第103回 消費者委員会 議事録
日時
2012年10月30日(火)16:00~19:25
場所
消費者委員会大会議室1
出席者
- 前川内閣府副大臣
- 【委員】
- 河上委員長、山口委員長代理、小幡委員、田島委員、夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
- 【説明者】
- 福岡市 石井悦子 市民局生活安全部消費生活センター所長
- 福岡市 藤﨑晴子 市民局生活安全部消費生活センター係員
- 特定非営利活動法人消費者支援機構関西 西島秀向 事務局長
- 特定非営利活動法人消費者支援機構関西 上田憲 検討グループ長
- 厚生労働省 温泉川 食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室室長
- 独立行政法人国立健康・栄養研究所 梅垣敬三 情報センター長
- 社団法人日本医師会 石川広己 常任理事
- 公益社団法人日本薬剤師会 藤原英憲 常務理事
- 公益社団法人日本健康・栄養食品協会 加藤博 常務理事
- 健康食品産業協議会 関口洋一 会長
- 健康食品産業協議会 河原有三 副会長
- 【事務局】
- 原事務局長、小田審議官
議事次第
- 開会
- 前川内閣府副大臣挨拶
- 電気通信事業者の販売方法に係る消費者問題について
- 【説明者】
- 福岡市
- 石井悦子 市民局生活安全部消費生活センター所長
- 藤﨑晴子 市民局生活安全部消費生活センター係員
- 特定非営利活動法人 消費者支援機構関西
- 西島秀向 事務局長
- 上田憲 検討グループ長
- 健康食品について
- 【説明者】
- 厚生労働省
- 温泉川 食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室室長
- 独立行政法人国立健康・栄養研究所
- 梅垣敬三 情報センター長
- 社団法人日本医師会
- 石川広己 常任理事
- 公益社団法人日本薬剤師会
- 藤原英憲 常務理事
- 公益財団法人日本健康・栄養食品協会
- 加藤博 常務理事
- 健康食品産業協議会
- 関口洋一 会長
- 河原有三 副会長
- その他
- (1) 消費者委員会に寄せられた意見等について
- (2) 地方消費者委員会(山口)について
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:9KB)
- 【資料1】 電気通信事業者の販売方法に係る指導の状況等について(福岡市提出資料)(PDF形式:268KB)
- 【資料1 別添】
- 「福岡市消費生活条例」リーフレット(PDF形式:802KB)
- 「不当な取引行為」リーフレット
- 【資料2】 電気通信事業者の販売方法に係る消費者問題について関連資料(消費者支援機構関西提出資料)
- (資料2-1) 電気通信事業者の販売方法に係る消費者問題について関連資料
- 1から23ページ(PDF形式:445KB) / 24から44ページ(PDF形式:662KB)
- (資料2-2) 国民生活センター平成24年9月6日公表資料「PIONETにみる2011年度の消費生活相談‐全国のデータから‐」抜粋(PDF形式:101KB)
- 【資料3】 健康食品の安全性確保について(厚生労働省提出資料)(PDF形式:466KB)
- 【資料4】 「安全性に関する情報取集・発信及び表示について」(国立健康・栄養研究所提出資料)(PDF形式:457KB)
- 【資料5】 日本医師会の健康食品安全対策について(日本医師会提出資料)(PDF形式:634KB)
- 【資料6】 健康食品の安全性に関する情報収集・発信及び表示について(日本薬剤師会提出資料)(PDF形式:333KB)
- 【資料7】 安全性に関する情報収集・発信及び表示について(日本健康・栄養食品協会、健康食品産業協議会提出資料)(PDF形式:254KB)
- 【追加資料】 参照条文(PDF形式:221KB)
- 【資料8】 消費者団体ほか関係団体との意見交換会でいただいたご意見への対応(案)(PDF形式:157KB)
- 【資料9】 消費者委員会に寄せられた主な要望書・意見書・声明文等の一覧(平成24年 7から9月)(PDF形式:90KB)
- 【資料10】 地方消費者委員会(山口)実施概要(PDF形式:195KB)
- 【資料11】 地方消費者委員会(大分)開催案内(PDF形式:222KB)
- 【資料12】 消費者委員会のホームページについて(PDF形式:351KB)
≪1.開会≫
○河上委員長 それでは、皆さんおそろいですので、始めさせていただきます。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第103回)」会合を開催いたします。
また、本日は、所用によりまして、稲継委員、川戸委員が欠席の予定となっております。
議題に入ります前に、本日は、前川清成内閣府副大臣にお越しいただいておりますので、開会に当たりまして、副大臣から御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
≪2.前川内閣府副大臣挨拶≫
○前川副大臣 御紹介を賜りました、今般の第3次野田改造内閣の発足に伴いまして、消費者庁も含む内閣府副大臣を拝命いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
大変貴重な時間でございます。できるだけ時間は短く、その分、心を込めて、ひとこと御挨拶を申し上げたいと思います。
日ごろは、消費者行政推進のために先生方には御尽力賜っておりますこと、まずもって感謝申し上げます。私は今から9年前、普通の弁護士をしておりましたけれども、サラ金の金利を引き下げたい、それだけの動機で国政に飛び込みました。その意味においては、志の高い低いはあっても、もちろん皆様方のほうが高いという意味でございますけれども、同じ志を持っているのではないか、こういうふうに思っているところでございます。
先ほど、山口委員長代理からも、この消費者委員会は民主党がつくったのだから責任をとってくれという、認知訴訟のような訴えをされてしまいました。確かに国会が政策を立案して、役所がそれを執行していく。そういう三権の在り方から申せば、立法府でもない、そして消費者庁でもないこの消費者委員会において、自由にさまざまな消費者政策について建議していただく、これはある種ユニークな仕組みでありますし、消費者庁という役所がまだまだ発展途上の役所であります。入ったときから、役人になったときから消費者庁という職員が一人もおりません。その意味において、これまで勤めていたそれぞれの産業育成省庁の影響というか、考え方、そういうのが抜けきれない面もなくはないだろうと私は思っています。ですから、消費者委員会の皆様方におかれましては、消費者目線を徹底していただけたら、こんなふうに思うところであります。
その点で、私の希望を二、三、申し上げれば、私は、冒頭申し上げたように、サラ金の金利を引き下げたいというのが初めの第一歩だったわけですが、皆様方の御支援もあって、2010年の6月に、上限金利が利息制限法の制限金利に引き下げられました。しかし、その後、与野党各党派において、見直せというふうな動きも随分進んでいます。残念ながら、民主党の中にもそういう御意見の方がいらっしゃいますし、自民党の中では既にそういう意見をまとめたということも耳にしております。
その方々がおっしゃるのは、総量規制が入った。あるいは金利が引き下げられて、もうけが少なくなった。その結果、困っている人がお金を借りられなくなった。例えば今月の子どもの学校の給食費、今までサラ金から借りて払うことができたのに、その給食費も払えなくなってしまったではないか。これは本来の金融の機能を果たしていないのではないかというふうな、私からすると、どうも合点がいかないような理屈を国会議員の中で正々堂々とおっしゃる方があります。
例えば、母子家庭のお母さんが一人で頑張っておられた。しかし、交通事故になってしまった。病気になってしまった。来月の子どもの給食費どうしようと、思い悩んでいらっしゃる方も随分いらっしゃると思います。
しかし、そんなときに政治がやることは、高利貸しを応援して、高利貸しの後押しをして、高利貸しが母子家庭のお母さんにお金を貸すことなのか。そうではなく、困ったときに、例えばグラミン銀行のようにセーフティネット貸付、みんなで支え合う、そんな仕組みをつくり上げていくことではないのか。
その点では厚生労働省のほうで若干の動きが進展していますけれども、私はまだまだまだまだ足りない、そんなふうに思っています。この消費者委員会において、どうしたら困った人たちにセーフティネットを張りめぐらせることができるのか。金融の分野に限らず、是非、自由闊達に御議論いただいて建議をいただけたらと思います。
また、この政権交代後の3年間で、消費生活センターが220か所、地方消費者行政活性化基金によって増えました。その結果、平成24年4月1日時点で721か所の消費者センターがあります。消費者の皆さん方が例えば少額の消費者被害に遭ったときに、山口先生には申しわけないけれども、弁護士は敷居が高い、お金がかかる、その意味において下駄ばきでセンターに相談に行ける。これが全国津々浦々にあることは大変望ましいことですし、これからも、センターの充実には意を注いでいかなければならないと思っています。
その反面、大変失礼なことを申し上げます。私ひとりの考えでありますが、センターの充実に相談員の皆さん方が十分対応しきれているのか、このことも、是非それぞれのお立場で御検討いただけたらと思います。私も国会に送っていただくまで15年間、弁護士をしました。その中でずっと大阪弁護士会の消費者委員会に所属してまいりました。センターの皆さん方とは勉強会をさせていただいたり、研究会をさせていただきました。
ただ、そのときに感じたのは、相談員の皆さん方の考え方は、例えば特商法等の特別法がまず先にやってきて、クーリングオフができるのか、できないのかというのが発想として最初のスタートになっているように感じます。しかし、本当は、申込みと承諾があって合意が成立しているのか、契約が成立しているのか、その上で法定解除ができるのか。できないとしたら、特別法に基づく解除ができるのか、できないのか、クーリングオフがあるのか、ないのか。つまりは、司法の一般的な原則に対して相談員の皆さん方がより一層理解を深めていただく、このこともセンター機能の充実において大事なことではないか、こういうふうに思っております。
自分のことを顧みず、いささか失礼なことも申し上げたかもしれませんが、この消費者委員会に対しては強く強く期待申し上げておりますので、先生方におかれましては、まことに御多忙の中、御苦労なことかとは存じますが、よろしく御指導賜りますようお願いを申し上げまして、今回の冒頭の御挨拶にかえさせていただきます。きょうはありがとうございました。
○河上委員長 どうもありがとうございました。大変温かく、かつ、力強いお言葉をいただきまして、感銘を受けました。消費者委員会としてもこれから頑張っていきたいと思いますので、どうぞ御支援をよろしくお願いしたいと思います。
ちなみに、先ほど貸金業法の話題が出ましたけれども、消費者委員会では実際にヒアリングを行いまして、委員会の見解としては、現時点では改正の必要はないということと、セーフティネットとしての貸付を充実させるべきだという委員長見解は述べさせていただいたところでございます。また、これからもしっかりとモニターしていきたいと思いますけれども、よろしくお願いします。
副大臣におかれましては、この後、さらに御公務があるということでございますので、ここで御退席されます。お忙しいところをありがとうございました。
(前川副大臣退室)
○河上委員長 それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。
○原事務局長 きょうは、大変たくさんの課題がありますので、簡単に御紹介させていただきます。
議事次第と書かれた紙の後ろに配付資料の一覧を載せております。
資料1と2が、電気通信事業者の販売方法にかかわる状況ということで、福岡市、消費者支援機構関西から御提出をいただいた資料です。
資料3、4、5、6、7は、本日、健康食品の特に安全性の部分について、ヒアリングを予定しております。その関連ということで、厚生労働省をはじめ、関係団体から御提出をいただいた資料になっております。
資料8、9は、本日初めてこういう形で資料提供をいたしますけれども、消費者団体ほか関係団体との意見交換会でいただいた意見への対応、委員会に寄せられた主な要望書、意見書についての一覧を、そのときにまた御説明させていただきますけれども、つけております。
資料10と11は、地方消費者委員会、山口は開催したばかりですが、12月1日に大分でも予定しておりますので、その関連の資料です。
資料12は、消費者委員会ホームページ、改善を図ってきておりますので、最新このような状況になっているということをおつけしております。
参考資料1といたしまして、「電気通信事業者の販売方法に係る消費者問題について」ということで、公表されている資料で関連している資料をおつけしております。
参考資料2は、10月23日に委員間打合せを開催しておりますので、その概要をおつけしております。
不足がありましたら、審議の途中でお申し出いただければと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
≪3.電気通信事業者の販売方法に係る消費者問題について≫
○河上委員長 それでは、議題に入ります。
最初の議題は、「電気通信事業者の販売方法に係る消費者問題について」ということでございます。
本日は、福岡市、消費者支援機構関西におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
電気通信事業者によるインターネット通信サービス、あるいは、移動通信サービス等の販売方法に関しましては、その勧誘方法や契約の解除手続等に関して、全国の消費者センターへ相談件数がたくさん寄せられているという分野であります。この8月、福岡市から、電気通信事業者の販売方法について是非調査審議を行ってほしい、という御依頼をいただいたところでもございます。
このため消費者委員会としては、去る10月9日の委員間打合せにおいて、それらの消費者トラブルの実態について、国民生活センターからヒアリングを実施いたしました。さらに本日は、御依頼をいただいた福岡市から、福岡市消費生活条例に基づき実施した事業者に対する行政指導の内容等について、御説明をいただきますとともに、消費者支援機構関西からは、消費者団体におけるこれまでの取組の内容、あるいは改善事案等について御説明をいただきまして、今後どうすべきかということについて議論を行いたいと考えております。
それでは、まず、福岡市のほうから説明をお願いいたしますが、全体として、このテーマについて1時間弱の時間しか予定できません。大変短い時間で恐縮ですけれども、各説明は10分程度でお願いできればと思います。
それでは、福岡市のほうからよろしくお願いいたします。
○福岡市市民局生活安全部消費生活センター石井所長 福岡市消費生活センター所長の石井と申します。
本日は、消費者委員会に、8月に調査・審議を御依頼申し上げておりましたところ、早速取り上げて御審議いただきまして、ありがとうございます。初めにお礼を申し上げたいと思います。
では、資料に基づきまして、着席で説明させていただきます。お配りしております資料1(PDF形式:268KB)に基づいて、説明をさせていただきます。
先ほど御説明いただきましたように、固定電話、移動通信サービス、インターネット通信サービス、ケーブルテレビ等の電気通信事業者各社につきましては、福岡市消費生活センターの事業者別相談件数の中でも上位を占めておりまして、極端に多い分野となっています。当センターでは従来から個別に事業者面接を行いまして、問題点を指摘し、指導を行ってまいっております。また、総務省が主催されています「九州電気通信消費者支援連絡会」においても、再三改善を求めてきておりますが、相談件数は、下に表をつけておりますが、増加の一途をたどっておりまして、改善が見られないという状況でございます。
そこで本年、24年1月から5月にかけまして、福岡市消費生活条例に規定しております「不当な取引行為」に該当する販売行為について6社に指導を行って、自社での速やかな問題解決への協力を要請したところです。しかしながら、指導後も相談件数は増加しており、この状況は全国の消費生活センターにおいても同様の傾向でございますので、対策は急を要するものではないかと思われました。
以上のことから、電気通信事業者の販売方法について、より一層、監督官庁及び関係省庁から指導・監視、制度の見直しをしていただきたいということで、下記のとおり、消費者庁及び消費者委員会に対し指導・調査の依頼を提出したところでございます。
下の表を見ていただきますと、一番右側に21年度の相談件数が載っていますが、22年度はかなり増えています。23年度は22年度比較でもかなり多うございますし、21年度と比較すると3倍近く伸びているところもございまして、増加傾向にあるということでございます。
カッコに「うち斡旋率」と書いておりますが、本市においては、消費者に助言をして、消費者が自ら解決するための支援をするということを基本の解決方法としておりますが、消費者と事業者の間で交渉がうまくいかない場合、相談員が事業者との交渉を行う「あっせん」をしております。通常あっせんは相談全体の9%程度になっていますが、この分野に関しましては、あっせん率が20%前後と通常の倍以上となっており、消費者だけでは解決がつかないケースが増えておりまして、消費生活センターにとっても、相談員にとっても大変負担のかかる分野になっています。
今年度(24年度)の半期の相談状況を一番左に9月末として挙げておりますが、23年度の同期、9月末と比較しましても、指導後にもかかわらず、ほとんど変わらないペースですので、24年度末も、このままいくと23年度並みか、もっと増えることもあるかと思っております。
2に不当な取引行為と記載しておりますが、福岡市消費生活条例第21条に、定める53の不当な取引行為に該当するとして各事業者に対し指摘した項目です。不当な取引行為についてはお手元の「不当な取引行為は禁止されています」というパンフレットをご参照ください。(1)契約締結に至るまでの勧誘・説明の在り方に問題があるものとして、マル1重要情報の不提供、割引サービスや料金体系、契約の解除制限や解約料についての説明不足などがあります。
マル2は、販売意図の隠匿ということで、点検等を装って勧誘するためにトラブルが起きている。
マル3に、重要事項に関する誤信情報の提供あるいは優良・有利誤信情報の提供とありますが、説明に虚偽があったケースでございます。
マル4は、消費者に適合しない契約として、若者に対し、転売で報酬を目的とすることが概ね推測できるものに関しても複数の携帯電話を契約しているということを指摘しています。また、高齢者に不必要な販売勧誘についても、適合しないということで指摘をしています。
マル5に、威圧・困惑行為として無理な勧誘。特に高齢者に対する無理な勧誘があるという5項目を指摘しています。
2は契約締結後の対応のあり方ですが、マル1 債務履行における不誠実対応ということで、頻繁な不具合が生じているにもかかわらず、修理について販売店の対応がよくなかったということ。
