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第129回 消費者委員会 議事録

日時

2013年8月6日(火)16:00~19:13

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
河上委員長、山口委員長代理、小幡委員、川戸委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
国土交通省 五十嵐 鉄道局鉄道サービス政策室長
国土交通省 越智 鉄道局旅客輸送業務監理室長
公共料金等専門調査会委員 白山真一公認会計士
宇賀克也 地方消費者行政専門調査会座長
消費者庁 片桐 表示対策課長
総務省 藤波 総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官
総務省 関原 総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課専門職
山田茂樹 司法書士
経済産業省 岡部 商務流通保安グループ製品安全課長
消費者庁 宗林 消費者安全課長
【事務局】
原事務局長、小田審議官

議事次第

  1. 開会
  2. 公共料金について
    説明者
    国土交通省 五十嵐 鉄道局鉄道サービス政策室長
    国土交通省 越智 鉄道局旅客輸送業務監理室長
    公共料金等専門調査会委員
    白山 真一 公認会計士
  3. 地方消費者行政について
    説明者
    宇賀 克也 地方消費者行政専門調査会座長
  4. 家庭用品品質表示法に基づく品質表示規程の改正について
    説明者
    消費者庁 片桐 表示対策課長
  5. インターネットを通じた消費者の財産被害対策について
    説明者
    総務省 藤波 総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官
    総務省 関原 総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課専門職
    山田 茂樹 司法書士
  6. 詐欺的投資勧誘対策について
  7. 消費者事故未然防止のための情報周知徹底に向けた対応策について
    説明者
    経済産業省 岡部 商務流通保安グループ製品安全課長
    消費者庁 宗林 消費者安全課長
  8. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第129回)」会合を開催いたします。
本日は、所用によりまして、稲継委員、田島委員、夏目委員が御欠席となっております。
それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、議事次第と書かれた紙の後ろに配付資料一覧を載せております。きょうは議題がたくさんですので、それぞれについての資料ということで、紹介は割愛させていただいて、審議に入っていただいていいのではないかと思います。
参考で、委員間打合せを7月30日に開催しておりますので、その概要はおつけしております。
不足がございましたら、途中でお申出ください。

≪2.公共料金について≫

○河上委員長 では、始めさせていただきます。
最初は、「公共料金について」であります。
消費者委員会では、昨年2月に「公共料金問題についての建議」を、経済産業大臣、国土交通大臣及び消費者担当大臣に対して発出いたしました。本日は、国土交通省より、加算運賃の終了時期の判断方法と公表データの見直しについて御説明をいただき、質疑を行いたいと思います。
それでは、国土交通省より御説明をお願いいたします。説明時間は、恐縮ですが、10分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いします。

○国土交通省越智旅客輸送業務監理室長 国土交通省鉄道局の越智でございます。資料の説明をさせていただきます。よろしくお願いします。
鉄道運賃の加算運賃につきまして建議をいただき、昨年8月、実施状況を報告させていただきました。それ以降、御指摘を踏まえまして、加算運賃の終了時期の判断方法や情報公開の方法などに関して検討してまいりました。その検討結果について、御説明いたします。
お手元の資料別ウインドウで開きますにございます、まず1番のところでございますけれども、加算運賃の終了時期に係る基本的な考え方でございます。加算運賃は、主として新規路線の開業等に伴い発生する多額の資本コストを回収するために、加算区間において基本運賃に加算して設定されるものでございます。したがいまして、加算運賃は、資本費コストの回収が完了するまでその設定を継続することができるものでございまして、回収完了が終了時期でもございます。しかし、括弧書きで書いてございますように、終了前であっても、会社の経営判断により加算運賃の減額または廃止をすることはあるものであります。今後は、2ポツ以下で示す方法によりまして、毎年度、加算運賃設定事業者が終了時期を判断して、見解等を示すことを促してまいりたいと考えております。
このような基本的な考え方の整理に当たりまして、その背景について若干補足させていただきたいと思います。これまでの過去の加算運賃設定時の前提といたしまして、加算運賃設定後、一定の間隔で運賃改定が繰り返し見込まれておりました。そのことを通じて、自然に基本運賃に吸収されていくものと考えられていたものであります。自然と運賃改定に吸収されることから、終了時期をはっきりとさせておく必要性も少なかったのではないかと思います。この点、近年は、以前のように輸送力増強投資とか、そういった形で大規模投資などに伴う運賃改定の必要がなくなってきたという状況があります。また、輸送需要が近年横ばいになって、あるいは将来的に輸送需要は減少していくという見込みもある状況の中、経営状況が厳しくなっているという状況もございます。そういう経営環境が変わってきたということもございまして、運賃改定も現在行われにくい状況となっているところでございます。
このような状況変化を踏まえまして、今回、そもそもの制度の趣旨を踏まえて、少なくとも資本費コストの回収が完了するまでには加算運賃は廃止される必要がありますので、この具体的な判断を行うに当たって、終了時期の判断方法を今回ルール化するとともに、回収状況についての利用者への情報提供を充実していくことについて改善を行うこととして、この見直し案を検討してきたという背景がございます。
2ポツは加算運賃の終了時期の判断方法でございます。上記の考え方に従いまして、加算運賃の終了時期でございますけれども、囲みの中の算式で回収率が100%に達するまでといたします。なお、括弧書きで書いておりますとおり、経営判断に基づき、事前に減額、廃止することは当然に認められるものでございます。
資本費コストの合計額を分母といたしまして、毎年度の加算運賃収入の累計額に基本運賃収入からの回収累計額の合計額を分子といたしまして、100%に達した時点を終了時期とするものでございます。加算運賃収入の累計額は毎年度の加算運賃収入を累計した額でございまして、加算運賃収入は加算区間の投下資本を回収するための特定目的収入でございますので、これを全額回収額とするものでございます。
基本運賃収入からの回収累計額は、毎年度の鉄道事業の配当後最終利益に対して、当該加算区間に係る基本運賃収入割合を乗じて算出した額でございます。これは下の考え方にも記述してございますけれども、鉄道事業が1社1運賃制度のもと、基本運賃収入などで路線全体の運営がなされてきた中で生み出されてきた利益についても、当該投下資本による寄与があり、回収に充当されていると見ることが適当であろうとの考え方に立ったものでございます。
資本費コスト合計額は、加算運賃設定時の設備投資額及びその設備投資に伴い生じる加算運賃設定に係る施設使用料、支払利子等を累計した額でございます。
次のページにまいりまして、3ポツでございます。加算運賃に係る公表データの見直しについてでございます。加算運賃の情報提供につきましては、昨年、私どもから文書を発出して、鉄道事業者に対し、さらなる情報提供の充実を要請したところでございますけれども、その一環として、従来の公表項目に加えまして、下の枠囲みにございますイメージで公表することを考えてございます。従来は、設備投資額の累計額、施設使用料・支払利子等累計額、加算運賃収入累計額、ここまでが従来の公表項目です。これに加えて、基本運賃収入からの回収累計額も公表項目とし、終了時期につきましては、いつ廃止するかまでは経営上明示することはできないものの、その時点での会社としての見解などについても公表事項としたいと考えております。
あわせて、これらの公表項目の基礎データを、別紙データ例のような資料として掲出することとしてはどうかと考えております。3ページでございますけれども、個別の公表用データのイメージでお示ししてございます。上段の表は、A・Bが回収率算定の分母となるもので、C・Dが分子となるものでございます。累計額で回収額が何%となると、その時点までの回収率を出してございます。また、各年ごとに回収率が高まっていくことがこれで見てとれるという形になろうかと思います。
下段に、Dの基本運賃収入からの回収額の算出の基礎となる鉄道事業収支を、参考に掲示することとしてはどうかと考えております。各年度の収支の最終損益に基本運賃収入割合を乗じて各年度の基本運賃収入からの回収額とし、上段の表のDの数値とする内容でございます。終了時期がいつかということを明示すべきだとの御意見もあろうかとは思いますけれども、収入見通し、加算運賃の減額・終了など、仮定を置いた数字を公開することについては、企業経営上、問題があるという事情もございまして、可能な限り利用者に理解を得られやすい方法は何かと工夫した結果、ここにあるような直近の5年間のトレンドを出すことによりまして、回収度合いからその見通しを類推できるものとして整理したところでございます。
以上、私どもで検討してまいりました加算運賃の終了時期の判断方法と、公表データの見直しについての説明ですけれども、この案につきまして、消費者委員会での御見解も踏まえた上で、成案についていずれ通達を発することを予定しております。平成24年度の各社決算も出ておりますので、こういったものに反映させていくことを考えてございます。
説明は、ここで一旦終わります。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、公共料金等専門調査会の白山専門委員に御出席いただいておりますので、国土交通省が説明された加算運賃の終了時期の判断方法について、御発言をお願いしたいと思います。

○公共料金等専門調査会白山委員 公共料金等専門調査会委員、公認会計士の白山でございます。
既に配付されていると思いますが、3つほど御質問させていただきたいと思います。
まず、1点目でございます。こちらに示された算定の方法のところでございますが、基本運賃収入からの回収累計額の算出の計算式のところで基本運賃収入割合という言葉が出てきます。これのもう少し具体的な計算方法をお示しいただきたい、というのが1点目でございます。
2点目は、加算運賃以外に基本運賃収入からの回収に係る考え方でございます。新規路線の設備投資に係る減価償却費の計上という問題がございますので、これが運賃で回収されるということになりますと、この部分に内部留保効果がありますので、会計的には資金が内部留保されていく形になります。したがいまして、新規設備投資につきましては、基本運賃収入部分と加算運賃収入部分の双方で回収していることが通常想定されるわけです。各運賃収入につきまして、どの程度が加算運賃からの回収、どの程度が基本運賃からの回収といった定量的な把握、あるいは、そういった情報の公開は可能なのかどうかということを御教示いただきたいというのが2点目でございます。
3点目は、路線別収支といった鉄道事業者の内部的な管理会計の在り方に即した論点でございます。一般的に鉄道事業者におきましては、路線別収支の管理会計等に関しまして、路線間における収支の内部相互補助が禁止されるという厳格な対応がなされているとは考えておりませんけれども、まず、そのような理解でよいかどうかという点です。
それを前提として、もしそのような状況で考えるならば、回収率に係る計算式の回収期間の考え方に関して、必ずしも設備投資額を新規路線の加算運賃収入部分だけで回収するという、この部分は新規路線の利用者の受益者負担になるわけですが、この原則的な考え方、つまり、必ずしも受益者負担を厳格に考えるのではなくて、より幅広く鉄道ネットワーク全般、鉄道利用者全般において負担する度合いのようなものを考えて、厳格な受益者負担の考え方からもう少し負担対象の幅を広く考える余地があるのではないかという気がいたします。
この3点について、御回答をお願いいたします。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、白山専門委員の御発言に対して、国土交通省としての御説明をお願いしたいと思います。

○国土交通省越智旅客輸送業務監理室長資料2別ウインドウで開きますのほうで御説明いたします。回答欄で整理させていただきました。
1点目の基本運賃収入割合の算定方法でございます。基本運賃収入割合は、鉄道運輸収入から当該加算運賃収入を除いた基本運賃収入について、全線に占める加算区間部分の割合として算出するものでございまして、その際、加算区間部分の基本運賃収入につきましては、個別の運賃を営業キロ割合で按分して算出することとしてございます。
先ほどの別紙データ例で見てみますと、加算運賃区間を含んで乗車したケースで、例えば営業キロ10キロ乗車して基本運賃200円だったとします。これにかかわる加算運賃区間が1キロ20円といたしますと、運賃合計220円という場合、基本運賃200円を営業キロ、全線10キロ分の1キロということで、10分の1として、加算区間部分にかかる基本運賃は20円、そういう出し方をしてございます。
これらを含めて、全線の収入を年度集計して、例えば、別紙データの基本運賃収入割合に書いてありますような、1,000億円分の50億円、その結果、比率5%という割合が算出されるということでございます。これが1点目のお答えでございます。
2点目、基本運賃収入からの回収に係る考え方でございます。減価償却費相当が内部留保効果があるのではないか、あるいは、データとして定量的に把握しているのか、情報公開は可能かといった点でございます。
減価償却費は、資産にかかる費用を、その利用期間に応じて一定のルールで費用配分する企業会計上の整理であると私どもも理解してございます。その効果として内部留保効果があるといたしましても、例えば赤字決算の場合には、内部留保効果がもたらされないということではないかと考えております。鉄道事業における新規路線等の設備投資の回収は、供用開始直後から中ごろまでは輸送需要も伴わないこともございまして、収入が少なく、費用を賄えないという期間が続きます。当然ながら減価償却費は、初期、どんどん大きな額から徐々に減額していくわけですけれども、初期の費用を賄えないという期間が続き、大幅な赤字となっている期間がずっと長く続きまして、その後、費用を収入が上回って、最終的に損益なり資金回収が完了するというスケジュールになるのが実態でございます。実際に設備投資にかかった費用を回収するまでには相当な時間を要するという事業特性がございます。
また、データのほうですけれども、鉄道事業者におきましては路線別収支を管理する義務はございません。そのような会計情報も公開されていないということでございます。基本運賃収入及び加算運賃収入の双方でどの程度の回収がなされているかについて、今回、既存の加算運賃がどうなのかというところも含めてでございますので、過去にさかのぼって定量的に把握し、当該会計情報を公開することはなかなか難しいというのが実態でございます。
3点目、路線別収支の管理状況に対応した考え方のご質問でございます。路線間における内部相互補助は禁止はされておりません。一方で、鉄道事業者において路線別収支を管理する義務はございません。また、そのような会計情報は公開されておりません。
国交省鉄道局といたしましては、「資本費コストの回収が完了するまで加算運賃を継続できる」という考え方を示してございますけれども、今回の見直しにおいて、基本運賃収入からも相応の額を回収累計額に算入し、回収率を公表することとしたものでございます。なお、終了時期前であっても鉄道事業者の経営判断によりまして、加算運賃の減額または廃止することは認められるものでございます。
以上、回答でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある委員は発言をお願いいたします。白山委員も御自由に御発言いただいて結構です。
では、白山委員、どうぞ。

○公共料金等専門調査会白山委員 御回答、ありがとうございました。御回答の中で、3番目の下から4行目、「今回の見直しにおいて」というところですが、「基本運賃収入からの相応の額を回収累計額に算入し」ということで、これは前進だと思っておりますが、この「相応の額」の考え方でございます。今回は利益ということをベースにお考えになられていらっしゃいますけれども、確かに新規路線を一つの会計単位として考えれば、その会計単位が赤字になっていれば内部留保効果はなく、減価償却による回収はなされていないかもしれませんが、鉄道事業全体として、新規路線の減価償却費も含めて鉄道事業全体として黒字になっているならば、結果的には減価償却により資金が回収されているわけです。
したがって、路線単位の収支を厳格に考えるか、考えないかによって、これは変わってくるわけです。それで御質問させていただいたわけですが、路線単位の収支はそんなに厳格には管理されていらっしゃらないという御回答でした。また、その義務もないということになりますと、ネットワーク全体で資金回収を考える、こういう考え方がベースになっていらっしゃるのだと思います。したがいまして、今の御説明の中で、新規路線で見れば赤字かもしれないけれども、鉄道事業全体として見れば黒字であれば、会計的には結果的には新規路線の設備投資に関する減価償却によって資金が回収されているということになるわけです。ただ、それを定量的にとらえるのは非常に難しい問題があるとのことでございますので、「相応の額」というところは、今後、検討していく必要があるのではないかと思います。
それと、「終了時期前であっても鉄道事業者の経営判断により」という点です。鉄道事業者の経営判断は当然優先されるべきだと思いますが、そこのところに、加算運賃を負担する立場からも、情報公開に対して消費者の立場から意見を言える仕組みといいますか、それは、継続的によりよい仕組みのものを考えていく必要があるのではないか。特に競争条件が働くようなところであればまだしも、競争条件が働かない可能性のある路線等につきましては、鉄道事業者の経営的な判断のみでは消費者に不利益になる可能性も高く、昨今の企業の社会的責任を考える立場などを踏まえましても、もう少し検討が必要ではないかところもございますので、今後は、路線の状況に応じた消費者の意見を反映できる仕組みを検討する余地があるのではないか。この2点について、私が思ったところでございます。

