第159回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2014年5月20日(火)15:59~18:11

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、山本委員、唯根委員
【事務局】
黒木事務局長、井内審議官、大貫参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者基本計画の検証・評価・監視について
    • (1)いわゆる健康食品の表示等について
      消費者庁
      片桐 表示対策課長
      竹田 食品表示企画課長
      宗林 消費者安全課長
      金田 消費者安全課企画官
      厚生労働省
      食品安全部基準審査課 岡崎 健康食品安全対策専門官
      医政局総務課 井上 薬事情報専門官
      医薬食品局総務課担当者
      農林水産省
      消費・安全局表示・規格課担当者
    • (2)インターネットによる財産被害対策について
      消費者庁
      浅田 消費者政策課長
      片桐 表示対策課長
      山下 取引対策課長
      経済産業省
      苗村 商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 予定より1分ほど早いですけれども、皆さん、おそろいでございますので、始めさせていただきます。本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会第159回本会議」を開催いたします。

それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

○大貫参事官 本日配付の資料でございますが、議事次第の配付資料の欄に書いてございます。資料1がヒアリングの対象施策。資料2が資料2-1から2-4まで分かれておりまして、いわゆる健康食品の表示等の関連資料。資料3が3-1と3-2とございまして、インターネットによる財産被害の関係の資料。参考資料1として施策別整理表、参考資料2として委員間打ち合わせの概要をお配りしております。不足の資料がございましたら、事務局までお申し出をお願いいたします。


≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

(1)いわゆる健康食品の表示等について

○河上委員長 本日の議題の最初は、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」であります。消費者基本法においては、消費者政策会議が行う消費者基本計画の検証・評価・監視について、それらの結果の取りまとめを行おうとする際には消費者委員会の意見を聞かなければならないとされております。

消費者庁を初めとする関係省庁では、当委員会が本年2月25日に発出した意見を踏まえて計画の検証・評価及び見直し作業を行い、この結果を取りまとめられた計画の改定素案が現在、パブリックコメントにかけられております。このため、当委員会としては、本改定素案の中の主な施策について関係省庁からヒアリングを実施し、計画の改定に向けた意見表明を改めて行うことにしております。本日は、その第2回目といたしまして、1番、いわゆる健康食品の表示等、2番、インターネットによる財産被害対策についてということでヒアリングを行いたいと考えております。

最初は、「いわゆる健康食品の表示等について」であります。消費者庁、厚生労働省、農林水産省におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

消費者委員会では、昨年1月に健康食品の表示等のあり方に関する建議を取りまとめ、健康食品の表示・広告の適正化、健康被害情報、安全性に関する取り組み、機能性表示に関する検討、消費者理解の促進に関する対応等を関係省庁に求めてきたところであります。その後、昨年8月に消費者庁及び厚生労働省から実施状況を御報告いただいたわけですけれども、本日はその後の取り組みについて御報告をいただければと思います。

それでは、まず本件に関する取り組み状況や、事前にヒアリング項目としてお示ししている点について、消費者庁、厚生労働省から御説明をいただきたいと思います。説明時間については、消費者庁、厚生労働省、それぞれ10分程度でお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 食品表示企画課長でございます。それでは、お手元の資料2-1に基づいて、食品の新たな機能性表示制度について、検討状況を御説明いたします。

まず、ページをおめくりいただきまして、2ページでございます。現行の食品の機能性表示制度についてであります。

食品については、3つの機能があると言われておりまして、1つ目が生命維持の機能、2つ目が食事を楽しむという機能、3つ目が体の調子を整える。これがいわゆる機能性表示の機能性と言われているものでございます。

現行制度、下のほうの色のついたところをご覧頂きたいのですけれども、機能性の表示ができるものは、大きく分けて2つございます。1つは、特定保健用食品、トクホと言われるものでございまして、これは表示について商品毎に消費者庁が許可をするものでございます。ご覧のように、おなかの調子を整えるとか、血糖値の気になる方へといったものがございます。もう一つは、栄養機能食品ということで、これはビタミンやミネラルについてその栄養成分の機能を表示するというものでございまして、これは定型文になってございまして、自己認証という形で企業がその定型文を表示することができる。自由に機能を表示することはできないものでございます。

今回検討しておりますのは、これ以外にも外縁のところで加工食品や農林水産物について機能性の表示ができるような制度を策定するということでございます。

次のページに行っていただきまして、3ページですけれども、御案内のとおり、昨年閣議決定された規制改革実施計画で決まっているものでございます。

上の表の真ん中の規制改革の内容の2行目ですけれども、「保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物について、機能性の表示を容認する新たな方策」を検討するということでございます。それがどういうものかということは、下から6行目になりますけれども、「企業等の責任において科学的根拠のもとに機能性を表示できる」制度にする。下から3行目、「安全性の確保も含めた運用が可能な仕組みとする」となっております。

1つ右に行っていただきますと、平成25年度中に検討を開始して、平成26年度中に結論・措置ということになってございます。

担当責任省庁は、我々消費者庁、それから厚生労働省、農林水産省となってございます。

1枚おめくりいただきまして、4ページでございます。制度をつくるに当たっての基本的な考え方ということでございますけれども、まず上のほうの丸にありますように、口に入れる食品でございますので、安全性の確保が大前提になる。左のほうの下に行っていただきまして、機能性表示を行うということでございますので、当然科学的な根拠、エビデンスが必要になる。どういうレベルのものが必要になるかということを検討する。右側に行っていただきまして、その上で消費者に情報を提供するという表示はどうあるべきか、適正な表示はどうあるべきかということ。これら大きく3つの柱として検討してまいります。

真ん中の四角にありますように、消費者が誤解しないような自主的・合理的な商品選択に資する表示制度にしなければいけないというのが基本的な考え方です。

では、具体的にどんな検討をしているか。5ページにいっていただきまして、主な論点ということで10個挙げてございます。

まず1つ目、安全性の確保でございますけれども、対象となる食品、成分の範囲はどのようなものか。それから、生産・製造及び品質について安全性を確保する上でどういう体制でやっていただくのか。3)は1)とも関連いたしますけれども、摂取量についてどう考えるか。4)、5)につきましては、不幸にして健康被害等が出たときには、どういうふうに情報を集めるのか。不良品等の流通防止、商品回収などの措置についてどう考えるのかというところが論点になってございます。

2つ目の箱が機能性の表示でございまして、繰り返しになりますけれども、企業の責任で表示していただきますので、そのときの科学的根拠のレベルはどの程度であればいいのか。2つ目、機能性表示の範囲については、どういったものなのか。もちろん薬事との仕切りがあるわけでございますけれども、現行、食品であります特定保健用食品、それから栄養機能食品といったものと比べてどうあるべきか。3つ目としては、消費者に誤認を与えない、具体的に申し上げますと、特定保健用食品のように許可するということで国がオーソライズしたものではございませんので、例えばそういった情報をどう伝えるかということがございます。

それから、表示制度として国の関与とありますけれども、具体的な制度を作るわけでございますので、今、申し上げたような安全性・機能性を担保するためには、どんな制度にしたらいいのか。あとは、主に安全性のことを所管しておられます厚生労働省、それから農林水産物、生鮮食品のことを所管しておられます農林水産省と消費者庁でどのような役割分担をして執行していくのかといった点を検討することになっております。

6ページでございますけれども、今、申し上げたようなことにつきましては、右側のほうをご覧いただきますと、消費者庁長官のもとに食品の新たな機能性表示制度に関する検討会というのを昨年12月に設けまして、ご覧いただいていますように第5回まで検討を重ねてきておるところでございます。第4回までが前半ということで、主に安全性の議論をしてまいりました。第5回からは、機能性の範囲、エビデンスのあり方といったものについて議論していく。予定としては、第8回、夏ごろまでに報告書を取りまとめまして制度の骨格を示す。その上で具体的な制度づくりを3省庁で進めていくことを今、考えております。

構成員の方々は、左にお名前がございますけれども、座長は下から3番目、松澤先生でございます。大阪にございます住友病院の院長でございまして、メタボリックシンドロームの研究の第一人者でございます。それから、消費者代表の委員としては、上から5人目の河野先生、一番下の森田先生。業界代表の委員としては、下から2番目の宮島先生。こちらは、公益財団法人日本通信販売協会の理事でございます。それから、下から6番目の関口先生。こちらは、健康食品産業協議会の会長を務められており、メーカー団体の代表でございます。その余は、全て研究者の方々になっております。

最後、7ページでございますけれども、繰り返しになりますけれども、実施に向けたスケジュールということで、ピンクの枠が今、申し上げました検討会での議論になっています。前半で安全性の議論、後半で機能性の議論を行い、夏ごろまでに一定の結論を得る。その後に法令等改正となっていまして、下のほうに吹き出しがございますけれども、厚労省、農水省と制度の骨格を詰める。それから、こちら、消費者委員会での意見聴取の手続、パブリックコメント。それができましたら、施行通知やQ&A といった本格的な制度の施行に向けての普及といいましょうか、御理解をいただくような活動をしていくということでございます。

期限としては、平成26年度中ということでございますので、厳密に言うと平成27年3月31日までに新しい制度を施行するということで、現在検討を進めているところでございます。

簡単でございますけれども、私からの説明は以上でございます。

○消費者庁宗林消費者安全課長 続きまして、消費者安全課長でございます。私のほうからは、リスクコミュニケーションの状況についてということでございまして、1枚、資料2-2という表裏が、きょうの資料でございます。

安全課のほうでは、食品安全について消費者の関心が高いものにつきましては、リスクコミュニケーションの推進に常に努めているところでございます。いわゆる健康食品につきましても、身近な商品であり、関心も高いということから、ここにチラシをお示ししましたように、平成26年2月に東京、名古屋、大阪という3カ所でリスクコミュニケーションを実施いたしました。

内容的には、そこの上の4行のところに書いてございますが、機能性表示については、今、ちょうど検討会を開催中でもありますし、それ以外について、そもそも健康食品、いわゆる健康食品とはどのように考えていくのかという原点に戻っていろいろなことを議論するということでございまして、安全や品質、そして広告をどう見ていくのかという観点から、消費者の立場で問題を考察し、いかにかかわるべきかということで、消費者がみずから適切な消費行動がきちんとできるようにと、パネルディスカッションや会場との意見交換という形で行いました。

後ろを見ていただきますと、真ん中辺にパネリストということで1)、2)、3)、4)、5)、6)と書いてございますが、まず梅垣先生に3会場とも、市場の概況、それから今お話しました安全や品質、どんな点が問題なのか等、基調講演を頂戴しまして、それをきっかけとしまして、行政の方も加わり、6人でパネルディスカッションを実施したという形でございます。

