消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会 議事録(1月21日)

日時

2014年1月21日(火)15:59~16:59

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、山本委員、唯根委員
【参加団体】
日本弁護士連合会 国府泰道 消費者問題対策委員会委員長、石川真司 消費者問題対策委員会副委員長、奥野弘幸 消費者問題対策委員会副委員長
日本司法書士会連合会 小澤吉徳 常任理事、山田茂樹 消費者問題対策委員会委員
【事務局】
小田事務局長、大貫参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者委員会の活動状況等に関する意見交換
    • 日本弁護士連合会 国府泰道 消費者問題対策委員会委員長
    • 日本弁護士連合会 石川真司 消費者問題対策委員会副委員長
    • 日本弁護士連合会 奥野弘幸 消費者問題対策委員会副委員長
    • 日本司法書士会連合会 小澤吉徳 常任理事
    • 日本司法書士会連合会 山田茂樹 消費者問題対策委員会委員
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、皆様おそろいですので、始めさせていただきます。
 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」を開催いたします。
 まず初めに、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○大貫参事官 議事次第にございます資料1から4を配付しております。不足がございましたら、事務局までお申し出いただけますようお願いいたします。
 以上です。

≪2.消費者委員会の活動状況等に関する意見交換≫

○河上委員長 それでは、議事に入ります。
 消費者委員会では、今後の運営改善等の参考にするために、消費者団体ほか関係団体等から御意見を伺うとともに、委員との意見交換会を今年度も開催していきたいと考えております。それで、本日は日本弁護士連合会から、国府泰道消費者問題対策委員会委員長、石川真司消費者問題対策委員会副委員長、奥野弘幸消費者問題対策委員会副委員長、日本司法書士会連合会から、小澤吉徳常任理事、山田茂樹消費者問題対策委員会委員にお越しいただいております。皆様、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 まず、皆様から、最近の関心事項や、消費者委員会の活動に対する評価・要望等についてお伺いし、その後に委員との意見交換をさせていただきたいと思います。時間は限られておりますので、申しわけございませんが、それぞれ10分程度でお願いしたいと思います。
 最初に、日本弁護士連合会のほうから御説明をお願いいたします。

