹田課長、どうぞ。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 それは、今回、JAS法と食衛法と健康増進法と、3本の法律を統合しましたので、もともとの根っこの所管の役所が違いますので、そこの点については最終的に整理して、先ほど申し上げたようなことを関係省庁間でセットする必要がある。ただ、違反があれば違反をとるということは間違いございません。

○河上委員長 先ほど、トクホ等々と並べて、この機能性の制度の問題も語られたのですけれども、トクホはどちらかというと許可を与える形のものですけれども、今回のものは届出制でいこうという話ですね。その届出という制度を使う際に、ガイドラインでいろいろなことを決めて、そこで水際でいろいろな防波堤をつくって考えていこうという発想のようですけれども、果たしてそれが制度的に十分な裏打ちがされているのかどうかということについては、前にも山本委員からも御質問がありましたし、委員の間でも随分心配しているところでもあります。

今回の答申(案)の5ポツに、老婆心ながら、こういうことについて、ぜひ速やかに機会を捉えて制度的な補強をしておくことが必要ではないかということを申し上げております。この点について、山本委員から少し補足いただけるのであれば、補足していただければと思いますが。

○山本委員 前回の本会議の場で、質問を幾つかいたしました。その後、さらにこの委員会の内部でも議論がされました。私もいろいろ考え、また言われていることの意味を考え、まとめてみたのですが、ここに書いてありますように、科学的根拠を事業者が示す。それから、消費者庁長官に届け出るということを、本来であれば法律にしっかり書くべきであって、それがないために、先ほどの昔の名前で言うと薬事法との関係がどうなるのかとか、それから、今日の資料1-2で配付されている制度の実現の方法についての意見の中の、GMP制度の問題はまた少し違うのかもしれませんけれども、義務の性格がどういうものかとか、しっかり執行ができるのかといった疑問等が、出てきているのではないかと考えざるを得なかったわけです。

私は、この制度は、内容的には、うまく使っていけば、現在のいわゆる健康食品市場をよい方向に持っていくチャンスになるのではないかと思います。ですから、内容の面について反対するものではございませんが、それがゆえに、法的な問題が出てきたときに完全に答えられるような状態にできるだけ速やかにしていただきたいと思いまして、「これは諮問の付帯意見として入れていただきたい。」と申し上げました。

その点について、ぜひ確認しておきたいのですけれども、速やかに、できるだけ早い機会に法的な問題について御検討いただいて、この制度を動かすための基礎の部分を固めていただくことについて、どのようにお考えになるかという点をお伺いしたいと思います。

○河上委員長 課長、お願いします。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 これまでも申し上げてきたことですけれども、制度については、加工食品と生鮮について機能性の表示をする、消費者に正しい情報を伝えるということで、食品表示基準の中で加工・生鮮の特例として位置づけるのが我々は適当だと考えております。

その上で、これも何度も申し上げて恐縮ですけれども、閣議決定レベルでは、自己認証で表示していいですよと。つまり、そこからは政府に対して何らか手続をしなければいけないということは、全く出てこない。ある意味で、栄養機能食品のような仕立てでもできたかもしれないということであります。ただ、それでは安全性・機能性について不安を持たれるということでありますので、御提案しているような届出というものをかませて、国の関与をつくっていきたいということであります。

それで、先生の不安が具体的にどのようなものかということについて、私がはっきり理解して申し上げているわけではないのですけれども、こういう言い方は適切ではないかもしれませんが、この制度に対しての気持ち悪さというのでしょうか、不安というのは、恐らく皆様がトクホの世界からこちらを眺めているので、何となく緩いのではないかとか、足りていないのではないかという御感想を持たれるのだと思います。

逆に、栄養機能食品のように、国がどんなものを発売されているかわからない。その是非はありますけれども、そこから見れば、どれだけの手続、事業者にとっては義務がオンされているか、国の関与があるかというところは、もう一度、栄養機能食品の側から見て御評価いただければ幸いでございます。

あとは繰り返しになりますけれども、当然、表示というものは実態を映したものでなければなりませんから、仮に届出が適法に受け付けられていても、後にエビデンスがないということが事実としてわかれば、それは当然、処分の対象になりますし、そういった御不安は解消できるのではないか。

それから、ガイドラインで子細を決めることにつきましても、もう皆様御案内のとおりですけれども、トクホの添付書類についても非常に抽象的な府令の文書になっていまして、それを通知で具体的に事業者の方にこういうものですということをお示ししている。逆に言うと、許可の申請書が我々の手元に届いたときも、そういうレベルに達していなければつくり直しをお願いするということでありますので、この届出についても実態上、そのような運用をして、制度の適正な運用を担保していきたいということでございます。

○河上委員長 適切でないときには、届出の申請があっても、受理を拒絶できるという発想ですか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 はい。適法な届出でない。一番簡単なのは、欄が埋まっていないとか、添付書類がついていないということもございますし、今回の件で言えば、レビューについて、きちんとした手順を踏んでいないとか、ヒト試験のデザインが我々の求めているレベルのものになっていないとか、そういうエビデンスがついてきたものについては、適法な届出ではありませんから、お持ち帰りいただいて、もう一回出してくださいということになると思っています。

○河上委員長 それは、限りなく許可に近いですね。限りなくトクホの許可に近い制度になってくるということにはならないのですか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 ただ、中身を具体的に審査するということはいたしません。集められてきた論文の内容を我々が一々全部読んで、もう一回レビューしてみるとか、そういうことはいたしませんので、そういう意味において形式的な審査ということを申し上げております。

○河上委員長 山本委員、どうぞ。

○山本委員 内容について申し上げているわけではないことは、先ほどの発言の中で申しました。法律上の基礎がしっかりしていないのではないかという点について、どのようにお考えですか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 法律の根拠は食品表示法になります。それから、食品表示法が施行された後には、栄養機能食品の根拠も食品表示法になります。そういう意味において、食品表示法が根拠として足りていないとは、私どもは考えてございません。食品表示基準の中で、こういった届出制度を運用することによって、我々の運用でこの制度の適切なもの、適切さというのを担保していくということであります。

では、法律で届出制だけを書けば、この制度が全く改善して別のものになるかといったことにはならないと思っています。自己認証の世界で、こういう形の制度を仕組んで、きちんと運用するということが一番大事なことだと我々は思っています。

○河上委員長 山本委員、どうぞ。

○山本委員 何と申し上げたらいいのかわからないのですけれども、私は届出の制度をしっかりと法律に定めたほうが、この制度はさらによくなると考えています。届出制を法律の中に定めれば、現在、ガイドラインで定めることとされている事柄についても、府令ないしは告示といったレベルで定められる部分が出てくるのではないかと思いますし、もろもろの、先ほどの資料1-2にあったような不安、疑念が解消されることになるのではないかと申し上げているのですけれども、その点について、さらに今後、速やかにぜひお考えいただきたいと私自身は思っています。

○河上委員長 実は、委員会の中に法律家として、私や石戸谷先生、山本委員、いらっしゃいますけれども、ほぼ共通した認識として、ここには制度的な脆弱性があるという感触を払拭できておりません。もちろん、うまくいくかもしれませんし、この制度そのものについて、今、この段階でだめだということではないのですけれども、この制度をより強固なものとするためには、こうした制度的な手当てというものが検討されることが望ましいという考えを持っております。その問題意識についてはぜひ真摯にお受けとめいただきたいと思います。竹田課長、どうぞ。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 これは前回も申し上げましたけれども、検討会の報告書でも、こういう自己認証での機能性表示というのは、トクホのように自由にできるという意味で、日本で初めての制度になりますので、2年間走らせてみて、その時点でレビューして、必要な見直しをするということでございます。そういう意味において、先生方から御指摘いただいたような問題が顕在化すれば、それは当然手当てしていくことになろうかと思いますので、そういう意味で、まずは制度を2年間、走らせていただいて、きちんと2年後にレビューしたいと考えております。

○河上委員長 2年と言わず、検討だけはちゃんとやっていただく必要があるという気がいたしますが、どうなのですか。

石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 話が全然かみ合っていないと思うのです。届出制については、それで結構だという話をしているわけですが、要するに表示に関する基準を食品表示法で定めるという部分については、それはそうだと思うのですよ。

ただ、部会の質疑の中でも、「表示基準はあくまでも表示の基準でございますので、新制度に関する全てのものを書き込むのはやや困難だ」という説明をされていますけれども、表示でない部分について書き込むのが困難だという部分が、まさに科学的根拠だとか実体的な規律の部分なのであって、そこを例えばほかの法律で、健康増進法とか、実体的な規律の部分を法律できちんと定めて、表示の部分については食品表示法で全然問題ないわけですけれども、そういうことを先ほど来応答しているわけですが、出てくる話が中身の話になっているので、全然かみ合っていないなと思うのですが。

