第99回 消費者委員会 議事録

日時

2012年9月4日(火)17:30~19:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、小幡委員、川戸委員、
 田島委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
消費者庁 堀井消費者制度課長
小田内閣府大臣官房審議官
服部内閣府参事官
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.集団的消費者被害回復に係る訴訟制度について
○説明者: 消費者庁  堀井消費者制度課長
3.医療機関債について
4.「国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の在り方に関する検討会」報告書について
○説明者: 国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の在り方に関する特命チーム
小田内閣府大臣官房審議官
服部内閣府参事官
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:7KB)
【資料1】 集団的消費者被害回復に係る訴訟制度案関連資料(消費者庁提出資料)
【資料2】 医療機関債に関する消費者問題についての提言(案)(PDF形式:165KB)
【資料3】 「国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の在り方に関する検討会」報告書関連資料
【参考資料】 委員間打合せ概要(PDF形式:85KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第99回)」の会合を開催いたします。
本日は、所用によりまして、稲継委員、夏目委員、細川委員が欠席となっております。
配付資料の確認につきまして、事務局から説明をお願いします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、一覧は議事次第の下に書いております。
資料1の関連は、「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度案関連資料」ということで、消費者庁から御提供いただいた資料です。
資料2は、本日、消費者委員会として「医療機関債に関する消費者問題についての提言」をまとめたいと思っておりますので、その案をおつけしております。
資料3の関連ですけれども、「国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の在り方に関する検討会」報告書がまとまりましたので、その関連の資料でおつけしております。
最後に、参考資料といたしまして、8月28日に委員間打合せを行っておりますので、その概要をおつけしております。
不足の資料がございましたら、審議の途中でお申出いただければと思います。
以上です。

≪2.集団的消費者被害回復に係る訴訟制度について≫

○河上委員長 それでは、議題に入りたいと思います。
初めに、「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度について」でございます。消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただき誠にありがとうございます。
集団的消費者被害回復に関する訴訟制度につきましては、消費者委員会において、「集団的消費者被害救済制度専門調査会」を平成22年8月に設置し、約1年間、調査審議を行い、昨年8月に専門調査会報告書という形で取りまとめました。その後、消費者庁において、昨年12月に制度の骨子を策定した上で意見募集を実施し、さらに、さまざまな団体や関係者への説明会や意見交換会を実施するなど検討を進めてこられたところでございますが、先般、消費者庁においてより詳細な制度案を取りまとめて、現在、再度意見募集を実施していると伺っております。本日は、消費者庁から、集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の案について御説明をいただきまして、その点について議論を行いたいと思います。
それでは、説明をお願いいたします。恐縮ですが、説明は20分程度でお願いできればと思います。