○日本弁護士連合会国府委員長 きょうは、こうした機会を与えていただきまして、ありがとうございます。私どもの委員会の活動につきましては、きょうの資料1の後ろのほうの約半分、4枚に現在の活動状況について紹介させていただいておりますが、これは時間の都合上、省略したいと思っております。きょうは、専ら消費者委員会への期待と要望という点を中心に、それから、特に私どもが今、関心を持っております課題について説明申し上げたいと考えております。
 まず、第1番に詐欺的投資勧誘についてですが、これは消費者委員会におかれましても「詐欺的投資勧誘に関する消費者問題についての建議」を昨年8月6日に公表されております。これは、急を要する詐欺的投資被害の予防と救済のために、包括的で多方面の対策について建議されたものであり、その取り組みについて高く敬意を表するところであります。これは、かつて消費者委員会ができるまでの消費者行政の体制ならば、政府の消費者政策会議が各省庁の対策を取りまとめて、これら悪質事犯に対する取り締まりを強化するといった数行の記載で終わっていたところでした。
 ところが、この建議は、たしか平成23年以降、2年近くをかけて関係省庁からのヒアリングを行われて、23ページにわたる16項目もの建議に及んでいるということで、具体的に各省庁にどのような取り組みが可能かを示しておられまして、非常に具体的・実践的な建議となっております。この建議を見せていただいて、消費者委員会がつくられたことの意義を改めて確認したところです。
 また、この建議は消費者基本計画の検証評価の成果でもありまして、検証評価の作業の重要性を再認識させるものでもありました。第3次の消費者委員会におかれましては、引き続いて、この建議の実現状況についてフォローアップを進め、各省庁の取り組みの促進を働きかけていただきたいと思っております。また、消費者基本計画の検証評価、さらには平成27年度以降の次期消費者基本計画の策定にも、この検証評価作業の成果を反映されるようお願いしておきたいと思います。
 次に、インターネット等における発信者情報の開示という点ですが、日弁連では、2010年11月16日にこの問題で意見書を出しております。この意見書は、簡単に紹介しますと、特定商取引法の改正を行って、発信者情報の開示請求権の規定を設けることを提言したものであります。プロバイダ責任制限法は、インターネットで詐欺的な取引が勧誘されても発信者情報の開示は義務づけられていません。名誉棄損など電気通信それ自体での被害が生じた場合にしか発信者情報の開示を認めておりません。そこで、特定商取引法で開示義務が認められないかという意味での提言であります。特定商取引法は、通信販売の広告で事業者の住所・氏名等の明示を義務づけております。匿名での通信販売は違法だということです。そのような特定商取引法の趣旨からすれば、発信者情報が開示されるべきことは当然のことと言えます。
 そこで、電気通信それ自体での被害にとどまらず、電気通信を用いて権利侵害した場合までも発信者情報を開示させるために、プロバイダ責任法の改正ではなく、特定商取引法の改正という形でのアプローチを求めるものであります。特に、特定商取引法は、平成20年の改正から5年が経過しようとして、見直しの時期に来ております。次の改正では、ぜひ発信者情報の開示義務を盛り込んだものにしていただくよう、関係機関に働きかけていきたいと思っております。
 このテーマにつきましては、第2次消費者委員会が昨年8月に「現時点の考え方」を表明されております。これは、総務省との間で厳しい意見交換を経た上でのものであり、消費者被害救済の実効性が上がるよう求めるものであって、この考え方についても高く評価されるべきものです。総務省がつくった研究会の報告書とは結論を異にするものですが、消費者保護の観点からの意見を述べておられて、高く評価されると考えております。
 ここに示された考え方では、プロバイダ責任制限法の改正を提言されておりますが、引き続き第3次消費者委員会におかれましても、その実現のための取り組み、とりわけ加害者が特定できないことが原因で被害回復が困難になっているといった実態について、具体的なデータ等も含めた調査を実施していただいて、さらに諸外国における対応についても調査していただいて、この問題について総務省を動かす材料を積み上げていただきたいと期待しております。
 次に、電気通信事業における契約勧誘の行為規制の問題ですが、この問題につきましては、消費者委員会が2012年12月に提言を公表されております。日弁連も、この課題については、近々意見書を公表する予定であります。
 きょうの資料の5枚目に、副委員長の奥野弘幸さんの名前で「電気通信事業における消費者保護の適正化について」という資料が入っておりますが、ここをごらんになっていただきたいと思います。
 意見の趣旨を大きく2つに分けておりまして、1つ目は、店舗外での販売や電話勧誘販売を行うときは、特定商取引法と同様の規制を及ぼすべきであり、電気通信事業法に特商法と同様の行為規制を及ぼすべきことを提案しております。行為規制の内容は、書面交付義務、過量販売規制、不実告知の禁止、違反者に対する行政処分・罰則などです。
 2つ目は、電気通信事業契約については、店舗販売においても苦情が多いところから、店舗契約についても提供条件の説明について書面交付義務を課するとともに、説明義務違反については、取消・解除といった民事効を付与すること、電気通信契約に付随する機器の販売についても、関連商品として取消・解除の効果が及ぶことを求めております。
 消費者委員会の提言におかれましても、総務省への改善状況の報告を求めておられますが、粘り強く総務省への改善を求めていただきますよう重ねてお願いしたいと思います。
 次は、不招請勧誘規制の維持というテーマにつきましてです。総合取引所構想が進められる中で、商品先物取引の不招請勧誘禁止についての撤廃の動きがありますが、これについて各方面から反対意見が消費者委員会にも寄せられているようであります。それを受けて、消費者委員会では金融庁などのヒアリングを実施されて、昨年11月に意見を公表されるなど、その迅速な対応に深く敬意を表するところであります。
 日弁連におきましても、不招請勧誘規制の最先端を行っていた商品先物取引の分野で規制が後退することについては、強い懸念を持っております。撤廃論の理由と、それに対する反論の項目についてはレジュメに記載しておりますが、時間の都合上、割愛させていただきまして、1点だけ述べさせていただきたいと思います。
 マル3の「規制の横断化」についての私たちの反論なのですが、金融先物の多くは店頭商品であります。他方、商品先物はほとんどが市場の上場商品であるということであります。そうしますと、形式的に金融も商品も上場商品については不招請勧誘規制から外すというようになれば、金融デリバティブについては店頭商品ですから、ほとんどに不招請勧誘規制が及びます。他方、商品先物については、これは上場商品の規制を撤廃すれば、ほとんどの先物取引が不招請勧誘を行うことができるということになりまして、実質的に見て、これは横断化が実現できない。ですから、形式的な横断化だけではだめだと考えております。
 それから、金融庁は一律規制よりも自主規制を組み合わせたきめ細かな規制と言っておりますけれども、不招請勧誘禁止を政令で定めても、省令において個別の商品については除外規定を設けるなどの非常にきめ細かな対応も可能ですし、現にやられておるわけです。ですから、不招請勧誘規制を政令で定めることがきめ細かな規制にならないという金融庁の言い分は間違っていると考えています。不招請勧誘の禁止規制を守っていくためには、消費者委員会のさらなる取り組みに大変期待しております。引き続き、関係省庁との意見交換をお願いしたいと思っております。
 最後に、消費者委員会への期待を簡単に述べさせていただきたいと思いますが、これまで消費者委員会が取り組んでこられた消費者基本計画の検証評価の作業を通じて、行政機関の取り組みをチェックするという作業は大変意義のあることと評価しております。また、これが各省庁の取り組みに与える影響というのも、いまだかつてないものだと思っております。しかも、その検証作業が公の場を通じて行われることは、消費者にとっては、各省庁がどんなスタンスでこの消費者問題に取り組んでいるのかを白日にさらすことになっております。こういった透明性のある手続は、消費者の消費者行政への関心を高め、消費者行政への参加といった点で大変積極的効果をもたらしていると思っております。
 それから、先ほど述べました発信者情報の開示や電気通信事業における契約勧誘の行為規制をめぐって、総務省との間で厳しい意見交換を行われたり、また詐欺的投資勧誘の問題では、特商法の指定権利制の廃止との関係で消費者庁との間で厳しい意見交換を行われ、さらに不招請勧誘については、金融庁との間で厳しい意見交換を行われるなど、消費者委員会の取り組みを我々は非常に注目しております。いずれの課題についても、関係省庁との間での厳しい議論が必要なわけです。いわば、産業育成省庁との間で厳しい緊張関係のあらわれと見ることができます。こういった消費者の権利実現のために消費者委員会が果たされるべき役割というのは大変重要だと考えています。
 加えて、消費者問題の専門機関としての行政のチェックも期待しております。安倍内閣では、経済成長戦略を政権の重要課題として位置づけ、規制改革会議や国家戦略特区などを通じて、これまで築き上げられてきた規制を撤廃する動きが急です。不招請勧誘規制の撤廃の動きに見られるように、そういった路線に悪乗りする形で、必要な規制で、かつ成長戦略にとって何ら支障のない規制までが撤廃されるおそれがあります。国民の安全・安心を守るための規制が、慎重な議論をされることなく、安易に廃止されるおそれがあります。こういった動きへの監視という意味からも、消費者委員会への期待は大きいものがあります。委員の皆様におかれましては、そのような役割をぜひ御自覚いただきたいと思っております。
 最後ですが、消費者委員会の活躍を知る国民は、まだ決して多くないと思いますけれども、何か事が生じたときに消費者委員会の活動が国民に知られることになり、その粘り強い活動と蓄積を通じてのみ、国民の支持が得られるのではないかと思っております。関係省庁の厚い壁、大きな壁にひるむことなく、消費者の権利擁護のためにしっかり意見を表明していっていただきますよう、委員会の活動に強く期待しております。このような期待を申し上げまして、私の意見を終えたいと思います。ありがとうございました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。身の引き締まるような思いがいたします。
 それでは、引き続きまして、日本司法書士会連合会から御説明をお願いいたします。やはり10分ぐらいでお願いいたします。