マル2に、解除等における義務違反で、解約手続をとらなかったり、解約を拒否するようなケースです。資料の4ページ以降に、具体的事例は各社ごとにつけています。これについて事業者においでいただきまして弁明を求めております。事業者の弁明については、委員専用の資料として別に配付しておりますけれども、これは面接時のやり取りということで、市においては公表しておりませんので、よろしくお願いしたいと思います。
各項目について弁明されましたけれども、抜本的な解決にはつながらないということで、さらに福岡市から改善要望したものを、次の2ページの3に、事業者への指導内容として記載しております。(1)は、不招請勧誘に関する問題点ということで、例えばA社は、電話での勧誘のみで説明不足や販売意図の隠匿も見られる。そもそも電気通信事業というのは、とてもサービス内容が複雑で、電話のみで理解できる内容ではないのに契約をさせている。契約後に資料を出しているところもございましたけれども、契約後の資料についても理解が難しい。また、契約変更を、契約者ではなく家族でもよいとしていることもトラブルのもとになるのではないかという指摘をしています。
また、E社は、点検と販売勧誘を同時に行うためにしばしば消費生活センターへの相談が来ており、この販売方法を変えない限り相談は減らないのではないかという指摘をしております。
(2)は、料金体系のわかりにくさと解約についての説明不足でございます。料金体系が複雑であること、販売店の説明不足による解約に関するトラブルが多いということで、事業者の弁明はありますけれども、特に自動更新により新たに契約期間が生じたときにも解約料が要ることを十分説明されていないので、わかりやすい表示が必要ではないかという指摘をしております。
(3)は、先ほどご説明しました、高齢者に対する無理な勧誘。
(4)は、若者の名義貸しへの対応について指摘をしています。
(5)は、販売店の指導の徹底ですけれども、オプション加入や長期契約、セット販売を条件とした料金や値引きについて、わかりやすい表示・説明をしてほしい。有利誤認を招かないようにということと、無理な勧誘をしないように、販売店への指導を徹底していただきたいという指摘をしております。
(6)は、対応マニュアルの見直しとして、商品や商品内容が複雑で、販売店自身も間違えた説明をしていることが多々あるので、そのようなことであれば、商品自体や対応マニュアルも含めた見直しも検討すべきであるという指摘をしています。
(7)の故障への適切な対応についても、頻繁な故障を認めるのであれば、商品交換等の相談者が納得いく柔軟な対応をお願いしたいという指摘をしています。
最後に(8)ですが、苦情・相談窓口の機能不全ということです。苦情については、まず、第一線の販売店が十分説明対応をしていただきたいこと。また、苦情の自社対応。自社の苦情ですから自社の相談窓口で処理すべきなのに、消費者対応のコールセンターでの苦情対応が不十分であった場合、事業者側には対応窓口がないとして、そのまま消費生活センターに相談に来られています。行政対応とされているお客様相談室とコールセンターの連携が十分ではないのではないかということで、コールセンターで解決困難なものは、消費生活センターではなく、自社のお客様相談室にきちんとつないでほしいということで各社にはお願いをしているところです。
3ページでございます。監督官庁への要望として、(1)電気通信事業法は特商法の適用除外となっていますけれども、特商法に定める規定との整合性を持たせていただきたいということで、マル1 一定期間に申出があれば無条件解約できるような、クーリング・オフ類似の制度を導入していただけないか。
マル2は、契約成立前に消費者が契約内容を十分理解できるように、サービス内容、対価、解約など重要事項に関する説明書を交付し、対面あるいは口頭で契約内容を説明する義務を導入してほしい。特に、高齢者への不必要契約をさせないための販売ルールを設けてほしいということをお願いしたいと思っています。現在、消費生活センターでの指導では、もうこれ以上は困難というところに来ていますので、監督官庁への要望をお願いしたいと思っております。
(2)は、各事業者に対し、販売店・代理店の販売方法について把握するとともに、研修・指導を十分行ってほしいこと。
(3)は、苦情・相談窓口を一本化あるいはワンストップ化することを義務づけていただいて、利用者サービスの向上を図るよう指導していただきたいということで、監督官庁へのお願いもしておりますし、消費者庁からも監督官庁への措置なりお願いをしたいということで、5月に依頼をしたところでございます。
現場でとても多くの相談が寄せられているなかで、取組が若干遅いのではないかということで、消費者委員会にもこのたびお願いしたところでございまして、きょうは、よろしく御審議のほどお願いいたします。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
引き続きまして、消費者支援機構関西から御説明をお願いいたします。やはり時間は、申しわけございませんが、10分程度でお願いいたします。
○消費者支援機構関西西島事務局長 消費者支援機構関西の西島と申します。私のほうから、今回、この件に関しまして、総務省、経済産業省、消費者庁に要望書を出しておりますので、その経緯から御紹介させていただきます。資料2-1(PDF形式:445KB)の2ページをごらんください。
どういう要望を出しているかというところですけれども、その前に、私ども適格消費者団体ということで消費者団体訴訟制度で認定された団体です。ただ、今回問題にしている電気通信事業法の関係のサービスにつきましては、差止請求の対象になりませんので、この間、要請という形で対応してきたということでございます。要望に至る経緯が2ページにありますので、そちらをごらんください。
電気通信事業者、私どもの場合はNTT西日本でしたが、そちらの勧誘が、しつこい勧誘であったり、強引な勧誘であったりというようなことがこちらのほうに情報提供がありまして、そこから検討を始めました。この苦情や相談がどれぐらい多いのかということを、適格消費者団体ですので、国民生活センターに情報提供申請をして、その回答を受け取ったところ、かなり苦情相談が多いことがわかりました。それで検討グループというのを編成し、そこでこの問題について検討をしました。
4ページにありますように、2011年の4月ごろから相手方にお問い合わせや要請を行いました。この間、協議も行っております。その結果、最終的にNTT西日本は、このサービスについて、工事開通前については無償で解約できるという案内を、ホームページのわかりやすいところに掲示したり、あるいは、契約書面と一緒に送る書類にわかりやすく表示をするという改善は一定にされました。ただ、代理店によるしつこい勧誘は十分に改善できていないのではないかと思っています。
それとともに、NTT西日本だけではなく、ほかの事業者もありますから、その辺りについてどうするのかというところですけれども、この間、PIO-NETの消費生活相談の年度別上位の商品・役務別相談件数で見てみますと、2010年度は、1万2,663件ですが、2011年度は増えている。1万3,925件になっているということで、どうも鎮静化している状態ではないということで、事業者や業界団体の方の御努力だけではどうなのかということがありまして、法的な規制が必要ではないかということで、2項目、電気通信事業法に規定する電気通信事業者が行う役務の提供を特定商取引法の適用除外としない。または、電気通信事業のところで特商法と同様な消費者保護規定、クーリングオフや再勧誘禁止等をしっかりやることを、3省庁に対して、本日、要望をしてきたところです。
その必要性、相当性等々につきまして、私どもの検討グループ長の上田弁護士から報告をしていただきます。
○河上委員長 お願いします。
○消費者支援機構関西上田検討グループ長 本件テーマの検討グループ長をしております上田と申します。
本件の光回線に関する勧誘トラブルでございますけれども、そもそも当方としては、どれだけ数があるのかというのがわからなかったものですから、西島事務局長が申したように、PIO-NET情報を通じて入手いたしました。本件は、当該消費者、苦情を訴えている消費者のみならず、その背景に非常にたくさんの同様の被害事例があることが推測されましたので、検討グループを立ち上げた経緯がございます。
添付書類の1から8を見ていただければおわかりと思いますけれども、NTT西日本に対して、勧誘方法などの問題点について、いろいろ申入れをしたり求釈明をしましたけれども、ひとことで言うと、NTT西日本の御回答としては、「我々は、自主基準あるいは法令に基づいてきちっと対応しております。KC’sさんからの申入れはありがたく頂戴して、それに沿ってなるべく、より適切な対応をしてまいります」、そういう趣旨のお答えでございます。
我々としましては、2008年ころから、NTT西日本は、第1次の代理店あるいは孫の第2次代理店を使って光回線の勧誘をされているわけですけれども、苦情、消費者トラブル、消費者相談が多い。各地の消費生活センターにはたくさん寄せられておりまして、そういう現場では、フレッツ光といえばある意味有名であるというふうに聞いております。
2008年からNTT西日本が自主基準にのっとった努力をされて、それでも被害が減らないから、2011年からその対策を強化した。普通は、そうすると被害が減るはずです。我々としては、NTT西日本がそういう対策を講じて被害が減ったのだったら、その検証結果を我々に提示してくださいということを求めましたが、それに対して、社外秘というのもございますけれども、対応はございませんでした。
我々がNTT西日本の側であれば、我々としては、こういう被害が発生している、こういう被害に対してこういう対策をとりました、こういう対策をとったからこういうふうに被害が減少しましたということを、我々に対しても説明してしかるべきですけれども、そういう説明がない。ここからは推測になりますけれども、そういった観点からすると、福岡市の消費生活センターからも御発表がありましたように、被害は減っていないのではないかというふうに推測されます。
我々は、被害数、被害実態を疎明する、あるいは裏付ける資料の入手方法が限られております。今回添付しましたPIO-NET情報の数でしか見ることはできません。その内容がどこまで正確かはまた別としまして、我々としてはこれを見る限り、NTT西日本が自助努力をされた、あるいは、業界の自主基準を決めてそれを遵守されるよう努力された。にもかかわらず被害が減っていない、被害実態は変わっていないということがまさに重要でございます。自主努力をしても改善されない以上は、法的な規制、すなわち法律改正をして被害を食い止める、あるいは、未然に予防するほかないのではないかと考えるに至った次第でございます。
具体的には、要望事項にございますように、電気通信事業者であるNTT西日本でございますけれども、特に電話勧誘販売、あるいは訪問販売、多くは電話勧誘のトラブルが多いのですけれども、それを、特商法と同じようにクーリングオフ制度や再勧誘禁止規定を設ける。その2つ以外にもございますけれども、その2つをきちっと手当をすれば、多くの被害は救済されるのではないかと考えております。
他方、特商法は御承知のように電気通信事業者に対する適用はございません。それは、電気通信事業法で不当な勧誘方法が規制されており、それで担保されているから特商法の適用除外になっているという関係にあるのですが、実際のところは、こういう被害実態から見ますと、特商法の適用を及ぼすことによって規制すべき現実がある、実態があるというふうに考えざるを得ません。ですから、要望事項の1、2は表裏の関係にはありますけれども、所管である総務省でこういう法改正をしていただくのか、あるいは消費者庁、経産省、共管である特商法を改正していただくのか。いずれの方法によっても結構ですけれども、素早くそういう対応をとっていただきたいということでございます。
午前中に総務省に執行に参りましたときに、「電気通信サービス利用者の利益の確保・向上に関する提言」の概要というのがございまして、その中でも、あくまで業界団体、あるいは事業者の自主的な取組あるいは自主的な基準を遵守させることによって被害回復を図る、あるいは被害防止を図る。ただ、一定期間、様子見をしまして、それでも効果が上がらない場合は、クーリングオフなどの法的な手当も検討するというふうな取りまとめになっているわけです。
一定期間をいつまでと見るのかわかりませんが、自主基準としてかなり高度なもの、厳しいものを提供されている、あるいは縛りをかけているというのは理解できるところですけれども、我々の感覚あるいは認識としましては、それにも一定の限界があろうと。よって、法的な規制を及ぼすべきであるということでございます。
以上でございます。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。
○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。幾つかお聞きしたいと思います。
まず、福岡市にお聞きしたいのですが、2つあります。この事業者関係、いわゆるシェア競争が激しい業界ですので、大手の、皆さんが知っている会社が自らトラブルを起こしているのか、それとも代理店が多いのか。その辺の認識です。その場合、特定商取引法におきましては、施行令で、電気通信事業法第2条第5号に規定する電気通信事業者が行う同条第4号に規定する役務の提供、これが適用除外です。福岡のほうでは、代理店あるいは孫代理店、これはやはり適用除外になるとお考えなのか。それとも、孫代理店だったら適用除外にならないとお考えなのか、その辺、どういうふうに具体的に対処されているのか。もし大阪のほうでも何か御意見があったら、お聞かせいただければと思います。
もう一つは、販売奨励金システムというのがあります。つまり、一定の実績を上げた場合には、相当のリベートというか、バックマージンが入ってくるシステムになって、自ずから強引にでもやりたくなるのではないかという感じのシステムがあるようです。その辺について、御存じのことがあったら教えていただければと思います。
それから、大阪のほうには、参考資料1(PDF形式:785KB)をごらんいただけますでしょうか。総務省の検討会の提言に沿って、今年4月16日に、社団法人電気通信事業者協会、テレコムサービス協会、インターネットプロバイダ協会、ケーブルテレビ連盟の連名で自主基準をつくられています。このペーパーの3枚目に自主基準の内容があります。ところが、第8条を見ていただけますか。申込みの撤回という条項がありますが、「事業者は利用者からの申込みの撤回の申出を受け付けるものとする」とあって、どういう条件で申込みの撤回を認めるのか。認めた場合にどうなるのかということははっきり書いていません。端的に言えば、先ほどの福岡の御説明から見ても、工事をやったらもう撤回は認めないという運用をされているようにも聞こえたのですが、この自主基準がどういうふうに運用されているのか、疑問です。
もう一つ、非常に大きな問題として出ているのが、2年間は契約解除できませんと。契約解除をすると大きな解約損料をとられます。さらには、2年間の更新期限、あるいは3年間の更新期限が過ぎて、過ぎてから1か月以内に、更新しないという通知をした場合には解約損料はとられないけれども、1か月以上過ぎると、また解約損料をとられますという運用になっている会社があると聞きます。
この辺の解約損料の問題について、ちゃんと説明しなさいとは書いてあるけれども、そういう解約損料のとり方に合理性があるかどうかについては、何の自主基準もないのです。上田先生は先ほど、相当しっかりした自主基準をつくられているとおっしゃったけれども、自主基準を読んでみると、全然しっかりしていないという感じが、率直に言ってするわけです。先ほど上田先生がおっしゃったように、総務省の基本的姿勢は、この自主基準がどの程度ちゃんとなされているかを見守った上で、だめなら法的措置、あるいは行政的な措置も講じようかというふうにお考えのようですが、自主基準はその効果を発揮していないというのが、先ほどの福岡市のお話だったのではないかと思います。その辺の感想について、福岡市のほうからもお聞かせいただければと思います。
もう一つ、私は実態がよくわからないので、これは大阪のほうは裁判をやっていると思いますが、事業者側の弁明を消費者団体からお聞きするのも、また別の機会に聞けばいいのかもしれませんが、なぜ、2年間解約できない、あるいは2年たって1か月経過すると解約できないのか。それでも解約すると、解約損料を余計とりますという運用をどういう理由でなさっているのか。その辺の事業者側の事情について、御存じだったら説明いただければと思います。済みません、いろいろ申しましたが、教えていただければと思います。
○河上委員長 それでは、福岡市さんのほうからよろしいですか。
○福岡市市民局生活安全部消費生活センター石井所長 まず一番に、販売店、代理店等についても特定商取引法の適用除外と考えているかということでございますが、私どもは適用除外になると思っておりましたので、代理店、販売店も含めて事業者のほうから指導をいただきたいと。一体のものと考えてこれまで指導してきたところです。
販売奨励システムについては、当然、バックマージンがあるということで強引な販売があるとは考えておりますけれども、その仕組みまで聴取しておりませんので、これについてはお答えしかねます。
解約料については、内訳等を明らかにしてほしいと考えております。半額割引を選んだからこれだけ利益を得ているので、基本料との差額を請求するとか合理性があればいいですが、少しでも更新期間を過ぎると一律に定額の解約料を要求されているので、それはよろしくないと事業者にお話をするのですけれども、2年縛りが嫌なら半額割引を選ばないで通常基本料を選べばいいだけの話だから、問題ないではないかというご反論で、これについても問題があるとは認識されていないという聴取の結果でした。
実際に聞き取りをしている係員の藤﨑と代わります。
○福岡市市民局生活安全部消費生活センター藤﨑係員 解約料の内訳につきましては、当センターの相談員が電気通信事業者に問い合わせましたところ、その明細については営業の秘密になるので、公表できないという御回答をいただいた次第でございます。そういった不明瞭な解約料についても、今後、改善していただきたいと考えます。
○河上委員長 それでは、消費者支援機構関西さんのほうはいかがでしょうか。
○消費者支援機構関西上田検討グループ長 質問に対して的確な答えになるかどうかわからないのですけれども、まず、NTT西日本の第1次代理店、その下の第2次代理店、厳密な検討はしておりませんが、先ほど福岡市消費生活センターの方がおっしゃったように、我々も一体と見ております。適用除外となるという認識のもとに交渉を進めておりました。
山口先生がおっしゃったように、バックマージンは多分発生していますけれども、NTT西日本に照会しましても、その辺りは明らかにしていただけません。どこからどういう形で代理店にバックマージンが流れているのか。事実を認識していなくて軽々なことは申せませんが、適正な委託料以外に何らかの報奨金的なものが払われているのは、推測でありますけれども、間違いないのではないかと思います。