最後のほう、会場ともいろいろなやりとりができまして、消費者のほかに事業者もかなり多く参加していただきました。そして、健康食品を生活の中に取り入れていくにはということで、例えば運動とか睡眠とか休養という中に、この健康食品をどういうふうに取り入れていくかと考えるべきだという御意見とか。あと、表示に関しましては、読み解きをするような消費者のリテラシーを高めていくような消費者教育が必要ではないかということ。あとは、例えば薬事法等との問題、それから消費者の誤認を招くような、誘引するような広告をもっと厳しく規制して取り締まりを徹底してもらいたいという御意見とかを頂戴しまして、やりとりをさせていただきました。

今後も必要に応じてということになると思いますけれども、皆さん、関心が高ければ、何らかの形で引き続きやっていきたいと思っております。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、続いて、厚生労働省から、お願いします。

○厚生労働省岡崎食品安全部基準審査課健康食品安全対策専門官 厚生労働省の岡崎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。資料2-4で説明させていただきます。今回、ヒアリング項目として4つほどいただいておりますので、それに対する措置内容ということで御説明させていただきます。

まず1つ目としましては、いわゆる健康食品による健康被害情報の収集・解析手法の研究状況について説明されたいということでしたので、この研究につきましては、厚生労働科学研究で平成24年度から3カ年にわたって研究しております。

まず、初年度の平成24年度につきましては、「健康被害の因果関係の解析」に焦点を当てまして、個別情報の評価方法、アルゴリズムというものを作成しまして、その研究室レベルでの妥当性の検証を行いました。

2年度目の平成25年度につきましては、24年度の結果を踏まえて、実用性に関する検討、これは関係各所、保健所とか消費者センター、あと企業のほうにアンケート調査を行ってございます。

最終年度の26年度につきましては、これまでの研究の内容を踏まえて、情報収集の方法と報告手法について確立するという予定でございます。

続きまして、2点目の健康被害防止に関する所要の措置を行った事例があれば説明されたいということです。

こちらは下からいきますと、平成25年8月22日に、これはオランダの事例ですが、健康食品(デキサプリン)に健康被害が発生しているという情報を探知しましたので、これについて注意喚起を行っております。

同様に、10月9日、こちらは米国の事例ですが、OxyElite Proという健康食品を摂取して急性肝炎が発症し、死亡事例なども含むということでして、これについても同様に注意喚起を行ったという事例でございます。

次に、10月31日の2,4-ジニトロフェノールの取り扱いにつきまして、こちらは英国の事例でございます。

次に、11月13日VERSA‐1に関する注意喚起ですが、これは米国と英国での注意喚起の事例でございまして、VERSA‐1につきましては、10月9日にOxyElite Pro に注意喚起を出しているのですけれども、ここと同じ製造者で、同じ関与成分を含有しているということで注意喚起したという事例でございます。

次に、12月5日Metagenics社製の健康食品に関する注意喚起ということで、こちらはルクセンブルクの事例でございます。

一番直近ですが、12月25日、OxyElite Proにつきまして再周知したという事例でございます。こちらにつきましては、10月9日の段階で注意喚起していたのですけれども、国内で発生した事例があったということでしたので、再度注意喚起したという事例でございます。

これらの情報につきましては、厚生労働省のホームページにも掲載しておりまして、国民に対して広く周知を図っているところでございます。

次に、3つ目ですが、医師・薬剤師等が診療、調剤等を行うに当たって、「健康食品による健康被害の未然防止と拡大防止に向けて」というパンフレットがあるのですけれども、そういったものを活用して積極的な働きかけをされているかどうかということです。こちらにつきましては、日本医師会とか日本薬剤師会に情報を提供しているところでございます。その他、都道府県とか各検疫所とか栄養研究所とか、ごらんの関係機関に配布して周知を図っているところでございます。

○厚生労働省医薬食品局総務課担当者 医薬食品局総務課でございます。薬剤師における新たな取り組みの進捗状況について、説明させていただきます。

本年2月の薬務主管課長会議で都道府県の薬剤師会と連携しつつ、薬と健康の習慣において医薬品と健康食品の相互作用に関する注意喚起をしていただくよう、厚生労働省から都道府県に依頼したところでございます。

○厚生労働省岡崎食品安全部基準審査課健康食品安全対策専門官 一番最後ですが、「健康食品の正しい利用法」のパンフレット再配布等により、消費者理解の促進が図られた事例があれば説明していただきたいという内容につきましては、先ほど消費者庁のほうからも御説明がありましたとおり、平成25 年度に健康食品に関するリスクコミュニケーションを共催しまして、その際に配布資料として活用し、配布することと、リスコミで説明するということで理解の促進を図ってございます。その際に、消費者団体の方から配布に関する要望がございましたので、それにつきましては別途送付して御活用いただいているところでございます。私からは以上です。

○河上委員長 農林水産省に関しては、消費者庁のほうからお願いできるわけですか。お願いします。

○消費者庁片桐表示対策課長 発言しそびれまして恐縮でございますけれども、表示対策課長でございます。健康食品等の留意事項についての事前のヒアリング項目を頂戴しておりますので、その御照会に対しまして御説明を今からお話申し上げたいと思います。

まず最初のヒアリングの項目ですけれども、資料1のほうがわかりやすいと思います。この右手に当方に対するお問い合わせが書いてございます。いわゆる健康食品に関する景品表示法・健康増進法上の留意事項ということであります。ここで、「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針」。これは、健康増進法32条2が導入されたときに厚生労働省が定めたガイドラインです。それから、次の「ガイドラインに係る留意事項」では記載されていた、立入検査・収去等の手続、虚偽誇大広告等の監視体制整備について、記載されていない理由を説明されたいというのが最初のヒアリング項目ということでございます。

これに対するお答えでございますけれども、当方、消費者庁のほうで、きょうの資料2-3ということでおつけしておりますけれども、「いわゆる健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項」というものを公表しております。この内容については、全て説明するのは時間の関係で省略いたしますけれども、この留意事項で、ヒアリングの項目で触れられておりました厚生労働省時代のガイドライン、それからガイドラインの留意事項で示された健康増進法上の虚偽誇大広告の判断基準が不明確だという指摘を受けて作成したのが、この資料2-3の消費者庁でつくりましたガイドラインでございます。

厚生労働省時代のガイドライン等については、当時、健康増進法を所管していた厚生労働省におかれまして、健康増進法上の事務の運営につきまして、地方自治法第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言として都道府県等に通知したものと理解しております。他方、この資料2-3につけました消費者庁の留意事項は、健康食品を取り扱う事業者とか景品表示法あるいは健康増進法を執行する都道府県の担当者の方々に対しまして、景品表示法、健康増進法の考え方や判断基準の理解の促進を図るために作成・公表させていただいたものでございまして、わかりやすさの観点から、今回の留意事項においては、健康増進法に係る立入検査・収去等の手続とか虚偽誇大広告等の監視体制整備については記載していない形でございます。

それから、次のヒアリング項目といたしまして、消費者委員会の建議において問い合わせが多い事例を充実させるように求めているが、都道府県等から問い合わせが多い事例等が取り込まれているのかというお尋ねでございます。これにつきましては、ただいまの留意事項の第2及び第3で、景品表示法、それから健康増進法の虚偽誇大広告等の規制対象となる表示の範囲、対象商品、対象者、違反行為の要件、それから違反行為に対する措置等についての考え方を明確にいたしまして、さらに本留意事項第4 のほうで景品表示法、健康増進法上、問題となる表示例及び過去の違反事例を示しているところでございます。

健康増進法につきましては、これまで都道府県等の担当者から個別具体的な事例に関する問題だけじゃなくて、広告に該当するのかどうかという広告該当性の話とか、違反行為の要件といった法律の考え方、判断基準に関する問い合わせを多く受けていたといった状況にございます。そこで、留意事項ではこうした点を踏まえまして、健康増進法上の虚偽誇大広告の規制対象となる表示の範囲とか対象商品、対象者、違反行為の要件、違反行為に対する措置等についての考え方を明確化しまして、さらに健康増進法上の具体的な指導事例を盛り込むことで、法律の考え方や判断基準の理解・促進を図ったというつもりのものでございます。

それから、3つ目のお尋ねになりますけれども、留意事項のほうで健康増進法32条の2の規制対象範囲について具体例を挙げ、明確化に努めているけれども、その留意事項の効果について、どうなのかというお尋ねでございます。

これにつきましては、繰り返しになりますけれども、留意事項の第2、第3で景品表示法、健康増進法の虚偽誇大広告の規制対象となる表示の範囲、対象商品、対象者、違反行為の要件、違反行為に対する措置等についての考え方を明確にいたしまして、さらに第4のほうで具体例ということで、両法の表示例とか過去の違反事例を示しているということでございます。

消費者庁のほうにおきまして、我々のほうでこの留意事項を公表いたしました後で、事業者向けの説明会とか担当者向けの研修会を開催いたしまして、これら2つの法律の考え方、判断基準につきまして事業者等の理解・促進を図ってきているところでございます。この留意事項の公表によりまして、いわゆる健康食品の表示に係る健康増進法や景品表示法の違反事例が減少しているといった、数字的な外形的な効果が目に見えてあらわれてきているというタイミングではないということでありますけれども、健康食品を取り扱う事業者の予見可能性とか、都道府県の担当者による効果的な執行の確保ということが期待されるのではないかと考えているところでございます。

以上が留意事項に関するヒアリング項目ということで、次の大きなヒアリング項目といたしまして、適格消費者団体における差止請求権についてのお尋ねがございます。それのまず最初でございますけれども、資料1の右手の消費者庁のマル2 適格消費者団体における景品表示法第10条の差止請求権行使の実績低調の原因を検証し、その結果を踏まえて、必要な措置等について平成25 年度中に一定の結論を得ると消費者庁は言っていたけれども、その結果どうなったのかというお尋ねでございます。

それに対するお答えでございますけれども、本件、つまり適格消費者団体の差止請求権の問題ですけれども、昨年7月にまさに適格消費者団体の方々に対しましてアンケート調査をいたしまして、その結果を分析いたしました。その結果でありますが、差止請求訴訟が提起された事例はなかった、ゼロ件でありましたけれども、他方で全ての適格消費者団体におかれまして差止請求権の必要性を一様に認めておられるということでございまして、裁判以外の申し入れを通じまして問題の解決が図られているという実態でございました。

それから、訴訟といたしましては、ことしに入りまして26年1月でございますけれども、京都の適格消費者団体、京都消費者契約ネットワークが景表法第10条に基づきまして差止請求訴訟を提起しておりまして、裁判所で現在係争中でございます。こうしたことから、景品表示法第10条に基づく差止請求権の利用実態でございますけれども、低調であるとは言えないのではないかと考えております。また、差止請求権を背景とした裁判以外の申し入れを通じまして、十分な問題解決も図られているといった評価がむしろできるのではないかと考えておりまして、かかる結果を踏まえまして、消費者庁として特段の措置を講じる必要はないのではないかという結論に至ったということでございます。

また、今後の訴訟の結果とか裁判以外の申し入れで解決が図られていると申し上げましたけれども、こういった裁判以外の申し入れに基づく問題是正の状況を見つつ、必要な措置等があれば、改めて検討を行うことといたしたいと考えているところでございます。