○河上委員長 何かお答えがあれば、お願いします。

○国土交通省五十嵐鉄道局鉄道サービス政策室長 白山先生からいただきました「相応の額」は、御指摘の趣旨はよく理解しております。先生の御指摘の中にもございましたし、2ポツの回答の中にも入っておりますけれども、過去にさかのぼって、事業者から見てもある意味操作ができない、既に確定している、公明正大な数字をもって説得力をもってこの相応の額というのを確定していかないと、加算運賃のかかっている利用者にとってはある意味福音かもしれませんけれども、加算運賃のかかる区間を利用されない利用者から見たときに、なぜその負担を、その程度をネットワークで見なければいけないかという事柄は、やはり価値観として議論をいただかないといけないという問題は我々は認識してございます。
今回、いろいろな御指摘を昨年の2月以来受けている中で検討したときに、既に企業が間違うことのない数字として、アクセス可能なものをもって、かつ経営者から見たときも、あるいは、加算区間にかかわらない利用者から見ても、それは回収に当たっているということがはっきりしている部分は、確実に回収率としてカウントしましょうという意味でございます。こんなことを言うと上司から怒られるかもしれませんが、これが最善のものと思ってこれを出しているということではございません。御指摘のとおり、可能性があれば引き続き情報公開の精度を上げていくという事柄にはしたいと思いますが、現在アクセス可能、検証可能なデータを使って、事業者任せにしない形で、加算運賃の終期について目途をつけるという意味では、大変申しわけありませんけれども、これが限界かなと思っているところでございます。
2点目にいただいている利用者の声の反映の仕方ということでございますが、データという意味では、今回お示ししているものについても限界もございますが、一つ、公表データの欄に「終了時期についての見解」と。これは、どの程度はっきり書かせるかということが我々の一つのテーマでありますし、あるいは、利用者の声にならない御不満であるとか、納得できない点を忖度して説得力ある表現で見解を示すかということが、経営者あるいは経営陣の一つの覚悟、加算運賃をいただいているということの覚悟を示すものだと実は思っております。
ここの表現が、例えば世の中を見たときに通り一遍のことを書き続けているような事業者がいれば、それについては、それで本当に利用者の理解が得られるのかという事柄について、消費者委員会の皆様からいただいた御意見等も踏まえながら、もう少し詳細な情報公開と。あるいは、恐らくこういう公開をすれば、各社にホームページや電話等で意見を寄せる利用者、あるいは駅等で物を申す利用者、数は少ないと思いますけれども、そういうものが上がってくるようであれば、どういうものが上がってきているかという事柄について私どもは関心をもってフォローアップをする。繰り返しになりますけれども、加算運賃の利用者のみならず、加算運賃に係る部分を利用しない利用者も含めた利用者全体の納得感を得られるようなシステムを、今後ともブラッシュアップしてつくっていきたいと思っているところでございます。

○河上委員長 ほかにございませんか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 幾つか御質問させていただきたいのですが、まず、別紙データ例の上の表、24年度の下のほうに回収率の累計があります。これは、前の年まで、37.2、41.9、46.7、52.3と増えていますけれども、その次の年の50.1というのは、誤記ですね。その右側に56.9という数字がありますが、これが正しい数字ではないですか。

○国土交通省越智旅客輸送業務監理室長 そうでございます。誤記でございます。申しわけございません。

○山口委員長代理 そうすると、これは架空の計算ですから何とも言えないのですが、私どもは具体的な事業者の公表されているデータを持っていまして、例えば毎年4~5%ずつこういう形で回収していくことになれば、10年後ぐらいには100%回収することになるでしょうと、利用者から見ればそういう予測はできる。ただ、その後、大赤字になったり、大黒字になったりして、流動的な要素はあるというふうに受け止めていいのでしょうか。

○国土交通省越智旅客輸送業務監理室長 そういう理解でよろしいかと思います。

○山口委員長代理 もう一つ、この架空の表、下の表で言うと、当期純利益などを見ると一応の黒字が出ています。ところが、先ほど白山委員からもお話がありましたが、仮に赤字の事業者、赤字に転落したとすると、ここの部分は、加算運賃がいかに上がっていても、基本運賃収入割合から回収できる部分はゼロになるということになるわけですね。

○国土交通省越智旅客輸送業務監理室長 そのとおりでございます。

○山口委員長代理 しかしながら、減価償却のところでの内部留保が蓄積されていくというところが、事業者としては減価償却で内部留保が増えているけれども、基本運賃収入の貢献度の中では加算されないというのはいかがなものか。その辺はやや矛盾は感じますが、その点について、先ほどのお答えということになるのでしょうか。

○国土交通省五十嵐鉄道局鉄道サービス政策室長 要するに赤であれば、お金が出ていっているわけですから、帳簿上、減価償却が立っても、内部留保されないで、損失の分だけは現金として現に出ていっているわけです。そうすると、帳簿の整理として、その金額がたまっているはずだという企業会計上の整理にはなりますけれども、実際にその分は、トータルで赤ですから現金として出ていってしまいます。それは、会計の整理上のルールとして、実際の損モードとは関係なく機械的にプランしてやっているスケジュールと、実際の資金の回収、回っていくというスケジュールにギャップがあるということから、我々は、減価償却そのものの数字をもって回収という考え方に簡単にできない。
繰り返しになりますけれども、赤字のときにそこに現金が残っているではないかと。赤字の会社なので、現金がそこに残っていないのです。帳簿上は内部留保されている形になりますけれども、そこにお金はない状態になっています。その瞬間をもって、引き続きそれは当たっているはずだと言われても、事業経営をしている人から見ると、それは当たっていません。要は、会社が最終的には時系列がたつと、倒れてしまえば、回収できませんでしたねということは明らかになるわけです。今回のケースは、白山委員がおっしゃられたように、そうは言っても経年を追っていったときに、今はゴーイングコンサーンですから、黒になっています。そうすると、減価償却という考え方に立脚したときに、もう少し別のフォーミュラで考えられるのではないかというのが御指摘の趣旨だと思っていますけれども、そこについては、大変申しわけないのですが、アベイラブルなデータという点で、制度的な設計が現時点ではできないという御説明を申し上げているところでございます。

○山口委員長代理 了解したというのではなくて、おっしゃっていることは理解しましたけれども、そこのところが今後さらに検討が必要な部分かなと思います。
もう一つ、最後にお聞きしたいのですが、例えば京浜急行の加算運賃、平成10年に認められたときの京浜急行が出した資料などを見ますと、具体的には、開業10年後に発生する資本費のおおむね50%を加算運賃収入として回収することを基本として、基本運賃を著しく越えない範囲において設定することとする。新線区間の普通旅客運賃の加算額は170円とするということで、具体的に10年を目途とするとか、50%を加算運賃収入で回収するということを基本として加算運賃の認可申請などがなされているわけです。そうすると利用者としては、10年たったら見直すのかな、50%回収したら見直すのかなと思いきや、今回公表された今の国交省のお考え方だと、100%と。10年というのはどこかに消えてしまっている感じがします。これはどう考えたらいいのか、御説明をいただけますか。

○国土交通省越智旅客輸送業務監理室長 過去の加算運賃設定の際に、計画の段階で、10年間の資本費コスト、50%程度を回収できる水準の加算運賃額を設定するという考え方であったろうと思います。そういった形で認可申請がされてきた。それを認可したといったことは事実だと思います。したがって、そこでは設定の際の加算運賃額の高さを決めるために計画として見積もって、10年間で資本費コストはこのくらいだから、これの50%程度は回収できる高さをまず設定しましょうということであったと考えております。
ただ、これは必ずしもそれで終期を決めたものでもございません。また、そのときの計画であった需要とか収入費用の実態というのはずれるものでございまして、実際には資本費コストが確実に回収されるといったところ、そこは加算運賃のみということで私どもは考えておりませんけれども、全体で基本運賃も含めて回収されていくものである、というふうな考え方をしているところでございます。

○河上委員長 小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 今のお話にも絡みますが、基本的にこの問題が起きたのは、まず、加算運賃の設定のときに基準が明確になっていなかったということだと思うのです。我々が以前の建議のときにも申し上げたように、おおむね10年、50%回収と。それを目安に加算運賃額を決定していたらしいという辺りのところは今回もおっしゃるわけですが、普通は加算運賃を設定するときに、終期などについても、どの程度までいったら全額でなくても加算分を減らしていくとか、少しずつ傾斜をつけていくとか、その辺りというのは普通は明確に予定されるべきだと思いますが、それがないままに設定だけされていた。そうすると、加算運賃を強いられている利用者にとっては、一体いつ終わるのかというのが全くわからない。そういうことから私どもが建議をして、その辺りをきちんとしてくださいというお願いをしてきたわけです。
今回、いろいろ御検討をいただいて、事業者にきちんと情報提供させるとか、そういう辺りについては改善されていると思いますが、先ほどから議論がございましたように、10年、50%というのは額の決定のためだとおっしゃるわけで、実際には終了時期ではないという説明をされ、ただ加算運賃分だけからの回収ではなくて、もちろんネットワークの基本も混ぜて回収して全体が100%だというお考えが示された。国交省として鉄道事業法23条の料金変更を命ずるという権限をお持ちになっていらっしゃるし、もしかすると、認可のときの前提状況が変わったということで、撤回権限なども一応あり得ることだと思います。ただ、それは規制緩和の中でできるだけ行使したくないということで、ここに書かれているのは、事業者に対しては、これは本当に最終なのだから、そこまで至ってしまったら監督官庁としてやるべきことがあるということで少なくとも示されたととらえるべきで、むしろそこに至る前に、10年もたってずっと同じ額で加算していくというのは本来の姿ではないと思うので、その辺りはできるだけ事業者が自ら判断して考えていただくということだと思うのです。
ですから、私どもとしては、情報提供のところについては進展があったと思いますけれども、白山委員のおっしゃったように、どこまで回収したとして、そこでカウントするかとか、その辺りについてこれではいかがかなと思うところもございますので、今後、さらに御検討いただきたいと思っております。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 まさに今のところとつながるのですけれども、白山委員が言われたように、基本運賃収入から相応の額を回収する。この相応というところが、どこが相応なのかというところが一番コアだと思うのです。そういう意味で言うと、10年・50%というのは、加算運賃の水準を決めるための考えだったとおっしゃいますけれども、今までの運輸審議会の議事録等を見ると、水準の決定であると同時に、10年・50%が見直しの目安だということを言っています。事業者もそれをわかっていて、例えば京浜急行の場合は、10年で回収率は49.4%となるが、不足分は京急線全体で賄うこととすると、はっきり言っているわけです。それからすると、今、国交省が出されてきたものはかなり後退して、基準の目安は明らかになったけれども、明らかにしろと言われたら、かなり事業者寄りの案を出してきたとしか私には思えないのです。
ただ、議論の素材が出てきたことは非常に進展なので、ここですぐ、これでやりますというのではなくて、国交省が出していただいたこれをもとに公共料金等専門調査会で揉んで、もう少し検討してやらないと、逆に、消費者委員会が消費者から抗議を受けるようなことにもなると思います。せっかく出していただいたわけですから、これをもとにもう少し議論をして、何がふさわしいのか。事業者と消費者のお互いの主張も聞きながら決めていくべき問題だと私は思います。

○河上委員長 特に御回答はいいですね。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 率直に言いますと、細川委員と私の意見が対立しております。というのは、私自身はこの分野について専門家ではないので、これまで加算運賃についての考え方が消費者には示されていなかった。それが一応こういう形で示されて、今後、各加算運賃についての事業者の決算内容その他、データが出てくるようになれば、少なくともいつ加算運賃が廃止になるのかの目途がつく。そうなれば、事業者としてはいつまでも加算運賃にのっかって事業展開していくことはできないという、そういった厳しい認識が持たれるようになるから、私はこの道の素人から見ると、一歩前進ではないかと素朴に思っていました。
ただ、細川委員に言わせれば、今すぐにでも撤回されるべき加算運賃の路線があると。それが、この国交省の考え方によって、あと10年、加算運賃を利用者に負荷することを国交省が是認することになってしまう。それは果たして許されるのだろうかという細川委員の御意見があります。私自身はその道の専門家ではないものですから、素朴に、これまで消費者に知らされていなかったところが知らされることになるから、前進なのかなと思っていたのですが、その辺が正直言ってよくわからない部分があります。
今後、国交省としてどうなさるかというのは国交省の一つの裁量だと思いますが、いずれにしても、先ほど国交省がおっしゃった通達を出されるなら出されるで、出された上で、先ほど五十嵐室長はこれがベストの答えと思っておられないと言われましたように、さらに改善する余地がないのかどうか。それは、専門調査会なり消費者委員会の第三期で検討することになるかと思います。その辺は、あとは国交省のほうがどう御判断になるかということだと思います。

○河上委員長 五十嵐室長どうぞ。

○国土交通省五十嵐鉄道局鉄道サービス政策室長 ベストでないという点は認識としてそうなのですけれども、議論を尽くす前提として、客観的なデータが本当に入手可能かという問題に直面しているということだけは、私ども、正直におつき合いをして対応させていただいたものとしては思っております。したがって、別に議題として第3期以降やるなということではなく、問題があるならどんどん議論をいただければいいと思っておりますが、ちょっと気にしておりますのは、建議を受けて私どもとして真摯な対応をした結果について、一歩前進という御評価もいただいている委員もいらっしゃるようですが、そういう評価を消費者委員会全体としていただけないようであれば、消費者委員会も含めて国の機関の一部でありますので、消費者委員会という位の高いところから、言葉は悪いですが、疑問符がついているような制度を通達で事業者に強制するというのは、この場で私は通達を直ちに出しますという判断はできかねると思っております。
今後、議論をするなとか言うつもりはございません。そういうことではなくて、どのような形であっても、現行の制度について不断の見直し、消費者目線から御議論されることについて、私どもが否定をするつもりはありません。今回の建議を受けた動きとして、この通達の案にさまざまな問題点もあるという御指摘としてはいいのですけれども、最終的な消費者委員会全体としての、コメントというものが出るのか、どういうものが出るのか、私ども承知しておりませんが、それがクエスチョンマーク付きのものであるという御評価であると、繰り返しになりますが、国土交通省の通達として、事業者に対して、ありていに言えば、このようなデータを24年度決算から出せということは、逆に事業者から見たときに、いや、消費者委員会からこれは不備があると言われているでしょうと。出したくありませんと言われても、出してくださいと慫慂はしますけれども、新制度というか、新しい通達の運用上、大変懸念をする次第でございます。だからどうしろうということではないのですが、一言だけ、これは言わないといけないなと思って申し上げた次第でございます。