○消費者庁堀井消費者制度課長 消費者庁消費者制度課長の堀井でございます。本日は説明の機会をいただきまして、ありがとうございます。
ただいま、河上委員長から御紹介がございましたように、この制度につきましては、昨年の12月、骨子について意見募集を行わせていただきました。本日、配付資料ということで用意をしていただきました資料1-3でございますが、これは、その意見募集の際にいただいた皆様からの御意見を主なものということでまとめまして、その御意見に対する消費者庁の考え方をまとめたものでございます。
時間の関係で詳細の説明は省略させていただきますが、資料1-3の表紙に書いてございますように、23年12月9日~12月28日までの間、募集をしたところ、214(団体・個人)の方から、単数のみならず複数の御意見を頂戴したということでございます。意見の内容については、意見募集をした制度全体でございますとか、あるいは個々の項目について、多岐にわたる御意見をいただいたという状況でございました。
このような意見募集の結果、また、委員長から御紹介いただきました、いろいろな団体あるいは立場の方々との意見交換の結果を踏まえて、資料1-1ということで御用意させていただきました概要、そして、1-2でお示しした制度案について意見募集を再度行っているところでございます。現在行っている意見募集の期間は、8月7日から9月6日までということで約1か月間、募集をしている状況でございます。
それでは、資料1-1に従いまして、概要ですとか、昨年12月の骨子のときからの変更点の主なものについて、御説明をしたいと思います。「訴訟制度の概要」というところで、薄いピンク色と水色で二段階の訴訟という形で書いてありますが、二段階型の新たな訴訟制度の創設が非常に特徴的なところでございます。
具体的なイメージでこの制度を御説明しますと、多くの消費者の方々が同じような共通する問題を抱えていて、過去にもいろいろそういう事案はございました。例えば、悪質商法で不法行為に該当するようなもので、同じような形でだまされて被害に遭うとか、あるいは判決でも出ていますが、入学金、授業料の返還、学納金、そういったことで、同じ事案で複数の方に被害が出ているような事案が発生したとします。
そういう場合、個々の消費者の方では法律上どういう問題があるかわからない。あるいは訴えるにしても、費用ですとか、負担がどういうふうにかかるかわからないということで、例えばこの制度でいきますと、一番左側にありますが、「特定適格消費者団体が訴えを提起」というところでございます。
現在、消費者契約法に基づき差止請求権を行使している団体のうち、新たな認定要件を満たすものを内閣総理大臣が認定をしようと考えています。こういう団体に個々の消費者の方から相談があったり、そういったものを端緒として団体がリサーチをしたり、そういうリサーチの結果、資料の下に「対象となる事案」と書いてありますが、主だった要件に該当すると、団体が専門的観点から見た結果、認めたものについて訴えを提起するということになります。その下に対象となる事案ということでいくつかポイントがありますが、事業者が消費者に対して負う金銭支払義務、消費者契約に関するものということで、マル1からマル4までありますが、そういう事案ということでございます。
この団体が訴えを提起しますと、一段階目の手続、これは共通義務確認訴訟と称しておりますが、この手続が始まっていくわけでございます。一段階目では、共通義務があるかどうかというところを審理します。共通義務とは何かというのは、上の「二段階型の訴訟制度」と書いてあるところにも解説があります。注で書いておりますが、「事業者が相当多数の消費者に対して、消費者に共通する事実上及び法律上の原因に基づき、金銭支払義務を負うべきこと」の確認を求めるということになっています。
その共通義務のところですが、これは昨年12月の意見募集で、「共通争点に関する審理」と書いてございましたところを変更したものになっています。その変更の理由ですが、意見募集の中でも、一段階目の訴訟の対象を明確にするべきであるという御意見が寄せられました。実際の裁判実務を踏まえつつ関係省庁などとも相談をしたところ、共通争点と言いますと、消費者が被害を受けている事案におきましては、法律の事実上、さまざまな争点が予想されます。結局、一段階目の手続での審判対象、民事訴訟法上、訴訟物になると思いますが、それをわかりやすくすることを考え、判決主文がわかりやすくなるとそれは消費者にとってもわかりやすいということになります。そういう観点から運用なども勘案して、「共通争点」は「共通義務」ということで、今回、変更したところでございます。
そして、個々の消費者が寄せてきた事案で、例えばその契約内容が共通していて違法なものであるとか、そういう部分のエッセンスを審理して最終的に請求が認められたということになりますと、二段階目の手続の個別の消費者の債権確定手続というところに移ってきます。一段階目の手続は管轄がある地方裁判所に訴えられることになります。場合によってはそれが上訴されていくこともありますが、二段階目の手続になったときは、一段階目の審理をしたのと同じ地方裁判所で、二段階目の手続を進めるということをイメージしておりますが、二段階目の手続になるということは、団体がその二段階目の簡易確定手続開始の申立てを裁判所に対して行うという手続を、一番初めに置いているところでございます。
二段階目の手続が開始決定というのが裁判所でされますと、具体的に団体は個々の消費者に通知・公告をすることになります。イメージとしましては、決定がなされましたら、この事案に該当する契約をした人、あるいは、こういうふうなことで条件がある人ということで、個々の団体が個々の消費者に対して、場合によっては、住所ですとか電子メールアドレスなど連絡先を把握している場合は、そういった手段で通知し、また、例えばホームページなどで通知・公告をして、個々の消費者に呼びかけるという手続になります。
連絡を受けた消費者は、その事案に自分が該当する、確かにこういうふうな契約書もあったという場合ですとか、ホームページを見たり、あるいは、消費者庁のホームページでもそういう情報を提供しようと考えていますので、そういう意味で思い当たるということになりますと、併せて、通知あるいは公告をされている団体の連絡先にアクセスして相談をすることになります。そして、いよいよ該当するということになりますと、団体に対して授権ということでお願いをすることになります。こうやって、個々の消費者が二段階目になって初めて入ってくるというイメージになると思います。
そうしますと、団体は集めた個々の消費者の授権に伴って、個々の消費者で、私はいくらこういう被害を受けています、私はいくらですと、そういうのをまとめた形で裁判所に団体が届出を行うことになります。裁判所がそれを整理しまして、事業者に対して、こういったものが来ていますがどうですかということで、事業者がそれについて認否を行うということになります。全部認めましたという場合については、その内容で確定することになろうかと思います。これは認める、認めないということが事業者から示されて、それは認否として争いますということになりますと、裁判所が両者の主張を見て簡易に確定して決定をするということで、個々の消費者の方々の債権を決定する、そういう流れを考えています。
基本的にはこれで簡易に決定するところがこの制度のポイントと考えていますが、個別に決定内容に異議があるということで、通常の訴訟手続にという場合は、異議後の訴訟という手段も用意をしていくという流れになります。これが全体の流れのイメージでございます。
この箱の下に仮差押えという形で記述がございます。「特定適格消費者団体は、強制執行ができなくなるおそれがある場合などに、対象債権の総額の範囲で、仮差押命令の申立てをすることができる」と書いています。現行の民事訴訟におきましても、民事保全ということで民事保全法に基づいて仮差押申立てが可能になっておりますが、意見募集を昨年12月に骨子について求めたときには、個々の消費者の授権を受けて、こういう仮差押えの申立てを団体がすることをお示ししていたところでございます。
一方で、個々の消費者の授権を受けてということになりますと、二段階目で個々の消費者からの授権を受けるところまで待つのだろうか。速やかな保全という観点からは、できるだけ早く保全ができた方がいいのではないかという御意見もありました。今回、仮差押えにつきましては、一段階目の提起の前、あるいは一段階目の手続中でもいいのですが、団体が行うことができるというふうな形で変更を加えたところでございます。
下に※印を3つほど書いてありますが、※1は先ほど御説明をしたところです。※2は、パブリックコメントで和解をした場合、二段階目の手続が使えるようになればいいという御意見もあり、それから、和解については個々の消費者の授権を得てすることができると。これもそういうふうにしていたのですが、個々の消費者の授権を受けてだと、和解が狭い範囲にとどまる可能性もあるという御意見もいただいたところでしたので、※2のところで、事業者に共通義務があることを一部認めるもの、あるいは全部認めるものという訴訟上の和解であれば、二段階目の手続の開始を認めるという変更をしたところでございます。
※3でございますが、一段階目の判決の効力は、原告(ここの原告は特定適格消費者団体になると思います)及び被告(事業者)に及ぶほか、二段階の手続で債権を届け出た消費者にも及ぶということを書いています。したがって、一段階目、団体が勝っても負けても、団体の間では判決の効力が及ぶ形にし、団体の中で運命共同体的に訴訟を遂行し、あるいは蒸し返しのような形で別の団体が訴えることについてはできないという制度設計にしております。
対象事案につきましては、先ほども一部説明をさせていただきましたが、金銭支払義務で消費者契約に関する以下のものということで記載してありますが、その次の括弧のところでございます。裁判所が簡易確定手続で債権の存否・内容を適切・迅速に判断することが困難であると認めたときは、例えばマル1からマル4までの要件に該当した場合であっても、共通義務確認の訴え、すなわち一段階目の訴えを却下することができるという要件設定にすることを考えています。これは専門調査会の中の御議論でも、支配性についての議論ということで御意見がいろいろ出たところですが、それはこういった形で規定する。二段階目に行って手続が重くなるということで、本来この制度を設けた趣旨を減殺するようなものについては、このような形で裁判所の判断に委ねることを考えているところでございます。