ただ、委託料金が支払われるのは、私どものヒアリングによりますと、契約が成立して回線の開通工事が完了した後、それがきちっとなされているということで、消費者からサインをいただいた後に委託料が払われることになっています。逆から言うと、NTT西日本は、契約が成立して開通工事が完了するまでは契約解除ができる。それをもってクーリングオフ類似の制度を導入しているという言い方をされるわけでございます。
建前はそのとおりだと思いますけれども、ここまでトラブルが多いということは、第1次、第2次、どちらかわかりませんが、代理店の一部の不心得な業者が、とりあえず工事まで完了させて解約できない形にうまく追い込むと。昔クーリングオフの起算点が始まっているというのがわからないように、いろいろする悪質業者がいたのと、パラレルに言えるかどうかは別としまして、一部の非常に不心得な代理店については、開通工事が終了するまでそういったことを全く告知しない。NTT西日本としては、言いなさい、告知しなさいと指導はしていますけれども、それを守らない業者もいるということではないかと思われます。
それと、山口先生がおっしゃったように、私どもは、自主基準が非常によくできたものといった趣旨で申し上げたわけではなく、NTT西日本の側がそういうふうな御認識でおられるということでございます。一点、そこはつけ加えておきます。
2年間の契約拘束については、西島事務局長から説明をいただきます。
○消費者支援機構関西西島事務局長 この差止請求訴訟につきましては、京都消費者契約ネットワークさんが訴えておられるものです。合理性があるかどうかというところですけれども、私どもも適格消費者団体としては、やはり合理性はないというふうに思っておりますし、縛りということですので、これはどうかなというふうに思います。2年なり3年たって、その後の1か月だけが更新料がないということも、覚えておくのが消費者としてはしんどいことかなというように思います。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
ほかにいかがですか。
細川委員、どうぞ。
○細川委員 お話がありましたように、特商法の適用除外になっているけれども、通信事業法上の保護が不十分だというところで問題が起きている。その中で自主規制をしているけれども、それが十分でないというところだと思います。私は、こういう話を伺っていて非常に問題が多く、契約上のトラブルというだけではなくて、むしろ生活を脅かすというか、しつこい電話勧誘とかそういうものも含めて考えると、これは由々しき状態ではないかなと思います。
しかも、通信事業者のトラブルに対して消費生活センターが十分な対応ができないというのは、最近の話だけではなく、私は10年前、20年前も同じような話を聞いています。そういった実態がありながら、総務省は対応をしてこなかったということだと思います。そういう意味で言うと、まず、特商法に適用除外が多いというのは、経産省で所管していたから適用除外を当たり前のようにしていたのだと思います。今は消費者庁にあるわけだから、そんなにほかの省庁に遠慮して縦割りで考える必要はないというふうに思います。
それでも総務省がやるというなら、それはやってもらえばいいわけで、まず総務省に、クーリングオフとか、特商法と類似するような同水準の整備をする必要があるかどうかというのを、期限を決めてしっかり聞いて、もしやらないのだったら、即、特商法での適用除外をやめることを求める建議を出すとか、もう少し強いことをやらないと、これはずっと続いていて、それが最近、非常にひどくなっているという状況ですので、しっかりした対応をとるべきだと思います。
○河上委員長 吉田委員、どうぞ。
○吉田委員 私も細川委員と同じ意見です。福岡市さんのほうで条例に基づく指導をしているにもかかわらず、統計上、改善が見られていないということもあると思いますし、事例を拝見しますと、事業者自身が消費者の苦情にきちんと対応せず、安易に消費生活センターに回してくる傾向も見られます。限られた行政資源が、特定の事業者の不適切な商行為への対応に必要以上に費やされてしまって、ほかの事業ができなくなっているという実態もあると思います。これは市民にとっても不幸なことだと思いますし、現場でやっていらっしゃる方も忸怩たる思いであると思います。
そういうことから、今までの自主努力に任せるというやり方をもう一歩進めていかないといけないと思いますし、細川委員がおっしゃるように、期限を切って対応を求めるとか、委員会として相当なアクションを起こしていく必要があると考えております。
○河上委員長 ほかにはどうでしょうか。
制度として、例えば2年間なら2年間は使わせるということにしていて、そのときに二重料金制をとって、半額の場合とそうでない場合という選択制をとっている。最初の2年間の拘束期間に関しては、どんなお考えをお持ちですか。
○消費者支援機構関西西島事務局長 全体の額としてこれぐらいになるというのをしっかり消費者が認識して、それで選べるということであればという、かなり限定的な条件がつくかと思います。
○河上委員長 その後、例えば2年間たった後、1か月なら1か月ぐらいの間に更新をしないとまた同じことになるという、そこに問題があるということですか。
○消費者支援機構関西西島事務局長 そうです。やはりこれは、ほかの事業者に渡したくない、消費者を自分のところで囲い込みたいというものでしかないような感じがします。それが、適正な対価なのかどうなのかという辺りになってくると思います。
○河上委員長 それは、安ければそのほうがいいということにはならないのですか。
○山口委員長代理 安いのかどうか、よくわからないわけです。比較するのがなかなか難しい。どうですかね。
○消費者支援機構関西西島事務局長 それはなかなか難しいところですね。裁判でもいろいろ判断が分かれています。
○河上委員長 ほかの委員の方、よろしいですか。
○山口委員長代理 クーリングオフを仮に規定をつくったとしても、例えば、契約して翌日にもう工事を始めましたということになると、クーリングオフの規定の意味はなくなるのではないかという感じもします。通常の事業者は工事する業者をすぐ手配はできないでしょうから、3日後、4日後、5日後ということも多いと思いますが、その辺の実情はどうですか。
○消費者支援機構関西上田検討グループ長 私も正確には知らないのですけれども、聞き取りでは、3日とか4日ぐらい、その間に工事が完了することが多いと聞いております。
○河上委員長 山口先生、クーリングオフをしたら、基本的には工事をしようがすまいが、そこは原状回復になるべきではないですか。
○山口委員長代理 特商法はそういう建付けですけれども、この電気通信事業についてそういう建付けでいいのかどうか。例えば、屋根にのぼって特別な線を引っ張った。実費数万円かかったという場合に、それでもクーリングオフを認めていいのか、その辺の感覚が一つあります。ちょっとネットをいじってつなげるような、その程度の工事だったらクーリングオフでもいいのかもしれないけれどもという、それはケースバイケースがあるのかなという感じがするのですが。
○河上委員長 小幡委員。
○小幡委員 そうだとすると、逆に工事を少しあけなければいけないというように、ルールを決めなければいけないことになりますかね。
○河上委員長 ただ、例えばテラスをつけるような工事なんていうのは、やってしまいますが、だからといってクーリングオフの可能性は否定されていませんね。
○小幡委員 工事をやらなくてよい場合もありますね。ものによると思います。ともかくこの話は、本当に得になるのかという辺りの料金体系自身が消費者にはわかりにくく、複雑なので、問題の根幹がそこにあるのではないかと思います。都合の良いというか、売りやすいことを吹き込まれるところにそもそも問題があるので、どうしたらわかりやすくできるのかという辺りもあろうかと思います。
○河上委員長 先ほどの福岡市さんの話だと、どういうふうにして料金体系ができているかということの説明を求めても、これは企業秘密だという話になってしまうわけですね。センターが要求しても出さないぐらいですから、お客さんが要求してもなかなか出ないのでしょうね。
ほかにはいかがですか。
○山口委員長代理 先ほど福岡市のほうで、若者が複数の携帯電話の契約をするという話がありました。それは、事業者あるいは若者にとってどういうメリットがあってそういうことをやっているのか、実情をちょっとお聞かせいただければと思います。
○福岡市市民局生活安全部消費生活センター石井所長 若者の名義貸しは、業者に誘われ販売店等で、8台など契約させられて例えば1台につき1万円のお金をもらい、契約した携帯電話を業者に渡す。通信料は後で払い込むと言われたのに実際には支払われず、月々の請求金額を支払えなくなって、消費生活センターに相談に来ます。業者と販売店が、知り合いのようだったという事例もあります。しかも、その携帯電話は犯罪に使われる恐れもあります。電気通信事業者には若者に一度に複数の携帯契約をさせるのはやめてほしいと要請しましたが、事業者側からはお客さんが欲しいというものを売らないとは言えないので、上限を3台までにするとか、2台までにするなどの弁明はいくつかあります。
○河上委員長 これが、詐欺商法のツールになっている可能性があるということですね。
○福岡市市民局生活安全部消費生活センター石井所長 そのように利用される可能性がある携帯電話ですから、そのこと自体もよろしくない。例えば家族の分を親が一緒に契約するのはあろうかと思いますけれども、20歳代の若者が7台も8台も契約するのはおかしい。通常の程度を越えているとわかるのではないでしょうか。事業者としては内規を設けるとか、配慮すると言われるが、本市の条例の適合性に反しているということでございます。
○河上委員長 ほかにはよろしいですか。
夏目委員、どうぞ。
○夏目委員 御説明、ありがとうございました。福岡市では大変熱心にお取り組みされていると思います。条例に基づいて、こういった取引行為について指導もされ、事業者にも改善要望を出しているにもかかわらず、一向にこういった消費者被害がなくならないことにつきましては、やはり一歩進めて、例えば消費者支援機構関西さんからも御提案がありましたように、今の法律の不備に踏み込んでいかないと、なかなか被害はなくなっていかないだろうと思います。細川委員がおっしゃったとおりだと私も思います。是非、ここは一歩進んで、消費者委員会としても取組をする必要があるのではないか、こんなふうに考えます。
個々の問題点は、例えば工事費のお話が出てきましたけれども、あろうかと思います。ただ、できないところだけ取り上げても先に進みませんので、できることは何かという視点で、もう少し被害をなくすという方向で議論をしていければというふうに思っております。
○河上委員長 どうぞ。
○山口委員長代理 特商法の適用がないことの弊害が福岡市からも説明がありましたけれども、電話で「はい、わかりました」、これで契約成立と。これがまかり通っているのは放っておけないなという感じがします。ただでさえ微妙かつ難しい料金体系ですけれども、これが書面交付でもなくて成立と見なされてしまう。これは、今のままではまずいだろうと思うし、自主規制基準でもそこのところは何も踏み込んでいないわけです。これはやはり問題だと思っています。
○消費者支援機構関西上田検討グループ長 電気通信事業法26条で、確か重要事項の説明の際に、書面交付にかえて電話による説明を行う場合には、説明後、遅滞なく説明事項を記載した書面を交付することが義務づけられているということで、電気通信事業法にも一応手当はありますけれども、それがきちっと守られていない。業者によっては、それを潜脱したような運用が行われているのが現状かと思います。
○河上委員長 細川委員。
○細川委員 ちょうど数日前に学生と話をしていて、ある通信事業者の契約の話を聞いたら、代理店に行っても契約の変更はできないそうです。逆なのです。代理店では契約の変更を認めなくて、本社に電話をかけろと言われる。契約の締結はどうしていたかわかりませんけれども、何とかプランとかいう変更を代理店で受け付けないで、電話で本社にしないとそれができない。逆に代理店で断わられるというのです。こんなビジネス形態がまかり通っているのはちょっと信じられないなと、ちょうど数日前に思ったところです。相当いろいろな問題があると思います。
○河上委員長 それでは、大体予定の時間ですので、この辺りにしたいと思います。本日は貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。
きょうは、電気通信事業各社の問題のある販売勧誘行為に対する自治体の取組、あるいは消費者団体からの働きかけについて御説明をいただきましたけれども、これは本来的には、電気事業法の適切な運営で対応しないといけないはずのもの。だからこそ適用除外になっているものですから、その意味では総務省において電気事業法の運用状況をきちんとただす必要があると思います。加えて、事業各社において、履行補助者と言うべき代理店、孫代理店等の勧誘・販売行為に対して十分なコントロールが効いていないのではないかという問題もあります。その意味では、既に適用除外とすべき実態がなくなっているということかもしれません。消費者保護がそういう形で法的に十分に担保されていないことが、トラブルの多い原因になっているのではないかということをきょうのお話からも痛感させられました。
今後、電気通信事業法や特定商取引法の関連規定の活用によって、あるいは改善によって、どういうふうに保護を図っていくのが適切かということについては、もう少し検討が必要ではないかと思います。
確かに、総務省の研究会で昨年12月、本件に関する提言を取りまとめられていて、業界団体で自主規制、ガイドラインの改善の取組が図られていることは、きょう、資料も拝見したとおりであります。ただ、このガイドラインも、先ほど山口委員からも御指摘がありましたけれども、いろいろと改善すべき課題が多いことが見てとれます。実際の運用上のいろいろな問題を伺っておりますと、やはりこのまま放置するわけにいかないという感じがいたします。今後、総務省からも取組状況についてあらためてヒアリングをさせていただいて、委員会としての意見を速やかに取りまとめていきたいと思います。
きょうは、福岡市、消費者支援機構関西におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。
≪4.健康食品について≫
○河上委員長 続きまして、議題は「健康食品について」に移りたいと思います。
本日は、厚生労働省、国立健康・栄養研究所、日本医師会、日本薬剤師会、日本健康・栄養食品協会、健康食品産業協議会、それぞれの方々におかれまして、お忙しいところを御出席いただき、まことにありがとうございます。
健康食品の表示の在り方につきましては、消費者委員会としても第1次委員会のころから鋭意検討を重ねておりまして、今回の一連の審議の中では、論点を大きく3つのパートに分けて議論をしております。一つは、表示・広告規制に関する法執行力の問題。2つ目は、安全に関する規制、制度の問題。3つ目は、機能性の表示についてであります。それぞれ関係団体や関係省庁の方にもおいでいただいて、ヒアリングをしながら議論を進めているわけですけれども、去る10月16日の102回委員会では、表示・広告規制に係る法執行力についてヒアリングを行いました。本日は2回目ということで、安全に関する規制、制度について議論を行いたいと考えております。
本日、たくさんの方々にお越しいただきましたが、皆様から、本当に時間が限られていて申しわけないのですが、10分程度で順次御説明をいただきまして、その後、余った時間を使って意見交換を行いたいと考えているところでございます。全体の時間としての枠組みは90分程度ですけれども、6時半ぐらいまでにはその枠を使い切ってしまうということでございますので、よろしく御協力をお願いしたいと思います。
それでは、最初に、厚生労働省から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○厚生労働省食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室温泉川室長 厚生労働省新開発食品保健対策室の温泉川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
早速、説明に入らせていただきますけれども、資料3(PDF形式:466KB)を見ていただければと思います。「健康食品の安全性確保について」という題目のものです。
1枚めくっていただきまして、2枚目でございますけれども、健康食品とはということで書いております。簡単に申し上げますと、健康食品というカテゴリーで特に法令上の定義はないということで、一般の食品と同じ扱いをしているということでございます。
3つ目のシートになります。平成19年に「健康食品の安全性確保に関する検討会」というものを開催いたしております。中段にございますけれども、近年、一般に飲食に供されることがなかったものや、特殊な形態のもの等、さまざまな食品が健康食品として流通するようになっておりまして、これに起因する健康被害の発生等が危惧されている。健康食品に対して、何らかの安全確保を図っていく必要があるだろうということで検討会を開いております。
次のシート、健康食品の安全性確保に関する検討会報告書の概要です。この中で、国民の健康に対する関心の高まりなどを背景として、これまで一般に飲食に供されることのなかったものや、特殊な形態のもの等、さまざまな食品が健康食品として流通する中で、消費者に、より安全性の高い製品が供給されるためには以下のような取組が必要ということで、3つの事項を示しています。
1つ目は、製造段階における対策ということで、まず、健康食品の原材料の安全性の確保を挙げています。これは、これまでに食経験が十分でなかったとか、そういったこともございますし、健康食品の特性から濃縮等が行われることもありまして、十分な安全性を確保する必要があるということで、基原の原料について文献等を検索し、その物質自体が安全であるかということも含めて安全性の確保を図っていく。
2つ目は、製造工程管理による安全性の確保ということで、製品が濃縮・抽出等の過程を経ることもございますので、品質管理を十分に行っていく必要があるだろうということで、その中で、GMP(Good Manufacturing Practice)、優良製造管理という形で衛生管理を図っていくことを考えております。
3つ目は、今、申しましたようなことについて、実効性の担保がとれる制度をつくる必要があるだろうというふうにしております。
2つ目になりますけれども、健康被害情報の収集及び処理体制の強化ということで、因果関係が明確でない場合も含めて、より積極的に消費者からの健康被害に関する情報を収集しましょうということでございます。
3つ目は、消費者に対する普及啓発。製造事業者による適切な摂取目安量や注意喚起表示、アドバイザリースタッフを養成して、それを一定の水準に保っていくことを考えているところでございます。
具体的な部分に入っていきますけれども、次のシートを見ていただければと思います。健康食品の安全性確保ということで、今、申しました事項をポンチ絵のような形で示したものでございます。上が業界、左の部分で製造段階における具体的な方策ということで、原材料の安全確保、製造工程管理(GMP)による安全性の確保、これの実効性の確保。その右側でございますけれども、適切に製造されたものについて、実際に消費者の方に販売するに当たって、適切な摂取目安量、注意喚起表示を行って注意喚起を行っていく。実際に販売していく段階で、アドバイザリースタッフ等によって、安全情報も含めて適切に情報提供をしていくことでその水準は保っていく。