○河上委員長 おっしゃる趣旨はよくわかります。
細川委員、どうぞ。短くお願いします。

○細川委員 きょう、公表用データの例ということで仮のものを出していただきました。私は、50%をほぼ超えている4路線、これが実際にどうなっているかというデータをきょういただけるのかと思ったら、それはないわけです。特にきょう初めて聞かれている方とかは、これだとわからないですね。実際にどうなのかというものがあって、それで妥当かどうかというのがわかると思うので、これをもって議論というのもなかなかできないと思いますし、消費者の御意見もいただけないと思うので、この辺は、事業者からデータは出せないのですか。少なくとも4路線。そういうところで議論していかないと、いつまでたっても疑問がついたままというか、中身がよくわからないから、こちらもOKとも言えないわけです。

○国土交通省五十嵐鉄道局鉄道サービス政策室長 ベーシックなデータは公表されていますので、それを加工してつくることは可能ですが、最終的には事業者自らの責務において、先ほど言った見解とあわせて公表させるためのデータでありますから、通達の形式としては、我々が機械的につくるのではなくて、事業者にこのフォーミュラに従って公表させるということにこの制度の肝があると思っております。したがいまして、御議論の点でそういうものがあったほうがいいという事柄については重々承知をした上で、今回に関しては公開の場での御議論であることから、まだ通達も出していない段階で、あらかじめ事業者の理解を得て提出をすることは困難であるので、こういうフォーミュラでやらせていただいているところでございます。
そういう意味で言いますと、実際に細川先生が、既に御案内のとおりの計算のデータというか、事実上のものは一部の委員の方はお持ちというか、御承知をされている。ただ、これが公開の場であるし、経営にとって重要なデータの公表になりますので、個別の4事業者なり他の事業者の了解を取らずして、この場で御議論いただくのはいかがなものかと思っているので、今日はこのような取扱いになってございます。

○河上委員長 以上で、一応、お話は伺ったということにしたいと思います。少なくとも今回、国土交通省から御説明をいただいたものにつきましては、建議で盛り込まれました加算運賃の終了時期の判断基準をある程度示すことと、公表データを見直すという作業を実際になされたことであることを承って、少なくとも公共料金の透明性の確保という観点からすると、一歩前進であるという認識を委員会としても持っております。その点では、御苦労なさったことについてお礼を申し上げたいと思います。
ただ、きょうも議論の中でいろいろ出てきましたけれども、基本運賃収入からの資本回収の考え方であるとか、あるいは「相応の」という概念の具体的な中身の在り方などについては、まだまだ検討の余地はあるということだろうと思います。
さらに、実際問題として検討していく際に、私などは加算運賃そのものがよくわからなくて、10キロから1キロ、1キロ延伸すればそれは基本料金で基本的にはまかなわれるべきもので、加算運賃というのはかなり特別なものだという感じがしていました。やはり消費者の目から見て、それだけの加算運賃を払わなくてはいけないということについて、ある程度納得できるような情報が出てくる必要がありますし、それがいつまで続くものかについて予想できることが必要だと思います。一つは、情報公開をさらに促すということと、今ひとつは、鉄道の利用者の声を吸い上げる仕組みも考えながら、検証をさらに進めていただくことを是非お願いしたいと思います。
国土交通省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

≪3.地方消費者行政について≫

○河上委員長 次は、「地方消費者行政について」であります。地方消費者行政専門調査会につきましては、第二次消費者委員会として本年3月に調査審議を再開し、このたび、報告書が取りまとめられました。
本日は、報告書取りまとめの労をとっていただきました、宇賀克也座長にお越しいただいております。まず、宇賀座長から専門調査会報告書の内容について御報告をいただき、意見交換を行った後、同報告書を踏まえた消費者委員会としての意見表明を行いたいと考えております。
それでは、宇賀座長から御報告をお願いいたします。

○地方消費者行政専門調査会宇賀座長 宇賀でございます。
ただいま、委員長から御紹介いただきましたとおり、地方消費者行政専門調査会につきましては、本年3月の第14回会合以降、計6回にわたり調査審議を重ねてまいりました。今次の専門調査会は審議時間が限られておりましたことから、7月11日の第19回の会合におきまして、報告書の大枠の内容につきまして、委員の皆様の御了解をいただいた上で、最終的な取りまとめにつきましては、各委員がメール等で情報を共有しながら意見の集約を行いました。報告書の内容や取りまとめに当たっての議論の主なポイントにつきましては、事務局から御説明させていただきます。

○原事務局長 資料としては、資料3-1別ウインドウで開きます3-2別ウインドウで開きますがございます。3-1が全体の概要をあらわしたもので、3-2が報告書本体です。3-2の30ページ以降は参考ということで、参考資料としておつけしております。前のほうの30ページが報告書本体になります。3-2と3-1と両方使いながら御説明をしたいと思います。
まず、3-2の報告書ですが、開けていただきますと、目次と「はじめに」がございます。目次のところを見ていただきたいのですけれども、ことしの3月末から6回、地方消費者行政専門調査会を開いておりますけれども、「地方消費者行政の現況と今後の課題」ということで、今の消費者行政をめぐる情勢と、地方消費者行政の現況と今後の課題というところを分析いたしまして、「II.市町村における消費者行政の体制整備をめぐる優先課題と方策」「III.今後検討すべき課題について」ということでまとめております。
本文を見ていただきたいのですが、「はじめに」の2ページから始まるところです。真ん中の段に書いておりますけれども、消費者委員会は発足以来、地方消費者行政の充実・強化を重点課題として位置づけておりまして、これまでも2回建議を出しております。これらの建議については、建議先である消費者庁や総務省等を通じた措置について、フォローアップを委員会の場で行ってきておりました。今回、平成25年3月から、地方消費者行政専門調査会、座長を宇賀先生にお願いして開催してまいりました。
4ページですが、「地方消費者行政の現況と今後の課題」。(1)は「消費者問題の現状」ということで、高齢化の進展とネット社会の進化、生活困窮者の増大という、中長期的には、5年、10年先はこの辺りを課題として認識すべきではないかというふうに考えております。
7ページに飛びまして、「(2)地方自治体を取りまく状況」です。地方自治体は平成の大合併ということで、3,229あった自治体が、本年2月では1,719団体となっております。この中でも、少子高齢化の進展を受けておりまして、人口減少となった市町村は全体の75%以上という状況です。また、人員・財政状況についても、非常に厳しい状況に置かれています。
8ページに飛びまして、それでは地方消費者行政の現況はどうなのかということです。ここに、消費者庁提出の資料ですが、地方消費者行政の推進体制・予算の推移を載せております。地方自治体全体、大変厳しいのですけれども、その中でも地方消費者行政はかなり大きなしわ寄せを受けている実態がわかります。
9ページ以降は消費者行政の現況ということで、ここから、時間省略のために資料3-1を使って説明させていただきたいと思います。
資料3-1をごらんいただきたいのですが、今回、市町村と都道府県と国の役割分担を分析したかったのですが、特に基礎的な自治体である市町村がどういう実態にあるかということを、消費者庁が作成しております現況調査を深掘りする形で出してみました。そこに書いているとおり、相談窓口等は着実に整備されてきておりますけれども、内容面での充実は緒についたばかりです。確かに消費生活センター、窓口については93.2%の設置率になっています。ただし、小規模市町村ほど窓口単独設置、未設置の割合が高く、特に財政力が弱いところ、高齢化率が高いところほどこの傾向が顕著です。
それから、消費生活相談員の未配置の市町村が全体の4割強です。有資格者が配置されていない市町村が全体の6割弱ということで、相談員が座っているという状況はとても乏しい状況にあります。
今回、職員に焦点も当てて分析をしておりますけれども、専任の職員が配置されている市町村数は全体の1割強ということです。兼任で大半の職員が仕事をしておられるわけですけれども、消費者行政を行っているという事務ウエートは10~40%という方が8割強ということで、市町村では兼任、それも10~40%の割合で仕事をしておられる職員の方がほとんどだということになります。
マル2は「市町村における消費者行政の体制整備を巡る優先課題と方針」ということで、優先課題を3つ掲げております。
優先課題1は、小規模市町村の消費者行政体制底上げということで、先ほど、センターと窓口設置率が93%もありますと言いましたけれども、これをこのまま放置しておくと、だんだん弱体化していくことが目に見えております。ここをきちんと体制として底上げして強化していくために、方策として、広域連携の推進とよろず相談窓口の機能強化を挙げております。広域連携については、2年前は15ぐらいだったのですが、今回分析していますと、70を超える広域連携が進んでおります。ただ、安易に広域連携をしてしまうと、中抜けの状態、中心市だけが一生懸命やっているけれども周りは知らないという状況になりますので、広域連携推進のためのわかりやすい実例の提供と共有をお願いしております。
優先課題2といたしまして、地域力強化による地方消費者行政の体制強化ということで、昨年8月に消費者教育推進法が制定されました。これを契機に、消費者行政全体の地域での地域力を強化していくことを考えていただきたいということで、方策として、庁内連携の推進、官民連携の推進ということで、庁内、外の地域リーダー、そういったところとの連携を強くすることで、地域力全体の底上げを図っていってはどうかと考えております。
優先課題3ですけれども、自治体職員に対する支援策ということです。消費者行政の担当職員、在任期間も短く兼務でやっておられるということなので、方策としては、(1)で研修の強化、(2)で情報共有の場を積極的に設けていってはどうかということを提案しております。
マル3として、下の欄に「今後検討すべき課題について」ということを書いております。国、都道府県、市町村の役割分担・連携協力については、具体的役割分担の在り方は、第三次消費者委員会において引き続き検討をしていただきたいと考えております。
(2)ですけれども、国による財政支援等の在り方についてということでは、引き続き国による安定した財政措置の継続について、消費者庁が今年度やっておられます一般準則の効果の検証もした上で、最大限の努力をお願いしたいと思っています。
今回、とても短い時間でしたけれども、消費者庁の現況調査をかなり深掘りいたしましたので、こういうせっかくのデータを確実に見える化していくことが、PDCAを回していくことにもなると思います。そのこともこの6回の審議を通じて感じましたので、今後もお願いしたいと思っております。
時間が押せ押せになっておりましたので、手短で大変恐縮ですけれども、報告書について御説明いたしました。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、宇賀座長から最後にコメントをいただけますか。

○地方消費者行政専門調査会宇賀座長 座長として一言、申し上げさせていただきます。
消費者委員会におかれましては、この報告書を踏まえまして、地方消費者行政の体制整備の推進に向けた意見表明を行うと伺っておりますが、本専門調査会の報告書の内容が着実に実施されるように、取組み状況について継続的にフォローアップを行っていただければ幸いでございます。
また、今次の専門調査会は、審議時間が非常に限られておりましたことから、国、都道府県、市町村の役割分担の具体的な在り方、国からの財政支援の在り方等につきましては十分な検討を行うことができませんでしたが、これらの課題につきまして、引き続き消費者委員会において検討を継続していただくことを期待しております。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
特に、よろしいですか。
それでは、既に、ある程度意見交換を委員間協議でもやっているところでございますから、同報告書を踏まえた消費者委員会としての意見表明につきまして、案文を作成しておりますので、これを配付願いたいと思います。

追加資料1別ウインドウで開きます配付)

○河上委員長 ただいま配付いたしました、「地方消費者行政の体制整備の推進に関する建議(案)」につきまして、担当委員のお一人である吉田委員から、説明をお願いいたします。

○吉田委員 それでは、追加資料1、「地方消費者行政の体制整備の推進に関する建議(案)」について、御説明いたします。
消費者委員会は発足以来、地方消費者行政の充実・強化を最重点課題の一つとして位置づけてきており、これまで、平成23年4月に「地方消費者行政の活性化に向けた対応策についての建議」、平成24年7月に「地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた支援策についての建議」を取りまとめ、国による支援策の検証・評価、財政・技術支援の在り方、消費生活相談員の雇止め等についての課題を明らかにし、消費者庁をはじめとする関係省庁に対応を求め、そのフォローアップを行ってきたところです。今回は、消費者委員会として地方消費者行政に係る3回目の建議となります。
消費者委員会は、地方消費者行政専門調査会から「地方消費者行政専門調査会報告」の提出をうけたところです。消費者委員会は、この報告の内容を踏まえ、以下のとおり、内閣府特命担当大臣(消費者)に建議を行うものです。
建議のポイントは2つあります。
1点目として、地方消費者行政専門調査会報告で提起された、市町村の消費者行政体制整備に向けての取組みを着実に実施することを求めます。具体的には、住民が「どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制」を実現し、それを維持・継続するための優先課題として、以下を実施することを求めます。
(1)広域連携やよろず相談窓口の強化による小規模市町村の消費者行政体制底上げ。
(2)庁内連携及び官民連携を通じた「地域力」強化による地方消費者行政の体制強化。
(3)研修の強化等を通じた消費者行政担当の地方自治体職員に対する支援策。
以上です。
2点目として、消費者庁による地方消費者行政への財政支援等について、最大限の努力を行うことを求めるとともに、国による財政支援等を安定的に継続していくに当たっては、「地方消費者行政に対する国の財政措置の活用期間に関する一般準則」の効果、検証を行うことを求めます。
地方自治体においては、消費者行政に関する自主財源や人員の十分な確保が依然困難な状況であり、引き続き消費生活相談員の確保・レベルアップをはじめとする消費生活相談体制の充実・強化のための下支えが不可欠であります。これに加えて、今年度から消費者教育推進法に基づく地域の取組みが本格化していくことを踏まえ、引き続き国による財政支援等の継続について最大限の努力を払っていく必要があります。
なお、今後、国による財政支援等の重点項目については、地方消費者行政専門調査会の報告書が示した、市町村の消費者行政体制整備の課題に沿って、小規模市町村の体制底上げ、地域力の強化による消費者行政体制の強化を位置づけていく必要があります。
本委員会は、本建議への対応について、内閣府特命担当大臣(消費者)に対して、平成25年度末を目途にその実施状況の報告を求めます。また、消費者基本計画の検証・評価・監視活動の一環として、本建議に対する対応状況について、定期的にフォローアップを実施するものです。
説明は以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明を含めて、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。いかがでしょうか。

○山口委員長代理 基本的には委員会内で議論をしている内容ですが、私はこの建議の中で特に重要なのは財政支援の問題だと思います。ただ、財政支援という言葉と財政負担という言葉とは、かなり違う意味合いがございまして、建議の2ページ、下から10行目以下に書いてありますが、消費者委員会は昨年7月に、2回目の建議、「地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた支援策についての建議」を出しております。その中で、活性化基金で体制を強化していくこととあわせて、地方消費者行政に係る国からの財政負担の在り方の検討の余地も提示しております。さらには、地方消費者行政に係る自主財源、あるいは人員確保の働きかけという、3本で提示しているわけです。
今般、活性化基金を大幅に上乗せしてカンフル的なことをしていただいて、それが、きょうの報告書にあるように相当の成果を上げていることは間違いないのですが、今後、地方消費者行政を継続的に維持・発展させていく上で、国の支援がいつまで続くのだろうかという自治体からの不安が、今回の専門調査会でもたびたび出ておりました。継続的な国の財政支援、あるいは財政負担の在り方について、さらに消費者庁において検討をいただいて、地方消費者行政の充実を図っていただきたいという意味合いでこの建議を出すというところで、確認させていただければと思います。出すことはもちろん賛成ですが、その点は特に付言しておきたいと思います。
また、非常に重大な要素として、都道府県の役割分担の在り方というのは、小さな市町村、基礎自治の役割の充実に向けた在り方と並んで非常に重要なポイントです。それについては、時間あるいはいろいろな制約上、今回の調査会では審議できなかったので、今後の課題として残らざるを得ませんが、極めて重大だということは共通の認識として持っているところも付言しておきたいと思います。