マル1からマル4は、対象事案とその被告ということで、基本的には消費者契約の相手方ということで考えてございますが、不法行為に基づく損害賠償請求については、現在の消費者被害の実態を見まして、一部履行する者、あるいは勧誘をするなどの対象者を広げることを考えているところでございます。
マル3、マル4は損害賠償請求についてですが、これは、消費者契約の目的となるものについて生じた損害または契約の目的となるものの対価ということで考えています。消費者契約の目的ということで、基本的に拡大損害という形のものを除くということで、あとは本文のところの書き方で、生命・身体事案についても対象外とすることを考えています。ここの部分の基本的な考え方につきましては、昨年12月にお示しした骨子と大きく変更することはございません。先ほどの共通争点を義務と書きかえたというところが大きいところでございます。
そして、通知・公告をして個々の消費者に呼びかけるというところについて詳しく書いたのが、図の右側、「簡易確定手続に消費者の加入を促す仕組み」というところでございます。基本的には特定適格消費者団体が対象となる債権を有する消費者に対し書面などで個別に通知を行う。相当な方法は、インターネット等でホームページを活用することも考えられますが、公告することも可能というふうに考えています。
通知・公告事項というのは、被害回復裁判手続及び事案の概要ということで、要は、この訴訟制度はどういうふうな手続か、今回の事案はどういうことか。あるいは、今回対象となってくる債権ですとか、消費者の範囲はどうか。つまり、どのような行為が不法行為ということで認められて、こういう契約を誰それとして、こういう形で被害がいつからいつまでの期間あったような方とか、多分そういう呼びかけの仕方になってくるだろうというふうに思います。それで、申立てをした団体の名称・住所、こういったことを個別に通知をすることになると思います。この費用については、特定適格消費者団体が負担をするということで考えているところです。
ただ、通知・公告費用については非常に関心が高い。特に事業者の方も関心が高いところでございまして、事業者として通知・公告に当たってやらなくてはいけないことを下のところに書いてございます。これは、団体から求めがあったときということになりますが、インターネットの利用、適当な方法、営業所の中に通知をするとか、掲示をするとか、そういったことで、対象となる債権、消費者の範囲その他の事項を公表することを定めることを考えています。
次に、対象消費者の情報が記載された文書。これは通知・公告するに当たって、住所・氏名をもとに団体が電子メールを出したり郵便を出したりするわけですが、一番初めの段階で、こういう訴えを提起するということを判断するに当たって個々の情報を得るわけですけれども、そうかといって全ての消費者の情報を把握するということにはなりません。そういう意味で、事業者が持っている情報というのが非常に貴重になる。一段階目に事業者が敗けて二段階目に移った場合には、そういう団体からの求めがあったときは、対象消費者の情報が記載された文書の開示を義務化するということで考えているところでございます。それでも義務に応じてくれないところがあることも想定されますので、団体はその場合、裁判所に申立てをして、裁判所から文書の開示を命ずることをしたいと思っています。
一点、この資料と制度案には記載がないのですが、昨年12月の骨子案では、裁判所は事情によって、通知・公告費用の全部または一部を被告である事業者に負担させることができる、そのような記述を入れることを考えておりました。しかしながら、意見募集でいろいろな御意見があり、例えば全部原告の負担とするべきとか、転換の原告が負担をするというところについては、原則として負担とする、あるいは例外なく負担する、原告が負担をするというのはすなわち団体が負担をする、そういう御意見も寄せられたり、一方、逆の御意見も寄せられたり、法制的な観点からも、消費者庁としてここの部分については考えました。
結局、一つのやり方として、今でも民事訴訟法上、敗訴者が負担をするという、訴訟費用になるかどうかというふうな考え方もあるのですが、ただ、訴訟費用にこの通知・公告費を入れるというのは難しいのではないか。というのは、通知・公告をした結果、消費者が加入をしてこないという可能性もあります。あるいは、通知・公告のやり方を柔軟にした方がいいだろうということで、「こう」ということで決めないということで今のところ考えております。
そうなりますと、この費用が一体いくらになるかというのは明確に決められないという部分があって、個々具体に見ていかなくてはいけないということになる。そうなると、なかなか訴訟費用ということで決めるのは難しいのではないか。そして訴訟費用に該当しないということになりますと、それ自体が独立した紛争というか、訴訟手続のようなもので判断をすることが必要なのではないか。一方的に転換をするという形はなかなかしにくいのではないか、というふうに考えたところでございます。したがって、今回、一方的に転換するという形ではなく、裁判所が文書の開示を命じるということにして、開示に従わない事業者に対しては過料という形での実効性を担保することを考えたところでございます。
通知・公告につきましては、インターネットの利用などで、消費者庁としても概要を周知するなどして通知・公告のお手伝いという形にし、個々の消費者の方々のこの二段階目の手続への参加を促していくことを検討しているところでございます。
というのが、制度の概要と主な変更点という状況になっていますが、これをより細かく記載したものが資料1-2ということで、この資料1-2について意見募集を行っているところでございます。例えば特定適格消費者団体の認定の部分について、相当要件が加重されたのではないか、そのような御意見を伺うこともありますが、骨子のときから加重した要件はさほど多くはないのではないかと考えています。
ただ、今回、費用報酬を特定適格消費者団体が受けることができるようにするという観点で、団体の適切な運営ですとか、適正性というのが、消費者・事業者双方から寄せられました。これはもうかるのではないかということで、新たに参入してくるところもあるのではないかというふうなことがありました。そういったことで、今回新たに、消費者契約法に基づく差止請求の関係業務を相当期間にわたって継続して適正に行っているとか、あるいは、民事訴訟の手続は弁護士が追行する、といった要件を新たに付加いたしました。また、個人情報の取扱いですとか、そういったところも含めて新たに追加をしたということになりますが、そういう意味で、必要かつ十分な要件を新たに追加したという認識でいます。
特定適格消費者団体の認定要件については、余りハードルが高くなりすぎて一個もそういう団体がなくなってしまっては困るという御意見も確かにそうなのですが、ただ、制度設計に当たって要件というのは非常に重要なもので、その要件がないと漏れてしまって、想定もしないような団体などが入ってくることになってもよくないと考えていますので、そういう観点から要件設定をしていくということかと思います。
すみません。駆け足となりましたが、いただいたお時間20分だと思いますので、とりあえず説明の方は終わらせていただきます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。いかがですか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。消費者庁の担当課の努力は多とするものですが、適格消費者団体をさらに絞った形でしか訴訟を起こせないものにしたり、対象の範囲がどんどん狭くなっていくような感じで、法律が当初規定された被害救済、あるいは被害の抑止にどこまで機能するのか、非常に心配なところがあります。今、説明いただいたところでも3点、消費者マインドから言うと後退したかなと。つまり、適格消費者団体の認定要件をもっと厳しくしましたとか、あるいは、一段階で勝訴が確定しても二段階で裁判所の裁量で却下できるとしてみたり、それから、前から議論はありましたが、通知・公告の費用を消費者団体が負担しなければいけないと。どんどん狭くなっているのでこれでよいのかなと思うのですが、それでも早く成立させて踏み出していただくことが重要だと思いますので、一日も早く国会に上程していただきたいと強く思います。
質問は山ほどありますが、2点に絞ってお聞きします。一つは適用範囲の問題で、具体的に3つ、端的に教えていただければと思います。
一つは、名簿流出事案です。一般の名簿流出事案は適用対象にならないのは原則だと思いますが、例えば、投資信託会社が顧客の名簿を漏えいしていろいろな問題が起こっているという場合には、契約関係に基づく損害ということになるのではないかと思いますが、その辺はどうなのか。
2番目は、上場企業の株式などについて、ライブドアの問題のような虚偽記載があった場合、特に新規の上場の場合などは、虚偽記載をして上場した会社とその株を買った消費者との間では、契約関係もあると思いますが、その辺はどうなのか。
3番目は、例えば電機メーカーの類型的な欠陥。それによってケガをしたとか、そういうのは入らないというのは第一段階のパブコメでも明らかになっていましたけれども、例えば何とか工場の何とか製の携帯電話は火傷させる傾向があるとか、そういう類型的なものがある場合、これはどうなのかという辺りの適用対象の範囲です。
もう一つは、これは消費者庁・消費者委員会設置法の成立のときに附則がございまして、3年を目途に、「加害者の財産の隠匿または散逸の防止に関する制度を含める、多数の消費者被害を生じさせるものの不当な利益を剥奪し、被害を救済するための制度について検討を加え、必要な措置を講ずる」と書いてあります。この訴訟制度だけではなく、行政的な例えば課徴金を科すとか、その他の制度の検討もしていると思いますが、その目途です。もちろん、今の法案の上程の時期がどのくらいになるのかということも含めて、全体的なタイムスケジュールを差し支えない範囲で教えていただければと思います。