○河上委員長 竹田課長。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 今、引用された部分の説明の仕方は少し適切ではなかったかもしれませんけれども、我々としては、先ほど申し上げましたように、表示すべき事項と遵守すべき事項を組み合わせて、この制度を企画しているということでございます。

それで、基準案の中に書き込むことが、並びとでもいいましょうか、余り適当ではないのではないかと考えていることが、明確に解釈を示す。例えば、機能性関与成分とはこういうものですとか、届出の様式はこうでなければいけませんといったことについては、ガイドライン、施行通知、それから事業者の方がお迷いになるようなことはQ&Aといった形でお示ししていくという趣旨での、御説明だと理解いただければ、トクホ、それからいわゆる食品表示の本体といったものとのバランスといいましょうか、横並びはとれていると我々は考えております。

○河上委員長 恐らく、その内容そのものについては、特に異論があるわけではないので、むしろ違った次限の話で問題意識を述べさせていただいているということですので、御理解いただければと思います。

ほかにはいかがでしょうか。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 視点がちょっと変わります。今日の答申(案)がありますけれども、ルールの詳細は今後のガイドライン等で示すという諮問に対する答申(案)でありますので、方向性に関する見解を示して、クリアすべき懸念事項を表明するにとどまらざるを得ない。したがって、今日のような構成になるのかと私は思っております。ただ、この懸念事項については、立法における衆参両院の附帯決議に近いようなイメージかと私は思っております。今後、本委員会として監視することが条件になるということではないかと思います。

私が、こういう懸念を抱く背景を2つ申し上げます。

第1の懸念は、機能性表示で採用が予定されている科学的根拠です。論文なのでしょうが、このレベル差が世界の国・地域あるいは研究機関、大学などによってかなり大きいのではないかということです。論文自体の信頼性と、その食品への適用の妥当性、この水準を市場の監視を含めて、どう確保するのかということが、多分ガイドラインで示されるのでしょう。これをはっきりしていただきたいと思います。これは、本制度の根幹に係る問題だと私は認識しております。

第2の懸念は、日本が法治国家であって、人治国家ではないということです。今回の機能性表示のガイドラインができたとして、国内外の関係者から法律との関係が不透明であるという指摘を受け、さらには、届出の受理の適否などの運用面で行政当局の担当者の恣意性が指摘されると、日本は法治国家ではないという印象を与えることになります。ガイドライン等の制定と、その運用には、適法性と透明性が求められるわけで、これを実現できるようなガイドライン等を早く示していただきたいと思います。これを求めたいのです。先ほど説明のあった答申(案)というのは、それが前提になるということであると承知しております。

○河上委員長 何か御意見がありますか。竹田課長、どうぞ。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 1点目の論文のクオリティーということでございますけれども、これは検討会でも議論になっていまして、先生がおっしゃるように、どんなものでもいいということではないと思います。したがって、一定のレベルを担保するようなことを考えています。まだ具体的に申し上げられる段階にはないのですけれども、消費者の方に御納得いただけるようなレベルのものを確保したいと思っております。

それから、ガイドラインにつきましては、現在、案をお示しできない段階で恐縮でございますけれども、トクホの通知の並びがとれるような、事業者の方が一読して、きちんとわかるようなものにしたいと思っております。ガイドラインのさらにQ&Aをつくらないといけないということがないように、できるだけわかりやすいものにしたいと思っております。

○河上委員長 ありがとうございました。

あと、前提となる事柄として、ほかのいろいろな規制と今回の制度をあわせて、うまく行政的な処分ができるようにするための執行体制の問題があるということでございまして、答申(案)の中にかなり細かく執行体制の構築ということを要求させていただいております。これがないと、結果的には絵に描いた餅になってしまいかねないという懸念がございますので、この辺についても、しっかりとお願いしたいと考えておりますけれども、よろしければ岩田委員、補足していただけますでしょうか。

○岩田委員 ありがとうございます。

今日お配りいただきました部会での意見、資料1-2ですが、それの1ページの一番下の白丸の御意見、そして2ページの一番下の白丸の御意見と、私は非常に近い立場に立っているのですが、今回の新しい機能性表示食品の導入によって、何を期待するかというと、私が最も期待したいのは、いわゆる健康食品という市場が健全化するといいますか、消費者が見て、本当に機能性がしっかりある、大丈夫だ、安全であると確信を持って選択できるような食品が残って、それ以外については淘汰されることを非常に期待しております。

淘汰されるということの意味は、1つは、機能性について根拠がはっきりしないようなものは、例えば食品に書かれた表示とかテレビコマーシャルも含めた広告だけで惑わされるのではなくて、自分が納得しないものは買わないという消費者の行動によって淘汰されるということ。あわせて、行政がそこで機能性がないにもかかわらず、表示している、あるいは広告している、テレビコマーシャルをつくっていることについて、法律に基づく権限でしっかり執行していただくこと。そのことによって、健康食品の市場が健全化されることを最も期待しているものでございます。

そこで、ちょっとお聞きしたいと思いますのは、新しい機能性表示食品という制度の導入によって、いわゆる健康食品市場で、高齢化が進んで健康志向が高まって、本当に大きな市場になっていると思うのですけれども、この健康食品市場が新しい制度の導入によって、どのように変わっていくのか、あるいは行政としてどのように変えたいのか、そのための体制はしっかりあるのか、そのあたりをまずお尋ねしたいと思います。

○河上委員長 竹田課長、お願いします。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 健康食品の市場がどうなっていくかというのをきちんと予測するというのは、なかなか難しいことだと思います。ただ、業界の方もおっしゃっていまして、こういう制度がきちんと軌道に乗って、こういうものが増えていくことになれば、逆にそうでないものはシュリンクしていくことになるだろう。

ただ、それには消費者の方のリテラシーを上げていただくことが当然必要になってきますので、そういう意味において、私どもとしても、御指摘もありますけれども、トクホ、栄養機能食品、それから今回の機能性表示というのはこういうものですということをきちんと理解していただく。そうでないものは、そういうものですということもあわせて御理解いただくのだと思いますけれども、そういうものが両々相まって、先生が今おっしゃられたようなことになっていくのかなと思っています。

○岩田委員 もちろん消費者教育がしっかりなされて、消費者が賢い選択をすることによって市場が健全化する。これも大変大事なことだと思いますけれども、私が消費者庁にお願いしたいと思っておりますのは、この答申書の付帯意見の2、3、4で書いてありますように、新しい制度に基づいて届出はなされたのだけれども、事後にそれは安全性に問題があったとか機能性に根拠がなかったといったときに、しっかり行政的な対応をする。あるいは、トクホでもない、栄養機能性食品でもない。この新しい機能性表示食品でもないのに、機能性についてうたっているというものについては、しっかりと行政的な対応をするということで、主体的に行政として、この市場をどういうふうに持っていこうとしているのか、そのための体制は十分にありますかという、そこをお尋ねしたいと思います。

○河上委員長 竹田課長、どうぞ。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 違反は違反で、当然とっていくということでございまして、その方針については変わりません。この制度に乗ったものでも、今、先生がおっしゃったように、事後的に不適格であることが発覚すれば、違反は当然問いますし、それから、この制度の外にある、いわゆる健食も、違反があれば当然とっていくということであります。

本件だけでということではありませんけれども、消費者庁としても、予算・定員については、また来年度に向けて必要な要求をしておりますので、そういうニーズがあれば、これからもそういうことをきちんと考えていきたいと思っております。

○河上委員長 唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 今の予算要求、それから定員についてですけれども、「全国消費者行政ウォッチねっと」では、毎年、消費者庁の各課の人員とか業務についてヒアリングをして評価をしておりまして、ホームページで公表もしています。それを拝見しますと、今年度で表示対策課で54名、食品表示企画課で26名の職員体制で業務をなさっている今の状況です。この制度のためにだけの定員を増やす予算をお取りになっているのか。表示対策課は、それこそこの食品表示法だけではなく、景表法とか家庭用品品質表示法とか、たくさんの所管の法律の執行部隊を組んでいらっしゃるのではないかと思いますから、この制度が新しく導入されたときにどれだけの人員を当てる計画でいらっしゃるのか、もし伺えれば具体的にきちんと伺っておきたいのですが。