○河上委員長 内容的にはこれで修正意見はないということですね。

○山口委員長代理 はい。

○河上委員長 ほかにはよろしいですか。
特に御意見がございませんでしたら、この建議案で、報告書をベースにしてつくったものですけれども、皆様の御了解をいただいたということで、消費者庁及び消費者委員会設置法第6条に基づき、内閣府特命担当大臣(消費者)宛てに発出したいと思います。
宇賀座長におかれましては、御多忙の中、専門調査会の座長として報告書の取りまとめに大変御尽力をいただきました。まことにありがとうございました。

≪4.家庭用品品質表示法に基づく品質表示規程の改正について≫

○河上委員長 次の議題は、「家庭用品品質表示法に基づく品質表示規程の改正について」であります。消費者庁にお越しいただいております。
家庭用品品質表示法は、家庭用品の品質に関する表示の適正化を図り、一般消費者の利益を保護することを目的とし、その対象となる家庭用品を指定し、品質にかかわる事項を表示の標準として規定しております。また、家庭用品品質表示法第11条に基づき、表示の標準となる事項を制定、変更等をしようとするときは、消費者委員会に諮問し、意見を求めることになっています。
本日は、改正を予定している内容等について、消費者庁から御説明をいただきまして、意見の取りまとめを行いたいと思います。
それでは、片桐課長にお越しいただいていますので、説明をお願いいたします。

○消費者庁片桐表示対策課長 表示対策課の片桐でございます。
それでは、お手元の資料4別ウインドウで開きますをごらんいただければと思います。家庭用品品質表示法の概略につきましては、ただいま、河上委員長から御紹介があったとおりでございます。対象となる家庭用品を指定して、品質にかかわる事項を表示の標準として規定しているものでございます。
今回の改正の趣旨は、2ポツのところに書いてございます。本年4月に、エアコンについてJISの改正が行われたということがございます。それに伴いまして、家庭用品品質表示法の電気機械器具品質表示規程というのがありまして、こちらのJISを引用している記述について、JISが改正になったことに伴って所要の改正を行うというものでございます。この改正については、経済産業大臣からの要請を受けて行うものでございます。
3ポツに書いてございますが、今回のエアコンに関するJISの改正といたしまして、通年エネルギー消費効率を使用実態に近づける見直し、最近の気象データによる想定空調負荷の見直しが行われています。また、冷房能力あるいは暖房能力、冷房消費電力または暖房消費電力、こういったものにつきまして、測定誤差による許容範囲を縮小する見直しが行われているものでございます。
ページの裏をごらんいただければと思いますが、JIS改正に伴う家庭用品品質表示法の表示規程の改正内容、現行、改正案ということでまとめさせていただいております。
冷房能力、暖房能力につきましては、試験方法について、JISの名称変更、JISの試験の内容に伴う変更を行うということでございます。許容範囲につきましては、これもJISのほうで、マイナス5%から許容範囲をマイナス3%に狭めるといった内容変更に伴う整合化を図るということでございます。
冷房消費電力または暖房消費電力につきましては、試験方法と許容範囲についての変更でございます。試験方法につきましては、上の冷房能力または暖房能力と同様でございます。許容範囲につきましては、現行表示値のプラス10%をプラス3%に許容範囲を狭めるという内容変更に伴う改正でございます。
通年エネルギー消費効率につきましては、現行、改正案と並んでおりますけれども、JISの名称変更に伴う変更、内容の実質的変更ということで、コメ印3に書いてありますが、最近の気象データに伴う変更、使用実態に近づける見直しといたしまして、連続運転の計算から、より実態に近い断続運転の計算にするといった内容の変更を含んでいるものでございます。
3ページにまいりまして、今後の予定でございます。本日、諮問をさせていただきまして、その後、TBT、パブリックコメントを経まして、11月にJISの改定と合わせて、改正告示について公布させていただければと考えているものでございます。
簡単でございますけれども、私からの説明は以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
これは、基本的にはJISの改正に伴って表現を合わせるという、かなり技術的な側面が強うございますね。

○消費者庁片桐表示対策課長 さようでございます。

○河上委員長 何か御意見はございますか。
特になければ、委員会としての答申案を配付させていただきます。

追加資料別ウインドウで開きます配付)

○河上委員長 愛想のない答申案で恐縮ですが、「鑑み妥当である」ということで、答申案を作成いたしております。
これでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○河上委員長 それでは、この答申案については皆様の御了解をいただいたということで、内閣総理大臣宛てに答申をしたいと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しいところを審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪5.インターネットを通じた消費者の財産被害対策について≫

○河上委員長 次は、順番を入れかえさせていただきまして、「インターネットを通じた消費者の財産被害対策について」、御審議をいただきたいと思います。
山田司法書士、総務省におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
インターネットを通じた消費者の財産被害については、例えばネットショッピングで代金先払いにて商品を購入したものの、事業者から商品が送られてこず、事業者の所在も不明である場合、あるいは、架空請求に対して金銭を支払ってしまったが、連絡先が不明であるため返還請求ができないといった場合等があります。
このような事案の被害救済のためには、まず加害者の特定が必要となりますが、プロバイダへの発信者情報開示請求等を定めるプロバイダ責任制限法では、実際上、消費者の財産被害事案については、それがインターネットを通じて行われたものであっても、発信者情報開示請求は認められないものとされています。
この問題について、本日は、司法書士の山田茂樹さんから実務上の問題点を御報告いただくとともに、プロバイダ責任制限法を所管する総務省から、情報の流通により直接権利侵害していない場合や、電子メールにより権利が侵害されている場合といったものへの同法の適用等について御説明をいただき、議論を行いたいと思います。
まず、司法書士の山田さんから御報告をお願いいたします。説明時間は、恐縮ですが、10分程度でお願いします。よろしくお願いします。