その下に消費者の方がいまして、その下の行政機関については、因果関係が明確でない場合も含め、より積極的に情報を収集・発信をしていく。海外での健康被害情報も収集ということで、右に海外という部分がございますけれども、最近は海外から輸入される健康食品もかなり増えていますので、海外からの情報も含めて積極的に収集・発信を行うことを考えています。
次のシート、原材料の安全確保ということでございますけれども、健康食品を含む食品の製造事業者は、自らの責任において食品の安全性を確保することが食品衛生法で定められています。したがいまして、安全性の確保の一義的な責任は製造者にあります。
食品の場合は、原則自由の世界でございますので、食品の安全性は、これまでは基本的には食経験に基づくものがほとんどであったということがございます。しかし、健康食品は、錠剤・カプセル状等の食品については成分が抽出・濃縮されることから、過剰摂取による健康被害のおそれがありますので、原材料の安全性確保は特に重要です。それにつきましては、基原原料についての文献的な検索等を十分に行っていただいて、安全性の情報を収集していただくことで、これについては、研究機関や業界団体のサポート体制もとっていくということでございます。それに加えまして、食経験等に基づく安全性確保ができない場合には、原材料を用いて毒性試験を行っていくことも考えていただく必要があるだろうということでございます。
次のシートを見ていただければと思います。製造工程管理による安全性確保につきましては、その下に流れ図がございますけれども、「原材料-製造工程-最終製品-販売店-消費者」というふうに製品が流れていきます。まず、製造管理基準書ということで、実際に製品をつくっていくに当たって手順書をつくっていただいて、どういった手順で製品をつくっていくかということを明確にしていただいて、その手順書に基づいてきちんと製品をつくっていく。つくったことを記録に残していくという形で、きちんとした製造の管理を行っていただく。その上の部分に試験というのがございますけれども、原材料、製造工程、最終製品それぞれにおいて、自分たちが求める規格になっているかどうかを試験において確認してもらうという形で管理をしていく。そういった部分を各責任者が確認を行って、最終的には総括管理責任者に報告して、それによって出荷の判断をしていく。
また、消費者の方に使われたものについては、苦情や回収の事案がありましたら、そういった情報のもとに総括管理責任者に返しまして、製品にフィードバックをしていく。こういったことを考えております。
次のシートでございますけれども、健康食品の安全性確保に係る第三者認証の仕組みということで、GMPの取組をやっていただくように考えております。これを適正にやっているかどうかを第三者が見ていく必要があるだろうということで、この表の中段に認証機関というのがございますが、この認証機関が、各飲料メーカー、食品メーカー、製茶メーカー等が行っているGMPについて認証を行っていく制度をつくりましょう。その上で、その認証機関が適切に認証しているかどうかも含めて、今度は認証協議会のほうで見て、これによって利害関係のないところが確認をするということで、適正なGMPが行われているかどうかを確認していく。こういった制度をつくっていこうと考えております。
次のシートは、健康食品による被害情報の収集及び処理体制の強化ということでございます。これは、消費者の方から苦情もしくは健康被害等の報告があった場合、どういうふうに対応するかということでございますけれども、地方公共団体に保健所がございますが、基本的には保健所で情報を収集していく。それを国のほうに提供していただくということで、まず健康被害があった場合には、医療機関に消費者の方から情報が提供される。食中毒等も含めて、健康被害の情報については保健所に提供していただくようになっておりますので、その情報は保健所を通じてまた国に集まってくる。これによって、何らかの問題があれば回収等の措置をとるという流れになります。
実際に健康食品についての被害の状況につきましては、直接厚生労働省に保健所を通じて上がってくるものは年間20件程度です。何らかの対応をとる必要があるという場合につきましては、こういった健康被害の情報をもとに、厚生労働省内にあります薬事食品衛生審議会や食品安全委員会に諮問することも通じて、対応をとっています。これまでに実際に流通の禁止等をとったものについては、アマメシバ、コンフリーといった製品がございます。
そのほかにも過剰摂取の問題で、セントジョーンズワート、こういったものについては薬物との相互作用があって、薬の効きを悪くするという影響もございますので、そういったものについては適切に情報提供をしていく。コエンザイムQ10、大豆のイソフラボン、こういったものについては摂取量が医薬品の量を超えないように、もしくは過剰摂取にならないようにということで情報提供も行っています。
次のシートは、消費者に対する普及啓発でございます。健康食品に関する誤った情報や過大な期待が見られることから、正しい情報を提供していく必要があるということで、特に情報提供が重要であると考えております。その中で、製造事業者による安全性に関する情報提供ということで、製品の原材料の安全性の確保、製造工程管理の適切さということで、GMPによる管理が行われていることについて適切な情報提供をしていただく。成分表示や摂取目安量、注意喚起の表示、こういったこともやっていただく。
健康食品一般に関する知識の普及啓発ですけれども、消費者に対し、健康食品に含まれる成分の特徴、その必要性、使用目的、摂取方法等について正しい情報を提供するため、アドバイザリースタッフの養成課程や活動の在り方に関して一定の水準を確保できるように、養成団体と連携して取組を進めるということをやっております。
次のシートは、健康食品等の安全性・有効性情報ということで、これにつきましては国立健康・栄養研究所でやっていただいております。ホームページにおいて、健康食品の利用に関する基本的な知識、健康食品の安全情報・被害関連情報、本日の関連ですと、ここの部分が多く関係するかと思いますけれども、こういった情報。それから、話題の食品成分の科学情報、健康食品の素材情報データベース。素材情報データベースについては、事業者が実際に素材を使うに当たって健康被害につながる部分があるのか、ないのか。そういった部分を確認するための基礎的なデータになるかと思いますけれども、こういった情報なども提供していただいております。
最後のシートは、健康の保持・増進ということで、厚生労働省といたしましては、健全な食生活、適度の休養、適度な運動、こういったものをバランスよく行うことによって健康の保持・増進が図れると考えております。健康食品だけで何とかなるということではないということで、バランスのとれた生活を行っていただくことが重要ということで推進しているところでございます。
以上でございます。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
引き続きまして、国立健康・栄養研究所から説明をお願いいたします。10分ほどでお願いいたします。
○国立健康・栄養研究所梅垣情報センター長 国立健康・栄養研究所情報センターの梅垣といいます。先ほど厚生労働省の方から御紹介がありました、「健康食品の安全性・有効性情報」という情報提供を行っています。
資料4(PDF形式:457KB)の2枚目を見てください。まず、情報提供を考えるときに、健康食品の安全性に関して認識すべき基本事項があります。あくまでも食品の一つであり、病気の治癒に利用できる製品ではないこと、そういう目的ではつくられていないことです。健康被害が起こらないことはなく、何らかの要因があれば、起こると考えるべきだということです。それから、健康効果の表示が問題になっていますけれども、これは基本的には、健康政策や栄養政策と合致しないとほとんど意味がないということです。
健康食品というのは何だろうということで、次のページを見てください。健康食品はあくまでも食品の中で基本的には定義はありません。定義があるものは、消費者庁で許可されている保健機能食品です。右側の機能表示ができないものは、「いわゆる健康食品」と行政で言っているものですけれども、これが一番問題になっているわけです。トクホが問題になっているとよく聞きますけれども、実際に健康被害を起こしているのは「いわゆる健康食品」というもので、焦点がここに当てられないと現在の状況は改善できないと思います。
なぜ「いわゆる健康食品」に機能表示ができないかといえば、根拠がないということと、もし表示をしてしまったら拡大解釈されてしまうからです。この「いわゆる健康食品」の中に、違法な無承認無許可医薬品といって、薬のような効果を標榜をしたり、薬の成分を入れてみたりするものがまぎれています。この製品はかなりの確率で健康被害を起こすものです。
次のページです。よくエビデンスがあるかないかと言われますけれども、原材料のエビデンスと製品のエビデンスは違います。例えば原材料に科学的なデータがあったとしても、製品がどうやってつくられるかによって、それは安全であるかもしれないし、有害であるかもしれない。先ほど厚生労働省からお話がありましたGMPなどで、品質のきっちりしたものがつくれない限りは安全とは言えない。よく、原材料のエビデンスがある、では、それを表示できるかというふうに聞かれますけれども、恐らくほとんどできないと思います。どうやってつくっているかというのがわからなければ表示はできないし、拡大解釈されてしまいます。こういう問題があるということです。これがよく混同されているところです。
次は、健康食品が関係した健康被害です。これは2つに分けられまして、まず、製品に問題があるもの。無承認無許可医薬品とか、有害物質が入っているものです。これについては、厚生労働省や行政機関が摘発・公表というのをしていますから、かなりカバーできています。
一方、利用方法が関係した問題というのはほとんど手つかずです。例えば、医薬品と間違えて使うとか、医薬品と併用して何か起こったとか、体質が合わない人が利用したとか、病気の人が利用したとか、過剰摂取したということです。これらは、製品にたとえ問題がなくても、どうやって利用されるかによって有害事象が起こるのです。この部分をどうやって対応するかというのが今の課題です。その対応の一つは情報提供、もう一つは消費者教育です。他の対応として、有害事象を収集するという方法もあります。
次のページは、先ほど言いました製品の問題と利用者側の問題、この2つの要因があるのはなぜかというと、情報の氾濫があるからです。消費者が健康食品に効果を求めているというのは、実は、消費者の人が正しく理解していないから効果を求めているのであって、医薬品のような効果は食品には普通は求められません。健康食品はそういうふうにはつくられていません。効果を求めているので、効果を表示したとすると、それによってまともな医療ができなくなるという問題がでます。だから科学的な情報を提供する必要があるということで、そこに我々がやっている情報提供という意味が出てくるわけです。
次のページは、消費者への情報提供等です。情報提供は、先ほどの厚生労働省のお話と重複しますけれども、健康・栄養に関する基本事項を踏まえて情報提供しないとだめだろうということです。
それから、連携による効果的な情報提供が必要だということです。一つの機関とか、一つの部署で情報提供をしてもなかなか広まらないです。いろいろなところと連携して情報提供をするというのが必ず必要だと思います。
多様な消費者に個別に情報提供できる、アドバイザリースタッフのような人を活用するということです。消費者の人は非常に多様ですから、理解できる人もいるし、かなり説明しないと理解できない人もいます。そういう人にきっちり情報提供をするには、個別に情報提供できるアドバイザリースタッフのような人が必要だろうということです。このアドバイザリースタッフは、医師、薬剤師、保健医療の専門職の方も含めたものだと思います。
それから、有害事象を収集する仕組みが必要でしょうということです。
次は、研究所で情報提供をしているときの基本的な考え方です。専門職と一般の消費者の人がいますが、そこには認識にズレがあります。我々は健康食品で病気が治るとは思っていません。健康食品はそういうふうにはつくられていないと私たちは考えています。けれども、消費者の人はそういうふうには考えていません。かなりの認識のズレがあります。ここを埋めていくことが、今、必要だということです。それにはリスクコミュニケーションが必要だろうということで、それをホームページを介して行っています。
次のページは、データベースを使って情報提供をする仕組みです。栄養研究所にデータベースをつくりまして、これを現場の専門職の方に渡して、現場の専門職が消費者に個別に情報提供をしていただければ、時間はかかりますが、かなり正確に情報提供ができます。時間がかかるという問題点は、ホームページを介して迅速に提供するという方法で補えますけれども、ホームページに書いてあるものを正しくすべて解釈できるというのは難しい。ですから、やはりアドバイザリースタッフとか医療関係の専門職の人が伝える、これが基本と考えて情報提供をしています。
次のページが実際のホームページです。ここは、基本的な事項の説明と、詳細な情報の提供です。次のページに具体的な情報があります。具体的に何を提供しているかというと、基本事項として行政機関でいろいろパンフレットをつくられていますけれども、一般の人にはほとんど渡っていません。このホームページに出して、誰でもいつでもダウンロードして使えるようにすれば、費用対効果もいいだろうということで情報提供をしています。
被害関連情報というので、国内外のいろいろな情報を集めてそれを提供しています。インターネットでいろいろな健康食品が買われますから、国外の情報も非常に重要です。そういう情報も出しています。
話題の食品・成分ということで、特定保健用食品の製品情報、ビタミン・ミネラルの情報です。それから、「これが何かに効くと話題になっているが、実際どうなのか」と消費者の方から質問がありますが、それをまとめて公開しているのが話題の情報です。
健康食品の素材情報データベースというところでは、原材料の情報と製品の情報は違いますから、あくまでもこれは原材料の情報として提供しています。例えば、何か薬を飲んでいる人が、「この成分が入っている健康食品をとったら相互作用が起こるかもしれない」ということに対する情報を集めています。ただ、これは全部わかっているわけではありません。継続的に集めるというのが非常に重要です。今、私たちが知っているのは今の段階の情報で、将来変わる可能性があるということも考えてデータベースを動かしています。
次のページは、データベースで重要視しているところです。やはり正しい生活習慣をするということです。現時点で調査できた情報を掲載する。不足情報を明確化する。何でもわかっていると消費者の人は思われていますけれども、わからないことがかなりあります。だから、研究者は研究をしているわけですが、そういうところを明確にすることが必要だろうということです。
情報提供をするときに一番問題なのは、拡大解釈を防ぐこと。安全性についても有効性についても、どうしても拡大解釈されてしまいますので、誰が何をどれだけの量をとったか、具体的に記載する方法で情報提供しています。
次のページは、基本事項をまず消費者に伝えるのが重要だということです。厚生労働省が、アドバイザリースタッフを養成してほしいと民間の団体に求め、いろいろなアドバイザリースタッフができています。いろいろなアドバイザリースタッフがいて、いろいろなことを言えば消費者の人は混乱します。ですから、少なくとも基本事項はきっちり認識して伝えてもらえるようにしたいということで、アドバイザリースタッフの人が使う情報提供ツールをつくっています。厚生労働省でつくられました「健康食品の正しい利用法」というパンフレット、これを基本にして情報提供ツールをつくっています。消費者の方もここを見れば大体基本的なことがわかるということで、対応をしています。
次は、いろいろな健康被害の発生についてです。違法製品は摘発・公表で対応できますけれども、製品にそんな問題がなくても危害が起こるというケースは、これはなかなか公表できません。例えば何かの製品でアレルギーが出たという事例。それは、その人の体質が原因であれば違法とは言えないわけです。もしそうだったら、ソバやピーナッツも流通禁止というふうになってしまいます。ですから、そこはなかなか難しいです。そこのところをいかにやるかというと、情報収集です。情報収集をして、実験的な検証をしていくことが重要になっていくだろうということです。
次のページは、有害事象評価法。いろいろな有害事象が集まってきても、一定の考えで評価しなければならないということです。有害事象が起こらないことはまずありません。体質によって起こる場合が結構あります。有害な類似事例を集めてくるシステムがありますけれども、実はほとんど機能しているとは言えないと思います。というのは、集め方が違います。情報の集め方が違うと、それを統合することはなかなか難しいのです。そこのところを改善していかなければいけないということです。
ちなみに、厚生労働省の報告事例は年間20件くらいです。ほかの専門機関も何十件です。最近、PIO-NETの情報を見せていただきましたが、PIO-NETは年間800件くらいあります。かなり多いです。けれども、PIO-NETは、高価な製品を買わされたから解約したいというのが多くて、健康被害というふうに考えると何百件におさまってしまいます。情報の集め方が契約とかを中心に集められています。健康被害を何とかしようという意味の集め方では実はないのです。そこのところを改善していくことが必要というので、これに対応しようと考えています。
次のページは、情報を集めるときに、行政機関だけ集めていてもなかなかうまく集まらない。消費者自身が何をとっているかというのがわからないと、情報はきっちり集められません。だから、消費者の人にもお願いしたいということで、どこの製品をどれだけとったか、メモをとってほしいというふうにお願いしています。そうすれば、例えば何かがおかしいというときに、どの製品を使ったという製品名がはっきりし、情報をきっちり集めることができます。
例えば、ウコンで何かが起こったという情報を集めたとします。ウコンという名前の商品は何十とあるわけです。それが本当にウコンという成分かというと、製品にはウコン以外のものがいっぱい入っています。ですから、情報があいまいになってきます。あいまいな情報を扱うことは非常に危ないです。それはできない。それを防止するためには、消費者自身が、いつ何をとったかというメモをとることを普及していかなければいけない。もしこのメモがあれば、医薬品との相互作用についても、この医薬品とこの食品で何かおかしいのだろうというのが想定できるわけです。こういう情報の集め方をしていかなければいけない。例えばお薬手帳というのがあります。それと同じような感じで、健康食品も扱うしかないのではないかというふうに考えています。