ヒアリングに対する御説明は以上でございます。どうも失礼しました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 御説明、どうもありがとうございました。

最初に、食品の新たな機能性表示制度の検討状況について説明いただきましたが、あらためて、なぜこのような制度が必要なのかという趣旨の質問です。説明にもありましたけれども、現在、保健機能に関する表示は2つあるなか、さらにこのような新たな制度をということの意義がどこにあるのかに疑問を持っています。現在の制度は、1990年頃からあって、その目的が健康増進法に基づく制度です。その効果がどの程度あったのか。もう一つの目的である、経済的効果は、あったことが目に見えてわかります。年々増加して、今や、1.5兆円規模程度の市場になっております。新制度を導入前に、先ずは現在の制度によって、果たして、健康維持増進への寄与がどの程度あったのか、その検証が必要だと思います。数字で示すのは非常に難しいかと思いますが、何らかの分析をされていたらお聞かせいただきたいと思います。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 今、御指摘いただきましたように、特定保健用食品だけで健康増進の効果がどうなったかというのをはかるのは、およそ不可能だろうと思います。社会・経済情勢も変化してございますし、食事の摂取状況といったものも変化しておりますので、そういった定量的な分析は困難だろうと思っております。現に、そういった分析は制度創設以来、なされていないと承知しております。

今回の制度の必要性でございますけれども、これも釈迦に説法でございますけれども、議論の発端となりましたのは、現行の特定保健用食品制度について、許可を取得するまでの費用の面、時間の面で中小事業者の方々がチャレンジするにはハードルが高いのではないか。そういった点も踏まえまして、科学的な根拠、適切にエビデンスを収集・評価した上で企業の自己責任で表示する。その際に消費者の方にもエビデンスに基づく情報を適切に伝えることで、商品選択によりプラスになっていくのではないかといった文脈で、昨年、規制改革の決定がなされたものと承知しております。

○河上委員長 阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 そうしますと、今までの2つのものを存置させて、さらに新たなものをつくる。今の説明の中にもあったと思いますが、健康増進を目的とする制度でありながら、その検証がされていない状況で、今までの2つの制度だけであっても、消費者にとっては健康維持増進に関連づけるとうたっている食品が益々増加し、理解が非常に難しい状況にあります。そこにある意味物差しがさらに一つ増え3つになるということで、非常に複雑・難解になるのかなと思うのです。いっその事、現在の制度は存置せず、制度化したい新表示1本にという議論はなかったですか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 基本的には、今の特定保健用食品及び栄養機能食品は、制度としては残す。特定保健用食品については、個別の商品の許可ということで、まさに国が商品についてオーソライズしてございますし、栄養機能食品については、ビタミン、ミネラルについて、機能のはっきりしたものについて定型文を用いて自己認証していただく。このほかにということで、自己責任という意味では、自己認証という点で栄養機能食品と共通点がございますけれども、保健機能について表示を認めるということで違うジャンルの商品になる。

確かに第3のジャンルができるわけでございますので、そこのところは消費者の方に御理解いただかなければいけないということで、先ほど消費者の誤認を招かないということを申し上げましたけれども、例えば、国が機能について評価した商品ではありませんとか、アメリカのダイエタリーサプリメントの表示制度ですと、そういった表現を入れていただいていますけれども、そういったものを入れて、商品としては別ジャンルでありますということを表示しつつ、先生御指摘のように、お買い求めいただく方にもよりそれがわかりやすくなるように、メーカー、業界団体にも御努力いただかなければいけないと思います。

我々としても消費者の方に3つのジャンルがあって、それぞれこのような違いがあるのですということはしっかり御理解いただけるよう、普及啓発にも力を入れることで、この制度を来年から動かしていきたいと考えております。

○阿久澤委員 まだまだ非常にわかりにくいところはあるのですが、1つだけ例として、複数の物差しという観点から。複数といっても、栄養機能を除いた新旧2つの機能性表示でのことですけれども、例えば茶飲料の茶カテキン含量について、トクホのものは350ml中に200mgぐらいですか。トクホでないものについても、500ml 中に200mgあるいはそれ以上含まれるものもあるという現状から。いわゆる健康食品としての機能性表示をもしするとなった場合、または特別に機能表示をしなくても、飲む量が違うが1本を飲むケースで言うと。トクホとの関与成分の関係が判り難くなります。一般食品やいわゆる健康食品の機能性表示のものが関与成分が多かったり、また、それが逆のものも生じてくると思います。そういった意味からも、物差しは一つに、複数の物差しの違いがわかりにくいと私は考えているのですが、その辺はどのように解決していけるのでしょうか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 かなり具体的な制度設計のお話になりますけれども、基本的には機能性表示をするに際し、エビデンスをとっていただくということになりますので、そういう意味では、先生がおっしゃいますような有意な差が出る摂取量というのは一体どの辺になるかというのは、特定保健用食品と新しい制度ができた暁に動いた制度で、大きく違ってくるとはあまり予想はしてございません。

そういう意味では、ある程度落ち着くところには落ち着くのではないかと思いますし、当然、現在検討中ではありますけれども、新しい制度の下で表示するのであれば、そういう機能性を有する成分がどれぐらい入っていなければいけないのかといったところは、事業者の方で適切に製品規格をつくって、お守りいただくことになります。その上でこういう機能があるのですという表示をしていただくことになりますので、そこは制度間でそういう誤解といいましょうか、逆転というものがないような形にしてまいりたいと思っております。

○河上委員長 唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 今のことにかかわるのですけれども、制度自体、消費者にわかりやすく、誤認させないというところで、今の御説明を伺っていると、逆に私たち、本当に理解できるだろうかと思ってしまいます。食品表示法でやっと表示が一本化するというところまで来るのにいろいろな法律で、制度が違うことで表示のわかりにくさがようやく変わってきたのに2 ページの図表と似たり寄ったりのことが、今回は健康食品の分野で起きて、制度が統合されたり、整理されるのかなと思ったのですけれども、制度がこのまま並立していくとなると余計わかりにくいのではないかと思います。今、阿久澤委員がおっしゃったとおりのことをどうやって消費者に誤認させないでいけるのか。

消費者だけではなく医薬現場の方たちにも同じ不安を感じます。

それは私が後ほど厚労省さんに質問したかったことですがここで申し上げてしまいます。健康食品と医薬品の関係をお医者様とか薬剤師さん、販売事業者の方すらが知らなくて説明していただけない場合が多々あります。私や老親は、いろいろな薬を飲んでおりまして、「おくすり手帳」を持ち歩いているのですけれども、処方せんで薬をいただくときに、健康食品との食べ合わせなどについてこちらからお尋ねしても、食品だからといってお医者様とか薬剤師さんから健康食品に関する説明を受けたことは今までほとんどないのです。つまり、厚労省さんが説明されたような医薬関係者からの健康食品に関する情報提供は行われていないと思います。

そういうことも含めて、本当に専門家でもいわゆる健康食品とトクホなどの機能性食品の違いをしっかりわかっているのか、なおかつ、トクホの委員も私、させていただいているのですが1,000以上もある食品を毎日取り交ぜて食べることで、本当に健康にいいと言えるのか、とり過ぎたりした健康被害について検証できないのか、検証しなくていいのかという疑問をずっと抱きながら委員をさせていただいています。その辺は、ぐちゃぐちゃな質問になってしまって申しわけないのですが、いかがお考えなのか伺いたいです。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 簡単に言ってしまいますと、特定保健用食品というのは個別の商品について国が許可するということで個別審査するものでございますし、新しい制度については、国が内容をオーソライズするのではなく、企業が自ら科学的根拠を評価することになります。そういった違いについては、先ほど申し上げましたけれども、具体的にまだこれということは決まっていませんが、表示により明らかに違うということは消費者にお伝えしていかなければいけないことだと思います。

それから、お医者様、薬剤師の方に健康食品のことのお尋ねをということになりますと、そういった方々が業務で必ずしも取り扱う商品ではございませんので、飲み合わせ、食べ合わせ等の関係でよくないといった情報があるものについては御存じかもしれませんが、パーフェクトにお答えが返ってくるというのは、少し難しいのかなと思います。

今回、我々が考えている制度では、安全性とか機能性の情報については、表示のほかにも消費者の皆様に情報公開をしていただく。どういう科学的根拠、エビデンスでこういう機能があるのですよ。それから、安全性についてはこういう評価をして、確かに安全ですよといったものを情報公開していただくようなことを考えておりますので、そうしたものもあわせまして、繰り返しになりますけれども、3つ目のジャンルで切り分けてございますけれども、それぞれの違いといったものは消費者の方々にきちんと御理解いただけるよう、メーカー、事業者団体と一緒に取り組んでまいりたいと思っております。

○河上委員長 過剰摂取の問題とか薬との飲み合わせの問題などで、お医者さん、薬剤師さんたちとの情報交換というか、協力が必要だという話は前にも出たことがあります。厚生労働省でも対応されていると伺っていたのですけれども、もし何か御意見がありましたら。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 制度の中では、それを想定した安全性というのは担保していただくことを考えてございます。特定保健用食品でもそうですけれども、過剰摂取についてもきちんと評価していただいて、安全であることを確認しておりますので、そういう意味で1日摂取目安量の2倍とったから直ちに危ないというものが市場に出てくることはないという制度にしたいと考えております。

○厚生労働省岡崎食品安全部基準審査課健康食品安全対策専門官 厚生労働省の取り組みですが、先ほど説明の中でも若干触れさせていただきました、「健康食品による健康被害の未然防止と拡大防止に向けて」というパンフレットをつくっておりまして、この中に健康食品の有害事象事例とか医薬品との相互作用といったものについて情報を入れております。これにつきましては、医師会、薬剤師会のほうにも配布して参考としていただくようにお願いしているところでございます。引き続き、これらについては定期的に必要に応じて改定することも考えておりますので、必要な情報を医療機関の方になるべく提供していきたいと考えているところでございます。

○河上委員長 唯根委員、よろしいですか。どうぞ。

○唯根委員 今の件ですけれども、私も消費者団体として薬局・薬店さんの登録販売事業者の研修制度などにも講師で行ったりしているのですが、そういう販売店さん、量販店さんや何かで医薬品と健康食品を扱っていらっしゃる事業者さんの研修です。そういうところでも、健康食品の安全性とか、消費者への情報提供をどう取り組んだらいいかを販売事業者さんたちが知らなくて、なおかつ研修講座の中身を見ますと、医薬品の販売事業者さんですから医薬品の安全性などの講座が中心で、健康食品は自分たちのところではないと踏み込んでいらっしゃらないですし御存じなくて、私たちが注意喚起することで、「えっ、そこまで販売事業者は知らなくちゃいけないのですか」と質問が返ってくるという状況が現場で起きているのです。