○河上委員長 竹田課長、どうぞ。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 これは言いわけになりますけれども、基本的に組織定員要求というのは、その組織に何人いるかということがベースになって、そこから発射台が決まりますので、突然倍になるとか、そういうことはなかなか起きないものでございます。そういう意味で、委員がおっしゃられるように劇的に増えているということではありませんけれども、これは要求を重ねていくことで徐々に増やしていくということでありますので、そこのところは大変申しわけないですけれども、御理解いただきたいと思っております。

○河上委員長 先ほど来、執行体制のことについてしつこく申し上げているのは、まさに消費者が実質的な商品選択ができるためには、その表示が信頼に足るものでないといけないということでして、その信頼に足るものとするためには、行政はそれなりの負担をしょう必要があるのだということでございますので、ぜひ竹田課長、頑張って予算と定員をとって、執行体制を万全にするように頑張るということをおっしゃっていただきたいということでございました。

ほかには。橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 今回の制度というのは、消費者の合理的な食品選択の機会の確保につながるようにということで、そのためにいろいろな御意見が部会からも上がってきているのですけれども、何度も言うようですけれども、このガイドラインというものが早急に示されないと、皆さんの不安が払拭できないのではないか。これは本当に早く出していただきたいというのが皆さんの御意見だと思います。

あと、今回は、食品の表示というところで、付帯意見の2番にも、安全性の徹底が極めて重要であって、安全性に問題がある場合は、早急に厳格な行政処分と言っているのですけれども、食品表示基準の中でこの安全性の確保というものをどのように規定できるのかというのが不安の一つでもあります。

もう一点は、いわゆる健康食品という、単なる食品が健康食品として世に出回っているところが私も非常に懸念するところであり、消費者教育を含め、先ほどから執行体制、これも何度も言っておりますけれども、この充実ということをきちんと図っていただきたいのですが、例えば2年後の見直しのときに当たって、いわゆる健康食品というものが今の状況のままで野放し状態になっている場合、新たに制度の見直しというのを図るための一つの指標として考えていらっしゃるのかどうか、この点、お聞きしたいと思います。以上です。

○河上委員長 いかがでしょうか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 安全性への不安ということで御指摘ありましたけれども、我々の考え方としては、そこは食経験のところで評価をするときに担保できる。つまりは、例えばある果実を生果で食べるのか、搾汁して食べるのか、あるいは抽出して、それを濃縮して食べるのかという食べ方というものはあると思いますので、こういう食べ方をした結果、何年も食べてきて、安全でしたよ、何も起きませんでしたよと事業者に評価していただくということでございますので、そこのところは科学的な根拠として、きちんとお示ししていただく。

その外にあるような、例えば遺物が混入してしまうとか、農薬の事件がありましたけれども、毒物が混入してしまうとか、ああいうものについては事件の範疇に入ってまいりますので、そこのところは少し区別してお考えいただければありがたいと思っております。

それから、2年後の評価でございますけれども、これは基本的に、この制度に乗って食品が市場に出てどうだったかというところを、我々、見ていきますので、そういう意味では、その外にある、いわゆる健食がどうなったかということから、この制度を直ちに何かどうしなければいけないということは、直接は出てこないのではないか。ただ、先ほどから御指摘ありますけれども、そういったいわゆる健食について表示上の問題があるということであれば、それは当然取り締まりをきちんとしていかなければいけないということでありますので、そういう形で仕分けて対応していくことになるのかなと思っております。

○河上委員長 よろしいですか。

○橋本委員 この制度の中ではということで。

○河上委員長 では、高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 似たような質問が重なるのかもしれませんけれども、先ほどから御質問したいと思っていたのは、何を達成しようとしているのか、アウトカム目標が余り明確でないと思います。つまり、部会、それから我々の側からすれば、先ほど来、いわゆる健康食品の市場がどうなるのか。淘汰されていくことが期待されているわけですけれども、科学的根拠、安全性については先ほど来おっしゃっているのですけれども、消費者としては、いわゆる健康食品で非常に高いものを買っているという現状もあるわけです。そこも含めて、いい形になるというのが求められていると思うのです。

まずは2年、制度を走らせてレビューしますという説明では、その辺がどうしても納得できなくて、一番嫌なシナリオは、走らせたけれども、うまくいかなかった理由というのは、定員や予算が十分でなかったからということで、今、走っているものを大幅に見直すのではなくて、定員とか予算の要求で、そこを膨らませていけばきっとうまくいくはずといって、走っていく。それは困ります。

ですので、今の時点でどういう形をどう実現するために、こういう定員・予算で走らせます、というあたりを明確にしていただきたい。この制度は、国民のお金を使ってやるわけですし、事前規制より事後規制のほうが安いからやるわけなので、それがそうでなくなり、何でこんな制度をつくったのでしょうという話にならないようにしたいので、以上、意見として申し上げたいと思います。

○河上委員長 これは御意見ですが、竹田課長、何か発言されますか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 釈迦に説法にはなりますけれども、表示をさせることについてアウトカム目標を立てるというのは非常に難しいものがありますので、そこは御理解いただいた上で、我々としては制度を消費者の方にできるだけ認知・御理解いただいて、商品選択の参考になるような、そういう意味で、この制度に乗ったものが2年間、きちんと発売されていくようにということに最初は注力していきたいと思っております。

○河上委員長 怪しげな健康商品が、結果的には市場から淘汰されるというのが最大の目標ではあるのだろうと思いますけれどもね。

ほかには。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 先ほどから予算と人員の確保という発言があり、これはしていただきたいと思うのですが、それが目的になると大きな政府になると思うのです。問題商品がマーケットに出始めた早い段階でできるだけの手を打たないと、大きくなるとそれだけ取り締まるパワーもかかるということになろうかと思います。ぜひ初期段階から目をつけて、初期のがんは取り除けばいいわけですから、早く対策を打つという心構えでやっていただきたいと思います。

そのためには、ガイドラインをできるだけ簡明なものにして、誰にもわかることが重要です。これがわからないのであれば、市場でそのようなビジネスをする資格がない、というようなものに仕上げていただきたいと思います。ぜひよろしくお願いします。

○河上委員長 今のことはよろしいですか。何かございますか。では、課長、お願いします。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 繰り返しになりますけれども、ガイドラインというのは事業者の方が一読されて中身がわかりやすいものに、それから消費者の方も御覧になるかもしれませんけれども、簡便なものにしたいと思っています。なるべく早くお示しできるように策定作業に頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。山本委員、どうぞ。

○山本委員 今の点に少しかかわるので、確認したいのですけれども、今回の答申の付帯意見の最初のところ、3行目ですか、届出がなされた場合には、当該食品に機能性があると事業者が結論づけた根拠も含めて、販売開始の60日前には消費者庁に届け出された情報がインターネットで公開されて、誰でも内容が確認できる制度にする。これによって、一般の国民の方、消費者の方、あるいは専門家の方が早い段階でそれを見て、これはよい、これは問題だということを判断できるようにするという意味で、届出制をとる中で、できるだけ制度の実効性を高めていく、非常に重要な制度のポイントではないかと思います。

1つ確認したいのは、仮に届け出された後で消費者庁がいわゆる形式審査をする、書類の審査をする。それが終わった後、インターネットで公表することになりますと、販売まで60日近くを確保できない可能性があると思います。消費者庁がしっかりと形式審査をやればやるほど時間がかかることになりますから、そうするとインターネットで公表できる時期も遅くなる。販売前60日が確保できないことになると思うので、制度を趣旨どおりに動かすとすれば、とにかく届出がされた、消費者庁のもとに書類が届いたときには、速やかにそれをインターネットで公表する。

そうすれば、60日近く前に一般の国民の方はそれをチェックできますし、その後で消費者庁は形式審査をして、問題があるかどうかをチェックすることも当然できるわけですので、そのように運用していただくことを前提にして、付帯意見の中に書かれていると思うのですが、それはそのような理解でよろしいでしょうか。

○河上委員長 それも含めてですけれども、竹田課長、消費者委員会でまとめている文章なのですが、こういう見方で制度を理解しているということで正しいのかどうかも含めて、ちょっと教えてください。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 これは、食品制度の実態というのを少し御説明させていただきたいのですけれども、食品の容器包装というものは食品メーカーがつくっているのではなくて、通常、皆様が印刷会社として名前を聞いたことがあるような会社が食品メーカーから委託を受けてつくっています。したがいまして、今回、この制度でいきますと、届出番号がとれたら、その番号も含めて、メーカーは、容器包装のデザイン、それから義務表示が落ちていないかどうか等について印刷会社に発注をかけて容器包装をつくり始めます。試作を経て、最終的に両者の間で了が出たものを量産して、それを製品メーカーに納品して、それで工場のラインが初めて動き出すという実態があります。