次は、安全性に関する表示についてコメントします。消費者は細かく表示されている内容を見ているかというと、恐らく見ていないと思います。見ているのはキャッチコピーだけです。表示がしてあっても、見られていないものを表示しているのではないかと思っています。ここのところは調査しないと実際にはわからないと思いますが、恐らくそうなのではないかと思います。
すべての対象者を考慮した安全性の表示というのは、恐らく難しいと思います。そこのところも考えていかなければいけない。では、どうするかということです。やはり消費者教育をしていかなければいけない。それは、どこがやるかというのはわからないです。けれども、いろいろなところと連携してやらないといけない。もしそれができれば、例えば食品に関する風評被害はかなり防止できると思います。だから、いかにうまく消費者教育をするか、学校や教育機関を入れてやっていかないと難しいと思います。実際に私のところでやろうとしたのですが、縦割りというのがあって、学校でこういうことをやってくださいと言っても受け入れてくれません。そういう問題もあります。そういうところは、今後、検討していくべきだと思っています。
医薬品との相互作用というのが重要になっています。実はここはほとんどわかっていません。わかっているようでほとんどわかっていません。どこが問題かというと、表示されている成分が製品に本当に入っているかどうかもわからない。製品に複数の成分を入れている場合がありますが、そういう場合は医薬品との対応が複雑になってきて、実際は相互作用の証明はほとんどできないと思います。
そういう意味では製品の品質を確保するという取組が重要です。先ほど、厚生労働省からお話がありましたGMPの認定マークというのがあります。このマークを企業が取得するにはお金がかかります。お金をかけて取得しても、消費者の人がGMPが何かがわからなければ、企業はGMPをとりません。お金をかけてそれが回収できないからです。有名人とかを使ったほうが多く売れます。消費者にGMPを認識してもらうような取組をやっていかないと、GMPはなかなか進まないのではないかと思います。
次のページは、表示の範囲ということです。普通の食品だと食べるという満足感があって、食品の形態があるし、味とか香りがありますし、私たちの嗜好性もあります。よほど頑張っても、特定の成分を多くは摂取しないです。そうすると、健康被害は余り起きません。一番起きやすいのは、特定成分を濃縮した錠剤・カプセルではないかと思います。表示の範囲を考えるとき、食品の範疇に錠剤・カプセルも入っていますけれども、ここのところを注目して検討したほうがいいのではないかと、今まで情報を集めてきて思っています。
最後ですけれども、食品の表示は、私どもも興味があっていろいろ見ていますけれども、企業と消費者を結ぶ一つの言語なのです。言語が理解できないのに表示しても意味がありません。表示が理解できるような取組をしていかないと、せっかく表示してもうまく生かされないのです。有効性についても、安全性についても、その内容が理解できるような教育、消費者教育のようなものをしていかなければなかなか進まないのではないかと考えています。
以上です。
○河上委員長 ありがとうございました。
引き続きまして、日本医師会のほうから説明をお願いいたします。
○日本医師会石川常任理事 日本医師会常任理事の石川でございます。発表の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
早速、説明に入りたいと思います。
2つ御発表がありましたので、重複した部分は飛ばさせていただきたいと思います。私どもが提示しているのは資料5(PDF形式:634KB)ですが、まず1枚おめくりください。日本医師会の健康食品安全対策についてということで、2つ、いわゆる健康食品の安全性について、情報収集と情報発信をしております。情報収集につきましては、「健康食品安全情報システム」事業というのを、16万5,000人の日本医師会会員に協力を依頼しています。これは、ほぼ全国の病院、診療所をカバーしていると考えております。
情報発信は、国民・患者向けに、ポスター、ホームページのサイトで行っております。健康食品全般の注意喚起、あるいは個別の成分について行っています。さらに、その情報発信は医師向けにも行っておりまして、患者さんから実際に現場で聞かれることもありますので、診療に役立つ情報の提供を行っています。
次に、日本医師会の健康食品安全対策でございますけれども、いわゆる健康食品の安全性、製品の表示について、国民の方々に認識を持ってもらう注意喚起が重要だと考えています。まずは、三度の食事をきちんとバランスよく食べること。通常必要な栄養分は、日常の食生活から得られていることを説明しています。健康食品は薬の代わりではない。健康食品にもリスクがあるということです。医薬品の成分を含んでいるものもありますし、効果を期待してとり過ぎたりすると、危険性も増すということを注意しております。
服用している医薬品との相互作用も健康被害が発生することもあります。食品だから安全、安心、天然成分だから安全というのは誤解でありまして、天然成分由来の健康食品でも、アレルギー症状や医薬品と相互作用を起こすものがあります。特に病人、子ども、妊産婦、高齢者、アレルギー体質の方は要注意でありまして、体に不調を感じたら、すぐに「かかりつけの医師に御相談を」ということを言っております。医師に、健康食品をとっていることをきちんと伝えていただきたい。伝えていただかない方が随分いるので、そこのところはいろいろと注意喚起しております。
次は、日本医師会のいわゆる健康食品の安全対策です。平成18年から21年度につきまして、食品安全に関する情報システムモデル事業というのを実施いたしました。これは、幾つかの協力していただける県ということでお願いしております。それをさらに発展・継承する形としまして、健康食品安全情報システム事業の実施を実質平成23年度から行っています。
健康食品に関する国民向けポスター等の制作は適宜行っておりまして、厚生労働科学研究「健康食品における安全性確保を目的とした基準等作成のための行政的研究」への参加もしています。書籍「健康食品のすべて」等の監修、WEB版「健康食品のすべて」、ナチュラルメディシンデータベースの無償閲覧を日本医師会員のみに行っておりまして、現場で聞かれたら、なるべく早く患者さん等に情報提供できるように努めています。パンフレットは厚生労働省等との合同でつくっていますけれども、「健康食品による健康被害の未然防止と拡大防止に向けて」の作成と配布を行っています。
医療提供者の立場から見た健康食品の問題点でありますけれども、まず、副作用、アレルギー等があります。これは、健康の保持等に効果のある成分を濃縮して含有しているということですけれども、そういうことがあるということです。医薬品成分の含有もあります。医薬品との相互作用も既に指摘されているところでございます。
国民・患者の多種摂取、過剰摂取、結構いろいろと多く飲まれている方がいるわけです。用量を大幅に超えた摂取、いっぱいとればよくなるのではないかということであります。それから、過大な宣伝方法もあると思います。「がんが治る」などの宣伝を信じた場合は、適切な時期に医師の診療を受けるチャンスを逸失するおそれがあるということで、これも注意喚起しております。
医師における健康食品の有害性等に関する情報不足もあります。医師が患者の健康食品の摂取状況を把握できていない。患者さんが十分に情報提供をしていただいていないということもあります。
「健康食品安全情報システム」事業を、実質平成23年度から全医師会員に協力を求めてやっています。すべての日本医師会員が診療の場で見つけた情報を集めて、日本医師会に集まったものを健康食品安全情報システム委員会にて判定しておりまして、資料をつくって診療の現場にフィードバックしていく。委員会にて判定した内容は、都道府県医師会に情報提供をすると同時に、診療に役立つ健康食品の資料、データベースも提供しています。
7ページは、「健康食品安全情報システム」事業、「食品安全に関する情報システム」モデル事業を総合した結果ということになります。エビデンスが「医学的に疑い」以上で、かつ、重篤度も「全身的症状」以上と、比較的重要性の高い事例は全体の約3割。表の右隅に色をつけてありますけれども、医学的に疑い以上と全身的な症状ということで、17件(29.3%)になっています。ただ、総計が58ですので、まだまだ症例数としては足りないと考えております。
結果ですけれども、症状と食品との関連性を見ますと、アレルギーが29.3%、有効成分含有が41.4%を占めています。食品の過剰摂取の指摘は比較的少ないですけれども、一人で18製品を摂取していた例が1件ありました。これは複数回答ですので、合計の数が69となっています。
次もまた結果でございますけれども、60.3%の事例が健康の保持増進を目的として健康食品を摂取していました。また、疾病の予防、治療が12%でした。健康の保持増進というのは左のほうに高い山でありますけれども、女性のほうがはるかに利用されている。男性よりも女性のほうが多いということでございます。
健康食品の購入方法は、店頭購入が27.6%で、ネットからが25.9%でした。薬局や薬剤師による購入者への説明、啓発が必要であると考えております。
患者と医師との関係を見ると、当該患者のかかりつけの医師であった事例は77.6%と多くを占めています。つまり、かかりつけの医師であったほうがいろいろと話しやすい、あるいは、発見しやすいということであります。患者が健康食品を摂取していることを知ったきっかけを見ると、患者が自発的に相談したのが16件で27.6%、問診でわかったのが29.3%でした。
「健康食品安全情報システム」事業の結果から、情報の発信が必要であったということで情報発信をしております。地域医師会・医師会員への情報提供、注意喚起、厚生労働省等への連絡をしています。
次のような課題があると思います。エビデンスの蓄積がまだまだ不足している。風評被害等の法的リスクが存在しているので、私たちも十分ないろいろな情報提供を大胆にすることはなかなか難しい。多くの成分を含有している場合は原因成分の特定が困難です。健康被害の主たる要因が、健康食品そのものではなく、患者の過剰摂取である可能性も高い。ということから、特定の製品・業者を非難・排除するのではなく、健康被害をもたらす成分や、健康食品とのつき合い方について、国民や医師への啓発を行い、被害の発生防止を行うことが重要だと考えております。
次のページはポスターでございます。こういう情報発信をしているということです。写真でお示ししていますように、朝、一時にこれだけの健康食品を飲むということも結構あるようでございます。健康食品にもリスクがある。かかりつけ医を持ってもらい、健康食品を摂取して何らかの不調を感じたら、すぐ相談に乗ってもらう。医師に健康食品を摂取いることをきちんと告げる。ポスター、ホームページでも同様の呼びかけをしております。
健康被害が疑われた情報の中から、比較的エビデンスが蓄積されており、問題事例もあったウコンをこういうふうに取り上げています。これは国民向けのポスターで、日本医師会の診療所あるいは病院に、こういうポスターを張って国民啓発を行っています。
次のページは医師会員向けのポスターで、ウコンについての事例、明瞭なエビデンスがあるものについて、このようにやっております。
「健康食品安全情報システム」事業、全国の医師の御協力をいただいている事業でございます。平成23年度から実質始めたわけですけれども、東日本大震災の直後に実施したこともあって、PRが不足しています。情報提供件数は8件にとどまっていますので、さらなる宣伝が必要だと考えております。
平成24年度は、日本医師会雑誌で、すべての会員に改めて協力を依頼する予定です。日本薬剤師会、日本栄養士会とも連携して事業の活性化に努めたいと思っておりまして、事業の結果を踏まえ、今後も、国民向けのポスター、会員向けの情報提供などを制作、発信していきたいと思います。
「健康食品安全情報システム」事業についてということで、黄色いものを同梱してありますけれども、この中に情報提供票というのがあります。こういうものを先生方に書いていただいて、情報を集めているということでございます。
以上でございます。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
引き続きまして、日本薬剤師会から御説明をお願いいたします。
○日本薬剤師会藤原常務理事 日本薬剤師会の藤原です。
資料6(PDF形式:333KB)に基づきましてお話をさせていただきます。「健康食品の安全性に関する情報収集・発信及び表示について」ということで、日本薬剤師会の薬剤師の立場からといったことであります。
1枚あけていただきますと、薬剤師も調剤と医薬品供給のほかに、薬事衛生、公衆衛生の向上、増進に寄与することがしっかりと第一条に載せられておりまして、その中で、国民の健康食品の使用と薬剤師のかかわりを少し紹介させていただきます。
まず、3ページであります。基本的には、先ほどからお話がありますように、薬局ではいわゆる薬剤師が医薬品の供給を行っているといったことで、医薬品の適正な使用が確保できるかどうか。体質などを情報収集いたしまして、医薬品の適正な使用が確保できるかどうかを判断しています。その際、医薬品との相互作用に留意すべき食品や健康食品の使用の有無などについても、確認をしているところであります。
また、こうした患者さんの基礎情報を確認の上、相互作用に注意して販売や調剤を行っているのが実態です。一方で、自己健康管理といったことで、国民の方々が、健康づくりとか相談の中で薬局を使っている事例もたくさんありまして、健康食品と言われるものをいろいろ相談されたりしている部分もあろうかと思います。
4ページをあけていただきますと、これが調剤時の患者質問票の例です。こういうことをお尋ねして、初めて来られるときは、赤でマルをつけていますように、ほかに飲んでいるお薬や健康食品、他の医療機関でもらっている薬の重複などもしっかり確認いたしまして、特に右のマルのところには、例えばグレープフルーツ。これはよく事例に出されますが、降圧剤との相互作用、ワーファリンとの問題で、納豆、アルコール、たばこ、こういう嗜好品についてもしっかりと一応確認をさせていただいております。
5ページは、服薬指導時には、医薬品の相互作用などを防止するために、健康食品を使用していない患者さんに対しても、積極的に摂取に留意すべき食品等に関しての注意喚起は必ず行っているところであります。また、消費者自身にも医薬品と健康食品の相互作用を注意してもらうために、お薬手帳といったものを利用して情報提供をしているところです。
次のページにお薬手帳が載っています。上のほうにはお薬の処方内容が書かれまして、マル1、マル2、マル3と書いていますように、左のほうは、ワーファリンという血液を固まらせないお薬が出ている一方で、下に赤字で書いていますように、「納豆、青汁などの飲食は避けるように」といったこと。また、ほかの病院等を受診する場合は、この手帳を見せるようにといったことでお話をさせていただいて、この中にも記載をしているといった状況であります。
また、いろいろな健康食品と言われているものが氾濫しています。その中で、例えばEPAとか、セントジョーンズワート(西洋オトギリ草)。今回は日本でもEPAが一般用医薬品として審議されたところですが、健康食品で非常に高い含有量のものが、海外では既に西洋オトギリ草などは医薬品。イチョウの葉のエキスも、海外ではギンコライドという成分で医薬品になって販売されているものもあるわけです。そういったことで、いろいろな情報を含めた、消費者から見て非常に難しい、判断しづらい部分もあろうかと思います。
7ページは、医薬品使用に際しての副作用や相互作用のリスクに関する評価は、物質の特定、使用者の状態、両方から判断していかなければいけないということで、使用者の情報提供をその中でしているといったことであります。
また、健康食品の使用に関しても、こうした薬学的な管理を応用した対応を行うことが可能ですが、健康食品は医薬品と異なりまして、判断の根拠となる情報が非常に乏しい。先ほどからありますように、含有成分、含有量、成分表示が本当に正しいのかどうかという保証、こういったものもいろいろな問題があろうかと考えております。
8ページに、薬学的な視点から見た留意点ということで、1に、医薬品成分や未承認医薬品成分を含有しているものがあるといったことであります。健康食品と称して販売されているものの中には、医薬品成分を含有しているものがたくさんあります。例えば、外国のネット販売でよく出されているものにもありますが、その中に薬草成分とか、ひどいものにつきましては、ネット販売でダイエット食品といった内容の中に、てんかんのお薬とか、甲状腺ホルモンのお薬が入っている事例もわかっているところであります。特に海外から入ってくるものにつきましては、非常に危険なものが多いと思っています。
また、医薬品と同成分のものということで、医薬品と同成分であっても、医薬品的な効果・効能を標榜しない限り医薬品と判断しないものがあります。これも非常にいろいろな問題を抱えていると思いますが、例えば、皆さん方御存知のドクダミとか、アロエとか、センナとか、ああいう生薬成分があります。ちゃんとした薬効成分がその生薬成分の中に入っているわけですが、これが、有効成分だけ抽出されてエキスになりますと医薬品になっていくわけですが、それを生薬のまま投与していきます。これは健康食品ということで、その中で副作用が出てくる。こういう規制も、今のところは全く日本にはないのではないかと危惧しているところであります。
また、過剰摂取と副作用・相互作用ということで、錠剤・カプセル剤などの食品形態の場合、容易に摂取して、味やにおい、満腹感を感じにくいため、過剰に摂取ということが非常に多いと思います。また、医薬品と間違ってしまう場合もあろうかと思います。さらに、特定の食品成分を抽出・濃縮したものは、もとの食品と異なる生理作用を及ぼす可能性もあるといったことで、危惧しているところであります。
9ページにいきます。健康食品を適切に使用する際の着眼点の例として、健康食品の成分の効果などが掲載されている論文誌に、論文審査を含む投稿論文の規定があること。必ずしもこれが安全というわけではないですが、一応こういうことも着目していかないといけないといったこと。また、その健康食品の含有するアレルギー物質の有無の表示、その他の含有物について、文献等で問題となる報告がないこと。安全性がある程度確保されていること。また、その健康食品に関して複数の信頼できる情報がない場合、既に報告されているほかの類似する食品、健康食品の情報に基づいて薬学的に推察できる効用であること。その健康食品の形態や抽出方法、濃縮方法などの製造過程で、有害な添加物、雑菌が混入するなど、GMPも含めた問題点がないと考えられること。これは信頼性の問題だと思います。
健康食品の原料についても、入手方法について、論理的・法的な問題がないこと。例えば動物由来のもので、よく膝関節のいろいろなものが出ているわけですが、その中に、動物由来のもので、一時話題になりました狂牛病のものが含まれている可能性も、そこであったわけではないのですが、そういうことも考えていかないといけないといったことであります。また、健康食品の摂取方法や摂取量において、注意事項が記載され、薬学的にも栄養学的にも1日の所要量に問題がないこと。成分と含有量の表示がしっかりと行われていること。また、その健康食品の表示成分以外に、医薬品類似成分が類推されるような効能表示や説明がなされていないこと。よくそういうことで、イメージ的な表示というものがあると思います。そういったものも、これは問題があると考えておりますし、また、健康食品の含有成分に適した保存方法や消費期限が表示されていること。その健康食品の製造販売元の連絡先が表示され、副作用などの健康被害が生じた場合、責任を持って適切に対応できる体制にあること。これは流通によっても非常に違ってくると思います。その健康食品がほかの代替療法と比較しても、費用的効果において両者にメリットがあると判断できることなどを、今、着眼点として考えているところであります。