その辺は、厚生労働省さん、今、パンフレットをおつくりになって、医師会さんや都道府県、いろいろなところにお配りになっているとおっしゃっているのですが、どこまで行き渡っているかは検証されていらっしゃいますか。

○厚生労働省岡崎食品安全部基準審査課健康食品安全対策専門官 細かくどこまで配布されているかということは、データとして持っておりませんが、少なくとも医師会、薬剤師会の方からは、会員の皆様に配布しておきますということで聞いております。

○河上委員長 阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 過剰摂取の弊害、あるいは医師にとっては調剤したものの効果が薄くなるということを医師、薬剤師に求めるのは、ずっと見ていて、また只今説明を聞いて無理があるのかなと感じました。建議したときのアンケートでも、8割ぐらいが医師から尋ねられていないという数字ですが、今も唯根委員の発言も含めて、その数字は変わっていないだろうと感じています。そこで、逆に、これは事業者がその商品を販売するに当たって、こういう病気、あるいはこういう薬を飲んだりしている方は注意しなさいという喚起をさらに強化したら良いと思います。トクホの場合、バランスのよい食事をしなさいという表示が義務づけられているのと同じように、それを義務づけることも、ある意味必要なのではないかと感じております。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 今、御指摘いただいたようなバランスのよい食事をとるとか、調子の悪い方はお医者さんのところに行ってください。ちょっと言葉が正確ではないのですが、そういう表示をしていただくことについては検討課題として御提案することにしてございますので、当然そういった今、御指摘を受けたような懸念がなるべく少なくなるような義務表示についても検討しているところでございます。

○河上委員長 では、岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 新しい表示制度とトクホの関係について、もう一度お尋ねしたいと思うのですが、安全性とか機能性について、誰がそれを保証するかということについては、違うということがよくわかったのですが、一方で機能性の表示の仕方についてですが、トクホは表示の仕方自体も国が審査して決めておられますので、企業側から見ると非常に窮屈で表現の自由度が小さいと思うのです。新しい表示制度のほうは、商品の特徴、特に機能性についての表示の自由度というのは、現在のトクホと比べてどのようになる見込みなのでしょうか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 もちろん個別に審査をするものではございませんので、自己認証で表示することになりますけれども、我々として5月2日の検討会で御提案したものは、基本的には保健機能の表示ができますと。簡単に言いますと、特定保健用食品と同等の表現ができますということを御提案してございます。そういう意味で、定型文ではなく、企業の方がそれぞれエビデンスを評価して表示していただくということを考えております。

○岩田委員 逆じゃないかと思います。企業から見ますと、トクホを取得するために御説明もありましたけれども、非常に長い年数と費用をかけているわけです。普通どのぐらいでしょうか。短い年数ではなくて、相当長い年月と億単位の費用をかけてエビデンスを集めているわけですよ。そういうものについて表示するときには本当に自由度がなくて、ここに「おなかの調子を整えます」と例が出ていますけれども、幾つかパターン的なものがあって、その中でしか表示できない。安全性、機能性については、しっかり証明ができていて、国もお墨つきを与えているのにマーケティングができないのです。表示が非常に不自由であるという感じがいたします。

一方で、今度新しい表示制度ができるとすると、エビデンスは企業のほうが責任を持って評価すればいいと。それから、今のお話ですと、機能性についての表示も、トクホよりは自分が責任を持って自由にやれるということではないかと思うのですが、ちゃんと根拠があるものについての表示が不自由で、根拠が薄いものについて表示が自由になるというのは逆じゃないかと思います。

もっと言えば、その先に「いわゆる」とつく健康食品があるわけですね。きょう御説明があった資料2-1の2ページに分類がありますけれども、世の中には栄養機能食品にもトクホにも、またこれからできるであろう表示制度にも属さない、いわゆる健康食品というのが大量にあって、そこのところは何も規制がかかっていない。機能性・安全性についてもノーマーク、表示についてもノーマーク。機能性・安全性について厳しく評価を求められればられるほど、表示について窮屈になるという、これは仕組みとして何かおかしい感じがするのです。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 特定保健用食品の表現に自由度がないという御指摘がございましたけれども、これは基本的には申請企業が自由に原案を許可申請してくることになっています。ただ、消費者委員会での審議を通じて、表現ぶり等について削除・訂正等を求められて、その許可の実績が積み上がった結果、御指摘のような、ある意味で定型的な表現になっているというのが、現状としては正しいのだろうと思っています。そういう意味では、厳しくなっているというのは、事業者に型がはまっているということではなくて、審査の結果を積み重ねた結果、ある程度定型的になっているのだろうと思います。

それから、今回の制度に乗らない、今までどおりのいわゆる健康食品でございますけれども、こちらについても、食品としての安全性は、食品一般として当然備えなければいけないということは大前提でございます。さらに具体的な根拠がなく、消費者の方に優良誤認を招くということになれば、例えば景表法等の違反になるわけでございますので、自由に表示できるというのは違うのではないかと我々は考えています。

さらに言うと、今回の制度できちんと安全性を確認してエビデンスをとっていただいて、機能性の表示ができるという商品と、そうではなく、相変わらず現在のままでいく商品と二分化されるということで、消費者の方の選択情報としては一歩前進するのだろうと思っていますので、そういう意味では前向きな制度として、できるだけ消費者の方の商品選択に役立つ制度にしたいと考えております。

○河上委員長 岩田委員、よろしいですか。

○岩田委員 御説明は理解できたつもりですが、追及すれば優良誤認になるのかもしれませんけれども、機能性表示をしている食品が世の中にはあふれています。そういうことについて野放しで、行政として特段手を打たずに、第2トクホ的なものが今度できるということになると、全体から見て行政のかかわり方が非常にアンバランスかなという感想を依然として持ちます。

○消費者庁片桐表示対策課長 いわゆる健康食品については、先ほどのガイドラインもそうですが、ちまた、広告宣伝があふれていて、その中には必ずしも合理的な根拠を有しているものではない虚偽誇大な広告があるのではないかということで、昨年も消費者委員会から建議をいただいているところであります。その答えの一つとして、先ほど御紹介した留意事項も出しましたし、それから、いわゆる健康食品については、インターネット上の表示ということで、これもたくさんありますけれども、悉皆調査とまではいきませんが、当方が積極的にウオッチしてチェックして、問題のあるおそれのある表示について表示の適正化を促すといった取り組みもしているところでございます。

それから、竹田課長から申し上げましたけれども、具体的なもので消費者の誤認を招くようなものについては、また一般消費者の食品選択に大きな影響を与えるようなものについては、景品表示法等にのっとって措置命令を行うということで厳正に対処してきているところであります。まだまだ足りないという御指摘はあろうかと思いますけれども、いわゆる健康食品についての表示の適正化も非常に重要だと思っておりまして、引き続き、今、申し上げたような形で表示の適正化にできるだけ取り組んでいきたいと考えているところでございます。

○河上委員長 阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 そもそもこのような機能性表示ですけれども、健康維持増進が目的ですので、健康維持増進をするに当たっては、機能の1つである健康に関与する成分そのものに頼るということではなくて、基本的な栄養教育をもっと拡充するということに力を注いだほうがいいのではないかと、感想として持っております。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 おっしゃるとおりでございまして、まずは三度の御飯をきちんと食べて、運動して、夜はよく寝るというのがベストの選択だと思います。さはさりながらということで、何かしら足りないものを補いたいという人がいらっしゃることも事実でございますので、そういった方々が生活習慣、食習慣を見直すきっかけになる商品として御利用いただくというのが先生の御指摘の趣旨だと思いますので、そこは我々も同じように考えております。

○河上委員長 高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 健康食品に関するリスクコミュニケーションについて消費者庁に伺いたいと思います。3点あります。

まず1つ目。資料2-2を拝見しました。先ほどの御説明では、東阪名、3カ所でリスクコミュニケーションを実施したということですけれども、事業者の参加も多かったという御説明がありました。参加者の構成比を教えていただきたいと思います。消費者の分類の中には、一般の例えば新聞とか広報紙を見ていらした方と消費者団体等の方がいらっしゃると思うので、それを分けて教えていただけたらと思います。

2点目ですが、チラシを見ますと、リスクコミュニケーションの本来のあり方である、消費者とか行政、事業者が情報や意見をお互いに交換し合うというよりは、先ほどの御説明でも、消費者の御理解を求めるという表現にありますように、規制改革会議のほうで成長戦略として閣議決定したから、新しい表示を入れることを前提としていると思えるのです。先ほど来、この席でも複数の委員から懸念が表明されているわけですけれども、3回のリスクコミュニケーションでそういう懸念の声はそもそも出なかったのか、報道の状況も含めて教えていただきたいと思います。こういうものを決めていくときには、導入するかどうかも含めてパブリックコメントをとるのが民主主義ではないかなと思います。

3点目ですけれども、正しい情報提供、十分な消費者理解ということをずっと言われているのですが、これは新しい表示が取り入れられてからではなくて、今、申し上げたように、取り入れられる前にも国民の声を幅広く広げていくことが必要だと思うのです。そもそもこういうことを今、なさっている中で、消費者に対して積極的に啓発を行うという所期の目的というのは達成されているとお考えかどうか、教えてください。以上です。

○消費者庁宗林消費者安全課長 先ほどお話した中にもお伝えしたつもりだったのですが、新たな機能性表示に関しては、はじまったばかりで、検討が始まっていたかと思いますけれども、ほとんど初期の状態でしたし、安全性ということから機能性表示検討会の議論が入りましたので、機能性の表示のあり方については論点としては全く取り上げておりません。現行制度の中で、例えば錠剤・カプセルというものはどういった問題があるのか、表示を見るときにどういったところに注目するべきなのか。それから、食品と医薬品の違い、本当に基本的な現行制度での錠剤・カプセルを基本とした、いわゆる健康食品とのつき合い方ということが論点でございます。

ですから、それについての意見交換ということですので、新たな機能性表示についてではなく、トクホは多少出ましたけれども、もともとの安全性品質、表示をどう見ていくのかという、その表示の見方でリテラシーを自分たちでつけようということ。ここがポイントですよみたいなお話をさせていただきました。

ですから、2点目、3点目のお答えになっているかどうかわかりませんけれども、リスコミの冒頭に、今回のリスコミはそういう観点で、新たな機能性表示ということではなくてとして、ここにも書いてありますように、安全性品質観点、広告ということでお話しましたので、今、御懸念の点に関する議論はなかったのではないかと思います。

あと、人の構成で何かあれば。

○消費者庁金田消費者安全課企画官 1点目の御質問の、どのような参加者の方が多かったかということですが、アンケートの結果から、各会場とも半数以上が事業者の方ではなかったかと思います。消費者の方、また未記入の方、どういうきっかけでというのも、ホームページを見てとか張り紙を見てというところですので、特に消費者団体のほうからというお答えはそんなに多くなかったと認識しております