したがいまして、事業者の実態からすると、60日前に届けて、では、60日後に販売できるかというと、とてもスケジュールでそれでは足りないということでございます。普通の食品をつくろうと思ったら、こんなに短いリードタイムでは、容器包装のデザインをスタートしてから売るまでたどり着かないということですので、これよりもかなり早く事業者は我々のところに届出をしてくるということが実態上、予想されます。

したがいまして、事前の情報開示の趣旨が損なわれるような、我々が抱え込むとか丁寧にやって、結果的に情報が30日しかさらされないということは、実態上は起きないのではないかと我々は考えています。そういう意味では、御懸念のところについては、余り御心配いただかなくても大丈夫なのかなと思っております。

○河上委員長 岩田委員。

○岩田委員 受理番号が付されてから60日後でないと発売できないと理解してよろしいですか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 事前に御指摘いただいていたものにつきましては、60日間、きちんと情報が開示された状態じゃなくなるのは困りますねという御指摘だったと思いますので、今、申し上げましたように、食品の製造のスケジュールを考えると、60日よりはかなり前に届出をしてくる。そういう実態がありますので、そういう意味で、例えば情報開示の期間が極端に短くなるといったことは、実態上起きませんし、我々としても何らか工夫せよということであれば工夫したいと思っています。

参考までに申し上げますと、ある大手企業に聞きますと、通常どんなに早くても半年かかるとか、そういう企業もございます。デザインスタートして製品を販売できるまでです。このように極めて時間がかかる作業でもありますので、ぎりぎり60日前に持ってくるということについては、通常想定されないと我々、認識しています。

○河上委員長 消費者がその公表された資料を見て、いろいろと吟味する時間というのは、少なくともここにある60日程度は十分に確保されるという、事実上、そうなるだろうという予想ですね。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 事業者の事業展開のスケジュールから考えても、当然そうなると思いますし、御指摘を踏まえて、きちんとそういう対応になることも我々、考えていきたいと思います。

○河上委員長 制度としても、運用としても、そういうふうになるということがあるのであれば、それはそれでありがたいと思いますけれども、山本委員、いかがですか。

○山本委員 実態の話はよくわかりましたけれども、ぎりぎりのことを言えばいろいろなことを考える事業者が出てくる可能性はあるわけですね。そのときに、消費者庁の方針として、この60日をどこから数えるのかということを確認したいと思います。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 行政法での世界と我々のやりたいことの間に齟齬があるのではないかという御指摘だったかと思いますけれども、繰り返しになりますけれども、少なくとも60日程度は情報開示がされるべきではないかという御指摘でございますので、そういう意味では、その期間を確保したい、何らか努力したいと思っております。実態上は、今、申し上げたように、ぎりぎりに持ってくるというのは通常あり得ないと我々は考えていますので、その上で、さらに先生の御指摘に対して御懸念がなくなるような形で何らか考えたいと思っています。

○河上委員長 阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 部会では議論にならなかった点ですが、今回の機能性表示食品の「機能性」という用語ですけれども、現在、「特定保健用食品」は俗称「機能性食品」とも呼ばれています。今までの機能性表示食品と今回の機能性表示食品の違いについて、消費者にとっては非常にわかりにくい内容になっていくのではないかと思っております。

資料1-2のその他の意見にもございましたとおり、食品には全て健康へ関与する成分が存在するということで、その関与する成分の特性を機能性と今回、言っているわけですけれども、本来、機能性とは健康への関与する成分のみではありません。食品の機能特性を研究する食品機能特性学という学問があります。その内容は、食品の品質要素が中心となっています。そこでは、基本特性と機能特性と大きく2つに分かれまして、基本特性は栄養特性と安全特性、そして機能特性として嗜好特性と生体調節特性に分類されています。それぞれの機能特性が品質要素として探求されています。

何が言いたいかというと、生体調節特性のみが食品の機能、すなわち食品の要素ではないということです。生体調節に関する機能性は、あくまでも食品の品質要素の一つであることをお考えいただきたいと思います。

機能性という用語は、確かに健康寄与に係る特性として慣用的に使われてきておりますが、今回の制度の対象となっている生鮮食品を含まずに慣例的に使われております。加工食品である特定保健用食品に対応した用語として使用されているというところです。今回、新たな制度で機能性表示食品という使い方をするということは、ますますわかりづらくなるのではないかと思っていますが、それに対する明確な取組が示されておりません。ぜひこの辺につきましてもしっかりと取り組んで、消費者が誤認のないような方策をとっていただきたいと思っております。以上です。

○河上委員長 竹田課長、どうぞ。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 3つのジャンルができるということで、それぞれがどういうものかということについて、きちんと御理解いただけるように、消費者の方にも情報提供し、そこで迷いのないような商品選択ができるようにということで、来年度からきちんと取り組んでいきたいと思っております。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

大分時間が来ておりますけれども、何かこれだけはという御発言がございましたらお願いいたします。資料1-1で示しております答申書、先ほど石戸谷委員から、順番がちょっと違うのではないかと言われたのですけれども、委員の間では既にある程度協議して、こういうところまで提案をまとめたつもりでございますから、ここで今、議論があってでき上がったという順番にはなっておりませんけれども、むしろこの案をたたき台にして議論していただきたかったということ。

それから、この案をつくるに当たって、委員の間でかなり強い問題意識があって、その問題意識については、ぜひ消費者庁の方々にも御理解いただきたいという思いもございますし、答申するに当たって、手放しでこれで結構ですということではなくて、疑問もいろいろあったものですから、そういうものについても盛り込ませていただきたいということで時間をとらせていただきました。

委員の方々から、ほかにはよろしゅうございますか。夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 付帯意見の1のところでございます。今、委員長が説明したところでございますけれども、消費者の安全を確保するために、通知やガイドラインの作成に当たっては慎重に内容を検討してほしいというところでございます。

最初の発言でも申し上げましたけれども、これまで消費者庁、厚労省、農水省で協議されてきておりますけれども、食品の安全性という意味で科学的な知見を持っているのは食品安全委員会でございますから、この慎重にというところには、ぜひ省庁、さらに食品安全委員会もつけ加えて、本当に慎重な検討をした上で、ガイドラインが安全性確保の唯一のよりどころと言っては言い過ぎでございますけれども、とにかく安全性審査は行わず、形式審査でやっていき、自己認証の世界ですから、ガイドラインの重さというのはこれまでのトクホ以上に重みがあると考えておりますので、どうぞそのところは御検討いただきたいと思います。ここでは特に省庁名を挙げておりませんけれども、要望でございます。

○河上委員長 ほか、よろしゅうございましょうか。山本委員、どうぞ。

○山本委員 先ほど私が質問したことに対して、明確なお答えをいただいていない。つまり、執行する際に、販売前60日と府令の中に書いてあるわけです。その60日をどこから起算するのかということを明確にお答えいただきたい。

その上で、もしもこの60日が確実に確保できないのであれば、この付帯意見の中に書かれている、先ほどの60日前という部分が確保されるという前提で、この意見を出すということをこの場で明確にしておくべきかと思います。

○河上委員長 竹田課長、いかがですか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 届出の効力が発生するのは、先生がおっしゃられているように、適法な届出がなされた日ということでございます。行手法上、そういう整理がなされた上で、先ほど申し上げましたけれども、事業者の事業展開への実態から踏まえて、ぎりぎりの60日前に我々のところに届出を持ってくるといったことは、通常想定されませんので、そういう意味で60日程度、事前の情報開示がなされるという制度の趣旨が失われるような運用にはならないと、我々考えているということを先ほど御説明させていただきました。

○山本委員 確認します。そうすると、公開はいつからやるということですか。公開はいつになるかということです。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 今、具体的に何日と1日単位で申し上げることはできませんけれども、60日程度、きちんと確保されるようにしたいということを考えております。

○河上委員長 確保したいという御希望はわかりますけれども、制度的に60日は必ず大丈夫だとするためには、例えば届出があったら速やかに公表するという形にすることにして、審査と一緒に走らせるわけにはいかないのですか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 ただ、適法に受付といいましょうか、届出を受けていない書類を国が情報公開するというのは問題があると思いますので、そこは少し難しいのかなと考えております。

○河上委員長 そうすると、適法に届出を受理するということを観念起算点としてすることになりましょうか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 受理という言葉が適当でないのかもしれませんけれども、形式的に要件を満たすものについては、届出がなされました。我々からは、届出番号を事業者の方にお返しすることになりまして、山本先生が先ほどおっしゃっていたのは、適法な届出書が我々の事務所に届いた日と、形式的審査をして届出番号をお返しした日がずれるといことによって、60日から食い込むのではないかという御指摘だったと思いますので、そこは確かに論理的にはそういうことになります。