○日本司法書士会連合会小澤常任理事 初めまして、日本司法書士会連合会常任理事の小澤と申します。当会では、消費者問題に関する委員会は消費者問題対策委員会と多重債務問題対策問題委員会という2つがございまして、きょうはその2つの委員会で今、取り組んでいる関心事ということで、5つ御用意させていただいております。1つ目がインターネット取引被害について、2つ目が多様化する決済手段について、3つ目が高齢者の消費者被害、4つ目が時効債権請求問題、そして5つ目が奨学金の問題でございます。この5つのテーマのうち、4と5に関するところを私が簡単に御報告申し上げて、1、2、3については山田委員から御報告申し上げたいと思っております。
 まず、4の時効債権の問題でございますが、御案内のとおり、平成18年の画期的な貸金業法の改正によりまして、多重債務の事件数は非常に減少傾向にあるということで、評価すべきだと私どもも思っておりますけれども、一方で多重債務の被害というのがなくなったのかというと決してそうではなく、具体的には時効債権の問題と奨学金の問題のようなところに、形を変えてあらわれているのではないかと考えています。
 特に、消滅時効にかかった債権を特定の貸金業者あるいはサービサーが全国的に大量に提訴している事案が、全国の簡易裁判所あるいは地方裁判所に係属しているという問題でございます。消滅時効にかかっているにもかかわらず、強硬な取り立てによって数千円を払わせ、そして、それをもって債務を承認したのだということで、消滅時効は援用できないとして、提訴しているという状況でございます。
 これは言うまでもございませんけれども、業者はプロでございますので、消滅時効期間を徒過していることはわかった上でやっていることでございますが、一般の消費者は借りたことは事実なわけですので、強硬な請求が来ればできる範囲で払ってしまうのが現実でございます。そして、それをもって債務を承認したのだから、もはや消滅時効を援用できないという主張でございます。
 これが全国で大量に提訴されているわけでございますけれども、ほとんどの被告に対して、弁護士さんや司法書士ももちろんそうなのですけれども、専門家が代理人でついていないという現状があります。そうしますと、裁判例では、弁護士さんや司法書士がついた事件では、そのような事例においても消滅時効は援用できるという判例はたくさんございますけれども、逆にできないという裁判例も多いようでございまして、なかなか難しい状況になっているということです。
 一方、簡易裁判所には、答弁書のひな形が常備されており、訴状と一緒に被告である債務者のところに郵送されるわけでございますけれども、これにはこの5ページに書かせていただいたように、認めるか、間違っている部分があるか、知らない部分があるかという項目、選択肢しかございません。また、和解についての分割払いの方法、一括払いを希望するか、その他の記載欄はあるのですけれども、消滅時効を援用するという選択肢は当然ないわけで、消滅時効について知らない債務者は、これを援用することなく認めるという答弁をしてしまうといったことが起きているということでございます。
 このような事態は、公平さを欠くのではないか、問題が非常に多いのではないかと考え、連合会では、例えば裁判所の答弁書のひな形を変えていただくとか、何らかの運用の改善を求めて、各司法書士会と簡易裁判所において協議を進めていただくようなお願いをしているところでございます。
 5つ目の奨学金の問題につきましても、報道でいろいろ出ておりますので、御案内のとおりだと思いますが、共通したところがございます。現在、独立行政法人学生支援機構が多く裁判をやっており、分割払いの和解には応じてくれるのですけれども、元金はもちろん、利息・損害金も含めて、一銭もまけてくれない状況でございまして、債務整理が困難を極めています。また保証人がついているケースが非常に多くありますので、その意味においても、実際の処理は非常に困難を極めているという状態でございます。この問題についても、連合会としてどのような形での救済ができるかということを今後検討する予定でございます。
 私のほうからは以上でございます。