○山田茂樹司法書士 司法書士の山田です。よろしくお願いいたします。
私は、資料6別ウインドウで開きます「インターネット取引被害(詐欺)事案における実務上の問題点」というレジュメに従って、報告をさせていただきます。
今回、ケースを5事例挙げてございますが、時間の関係もありますので、5つの事例をごく簡略に述べまして、要点を整理しながらお話をするということでお願いいたします。
まず、ケース1から見ていきたいと思います。ケース1は、架空請求メール詐欺の事案です。事案としてはよくある話ですけれども、特定の方に向けてEメールでいわゆる架空請求のメールが来ました。架空請求の内容を信じて被害者の方は電話をして、言われたとおりの金額を振り込んでしまったという事案です。
この事案の架空請求メールには、住所、商号、電話番号等々、いろいろ記載されておりましたが、調査嘱託やその他調査を行った結果、商号も実在しませんし、住所も実在するところではあったが当該相手方が実在していることは確認がとれませんでした。また、電話番号については、極めて複雑な契約が入り組んでおりましたが、結局、相手方を特定するには至らなかった、このような状態でございました。
結果として、送信メールの携帯電話メールアドレスについて、いわゆる発信者情報開示という形で調査嘱託の申立てを裁判所にしたところ、携帯電話事業者のほうは拒否するという回答ではなかったのですが、結果としては該当なしという回答がなされたというのが、1つ目の事案でございます。
2つ目の事案は、アダルトサイトの延滞金等請求事案でございます。これはやはりEメールで送られてきて、言われるまま電話をかけ、言われたとおりの金額を支払ってしまった、こういうケースでございます。このケースにつきましても、さまざまな情報、電話番号、請求者の商号等々出てきましたが、結果として、商号については実在している法人ではなかったので特定できなかった。口座名義人についても調査をしたのですが、その住所は住民票などを取得できない住所であった。ということで、このメールに書かれていた携帯電話番号あるいは携帯メールアドレスについて、携帯電話会社を被嘱託先とする調査嘱託の申立てをした、こういう事案でございます。しかしながら、このケースでは、調査嘱託を受けた被嘱託先である携帯電話事業者につきましては、それを開示することは通信の秘密の侵害に該当するということで、開示を拒否した。こういう事案でございます。
ケース3でございますが、ネットショップ詐欺の事案です。このケースでも最初はEメールが送信されたというケースでして、家電製品を安く購入できるというEメールを被害者の方は受信しました。その結果、そのメールにリンクされていたURLをクリックすると、相手方のウェブサイトがあるにはありました。これは、無料ホームページ作成サイトにより作成されたものでした。内容を見たところ、電化製品が確かに格安の価格で表示されていました。そこで、メールで商品を注文したところ、ここの口座に振り込みなさいということでお金を振り込んだ。しかし、商品も送られてこないまま、結局、サイトは閉鎖され連絡不能になった、こういう事案でございます。
これについても、(2)に書いてございますとおり、商号、住所、電話番号が記載されていたり、送信元のメールアドレスはわかったのですが、商号、住所に関しては、法人としては存在しない商号でしたし、住所についても実在しない住所であった。電話番号もいろいろあったのですが、これもなかなか本人を特定するには至らず、最終的には、送信してきたEメールアドレス、パソコンのメールアドレスのプロバイダに対して発信者情報開示請求をするしかない、こういう事案でございました。
この点につきましては、いろいろ工夫をいたしまして、調査嘱託をする中で、これはいわゆるネットショップ詐欺でございますので、特商法の通信販売事業者に該当します。その結果、特商法上は住所氏名等を表示する義務がある。この辺りも敷衍し、結果としてプロバイダは発信者開示に応じても問題はないという旨を記載した調査嘱託申立書を作成いたしまして、この写しを裁判所の調査嘱託書に添付してもらって、プロバイダ宛てに調査嘱託を発動してもらったのですが、プロバイダの対応としては、プロ責法の発信者情報開示請求の要件には本件は該当しないということで、開示を拒否されたという事案でございます。
ケース4はパチンコの打ち子バイト詐欺の事案で、これも、もともとはEメールで「パチンコPRイベントアルバイトのご案内」というものが来ました。それを見て、いいなと思って、指示されたとおりにお金を振り込んだのですが、思ったような成果は上がらず、むしろ追加の費用も請求された、こういう事案でした。住所、商号、電話番号等々は、ウェブサイト上記載されておりましたが、これらについていろいろ調査した結果、相手方を特定するには至らなかった。そうすると、特定するための一縷の望みとしてはメールアドレスの発信者情報開示しかなかった、こういう事案でございます。
最後のケース5は、越境取引になるかと思いますが、海外の偽ブランド品ショップサイト詐欺の事案です。これにつきましては、ブランド品の靴を購入するためネットを調べていたところ、工場直送するので安いというウェブサイトにたどり着いた。そこで注文したわけですが、偽物が届いてしまった。ウェブサイト上のメッセージフォームで問い合わせをしてもまともな返答は返ってこない、Eメールが返ってくるというだけで、話が通じません、こういう事案です。
これもいろいろ調べました。まず、ウェブサイト自身をWHOIS検索などで調査をしてみても、いわゆるWHOIS情報公開代行がとられていまして、ドメインの登録者が誰かということはわからなかった。結果として、メールのやり取りをしていた事実はありまして、メールアドレスはわかっておりますので、このメールアドレスの発信者情報に一縷の望みを託すほかない状況であった。こういう事案でした。
今、ざっと紹介させていただいた5つの事例から見えてくる問題点のまとめを、7ページに記載してございますので、説明させていただきます。
黒マルの1つ目ですけれども、相手方が特定商取引法上の通信販売業者であるなど、自らの氏名住所を表示することが義務づけられているケースでさえも、「通信の秘密」や「プロバイダ責任制限法の発信者情報開示請求の要件を満たしていないこと」を理由に開示に応じていないという現実があります。ケースの3がこれにあたります。
黒マルの2つ目ですけれども、携帯電話事業者であれ、プロバイダであれ、いずれも電気通信事業者ですから、電気通信事業法に基づく「通信の秘密」遵守義務等(4条)があります。ですが、ケース1とケース2を見ていただきますと、いずれも携帯電話の通信事業者であるにもかかわらず、1では開示に応じる姿勢を見せましたが、2は見せなかったという形で、対応はまちまちであります。
このようなことからいたしますと、まとめが黒マルの3つ目ですが、マル1 開示の対応がまちまちであるということは、発信者情報開示については柔軟に検討する余地があることを意味すると考えられるのではないか。
マル2 ケースによっては発信者情報開示に応じたとしても、違法性が阻却されると思料されるケースがあるのではないか。
マル3 同開示、発信者情報開示に応じないことで加害者を特定できないことは、結果としては被害者に泣き寝入りを強いる反面、違法に収益を得るものを利する結果になるということからすれば、少なからず現在のプロバイダの発信者情報開示請求に対する対応については、見直しをする必要があるのではないか。これが実務上からの考えという形になります。
以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、総務省から御説明を伺いたいと思います。説明時間は、やはり10分程度でお願いいたします。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課の藤波と申します。よろしくお願いいたします。本日は御説明する機会を与えてくださいまして、どうもありがとうございます。
資料7別ウインドウで開きますの「プロバイダ責任制限法について」という資料に基づきまして、現行法の概要と、現行法につきまして検証を行った経緯がございますので、その中身につきまして御説明したいと思っております。
まず、2ページ目からでございますけれども、現行のプロバイダ責任制限法の概要です。プロバイダ責任制限法の趣旨は、インターネット上の他人の権利を侵害する情報の流通について、プロバイダ等が、権利を侵害されたとする者または発信者から、以下のような法的責任を問われるおそれがある。例えば、他人の権利を侵害する情報を放置した場合については、権利を侵害されたとする者から損害賠償請求を受ける可能性があり、また、実際は権利を侵害していない情報を削除した場合は、発信者から損害賠償請求を受ける可能性などがあります。このような観点から、プロバイダ等におきまして「被害者救済」と発信者の「表現の自由」等の重要な権利・利益のバランスに配慮しつつ、適切な対応が行われるようにするというのが、プロバイダ責任制限法の趣旨でございます。
そのために具体的にどんな規定を置いているかでございますけれども、3ページのところで、権利侵害情報の削除というものが定められてございます。権利侵害情報の削除につきましては、被害者から権利侵害情報について削除の申出があった場合でございますけれども、権利侵害情報を削除するか、しないかにつきまして、削除しなかった場合の責任につきましては、被害者に対する責任として、他人の権利が侵害されていることを知っていたとき、または他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当な理由があるとき以外は、削除しなくても免責ということになっております。逆に言えば、他人の権利が侵害されていると知っていたときや、知ることができたと認めるに足りる相当な理由がないときについては、削除するということになっております。
発信者に対する責任でございますけれども、他人の権利が侵害されていると信じるに足る相当の理由があった場合、または、削除の申出があったことを発信者に連絡して7日以内に反論がない場合は、削除しても発信者に対する責任が免責されるという構成になってございます。
続きまして、4ページ目でございます。今回の議論になっております発信者情報の開示請求でございます。発信者情報開示請求につきましては、被害者、プロバイダ等から発信者情報の開示請求がございまして、2つの要件を満たせば開示を請求できるという構成になってございます。
1つ目の要件は、侵害情報の流通によって請求者の権利が侵害されたことが明らかであること。2つ目は、損害賠償請求の行使その他開示を受けるべき正当な理由があること。この2つの要件を満たせば、発信者情報開示請求をすることができることになってございます。
具体的に開示される情報ですけれども、5ページを見ていただきまして、総務省令で定める情報を開示することとされています。具体的には、発信者その他侵害情報の送信に係る者の氏名または名称、マル2発信者その他の侵害情報の送信に係る者の住所、マル3 発信者の電子メールアドレス、マル4 侵害情報に係るIPアドレス、マル5侵害情報に係る携帯電話端末またはPHS端末からのインターネット接続サービス利用者識別符号、マル6 侵害情報に係るSIMカード識別番号、マル7は、マル4~マル6の情報に係る携帯電話端末等から、開示関係役務提供者の用いる特定電気通信設備に侵害情報が送信された年月日及び時刻。マル1~マル3につきましては発信者の情報、マル1~マル6、それらの情報が発信された時刻についても開示するという扱いにしております。
6ページは、いわゆるプロバイダと言っていますけれども、どのような事業者がプロバイダ責任制限法の対象になっているかということでございます。これは、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信を、特定電気通信と定義いたしておりまして、その特定電気通信役務を提供する者、したがって、特定電気通信の用に供される設備を他人の通信の用に供する者を対象としてございます。
具体的には、例えばですけれども、アクセスプロバイダ、いわゆるISP、ウェブサーバ管理者、電子掲示板等の管理者につきまして、プロバイダとして削除や開示請求の対象となるという構成にしてございます。
法律の規定は6ページまでですけれども、7ページをおめくりいただきまして、実際の運用等に資するため、明確化のために、実務上の行動指針を関係者から成る「プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会」を結成して、作成しております。具体的には、名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン、著作権関係ガイドライン、商標権関係ガイドライン、発信者情報開示関係ガイドラインについて定めております。
現行法につきましては、説明は以上でございます。
8ページ目からは、プロバイダ責任制限法に関する検証でございます。平成22年~平成23年にかけまして、同法の関係について検証を行っておりますので、それにつきまして御説明させていただきます。
インターネットを取り巻く環境の変化、諸外国の動向等を踏まえて、平成22年10月、「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」に「プロバイダ責任制限法検証WG」、これは東京大学の長谷部先生に主査となっていただきまして、下記のような構成員の方々をメンバーに設置したものでございますが、プロバイダ責任制限法の内容につきまして検証を実施しました。その検証をもとに、平成23年7月に「プロバイダ責任制限法検証に関する提言」を取りまとめて公表したところでございます。
その中で、本日の御議論に関係する論点につきまして、簡単に10ページ以下でまとめておりますので、御説明いたします。
まず、発信者情報の開示の要件といたしまして、現行法では「権利侵害の明白性」というものが定められていますけれども、これについてどう考えるかという点について、以下のように意見をいただいています。
権利侵害の明白性の要件につきましては、被害者の被害回復の必要性と、発信者のプライバシーや、表現の自由の利益との調和の観点から規定されたものである。すなわち、被害者の被害回復の必要性が認められる一方で、発信者情報開示請求により開示される情報は、発信者のプライバシーに関わる事項であるところ、プライバシーは、一旦開示されると、原状に回復させることが不可能な性質のものであり、その取扱いには慎重さが当然に求められる。
また、匿名表現の自由についても、その保障の程度はさておき、保障されることに疑問の余地はなく、可能な限り、萎縮効果を及ぼさないように配慮する必要があり、このような観点から権利侵害の明白性が要件として規定されたものである。そうすると、権利侵害が明白である場合のみ、発信者情報の開示を認めることには必要性及び合理性があるといえ、発信者による権利侵害が明白でないのに、発信者のプライバシーが侵害されてもよいと考えることは相当ではない。
以上より、権利侵害の明白性に関して、これを不要とすることは不適切と考えられるという御提言をいただいているところでございます。
1枚おめくりいただきまして、電子メールにより権利が侵害されている場合でございます。提言の内容といたしましては、プロバイダ責任制限法は、インターネット上のウェブページや電子掲示板等の特定電気通信をその対象としているが、これは問題となる情報が電気通信役務を提供する者の電気通信設備に記録されており、不特定の者からの求めに応じてその情報の自動的な送信が継続的に行われるものである。このような通信は、不特定多数の者を対象としており、被害の広がりやその拡大のスピードという点で、電気通信役務を提供する者による迅速で適切な対応が特に必要とされている。
これに対して、電子メールのように一回ごとに通信が完了する形態の通信は、特定の者を対象とし、かつ、過去に問題となる通信を行ったからといって、それ以降の通信について問題となる情報の送信が必ず行われるとは限らないものであり、被害の広がりやその拡大のスピードという点で、特定電気通信とは異なるものである。
また、電子メールは特定者間の通信であって、非公知のものであって、プロバイダ等がその内容を探知すべきものではなく、かつ、通信の秘密との関係上、その内容をプロバイダ等は確認することができず、プロバイダ等において他人の権利侵害(または権利侵害の明白性)について判断することができないことからすると、これをプロバイダ責任制限法の対象とすることは、発信者のプライバシーや通信の秘密などといった重大な権利を不必要に侵害する可能性がある。
そのため、電子メールをプロバイダ責任制限法の対象とすることは妥当ではないと考えられる、という提言をいただいております。
3つ目でございますけれども、情報の流通により直接権利侵害していない場合につきましてどう考えるかということについて、以下のような提言をいただいております。
立法の経緯及び文言に照らすと、現状からすると、情報の流通によって直接権利侵害していない場合でございますけれども、現行法の解釈上、これを「情報の流通によって」に含めることは困難であるということでございます。
流通により他人の権利を直接侵害しない情報を発信者情報開示請求の対象とした場合、プロバイダ等においては、流通している当該情報のみでは権利侵害の有無が判断できないことから、権利侵害が存在しないのに発信者情報が開示されるというリスクが高まり、その結果、発信者のプライバシーや通信の秘密、表現の自由といった重大な権利を侵害するリスクが高まる。
プロバイダ等が適切に主張を立証しうるのは、自己の管理下にある設備に蔵置されたデータの権利侵害に関する事項にとどまることからすると、訴訟係属した場合にはプロバイダ等においてそれ以上の適切な主張を立証をなしえない。
このように、重要な権利との関係や訴訟手続上の問題があることからすると、プロバイダ責任制限法のみで検討するのではなく、訴え提起を可能ならしめるための情報収集手段の在り方として検討すべきものであって、そのためには、関係省庁をはじめ幅広く議論する必要があるという御提言をいただいているところでございます。
13ページ以降は、御参考といたしまして、現行の条文につきまして添付させていただいたところでございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 総務省の御説明を聞いて、?然としております。山田さんから、現実に、インターネットやメールが飛躍的に利用者の利用が増えていることは慶賀なことですが、それによって回復が非常に困難な被害が、特に金銭被害が多発している実情のお話がありました。かつ、国民生活センターでも、年に17万件を超えるインターネット通信にかかわる被害が出ているという実情は、前から申し上げているところでございます。これについて、総務省としてどういう対応を考えておられるのかということをお聞きしたかったわけですが、今のお話では、要するに2年前の審議会のWGの答申の説明しかなされなかった。それから2年間の間に、これほど飛躍的にネット社会化し、一方で被害が増大している実情について、どういうふうにお考えになるのかについて、何の説明もなかったのは大変残念です。
既に総務省には、今、お話がありました10ページ、11ページ、12ページのWGの考え方について、違うのではないか、もっと別の視点から検討するべき要素があるのではないかということを、幾つか申し述べさせていただいております。改めて申し述べますので、それについてのお考えをお聞かせいただければと思います。
まず、10ページの権利侵害の明白性の問題です。これについては、現実に多発している問題は、金銭を請求する者が匿名性を悪用してインターネットやメールなどで消費者に情報を提供し、その情報に乗せられた消費者が金銭被害を受ける、そういう問題です。この場合には、権利侵害の明白性と通信の秘密の調和という視点から言いますと、金銭交付を要求している側の発信者のプライバシー、表現の自由の問題と、消費者の利益という点からすると、類型的に発信者のプライバシーや表現の自由の利益の重みは少ないはずです。この点をどういうふうにお考えになって先ほどのような議論をなさっているのかが、全く見えない。
2番目に、このような場合の基準の明確性については、例えば消費者委員会としては、金銭を既に支払ったこと、あるいはそれと同視できる状態にあることを証明するとか、あるいは、発信者情報開示請求によらなければ連絡することができない、相手がわからないということを要件とすれば、要件の不明確性というのは克服できると思います。端的に言えば、お金を払った、連絡がとれないという点を疎明すれば、要件はそれほど不明確な問題にはならないと思うのですが、それについてはどうお考えなのか。
さらには、電子メールにより権利が侵害されている場合という点について、これは電子メールであっても、御存じのとおり、ウェブページや電子掲示板などと同様に、問題となる内容が次々と送信される場合や、複製されて転送される場合がたくさんございます。現実に国民生活センターで公表している架空請求の事案では、昨年度も3万7,000件の被害相談がございまして、そのうちの75%はメール、インターネットの一斉発信によるものです。ですから、これはもう非公知とか、匿名性という問題ではない。例えば、こういう架空請求で被害に遭ったということをブログに貼り付けている人もいます。あるいは、東京都では架空メール都民通報制度などを充実させて、こういう架空請求には気をつけましょうということまで発信されているわけです。そうすると、一定の検討をすれば、不特定多数に同じメール文を発送して金銭被害が起こった場合は、これはインターネットによる発信と何ら違いはないというふうに思われます。そういう点について、どういうふうにお考えになっているのかがさっぱり見えない。
現実に今、架空請求もそうですが、サクラサイトの被害とか、内職商法の被害が多発しております。そういう問題について総務省としてどうお考えなのか。是非、お聞かせいただきたいと思います。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 3点ほど御質問があったかと思いますので、順番にお答えさせていただきます。
ます1点目は、インターネット上で金銭被害、詐欺事案が行われた場合について、どう考えているか。プロバイダ責任制限法の適用についてどう考えるのかという質問だと認識しておりますけれども、一般論として、他人の権利を侵害する情報が流通している場合については、表現の自由やプライバシー、通信の秘密について、一定の制約があってもやむを得ないだろうという可能性があるのは御承知のとおりだと思います。
ただし、発信者情報につきましては、誤って開示された場合、原状回復を図ることは性質上不可能である。したがいまして、権利侵害があったことはクリアになっていないと、権利侵害を行っていないにもかかわらず情報を開示してしまう可能性があり、それは、プライバシーや通信の秘密、そういった重要な権利を侵害することになりますので、権利侵害の明白性という要件につきましては必要なものではないかと考えているところでございます。
インターネット上の金銭被害につきましては、これも当然、権利侵害の事例でございます。プロバイダ等につきましては、インターネット上で流通している情報、例えばネットショッピングの商品情報等におきましては、権利侵害の有無が判断できません。実際にはその場合、プロバイダ等が、正確に権利侵害が存在すると判断できないにもかかわらず発信者情報を開示されるというリスクは高まりますので、その結果、発信者は、プライバシーや通信の秘密、表現の自由といった重大な権利を侵害されるおそれがあることは考えられます。
それ以外に、訴訟手続において発信者情報開示請求をすることが考えられますけれども、この場合におきましても、プロバイダ等が適切に主張を立証できるのは、自己の管理下にあるサーバー内に蔵置されたデータの権利侵害に関する事項にとどまることから、開示請求者がそれ以外の事項について主張された場合、適切な反論をなし得ない結果、権利侵害がないにもかかわらず発信者情報を開示され、発信者のプライバシー上の重大な権利が侵害されるおそれがあるということでございます。
このように、情報の流通により直接権利侵害をしていない場合につきまして、発信者情報開示請求の対象としますと、発信者情報開示請求が濫用された結果、発信者の権利が侵害されるおそれがあって、このような場合の被害者の権利救済の実現につきましては、プロバイダ責任制限法のみを検討することで問題が解決することは困難である、という提言をいただいたところでございます。このような被害者による損害賠償請求等による権利救済を可能ならしめるための方法といたしましては、提言でもいただいてございますけれども、被害者の氏名を明らかにしないまま訴状を提起することができる、いわゆる匿名訴訟の創設や、訴訟の提起を可能とするための情報収集手段の充実につきまして、民事訴訟全体の問題として、関係省庁をはじめ幅広く議論をする必要があると考えているところでございます。
付言いたしますと、民事手続につきましては、現行のとおり、そのような制度はないものでございますけれども、刑事手続につきましては、捜査機関は、詐欺等の犯罪に関して、インターネット上で流通している情報以外の情報に基づきまして、裁判官の令状を得てプロバイダや発信者情報を入手することは可能ですし、これによって犯人の検挙等を通じて被害者の救済が現在も行われているものと認識しているところでございます。
続きまして、発信者情報開示請求につきまして、要件を明確化した上でもう少しできないかということでございまして、発信者情報開示請求の要件を明確化することは大事なことであると我々も認識しているところでございます。法律上の文言といたしましては「権利侵害の明白性」でございますけれども、権利侵害の明白性につきましては、これをなくしてしまいますと、権利侵害がないにもかかわらず発信者情報が開示されてしまうというおそれがございます。

○山口委員長代理 ちょっと待ってください。権利侵害の明白性について、今、私どもが述べたような要件がある場合に、どうなのかということを言っているわけです。ちょっとかみ合った議論をしてほしいですのですが。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 権利侵害の要件につきまして、明確化した上で認めるべきではないかという御質問につきましては、ただいまからお答えさせていただきます。
まず、権利侵害の明白性については要件が必要ですと述べさせていただいたところですけれども、では、どういう場合に権利侵害の明白性があるかというのは、さまざまな要件がございます。お示しいただいたような金銭を支払った事実につきましては、それだけで権利侵害の要件に該当すると。例えば詐欺等があったという事実を示すものではないので、それだけでは権利侵害の明白性の要件とは言えないのではないかと考えております。仮にそれ以外の要件を加えまして、権利侵害の明白性の要件を明確化、具体的した場合でございますが。

○山口委員長代理 連絡がとれないということも要件にしたらどうか、と言っています。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 連絡がとれないという話でございますけれども、いずれにしても、権利侵害の明白性がない、権利侵害があったということは要件にしないと、権利侵害がないにもかかわらず発信者情報を開示してしまうことになりますので、いずれにしても、権利侵害があったことは要件にする必要があると思っています。例えば、詐欺に遭ったということが要件になった場合は、権利侵害の明白性があったということは言えるかと思っております。

○山口委員長代理 金銭支払いでも権利侵害が必要なのですか。現実に金銭を支払った。支払ったけれども連絡がとれないという場合も、プライバシーのほうが重要なのですか。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 金銭を支払った場合ですけれども、例えば金銭を支払って物が届かないとか、そういった権利侵害があったということは要件にする必要があるのではないかと考えているところでございます。権利侵害の要件について明白化した上で、プロバイダについて発信者情報開示をすべきというお話だと思っておりますけれども、金銭支払いにしても、詐欺に遭ったという事実にいたしましても、インターネット外の事実でございますので、プロバイダ等がきちっと主張、反論をするのは困難でございますので、そういった場合についても、プロバイダ責任制限法の枠内で解決するのは困難ではないかと考えているところでございます。
いずれにしても、プロバイダ責任制限法の枠内で解決するというのは困難ですので、先ほど述べましたように、民事手続によって権利侵害に対して適切に救済できるような制度につきまして、関係省庁間で、きちっと議論をしていく必要があるのではないかと考えているところでございます。