けれども、事業者の事業展開の実態を考えますと、何度も申し上げて恐縮ですけれども、ぎりぎりに持ってくることは通常ないと考えておりますし、事業者の方も60日では足りないということをおっしゃっていますので、結果的にというのでしょうか、制度と実態が相まって、60日程度、事前に情報開示するといった趣旨が損なわれるような制度の運用にはならないと思いますし、ならないように我々もきちんと対応していきたいと思っています。

○河上委員長 制度の運用の仕方について、法律的にはともかくとして、何か具体的な方策を考えていますということですが、場合によってはガイドラインとか、そういうものの中で事実上の60日という日にちをどこかで確保するような仕掛けを考えていただけるのであれば、それはそのほうがいいかなと思うのですけれどもね。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 それは、今日、様々な御指摘を頂戴しましたので、我々のほうできちんと受けとめて対応させていただきたいと思っております。

○河上委員長 ありがとうございました。

山本委員、よろしいですか。論理的にはいろいろと疑義が残ることは、これは否めないですけれどもね。

○山本委員 まだ、公表をいつの時点から行うかについて明確な方針がないということですので、それをお考えいただく際に、60日が確実に確保されるようにお考えいただきたいと思います。

○河上委員長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 今のお話を伺いまして、日本で日本の事業者が新製品を開発して売り出すということについては、多分説明のとおりだと思うのですけれども、外国で既に販売されている商品を外国の事業者が日本で輸入販売する場合には、今のことに当てはまらないような気がするので、その辺についても漏れがないようにしていただきたいと思います。

○河上委員長 竹田課長、どうぞ。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 御指摘のようなケースになりますと、恐らく輸入者がレビューをして必要な手続をしなければいけないということになりますので、当然、パッケージは全部邦文で表示していただきますので、その点において、先生が御懸念されているようなことは起きないのかなと思っております。

○河上委員長 先ほどの山本委員の御指摘ですけれども、この付帯意見に何かしら追加して書き込んでおいたほうがいいという御意見ですか。

○山本委員 これを実現していただけるという前提でここに書かれているという点を確認していただくということでよろしいかと思います。あるいは、確認的に書くことも考えられるかとは思いますけれども。

○河上委員長 この本会議で竹田課長から今、説明いただきましたので、それはそういう前提で我々も受けとめているということでよろしいでしょうか。はい。

ほかによろしいですか。高橋委員。

○高橋委員 先ほど、夏目委員のほうから食品安全委員会のお話が出ましたけれども、これもできれば1番の「慎重に内容を検討される」というところに、食品安全委員会の関与に関して明確に書いておくというのはいかがでしょうか。

○河上委員長 例えば、「食品安全委員会の関与を含め」というぐらいの文言があったほうがよいということでしょうか。

○高橋委員 部会のほうでも、食品安全委員会に対して意見が出ておりましたので、ほかの委員の方々の御意見を伺った上で。

○河上委員長 いかがでしょう。唯根委員。

○唯根委員 私も高橋委員の意見に賛成します。それであれば、加えて戴きたい文言があります。2以降の「所管省庁において」というところに、「消費者庁を司令塔として」を入れていただければいいと思います。

○河上委員長 どこに入れますか。所管省庁の前に。

○唯根委員 2.3.の「…各所管省庁において」の前のところに「消費者庁を司令塔として、各所管省庁において…」と明記していただきたい。

○河上委員長 賛成ですか、岩田委員。

○岩田委員 賛成です。必要であれば、旧名称ですけれども、薬事法の関係で執行体制をもっと強くしないといけないということもあり得ると思いますので、それを消費者庁のほうから厚生労働省のほうにしっかり働きかけていただいて、厚生労働省のほうで定員・予算の検討をしていただくということだと思います。

○河上委員長 では、特に異論がないようなので、そのような修文も含めて少し考えさせていただくということで、大筋ではこのような形での答申を出すという方向でよろしゅうございましょうか。

○石戸谷委員長代理 今まで消費者庁のほうとヒアリングというか、やってきて、これから審議に入るのではないですか。

○高橋委員 私たち消費者委員会としての審議のことですね。

○河上委員長 既に私たちの審議に入っているのですが、いかがでしょうか。

○石戸谷委員長代理 同席のまま。

○河上委員長 同席のままでいいのではないでしょうか。

○石戸谷委員長代理 では、審議ということなので意見を申し上げます。

付帯意見として述べられていたことというのは、先ほど来のやりとりを聞いていると伝わっているのかどうかというのが甚だ疑問だと思います。部会のほうから法的枠組みについて問題提起が出ていまして、そこについては親会議のほうで検討してくれという話になっているので、その指摘というのは重く受けとめなきゃいかぬと思います。

私のほうで言っているのは、法律実務家として、ごく常識的なことでありまして、届出制というのは一般に法律に書き込んで、届出要件の主なものは法律自体に書き込んで、詳細にわたる部分については政省令でというのが普通でありまして、ガイドラインで挙げてあるようなものというのは、政令ないし省令のほうで取り込まれるのがあり方だと思います。そこが全然伝わっていないようなので、意見として申し上げます。

今回の諮問は、食品表示法4条1項の規定による内閣府令で定める食品表示基準で、機能性表示食品に関する規定を新設するということについての諮問なので、4条1項で新設できるのかというところをまずもって審議しなきゃいけないと思います。

4条1項を見ますと、1号で名称、アレルゲン、保存の方法等々、食品を販売する際に表示されるべき事項というのが書かれておりまして、ここは届出制が組み込まれているのが読めないというのは御説明の中でもあったとおりでありまして、2号で、「表示の方法その他前号に掲げる事項を表示する際に食品関連事業者等が遵守すべき事項」という、ここに読むのだというお話ですけれども、1号に読み込まれていないものを2号で、「前号に掲げる事項を表示する際に遵守すべき事項」に入るのかというのは甚だ疑問があるので、先ほど来申し上げているのですが、全然伝わっていないように思います。

省令で定められるかどうかというのについて問題とされた最高裁判例というのは少なからずあるわけでして、授権規定が明確であるべきという傾向にあると私としては理解しております。そこで、法の趣旨、また行政手続法38条で、「命令等を定めるに当たっては、当該命令等がこれを定める根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければならない」というのがあるわけですけれども、そこで法の趣旨を見ると、食品表示法の趣旨が食品衛生法、JAS法、健康増進法による表示の包括化、一元化にあるということは、国会質疑で再三確認されております。念のため議事録も確認してみましたけれども、食品表示基準で届出制を採用するという議論は、当然ながら一切出ておりません。

そうしますと、この4条1項の規定で今回の仕組みが入れ込めるのかという問題があるので指摘しているわけですが、先ほど見直し云々という話が出ていますけれども、そういうレベルではないのではないかと思います。したがって、はっきりと法律で実体基準、表示は食品表示法でいいと思いますけれども、健康増進法等の実体的な規律の部分で書き込むべきであると思います。そうすると、許可制のトクホと並びで届出制として機能性表示食品というふうに法律上も明確になりますので、消費者の混乱を防ぐために広告で表示すべき事項とか、表示すべきでない事項というのをもうちょっと細かい規定を置くとすれば、すっきりとした制度になると思います。

今のようなガイドラインでやるということだと、そのガイドラインの根拠というのは何なのかということがあって、これは行政処分が可能かどうかとか、薬事法の関係とか、非常に重要な部分に関連してきますので、ここの法的基盤の整備というのはきっちりやったほうがいいと私は思いますので、適当であるという答申というのはちょっと問題があると思いますので、この答申の趣旨については賛成できません。

○河上委員長 という石戸谷委員からの御意見ですけれども、この点についてはいかがでしょうか。特に、この問題は山本委員からもずっと指摘されてきたことであるのですけれどもね。

○山本委員 私は、法律上の問題に関しましては、石戸谷委員と同じ考えです。もし学生のレポートであれば、返します。ただ、これは一種の政策決定の問題ですので、学生のレポートと同じようには扱えない。これは、いろいろな関係者の方が大変苦労して議論してこられて、その結果として出てきた一つの案でありまして、まだまだいろいろな御意見はあろうかうと思うのですけれども、この段階では適当であるという形で答申を出した上で、次の段階の取組を進めていただく。

ただ、今、質疑をした感じですと、明確に私たちの考えが伝わっているのかという点について不安がありますので、付帯意見としてその点は強調した上で答申することになるのではないかと思います。あるいは、法的基盤という言い方では不十分であるということであれば、もう少しその点を明確に言うことになるのではないかと思います。