もう一つ、3点目ですが、こういった取り組みで十分かという御質問ですが、これは3回やったからそれでいいということではなくて、食品全般、そして栄養といった観点、いわゆるリスクコミュニケーションは食品安全行政の形成過程であります。しかし、実態として食育、消費者教育といったものと渾然として存在しているという部分は確かにあります。ですので、そういったものとの連携の一環として、引き続きやっていかなければいけないと思っています。昨年度3回やったから、もう終わりというたぐいのものでは決してないと認識しております。

○河上委員長 岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 要領が悪くて済みません、これが最後です。

私の問題意識は、いわゆる健康食品市場というのをこれからどういうふうにしていくのか、それを皆さん、関係省庁がどういうふうに考えておられるかということなのです。機能性について、ちゃんとエビデンスがある、会社が自信を持てるものは、これからできる新しい表示制度のほうに移行していっていただいたらいいわけです。ですから、それにも乗れないような食品で、機能性について何か勝手に表示しているということは、もうなくなるということを、この新しい表示制度をおつくりになるのであれば期待したいと思います。

表示するからにはちゃんと根拠がある。根拠があるのだったら、新しい表示制度に乗りなさいということで、いわゆる健康食品市場というものがもっと健全な、消費者にとって安全な市場になるように願ってのきょうの発言でした。済みません。

○河上委員長 ちなみに、平成25年度、平成26年度に消費者委員会で受け付けました要望書、意見書の中には、いわゆる健康食品において科学的根拠の不十分なものについて、機能性表示を可能とするような仕組みができることについては反対であるという意見が非常に多い。恐らく消費者庁にもこの意見書は届いているのではないかと思いますけれども、懸念の声は日弁連を初めとしてかなりあるということは認識いただいたほうがいいのではないかと思います。

では、橋本委員から。

○橋本委員 確認だけです。

企業等の責任において科学的根拠のもとに機能性を表示できるものと書いてあるということは、先ほどの岩田委員の御質問の中にもあったのですけれども、いわゆる健康食品の中に機能性表示ができるものもあるけれども、もしその機能性表示をあえてしない、いわゆる健康食品と位置づける。その制度がいま一つわからないのです。いわゆる健康食品全てに機能性の表示ができるということではないですね。そうすると、その辺が分かれてしまうということですか。まず、それをお願いします。

○ 消費者庁竹田食品表示企画課長 繰り返しになりますけれども、現状、機能性の表示ができないものについて、これは農林水産物もありますし、健康食品を含む加工食品もあるわけでございます。その中で機能性があるというエビデンスを収集して評価できれば、機能性の表示ができるようになります。したがいまして、今あるいわゆる健康食品がアプリオリに全て機能性の表示ができるようになるというものではございません。あくまでもエビデンスのあるものについて表示ができる仕組みにするということでございます。

○橋本委員 そうすると、2 ページのイメージ図がちょっと違うかなと感じた。これは意見です。

それと、今お話の中にありました農林水産物につきまして、ここに「企業等」と入っているのですけれども、この「等」の中には農林水産物の生産者も入っているのですか。農林水産物に関しても責任を持って機能性表示をしたいというのは、どことお考えなのでしょうか。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 その「企業等」のところには、基本的には先生御指摘のとおり、農業者、農業者団体、JAなども入ってくることになります。これは、まだ具体的に決めたわけではございませんけれども、通常の農林水産物の出荷・販売形態を考えれば、JAのブランドで販売されるものがある程度あるのではと思います。

そういう意味では、JAが表示する、JA○○のこれは、こういう機能性の表示ができるとか、実態上はそういうことになるのではと今、考えていますけれども、そこはこれから制度を細かく詰めていかなければいけませんので、そういうイメージでお考えいただければ、とりあえずいいのかなと思っております。

○橋本委員 ありがとうございます。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 御説明ありがとうございます。今の御説明を聞いていて、それぞれの委員の御発言もございましたけれども、「いわゆる」と名前がついていても、健康食品と標榜しているのにエビデンスがないこと自体が消費者にとって非常にわかりにくいということがあります。

今回の機能性表示ということでも、いわゆる健康食品の中で機能性が表示できて、つまりエビデンスがあるものがふえて、ほとんどのものがそこに包含されるのだったら意味があるのかなと思いますけれども、企業の自主基準で機能性表示できるいわゆる健康食品が非常に少ないというか、今よりはふえるけれども、全体のマーケット、サプリメントですと、出された資料の中で約1兆8,000億円という市場規模がある中で、まだまだ安全性も機能性も表示されないまま健康食品として売られるものが減っていかないというのは非常に懸念材料かなと思います。

消費者庁、消費者委員会にも、消費者団体、弁護士団体から、機能性表示反対という御意見がたくさんあるとおっしゃいましたけれども、私はいわゆる健康食品が少しでもエビデンスを持ったものに変わっていけるのだったら、機能性表示というのは意味があるのかなと考えていましたけれども、その辺が未知数なので、非常に難しいだろうということが感想です。

もう一つは、今、橋本委員がおっしゃいました、今度は加工食品だけではなくて、農林水産物、つまり生鮮食品まで機能性表示をすると捉えてよろしいのですね。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 当然、制度の射程には入ってくるということでございます。排除はされません。

○夏目委員 JA ブランドというお話が出ましたけれども、今でも生鮮食品の場合ですとエビデンスをとるというのは非常に難しいと思います。というのは、生鮮食品は日々変わっていく。御意見の中でも、機能性の検討会の中でも、産地、収穫時期、天候といったものに生鮮食品は非常に左右される中で、エビデンスを担保することがどの程度可能か、非常に難しい問題があるのではないかと、私、田舎に住んでいますので、日々そういうことを感じております。加工食品ならともかく、生鮮食品まで機能性表示をエビデンスで裏づけるというのは、実行性がどの程度あるのかなと非常に不思議な気がします。

もう一点は、今、食品表示の基準づくりを片方でやっているわけですけれども、その中でも生鮮食品、業務用食品、加工食品、栄養食品という分類ごとに表示基準を決めるという作業をやっています。表示基準のほうは義務化ですから、法律で縛っていくものですので、機能性表示のところとは違うものと理解しておりますけれども、片方の食品表示法に基づくところに、この機能性表示が何も検討されないという自体に非常に違和感を私自身は持ちます。加工食品もあり、生鮮食品もありという検討をやりつつある。

では、消費者にわかりやすい表示というときに、新しくつくる食品表示法の中の表示とは別に、また機能性表示が入ってくるところを消費者がどの程度、リテラシーという意味で理解できるか。その辺はどんなふうに消費者庁、厚労省、農水省はお考えか、聞かせていただければと思います。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 まず1点目の農林水産物のエビデンスのとり方でございますけれども、基本的には機能性を表示するに際して、保健機能成分がどれぐらい入っているかというのは、農林水産物の品種に大きく依存することになると思います。御指摘のように、肥培管理によりまして、それは上下するということは確かにそうでございますので、逆に言うと、そうしたところを適切に管理していくことを検討しなければいけないということだと思います。農林水産省のほうでも御検討はいろいろしていただいていまして、具体的な品種名は申し上げませんけれども、幾つかのものについてはエビデンスの収集がかなりされておりまして、機能性があるのではないかと考えられるものもございます。そういったものがまず制度に乗ってくるものと思っています。

それから、現在の加工食品等の表示との関係でございますけれども、基本的には生鮮・加工の表示が本則といいましょうか、一般原則でございまして、先ほどから議論になっています特定保健用食品、栄養機能食品、それから今回の新しい機能性の表示制度については、例外表示ということになってまいります。機能性という点でグルーピングして、共通性があるわけでございますけれども、そこはまず御理解いただいた上で、繰り返しになりますけれども、相互にどのような違いがあるのかということは、表示の内容、それから我々の普及啓発といったところでもきちんと御理解いただけるような形で、施行に向けて進めていきたいと思っております。

御懸念は確かにいろいろ頂戴してございますので、なるべく払拭できるような形で、特定保健用食品についても改めて、特定保健用食品はこういうものである、新しい機能性表示はこういうものであるといったところをきちんと御理解いただけるようにしたいと思っています。

○河上委員長 時間ですのでこれで最後にしますけれども、齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 資料2-3の後ろのほうに、上の半分に図が入って漫画のようになっています。下のほうに説明があります。これは、こういうおそれがあるから、こういう法的対策をとっていますよという説明だと思うのです。ところにより、景品表示法上問題になります、健康増進法上問題になります、両方の問題になりますなどの項目があり、いろいろ使い分けられています。法律上は確かにそうだと思いますし、薬事法分野でも似たような表現の仕方がいろいろコントロールされていたと思います。一般の消費者にとっては、私も含めてですけれども、法律は余り関係なく、問題は上のほうの効能などがどう表現されているかということが気になるのだと思います。

そこで、思うことをちょっと申し上げたい。世界の最先端の知的レベルのある人は、恐らく健康のどの分野で、どういうものの効能があることが確定している、確認できていない、ないことが確認できているということを多分御存じだと思います。しかし、消費者がその知識を持っているかというと、私はほとんどの人は持っていないのではないかと思います。であれば、どのような表現に注意したらいいのかというのが一番気になるところです。消費者教育などを通じて消費者が持っている常識に照らし合わせ、見落とさないかということも気になる。

したがって、こういうものを本当に手がけるということであれば、一般の消費者が持つ常識がどういうところにあるかに照らし合わせ、どういう表現をするといけないということをあらかじめある程度想定したい。もし過剰な表現をした場合には景品表示法で問題になると後日言われても、そのときには何らかの問題が起きているということであり、これは制度としてはまずいのではないか。今のトクホのようにがんじ絡めに事前審査という必要はないのかもしれませんけれども、その辺の表示の仕方については工夫が要るのではないか。それは、そういう制度を導入する者の義務ではないかと思っております。

○河上委員長 御意見ということでよろしいでしょうか。もし何かございましたら。

○消費者庁竹田食品表示企画課長 まだ検討は続いており、まさにこれから機能性の部分について議論していきますので、御指摘も踏まえて、適切なものにしたいと思っています。

○河上委員長 大分時間を超過してしまいましたけれども、いろいろと貴重な意見を有難うございました。

消費者庁におかれましては、いわゆる健康食品に関する景品表示法及び健康増進法の留意事項を作成いただいて、いろいろな啓発に努めておられることについては、高く評価させていただきたいと思います。ただ、先ほど来出ておりますように、健康食品の問題というのは、むしろ食育の問題であって、睡眠と適度な運動とバランスのとれた食事をすることが第1で、そこから先の食べ方について、自分でよく考えなさいということを、食育の形でもっとしっかりとやっていただく必要があるように思います。

さらに厚生労働省におかれましては、引き続き健康被害情報の収集・解析の手法について研究を進めて、その成果が上がるようにぜひお願いいたします。また、医師・薬剤師等が診療・調剤等を行うに当たって、健康食品に関する情報を積極的に提供するように、パンフレットを配ることにとどまらず、さらに積極的な働きかけをしていただき、消費者の健康食品の安全な利用に資するために必要な措置を講じていただくようお願いしたいと思います。