○山口委員長代理 メールについてはどうですか。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 メールにつきましては、いずれにしても権利侵害の明白性という要件は必要だと思っております。権利侵害の明白性につきまして、プロバイダ責任制限法の枠内できちっと処理できるかというのが大事だと思っておりまして、電子メールにつきましては、一回ごとの通信でありますし。

○山口委員長代理 そうすると、メールで架空請求があって、誰からの架空請求に応じて払ったのかわからないという場合は、しょうがないというお話なのですか。総務省のお話は。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 しょうがないというよりは、そのことの対策は必要だと思っております。ただ、プロバイダ責任制限法というのは、あくまでプロバイダに対して発信者情報を開示するという形をとっておりますので、プロバイダに責任があったかどうかというのを把握できなければ、適切な発信者情報を開示するという手続は難しいだろうと考えております。権利侵害がされたと主張される者とプロバイダとの間で解決できる手段として、プロバイダ責任制限法はございますので、インターネット外の事実につきましては、プロバイダ責任制限法で発信者情報を開示するというのは困難ではないかと考えているところです。

○山口委員長代理 今おっしゃったことはさっぱりわからないのだけれども、私どもが先ほど述べた事情、つまり、インターネット外であっても、現実に何とかという業者からこういうメールがあって現実に20万円支払いました。ところが、連絡がとれなくなりました。クレーム処理ができないんですという場合に、何とか被害回復ができる道を開かないと問題である。このようにインターネットの匿名性を悪用した事業者が、今、はびこっているわけです。これを何とかしようという問題意識はないのでしょうか。総務省だけではできない、ほかの役所と一緒にやって検討しますと。では、現実になさっているかというと、何もなさっていないじゃないですか。その点はどうなのでしょうか。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 先ほど申し上げたとおり、我々としても、そういった問題についてはきちっと対処しなければいけないとは考えているところです。今回の御質問につきましては、プロバイダ責任制限法の枠内、解釈ですとか、プロバイダ責任制限法を広げることによって何とか解決できないか、という御質問だったかと思います。例えば、金銭を支払いましたとか、詐欺に遭いましたとか、物が来ませんといった事実はすべてインターネット外の事実です。プロバイダが請求された場合、それについてプロバイダは何ら知る立場にない。権利が侵害されたという方から請求があってプロバイダが開示するとなると、それらの事情につきましては全く反論できない状況で開示するという手続にならざるを得ない。その場合、発信者のプライバシー、通信の秘密というのが、権利侵害がないにもかかわらず侵害されてしまうおそれがありますので。

○山口委員長代理 山田さんが事例を紹介されましたけれども、裁判所に対して開示請求をする。ところが、事業者のほうは法律上、免責の範囲が決まっているから開示できないという回答なのです。本来ならば、一々裁判所のツールを使わなくても開示する道が開かれなければならないと思うけれども、裁判所のほうに命令を出してくださいと言っても、今の法体系のままでは、プロバイダは出せないのです。これは何とかならないのですか。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 裁判所の話でも同じ話だと思っておりますけれども、権利侵害があったことを認定する必要がある。そうでなければ、権利侵害はされていないにもかかわらず発信者の情報が開示されてしまう。

○山口委員長代理 現実に先ほど山田さんが紹介したような事例で、インターネットによって金銭被害に遭いましたという証拠を出して、発信者情報開示請求をしたい。誰がこういうインターネットのウソの情報を発信して金銭被害を被らせたのか知りたいといっても、今、知ることができないのです。裁判所は、なるほどこれはインターネットが契機で被害に遭ったんですね、開示したらどうですかということを言いたくても、今のプロバイダ責任制限法では、裁判所さえも開示しなさいという判断ができないのです。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 プロバイダ責任制限法の枠内の話でございますので、それについて回答させていただきますと、権利侵害があったということを、裁判所でも結構ですけれども認定する必要がある。それにつきましては否定しておりまませんで、民事手続の観点から、広く検討する必要はあるのではないかと考えているところです。

○山口委員長代理 でしたら、プロバイダ責任制限法を改正して、インターネットの情報によって被害に遭う。よってというのを、「を契機に」あるいは「原因として」と条文を変えれば、インターネットによる金銭被害の被害者の救済の余地が広がるわけです。あるいは、匿名性を悪用したインターネットによる金銭を領得しようとする事業者の行為を抑制できるわけです。なぜその道を開かれないのか。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 重々申し上げておりますけれども、まず権利侵害の明白性が認定されませんと、権利侵害がないにもかかわらず発信者情報が開示されてしまう。これは避けなければいけない。

○山口委員長代理 その明白性について、実際に先ほど山田さんが紹介されたように、インターネットの発信がきっかけで実際に不当に20万円払った。あるいは、金銭被害に遭いましたというのがある場合、どうしてそこで明白性が必要なのでしょうか。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 先ほど御指摘がありました、詐欺があったとか、金銭被害があったということをまず認定する必要があると思いますけれども、現行のプロバイダ責任制限法の枠内でそういった認定ができるかと申しますと、権利侵害があったものとプロバイダの間での争いになりますから、プロバイダ等が、詐欺があったとか、金銭をとられたということについて主張、反論するのは、プロバイダ等が知る話ではございませんので、なかなか難しい。

○山口委員長代理 我々はプロバイダにもヒアリングしました。プロバイダは、インターネットによる金銭被害があった場合、免責がきちんとされるのであれば、開示しなければいけないと思っています、開示してもいいと思っていますと。ですが、今の法律体系では免責されないから、発信者がどういう人かということについて開示するわけにいかないのです、というお答えです。我々は現実にプロバイダに聞きました。
ですから、やはり免責の範囲をきちっと定めて、この要件が疎明されれば開示しても免責されますと。それこそプロバイダ責任制限法なのですからね。そういう発想をなぜなさらないのかが、本当に理解できない。今のは単なる条文の説明だけではないですか。総務省が所管されているインターネット通信によって被害がたくさん出ている。これをどう抑止して、健全にインターネット通信を発展させようかという視点が全く見えないのですけれども、どうなのでしょうか。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 先ほどから申し上げておりますとおり、詐欺被害があった場合、何らかの方法で救済する手段を設けることは必要ではないかと考えております。
プロバイダ責任制限法の話で申し上げますと、権利侵害があったと主張される者とプロバイダとの間で解決するという話になってございまして、詐欺事案ですとか、インターネット外で金銭被害があった場合の話は、プロバイダ等がそれについて知る余地もない。権利侵害があったとされる方からの情報だけでそれを認定するという話になるわけで、それで適切に認定されるかという話がございまして、それにつきましては、プロバイダ責任制限法の枠内で解決することは困難ではないか、という御提言をいただいているところだと認識しております。

○河上委員長 話が堂々巡りになり始めましたので、この辺にしたいと思いますが、ほかに何かございますか。
山田さん、いかがですか。

○山田茂樹司法書士 時間も押しているので、簡単に述べさせていただきます。総務省の資料2ページで御説明をいただいたとおり、プロ責法は、被害者救済と表現の自由のバランスに配慮するということですから、この考え方にのっとったとしても、消費者被害の被害救済のほうが重ければ発信者情報開示請求が認められてしかるべきだと、そういう組み立てができるはずです。その中で、総務省から権利侵害の明白性のことでお話をお進めいただいているわけですが、実務家といたしましては、実際に架空請求のメールを証拠で出し、金銭を振り込んだ証拠を出して、所在調査をしたけれども、住所もでたらめ、商号もでたらめです、電話番号も特定に至りませんと。これだけのものを付ければ、民事の裁判のレベルでいえば、架空請求詐欺が行われ、これによって被害が発生したという事実を認定するには十分だと考えられる余地もあるかと思います。そのような点を踏まえますと、これでも権利侵害の明白性ではないというならば、一体どの程度まで求められる必要があるのかというふうに思いました。
加えて、現行のプロ責法の3条に、例の侵害情報の削除の要件がございます。発信者の責任のところで見ても、削除の申出があったことを発信者に連絡して7日以内に反論がない場合、削除してもプロバイダは免責される。こういうつくりになっているわけですから、敷衍いたしまして、プロバイダのほうでは防御方法が十分ではないということであれば、むしろ発信者に問い合わせをして、あなた、こういう形で架空請求の被害を受けたと言われているけれども、根も葉もないものなのかどうなのか、反論があるなら御意見をくださいという形で対応することも、考えとしてはあるのではないかというふうにも思います。
ですから、総務省の御説明は一般論としてはごもっともなところが多いのですが、しかし、いくら何でも実務家としては、被害実態からすると、今言ったような事案から見ても、もう少し柔軟に検討していく必要性があるのではないかと思いますので、是非、御検討いただけるとありがたいと思います。
以上です。

○河上委員長 何かございますか。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 ございません。

○河上委員長 やはり、総務省のお考えは余りにもかたいですよ。権利侵害の明白性というのをそれほど主張されてしまうと、結局は何も言えなくなってしまうのではないかという気がしてならないのです。本件については、総務省から御説明いただいたとおり、前にICTサービスに係る諸問題に関する検討会で、コンシューマーサティスファクションといいますか、消費者の満足を得るために、消費者保護のためのいろいろな対策を打とうではないかということも言われていて、その点に関しては大変ありがたいなと考えたところであります。
ただ、インターネットを通じた消費者の財産被害事案に対しては、プロ責法の運用があまりにもハードルが高いという現実があって、必要があれば、これは法改正をしてでも消費者の被害を救済する方向で考えねばなりません。加害者を特定することができないケースに関して、プロ責法の発信者情報開示請求の可能性を拡張する。それが被害者の被害の回復にも資する近道であると考えられるわけです。
今後、本日の議論を踏まえまして、委員間でさらに検討を行ってまいりたいと思いますので、総務省におかれましても、引き続き御協力をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 最後によろしいでしょうか。

○河上委員長 どうぞ。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 委員長から御説明がありましたけれども、我々としても、インターネット上の詐欺等の権利侵害につきまして、いろいろな問題があることは承知してございますので、いろいろ考えていかなければいけないというのは認識しております。今回の話は、プロバイダ責任制限法の趣旨、手続、枠内でどのような解決ができるかということでございましたので、今のような考えを述べさせていただいたところなのですけれども、提言案でもございますように、それ以外の手段、民事手続あるいは刑事手続のようなものを含めまして、いろいろな対策をとっていかなければならないと考えてございます。これからも検討していきたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします。

○河上委員長 プロ責法も是非含めてですね。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 今のプロバイダ責任制限法の資料の2ページ、制度趣旨というところで、御自身がそこに下線を引いていらっしゃって、「『被害者救済』と発信者の『表現の自由』等のバランス」と。ここでの議論を私たちも言っているのですが、架空請求をする方についての表現の自由がそんなに保護されるものなのかという、ここにまさに書いてある制度趣旨から、もう一度考えていただきたいと思います。

○総務省藤波総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 繰り返しになりますけれども、架空請求をする人とか、犯罪をする人の通信の秘密とかプライバシーを守るという趣旨ではございません。権利侵害をしていない人の情報まで開示されてしまいますと、権利侵害をしていないにもかかわらず情報が開示されてしまう、こういうのは問題ではないかということでございまして、手続的にそういったものを保護しつつ、どのような対応ができるかということを考えなければいけないと思っております。

○河上委員長 御趣旨はわかります。明白な権利侵害なんて、そんなに簡単にわかることではないので、少しハードルを下げたり、手続的な工夫をすることで、そういう合理的疑いのあるものについては発信者情報の開示ができるような改善ができないか、そういう趣旨でございます。
きょうは、山田司法書士、総務省におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。