○日本司法書士会連合会山田委員 日本司法書士会連合会の山田です。よろしくお願いいたします。私のほうからは、同じ資料の4ページから説明させていただきたいと思います。
 まず、2番目の多様化する決済手段について、2つ問題提起をさせていただいておりまして、昨今の消費者被害の決済手段としては圧倒的にマンスリークリアが多くなっておりますが、御案内のとおり、マンスリークリアにつきましては割販法の適用対象外となっているということで、いざトラブルが発生した場合に支払いをとめる特別法の規定を欠く状態にあるということが長年問題になっていました。これが改めて今、決済手段として多く使われている現状からいたしますと、そろそろきちんと検討したほうがいいのではないかというのが1つ目でございます。
 それから、2つ目、その他というところで決済代行の話なのですが、数年前の決済代行問題といたしましては、クレジットカード決済に介在する決済代行という捉え方をされていまして、それで議論がなされていたように思いますが、近年、いろいろ調べてみますと、決済代行は、プリペイドカードや携帯電話のキャリア課金とか、コンビニ収納代行等々、実にさまざま、広い決済手段において介在しておりまして、もちろん利便性があるのですが、その反面、悪質な事業者が多様な決済手段を手にすることができるという弊害も生じているかと思います。
 しかしながら、決済代行業者につきましても、御案内のとおり、現在のところ特に特別法で何ら定義規定すらなされていない状況でございますので、決済代行業者につきましてもクレジットカード決済に限った問題ではなく、広く多様化する決済手段全体の問題として取り上げる必要があるのではないかという問題点でございます。
 もう一つが、昨今の詐欺的なインターネット取引の事件を見ていますと、相手方の事業者と振込先の口座名義人の事業者が異なるというケースが多々ございます。実際にあった事件で見ますと、国内の会社の口座に振り込んだ後、海外に拠点を置く事業者のほうにお金が動いているようでございまして、為替取引に該当する可能性が高いと思います。
 もちろん為替取引であれば銀行法違反という形になってくるのですが、ちょうどそれが形式上、収納代行業であるかのように装うと、非常にグレーな話となり、現在のところは必ずしも直ちに違法とは限らないとも考えられる余地を与えていまして、それによって、一層、いざトラブルが発生した場合に被害回復の困難を来すという現状が生じております。そこで,この問題についても改めて考えていく必要があるのではないかという形で御指摘させていただいております。
 高齢者被害につきましては、第2次消費者委員会のほうの詐欺的投資勧誘の部分でも、言及されている部分がありますので、きょうは時間も限られておりますので、ここのところは書いてあるとおりという形で、説明は割愛させていただきます。
 本題が2ページ、3ページのインターネット取引被害のところになります。
 まず、なかなかイメージがわかないと思いますので、3ページの図を見ていただけるとありがたいのですが、実際、インターネットの詐欺被害に遭った場合、例えばインターネットショップで電化製品を安く買えるサイトがあって、そこで信じてお金を払ってしまったのだけれども、相手の事業者は何も商品を送ってくれなくて、連絡がつかなくなってしまったと。仮にこういう事件だった場合に消費者のもとに残されている情報というのは、この3ページの状態だけです。ここから相手を特定していかなければいけないことになります。
 一個一個説明しますと時間が足りなくなりますので、問題点については、マル1からマル4までのとおりになりますけれども、その辺の問題を整理いたしますと、2ページの(1)になります。匿名性の問題につきましては、日弁連さんの御報告にもございましたとおり、ここで相手を特定できなければ、そもそも被害回復あるいは請求追及というスタートラインにすら立てないという極めて大きな問題です。しかしながら、整理いたしますと、次のマル1からマル3の問題点があるために、特定が困難である状況にあります。
 1つ目が、これも日弁連さんの御報告にありましたけれども、まずプロバイダに関しましては、あるメールアドレスを保有している人物の情報を教えてくれという話になりましても、プロ責法の発信者情報開示請求権の要件を充足していない限りは、基本的には開示に一切応じないという姿勢で一貫しておりますから、もしメールアドレスしかわからないというケースになりますと、プロバイダに尋ねても無駄だという話になります。
 2つ目で、実はちょっとややこしい話ですけれども、プロバイダではなくて、ドメインを管理しているレジストラの場合は、必ずしもプロ責法の対象事業者ではないものですから、裁判所を使えば開示に応じる可能性はありますけれども、しかしながら犯収法等々の厳格な本人確認の方法や保存方法等が特別法で義務づけられているわけではありませんので、仮に開示を受けられたとしても、出てくる情報自身が加害者の特定に結びつくだけの信憑性があるものかどうかという担保はございません。
 そういう意味でも、現在、犯収法の特定事業者につき、インターネットの詐欺的行為に関してツールを提供している事業者を全部当てはめていきますと、まだまだ隙間もございますので、そのあたりもあわせて見ていかないと、仮に発信者情報開示にせよ、何にせよ、開示を求められたとしても、求められた情報から加害者に結びつかないのでは実施的な意味がないことになると思います。このあたりもあわせて検討すべきであると思います。
 3点目は、もともと義務が課せられているのだけれども、守っていない業者がある。これは、しかるべき民事責任を負わせるべきだと思いますので、これは特に説明は省かせていただきます。
 もう一個の問題点が、(2)に裁判所の対応と書いてあります。もちろん、弁護士の場合であれば弁護士会照会制度を事前に利用することもあると思いますが、特に調査嘱託の段階で、平成16年頃ヤミ金や振り込め詐欺が問題になったときに、口座名義人の片仮名名しかわからないという事案で訴えを提起したところ、当事者の特定が不十分という形で訴状の却下となった事例なども、かなり問題になったケースがございます。実は、これは現在も裁判所の裁判官の判断によっては、具体的な特定現実的に不可能であるにもかかわらず補正をしなさい。補正ができない場合には却下しますという形で却下命令がされているというケースもございます。
 このような運用ないし判断は、もちろん現在の制度ではわからないわけでもないわけですけれども、こういう姿勢のまま続いていくということは、結果として、冒頭に戻りますが、当事者の特定ができないとなれば、そもそも被害者としては民事裁判で被害回復を図ることすらできないという形になりますから、このあたりにつきまして触れるのはなかなか難しい点だと思うのですが、民事訴訟法において当事者特定問題というものについても改めて検討すべきではないかと思っている次第です。
 私のほうからの説明は以上になります。