さらに、消費者庁、厚生労働省、農林水産省、3省に対してですけれども、いわゆる健康食品の機能性表示のあり方につきましては、ここでも随分議論が出ましたように、トクホ制度、それから栄養機能食品に加えて、第3のカテゴリーとしての保健機能食品のようなものができ上がるとしますと、勢い表示は複雑化せざるを得ないことになります。消費者の理解を得るという話が随分出たのですけれども、理解できるようにしっかり説明いただくことは必要なのですけれども、もし可能であれば、そんな複雑なものにならないように工夫していただけないものか。

先ほど来、トクホの制度とどこが違うので、なぜ違ったものが必要なのかという話が出ましたけれども、もしトクホに問題があるのだったら、トクホをしっかりとした使い勝手のよい手続と形に変えるということで、ちゃんとしたエビデンスのあるものがきちんと消費者の手元に届くような方法を考えるのも一つの方法ですし、他にどういう選択肢をとるかということについても、もう一度消費者の意見をしっかり聞いていただけるとありがたいと思います。

少なくともエビデンスの根拠レベルが、この新しい機能性食品において下がるということはあってはならないことと思いますので、こうした根拠レベルを低下させることのないように、しっかりしたエビデンスを伴った情報提供を確保して消費者の理解を確かなものとするとともに、選択権を確保するという本来の食の安全に対する消費者庁としての取り組み、あるいは厚生労働省としての取り組みをしっかりやっていただき、今回の制度の改定に向けては慎重に検討を進めていただくようお願いしたいと思います。

なお、保健機能食品を含む健康食品の特性、それらの適切な利用方法については、消費者に対する啓発をできるだけ効果的にお願いしたいと思いますし、有害事象等の情報の適切な収集に対する仕組みも、さらに工夫していただく必要があろうかと思います。

本日は、いろいろな意見が出ましたので、大変かもしれませんが、できるだけ参考にしていただいて、新しい基本計画に反映していただければありがたいと思います。

消費者庁、厚生労働省、農林水産省におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

(消費者庁・厚生労働省・農林水産省退席、消費者庁・経済産業省着席)

(2)インターネットによる財産被害対策について

○河上委員長 不手際で少しおくれてしまいましたけれども、続きまして「インターネットによる財産被害対策について」、行いたいと思います。消費者庁、経済産業省にお越しいただいております。どうもありがとうございます。

本件については、昨年11月に消費者庁から、インターネットによる財産被害全般に関する施策の概要、これまでの取り組み状況・成果、今後の取り組み方針、課題のほか、特に事業者について定められた表示事項の遵守状況及び不適正表示への対応状況や、決済代行業者登録制度の運用状況と効果等の検証・評価の状況について御報告いただいたところであります。本日は、消費者庁からその後の取り組みについて御報告いただくほか、経済産業省からクレジットカード取引等に関して御説明いただきたいと思います。

それでは、本件に関する取り組み状況や、事前にヒアリング項目としてお示ししている点について、消費者庁、経済産業省から御説明をお願いしたいと思います。説明時間は、消費者庁、経済産業省、それぞれ10分程度ということでお願いいたします。よろしくお願いします。

○消費者庁浅田消費者政策課長 消費者庁から説明申し上げます。資料は3-1になりますけれども、「インターネットによる財産被害対策について」ということです。

まず、御指摘の中で、決済代行業者登録制度についてがございました。3ページでございます。これにつきましては、これまでも消費者委員会の場で御説明しておりましたけれども、平成23年、2011年7月から任意の登録制度として実施しております。現時点において33社が登録しているということで、全て網羅的に規制しているわけではございませんので、全体像というのは把握できないのですが、実態から見て、現在、取引金額ベースで実際に使われている決済代行業者さんの大多数はカバーできているのではないかという実態でございます。

制度概要につきましては、任意ということで、平成25 年度末までは委託先の民間事業者が、平成26年度からは消費者庁が事務局を担い、ホームページもございます。

登録制度の運用につきましては3年目に入っておりますので、有識者会議でこれまでの結果を検証・評価したということで、4ページに具体的な取り組みの状況を書いてありますが、中身につきましては5ページ以降にありますので、そちらに則して御説明申し上げます。

この決済代行登録業者につきましては、名称、連絡先を示すということですけれども、評価としては有識者の方々に聞きましたけれども、一定の効果はあるということです。ただし、消費生活相談員の方に聞きますと、悪質な業者の排除、または悪質な営業を抑制するという効果については限定的ではないかということがございます。しかしながら、相談員の方の7割、実際の業者さんの6割が制度の継続を希望ということでございます。では、残りの3割4割は反対なのかというと、そうでもなくて、あればあったでありがたいですねと聞いておりまして、意味がない、継続すべきでないという意見はなかったと聞いております。

今後の課題でございますけれども、実際上はかなりの数の決済代行業者をカバーしているということではございますが、それ以外のところはどうなのかというところもあり、どれだけカバーできるかということになります。さらに、連絡先以外にも消費生活相談員に役立つ情報の提供ができないのかということ。新たな登録項目の申告・公開を何らかの形で公的に強制することができるかについては、登録の躊躇とか、脱退してしまうということの懸念もあり、それもなかなか難しいのではないかということです。

方向性として、任意ではございますけれども、引き続き事業者登録数の拡大、及び事業者による任意の登録事項の追加、あとは、情報の共有・公開といったことを引き続き進めていってはどうかという方向性が提示されているところでございます。

さらに、6ページでございますけれども、今後の決済代行、より安心できる決済環境についてということですけれども、重ねて決済代行業者については、現行法上、規制がかけられておりませんけれども、多くの決済代行業者さんは加盟店契約の締結に当たって審査を行っておるということでございます。越境取引の議論もしておりますが、同様のことがございます。一部の決済代行業者が海外のアクワイアラと契約してしまうということで、特にこれは実態からみると、いわゆるサクラサイトとか、かなり詐欺的な情報商材、例えば競馬必勝法というものが当たりますけれども、そういったものについては、国内の代行業者を使わずに、むしろ海外の業者と契約してしまう例もあると聞いております。

あとは、今後の課題ということでございますけれども、まさにそこが課題になってくるわけでございますけれども、決済代行業については自主規制的な業界団体が存在しないということがございますので、そういったつながりをどう図っていくかということがございます。繰り返しますけれども、国内を飛び越えて海外の事業者とつながる例もあると聞いている中で、そういったものの拡大についてどうしていくか。

方向性は、既存の業者さんに厳格な加盟審査をしていただくことがあると思います。また、業界の横のつながりをより促進していく必要もあるということがございます。

海外の事業者を利用しているのは、7ページに飛びますけれども、サクラサイト等の詐欺的なサイトであったり、競馬必勝法のような情報商材が多いということでございますので、そういったものについての取り締まり。出会い系サイトは届け出制になってございますけれども、重ねて消費者の側で自衛していくしかないということだろうと思っているところでございます。

あと、今後の展開でございますけれども、有識者会議のほうで方向性が出ております。これまで消費者庁のほうが試行的に民間事業者に委託して実施してきたわけですけれども、予算的な措置も既に終わっておりまして、今後、どういう形で進めていくかについては検討しているところでございます。人と予算が絡む話ですので、一刀両断にすぐに結論が出るわけではなくて、引き続き関係者との間で調整していることのみ御回答申し上げる状況でございます。

さらに、決済代行以外の点でございますけれども、8ページ目以降、関係省庁の連携、法執行、消費者教育・啓発でございます。

まず1つは、関係省庁の連携状況でございます。インターネット消費者取引連絡会というものを消費者庁のほうで定期的に主催しておりまして、現在のところ、消費者庁、警察庁、総務省、経産省、東京都、事業者関係団体、消費者相談関係等の出席メンバー、あとオブザーバーとして弁護士さん等々に入っていただいて、時々のトピックについて情報交換等をしておるところでございます。インターネットの世界については変化も激しいということもありますので、こういったところで実態へののキャッチアップを行っておくということもございますし、必要な法執行を含めて情報の交換を行っております。

さらには、業界団体や事業者さんのほうで自主的な働きかけを促すところもございます。具体的には、子ども向けのゲームについても、特に業者さんの対応等々を求めているところがございます。

10ページ目でございますけれども、その他景表法や特商法の関係でございますけれども、事実関係のみ書いてございます。景表法、健康増進法。先ほどまで健康食品の議論がされておりましたけれども、これについては時間の関係もあるので、事実関係のみ御紹介申し上げます。

さらには、消費者教育・啓発でございますけれども、重ねてインターネットに関しての越境消費者センターに関する相談等々もかなり強化しているところでございます。ホームページでネットショッピングについてのトラブルについての注意喚起等も実施しているところでございます。これにつきましては、実際にマスコミの取材、特にテレビのワイドショーの取材が結構連続で入っておりまして、マスコミの関心も高いところでございます。わかりやすいポイントをまとめて提供しているところです。

具体的には、例えば当該サイトで連絡先が電子メールアドレスだけであるとか、クレジットカードが使えなくて現金を送らせるとか、日本語が怪しいといった、かなりわかりやすいチェックポイントを明確に提示しておりますので、こういったものを使っていただいて消費者の側でも自衛していただくことになっております。

説明は、以上となりますが、インターネットに関する消費者トラブルの状況等々につきましては、消費者白書についても、特集として現在取りまとめ作業をしているところです。インターネット、情報通信に係るトラブルの状況やトピックといたしまして、子どものゲームに関する相談状況。あとは、本日の議題ではございませんけれども、いわゆるビッグデータ等とプライバシー保護の問題といった課題についてもまとめているところでございます。これにつきましては、また後日、お時間をいただいて御紹介したいということでございます。

消費者庁からは以上です。

○河上委員長 では、経財産業省のほう、お願いいたします。

○経済産業省苗村商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 経済産業省の商取引監督課長の苗村でございます。それでは、資料3-2に基づきまして、クレジット分野における取組について御説明させていただきます。

まず、1ページ目でございますけれども、改めて申し上げる話ではありませんが、インターネット取引については幾つかの課題がございます。

電子商取引については、消費者と販売業者、加盟店が非対面で取引を行うことになりますから、加盟店が信頼できるかということについて、消費者が把握するのに限界があり、消費者被害が発生しやすい。また、越境対策室の方で消費者庁が取り組んでいただいていますけれども、模倣品の問題とか、そういうものが生じやすいということでございます。

2つ目ですけれども、加盟店等からのクレジット情報の漏えいによる、不正使用対策の重要性がございます。こうした問題への対応として、加盟店等におけるクレジットカード情報漏えいへの対策の強化や本人確認手法の高度化が必要と考えております。

下の絵にありますように、1)カード情報の漏えいの防止、2)カード情報が不正使用されないようにするための本人確認の強化が、インターネット販売において課題になっている。3つ目に、ちょっと前後しますけれども、最初に申しましたとおり、そもそも消費者にとって、その販売業者が信頼に足るものかどうかというものが、リアルの店舗に比べてわかりにくいということでございます。