○河上委員長 ほかの委員の方はいかがでしょうか。阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 部会報告をさせていただきましたが、部会の中でも、石戸谷委員、山本委員の御指摘の内容と同様の意見があり、重要な問題点であると感じております。また、今回の部会報告の中では触れませんでしたが、その意見内容に賛同する委員も3名おりました。部会では適切とする、不適切とする、両論あるわけですので、ここでは部会長という立場でなく、委員会委員としての考えです。法律的なことなど、非常に難しい内容ですが、消費者庁からのご回答はどうも納得できません。

例えば先ほど山本委員からも、速やかに補強・整備すべきという内容について、具体的に何かお考えがあるかということですが、その辺についてもお示しがない、お答えがないということは、私たちが言っている問題点を正確に把握してくれていないのではないか、理解してくれていないとしか受け取れません。ですから、ここは委員間の議論の場なのかもしれませんが、消費者庁とのやり取りの際、部会、そしてこの委員会からの指摘を重要な問題点として受けとめられ、速やかに検討するという御回答をいただければ良かったなと思っております。

ということで、心配していることが解決されず疑問として残ったままということです。

○河上委員長 ありがとうございます。

ほかの委員の方もぜひお願いいたします。夏目委員。

○夏目委員 この議論をするときの消費者庁の説明は、いつも最初に、機能性表示食品の話は、まず規制改革会議で出されました。続いて、日本再興戦略でも同じことが出されました。要は、国の政策です。それに沿って今年度中に措置しなければならない、制度をつくり上げて走らなければならないというところからずっと入ってまいりました。そうなのかなと思いつつも、これを議論を進めていく上で、今日も委員から様々な御発言がございましたし、部会でも資料1-2のとおり、様々な意見が出されているという実態の中で、本当に答申しますということをすんなり言っていいのかどうかというのは、今、部会長もおっしゃいましたとおり、非常に悩むところでございました。

とは言いつつ、国の政策決定であるならば、これに対してノーと言うのは難しいのだろうというところも理解できます。したがいまして、私は委員個人としましては、今日ここに答申書の(案)が示されておりますけれども、消費者委員会としてできるだけ付帯をつけて、それを実効あるものにしていただきたいという意味で答申を返す方法が妥当なのではないかと思う次第でございます。それは、非常にじくじたる思いがあるというのも事実でございます。以上です。

○河上委員長 ほかにはよろしいですか。唯根委員。

○唯根委員 私は、消費者庁からの最初のヒアリングのときから、被害が起きたときにこの制度でどう対応できるのだろうかということで質問させていただいてきて、そして執行体制について消費者庁がどこまで実行できるのかが具体的になかなか見えてこないということで、こういう答申を受けるべきなのかずっと悩んでまいりました。今日、お話を伺った上で、今の段階で私個人としては納得できていません。でも、答申はこの内容で消費者庁が本当に消費者目線でこの制度を考えて実行していただけるのであれば通さなければというところで来ておりますが、個人としては、賛成できかねています。

○河上委員長 橋本委員もお願いします。

○橋本委員 この制度につきまして、食品の安全と消費者の商品の合理的選択の確保の観点からと、先ほども述べましたが、そういう意味では、この制度を否定するものではないのですけれども、これが万全なものでスタートするというには、先ほどから、法律の面では私は専門家ではないのでわかりませんけれども、専門家の先生からかなりの疑念が生じているにもかかわらず、なかなかそれに対して明確な御返答をいただいていないということもあります。

ただ、基本的には、この制度について全く否定するというものではありませんので、先ほど夏目委員のおっしゃったように、それらの疑念をきちんと付帯決議という形で消費者庁のほうに述べさせていただいて、消費者庁がそれをきちんと行うという前提のもとであればいいかなと思っております。以上でございます。

○河上委員長 ほかの委員の方で、ぜひ発言しておきたい方という方はいらっしゃいますか。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 私は、こういう取組があるということ自体は評価していまして、すっきりした部分がマーケットで増えていくだろうと思います。消費者も商品を理解しやすくなる可能性が大きいと思います。

ただ、今のように法整備が十分ではない上に、ガイドラインだけで全部やっていったときに、後で思ったとおりのことができないということがあっても困ります。この案の5に、「法的基盤について、機会をとらえて速やかに補強・整備すべきである」と抽象的に書いていますけれども、例えば、薬事法第何条について不十分な点がないかを検証し、それについて未整備な点を補強・整備した上で、本件を実施してほしいと言えば強固な取組になっていくのではないか。それは、多分この施策をプッシュすることになるのだろうと前向きに捉えたいと思うのです。

○河上委員長 では、岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 委員の皆さん、制度の具体的な内容自体についての疑念はないと思います。私もこれが制度化されれば、いわゆる健康食品市場が健全化して、それは本当に消費者のためになると思いますので、この制度を早くスタートしてほしいと思います。

委員の多くの方が心配されているのは、委員長もおっしゃいましたけれども、絵に描いた餅にならないか。絵に描いた餅にならないかという懸念は2つから来ていて、1つは、法律上の根拠が脆弱であるので、そのためにちゃんと執行ができないのではないかという懸念。それから、定員とか予算といった面の執行体制が本当に大丈夫なのか、この2つの点から、ちゃんと執行できる新制度なのか。だから、法律の問題と執行体制の問題は、根っこは一つのものだと思うのですね。それの問題提起をしたと思います。

先ほどの消費者庁からのお答えだと、私たちの気持ちが十分伝わっているのか。例えば定員とか予算も倍にはならないかもしれないけれども、通常ベースの増員とか予算要求のレベルでやっているということであれば、あるいは厚生労働省に働きかけるとか司令塔としての役割も果たしていないというのであれば、私たちの気持ちは伝わっていないと思いますし、その法的な基盤についても、2年後の見直しをするので、とにかく2年間は何もやらないというお答えにも聞こえたのですね。ということであれば、私たちの懸念は十分伝わっていないのではないかと思います。

ですから、1つは、実際にもう一度この委員会に、その頃、もちろんガイドラインの問題もあるでしょうし、予算や定員の査定の結果もあるでしょうから、スタートする前に報告はしっかり受けないといけないと思いますし、スタートした後も2年を待たないで、半年ごととか1年というタイミングでやらないといけないかなと思います。何にしろ、もう一回消費者庁の決意を聞きたいですね。法的な整備の問題と定員・予算という執行体制。どういう決意で臨もうとしているのかという気持ちでおります。

○河上委員長 ありがとうございました。

高橋委員、皆さん、これで一回りしゃべったことになりますので。

○高橋委員 私は、この諮問がおりてくるという話のときに、余り筋がよくないと、委員の中では、受けることすら私自身は反対したいと申し上げておりました。これが規制改革会議のほうの流れから来ていて、消費者がこう望んでいる形で何かをするという動きじゃなかったこと、短い検討時間で適当であるとしか出せない可能性が高い諮問を受けることに対して、私自身は受けないと申し上げたことは事実でございます。

今も内閣府のスリム化の話の中で、我々に課されている消費者庁の審議会機能を消費者庁に統合するという話も進んでおりますけれども、この諮問に対する答申は、消費者委員会の2つの機能のうちの1つである消費者庁からの諮問を受けて審議するという枠組みの中に入っていることは、十分に認識しております。

それで、各委員と今までずっと意見をいろいろ出し合ってきたわけですけれども、この段階で私自身が思っていることは、我々のもう一つの機能である監視機能がどのぐらい使えるのかを試す正念場でもあるかなと思っています。どうも消費者庁とのコミュニケーションがうまくいっていないのですけれども、答申をお返しして、その中の付帯条項的につけた別紙の内容についてきちんとコミュニケーションをとり、消費者、事業者、皆さんが納得できるような形に仕上げていくよう監視していきたい。そういう思いでございます。

適当であるという表現には非常に大きなクエスチョンマークがつくまま、この答申を出すことについて、そういう条件つきでということで認めたいと思います。

○河上委員長 どうもありがとうございました。これで皆様の御意見を一応伺ったということであります。委員会の中だけで議論をさせていただいたので、消費者庁の方にはちょっと聞きづらいこともたくさんあったかもしれません。

ただ、今日、質問して、消費者庁のほうからいろいろお考えも伺い、努力したいということも言っていただきました。もう一度、もし何か発言されることがあれば発言しても結構ですけれども、何かございますか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 今、各委員の意見はしっかりお聞きいたしましたので、裏切らない制度として運用できるようにやっていきたいと思っていますので、そこの気持ちだけは御理解いただければと思っております。