○河上委員長 どうもありがとうございました。いずれも具体的な問題について、かなり立ち入った御指摘も含めてお話いただきまして、大変参考になりました。
 それでは、委員の方々から御質問、御意見を頂戴したいと思いますけれども、発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
 どうぞ、齋藤委員。

○齋藤委員 どうもありがとうございます。
 最初に、国府さんのほうから紹介いただきました最後のくだりの、消費者委員会への期待というところ、えらくマイルドに言っていただきましたけれども、もう少しこういうところは何とかしたらいいのではないかということを、ずばずば指摘していただければありがたいのですが、いかがでしょうか。

○日本弁護士連合会国府委員長 もっと厳しい意見という御趣旨かと思いますが、まず事務局体制が不十分ではないかと感じております。消費者問題というのは、本当に多方面にわたります。第2次消費者委員会の活動を見ておりましても、さまざまな問題について意見を言われたり、調査をされている。特に、消費者基本計画というのは百数項目にわたる施策を全部チェックしていくわけですから、大変な作業ですね。そういったものをやるのは、委員の個人的な努力なり、個人プレーによって支えられているわけですが、それではだめで、その委員の活動を支える事務局体制が必要ではないかと思っております。
 そういう意味で、委員の号令のもとにスタッフが一緒になっていろいろなことを調べて、それでしっかりした調査に根差した意見が言えるための体制づくりが必要ではないかと思っています。
 もう一点は、委員の常勤化という点です。これは、消費者委員会ができたときに、附則の中で委員の常勤化を図っていくことが書かれていて、委員会が発足したときはたしか常勤的委員が3人と言われていたのですが、待遇は全くの非常勤扱いだったと思うのです。非常勤の委員ばかりが集まっているというのは、普通の審議会と変わらないわけで、そうではなくて、消費者委員会の役割の重要さや課題の多さから見たら、委員の先生方が100%の時間をこの委員会の活動に捧げられるよう、常勤化といった点も実現してもらいたいと考えております。これは、委員会に対してお願いするというよりも、委員会を支えている内閣府なり政治レベルに対するお願いということになろうかと思います。
 ということで、そうした条件の中で先生方がよくやっていただいていると、我々としては本当に感謝しております。

○河上委員長 ありがとうございます。委員の常勤化の話は、いつも話題になることなのですけれども、考えてみると、常勤になるということは、今の現場でやっている我々の仕事そのものから離れることを意味して、それが果たしていいのかという意見も一方であります。薄給でやっているからこそ、いつでも辞任覚悟で自由に意見を述べることができるということもあり、また、国会同意人事にして常勤化してしまったときに、いろいろ問題はないのだろうかとか、いろいろなことを議論して、今の段階ではこの状況でやっていこうじゃないかということにしているのです。
 ただ、実感としては、せめて委員長はフルに事務につけるぐらいの体制であることが望ましいだろうなという感じは私もいたします。これまた委員会の中で検討してみたいと思います。
 ありがとうございました。
 ほかにはいかがですか。夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 具体的な話ですけれども、日本弁護士連合会様にお伺いしたいのですけれども、きょうの要望の3番目に、電気通信事業における契約勧誘の行為規制のところで、今月にも御意見をお出しになるというお話でございます。私ども消費者委員会も、2012年12月11日に提言をしておりますけれども、その後も、この電気通信事業者の販売勧誘につきましては非常に問題が発生していることは承知しておりまして、やっと総務省も消費者保護を盛り込むような方向で委員会を発足させると聞いてはおりますけれどもね。
 弁護士連合会さんとしましては、先ほど御説明いただきましたように、奥野部会長さんがおつくりになった、副委員長さんがおつくりになった適正化の趣旨1、2というペーパーに基づくような御意見をお出しになるということでしょうか。つまり、特商法に頼っているのではなくて、電気通信事業法の中にもっと踏み込んで盛り込むことが望ましいという御意見をお出しになるかどうかということをもう少し聞かせていただければと思います。