次のページにまいりますけれども、1)のカード情報漏えい対策につきましては、前回の割賦販売法改正におきまして、クレジットカード会社(イシュア及びアクワイアラ)に対し、個人情報保護法ではカバーされないクレジットカード情報の保護の対策として、自社に対して講ずる安全措置、それから、次のページの(2)にありますように、加盟店、加盟店の委託先等に対して講ずる指導その他の措置について義務づけを行っております。また、カード番号の不正提供・不正取得をした者等を刑事罰の対象としております。

(1)の部分、細かい説明は省略させていただきますけれども、自社に対する安全措置としましては、通常業務においてクレジットカードの管理などのソフト的な対策に加えまして、その番号等を保管する施設又は設備、そうしたハード的なものにつきましてもアクセス制限等の措置を講じるように定めております。

それから、事故発生時における管理として、漏洩したクレジットカード番号等が本来のクレジットカード保有者以外の者に悪用されることを防止するための措置や、類似の漏えい事故が発生しないように再発防止策を講じることを定めております。

次のページでございますけれども、クレジットカード会社が加盟店、加盟店の委託先等に対して講ずる指導その他の措置といたしまして、もともと加盟店には不必要にカード情報を持たないようにするということを行っているわけですけれども、その上で加盟店、委託先等に対しまして、ここに書いてありますような措置を講ずることを求めております。さらに委託先につきましては、それぞれ孫請けみたいなものを含めて対策をとるようにということにしております。

2つ目の課題は、本人なりすましの防止でございます。ここにありますように、一般社団法人日本クレジット協会が、「インターネット上での取引時における本人なりすましによる不正使用防止のためのガイドライン」を策定しております。その具体的な内容といたしまして、クレジットカード会社は、加盟店に対して、クレジットカード番号及び有効期限の確認に加えまして、不正使用防止策の実施を求めることにしております。そして、その不正使用防止対策については3D セキュア、これは下に図が描いてありますけれども、加盟店のECサイトだけではなくて、クレジットカード会社のほうに一旦飛びまして、そこで本人確認を行うものでございますけれども、こうしたものの使用を推奨するということになっております。

既に独自の不正防止措置とかをやっておられる方もあるので、一律、3D セキュアを強制的に導入していただくことにはならなかったわけですけれども、ただし書きの部分に書いてございますように、クレジットカード会社は不正使用が実際に発生したEC加盟店に対しては、3D セキュアの導入を求めるということで、不正使用防止のための本人確認の強化を図っておるところでございます。

次に書いてありますが、カード会員に対しても3D セキュアのパスワード登録促進及び、そのパスワードを知られないようにする対策を推進するということにしております。

個別の資料はついておりませんけれども、残る大きな問題は、販売業者(加盟店)の信頼性確保の問題でございます。国内については、加盟店の情報交換制度などをつくって努力しているわけでありますけれども、実態的に言うと、海外のサイトによるトラブルが多く、こうしたものついて、国内法で、何かするというのは非常に困難な面があります。少なくとも現在は制度的には対応できていないということであります。

消費者庁で出されております、インターネット消費者取引連絡会の資料を見ておりますと、模倣品詐欺トラブルの支払い手段につきまして、昔はクレジットカードが一番多かったわけですけれども、2013年前半にほぼクレジットカードがなくなりました。月次で見たときに、クレジットカードによるものは2%とか5%になって、銀行振り込みが多くなったのですけれども、最近、この数カ月ぐらい、またクレジットカードによる被害がふえ始めているという話がありまして、我々としても注目しております。

現時点で見ますと、3割弱ぐらいがクレジットカード。一旦2%とか5%になったのが3割ぐらいになっている状態でありますので、その対応については少し考えていきたいと思っております。消費者庁から個別のトラブルについて、バックデータをいただき、見させていただきました。そうしますと、固有名詞は差し控えますが、特定の国におけるものが非常に多くなっております。国際ブランドの方の話では、そうした国における決済代行業者についてモニタリングを強化するなど、取り組みを続けられており、過去そうした取り組みによってトラブルが減ったということでありますので、国際的な問題については、まず国際ブランドと共同しながら対応していくことが効果的なのではないかと思っております。

いずれにしても、動向については引き続きウオッチしながら、具体的にどういう方策が効果的なのかというのを考えていきたいと思っております。以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。今回のヒアリングは、消費者基本計画の見直しに向けてやっているわけでありまして、改定素案が出されているのを拝見しますと、きょうのテーマの関連を含めて、見直ししないところが多いので、ちょっとあれという気がするのです。

幾つかあるのですが、まず総論的なところですが、平成25年度版の消費者白書でも、社会・経済状況の変化で高齢化、高度情報化、国際化の進展というのが挙げてあるのですけれども、改定素案のほうではその辺が余り盛り込まれておりませんで、従来の第2の消費者政策の基本的方向というところで、3 項に経済社会の発展への対応というのが入っているのですけれども、そこの項目には高齢化が入っていませんし、高度情報通信社会の進展への的確な対応というのと国際化というのは、両方、一応入ってはいるのですけれども、重点施策の推進のほうでは重点施策で項目立てが全然ないということで、既に社会経済状況の変化というものに対して、改定素案のほうが総論的に対応できていないのではないかという気がしますが、その辺いかがですか。

○消費者庁浅田消費者政策課長 御指摘ですけれども、計画が策定されたのが平成22 年でして、それを毎年改定していくことで進めております。これまでも高齢化とか情報化ということは御説明しておりましたけれども、私としては、新たに27年度から計画を改定するということがございますので、そういった考えを一つの視点ということで出してきたところでございます。いずれにせよ、今のところ、改定ではそういった要素も入れつつ、できることはしていきたいと思っております。

あと、昨年出しました重点施策の中でも、例えば電気通信事業における販売勧誘方法の改善と、これは消費者委員会の御意見も入れて特出ししておりますけれども、こういった情報化についての対応というものを、一部ではありますけれども、入れているところでございます。いずれにせよ、繰り返しますけれども、これまで高齢化とか情報化とか国際化につきましては、現行の計画の次の計画の中で、そういった視点も盛り込んで、新たな政策体系を組み直していくという文脈で御紹介してきたところでございます。

ただ、そういったことが不要であるということではございませんので、必要な改定は今回の改定でも入れていきたいということであると同時に、次の計画に向けても一つのブリッジにしていきたいということであります。

○石戸谷委員長代理 新たな 年計画というのが始まるタイミングなので、そういうお考えなのかなとも思ったのですけれども、5年間の社会・経済状況の変化というのは、確かに大変激しいものがありまして、果たして5年間というのがいいのかどうかということ自体がちょっと問題だなと。5年間というのを立てる場合であれば、その中の状況の変化に対応して毎年見直すということがあるので、次の5年でやりますということだと、どんどん後ろ倒しといいますか、おくれていくことになってしまうので、5年というのがいいのかどうかということと。

それと、5年と立てた場合の見直しを迅速にやると、どうにか対応しないといかぬと思います。特に、高度情報化と国際化については、2012年度と2013 年度の相談件数を見ても、いずれにしても大幅にふえているということがPI0‐NETあるいは越境消費者センターのデータでも出ているところなので、そこはきちんと重点を置いたようなめり張りが要るのではないかと考えております。これが意見です。

それと、各論の話でよろしいですか。

○河上委員長 はい、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 各論的な話で、まず決済代行ですが、これは24年度の調査研究報告書だと、形式的な審査ではなくて、安心・安全に取引することが期待できるような実質審査が要るのではないかということ。しかし、現在の登録制度というのは名称、連絡先をわかりやすくするということで、できるだけたくさん網羅的に登録することが必要だというのは、これは両立がなかなか難しいということでまとまっておりまして、それはそのとおりだなと思いますけれども、今回の25年度の調査研究報告書を見ますと、これは任意でありながら、登録事項はふやしながら、かつ登録数の増加もできるのだということになっているかと思います。

常識的に考えると、任意で両立というのはなかなか難しいように思うのです。登録事項をふやすのであれば、何らか法的な根拠を持たないと登録するところはふえないのではないかと思いますし、かなりの部分が登録というお話もありましたけれども、一方、未登録業者が非常にたくさんあるという話も聞こえておるので、そこは任意の登録だけではなくて、登録の何かしら法的根拠を持った形でというのも検討することで入れられないでしょうか。

○消費者庁浅田消費者政策課長 これにつきましては6ページでございますけれども、有識者会議より「トラブルの減少に向けた積極的な取り組みが見られない場合には、法的規制を検討することも必要」という御提言をいただいているところでございます。実態を見ますと、相談員さん及び事業者さんへのヒアリングによりますと、トラブルがあったときに決済代行業者に持ち込まれた場合、実質的な返金がかなり進んでおると聞いております。

というのは、トラブルを抱えますと、クレジットカード会社の関係において、その決済代行会社さんの信用レコードにかなり影響が出てくるということで、そういったものが重なると、クレジットカード会社さんとの関係において、最悪の場合、契約解消に至るということが、最近かなり厳しくなっているようでございまして、少なくとも真っ当なというか、しっかりやっておられる方は、そういった対応についても強化されているということと承知しております。したがいまして、決済代行業者について、こういった制度でしっかりとやっていくということを、業者さんに関しては、ある程度消費者にとって必要な情報もみずから出していただくということもあろうかと思います。

重ねて、この決済代行業者登録制度については、消費者庁が試行して始めたものでございまして、当然任意のものでございますけれども、これだけ登録もふえたということもありますし、実際的に使われておるということから見ても、法的規制に至らずとも、実際に消費者の方々に安心していただく、もしくは第三者機関、この場合は消費者庁及び委託先になりますけれども、そういった方がたとえ名称とか連絡先といった限定された情報であれ、第三者がこういった形で情報を提供していることに関していえば、こういったもので消費者の方々の安心、及び決済代行業者の業務の適正化につながっているのではないかと考えております。

○石戸谷委員長代理 それの関連で。

○河上委員長 では、続けてお願いします。

○石戸谷委員長代理 まず、決済代行の話にまとめてと思いますが、経済産業省のほうの産業構造審議会の商務流通情報分科会のほうで、新たな課題に直面した取引の適正化というのが検討されていて、その中で決済代行業者等というのが検討項目で入っているかと思いますけれども、こちらのスケジュールないし検討の方向性というものをちょっと御紹介いただけますか。

○経済産業省苗村商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 今、御指摘のとおり、産講審商務流通情報分科会のほうで議論を1回していただいたわけですけれども、割賦販売法自体は施行後5年をめどに見直すことになっておりまして、今年の冬に第一段施行分について施行後5年を迎えるということになりますので、今、それに向けて情報収集、実態把握を進めているところです。この5年間で大きな変化の一つとして、決済代行業者とか、非対面ではなくて対面取引の話ですけれども、スマートフォンを使った決済業者が入ってきているということがございますので、そういうものについてどのようなトラブルが生じているのかということを今、実態調査をしております。