≪6.詐欺的投資勧誘対策について≫

○河上委員長 だいぶ時間が押して申しわけございませんが、次は、「詐欺的投資勧誘対策について」であります。
詐欺的投資勧誘に関する消費者問題については、関係省庁や有識者にお越しいただき、これまで審議を重ねてきたところですけれども、今般、「詐欺的投資勧誘に関する消費者問題についての建議(案)」がまとまりました。お手元に建議別ウインドウで開きますを配付しております。
それでは、担当委員として、このテーマの調査審議、あるいは建議等の作成に御尽力いただきました山口委員長代理から、御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○山口委員長代理 1年以上にわたって、この問題を種々検討しておりましたけれども、ようやくきょう、こういう形で建議案を皆さんにお諮りできるようになったことについては、感慨ひとしおであります。詐欺的投資勧誘に関する消費者問題につきまして、昨年7月以降、まる1年かけて本格的に調査審議を進めてきました。検討すべき課題が幅広く、複雑な要素が絡み合っているために時間がかかりました。今般、ようやく取りまとめましたので、概要を説明させていただきます。
詐欺的投資勧誘に関する消費者相談の件数は、平成21年度の5,000件から23年度には2万2,000件に達し、昨年度も、やや減りましたけれども、1万6,000件と、多くの相談が寄せられています。また、契約者の7割が65歳以上の高齢者でありまして、支払金額も500万円以上が4分の1を占めるという、高齢者が高額の被害に遭っているという傾向が伺えます。しかも、高齢化社会となっておりますので、この傾向はこのままではより深刻になることが予想されます。
さらに、詐欺的投資勧誘の手口を見ますと、劇場型勧誘、二次被害、商材の多様化、短期・広域的な被害の発生、事業者の追跡・捕捉の困難性といった、悪質かつ巧妙化した特徴が挙げられます。
劇場型勧誘といいますのは、特定の販売業者と通じている複数の者が、販売業者ではなく第三者を装って高値で買い取るなどと繰り返し電話をしてくることによって、その取引が消費者にとって有利で確実なものであると誤認させ、販売業者と契約させる手口です。
二次被害とは、過去に被害に遭った消費者に対して、被害回復ができますなどとして再び勧誘を行って、被害回復の条件として別の金融商品を買わせたり、手数料の支払いなどをさせるという手口です。
詐欺的投資勧誘に用いられる商材を見ますと、未公開株、社債やファンド持分以外にも、温泉付有料老人ホームの利用権、天然ガス施設運用権、iPS細胞の特許権、カンボジアやバングラデシュの土地使用権などといった、権利まがいの新たな商材が次々とあらわれています。さらに、同じ事業者による被害が、半年間などの短期間に広域的に拡大する傾向も見られます。また、被害発生後、即座に事業者が所在不明となるなど、事業者の追跡捕捉が困難になる案件も少なくありません。
残念ながら、詐欺的投資勧誘の対策に、これさえあれば被害が抑止できるという特効薬はありません。したがって、次のような施策を組み合わせて、これらを総動員して実施する必要があると思います。
1番目には、取締り、被害回復の視点から、関係法令の執行強化及び制度整備を行うことです。
2番目に、犯行抑止の視点から、犯行ツールに関する取組みを強化することです。被害の未然防止の観点から、被害者への注意喚起や高齢者の見守りを強化することです。
次に、とられるべき施策の具体的な内容について御説明いたします。
まず、関係法令の執行強化及び制度整備については、既存の法令の執行強化と新たな制度整備に向けて、次のようなことが考えられます。
既存法令の執行強化ですが、第1に、警察による刑法、出資法などの関係法令を駆使した利殖勧誘事犯へのより一層の重点的かつ積極的な取締りが重要です。
第2に、特定商取引法の適切な執行です。特商法では指定権利制をとっており、このため、同法の脱法を狙って権利取引の外観を呈する事案も見られます。そのような取引であっても、販売代行などの役務取引として同法の適用が可能な案件もあります。そうした事案に関して同法を適切に執行していただきたいと考えます。
第3に、消費者安全法に基づく注意喚起や、多数消費者財産被害事態を発生させた事業者への勧告・命令などの適切な実施が求められます。
第4に、特定商取引法の執行力を強化するため、自治体の執行担当部局における警察との人事交流や、専門家との連携などの推進も重要であると考えます。
次に、新たな制度の整備ですけれども、第1に、特定商取引法の指定権利制の廃止を含めた在り方、または、これと類似の制度整備の検討が必要です。特定商取引法については、欺瞞的取引を含め外形標準的に、詐欺的であろうが、通常の取引が行き過ぎた勧誘であろうが、外形を見て特商法を適用すべきと考えております。これによって、例えば政令で指定した契約書が交付されていないなどの形式的な違反をとらまえて、警察などの取締りが可能となりますし、詐欺的投資勧誘の被害に一定の効果を発揮するものと考えております。
第2に、違法行為による財産の隠匿・散逸を防止するための制度を、より充実させることが必要です。
第3に、国会で継続審議となっている、いわゆる集団的消費者被害の救済に関する法律の成立への努力と成立後の円滑な運用も、被害回復に資すると考えられます。
次に、犯行ツールに関する取組みの強化です。詐欺的投資勧誘ではその犯行ツールとして、携帯電話、預貯金口座、郵便物受取サービス、電話受付代行サービス、電話転送サービスなどが用いられています。
消費者委員会では、これらのツール一つひとつについて、相当の時間をかけて関係省庁とも検討を重ねました。
そこで第1に、携帯電話についてですが、携帯電話の不正利用防止法に基づく本人確認義務などの周知徹底、履行確保及び違反事業者に対する是正命令、検挙などの実施を、より確実にしていくことについて建議しております。
第2に、預貯金口座、郵便物受取サービス、電話受付代行サービス、電話転送サービスについて、犯罪収益移転防止法に基づく取引時の確認、疑わしい取引の届出の義務の周知徹底、履行確保及び違反事業者に対する是正命令などの実施が必要です。
第3に、郵便、宅配便を使った送金による被害も目立っております。送金防止に向けたわかりやすい注意喚起を実施することも有効でありまして、事業者に積極的な協力を要請することが求められます。
第4に、法人登記を悪用して虚偽架空の法人を、あたかも実体ある会社であるかのように偽装している例も指摘されております。このため、代表権を有しない取締役などの登記申請に当たって、その申請に係る実態を把握し、その結果を踏まえて対応策を検討することが必要であります。
最後に、消費者への注意喚起及び高齢者への見守りの強化です。
第1に、テレビなどの媒体を活用した積極的な注意喚起が、今以上になされる必要があります。
第2に、消費者行政部局、地域包括支援センター、ケアマネジャーなど、地域の多様な主体の密接な連携が必要です。
第3に、都道府県・都道府県警察における注意喚起、見守りの効果的事例の他の都道府県への提供といった取組みが必要と考えます。
第4に、高齢者宅への電話録音装置の配置による情報・証拠収集の取組みを進め、その全国展開を検討することも有益であります。また、犯行グループから入手した名簿掲載者への積極的な注意喚起を行うことも求められます。
さらに、判断力が不十分な高齢者などの被害を抑止するためには、成年後見制度のより積極的な活用を促していくことが重要です。このため第5として、市民後見推進事業等の成年後見制度に係る自治体の取組みへの助成制度の周知が必要です。また、判断能力が不十分な方への日常的な金銭管理などを支援するため、社会福祉協議会による日常生活自立支援事業がありますが、この普及や拡大も求められます。
以上について、関係省庁に対応を求める内容としております。
今般の建議案の概要は、以上であります。よろしくお願いします。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
吉田委員。

○吉田委員 私も担当した委員の一人として、感想をお話ししたいと思います。まずは、先ほど山口委員長代理がおっしゃったとおりで、詐欺的投資勧誘対策の決定打というものがない中で、使える手をすべて盛り込んだ、そういった意味では非常に難産な建議案だったなというふうに思っております。これまでの消費者問題というのは、起こった事象ごとに行政がその対応策を考えて手を打っていくという、いわゆる対症療法で何とか乗り切ってきたところがあるかと思いますけれども、今般の詐欺的投資勧誘のような事象になってくると、今までのような対症療法のみでは手に負えなくなってきている。それだけ消費者問題への対応が難しくなっているのではないかという印象を受けております。
建議3のところに書いてあるとおり、これまでの行政による対応策だけではなく、地域の力、地域の消費者力といったものを活用しながら、包括的・統合的に消費者問題に対応していく必要があるのではないかと思います。そういうことからいくと、詐欺的投資勧誘に係る建議を確実に実行していくことで、いわゆるまちづくり、地域づくりという視点でこれからの消費者問題に対応していくことになる、モデルケースにもなり得るのかなというふうに考えております。そういった意味でも、先ほど建議しました地方消費者行政の充実や調整力の強化もさらに求められるものになっていくと思いますし、これまでの対症療法のパッチワークで何とかやってきたということを少し考えを変えていって、地域力を使ってやっていくという新しい手法の提案にもなるのではないかと思っております。
以上です。

○河上委員長 特に修正ということでないですね。

○吉田委員 はい。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
消費者委員会の中で消費者庁との間でも若干のやり取りがあった問題の一つに、特定商取引法の指定権利制の扱いというのがありました。建議事項1-2の(1)を見ますと、「特定商取引法における指定権利制の在り方又はこれと類似の制度の整備について検討を行うこと」という表現ぶりになっています。これは山口委員長代理からでも結構ですけれども、我々としては、指定権利制の廃止に向けた提案だったと理解しておりますので、これは、指定権利制の廃止を含んだ検討をしなさいという趣旨の建議という理解でよろしいですね。

○山口委員長代理 私どもとしては、是非そういう前提で御検討をお願いしたいということで、建議として出させていただいております。

○河上委員長 ありがとうございました。
ほかにはいかがですか。よろしいですか。
では、この建議案については、皆様の御了解をいただいたということで、内閣府特命担当大臣(消費者)、国家公安委員会委員長、内閣府特命担当大臣(金融)、総務大臣、法務大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣及び国土交通大臣宛てに発出したいと考えます。
先ほど、山口委員長代理の説明にもありましたように、詐欺的投資勧誘の対策は決定打がなかなか見つからない。取締り、被害回復、犯行抑止、さらに、被害の未然防止等に係るさまざまな施策を総動員する必要があると考えております。関係省庁には、本建議を着実に履行していただくことによって、詐欺的投資勧誘の被害防止等に全力で努めていただきたいと考えております。
なお、本建議につきましては、委員会終了後、消費者庁記者会見室において、私から記者会見をさせていただきます。
では、これは以上といたします。

≪7.消費者事故未然防止のための情報周知徹底に向けた対応策について≫

○河上委員長 次は、「消費者事故未然防止のための情報周知徹底に向けた対応策について」であります。
消費者委員会では、本年2月、「消費者事故未然防止のための情報周知徹底に向けた対応策についての建議」を、内閣府特命担当大臣(消費者)及び経済産業大臣等、関係各大臣に対して発出いたしました。建議といたしましては、第1、行政機関を通じての情報周知の方策、第2、事業者等を通じての情報周知の方策、第3、情報通信技術を活用した情報周知の方策、第4、製品安全に係る消費者教育・啓発の充実のための方策を挙げており、これらの建議事項への対応について、本年8月までに実施状況の報告を求めるとしております。
本日は、経済産業省及び消費者庁から、建議を踏まえたその後の実施状況について御説明をいただき、意見交換を行いたいと思います。
それでは、経済産業省から説明をお願いしたいと思います。説明時間は10分程度で、申しわけありませんが、よろしくお願いいたします。

○経済産業省岡部商務流通保安グループ製品安全課長 経済産業省製品安全課長の岡部でございます。
それでは、お手元の資料8別ウインドウで開きますでございます。こちらのほうで実施状況の御報告をさせていただきたいと存じます。
事業者等を通じての情報周知の方策ということで、建議項目マル4につきまして、御報告いたします。
実施状況の最初のマルでございます。経済産業省と流通事業者団体とのリコール協力体制の構築・拡大ということで、取組みを行ってきているところでございます。経済産業省といたしましては、消費者との接点となる流通事業者の団体と協議をして協力体制を構築したところでございます。
具体的に申し上げますと、製造事業者、輸入事業者から経済産業省に報告がありましたリコール情報を、迅速に流通事業者団体を通じて流通事業者に提供し、流通事業者からリコール情報等を消費者に周知するという取組みを始めたところでございます。現在のところ、ここに掲げてあります6団体、大手家電流通業者の団体、まちの電機商の団体、ホームセンター、通信販売等、こういったところと協力体制を築いたところでございますけれども、今後とも、こういった流通事業者との協力体制の拡大、あるいは協力内容の充実を図ってまいりたいと考えております。
2つ目のマルでございます。製品安全に関する流通事業者向けガイドの作成・公表・普及を行っております。これは7月1日に私どもで公表させていただきましたけれども、流通事業者が取り組むべき製品安全に関する事項を整理しまして、リコールだけではございませんが、「製品安全に関する流通事業者向けガイド」、及びそれの実務的な解説ということで、これを公表したところでございます。このガイドにおきましては、安全原則及びその共通指針という2つの構成でできておりますけれども、流通事業者が取り組むべきリコール対応等の具体的な内容を記載したものでございます。
次のページにまいりまして、これをホームページ上で公表すると同時に、流通事業者団体に対してこのガイドの周知に係る協力要請を発出しております。団体を通じて流通事業者各社への周知をお願いしたところでございます。今後、全国主要都市で説明会を開催するなど、ガイドの周知に努めてまいりたいと考えております。このガイドは流通業一般向けでございますけれども、今年度、販売形態、取扱商品、事業規模などの特色を踏まえまして、流通事業者の取組みを類型ごとに調査・研究しまして、共通する取組みを抽出・整理した指針を示し、より一層使いやすいガイドを作成してまいりたいと考えております。
次は、製品安全に関する流通事業者向け講習会の開催でございます。流通事業者の自主的な取組みを促進することを目的にいたしまして、流通事業者団体を通じまして、会員企業向けの製品安全に関する講習会を開催してきております。内容としましては、政府の製品安全政策の紹介、流通事業者として取り組むべきリコールへの対応など、製品安全に係る具体的な内容についてお知らせをするという中身でございます。これまで、3月、4月、5月と開催してきておりますけれども、今後も、引き続きこういった講習会の開催をやっていく予定にしております。
次は、消費生活用製品安全法に基づく危害防止命令に係る流通事業者への協力要請ということで、これは個別の案件についての協力要請でございました。本年2月にリコール中のTDKの加湿器による火災事故が発生しまして、5名の方が亡くなられたという重大製品事故がございました。これを受けまして、3月13日、経済産業省としましては、TDKに対して消安法の第39条第1項に基づく危害防止命令を発出しました。同時に、同法の38条第3項の規定を踏まえまして、流通事業者団体につきまして、リコール情報の消費者への周知に協力するよう要請を出したところでございます。この要請に基づきまして、流通事業者のほうで、顧客情報を活用して所有者に周知をしていただいたり、あるいは、リコールポスターの店頭掲示などの協力を得たところでございます。
最後でございますけれども、リコール情報周知の強化施策への協力を流通事業者に要請しております。重大製品事故情報報告・公表制度を平成19年に創設されて以降、127製品につきまして、リコール中の製品に重大事故が発生しています。その中でも特に優先度の高い28品目につきまして、各社の取組み状況を再点検したところでございます。
経済産業省としましては消費者庁と連携し、本年の4月26日、リコール情報周知の強化施策について公表を行うとともに、消費者庁と連名で、リコール中に重大製品事故が再発したすべての製造事業者、輸入事業者に対しまして、再点検結果を踏まえた効果的なリコールの追加対策を検討して実施するように要請し、さらに流通事業者に対しては、製造事業者、輸入事業者に協力し、消費者に積極的にリコール情報を提供するよう要請を行ったところでございます。
以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。また、種々努力なさっていることについては感謝申し上げます。
ただ、1枚目の一番下に書かれておりますが、検証の結果、効果が見られないことが判明した場合、行政法規上の義務規定の必要性について検討を実施する必要があるのではないかと思っています。例えばTDKの加湿器による火災。リコールが不徹底であったために、5名の方が亡くなるという火災が起こったわけですけれども、リコールの徹底をしようとすると、一番情報を持っているのは販売・流通事業者だと思われます。メーカーはつくって卸に流し、それが小売店に流通して消費者の手に届くという過程で、誰が買ったのか、どこにあるのかという情報は、商品によると思いますが、必ずしも掌握していないと思われます。
ただ、小売店、販売事業者は、零細事業者であっても、少なくとも店頭にポスターを貼って、うちで買ったこういう商品がリコールに出されていますということは出せる。あるいは大手の量販店であれば、ポイントやその他で誰が何を買ったかというのは全部掌握していますから、毎日のようにメールが来るわけです。うちが売ったこういう製品がリコールに付されていますということがメールで流れれば、消費者に対するインパクトは相当大きなものがあると思います。それを周知する努力をなさっていることはよくわかりましたし、TDKの問題でも協力を要請したということになっていますが、やはり売り主としての法的義務もあるわけですから、それを行政法規上も明記したほうがいいのではないかと思います。この点についてのお考えをお聞かせください。

○経済産業省岡部商務流通保安グループ製品安全課長 まず、TDKに対して危害防止命令を発出したことによりまして、流通事業者については、消安法に基づきまして協力の義務が発生しております。これは努力義務ではなく、協力をしなくてはいけないという規定になっておりますので、その点では流通事業者は協力しなければならない、そういう状況でございます。
具体的にどういったことをやっていくのかということにつきましては、今回、私どものほうでガイドという形で示させていただきましたし、さらに申し上げれば、委員長代理からお話がありましたように、規模が違うとか、業態が違うということで、それぞれ流通事業者で対応できることがいろいろあろうかと思います。そういった状況の中で、業態や規模を考えた上で、今回出しましたガイドを、それぞれの業態に合った形で使えるように、ブレークダウンしたものをつくろうと思っております。
リコールにつきましては、各事業者の内発的、自主的な努力を期待するというのは非常に重要かと思います。法令で義務づけることは、場合によっては、法令で定められたことだけを行っていればいいということにもなりかねません。それだけではなくて、自主的にどういったことをやれば製品の回収が進むかということを事業者自身がお考えいただきながら、熱心に取り組んでいただくのが現状では一番いいのではないかと考えております。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
最近、事業者はターゲティング広告というのをやります。こういう人がこういうのを欲しがっているとわかると狙い撃ちで広告をするわけです。裏返しではあるわけですけれども、こういう人にリスクのある商品が行っている可能性があるというときは、ターゲティングリスク情報を流すぐらいのことを、事業者のノウハウを使ってやってもらうといいと思いますね。
ほかにも、この点に関して御意見がありましたらお願いしたいと思いますけれども、経済産業省におかれましては、まずは迅速に御対応いただいたということで、ありがとうございました。流通事業者団体とリコール協力体制を構築し、また、流通事業者向けガイドの作成、公表、あるいは普及の取組みを実施しておられることは大いに評価しております。引き続き、リコール情報の周知徹底の取組みをお願いしたいと思います。
なお、建議事項であります販売事業者等の実施をより調査し、消費生活用製品安全法に定められた義務等の具体的かつ効果的な実施方法等の検討については、実施の効果を検証した上で、引き続き検討をお願いし、さらに効果的な方法がないかということを消費者委員会も一緒に考えてみたいと思いますので、また御協力をお願いしたいと思います。
経済産業省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。
引き続き、消費者庁から説明をいただきたいと思います。消費者庁におかれましては、お忙しいところをありがとうございます。御説明は10分程度で、先日お願いいたしました、カネボウ化粧品の自主回収状況等もあわせてお願いできればと思います。よろしくお願いします。