○河上委員長 私自身は、この制度もある程度方向づけが政策的に行われている段階で、消費者庁が新しい届出を使って、ぎりぎりトクホ並みの安全性と品質の確保のために制度を考えようという姿勢で臨まれたということは理解しておりまして、そのこと自体は応援してあげたいという気持ちが強うございます。

ただ、先ほど来申し上げました制度的な脆弱性というものについては払拭できないところがあって、その部分と執行体制に関する、さらなる強い形での推進ということをぜひお願いしたいということがございます。本日の議論では、今の段階で少なくとも適当であるという本文を前提とした付帯意見を、直ちにここで合意するというのはちょっとためらわれる方が少なくないという感じがいたします。同じ内容であるにしても、きちんともう一度議論して、この内容で出すのだけれども、そこにはこういう問題意識があるのだということを明確にするためにも、現時点でこのような形で答申案をまとめることについては慎重でありたいと思います。

当委員会としてももう少し議論を重ねて、食品表示基準による制度位置づけの実効性について確認をしたほうが、同じ答申を出すにしてもいいのではないかと思いますので、ひとまず保留とさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どうもありがとうございました。

では、この場で結論を出すということは差し控えさせていただきまして、できましたら次の委員会でもう一度議論させていただいて、本日は答申に関する議決は行わないということでお許しいただきたいと思います。

≪3.食品衛生法に係る答申書案について≫

○河上委員長 では、次の件をお願いしたいと思います。もう一つの議題は、「食品衛生法に係る答申書案」でございます。

本件は、食品衛生法に基づく食品表示基準の一部改正を内容とする諮問が内閣総理大臣からございまして、当委員会の食品表示部会において、諮問案のとおり改正することが適当との答申(案)が議決されているところであります。通常、食品表示部会の議決は、食品表示部会設置・運営規程第7条に、部会の議決については、委員長の同意を得て、委員会の議決とすることができるとあることを受けまして、部会の議決に私、河上が委員長として同意することで消費者委員会の議決としているところでございます。

しかしながら、今回は答申(案)の議決に至る部会での議論状況を伺いましたところ、答申に具体的に盛り込んだほうがよいのではないかと思われる点がございました。そこで、部会での議論を生かす形で、部会で議論された答申(案)に付帯意見をつける形での修正を加えてはどうかと考えました。部会の議論をこれによって生かすという方向での変更ではあるわけですけれども、形式的に見ると、部会での議決に親委員会が修正を加えるというものでございますので、委員長である私の一存で進めるのではなくて、本会議での議論、御確認をいただきたいと思いまして、本日の議題といたしました。

本日の資料としましては、私のほうで部会の議論状況を伺った上で修正を加えた形での答申書(案)、資料2を配付させていただいておりますが、まずは阿久澤委員から食品表示部会での議論状況について御報告をいただいて、その上で配付の答申(案)について御議論いただきたいと考えております。では、阿久澤委員からよろしくお願いいたします。

○阿久澤委員 それでは、10月31日の第34回食品表示部会及び11月6日の第35回食品表示部会において、乳等表示基準府令の一部改正について、諮問元である消費者庁から説明を受け、部会において議論を行いました。

本件諮問の趣旨は、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会において、ナチュラルチーズを販売する際に製品に含まれる可能性があるリステリア・モノサイトゲネスという食中毒の原因菌の上限を、今までの0個から、国際基準に合わせた100個以下に変更し、あわせて容器包装に入れた後、加熱殺菌した製品または飲食に供する際に加熱を要する製品については、この100個以下という基準から除外すると決定されることを受け、並行して食品表示基準を変更するというものです。

諮問案では、この除外される部分、容器包装に入れた後、加熱殺菌した製品、または飲食に供する際に加熱を要する製品については、そういった製品である旨を容器または包装の見やすい場所に表示するといった内容になっています。部会の結論としては、諮問された改正案のとおり、一部改正することが適当であるとの内容で答申すべきとの議決に至りました。

ただし、そもそも原因菌ゼロという条件を緩和して販売することの是非を消費者委員会として議論してからでないと、本件諮問を認めるべきではないとの理由で諮問案に反対された委員が1名おられました。

また、議決に至るまでの議論において複数の委員から、加熱時間や保存期間によっては、チーズに含まれる食中毒の原因菌により、消費者の安全が脅かされる危険性があるため、通知等によって、そのような危険性を消費者に気づかせるための方策を講じるべきとの御指摘がありました。具体的には、例えば諮問案に、加熱を要する旨の表示をすべしとの点について、加熱用と書かれているだけでは、消費者は必ずしも加熱が必要であるとは受けとめず、加熱したほうがおいしいものとしか受けとめない危険があるので、加熱が必要であることが間違いなく消費者に伝わるような表示とすべき等の御指摘です。

これらの御指摘については、これに反対される御意見は出ておりませんでした。部会では、そのような御指摘はございましたが、諮問された改正案自体については、先ほど申し上げたとおり、反対された1名を除きまして、適当であるとのことで部会として議決いたしました。以上、御報告させていただきます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

今、御説明のあったとおり、部会で多くの委員から御指摘のあった表示の具体的なありようについて、これは付帯意見とすることで委員会の答申書に明記したほうが、むしろ部会での意見をうまく引き揚げた形での答申書がつくれるのではないかと、私のほうで考えて、これを付帯意見とすることでお諮りをしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。夏目委員。

○夏目委員 部会での議論の論点といいますか、大きな争点は2つあったと思います。

まず1つは、薬事・食品衛生審議会で、これは既に安全性について審議がされ、決定されていて、こちらに表示の答申が来ているわけでございますけれども、そこでの議論の中で、食品健康影響評価結果につきまして、そのうちの1つに、免疫機能が低下している感受性集団が健常者集団よりもLM感染症のリスクが200倍高いと推定されており、また65歳以上の高齢者が感染症全患者の77.6%を占めることから、感受性集団に焦点を絞ったリスク管理措置の検討及び実施、並びにその効果の検証がLM感染症リスク低減に効果的であるとリスク評価の概要の中に記載されていたところから、これでは感受性集団に対して、低減効果をもっときちんとやっていくべきではないかという御意見だったと思います。

この点につきましては、既に食品安全委員会からリスク評価が出ておりまして、その評価を覆すだけの根拠は、消費者庁はもちろん消費者委員会も持っておりません。したがいまして、私個人は、この食品安全委員会のリスク評価は妥当だろうと思います。もちろん、感受性集団については、今後見ていく必要はあろうかと思います。それが1点目の議論でございました。

それから、2つ目の議論でございまして、特にここに多くの委員から御意見をいただきましたけれども、厚労省の薬事・食品衛生審議会で出された議論の中にその他の措置というところがございました。

その他の措置というところに3つ項目がございまして、まず1つ目は、今回、規格基準を設定しないその他の食品についても、喫食時における高い菌数のLMに汚染された食品の発生比率を抑える必要があることから、製造工場におけるHACCPの導入、環境由来のLM汚染や増殖の防止のために、製造環境対策としての一般の衛生管理の徹底等を行うよう指導することとする。これがリスク管理だと思います。

2つ目ですけれども、保存期間の適切な設定がLMのリスク管理には重要であることから、食品期限表示の設定について、既に一般的指標として示されている低温、殺菌、残存の有無の評価について徹底が図られるよう消費者庁にも要請するということで、要するに消費者庁にリスク管理をしっかりやってくださいというものでございました。

そして、皆さんから意見がございました多くのものは3つ目でございまして、食品のリスク評価結果では、LM感染症に罹患する原因として、冷蔵状態で比較的長い時間保管された食品など、LMが著しく増殖した汚染食品を喫食している可能性が考えられるとしていることから、特に感受性集団、妊婦とか高齢者等でございますけれども、に対して食品全体に対する注意換気を行うこととする。感受性集団を中心に、この注意喚起を表示できちんとやってほしいというところで、様々な具体的な御意見等もいただいたと思っております。

部会長から御報告がございましたように、この基準そのものについての異論はございませんでしたけれども、今後、消費者庁が表示をやっていくときには、リスク管理も含めて、そういう脆弱な人たちも守るような対策をしっかりやってほしいという御意見だったと思いますので、部会ではこういったものは答申書の中に入っておりませんでしたけれども、報告を上げ、委員長がここで決めていただくことには、私はとても賛成するところでございます。以上です。

○河上委員長 ありがとうございます。

ほかにはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

では、資料2にありますように、付帯意見を付した形で答申するということで、これは案をとらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