そういう意味では、いつ改正ということについて、現時点では確たることは申し上げられないですけれども、施行後5年というのが近づいているのを踏まえて情報収集とか取組みの強化をしているところです。すみません、余りお答えできなくて。

○河上委員長 石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 済みません、今の点だけちょっと補足して終わりたいと思います。

割販法の20年改正以降、確かに決済代行とかマンスリークリアの被害の急増とか、いろいろ新たな事態が生じていると思いますので、決済代行業者とアクワイアラの行為義務とか、その辺を含めて幅広く御検討いただきたいと思います。

○河上委員長 橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 御説明ありがとうございます。

割賦販売法が改正された後、加盟店の指導とか支払い能力という意味で減った部分の相談事例もあるのですけれども、今、ここで決済代行が出てきたというのは、やはり加盟店にすらなり得ないような小さな会社を統括するための一部として決済が出てきたという話も聞いております。そうした場合、加盟店にすらなり得ない、特にサクラサイト等のようなサイト業者にとっては、こういった決済代行会社が隠れみのとなって、かなり消費者被害がふえているのではないかという点が見られますので、今回、インターネット取引で、割賦販売法でお呼びしたというのは、そういう意味があると思います。

今、石戸谷代理のほうからもお話がありましたけれども、そういった被害の中では、リボ払いとかマンスリークリアとか、前回の改正のときには含まれなかったようなところを狙って、サクラサイトなどはマンスリークリアが多いですし、また新たな今後、いろいろな債務を抱える中にリボ払いというものが入ってきているのではないかなと考えますので、ぜひ私もその辺のところはきちんと考えていっていただきたいなと思っております。

○河上委員長 決済についてほかに、何かありますか。では、唯根委員、その後、橋本委員。

○唯根委員 決済代行の件で登録制度が非常に機能して、参加者というか、加入者は機能しているというお話ですが、登録情報について、5ページで加盟店の業種構成や越境取引の有無とか情報セキュリティ対策について項目が書かれていますけれども、この項目の追加について、任意の情報ですけれども、もっと積極的に行っていけるかどうかの見通しはいかがでしょうか。

○消費者庁浅田消費者政策課長 サクラサイトにつきましては、決済代行業者さんを絡めてというケースもありますけれども、先ほど御説明したように、決済代行業者さんとクレジットカード会社との関係において、加盟店審査も厳しくなっていると聞きますので、そういった悪質な事業者が、海外に出ていくといった事例もあって、これもなかなか難しいということではないかと思っております。

あとは、登録の拡大でございますけれども、今のところ有識者会議の提言でこういったものが言われておるということですけれども、実際にどこまでできるかということですね。これにつきまして、今の制度を消費者庁が試行しておりましたけれども、これも試行でありますので、ずっと未来永劫続けるわけにもいかないということで、新たにどういう形で進めていくかということも含めて、今、検討しているところでございます。そういった検討も終わって検討の結論が出たところで、実際にこういうことができるかどうかということになっていくのかなと考えておるところでございます。

○河上委員長 よろしいですか。では、橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 ちょっと決済代行にかかわるところかもしれないのですけれども、インターネット取引に係る消費者トラブルの実態調査という消費者庁の委託調査の中で、2012年5月から8月にかけて、サクラサイト等において決済代行会社が入っている相談件数は減少して、その中で逆に振り込みとか現金が用いられた相談がふえているという調査があります。それと、先ほど経済産業省の方が、これは決済代行が入っているかどうかわからないので、一緒にしていいかどうか、ちょっとわからないのですけれども、2012年ごろから模倣品に関してのクレジットが使えなくなっているケースがあるとお聞きしたのですけれども、何か関連があるのでしょうか。

もしそういったことでクレジットが違法なところで使えなくなっているという実態が、何かがきっかけにあれば、私はそれを検証して、そのときどういったことがあったのかがわかれば、今後の被害防止につながっていくのではないかなと思ったものですから、その辺をちょっとお聞きしたいなと思いました。

○経済産業省苗村商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 まず、私のほうから。

まず、サクラサイト的なものというのは、日本のまともなアクワイアラでは加盟店にはなれないと思います。私どもの調査でも、少し前の調査になりますけれども、サクラサイト的なものについては、ほとんどが海外の決済代行業者を利用している。その他のいろいろなトラブルが多い事業については、国内の決済代行業者が使われている例もあるのですけれども、そうした場合も請求がドル建てになっていたりして、どうやらその上にいるアクワイアラは海外にいるということが多いと考えられます。

国内については、加盟店の調査や苦情の対応をやっているのと、トラブルが多い業者は加盟店にしないということを、日本の事業者がアクワイアリングするものについては徹底してきたということで、そういうものが守られてきたというのがあると思います。そういう意味で、問題がある事業者については、かなりの部分が海外に出ているということで、外の対応と中とバランスをとりながらうまく対応していかねばならないと思います。

○橋本委員 2012年に関しては何か思い当たることというのは。

○経済産業省苗村商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 すみません、このデータに関して言うと、まだ直近のものしか中身をいただいていないので、これから分析してみたいと思います。もちろん法改正して、加盟店調査義務の導入、これに個品割賦のところですけれども、そういうこともあって意識が高まった時期ではあると思いますけれども、トラブルの中身などを見てみないとわからないので、少し調べてみたいと思います。

○消費者庁浅田消費者政策課長 消費者庁からですけれども、直接関係があるかどうかわかりませんけれども、御参考までに。いわゆる越境消費者センター、消費者庁の取り組みが始まったのは2011年11月でありますので、それ以前も当然、これについて問題意識を持っておったわけですけれども、政策としてCCJ、越境消費者センターを設置したということで、こういった大きな政策の中で問題が出てきたということ。あとは、こういったフォーマルな対応を消費者庁でも取り始めたということもありましたし、クレジットカード会社のほうも、そういった偽物とかトラブルについても業界での対応が始まったわけでございますので、そういった制度の活用もあったかと思います。

あと、経産省から、最近、またカードの比率がふえているという話もありましたけれども、比率と件数の問題ですけれども、全体の相談件数がかなり急激にふえているということも聞きますので、以前よりも実際にクレジットカードを使われている例もふえてきているということじゃないかと思います。

○河上委員長 よろしいですか。高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 今のお話を聞いていて、決済代行業者の登録サイト等についても一言申し上げたいと思いました。

登録サイトにしても、越境消費者センターにしても、国の経費を使って民間に委託等してやっているわけなので、これは有効に消費者に活用されるようになる必要があると思っています。先ほどの説明では、海外のものに打つ手がないから、消費者の側で自衛していくしかないというのが最終的な結論のようにも聞こえてしまったのですけれども、登録サイトを運営しているわけですから、そこに国内の決済代行業者が登録し、海外でもきちんとしたところは登録することができる形にして、消費者自体がそういう登録サイトを見て自衛ができるようにしないと、単に自衛してと言っても難しいと思うのです。

ちょっとしつこいようですけれども、国費を使ってやっていることなので、もう一歩、もう一段努力していただきたいと思います。

○河上委員長 ほかに何かございますか。よろしいですか。では、石戸谷委員。

○石戸谷委員長代理 26年3月のクレジットカードに係る決済代行業者登録制度に関する実証調査報告書でも指摘されているところですが、割販法の問題と別に、特商法11条とか11条の2で、支払い方法とか決済代行業者についての表示をきちんとという指摘がなされているわけですけれども、こちらのほうからの検討というか、推進というのはいかがでしょうか。

○消費者庁山下取引対策課長 それについては念頭にございませんでしたので、中でどうするかも含めて、ちょっと考えてみたいと思います。

○石戸谷委員長代理 また別の話ですが、先ほど越境消費者センターの件が出ましたが、昨年11月にお出でいただいたときには、今後、どういうぐあいにするのかというのがはっきりしないというお答えだったと思うのですけれども、現状、こうだという形で方向性を示せるのであれば、ぜひ。

○消費者庁浅田消費者政策課長 基本的に変わっておりません。予算と人をどうするかという問題でございますので、今後、来年度概算要求の中で、また議論していくことになるかと思っております。ただし、これはCCJの場合でございまして、高橋委員から御指摘があった決済代行事業者登録制度ですけれども、これにつきましては冒頭申し上げたとおり、消費者庁の試行ということで始まっておりまして、現在のところ、いつまでも試行ではできないということもございますので、予算的な措置は昨年度までで一応終わっております。

したがいまして、今後どうしていくか。永遠に消費者庁が直轄でやるわけにもいかないということもございますので、こういった検証結果を踏まえて、またこれも適当なところでどういう体制をつくっていくかということも、あわせて考えていくところではございます。

○河上委員長 CCJは時限だから、見直しになるということですか。

○消費者庁浅田消費者政策課長 CCJについても試行的な組織ということになっておりますので、基本的に試行措置は昨年度末で終了の予定でしたが、今年度も延長して予算措置をしたところです。いつまでも試行というわけにもいかないというのが、財政当局との関係が当然出てきますので、どうしていくかということを今後考えなければならないところであります。

○河上委員長 せっかくいろいろ成果を上げてきて、「金の切れ目が」というのもいかがなものでしょう。

○消費者庁浅田消費者政策課長 では、これでさようならというわけにもいかないと思いますし、相談件数が実際ふえており、今後また深刻化するというのも明らかでございますので、この先はすみません、お金と人の話になりますので、今後できる限りの対応をしていきたいということに尽きます。

○石戸谷委員長代理 では、要望でよろしいですか。

○河上委員長 はい。

○石戸谷委員長代理 この点については、従前から国民生活センターのほうで引き継ぐべきだという声が各方面から出ておりまして、ぜひ予算措置を講じていただいて、そちらの方向で明確に恒常的なものをということでやっていただきたいという意見として述べておきます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。大体よろしいですか。消費者庁、経済産業省におかれましては、このクレジットカード取引に係る消費者トラブルを踏まえて、クレジットカードに係る決済代行登録制度の見直し、あるいは関係法令の改正も含めた今後の制度的対応について、十分検討をしていただくようお願いしたいと思います。当委員会としても、この問題については強い関心を抱いておりますので、今後とも審議をして一定の結論を得れば、また何かの意見の発信をさせていただくかもしれません。そのときにはよろしくお願いいたします。

消費者庁、経済産業省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。

本日の議題は以上でございます。お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。


≪3.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から今後の予定等について説明をお願いいたします。

○大貫参事官 次回の委員会ですけれども、5月27日火曜日を予定しております。議題については、消費者基本計画の検証・評価・監視の第3回目としまして、エステ・美容医療サービス、冷凍食品への農薬混入問題についてのヒアリング、委員会意見の取りまとめを予定しております。なお、本日、この後、委員間打ち合わせがございますので、5 分後程度をめどにお集まりいただければと思います。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)