○日本弁護士連合会奥野副委員長 奥野から説明します。
 趣旨としては、ここの2点にあるとおり、電気通信事業法の改正ということになるのですけれども、理由の中に特商法の適用除外をなくすことを反対しないという趣旨は書いています。1つは、先ほどおっしゃられたとおり、総務省も機運が高まっています。昨年のワーキンググループの意見書などを見ると、改正の検討について触れられていますし、あと、特商法の改正ですと、店舗販売における規制というものがなかなか難しい状況です。現行の電気通信事業法には、説明義務というものが、サンクションはない形ですが、ありますので、それを生かして、そこを足がかりにということで、この2点を出させていただいているということです。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 両方の連合会さんに伺いたいのですが、両方からテーマとしてインターネット等の取引における発信者情報入手について、法律がまだ不備であるとか、規制されていないということで、改正を求める幾つかの法律名を出していただいているのですが、具体的に何か新しい法律とか、もっとこういうふうにしたら使えるという具体的な御提案などがありますか。新しいドメイン登録のお話なども伺わせていただいたのですが、発信者情報を入手するための一番近道というか、どこを改正すればよいというお知恵があれば教えていただきたいと思います。

○日本弁護士連合会奥野副委員長 奥野から説明させていただきます。
 なかなか一括で全て解決するのは難しいかなと思うのですが、日弁連としては、1つはプロバイダ責任制限法にある発信者情報開示と同じような規定を特商法に設ければいいのではないかというのを提言しています。あと、当事者が特定できないと裁判できない、訴訟できないという問題に関しましては、最終的には民訴法の改正で、とりあえず匿名の形でも提訴できるということも必要なのかもわかりませんが、日弁連としてそこまで意見を用意している状況ではありません。

○日本司法書士会連合会山田委員 済みません、私のほうから。
 プロ責法の問題は、電気通信事業法上の通信の秘密の規定があり、あれに違反すると刑事罰が科せられる、そうすると、個人的には改正の必要性があると考えますが、したがって、総務省にせよ、プロバイダにせよ、態度が硬化せざるを得ないし、厳格な対応をせざるを得ない。これはある意味いたし方ないだろうと思います。一方,きょう申し上げたドメインの部分ですけれども、純粋なドメイン登録業者は、通信業務をやっているわけではございません。ドメインの登録及び管理を業としているにすぎませんので、通信の秘密の抵触の問題をどう考えるのか、というすごく大きなテーマではない、全く別次元で検討することもできるやに思います。
 もちろん、ドメイン登録事業者とプロバイダが必ずしも一致していないケースというものはあるのですが、一致しているケースも多々ございますので、そこのところはどういうふうに整合性をつけるのかという問題があります。ルートの問題なのですが、プロ責法マターでいきますと、どうしても通信の秘密問題のところを通り抜けないわけにはいかない。なると、日弁連さんの御提案のように、一部に限って、例えば法律上の表示義務がある場合に限ってだけ、例外的に開示を求めるというルートで行く以外は、その要件設定が必ずしも容易ではない側面もあるかもしれません。
 もう一つの方法としては、ドメイン登録事業者という観点から、通信の秘密などにかかわらず、検討する余地があるのではないかと思います 以上です。