≪4.その他≫

○河上委員長 それから、「その他」であります。時間が大分押しておりまして、申しわけございませんが、特定保健用食品の表示許可に関する答申であります。

新開発食品調査部会から報告があります。これも阿久澤委員からですけれども、よろしくお願いします。

○阿久澤委員 それでは、特定保健用食品の表示許可にかかわる答申について、私から御報告いたします。

平成26年9月17日に開催した第20回新開発食品調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、11月17日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。

資料3の答申書を御覧ください。内閣総理大臣より諮問を受けて、第20回新開発食品調査部会において、安全性及び効果について審議を行った結果、指摘事項を確認の上、了承することが部会長に一任され、申請者からの回答書を確認し、特定保健用食品として認めることといたしました。私からの報告は以上になります。

○河上委員長 次に、景品表示法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会の廃止についてであります。

委員の皆様に御案内のとおり、先月19日に不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律が成立いたしました。役割を終えた課徴金専門調査会をここで廃止したいと考えております。

詳細につきましては、事務局から説明をお願いいたします。

○金児企画官 資料はございませんけれども、景品表示法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会は、昨年12月に景品表示法上の不当表示規制の実効性を確保するための課徴金制度の導入等の違反行為に対する措置のあり方について、内閣総理大臣から当委員会に諮問がなされたことを受け、第139回本会議で設置が決定されました。当専門調査会では、本年2月から6月にかけて、原則本会議との合同で調査・審議を行い、その取りまとめを受けて、6月10日の第163回本会議で答申を決定いたしました。

その後、消費者庁において検討が重ねられ、不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案が国会に提出され、先般の臨時国会で審議され、法律が先月19日に成立、27日に公布されました。

当委員会の課徴金専門調査会については、役割を終えましたので、ここで廃止するという御提案でございます。以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

ただいま事務局から説明いただきましたように、景品表示法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会を本日付で廃止することについて、御異議ございませんでしょうか。ありがとうございます。

それでは、消費者委員会として、景品表示法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会を廃止することを決定させていただきます。今後、この制度の動向については、消費者委員会の本会議でフォローしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

最後に、去る11月22日土曜日に実施いたしました「消費者問題シンポジウムin長野」の実施報告を事務局からお願いいたします。

○黒木事務局長 11月22日に「消費者問題シンポジウムin長野」を長野県消費者団体連絡協議会と本委員会との共催で開催いたしましたので、御報告させていただきます。資料は4になりますので、適宜御覧いただければと思います。

当日午前中には、長野県の消費者団体連絡協議会主催の長野県消費者大会が開催されておりましたが、午後からシンポジウムin長野を開催いたしました。当日は、消費者行政担当者の方あるいは相談員の方、消費者団体の方、一般消費者の方など、約120名の御参加をいただきました。

シンポジウムのテーマは、「消費者被害をなくすために」ということで開催させていただきまして、冒頭に共催者の長野県消費者団体連絡協議会鵜飼会長より開会の御挨拶をいただき、基調講演を2本、河上委員長及び長野県県民文化部の逢沢室長にいただきまして、その後、パネルディスカッションをしていただきました。パネルディスカッションでは、岩田委員にコーディネーターをしていただきまして、パネリストとしては先ほどの長野県県民文化部室長、消費者庁消費者教育・地方協力課の植田課長、長野県消費者団体連絡協議会才川副会長、長野県弁護士会の中嶋消費者問題対策委員長に御出席いただきました。

サブテーマとして、消費者被害の予防についてと消費者被害の事後対応についてという、2つのテーマを設定していただきまして議論を深めていただいたところでございます。

パネリストからは、前半の被害の予防についてという点では、種々御指摘をいただきましたが、例えば長野県で進めておられるサポーター制度の取組を地域で機能するように進めていきたいという御指摘。あるいは、学校での教育が重要で、特に最近では子どもが加害者になる事例もあることを考えて、そういうものに取り組んでいくべきという御指摘。あるいは、地域の連携が大切で、見守りネットワークについては市町村が主体で動いてもらわないといけないのだけれども、新しい組織をつくるのはなかなか難しいので、既存のネットワークを利用して進めたいという御指摘等がございました。

2つ目の被害の事後対応についてという点では、消費生活センターの相談で、あっせんの件数は年々増加していて、またそのあっせんをした場合の解決率もおおむね9割と非常に高いということがございますので、まず消費生活センターに相談していただくのがよいのではないかという御指摘。それから、消費者トラブルについては、誰にも相談していない、あるいは消費者御自身がトラブルだと気づいていないといった声も聞くので、個別の対応が大変必要であるという御指摘等がございました。

また、その後フロアからの御質問、御意見では、長野県の消費生活サポーター制度というものに大変期待しているという御指摘でありますとか、あるいは地域とのつながりの強い方、床屋さんとか商店の方に首長さんから委嘱して、そのような方にサポーター制度の講習を受けていただいて、既存の市町村のマンパワーを活用していくという形で、広くサポーター制度を活用していくことが有効なのではないか等の御指摘がございました。

あと、前日でございますけれども、11月21日には委員長に阿部長野県知事と加藤長野市長に表敬訪問をいただきました。

以上でございます。

○河上委員長 当日、シンポジウムのコーディネーターを岩田委員にしていただきまして、大変好評でございましたけれども、岩田委員からも何か。

○岩田委員 私自身、初めてこういうシンポジウムに出たのですけれども、大変勉強させていただきました。

長野県の取組はすばらしいところがありまして、今年消費者基本計画を作ったのですが、これは同時に消費者教育の基本計画を兼ねているのですけれども、それが今年の6月に出ています。もちろん体系的なオールラウンドな計画なのですけれども、すばらしいなと思いましたのは、そこに政策の優先順位をつけていて、優先順位の高い政策はこれであるということがはっきりしているということと、各政策ごとに数値目標を掲げていてPDCAサイクルを回そうとしているのですね。

特に、非常に印象に残りましたのは、長野県は今、特殊詐欺被害というのが急増しているのですけれども、これに対しては知事が先頭に立って半減するという数値目標を掲げて、多くの機関を巻き込んでやっています。ただ、難しくて、現状では前年比を上回る被害が出ているので半減どころではないのですけれども、そういうふうに非常に意欲的に取り組まれている。

今、事務局長から何回か出てきた、消費生活サポーター制度というのも非常にユニークで、これは消費者教育の担い手になる消費者自身が県に登録して、そして県は研修だけやってくれるのですけれども、研修を受けた消費者が行政に頼るのではなくて、自らが消費者被害を予防するための消費者教育の担い手になるというところがよかったかなと思いました。

それから、登壇していただいた方の関係も見ていて、行政と消費者団体と弁護士団体の連携は非常にうまくいっているかなという印象でした。一方、学校教育との連携が、これまではまだまだ不十分で、これから強化しないといけないという御意見もございましたけれども、本当にいい取組をしている県だなと思いまして、大変勉強させていただきました。

○河上委員長 ありがとうございました。

というわけで、私から補足することはほとんどないのですけれども、実は長野県は2月に豪雪災害を受けていて、そして7月の台風8号で土石流の災害が起きているのです。しかも、9月に御嶽山が噴火して大変な被害をこうむったということがございました。さらに、実は我々がシンポジウムをやった11月22日に地震がございまして、次から次へと大きな災害に見舞われているという現実があります。

当日、御挨拶に長野県の加藤副知事がお見えになって、これからまた御嶽山のほうに行かなくてはいけないのでと、挨拶だけをして帰られたのですけれども、後から事務局を通じて御連絡をいただきまして、シンポジウムをしていただいて大変ありがたかったということとともに、こういう自然災害が起きたときに生活にとって必要な安全情報とか災害に関する注意喚起といったものが非常に重要になるということ。これは3.11以来、言われていることですけれども、改めて痛感させられました。自治体としても、平時のうちにそうした情報の収集とか提供について、きちんと考えていかないといけないということをるる書いておられました。

消費者委員会が何ができるかということは限界がございますけれども、私どもとしても、消費者庁と力をあわせて、そうした災害時における生活の安全・安心に関する情報の収集、注意喚起といった問題についても、きちんと考えていきたいと思った次第でございます。


≪5.閉会≫

○河上委員長 以上でございまして、最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いしたいと思います。

○大貫参事官 次回の本会議の日程、議題については、決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。

なお、この後、19時半を目途に消費者庁記者会見室において、報道機関の皆様を対象とする委員長記者会見を行いますので、お知らせいたします。この後、委員間打合せを開催いたしますので、委員の皆様におかれましては委員室のほうに御移動くださいますようお願いいたします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)