○消費者庁堀井消費者制度課長 御質問、ありがとうございます。対象事案のところについてですが、山口委員長代理からも御質問があったように、前回の意見募集では非常に多数の御意見を寄せられました。個々の団体の方などと意見交換をしているときも、対象事案については御質問が多くなっています。特に自分のところはこれは入らないのではないかとか、入るのではないかとか、そういう御質問が多いのですが、私どもの考え方としては、この制度の創設に当たってそこの制度にふさわしいものを対象とする。同じようなものは同じように取り扱って、適用除外をつくらないという考え方でやっております。ですから、例えばこの事案とかこの製品については除くとか、そういう書き方ではなくて、一気通貫に考え方を整理をして、それに入ってくるか、入ってこないかという考え方にまず立つということで考えています。
今、御質問をいただいた個別のものについては、御意見が多かったので、意見募集の考え方にも記載をしています。資料1-3も併せてごらんいただきたいのですが、ページで申し上げますと10ページでございます。(4)の「具体的な事案」で、個人情報の流出事案についてということでありまして、左側の主な意見の概要をごらんいただきますとおわかりいただけると思いますが、対象事案に含めるべきとか、除外すべきとか、真っ向に全然違う御意見をいただいているところです。基本的な私たちの考え方は右側に書いたような形ですが、特定の分野を明示的に入れる、入れないということではなく、基本的な考え方に合致しているかどうかというので考えようと。それで、「いわゆる個人情報の流出・漏えい事案についても」ということなのですが、当該流出・漏えいによる損害が、物品、権利、役務、その他の消費者契約の目的となるものについて生じた損害であるか、あるいは、その対価かどうかというところで判断をするということになろうかと思っています。
したがって、先ほど、一般的な名簿流出事案が対象外で、投資信託は入るのではないかという御質問があったかと思いますが、投資信託のところがどうというのは、すみません、今この場ではお答えできかねるのですが、しかしながら、名簿が流出してできた損害が本当に目的に生じたかどうかというふうに考えますと、例えば当該個人が流出・漏えいしたことに伴って生じた精神的な苦痛の損害賠償請求ですとか、あるいは悪用されたものというのは、基本的にはこの考え方には合致しないのではないかと考えています。ですから、個人情報だから対象となる、ならないではなく、その事案の中身を見た形での判断ということになろうかと思っています。これが1点目についての回答です。
次の11ページのところで、これも、まさに山口委員から御質問があったところの関連かと思います。有価証券報告書・届出書というところでございます。「いわゆる」というところにありますが、有価証券報告書の虚偽記載という事案、あるいは届出書の虚偽記載事案というところで、その時々の状況を見て、株式を持った人、保有者と発行会社、ここで言うところの発行会社が記載していると考えられますので、ここの間での契約関係の存在というところで見ていくのかなという気がしています。
そういうことからしますと、報告書の場合は市場に流通しているということで、なかなか契約関係が認めにくいというケースが多いかもしれませんが、売出しの発行のときは、場合によっては一部そういった形で契約関係が認められるものもあるかもしれない。そうなってくると、対象になってくる可能性もあるかなというふうには思います。ですから、ケースバイケースということになろうかと思います。
3点目は、例えば電機メーカーですとか、携帯電話という具体例をお示しいただきましたが、そういったところについてでございます。その事案、事案によって考えて、物に何かトラブルがあったりした場合ということだと思いますが、場合によっては対象となる事案ということで、先ほどの図で見ていただいた、例えばマル3のところの瑕疵担保責任ですとか、あるいは債務不履行、そういったところでその物自体についての金額を返すとか、そういったところでの対象性というのは出てくる可能性はあるのではないかというふうに思います。
しかしながら、その場合、相手方となる被告は契約の当事者ということになりますので、基本的にはメーカーというよりは、その売買をした、消費者契約ということで見た場合の相手方ということになるかと思います。その場合、本来的な責任がメーカーにあるということであれば、その訴訟の中での訴訟参加を求めたりとか、当然のことながら、対象となった消費者契約の事業者、小売とかそういったところが対象となったとすると、そういう小売からメーカーに対する求償権というのはありますので、訴訟参加などを求めていくとか、そういった形の対応になる可能性があると考えています。
また、携帯電話で火傷しやすいというふうなお話がありました。本当にその携帯電話で火傷をするかどうかは別にして、一つの例ということでそういうケースがあったとしても、火傷の生命・身体事案は対象外になりますので、その携帯電話自体に著しい瑕疵があってとか、そういったことで、そこの部分についての代金の返還ですとか、あるいは修補請求とか、そういったところの局面で対象になってくるのかなというふうに思います。したがいまして、わかりやすい個別の3つの御質問をいただきましたが、基本となるこの対象事案の考え方に合致しているかどうかということなので、この製品はとか、この物はとか、この分野はということで除外をするという考え方に立っていないということでございます。
そして4つ目ということで、こちらの図の右上のところにも書いてありますが、消費者庁及び消費者委員会設置法の附則6項との関係での御質問がありました。こちらの図の青字で書いてある加害者の財産の隠匿云々というところについては、今回検討しているこの訴訟制度、非常に大きい案件ということで、消費者庁として鋭意検討していますが、財産の隠匿・散逸防止策につきましても、研究会を昨年の10月に立上げをして、発足後12月に一度取りまとめをしたものが、今回、消費者安全法改正案が無事成立しまして、いわゆる隙間の重大な財産被害に対する多数消費者財産被害自体に対する直接事業者への勧告命令、そういう内容ということで結実をしたのが一点ございます。
それ以外にも、財産の隠匿、散逸防止、経済的不利益賦課については、現在、検討をいろいろな観点からしていただいています。夏に改定した消費者基本計画の中では、平成24年度中を目途に取りまとめをするということで記載されていますので、そのスケジュール感にのっとった形で、その研究会については検討を進めていくことになろうかと思います。
併せて、訴訟の法案についてのスケジュール感ということもありましたが、こちらは、先ほどの意見募集の御意見、また、こういったものでもいろいろ御意見が寄せられることになろうと思いますので、そういったものも踏まえて、消費者庁としては一日でも早く成案化をして国会に出せる環境が整いましたら、出していきたいという気持ちは変わっていないということでございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 2つ質問があります。一つは、資料1-2の16ページ、その他ということで、「(3)特定適格消費者団体への協力等」というところで、国センと地方公共団体が団体の求めに応じて所定の情報を提供することができるという記述があります。この所定の情報というのは、具体的にどのようなことを想定されているのかというのが一点。
それから、消費者の立場からすれば特定適格消費者団体が身近にあった方が安心できるのではないかと思いますけれども、一方で、現に適格消費者団体自体が全国に10しかないということからすると、すぐさま全国的に団体がつくられていくという状況にもないと思います。この制度の実効性を担保するという観点から、特定適格消費者団体の適切な規模感というのがどのくらいあったらいいのかというお考えがあれば、お伺いしたいと思います。