そういった意味で都道府県でも、健康食品の情報提供、また、発信ということで、これは一つの例ですが、東京都の委託を受けまして、社団法人東京都薬剤師会が「健康食品データベース」を出しております。このデータベースで提供する健康食品の情報は、健康食品の輸入・製造・販売会社からのデータ提供を受けて公開しているものでありまして、これが必ずしも安全とか、品質について必ず保証するということではないといったことも含めまして、情報だけをここにしっかり載せさせていただいております。その後も、こういった中で相談がある場合、薬剤師会で相談を受け持っていることもあろうかと思います。
12ページは、静岡県の薬剤師会の取組としてこのようなものがあります。静岡県の薬剤師会ではサプリメントQ&Aということで、一般消費者から日ごろから相談を受けている内容を載せまして、Q&Aという形で相談に乗っているところであります。
13ページは、健康食品に対する消費者教育の在り方が大事ではないかということで、健康食品については、医薬品的な効果を期待させ、かつ、食品であるから安全という消費者心理をうまく利用しているような販売実態があることは大きな問題と考えております。特に、例えば、○○大学の○○教授とか、○○博士という名前を入れたり、「使用者の体験談」といった文言で、いわゆる効果が期待できるようなものについて、やはりこれはしっかりとした指導が必要ではないかと考えております。
消費者が正しく理解し使用するための環境整備、先ほどからずっと言われておりますが、必要でありまして、広告の適正化や専門家の関与をやはりここでしっかりさせていかないといけないと考えております。
薬剤師から見た安全等に関する表示の必要性につきましても、過剰摂取については、やはりしっかりと書いておかないといけないのではないかと考えております。例えばビタミン類でも、ビタミンであれば安全だ、とり過ぎはないと考えている方々は非常に多いわけですが、ビタミンA、ビタミンD、こういうものは脂溶性のもので、代謝されずに体の中に蓄積していく可能性が非常に高いものです。ビタミンAの過剰摂取になって、下痢とか腹痛とか、いろいろなものを起こしたり、皮膚の落屑などが起こる場合もあります。また、必須微量の元素類。少量、微量では問題ないですが、一定の量をとり過ぎるといろいろな問題がある。鉄剤から金属類、あと甲状腺の疾病の方々には、甲状腺のヨウ素などは非常に注意していかないといけないものもあります。そういったことで、中毒症状を起こすこともあるので注意していくこと。
また、濃縮エキスの中にもいろいろな副作用が出てくる可能性があります。濃縮ということは大量にとってしまう可能性が高く、健康食品による健康被害を起こす可能性があるといったことで、非常に注意が必要だと考えております。
また、先ほどから出ています相互作用、セントジョーンズワートという西洋オトギリ草ですが、これは、脳内のセロトニンなどの分泌を増加するという作用がありまして、海外では一般の医薬品として販売されているものです。抗うつ剤を服用している方々が併用しますと、作用が強く出てくる。副作用が非常に出てくるということで、注意が必要である。
先ほど言いましたワーファリン、クロレラ、納豆酵母を相互に摂取しますと、ワーファリンのせっかくの血液を凝固しないようにする作用が、逆にビタミンKの多いものをとることによって凝固する傾向になってしまうということで、作用を減弱してしまう。また、一時多かった例ですが、クロレラと言われるものであります。藻の成分の中には、フェオフォルバイトといういわゆる光過敏症を起こすものが非常に多く含まれているといったことも出ております。
先ほどお話ししましたウコンも、肝機能障害。カルシウムなどは、特に骨粗鬆症のお薬を飲んでいる方や腎臓の機能が低下している患者さんにおきましては、カルシウムをとり過ぎますと、カルシウムの排泄量が低下しておりますので、高カルシウム血症と。血液の中にカルシウムが増えてきて、便秘、うつ、イライラ感、時には尿路結石の原因になる可能性もありまして、大変注意が必要だということであります。ビタミンAなども、いわゆる胎児の催奇性といったことで、過量にとることによって、妊娠時の器官形成期などに奇形のリスクが高まると言われています。
こうした健康被害を防ぐためにも、適切な注意喚起は必要と考えています。こうした表示が必要と思われる食品の範囲は、厚生労働省により通知されています「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」の中の、医薬品の範囲に関する基準を参考に検討していくことが適当と考えます。こうした表示を検討することと併せて、「広告の適正化」「被害発生の情報収集・分析・評価体制を整備」「問題があると考えられる食品を速やかに市場から排除できる仕組み」も検討する必要があるのではないかと考えております。
最後の18ページに、「健康食品の適切な利用のために」と書かせていただいておりますが、含有成分、含有量の表示、安全性に関する表示、注意喚起、また、環境整備で、先ほどたくさんの方からお話がありましたように、消費者教育の充実や広告の適正化、被害発生の情報収集・分析・評価体制整備、問題があると考えられる食品を速やかに市場から排除していく仕組みをつくっていくべきだと考えております。
そういった意味で、私どもは健康食品を医薬品の代替品的に使用することにより、適正な医療を受ける機会を逸し、疾病の長期化や重篤化を招くおそれがあることから、私ども薬剤師の専門家の積極的な関与が必要と考えております。先ほど、日本医師会の先生からもお話がありましたように、かつお節のオリゴペプチドを飲むと血圧が下がるから、安心して受診していないという実態もあります。そういったときに薬剤師が関与することによって、適正に早期に治療を促していくことも私どもの使命だと考えています。
以上です。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
最後になりますが、日本健康・栄養食品協会、健康食品産業協議会から、御説明をお願いいたします。やはり説明は、恐縮ですけれども、10分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○日本健康・栄養食品協会加藤常務理事 日本健康・栄養食品協会の加藤でございます。
今日は、健康食品産業協議会から関口会長と副会長の河原さんが同席させていただいております。
健康食品産業協議会と申しますのは、業界の8つの関係団体が、情報交換あるいは意見集約をするために集まっておりまして、平成21年に設置されたところでございます。私ども協会で事務局を担当しています。
資料7(PDF形式:254KB)に沿いまして、御説明したいと思います。先ほど厚生労働省温泉川室長より、国の制度のお話がありましたので、私どもは、業界としてその制度を受けてどういう安全に対して取組をしているか、というところを御説明したいと思っております。
(1)は、いわゆる安全性の第三者認証と言われている制度で、平成21年7月に認証制度協議会が発足しています。その翌年の4月に私ども協会が認証機関に指定されまして、同年7月から認証の受付を開始したという状況です。
安全性の確保に対する考え方ですが、基本的に食品ですので、販売は自由とされています。これは長い食経験によって確認されているのが基本となっています。禁止される場合につきましては、人の健康を損なうおそれのない旨の確証がない場合とか、条件がついたとき禁止されるということになります。
取組状況につきましては、文献検索等によって事業者が自主的な点検を行うという仕組みになっております。安全性が食経験に基づいて担保できない場合につきましては、毒性試験を実施するということで、第三者認証として私どもの機関が実施状況を確認し認証するという仕組みです。
では、どれくらいのものを認証登録したのかということですが、原材料で43社141品。これは会員、非会員とも認証の対象にしています。認証された原材料の品目につきましては、ここに記載のとおりです。
製品は9品ということで、少ないですが、これは、原材料をまず優先して認証し、認証された原材料を使って製品を認証するという仕組みとしているからです。
マークにつきましては、2ページの上のほうに記載のマークです。
(2)はGMPの取組です。私ども、平成17年の食品安全部長通知を受けまして、同年4月に認定を開始しました。認定機関は、私どもの協会と日本健康食品規格協会、この2つの機関が認定をしている状況です。
なぜGMPが必要かということですが、錠剤・カプセル状等の食品につきましては、原材料に関して安全性の確認がされたとしても、濃縮等の工程を経る可能性があります。成分の偏りを防止するために、あるいは有効性を確保するために、GMPで管理することが重要という考え方です。
2ページ目の下のほうに認定の件数が書いてありますが、工場の認定数は、87工場、会員・非会員それぞれ記載の通りです。
年度別の推移も記載の通りです。
認定工場で生産された製品について、マークをつけるということで、製品の認定数としては、67製品にGMPマークがついています。
もう1機関の日本健康食品規格協会の認定数ですが、記載の通りです。
品質規格基準の認定制度は、私どもJHFAマークと称しているものです。昭和40年代に健康食品が台頭しまして、食品衛生法で規制が行われてきたわけですが、健康食品としての規制をどうするかということで、当時の厚生省から私どもの協会に、品質の安定を図るべく事業を見直すようにという指示がありまして、JHFAマークを制度化し、昭和61年に、日健栄協のJHFAマーク表示制度の運用が始まったところです。このマークをつけることによって、消費者が商品を選択する目安になるものと考えています。
4ページの上のほうに、参考としてJHFA規格基準の内容が書いてあります。品質規格に関する事項、製造・加工に関する事項、表示・広告に関する事項とありまして、それぞれの項目について審査の結果、合格した製品にマークがつきます。現在、認定マークは159社402製品となっています。主な認定食品及びマークは記載の通りになっております。
(4)は、日健栄協の安全性・品質に関する普及啓発で、事業説明会等、記載の通りです。
次のページは、安全性に関する表示の必要性です。行政的な対応としまして、食品衛生法以外に表示の指針があります。平成17年に「いわゆる健康食品の摂取量及び摂取方法の表示に関する指針について」が出されています。これは、過剰摂取による健康被害を防止することを目的にしてつくられたものです。1日当たりの摂取目安量、摂取の方法、注意事項、バランスのとれた食事の普及啓発をする文面を表示するように、という指針が出ています。
次にいわゆる「四六通知」と言われております、医薬品的な用法・用量の解釈ですが、基本的に医薬品は用法・用量を書くことが必須になっていますので、用法・用量を書きますと、これは医薬品だと見なされるわけです。一方、「食品であっても、過剰摂取や連用による健康被害が起きる危険性、その他合理的な理由があるものについては、むしろ積極的に摂取の時期、間隔、量等の摂取の際の目安を表示すべき」という記載があります。
さらに、(2)ですが、私ども協会の安全性の表示に関する取組状況といたしまして、倫理的な規定があります。消費者の苦情に対する処理体制を確立すること。苦情が発生した場合には迅速な対応をすること。健康被害が発生した場合にも情報収集に努めること、としています。さらに協会内に電話相談窓口を設けておりまして、アドバイスや、必要に応じて関係官庁への連絡も実施しているところです。
6ページは、JHFAマークの規格基準の中に表示・広告基準というのがありまして、健康食品としての特性表示として、ここに記載してあるような項目について義務づけをしております。
健康食品に対する健康被害事例は、ここに幾つか挙げていますが、既にお話がかなり出ていますので、重なるところは省略させていただきます。例えば白インゲン豆のダイエットで、インゲン豆の加熱不足で下痢症状を起こしたという事例もありますし、医薬品の含有の事例。これももうすでに事例が出ておりますので、省略させていただきます。
7ページ、過剰摂取の問題ですが、アマメシバの事例が出ています。これは、通常の摂取条件ではなく、過剰摂取の問題とされています。
医薬品との相互作用につきましても、イチョウ葉エキスの例について記載していますが、増強作用が出るものとして、ワーファリンとの相互作用によって出血傾向が亢進することがあったり、逆に減弱するものもあります。ビタミンK、あるいはビタミンKを含む食品として納豆やクロレラにつきましては、ワーファリンの効果が減弱する例があります。つまり、血栓の形成を促進することもあります。
特定疾病として、自発性低血糖症。インスリンの自己免疫症候群というのがあります。インスリンの注射歴がないにもかかわらず、インスリンに対する抗体が出現するというものです。SH基を持った健康食品、例えばアルファー‐リポ酸はこの事例ですが、低血糖症を起こすことがあります。私どもJHFAでは、本品の摂取によりこういう症状があった場合は、速やかに摂取を中止することの表示を推奨しております。葉酸にも、大量摂取によって過敏症を起こす事例があります。
JHFAの表示基準につきましては、食品群ごとに注意事項の事例を、ここにはほんの一例を記載しています。マークの取得者に対してこれらの表示を書くように義務づけています。
最後に、注意事項を表示する際の食品の範囲ですが、過剰摂取への対応としては、錠剤・カプセルの形状ということもありますけれども、形状だけではなく、特定成分が抽出・濃縮・乾燥等される場合、こういう原材料を用いた商品を対象範囲にすべきではないかと考えております。
医薬品との相互作用ですが、健康食品と医薬品との相互作用の研究を進めながら、現在、科学的に確認されている相互作用につきましては、表示例を示し、表示を義務化する方向に行くべきではないかと考えます。
特定疾病の場合は、自分が当該者であることを自覚していないことがありますので、その症状に対する事例を挙げて、症状が出た場合は速やかに摂取を中止して、医師、薬剤師等に相談するような記載をすべきではないかと考えております。
以上です。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方から発言をお願いいたしますけれども、日本医師会の石川さんは少し早めに御退席の予定になります。もし石川さんに御質問があるときは、先に発言をいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
田島委員、どうぞ。
○田島委員 それでは、石川様にお聞きしたいのですけれども、医師会の取組についてはよく理解できましたが、現実に、町のお医者さんといいますか、患者さんに対して健康食品の摂取状況を問いただしているという例は余りないのではないかと私は思います。もう少し医師に対して、健康食品について真剣に取り組んでくださいということの、取組方向といいましょうか、23年からこういった事業をやっていることは御説明を伺いましたけれども、実効性は乏しいのではないかと思っています。もう少し積極的に医師に対して啓発活動をするということはお考えではないでしょうか。
○日本医師会石川常任理事 まず、御発表いただきました薬剤師会のほうの問診票というのがありましたけれども、ああいう問診をとっている医師も随分おります。そのときに、患者さんの基本情報としてそういう項目を入れているということもあります。
それから、私たちの発表の中にありましたように、ポスターで、そういうものを飲んでいるときは必ず言っていただきたいということも、こちらのほうからお知らせしていますけれども、例えば高血圧でずっとかかっている患者さんに、途中で患者さんもそういう健康食品を始めたことについては、日常的にかかっている患者さんに聞くこともなかなかできません。そういう点では、おっしゃいますようにもっと注意が必要ではないかと思います。特に、関節とかそういったところが痛い方だとか、いわゆる慢性疾患を持っている方とか、高齢の方は健康食品の利用が多いので、日常の中で途中から聞くということはなかなかできません。ですから、新患の方のときに、問診票みたいなもので発見できるということはあるかもしれませんので、また、いろいろ考えてみたいと思います。
○河上委員長 ほかにはいかがですか。
山口委員、どうぞ。
○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。梅垣先生と厚労省にお聞きしたいのですが、業協会のお話、最後の結論部分ですが、錠剤・カプセル型という形状ではなくて、原材料を用いた製品を対象に何らかの表示の制度をつくったらどうかという御意見だったと思います。原材料で、これだけとると危ないとか、これだけとるといろいろな問題があると、先ほど薬剤師会や医師会のほうで指摘がございましたが、どうもいろいろ聞いていますと、必ずしも法的に規制をしなければいけないほどきちっとしたものがあるわけではなくて、量的な規制とか、質的な規制はなかなか難しいというふうにもお聞きするわけです。
形状で錠剤だ、カプセルだというものを、従前は薬事法で規制されていたわけですが、今は錠剤・カプセルで食品として売れるようになったわけです。その形状に基づいて何らかの法規制、端的に言えば、例えば届出制にするのはどうか。許可制とか、行政の肥大化になるようなことはなかなか難しいと思いますが、濃縮の危険性があるとか、そういうことで錠剤・カプセルが定性的に指摘されていることは皆さんおっしゃったところなので、そういう形での制度づくりができないのかどうか。
私に言わせれば、きょう御説明いただいた団体は恐らく良質な業者の団体でしょう。しかし、この業界は悪貨が良貨を駆逐する。端的に言えば、先ほど業協会で御説明になったようなことをやっていらっしゃるのは大変結構なことだけれども、消費者はほとんど知らない。そうすると、テレビやその他で、いかにも効きそうな、想像力を駆り立てるような宣伝をしている、ある意味では低レベルの業者が、悪貨が良貨を駆逐してはびこってしまう。売上を伸ばしてしまう。こういう実態を何とかするためには、一部の業協会の方が、あえて申し上げますと、自己満足的な認証制度をつくって一部でやっていますということでは、全体の被害抑止なり健全化にならないのではないか。そういうことを考えますと、そこのところを少し考えてはどうだろうかというふうに思うのですが、御意見を伺いたい。
他方、厚労省には、先ほど来医師会も薬剤師会も、場合によっては業協会のほうも、一定の成分を持つ健康食品について危ないと、いろいろ弊害を言われました。これだけ共通にいろいろ言われた場合、それについて単なる自主規制で終わらせていいのでしょうかというふうにも思うわけです。例えば食品衛生法か何かに、量規制、その他きちっと規制することを考える余地がないのかどうか。なぜこれまでなされなかったのか。そこについて、錠剤だカプセルだという形状での御指摘はございました。2つの成分について、何らかの自主ガイドラインのようなものを公表なさっていると聞きましたけれども、これは法規制と言えるのかどうか。あるいは、法規制ができないのかどうか。その点について伺えればと思いますが、よろしくお願いします。