○消費者庁宗林消費者安全課長 よろしくお願いします。消費者安全課でございます。
まず、いただきました建議でございますが、1番としまして、行政機関を通じての情報周知の方策ということで、消費者安全法により事故情報が通知、収集される行政機関を通じたルートの逆方向で情報発信のルートとして活用する、双方向の流れをということでございました。
消費者庁としましては、リコール情報だけではなくて、注意喚起等の情報提供のときには、都道府県、政令都市等の地方自治体の消費者行政の部署には、この情報の周知を要請しております。その部局からまた関係部署への展開も要請しております。具体的な製品等にかかわる情報発信につきましては、それぞれの事案に関連する、例えば高齢者の部局であったり、高齢者の団体を通して情報が届けられるように取り組んでおります。今後も、事故の事案に応じて、適宜、その拡大に努めたいと思います。
きょうは、幾つかパンフレット、チラシをお持ちしましたけれども、最初についておりますのは介護ベッドのチラシでございます。これは、注意マーク、警告マーク、危ないよというマークでございます。消費者庁が作成した注意マークでございますが、地方自治体に配布し、自治体の広報誌への掲載などを依頼したものでございます。そういった取組みをさせていただきました。
次に、建議2でございますが、関係各省庁が独自に持っている情報提供のツールや媒体の把握に努め、属性に応じて、そのツールに伝えるべき情報の掲載や紹介を積極的に求めること、ということでございました。消費者庁としましては、これまでも関係省庁への情報の周知について、協力をさまざま依頼してきているところでございます。各省庁が独自に持っている情報発信のルートがその案件に応じてありますので、引き続き関係省庁に協力を要請し、製品の特性や使用者の属性に応じて、効果的な情報提供となるよう努めたいと思っております。
具体的には、子ども用の商品で例えば子どもの歯みがき中の事故に関しましては、1歳で事故が集中的に起こっております。保健所で、1歳児健診のときに見られるようこのポスターを貼っていただくのは効果的でございまして、そのような取組みもしております。
美容医療サービスに関しましては、20代の方の被害が大変多いということで、文部科学省を通じて、全国の大学や高等専門学校、高校に注意喚起のチラシを配布させていただきました。また、政府広報や女性雑誌へも記事として注意喚起を掲載させていただきました。
リコール情報サイトについては、関係省庁やいろいろなところに、周知の御協力を依頼したところでございます。
高齢者向けでございますけれども、介護ベッドは、厚生労働省、経済産業省とも連携いたしまして、連名で、全国の福祉用具貸与事業者に注意喚起の内容の伝達を依頼しております。これが、添付しました次のページでございますが、各自治体の担当者の方にリスク、危険がなかなか周知されていない。実際の在宅介護者の半数以上に伝わっていないということでございましたので、こういったことに対して、各貸与事業者は対応をお願いしますということで、緊急依頼を出したものでございます。
こういった取組みをしてきております。
建議3でございますが、消費者庁は、安全法第10条において設置が規定されております消費生活センターを、安全に係る情報伝達を扱う情報提供の拠点とする位置づけを図り、ということで建議をいただきました。伝達の拠点とするということでは、消費者庁が発信している安全性に係る注意喚起の公表資料につきましては、ウェブサイト、ホームページにはもちろん載せているわけですけれども、全国の消費生活センター、例えば相談員さんが見られるようなフォーラムもございます。そういったところに速やかに掲載いたしまして、行政窓口だけではなくて、消費生活センターあるいは相談員さんが見られる形での速やかな情報共有を図っております。消費生活センターとはホットラインでつながっているということでございます。
具体的な取組みとしまして、消費者月間もございましたので、いろいろなところで消費生活センターが行うイベントにおいて関係のチラシの配布等をお願いし、実際にはたくさんの配布をしていただきました。合計は20万部を少し下回るぐらいですけれども、個別のお宅への配布も含めまして、協力を要請し協力を得られたという状態でございます。あるいは、消費生活相談員の教育研修の場にもチラシを配布しまして、御説明する機会をいただきました。
1枚おめくりいただきまして、情報通信技術を活用した情報周知の方策でございます。リコール情報サイトについてですが、わかりやすくということと、事業者の直接の情報提供が増えるようにということでございました。これは5月から始まりまして、現在、1年と3か月ぐらい経過したところでございますが、いろいろな方の御意見、御指摘を踏まえまして、例えば写真を入れたり、重大なお知らせの件数増加、そして、リコール品で重大事故があるたびに上に来るようにという工夫、あるいは子ども向け、高齢者というようなことでの掲載件数の増加というサイト自体の改善も図らせていただきました。
また、事業者の方のリコール情報サイトへの直接の提供でございますが、積極的にすべての事業者に働きかけるということではございませんが、当サイトは、事業者からの要請に応じて掲載が可能となっております。ほかのところで見かけたもので掲載していないものについては、こちらのほうから積極的に働きかけるということを現在始めております。
建議の6番です。消費者庁の持っているリコール情報メールサービスと子ども安全メールの連動を検討することということでございます。リコール情報メールサービスのうち、子ども向け製品のリコール情報につきましては、子ども安全メールに従前から載せるということをさせていただいておりましたが、引き続き、リコールの子ども向けのものについて出た場合は、子ども安全メールにも連携して載せていくように努めたいと考えております。
最後でございますが、建議7番、消費者教育・啓発の充実のための方策でございます。自らの安全のための行動することが重要であることから、消費者教育の点でという御指摘でございました。消費者教育の推進に関する基本的な方針というものが閣議決定されまして、この中で、消費者が自主的にリコール情報を入手し行動する必要性について、消費者教育を行うことが重要であるということが明記されました。これはまだ具体性をもって、どの場でというふうには御説明できませんが、これは大変大事なことだと認識しておりますので、今後、一層充実を図るように努めてまいりたいと考えております。
建議は以上ですが、今、委員長が、簡単に説明をするようおっしゃった、つい最近出ましたカネボウの薬用化粧品によって白斑が生じるという、割と大規模なリコールについてでございます。
お手元に9-3別ウインドウで開きます9-4別ウインドウで開きますという資料をつけさせていただきました。9-3が7月4日ということで、54製品、白斑が出るという最初の自主回収のお知らせを消費者庁が公表したものでございます。このときは最初の状態でしたので、この範囲のもの、出荷がどのぐらいあったとか、そういった情報を主に載せました。実はこのときに消費者庁では、この時点で事故情報データバンクに登録されているものを検索いたしましたが、当該製品の名前まで入って特定できるものは2事例しか把握できておりませんでした。というのが、最初の公表でございます。
そして、7月23日でございますが、「使用中止のお願い及び回収状況のお知らせ」ということで、もう一回公表しております。436万個が出荷数でございましたが、どのぐらい消費者から返ってきたのかという実数をカネボウから報告を受けましたので、それをここに記載したこと。私たちは生命・身体事案ということで、カネボウ化粧品が受け付けた申出状況の中で、白斑様症状に関する申出者数がこの時点で6,808人。比較的大きな白斑、カネボウの中ではある程度重症という扱いの白斑の方が2,250人あったということで、事例もたくさん入ってまいりましたので御紹介して、消費者の方には再度、使わないようにということと、今、白斑が出ていない方は当面様子を見て大丈夫ですということ。あと、どういうふうに医療機関に行けばいいかということでの案内を載せさせていただいたのが7月23日でございます。その後、追加で一度更新がございまして、6,808人が8,500人程度までの申出になっていると報告を受けましたので、長官会見のときにその数字は入れさせていただきました。
以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。いかがでしょうか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。カネボウですが、きょうの新聞で、昨年の10月からお医者さんがメーカーに、こういう問題が起こっているという連絡もしていたという報道がありました。これは被害者、女性の白斑というのは非常に気の毒な状態なわけですが、もう少し早く何とかならなかったのかという点についてはどうなのでしょうか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 カネボウさんのほうでということですが、本日の報道のことに関しましては、詳細を私たちはカネボウから報告を受けておりませんので、わかりません。化粧品というのは比較的いろいろなトラブルが多いので、私たちも実際に見ていると、その中から共通性を見いだして今回のようなことにつながっているというのは、見えにくかったのではないかと思う一方で、やはりこれだけの数の方が白斑が出ている。製造販売元であるカネボウとしては、今、山口委員長代理がおっしゃったように、いろいろな苦情を受け付けるシステムもあったようでございますので、できればもっと早く把握し、被害者の数がここまで大きくならないで公表していただければ、というふうに思っておりますが、どこの時点でどのぐらいという細かいステップで、どこだったらよかったのかというようなことについては、私のほうでは明言できません。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 今のはカネボウの対応の問題ですけれども、PIO-NET、あるいは事故情報データベースの中で、何件か入っているという報告もありましたが、その辺はどうだったのですか。カネボウも隠していたのか、よくわかりませんけれども、消費者行政サイドでもう少し早くこれをキャッチして、原因究明とか、そこに役立たせることができた可能性というのはどうなのでしょうか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 7月4日の時点、回収が出た時点で、前の日に私たちもはっきり状況を把握しましたので、PIO-NETとか事故情報DBを一生懸命見たわけですけれども、製品名と白斑がセットになって明確に確認できるものは、本当に2事例しかなかったのです。化粧品のトラブルというのは、毎年500件以上いろいろなものが入ってくるので、その中から2事例しかないものに対しての共通性を見いだすことは、非常に難しかったということ。もう一つは、消費者の方が、この化粧品でこうなったという因果関係がわからないと、実はこのシステムはなかなか入ってこないというシステムでございます。そういう2つのことがあって、本当に残念だったのですけれども、7月4日の時点では私たちは2事例しか確認できなかったということでございます。

○河上委員長 私も、その点が気になったのですけれども、実際にPIO-NETでの事故情報の収集の仕方が、今の体制で本当によかったのかということです。しかも、具体的に被害を感じた方が最初どこへ行かれたか。病院へ行かれたか、カネボウのほうに何かを言われたのか。いろいろなルートがあると思いますけれども、最初の段階ではわからないですから、消費生活センターにすぐ駆け込んで「この化粧品が」という話をする可能性は低いですね。ですから、そういう潜在的な消費者被害を情報として吸い上げるためのツールとして、PIO-NETのアンテナの張り方が十分だったのかという辺りは、もう一度、事故情報の収集方法として検討してみる価値はありそうな気がしますが、いかがですか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 カネボウは大変多くの数を出荷している割には、後から見ても白斑件数が三十数件というような状態でした。ですから、委員長がおっしゃったように、まず消費者の方がカネボウの化粧品が原因だと思わないと、カネボウにも行かないし、もちろん消費者センターにも行かないということがございます。それが一つ、大きな問題としてあると思います。その場合は、例えば皮膚科の中でも割と狭い範囲で、専門の学会等が把握するのが早い可能性がございます。
もう一つ、これは後付けで全相協にも意見交換などの際にお願いしたのですが、PIO-NETはもともと相談の記録ということで、製品名の細かいところまできちんと入っていないものが実は結構ございます。手口公表とか、そういうものはかなり大数で解析ができるのですけれども、こういう生命・身体事案に関しましては、個別事案として特定していろいろなものが入ってこないと、なかなか把握しづらいということがございます。実際に見たときに、例えばカネボウでシミが出たとか、そういうものと識別がなかなかしづらいということでございましたので、お手間ですけれども、消費生活センターでも、なるべく空欄がないように入れていただけないかというふうにお願いしているところでございます。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 前から少し議論はあったかもしれませんけれども、例えば今回のニュースでも、皮膚科医がそういう情報をつかんでいてカネボウに言っていたという話でしたね。そういう意味で言うと、PIO-NETは消費者からのクレームを入れるというところに特化していますけれども、専門家からの情報を受ける窓口のようなものをもっと公にする。やはり専門家でないとわからない部分もあるし、一方で、輸入製剤か何かで、海外で危険性を指摘していた論文が本当はあったのに、それが生かされていなかったとかいうのは結構ある。特に医薬とかそういう部分はあるし、もちろん経済産業省も、工業品関係で事故というものを指摘してきた人がいたかもしれないということもあるので、窓口が一本化していないと結局そういうものが埋もれてしまう。論文では出ていたけれども、それを行政が受け入れて改善策をとることをしていないというのは、結構あるような感じもするので、その辺も課題なのではないかと感じました。

○河上委員長 今回の回収は、主としてカネボウ自身がやっていて、それ以外に、行政ではどこかが後押ししているのですか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 これは自主回収という形になります。ただ、カネボウ、製造メーカーのほうは、ちゃんと医師からの情報を把握した場合には、面会後30日以内にそれなりの報告をすることになっています。そういった関係で、5月13日に皮膚科医から御指摘を受けて、30日後までの間に報告をしたということで、こういう動きになったということでございます。

○河上委員長 消費者庁が受けてそれをやっていると。

○消費者庁宗林消費者安全課長 いえ、違います。報告は厚生労働省でございます。

○山口委員長代理 先ほどの経産省に対する質問と重なりますが、デパートその他の化粧品販売店などの流通事業者に対する関係は、どういう対応になっているのでしょうか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 このカネボウの件でございますね。例えば、店舗に立てるこういう看板みたいなものもちゃんとつくられておりまして、一定のものが店頭に貼られるような対応は、大きな会社ですし、コールセンターもかなり大規模でございましたので、店頭での対応もかなりしっかりされておりました。

○河上委員長 リコールのやり方は、一つの試金石になりますので、是非、頑張ってやっていただければと思います。
消費者庁におかれましては、建議事項についての具体的な課題ごとに取り組んでいただいていると思いますけれども、本日の議論なども踏まえて、さらに、関係各省庁や消費生活センターと恒常的な体制づくりを是非お願いしたいと思います。
報道されたカネボウ化粧品の自主回収状況は、7月31日現在で、回収対象製品数は約436万個に対して103万個という状態です。廃棄されている数も不透明で、家庭や市場等に残っている可能性が高いということからしても、建議で指摘したあらゆる情報伝達ルートを活用して、消費者へ回収を促すとともに、健康被害の拡大防止に努めていただきたいと思います。また、消費者庁の情報収集体制にも課題はなかったのか。今後は、消費者基本計画の検証・評価・監視の場などで適宜、ヒアリングをさせていただきますので、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。経産省もおつき合いいただきまして、ありがとうございました。
本日の議題は以上でございます。お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪8.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について説明をお願いいたします。

○原事務局長 長時間、ありがとうございました。
次回の委員会は、8月20日(火曜日)の16時からを予定しております。
議題については、確定次第、ホームページで御案内をしたいと思います。
きょうは、「地方消費者行政の充実に向けて」と、詐欺的投資勧誘についての建議を出しておりますので、7時20分ごろ、消費者庁の記者会見室で、委員長と担当委員による記者会見を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)

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