○河上委員長 どうぞ。

○消費者庁堀井消費者制度課長 1点目の16ページの4の(3)の部分ですが、これは現在でも、差止請求権の行使などに当たりまして、PIO-NETなどで集めた情報の中で端緒になるものについて、団体の求めに応じ提供するというふうな形で運用をお願いしています。同様のことを想定しているというのが1点目のお答えでございます。
2点目の数の規模感というところで、以前、差止の団体訴訟制度を設けたときに、1都道府県に1つずつというふうなことを、発言をしたことがあるというふうなことを聞いたことがありました。ただ、正直、今が10というのを考えると、5年間で10ぐらいというのは少ないという御指摘を受けうるのかなという気はしています。ただ、数を増やせばいいというものでもないというところが事実ありますので、事業者の方からも信頼を得て、さらには、その団体の活動が消費者に影響を及ぼすということからいくと、数が先にありきということでもないのではないかという気がしています。
そこで我々としては、実際の今の適格消費者団体の活動を見ていましても、当然のことながら、ある県にはあるわけですけれども、その県の県民のためだけではなく、全国的な活動を視野に入れて活動できる団体を念頭に認定しております。したがって、ある程度の地域性は当然あるのですが、ある県の団体がその隣の県の消センですとか、あるいは関係する団体と連携を取って、そこの事案も拾ったりという運用を今はしていますので、当面は、そういう運用も含めてやっていく。そして、事業者の方、消費者の方から信頼を得られていく団体を増やしていくということかと思っています。
あと、以前も消費者委員会でいろいろと御指摘をいただいたのですが、その支援の在り方というものについては引き続き考えていきたいと思います。

○河上委員長 どうぞ。

○小幡委員 集団的消費者被害を団体にまとめて救済をやっていただくという、前から何度も説明がございましたが、ともかく早く成立させていただきたいと思っている大変重要な制度だと思います。改めて手直しをして、またパブリックコメントにかけるということですので、我々は前にも一度説明を受けて、また今度手直しということで、どこが変わったのかという辺りが気になるところですが、先ほどからございますように、確かに訴訟担当ということで、費用を受けるということになるので、この特定団体のところが書き込まれているのですが、余りそれほど心配も要らないのではないかと思うのですが、厳しめに変わっているのではないかということについて、いろいろ消費者団体の方からの思いというのは当然あろうかと思います。ただ、これは運用上、それほどの変化ではないのかどうかという辺りがよくわからないので、その辺りお伺いしたいということが1点です。
もう一点、二段階目で実際に被害に遭われた方を把握するというところで、事業者団体から情報をもらうというところですが、これはそもそも情報開示義務を課しているわけですね。課しているけれども、事業者が従わない場合のことを考えて裁判所をまたそこで介入させる、そういう仕掛けになるのでしょうか。そうすると、一段階目で共通義務確認訴訟で判決を得た後、新たにまた別途これだけやるという感じなのか、その辺りをお聞かせ願えますか。

○消費者庁堀井消費者制度課長 1点目については、特に団体の認定のところの運用という御趣旨かと受けとめましたので、そういう観点で御説明をしたいと思います。そもそも前回、骨子を公表したときは9ページで、今回、17ページになって、全体として制度設計の進捗に応じて詳しく書いているというところがまず一つはございます。
それ以外に、制度案の本体の12ページをごらんいただければと思いますが、特に前回新たに書き込んだポイントを御説明しますと、12ページの第3の1の(2)にマル1というのがございます。これは先ほども御説明しましたが、今回これを新たに、パブコメの結果も踏まえて要件設定をしました。それは、団体としての適正性を求める声が事業者・消費者双方からありましたので、そういうことで適正性を求めたということになっております。
あとの要件の部分については、基本的な考え方は骨子のときもお示ししていたと申し上げられるのではないかと思います。
ただ、13ページの(5)、(6)、(7)、(8)、(9)ということで、ここまで骨子のときに書いておりませんで、今回改めて記載したので、ちょっと目立つところかもしれませんが、特定適格消費者団体を認定するに当たって必要な技術的な事項ということで、現在の差止めを行う適格消費者団体に当たっても類似の規定は設けているところです。ここは、そういう意味では技術的な内容ということでごらんいただければいいのかなというふうに思っています。
あとは、14ページの「(2)弁護士に遂行させる義務」、これは今回新たに設けたところになっています。理事として弁護士を選任するというところは前からあったのですが、専門性の確保という御意見も非常に強くいただきましたので、弁護士法の72条の規定なども念頭に置いて、弁護士の遂行義務を新たに規定したというところがあります。
(3)の「他の特定適格消費者団体への通知」も、考え方としてはあったのですが、改めて書いたということになります。ただ、これもそういう意味では要件を付加したというよりは、先ほどお話ししたように運命共同体的な部分がございます。そういったことで通知をするという趣旨です。
(4)の「個人情報の取扱い」ですが、骨子のところにはここまでは書いていなかったと思います。要は、今の個人情報保護法は5,000件を超えるデータを取り扱っている者に対する義務ということですので、特定適格消費者団体が、5,000という数にかかわらず適正に管理ができるようにという要件ですので、ある意味、これも当然のことです。次の(5)の「秘密保持義務」ですとか、(6)の「財産上の利益の受領の禁止等」、これも特定適格消費者団体からすれば当たり前の要件という気はしております。
したがって、次の15ページの「監督」についての記述も、今の適格消費者団体の認定についても類似のものが要るというふうな形になりますので、そういった意味では行政監督に必要な規定を設けている。今の監督は厳しいという別の観点の御指摘はあるかもしれませんが、そういう形で、今回、特定適格消費者団体については記述をさせていただきました。

○小幡委員 今のことで一点。そうすると、12ページのマル1の「差止請求関係業務を相当期間にわたり継続して適正に」とあるのは、何が適正かという審査基準を新たに設けてチェックをしていくということがやられるのでしょうか。

○消費者庁堀井消費者制度課長 おそらくガイドラインのようなもので、相当期間がどれぐらいかとか、内容の適正性というのはある程度は書くことになろうかと思います。ただ、それは今後、実際の団体の活動内容を見て決めていくことになると思いますが、不必要に過度という形にはならない。ただ、必要なものを入れるというイメージになると思います。
続きまして、小幡委員からいただきました2点目の情報開示義務関係でございます。これは建付けとしましては、まず、団体が事業者に出してくれというふうに言って、そもそも義務がかかっている。それで従わないときに、申立てを裁判所にするというものを考えています。しかしながら、すぐ裁判所に申立てをして命令してもらうという形も排除しないという形で考えていますので、その時々の事業者のスタンス、状況に応じて、団体としては効果的なやり方を見ていくという形で情報開示を求める。それで命令に従わない場合には過料という形を流れとして考えています。