○河上委員長 どうぞ。

○石戸谷委員長代理 お見えになった方々で一通り声が出たところで、まだ声が出ていない、名古屋からいらした石川さんに一声お願いしたい。

○日本弁護士連合会石川副委員長 石川と申します。日弁連の消費者問題対策委員会の中で金融サービス部会の担当の副委員長をしております。せっかく機会をいただきましたので、私のほうから喫緊の課題ということで、先物取引の不招請勧誘について、再度お願いしたいと思いまして、ちょっとお時間をください。
 レジュメにも入れてありますが、商品先物の不招請勧誘の問題、これは商品先物業者による消費者被害に対する消費者保護問題だという位置づけであると思うのです。ところが、今、政府のほうは、規制改革実施計画の中で経済活性化につなげるため、リスクマネー供給を促進するのだということで規制緩和を進めております。今、金融庁のほうも、恐らく規制緩和路線に乗った上で、不招請勧誘禁止規制を撤廃して自主規制で対応しようと動いているように思われます。
 この不招請勧誘禁止の問題ですが、この問題が投資家に対する利便の問題だとして、消費者を投資家に置きかえて、議論の方向を変えようとしているのではないかという危惧を強く持っております。その上で、経済活性化とか投資家の利便の名のもとに不招請勧誘禁止規制を撤廃して、消費者保護については自主規制で賄うという論調だと理解しております。ところが、きょう、資料をお配りしましたけれども、これまでも商品先物については自主規制でいろいろと対応してきたわけですね。自主規制といっても、これは説明書類の交付とか確認書の徴求とか管理部門によるチェックということなのでしょうけれども、十分これが機能せず、被害がなくならなかったものですから、最終的な手段として不招請勧誘禁止が導入された。これが平成23年1月1日のことなのですね。
 商品先物業者というのは、いまだに電話勧誘によって消費者を取引に引きずり込むという旧態依然の勧誘をしている、旧態依然のビジネスモデルをとって勧誘しているということでありまして、今の許可業者の大半は過去何度も紛議を起こして、裁判で責任を認められた業者ばかりだと認識しております。
 現に、昨年12月25日には、業界を代表するような大手先物業者が処分されております。内容としましては、断定的判断の提供、虚偽説明、再勧誘、両建ての勧誘というものに並んで、不招請勧誘を行ったということでも処分されているのですね。これだけ業界全体で不招請勧誘禁止に対して取り組んでいる中でも、大手業者がこういう問題を起こしているということが、この業界の現状を物語っていると思います。何もこの処分業者に限らず、私の経験上、今も電話勧誘等で先物に引きずり込んだ事件は起きているわけです。
 業界に消費者保護に対する取り組みが十分に浸透しない限りは、今の不招請勧誘禁止の規制は撤回すべきではないことは明らかだと思っています。自主規制では対応できていなかった。それゆえ、不招請勧誘禁止が導入されたという歴史的事実を十分直視していただいて、この委員会でも今の自主規制でいいのだという自主規制論には安易に乗らないように、ぜひ取り組みの強化をお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 もう一点、さきほど、時間の関係で委員長のほうで割愛したのですが、プロ向けファンドの問題も重要な問題です。これに関しては、昨年12月に国民生活センターから報道発表されております。資料3枚目の裏になります。金融庁のホームページによりますと、昨年10月末現在で届出業者は約3,600業者あるわけですが、このうちの2割が問題業者だと発表しているのです。もともとプロ向けファンドというのは、新規事業やベンチャー企業の支援のためにつくられたものだということは理解しているのですが、それにしても2割が問題業者ということは、それこそ問題だと思っております。
 この被害に対して何らかの取り組みをしなくてはいけないと思っております。これについては日弁連もかねてから意見を言っておりますし、また新たに意見書を提出する予定です。ぜひこの委員会でも取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。委員長、所用で中座されておりますので、代行のほうから。
 まだ声が出ていない方、いかがでしょうか。では、高橋さん。

○高橋委員 済みません、遅参して失礼いたしました。高橋と申します。
 日司連の小澤さんにお伺いしたいのですけれども、5番目に奨学金の延滞問題というのを消費者問題としてお出しになっておられます。こちらの場では、この問題を消費者問題として課題認識して検討ということは、今まで行ってきていないわけなので、現状をもう少しお伺いしたいというのと、どういうアプローチが必要かというのを御一緒に考えたいと思うのです。私、多重債務問題にはずっとかかわってきたわけですが、あちらの場合には貸し手責任が非常に大きくて、高金利の問題とか返済方法、それから貸し付けの仕方の問題、もろもろあって貸金業法を改正し、それだけでは被害救済ができないので、いろいろな形で多重債務者をサポートするということを国として取り組んだわけです。
 この奨学金の問題というのは、そういう意味からすると、誰が何をすればよいのかというのが私はまだ認識できておりませんので、どこの省庁に何をしてもらえばよいのかを含めて、少し教えていただけますでしょうか。

○日本司法書士会連合会小澤常任理事 小澤です。まさに、それをこれから連合会で議論していきたいと考えております。確かに多重債務問題における債権者は、いわゆる貸金業者でありますので、奨学金問題とは少し違うところがあると認識しております。しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、裁判手続に乗ってしまうと、学生支援機構には全く譲歩の余地がないのが現状です。分割返済には応じてくれるのですけれども、損害金も一銭もまけられないといった状況であります。
 また、先ほども申し上げましたが、保証人がいるケースが多いものですから、破産手続等々に躊躇される方も非常に多うございまして、このような点を考えますと、共通の問題があるのだろうなと思っています。もちろん、奨学金制度自体をどのように考えていくかという視点も当然必要になってくると思いますので、そういった視点も含めて検討していきたいと思っています。

○石戸谷委員長代理 よろしいですか。では、橋本さん。

○橋本委員 意見交換ということなので、消費者委員会に寄せる大きな期待というものを感じながら、逆に弁護士会も司法書士会も法律の専門集団ということで、そういった立場から消費者委員会のほうにいろいろ提言や提案をどんどんしていただきたいなと感じております。先ほども裁判に行った事例とかで、本当に困っているようなことをお聞きしますと、その場でいろいろな消費者の悩みというものを非常に間近で聞いていらっしゃるということで、そういったことも含めて、これからも提言とか提案をいただきたいなと思っています。
 重ねての質問になるかもしれませんけれども、1つずつお聞きしたいことがあります。
 奥野さんのペーパーの電気通信事業における消費者保護の適正化についての中で、電気通信事業の場合、電話勧誘でクーリングオフがきかないというのが、相談の現場でもかなりネックになっておりまして、その辺のところを1つお聞きしたいのが1点。
 それから、司法書士会様のほうには、決済代行のところでサクラサイト等の中間だけではなくて、コンビニ決済等、匿名性がかなり高いですね。商標がないと、どこに決済したのかというのもなかなかわかりづらいところがあるのですけれども、決済代行のほうの問題点がもしございましたら、重ねてお聞きしたいなと思います。