○河上委員長 石川さん、お願いします。
○日本医師会石川常任理事 私に対しての御質問ではなかったと思いますけれども、ちょっと言いたいことがございますので。私たちも医療の現場で人々の健康を守るためにやっているわけですけれども、こういう健康食品なるものが世の中になぜこんなに増えてきたのかという背景を、私たちも研究しておりますので、考えてみますと、疾病の自己責任の問題と、医療費の抑制政策とか、そういった背景があると、お医者さんにかかるよりはとか、自分の身近で手に入れてうまく治るならばというふうなことで、幻想を抱いたりする方もいると思うのです。私は、健康食品の業界の方にはきちんとエビデンスを示していただくということは、常々言いたいことであります。そのことについて、監督省庁の厚労省の方には、エビデンスをきちんと出すようにということを促していただきたいということを、私たちからは強く要求したいと思っております。
○河上委員長 ありがとうございました。
私も一つ、石川さんに聞きたかったのですけれども、実際に危険性があることについての御認識をお持ちだということですが、例えば医師会の中で、健康食品の併用によってこんなことが起きたという事故例は、相当あると認識してよろしいのですか。
○日本医師会石川常任理事 かなり疑いが強く、明らかだなというふうに思うものについては、先ほどお示ししましたように、ウコンでも実際には亡くなった方もいると思いますので、そういう事例はきちんと出します。これもやはり私たちの考え方、エビデンスがあってのことでございます。
ただ、いろいろ出ているアレルギーとかいうことについては、その患者さんのそのときの病状もあります。例えば、私はきのう、私自身がイチジクを食べて強烈なじんましんになったんですね。これは、すごく疲れているからと。今までもイチジクを食べたことはありますが、じんましんはなかったわけです。アレルギーの病気とかそういったものは、そういうことも起こりますので、それがイチジクのせいだと確証もできないわけです。そういう難しさもありますが、我々としては確実になったことについては、クロレラもありましたし、そういうものについてはきちんと報告して、会員にも啓発しております。
○河上委員長 先ほどの山口委員からの質問でございますので、もしよろしければ、厚労省さんからお願いします。
○厚生労働省食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室温泉川室長 まず、物質の規制がきちんとできないのかというお話でございますけれども、既に健康食品として流通しているものの中で健康被害に結びついていることが、病態学的に見てどうかということは別にしても、患者さんとの結びつきはあるだろうということで、規制をしているものは当然ございます。アマメシバについては、粉末もしくは錠剤の形で濃縮すれば、健康被害に結びついたということがありますので、これについてはこういった形状でのものを規制するということで、審議会での結論を得て、現在、規制をしております。
○山口委員長代理 これは、食品衛生法に基づく規制ということでよろしいのですか。
○厚生労働省食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室温泉川室長 そうです。同じようにコンフリーについては、形状にかかわらず問題があるだろうということなので、これについてはコンフリー自体の摂取をやめるようにということで、食品衛生法で規制しております。
そのほか、先ほどからお話が出ておりますセントジョーンズワート、こういったものは医薬品との関係が出てくるということなので、これについては医療機関への情報提供を行う。実際に薬と併用すると薬の効果が減弱されるということがありますので、そういったことはきちんと情報提供してくださいということを言っております。
そのほかにもコエンザイムQ10、こういったものについては、医薬品に含まれている量を超えないようにという摂取の制限とか、そういった形で、出せる情報についてはきちんと情報提供をしていく形をとっております。
形状の規制についても御発言がございましたけれども、昔は薬事法の中で形状規制をしておりまして、錠剤のものについては食品としては扱えないというのが、規制の緩和の中で扱えるようになった。これについては、健康食品以外でも、例えば錠剤の形をしているお菓子、古いものですと金平糖のようなものから、錠菓と言われているラムネの菓子のようなものもありますので、一概に形状だけで規制をしていくのは難しいだろうと。規制緩和の流れもありますので、現状では、形から何らかの対策をとっていくのは難しいというふうに考えている状況でございます。
○国立健康・栄養研究所梅垣情報センター長 私は、規制というよりは、消費者に注意喚起という意味で形状のことを言ったわけです。というのは、錠剤・カプセルを薬と勘違いしている人が結構います。食品として流通していても、濃縮してあるということは特定の成分が多くなっています。そうすると、生体に対する作用が強くなります。そういうことを踏まえて対応しなければいけない、という意味で言いました。
それから、成分のデータとおっしゃいましたけれども、実は余りわかっていないのです。我々のところも情報をかなり集めて提供していますけれども、先ほどのセントジョーンズワートにしても、相互作用を起こす個別成分がどれだけ含まれているかによって、相互作用が起こる、起こらないが変わるのです。セントジョーンズワートというのが入っていれば必ず相互作用が起こるわけではないです。相互作用を起こす特定の成分がある程度セントジョーンズワート中にあれば、やはり相互作用は起きますし、入っていなければ相互作用は起こらないのです。そこの判断基準は、表示というか、含有量がどれぐらいあるか、それから、成分がきっちり入っているかどうかというところが問題になります。ですから、GMPがどれぐらい遵守されているかというのは非常に重要になってくるということです。
それから、先ほど厚労省の話がありましたけれども、四六通知では、これが食品、これは医薬品と、食薬区分をしています。けれども、現時点の情報でいろいろ調べていくと問題のある事例も出てくるわけです。そういうものはその都度、通知を見直したりされていると思います。一般に、全部データがわかっているというふうに思われているのは基本的に間違いだと思います。わからないことがいっぱいある。だから情報提供をしなければいけない。
一番の問題は、情報提供をしても見られていない。我々のホームページでも実際にいろいろな情報を出しています。ページビューで見ると、8,000件とか1万件ぐらい毎日あります。けれども、専門職の人でも半分ぐらいしか情報提供していることを知らないです。そういう状況をどうしたらいいのかというと、やはりいろいろなところと連携して情報を共有することが必要なのではないかと思います。そこのところが重要。
あと、例えばウコンが危険だという話ですが、ウコンと称する製品はいっぱいあって、そんな危害は出ていないです。特殊な人が利用したときに出ている。誰が何を利用したかによって、その利用対象者によって、有害事象が起こるか起こらないか変わってくるわけです。病気の人が利用したら、かなりの確率で有害事象が起こる可能性はありますけれども、普通の人では起こらないです。だから、今ここでウコンが危ないという認識を皆さんが持たれたとしたら、ウコンと称する商品は全部取り締まらなければいけない。でも、実際はそうではないのです。
そのような情報の拡大解釈があるので、きっちり情報を提供するというのは必要です。その提供する際に、誰が利用したか、何を利用したか、どれだけの期間利用したかというのが重要になってくる。それを情報収集しようというふうに、厚労省の研究費をいただいて研究所で対応しているところです。
○山口委員長代理 私はそういう梅垣先生のような意見も聞いたものですから、客観化するのはなかなか難しいだろうと。事業者が自分がつくった製品に、100グラム中どれだけウコンが入っているか、あるいはヒアルロン酸が入っているか、グルコサミンが入っているか。それもせめて誠実に表示してもらう。製品によっていいかげんなパーセントで、ちょっとしか入っていなくても、ヒアルロン酸がたくさん入っているかのような宣伝をするとか、その辺のところだけは例えばどこかに届出をする。業界団体のどこかに届出をして、うそを書いていて、それがどこかでわかった場合には、規制するとか、せめてそのぐらいの届出制が実現できないかなと思うのですが、そこのところはいかがでしょうか。
○国立健康・栄養研究所梅垣情報センター長 それは非常にいいことですけれども、例えばそういうふうにしても実効性は余りないと思います。消費者自身が、表示がないものは買わない。例えばGMPマークがついている商品以外は買わないというふうになれば、企業はGMPを全部とらなければいけなくなるわけです。そこのところが一番ポイントで、何か法的規制をすれば改善できるというのは、それは、一つの面では改善できるかもしれませんけれども、恐らく片手落ちだと思います。食品の表示は教育が伴っていないとできないです。
例えばアメリカのダイエタリーサプリメントというのがありますけれども、あれは法律で定義されていまして、ヘルスエデュケーションアクトといって、エデュケーションというのが入っています。表示は必ず教育と連動していないといけない。消費者自身に表示を理解してもらわなければいけない。そういう取組がいろいろな面で必要だと思います。
○河上委員長 小幡委員。
○小幡委員 消費者教育が大事だというのはよくわかります。本当にそのとおりだと思いますが、他方で、それと同時に何かできることがないかということで探りますと、先ほどからいろいろ御説明をいただいてわかってきたことは、濃縮したもの、特に錠剤とかカプセル状のものになると危険性が増すのではないかということを、厚労省からも、国立健康・栄養研究所からも、薬剤師会、医師会の皆さん、ともにおっしゃっていると思います。このようなサプリメント類について届出制をとるかということについては、必ずしもカプセル状でないものでも出てくるかもしれないので、成分でやらなければいけないという話もございましたが、他方で消費者は、サプリメントとか、錠剤の形状になっているものについては、もちろん消費者教育をしなければいけないわけですが、何かしらの期待をして購入するということは事実としてあるわけです。
そのように考えますと、成分が濃縮されている、そういう形状でできている錠剤・カプセル状、いわゆるサプリメント類のものについて、何かできないか。そこで、先ほどから山口委員長代理が届出制という話をしていらっしゃって、私もまさにそう思いますが、届出制というのは、今までの行政のやり方では一種の規制と考えるわけですけれども、別に規制しているわけではなくて、きちんとした成分表示、こういう成分のものをサプリメントとして売りますということを、消費者に示していただきたいということで、別に売ってはいけないと言っているわけでは全くないわけです。
従来の行政の手法では、許可にするときついので届出制にするというように、一種の規制という形で届出制を使うというやり方が多かったのですが、今回は別に売ってはいけないと言っているわけではなく、ルールのもとでGMP(製造工程管理)とか、あるいは成分表示、何が含まれているかわかりにくいという話もあったと思うので、それを明確にした形で表示する。それを例えば医療機関に対しても、何か問題があったときに、この飲んでいたサプリメントにはこういう成分があると、明確に提供できるような形で届出ていただいたうえで、サプリメント類の健康食品を売っていただくというのは、一つあり得る姿かなと思うのですが、それは無理でしょうか。
○河上委員長 厚労省さんに、何か御意見があればということでしょうか。
○小幡委員 はい。
○厚生労働省食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室温泉川室長 表示というお話ですけれども、実は食品衛生法の表示については、現在、すべて消費者庁に移管されています。厚労省としてこういう制度を決めるということは、現状ではできない状況でございますので、それはうちのほうでは対応できないと思っております。
○小幡委員 そうすると、消費者庁のほうでということですね。
○厚生労働省食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室温泉川室長 はい。
○山口委員長代理 日健栄協のほうで、例えば新しい組織をつくって、ここは届出されて、100グラム中これだけ入っているというのは、きちんとうちは守っていますと。もちろん、認証基準もやっていますということも宣伝されればいいと思いますが、その辺のシステムをつくるということはどうでしょうか。
○日本健康・栄養食品協会加藤常務理事 私どもは品質の規格基準というものをつくって、それに適合したものにマークをつけています。どれほど入っているかを検査する方法も幾つかあります。検査方法も標準化していかなければいけない。検査方法が定まらない中で、入っているか、入っていないかを議論することは難しいのではないかと思います。
例えば今、青汁というのがございますけれども、これは定義がありません。何をもって青汁と言うか、世の中にないのです。規格を決め、品質を決める中で適合性を見ていくというのが前提ですので、それなくして、判断はなかなか難しい。
それから、GMPのお話がありますが、事業者が商品を設計するときに、設計どおり仕上げるというのがGMPの根幹ですので、設計図自身がしっかりとしている必要があります。その根幹となるのは品質の規格基準だと思いますので、そこをきちっと整備していく必要があると思います。届出されたものが、健康食品として適正か否か、表示どおり入ってさえいればいいのかどうか、ということも判断がなかなか難しいということがあると思います。
○小幡委員 良い悪いというのを、届出されて判断するのではないと思うのです。過剰摂取というのが問題になっていますけれども、要するに、これにはある成分がどのぐらい入っていて、こちらには同じ成分がどれぐらい入っていて、それを一緒に飲んだら過剰になります、ということがわかるようになっていればよいのです。届出制というのは、別にこれを売ってはいけないとか、そういうことではなくて、届け出させておいて、その成分についての情報を把握しておくところに意味があるわけです。ですから、良い悪いの判断ではない。ただ、おっしゃるように、成分の表示の仕方であるとか、規格化とか、標準化とか、課題があるというのはわかりますけれども、良い悪いの問題ではないと思います。
○河上委員長 薬剤師会さん。
○日本薬剤師会藤原常務理事 先ほどから消費者教育の話がありましたが、消費者教育というのは本当に大事な部分かと思います。特に私ども薬剤師は、学校薬剤師の業務で、中学校と高校の保健体育の授業の中で、お薬健康教育というものを、24年から中学校、25年から高校でそれなりのレベルの話をしていきます。その中で食品と医薬品のかかわりと。また最近、高校生とかは、ごはんを食べずにダイエットするためにサプリメントなどを購入して、ごはんの代わりに栄養分をとっているから、カロリーないからといってバンバンやってしまうわけです。そういう部分も、薬剤師がちゃんと学校教育の中で教育していく方向で言っていかないといけないと思います。そういう教育の中でも薬剤師が関与していくべきかなと考えております。
○河上委員長 今度、消費者教育推進法というのができましたから、そういう中で、食の安全とか、食育に関する消費者教育も、是非、薬剤師会や医師会にも協力して入っていただけるとありがたいですね。
○日本薬剤師会藤原常務理事 はい。
○河上委員長 田島委員、どうぞ。
○田島委員 日健栄協にお伺いしたいのですけれども、自主点検認証制度は大変結構ですけれども、残念ながらカバー率が低いですね。現在売られている健康食品、数え方
によりますけれども、1兆円とか2兆円と言われていますが、そのうち一部分しか日健栄協さんの認証制度を利用していない。その理由はどう考えますかという話ですけれども、私の考えでは、認証の原材料の成分、これのカバー率が低いのではないかと思うのです。現在、141品目ですか。正直言いまして、グルコサミンも入っていないですね。
○日本健康・栄養食品協会加藤常務理事 安全性の確認は、成分ごとに見ているのではなくて、申請ベースで見ておりますので、JHFAのように規格基準があって確認しているわけではないです。
○田島委員 ですから、カバー率を上げるためには一段の努力が必要ではないかと思います。
それから、認証制度というのを消費者の側から見たときには、正直言いまして日健栄協は業界団体に近いですね。業界団体に近いところが認証していても、本当に第三者認証と言えるのかというふうに消費者の方は思うのではないか。むしろほかの食品で公正競争規約というのがありますね。あれは業界団体が規約を定めて、できるだけアウトローは排除していこうと。公正競争規約になると所管が消費者庁になります。だから、むしろ公正競争規約をお考えになったらどうかなと。本日は健康食品産業協議会さんがせっかくおいでになっていますから、健康食品産業協議会さん辺りが母体になって、公正競争規約を試みてはどうかと個人的には思っていますけれども、その辺はいかがでしょうか。
○健康食品産業協議会河原副会長 そのことは協議会の中でも話題にしておりまして、今、鋭意勉強、研究をしております。
○河上委員長 現在、日本健康・栄養食品協会という団体の加入率はどのくらいと見ておられますか。
○日本健康・栄養食品協会加藤常務理事 現在、私どもは720社ほど企業が会員ですが、全体の企業数がどれくらいあるかというのはなかなかわからないのです。
○山口委員長代理 売上額から言うと、どれぐらいになりますか。
○日本健康・栄養食品協会加藤常務理事 売上から言うと、今、市場が1兆円強の規模ですので、JHFAの売上規模からいくと10%未満です。売上規模だけではなかなか難しいとは思いますけれども、どこまでを健康食品事業者として入れるべきかということがあり、単に物を買って売っているところもありますし、どこまでを全体の企業数にするかというのはなかなか難しいところがあると思います。
さきほど、日健栄協は業界団体だから、自ら認証するのはおかしいではないかというお話がありましたが、私どもは国の通知をもとにしたガイドラインをつくって、それに準じて認証をしているということが一つ。もう一つは、私ども協会自身が認証しているのではなく、有識者による第三者委員会を設けて、そこで認証しているということですので、私どもが手前みそで認証しているということでは決してないということです。
○山口委員長代理 消費者の目から見て、こういう認証をしている、あるいは届出をしている、最低限それがないと危ないのではないかと消費者がみんな思うようになって、認証や届出をしていない健康食品は売れなくなる。そうなると、嫌でも事業者はその届出なり認証をせざるを得なくなると思います。ですが、全然そうなっていない。この言葉がいいかどうかわかりませんが、アウトサイダー的な事業者がテレビや新聞や雑誌でバンバン宣伝して、何となくそっちのほうがメインのような消費者の受けとめになっている。これをどうやったら変えられるのか。ここが、今回の消費者委員会の検討のキモだと思います。これだというのは、それなりに最後に答えをおっしゃったのだと思いますが、梅垣先生、その辺、どうしたらいいでしょうね。