○小幡委員 二段階に行くためには必ず必要な情報かと思うので、時間がかかるのではないかということです。

○消費者庁堀井消費者制度課長 冗長にならないようにということです。

○小幡委員 できるだけ速やかに動かせる方がよいかと思いますので、どのようにやっていくのかという質問でした。

○消費者庁堀井消費者制度課長 直接申立てをするというケースも、場合によっては、事業者が非協力的であると思われるものについては直接というケースもあると思います。

○河上委員長 よろしいですか。予定していた時間をだいぶ超えてしまいました。私も聞きたいことがいろいろあって、どうも済みません。イエス・ノーだけで答えていただいて結構なのですが、例えば消費者契約法の規定に基づいて事業者が誤認惹起行為をしたときに、消費者がそれによって錯誤に陥って契約をした。取消権が行使できるかどうかが争われ、その結果、取消権が認められれば不当利得に基づいて代金の返還請求ができる、こういう訴えがあったとします。
そういうときに、集団で集めたときには、消費者契約法上の要件の中で不実表示の部分だけを見るということにならざるを得ないでしょうね。不実表示によって錯誤に陥って契約をしたという部分までは認定できないですから、そうすると、要件としては不実表示の部分だけを客観的にとらえるほかないですね。

○消費者庁堀井消費者制度課長 その段階ではそうだと思います。

○河上委員長 となると、第一段階での違法性の判断というのは個別事情からは外れざるを得ないということ、それでよろしいですか。

○消費者庁堀井消費者制度課長 基本的にはそのように考えていますが、ただ、取消権の行使との関係は、いろいろシミュレーションをしてみなければいけないかなと思うケースはあると思います。

○河上委員長 第2番目ですけれども、第一段階で判決が出たという場合は、遡及効がどこまで及ぶのか。従来の判決で敗けていたけれども、今回、同じようなものについて違法だという判断が出た。そうしますと、それまでの契約をしていた人たちみんな、また集合訴訟で第二段階で集まってきますが、前に敗けた人は入れないのですか、それとも入れるのですか。

○消費者庁堀井消費者制度課長 入れないと思います。個々の裁判の判決効が及ぶところは入らない。

○河上委員長 では、時効になっていない限りで、個別の、今まで訴訟にかかわってこなかった人だけが第二段階で訴えられると。

○山口委員長代理 時効は中段しますから。

○河上委員長 時効が中断していれば別ですが。

○消費者庁堀井消費者制度課長 要は、請求権が消滅しているようなものということですね。

○河上委員長 そうですね。
もう一つ、このスキームを使いたくない人がいたときには、その人は改めて別個に当事者との間で通常訴訟をやっていいのですか。

○消費者庁堀井消費者制度課長 はい。

○河上委員長 ほかにも、いろいろな制度上の疑問点とか、難しい問題があると思います。実は、民事訴訟の判決の効力がどのくらいまでほかに及んでいくかという、既判力と言いますけれども、その既判力を、ある種の争点について広げていくということでは画期的な訴訟制度ということになります。これを実際に現実に移すためには、制度的にも法律的な詰めでも大変難しい問題がたくさんある。あるいは、外から見ると消費者庁がグズグズとしているように見えたかもしれませんが、これはそうではなくて、本当に詰めなくてはいけない問題がたくさんあったということで、個人的にはここまでよく頑張られたというふうに思います。
消費者委員会としても、この制度によって救われる消費者は随分たくさんいますから、こうした制度をうまく設計してすみやかに立法化していただきたいということで、いろいろと意見を出してきたということころです。その意味では、立法に向けて消費者委員会としても全面的にバックアップして支援したいと考えております。
その上で、制度の創設に向けて幾つか要望がございます。一つは、速やかな立法化を是非お願いしたい。現在でも早期創設に向けて取り組んでいただいていると考えますけれども、消費者からの要望をたくさん受けておりまして、できるだけ早く施行できるようにということで取組をお願いしたいと考えております。
2点目は、実効性のある制度の構築にしていただく必要があります。消費者被害の回復の実効性をより高めるという観点で、例えば責任財産の保全の問題とか、いろいろな問題がございますので、その辺についてもきちんとした形での対応をお願いしたいと思います。当事者となりうる者の認定要件についての話は先ほどございましたので、もう繰り返しません。
3点目は、消費者に対する通知といいますか、この制度の存在を知っていただいて、これによって自分は救済される可能性があるということを知らせる広報をしっかりお願いしたい。知らないで泣き寝入りしたままになっている方がいらっしゃいますので、そういう対応に差が出ることがないように、制度創設に当たってはより多くの消費者に認知してもらえるように、わかりやすい周知方法あるいは広報の方法を検討していただければありがたいと思います。今後、引き続いて速やかな立法に向けて尽力をお願いしたいと思います。きょうはどうもありがとうございました。

≪3.医療機関債について≫

○河上委員長 引き続いて、「医療機関債について」でございます。医療機関債の勧誘をめぐるトラブルにつきましては、昨年度から各地の消費生活センターに多くの相談が寄せられておりまして、消費者委員会では8月21日の第98回委員会におきまして、国民生活センター、東京都、消費者庁、厚生労働省にお越しいただきまして、医療機関債に関する消費者問題についてのヒアリングを行ったところであります。
本日は、前回の委員会での議論等を踏まえまして、関係省庁に対して医療機関債に関する消費者問題についての提言を取りまとめていきたいと思います。お手元に資料2ということで、「医療機関債に関する消費者問題についての提言(案)」及びそれに関連する資料を配付させていただいておりますので、これをごらんになりながら提言案について御検討いただければと思います。
では、その説明については山口委員長代理からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山口委員長代理 時間の制限もあります。次のテーマの参事官ももうお見えになっていますので、この文章はそのものとして読み上げませんで、いきさつのところを御説明させていただければと思います。
実は消費者委員会では、今年7月の初旬ごろから、医療機関債の問題を何とかしなければということで検討を始めております。昨年の8月には国民生活センター、今年の1月には消費者庁がそれぞれ注意喚起を行っているのですが、メディアの報道もそれほどなされず、医療機関債の怪しげな販売がその後も続いてきたといういきさつがありまして、いつこれが破綻するのかという状況になりました。それを踏まえて7月17日には、大阪府警が一法人の強制捜査に踏み込むという事態もありまして、これはいよいよ消費者委員会として何とかしなければいけないという問題意識から、8月21日には、先ほど委員長がお話しになったようなヒアリングも行って審議をしたところです。
その結果、この提言案にありますように、3点、少なくともこれは明らかなのでこれを提言したらどうかということであります。
1番目は、行政、特に厚労省が医療機関債の発行の実態を把握する仕組みがないということ。現在、幾つの医療機関が合計幾ら出しているのか質問しましたが、把握していないということでした。これではやはりまずいのではないか。
2番目は、医療機関債をめぐる消費者トラブルに対処するためには、都道府県内の関係部局や、消費者庁と都道府県などが緊密な連携を図る必要がありますが、特に福祉・医療部門と消費者部門との連携が必ずしもうまくいっていないという実態があります。
3番目は、厚労省がガイドラインを医療機関債について出していますが、このガイドラインは、少なくとも消費者保護の視点はないと言わざるを得ないぐらい、どうなっているのかというようなガイドラインになっておりまして、これは、やはり消費者保護の観点から見直しが早急に必要だというところがございます。
この3点について、提言をしてはどうかということであります。
なお、2番目の関係省庁との連携の問題ですが、迅速な注意喚起を行うことは消費者被害の被害防止に有効ですが、消費者安全法では、消費者庁が持つ報告徴収、立入調査などの権限を都道府県などに委任できると規定されていますけれども、運用上、本件のような財産被害などには活用されていません。法律上はできるはずなのですが、活用されていない。このために消費者庁は、この委任の範囲を拡大させることなどによって、都道府県が消費者安全法の運用に参加できる環境を整備すべきだと考えられますので、この点もこの提言の中に含んでおります。
実は、医療機関債は金融商品取引法の適用対象になっていません。医療機関債も金融商品取引法の適用対象にするべしという提言もあり得るのではないか、あるいは建議もあり得るのではないかということでさんざん議論したのですが、発行の個々の金額あるいはトータルの総額も、例えば学校債などは100億円以上トータルでは発行されているが、医療機関債は圧倒的に少額です。ですから、学校債は原則として金融商品取引法の適用対象になっているわけですけれども、医療機関債についてはそれほどの金額ではなさそうだということもだんだん明らかになってきておりまして、今回提言をして様子を見て、厚労省の対応いかんでは場合によっては建議をせざるを得ないのではないかというところです。厚労省に頑張っていただきたいというところで、提言をしたらどうかということです。
以上、説明を終わります。