○日本弁護士連合会奥野副委員長 まず、奥野から説明いたします。
 電気通信事業法の定めるサービスに関してクーリングオフができないというのは、特定商取引法の対象から外れているというところが一番大きな問題です。その外れている理由として、電気通信事業法にそれなりの消費者保護規定があるのだから、それで十分だということを言われるのですが、このこと自体は、先ほども出ました去年の総務省のスマートフォン安心安全強化戦略にも、まずは業界の自主ルールに任せるけれども、一定の期間で改善されない場合は、クーリングオフを含めた制度改正が必要だとあるところですので、これは電気通信事業法の改正、特商法の適用除外から外すという、この点に関してはどちらもいいのですけれども、ぜひそういう法改正が必要だと考えております。

○日本司法書士会連合会山田委員 決済代行問題につきましては、先ほど申し上げましたとおり、まず法律上の定義がないということで、当然ですけれども、どういう義務が本来あるのかということも、今だと民法上、どういう義務が導き出せるかという解釈論的な問題になってしまうという問題があります。実際、相談とか実務の現場では、決済代行が入っているケースだからこそ、決済代行業者に対して交渉などを行うことによって、事実上、返金が実現する可能性が高まる面も否定できず、その意味においてはメリットと言える点がないとは言えません。
 ただ、これは言いかえますと決済代行業者次第という形になりますから、決済代行業者がたまたま協力的であれば返金に応じられますけれども、そうじゃなければ、うちは知りませんと言われればそこまでということもありますので、本来的な意味からすると、きちんと返金する一定の法律上の義務がある、監督義務があるとか、その辺については法律上の位置づけがあったほうが、当然ですが、被害の回復にはつながるだろうと思っております。

○橋本委員 コンビニ決済。

○日本司法書士会連合会山田委員 コンビニ決済につきましては資金決済法のときに、資金移動業の範囲に入らないということでいろいろ議論がありましたけれども、特別法に基づく消費者保護のルールが全くない状態なので、これも同じく間に入っている代行業者次第という形になります。そこのところも、今の話と同様なのですけれども、きちんと法律上の位置づけをして、一定の悪質な加盟店を排除するような義務がある。
 今、資金決済法の前払式支払手段のところに、登録拒否事由ないし取消事由で、加盟店管理義務概念ができそうな部分の規定はございますが、資金移動業にはございませんので、仮にコンビニ収納代行、決済代行も含めて、たとえばこれらが資金移動業に当たるとして立法上定義づけるなど資金決済法でカバーするにせよ、加盟店義務という概念をきちんと法律上、義務づけていくということが必要ではないかと、今の段階では個人的にはそのように考えます。
 以上です。

○石戸谷委員長代理 話が盛り上がっているときに残念ではありますが、時間が大分押してきまして、きょう、全般的な話ですけれども、意見、御提案があったテーマについては、消費者委員会のほうでも関心を持っているテーマが多いので、意見をまとめるに際しては、また別途、テーマごとに御意見を伺ってまとめていくということがあるかと思いますので、そのときはまたよろしく御協力をお願いいたします。
 事務局の話が先ほど出ましたけれども、中に入ってやっておりますと、事務局は大変優秀です。大変優秀なのですけれども、委員長御指摘のとおり、非常に問題が多岐にわたっているために、委員もそうなのですけれども、今まで全然皮膚感覚がないテーマも一から調べて、ずっと行くということで、そこは非常に大変なので、体制の充実というのは、そういう方面では確かに必要だなと思っております。
 それで、委員長、真面目でありまして、まとめということで、メモを置いていきました。長いので、要旨ということで。まず、貴重な御発言、ありがとうございましたという話で、昨今の政府の動きは、経済再生・活性化に強く傾斜しているだけに、セーフティーネットをしっかり張るために、消費者委員会の役割はますます重大となっております。小さい組織ですけれども、皆様の御意見や御支援のもとに機能を最大限発揮するようにやっていきたいと思いますので、御支援をよろしくお願いしますということで、引き続き、こういう場を持たせていただきたいということです。
 ここから先は、もうちょっと実践的にテーマごとに突っ込んでと考えておりますので、引き続きまたよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
 そうしたら、事務局から事務連絡をお願いします。

≪3.閉会≫

○大貫参事官 消費者委員会は、今回を含めて4回にわたって消費者団体ほか関係団体等との意見交換を行う予定としております。
 次回の第2回については、28日火曜日の16時からを予定しております。
 以上です。

○石戸谷委員長代理 では、意見交換会をこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

(以上)