○国立健康・栄養研究所梅垣情報センター長 それは、連携です。例えば消費者委員会で、まともなことをやっているメーカーはこうやっています、と言ってアピールされれば、それは広まります。例えば、私のところで特定保健用食品の製品情報を公開しています。トクホは製品ごとにチェックされていますから、いわゆる健康食品とは格段に違うものなのです。あくまでも食品ですけれども、それを消費者の人に見えるようにしないと、せっかくメーカーさんがトクホをとっても生かされない。いろいろな情報提供をするときに、例えば日健栄協がやられている取組を、いろいろな団体、組織が外にできるだけアピールをする。いいことをやっているところはアピールしてあげる。そうすると、そこのところに消費者の人も注目しますから、その取組が見えるようになります。けれども、今はそれをほとんどしていないのです。独自にやっているから広まらない。ここが一番問題だと思います。
○河上委員長 厚労省さん、どうぞ。
○厚生労働省食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室温泉川室長 今のGMPの関係でございますけれども、確かに業界が自らやると手前みそというところもありますので、なるべく第三者によって認証がされるように、さらに、直接認証を受けるところと間があくように、その上の査察をする機関、認証する機関を設けて、それを運用できるようにという形で、現在、実際にGMPの認証を行っているところとも協議をしながら、認証機関と承認する機関をつくっていこうということで運用しております。
実際にGMPについては、うちのほうも平成20年に安全性についての取りまとめを行っていますけれども、GMPを進めるようにという部分では、少し進め方が足りなかったというふうに思っています。昨年、パンフレットをつくって、消費者の方の目に届くところに置くような形にしておりますし、今後、マークがうまく製品に載ってくれば、それがインセンティブになる可能性もありますので、そういった部分も進めていくことができればというふうに思っております。
○河上委員長 細川委員。
○細川委員 決定的に問題なのは、消費者教育も重要だと思いますけれども、消費者もいろいろな情報がある中で、先ほど梅垣さんから御提出していただいた資料の21ページにこんなものがあって、要はテレビなどのメディアのイメージが中心で、それが消費者に強くインプットされてしまって、それで物を購入してしまう。ここが非常に問題ですね。そういう意味で言うと、きょうの議論で、マスメディアの社会的責任という部分が抜け落ちているなと思いました。売り方は非常にえげつなくて、番組と広告の境がなくなってしまって、生活情報提供番組かのように商品を売りつける。例えば、番組中に健康増進研究所といってフリーダイヤルの番号が書いてあるわけです。結局それは、売っている会社の単に注文受付の番号だということもあります。
そういう意味で言うと売り方の問題もありますし、一方で、我々の情報発信力が、健康食品メーカーと違って圧倒的に劣っているというところがありますね。先ほどお話があったように、ネットでいいことはやっているけれども、せいぜい毎日数千件。我々も情報発信ツールを持たないと対抗できないです。そうしたときにどうするかというと、逆にマスメディアに協力を求めてそういう枠を設けてもらうとか、NHKとタイアップしてそういう枠をつくってもらうとか、そういう工夫も必要ではないかなと思います。
私は前に香港に行ったときに驚いたのは、香港の消費者関係の行政機関がゴールデンタイムに情報提供をしているのです。なぜこんなことができるのかと思ったら、香港は放送法で、免許を与えるときに一定の枠を政府に与えることを義務づけています。これもなかなか難しいと思いますけれども、日本で、ゴールデンタイムに民放で5分、10分、例えば政府枠があって、消費者委員会とか消費者庁が情報発信できるようなことがあったら、こういういろいろなことも言うことができる。そういう情報手段の格差もあるので、その辺も工夫が必要ではないかというふうに感じました。
○山口委員長代理 私は、資本力とか資金力から言って、今の細川先生のおっしゃったこと、あるいは梅垣先生がおっしゃったことは、もう無理だと思います。今の特にCS放送などを見ていると、健康食品オンパレードですよ。あの発信力には、何らかの法律の枠組みがないと現状を変えられないと思います。どういうふうに変えたらいいのかというのが、これからの課題ではないかと思います。その辺は、これからまた消費者委員会で議論をして、皆さんが納得できるような方向が出せればいいなと思います。なかなか難しいというのは本当によくわかっていますけれども、また、相談しながらやらせていただければと思います。
○河上委員長 よろしいですか。そろそろ、時間になりました。
議論し始めるとなかなか時間がなくて、大変申しわけございませんが、本日は、貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。
健康食品の表示の在り方に関する消費者問題を考えるに当たって、健康食品を安全に利用するための環境を整備することは大変重要な課題であります。先ほども議論が出てきましたけれども、いわゆる健康食品と言われているものは、伝統的な自然食品と異なりまして、長い食経験によってスクリーニングされていない新たな人工的食品ということになりますので、そのためには、やはり安全性が制度的に保証される仕組みが不可欠だろうと思います。食品一般の安全性の問題にもリンクするということで、どういう形で行政が入っていくのがいいかということについてはありますけれども、しかし、例えばサプリメントとか錠剤、アンプルのような形で、濃縮した、そういう食品が、伝統的な食品と同じレベルで、食品なのだから余り介入してはいけないという言い方は、これはしてはいけなくて、むしろ制度的な安全性の保証を担保する仕組みが考えられないといけないと思われます。
ただ、他の食品一般と同じように、摂取方法であるとか、摂取量、利用者の状態によっても身体に及ぼす影響が違うということがありますので、それを、どういう形で消費者が安全に選択できるようにするかという辺りを工夫していかないといけない。なかなか特効薬はないかと思いますけれども、いろいろな工夫を積み重ねる必要があると考えます。少なくとも、先ほど細川委員がおっしゃいましたけれども、目に余る誇大広告、イメージ広告等で、利用者の過大な期待を引き起こして、結果的には健康も損ないかねないという事態を放置することは、許されません。
本日の御報告をいただいて、少なくとも健康食品と健康被害の因果関係についてはまだまだ科学的に解明されていないところもあり、健康被害情報の収集、その収集の手法も含めて、解析、研究がさらに必要であるということで、有害事象の収集・評価をめぐる仕組みづくりを考えないといけないということが第1の課題です。
第2に、医師、薬剤師等の専門家から消費者に対して、できるだけ健康食品についての適切な情報提供を行っていただくように努めていただく。逆に医師や薬剤師の方々に対しても、健康食品の安全性に関する正確な情報の提供が必要であって、そのためには業界のほうから、エビデンスと申しますか、こういう内容物の商品である、こういう成分がこういうふうに効能があると考えて入れている、といったことも含めてエビデンスを出していただいて、それが研究者にも検証可能なようにしていただけないか。
さらに第3の課題は、消費者の商品選択力の向上でございまして、消費者教育ということを通じて、消費者が表示を見て自らにとって本当に必要なものなのか。食のバランスを考えたときに、こういう健康食品を摂取することがどういう意味を持つかということについて、勉強してもらう必要がある。それを教える人も必要です。いずれにしても消費者教育が大変重要であることが今回も指摘されました。消費者教育推進法という法律ができたこともあり、学校等で専門家にも入っていただいて、教育の現場で、食の安全とか、ものの食べ方、これは人間生活の基本ですけれども、そういうことについてしっかりと学ぶ機会をつくる必要があると思われます。
最後に、細川委員から出てきましたマスメディアの在り方ということで、売り方について、マスメディアが、現状のように、一部企業の「売らんかな」の過度な宣伝・広告に加担していっていいかということについても、問題提起をしないといけないだろうという気がいたしました。
健康食品の表示の在り方につきましては、本日及び102回委員会の議論を踏まえつつ、引き続き委員の間でも議論を重ねまして、できましたら年内を目途に一定の結論を得たいと考えております。
本日は、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。
≪5.その他≫
○河上委員長 それでは、大分時間が押していますけれども、「その他」として、続きまして、消費者委員会に寄せられた意見等について、事務局から説明をお願いいたします。
○原事務局長 それでは、「その他」の議題をお願いしたいと思います。
委員会に寄せられました意見、要望等に対する回答の在り方については、それがどのように委員会の活動に反映されているのか、わかりやすく示してほしいという御指摘は以前から多くいただいておりました。そこで、試行という感じですけれども、始めてみたものが資料8と9です。
資料8(PDF形式:157KB)は、本年8月から9月にかけて計3回にわたって行われた、消費者団体ほか関係団体(10団体)との意見交換会でいただいた御意見について、委員会としての考え方を示したものです。3回にわたって10団体で、それぞれ時間もとりましたので、個別の課題についてはその場での意見交換をさせていただきましたけれども、共通する課題ということで、例えば1ページ、委員会の建議(監視)機能の強化。2として、委員会・事務局の体制強化。3として、消費者庁や国民生活センターとの連携。4、委員会の情報収集・分析能力の強化。5として、委員会運営の透明化、情報発信力の強化という、事務局でのグルーピングではありますけれども、これについて、これまでも委員間打合せでお話をさせていただきましたけれども、少し御議論をいただいて、各団体にお礼も込めて報告したいと考えております。
資料9(PDF形式:90KB)ですけれども、委員会に寄せられる要望書、意見書、声明文が、どういうものがどこの団体から来ているのかということで、7月、8月、9月の3か月について、件名と発信主体を記載いたしました。
今後は、定期的にこういった形で公表していきたいと考えております。資料8と9のこういった取組方、内容について、委員の皆様の御意見を伺えればと思います。
○河上委員長 これは委員間打合せでも御披露して、皆さんで意見交換をしたものの内容がまとめられているところですけれども、こういうことでいかがかということです。どうでしょうか。
山口委員、どうぞ。
○山口委員長代理 資料9に件名と発信主体が書かれていますが、この右側に、消費者委員会としてどうしているかということを少し書き込んだらどうかと思います。例えば検討中とか、なかなか難しいとか、委員間協議では、冷や汗マークとか、にっこりマークとか、せめそのぐらいつけたらどうかという議論も出ましたけれども、とにかく、出ましたよだけではしょうがないので、委員会としてどう対応しているかというのを書けるところだけでも書いたらどうかと思います。
○河上委員長 夏目委員、どうぞ。
○夏目委員 今の山口委員のお考えですけれども、ただ、委員会に寄せられた要望書、意見書、声明文というのは別にパブリックコメントではないので、個別について回答するというよりも、むしろ資料8のような形で、委員間打合せなり、きちんと議論して、きちっとお返しするという方向のほうがよろしいのではないかと私自身は思っております。少し意見が違うのですが。
○河上委員長 にっこりマークとか、冷や汗マークをつけると、かえって誤解を与えるかも知れませんので、ともかくといたしまして、委員会では、いただいた意見書は読んだ上で検討しているわけですので、その検討結果としてまとまったところからでもこういう形で公表していくということで、少しやってみませんか。さらにやれることがあれば、また追加していくということで、山口先生、よろしいですか。
○山口委員長代理 はい。
○夏目委員 反対しているということではなくて、寄せられたものに対してきちんと私どもが議論をして、それを見える形でお返しをしなければいけない。こういうスタンスはみんな委員は共有しているので、とりあえず今回は第一歩かと思いますので、引き続きお願いします。
○河上委員長 では、そのようなことでやらせていただきたいと思います。
なお、7月から9月にかけて、委員会に寄せられた意見書、要望書等は全部で23件ございまして、そのうち10件が貸金業の改正にかかわる御意見でした。本件については、先ほど副大臣が見えたときにも話題になったところですけれども、去る8月21日の第98回委員会で、改正貸金業法施行をめぐる現状や課題等について、消費者庁、金融庁、警察庁から報告をいただきました。現在、多重債務問題改善プログラムを継続・実行しているということでしたので、今の段階では、必ずしも貸金業法等の再改正を必要とする状況にはないのではないかということ。それから、現在の取組に加えて、セーフティネット貸付の再構築をしっかりやっていくこと、相談体制のさらなる強化、ヤミ金の取締りのさらなる強化といった点についての充実を求めたところです。いただいた意見書を検討させていただき、委員会としてはそのような形で対応させていただきましたが、今後ともしっかりモニターを続けたいと思います。
それ以外の点については、きょうはもう時間がございませんけれども、何か意見書についての御意見はございますか。
○原事務局長 事務局からで恐縮ですけれども、コーラのカラメルの問題はいかがですか。
○河上委員長 日本消費者連盟からいただいているものですね。これも、委員会の中で議論をしたことがあります。田島委員、何か御意見がありましたら。
○田島委員 コーラに含まれるカラメルについては、安全性に疑義があるという報告がアメリカで出されたということで、消費者委員会としても重大な関心を持たなければいけませんけれども、基本的には、同じ内閣府の食品安全委員会が食品の安全については一義的に責任を負っているので、食品安全委員会に対して、しっかり検討していただきたいということを消費者委員会から申入れをしてみたらどうでしょうか。
○河上委員長 実はあの問題が生じた後、平成24年の9月21日ですけれども、消費者庁にも話をして、消費者庁自身から厚生労働省に対して、食品の添加物であるカラメル色素に含まれている4-メチルイミダゾール、それとアスパルテームに関して、新たな科学的知見から、食品としての安全性に関する情報の資料要求をしているところだそうです。もし問題があるということであれば、消費者庁は食品安全委員会に対して、再検査を要請する。食品安全委員会では、一たん問題を検討したらしく、少なくとも現時点では安全であると考えたので、これ以上再検討する必要はないと結論を出したとうかがっています。ただ、更に新しい情報が出てきた場合には、消費者庁あるいは厚生労働省からの意見を待って、再審査をしてみるということのようです。
○田島委員 それでよろしいのではないでしょうか。
○河上委員長 消費者委員会として、現段階で、既に対応を進めている消費者庁あるいは厚労省に対して何かしろということを申し上げる段階ではないので、双方が検討した結果、必要があって食品安全委員会に再検討を求めるプロセスを、一応注意しながらモニターするということで対応したいということでご理解いただければと思います。御意見を拝見して委員会としてもどうするか考えたのですが、さしあたり以上のようなことで対応したいと思います。
ちなみに、消費者団体あるいは関係団体との意見交換は委員会の活動にとって非常に大切であると認識しておりまして、いただいた意見については、今後、委員会の運営の改善の参考にさせていただきたいと思います。ただいまのような形で定期的に取りまとめて、主なものについては委員間で、きょうは短かったですが、意見交換の時間を設けたいと思います。
もう一つは、地方消費者委員会の概要についてということですが、10月20日(土曜日)に山口で開催いたしました地方消費者委員会の概要について、事務局長から報告をお願いいたします。
○原事務局長資料10(PDF形式:195KB)と11で簡単に御報告します。
第5回の地方消費者委員会、先週の土曜日、山口で開催いたしました。参加人数は98人です。テーマは「高齢者の消費者被害の防止」ということで、これは地元の方々と相談をして決めたテーマです。委員長の基調講演、「山口県における現状」ということで、消費生活センターの所長さんと相談員の方に御報告をいただきました。今回は消費者庁にも御参加いただきまして、「消費者安心アクションプラン」の原案について御説明をいただきました。
パネルディスカッションは、ごらんになってわかるとおり、地域包括支援センター、相談員、弁護士、消費者委員会からは山口委員も出席して、消費者団体も加わって、非常に幅広い関係者が集まって、フロアとの意見交換もかなり行えて、一体感のあった意見交換ができたと思っております。
前日には、岡田副知事、山口市市長の渡辺さんのところにもお伺いして、是非、消費者行政に助力をお願いいたしますということで、委員長が表敬訪問を行っております。
資料11(PDF形式:222KB)ですけれども、第6回の地方消費者委員会は大分で開催する予定で、12月1日の土曜日です。今のところ、テーマは「高齢者の消費者被害の防止」です。これも地元の方々の要請が強いテーマということで、仮称にしていますけれども、このテーマで開催したいと思います。
申込み方法ということで、消費者委員会ホームページとなっていますけれども、きょうの段階ではまだホームページにアップしていないようですが、是非これも、皆さんに周知と御参加をお願いしたいと思います。
事務局からは以上です。
≪6.閉会≫
○河上委員長 どうもありがとうございました。
本日の議題は以上でございます。お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございます。
最後に、事務局から今後の予定等について説明をお願いします。
○原事務局長 次回の委員会につきましては、11月13日(火曜日)の16時からを予定しております。議題は、本日に引き続き、健康食品についてのヒアリングを予定しております。
資料12(PDF形式:351KB)として、消費者委員会のホームページを紹介させていただいております。委員会速報や建議・提言等のフォローアップの結果についても、随時、情報を更新しています。今後も、一般の消費者にわかりやすい調査審議、委員会活動の広報強化のため、皆様からの御意見をいただきながら充実改善を図ってまいりたいと思います。
○河上委員長 一度ホームページをあけていただいて、そこに並んでいるバーを押していただくと、いろいろと新しくなっているところが見えますので、試していただければと思います。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。
(以上)