○河上委員長 前回の消費者委員会である程度論点は出てきておりまして、委員の間からの意見も披露させていただいております。今回のこの提言案は、その文言化というか、文章化ということでございますので、読んでいただいて御確認ください。何かこの案に関して御意見がありましたら、発言をお願いします。いかがでしょうか。特によろしゅうございますか。
本当は資料などもつけて建議のような形にということもありましたし、先ほど山口委員長代理からも話があったように、踏み込んで、いろいろ投資詐欺との関係を議論した上でというようなこともあったのですが、この問題に対して早く発信をしておいた方がいいだろうということで、提言という形でまとめさせていただくことにしたいと思います。

○山口委員長代理 よろしいですか。提言の2ページの欄外に出資法の説明が書いてあります。実は厚労省のガイドラインには、出資法違反にならないように気をつけましょうと書いてあるのですが、4つの要件が出資法の1条あるいは2条の違反要件になると言われていまして、不特定かつ多数の者からお金を集めるということが一つ。2番目が、これは当然ですが、金銭の受け入れであること。3番目が、元本の返還が約されている。つまり元本保証です。ここまではわかりやすいのですが、4番目の「主として預け主の便宜のために金銭の価額を保管すること」。ここのところがわかりにくくて、もう少し出資法の内容も議論してはどうかという議論もあったのですが、とりあえず今回は、医療機関債については特に出資法のこの辺の問題にも触れずに、まずはきちんとやろうよという厚労省及び消費者庁へのお願いということでとどめさせていただきます。

○河上委員長 では、この提言案について皆様の御了解をいただいたということで、厚生労働大臣、消費者担当大臣宛てにこの提言を発出したいと思います。
なお、この提言につきましては、委員会終了後、19時を目途に消費者庁の記者会見室において、私と山口委員長代理で会見をさせていただくことを予定しております。

≪4.「国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の在り方に関する検討会」報告書について≫

○河上委員長 それでは、次に移らせていただきます。続きまして、「国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の在り方に関する検討会報告書について」であります。この報告書が出たことは既に皆さん御承知のとおりかと思いますけれども、小田審議官、服部参事官においでいただきまして、説明をお願いしたいと思います。
「国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の在り方に関する検討会」では、消費者庁、消費者委員会、その他の消費者行政にかかわる体制の在り方と、国民生活センターの機能を担う国における組織の具体的な在り方の大きく2つの論点について、本年2月以降、全部で14回にわたって検討が行われまして、去る8月22日に報告書が取りまとめられたという経緯でございます。
きょうは、その検討会の事務局を担当された小田審議官と服部参事官から報告書について簡単に御説明いただいて、議論を行いたいと思います。
それでは、報告書について簡潔に説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○小田内閣府大臣官房審議官 私の方から御説明をいたします。
検討会の報告書、資料3-13-2をお配りしておりますが、概要の3-1に従って簡単に御説明させていただきます。左側のページに、冒頭、2つの四角がございますが、これは検討会の出発点でございます。1つ目が附則3項、「消費者行政に係る体制の更なる整備を図る観点から検討」というのがございます。2つ目が、今年1月の「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針」、閣議決定されたものでございます。国民生活センターについては、平成25年度を目途に本法人の機能を国に移管するということで決まっております。これらを出発点として検討されたということでございます。
検討事項は、今、委員長から御紹介いただきましたとおり、2点ございます。検討事項1は消費者行政の体制の在り方、検討事項2は国民生活センターに関係する部分でございます。
まず、検討事項1からかいつまんで御説明をさせていただきますと、この検討会で有識者のヒアリングをしましたときに出た意見、3つグループ分けをして検討されました。「司令塔機能の発揮」「消費者行政を担う職員の養成・確保」「総合力の充実」でございます。時間の関係もありますので、司令塔機能の発揮のところの2つの点をかいつまんで御説明させていただきます。
まず、マル1にございますが、消費者行政の推進には多くの省庁が関与しているわけですので、一元的に推進していくためには強力な権限が必要だというのがこの検討会のお考えであります。消費者庁及び消費者委員会設置法が成立したときに、特命担当大臣に総合調整権限というのが付与されておりますので、まさにこうした権限の活用を行うこと。それから、以前からございましたけれども、消費者政策会議、これは総理が議長で全閣僚がメンバーでございます、こうした会議もございます。こうしたところを活用して一元的な推進に努めるようにという御意見でございます。
4点目が、この消費者委員会に関係いたしますので少し詳しく御説明いたしますと、有識者から行ったヒアリングの中で、これに関係して2つのことが指摘されました。一つは、消費者庁の企画・立案機能が弱い。もう一点は、審議会機能を持っている委員会は事務局の体制が貧弱である。そうしたことから、消費者庁の側にこの審議会を移してはどうか、こういう御意見がございました。これに対しまして河上委員長から、消費者委員会としても審議会としてさまざまな消費者問題に取り組むことが監視機能の強化にもつながる、こういう御説明をいただきました。そうした結果、この検討会では最終的に、マル4にありますように、中長期課題、省庁横断的事項、制度改正事項について、消費者庁は委員会に積極的に諮問する。こうして審議会機能を活用することで、消費者庁の企画・立案機能の強化、委員会の監視機能の強化につなげていきなさい、こういう指摘でございます。
以下、消費者行政を担う職員の養成・確保のところでは、消費者目線を基本に据えること、職員の専門性の向上を図ること、併せて、国民生活センターの職員の知見・ノウハウ、消費者目線、こうしたものを広く消費者行政全般の中で活用していくようにという御指摘がございます。
総合力の充実のところでは、消費者団体との連携、支援。地方消費者行政のところでは相談員の資格の法的な位置づけ、活性化基金終了後の支援の在り方の検討、越境消費者トラブルなど、地方ではなかなか扱い難い部分については国民生活センターで実施するといった指摘がございます。
次に、「検討事項2 国民生活センターの機能を担う国における組織の具体的な在り方」のところを御説明いたします。まず、冒頭の基本的方向で述べられていることですが、説明の都合で2つ目のマルから説明させていただきますと、先ほど申し上げましたように、この検討会では司令塔機能というものを非常に重視しておられます。その流れで、国民生活センターは司令塔機能が十分に発揮される上で不可欠な存在であるという位置づけをされました。その延長線として、1つ目のマルにありますように、国民生活センターの各機能はすべて維持し、一層充実させ一体性を確保する必要があるという御指摘でございます。
もう一点、ここに書いてございませんが、国民生活センターが現在有している柔軟性や機動性、消費者目線に立った対応、こうした良さというのでしょうか、こういったものも引き継がれる必要があるというお考えでございます。
3つ目のマルにございます、機能を効率化・強化するという部分については、国民生活センターの国に移行に当たって、結果的に、より高度な行政サービスの提供を実現していくということでなければならないわけですが、移行先との間で管理部門を統合し、事業部門(相談、研修、商品テスト)の人員・体制を充実させることが必要だということでございます。
併せてもう一点、先ほども、国民生活センターの職員が広く専門性を発揮できるようにということがございましたけれども、こうしたことが円滑化されるであろうという指摘がございました。こうしたポイントが、国における組織の具体的な在り方を検討する際の、この検討会での座標軸になったと理解しております。
次に、ではどういう組織形態か。結論から書いてございますが、「独立性を法的に担保した『特別の機関』」が望ましいという御意見でございます。マルが4つございますが、2つ目のマルに取り上げておりますのが、機能の一体性の関係であります。現在、ADRは、国民生活センターでは法に基づいて合議制の機関が実施しておりますが、国に移行された場合も同じように行いたい。そのためには合議制の機関が設置できないといけないわけですが、施設等機関では設置している例がございませんでした。一方、特別の機関では法に基づいて設置している例があったということから、ADRについても他の機能と一体して移行することが可能だということがございます。
3つ目のマルの、人事権、指揮監督権の独立性を担保している例というのも特別の機関にはございました。そうしますと、業務運営、人事面での独立性が確保できる。そのことはひいては、今、国民生活センターが持っている柔軟性や機動性、消費者目線に立った対応が可能になるであろう、こういうお考えでございます。
最後のマルのところにあります関係行政機関への改善要望についても、施設等機関ではこういった業務はなじまない。ということは、特別の機関でなければできないというお考えでございます。
次に、移行先でございます。結論としては、「独立性を法的に担保した特別の機関として消費者庁を移行先とすることが有力な考え方」ということでございます。候補としては、消費者委員会、内閣府本府、消費者庁とございますが、委員会につきましては調査審議機関ということで外されております。
本府と消費者庁に関しましては、移行された場合の効果として期待されること、一方、課題。この2つの面から検討がされました。本府につきましては、法執行を担っておりませんので、そういう意味では柔軟性、機動性、消費者目線という国民生活センターの良さが担保される。他方、課題としては、消費者庁と国民生活センターを持つ内閣府という別の役所になりますので、連携が取りにくくなる。それから、内閣府本府といいますのは、御承知のとおり、経済、財政、科学技術、防災、そういった極めて多様な事務を所掌しております。そうしたことから、国民生活センターが本府の特別の機関となった場合、センターの職員の方の専門性の確保という意味ではやや限界があるのではないかということでございます。
一方、消費者庁につきましては、期待として、消費者庁と国民生活センターが一体となった取組が行えるということがございます。課題としては、これは消費者委員会からも昨年、指摘があり、多方面から重ね重ね示されたものでございますが、消費者庁は法執行を担っているということから、機動性、柔軟性、消費者目線が損なわれるのではないかという懸念がございます。この懸念に対しましては、先ほど組織形態のところで御説明しましたように、独立性を法的・制度的に担保した上で「特別の機関」とすることで、対応が可能であろうというのが検討会のお考えでございます。
そうした検討の結果でございますけれども、この1月20日の閣議決定、「平成25年度を目途に本法人の機能を国に移管する」ということ。それから、この閣議決定を受けて、5月に国会に法案提出されております独法通則法等改正法案に沿って、国民生活センターを国に移行するに当たっては、一つとして、各機能を一体として一つの機関に集める。
2つ目として、「国民生活センター」という名称を持った機関とする。これは、非常に高い認知度と信頼感を国民生活センターは得ておりますので、例えば注意喚起などを行うときには非常に貴重な財産だという御判断でございます。
3つ目として、独立性を法的に担保した「特別の機関」として、消費者庁を移行先とすることが有力な考え方と。さらに続けて、「新たな機関は、消費者庁からの独立性を維持し、各機能の発揮が制度的に十分に担保される必要がある。その担保の実現に向けて、仮にも担保されない場合においてはその対応を含めて、担当大臣が指導力を発揮されることを期待する」というところで、この検討会の報告がまとめられております。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
では、ただいまの説明に関して、御質問、御意見ございましたら発言を願います。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 いろいろありますが、時間の関係もあるので、国民生活センターの移行の問題について2点お聞きしたいのですが、消費者委員会は過去にも、国への移行あるいは消費者庁との一体化について疑念を提示してきたところがあります。大きく言うと2つお聞きしたいのですが、公務員の定数削減の中で国民生活センターを国へ移行する。端的に言えば国民生活センターの職員を全員公務員化するとなると、定数削減の枠の中でどうしても削られる部分が出てくるだろう。そうすると、国センの定員が減って弱体化するのではないかという危惧感が提示されています。現実に私はそれは避けられないのではないかと。
ここは、消費者庁の人事担当の方で相当頑張っていただいて、消費者庁は新しい機関なわけですから、公務員削減の大きな波の中で精いっぱい抵抗していただいて、人員枠を確保してやっていくだけのどれだけの自信があるのか。ここは非常に責任が重大だと思います。はっきり言うと、そういう公務員の定数の問題等には門外漢の長官が赴任されたわけです。そうすると、その下の次長なり服部さんの責任が相当重大ではないかと思いますが、その辺はどうなのかというのをまずお聞きしたいです。
2番目は、先ほど来の小田審議官の説明の中でも再三出てきましたけれども、委員会は、国へ移行するとなると、国センのこれまでの柔軟性や機動性の良さが失われるのではないかと。公務員的な感覚で、被害の実態からものを言うのではなくて、法律の枠組みの中からものを言うような発想になって、今まで以上に、あるいは今までよりも杓子定規かつ形式的になってしまいはせんかという不安があるわけです。これは、一体化した場合に心配ないのかと聞いても、心配ありませんとおっしゃるのでしょうけれども、その辺どうなのか。この2点をお願いします。

○服部内閣府参事官 まず1点目、定数の問題は、御指摘をいただきまして、いろいろ御懸念があるのは承知しております。今回、「特別の機関」ということで機構・定員要求と。これは、大臣のこの報告書を踏まえた御指示ということで、これにのっとってしかるべき対応をせよということで、機構・定員要求をやっていくということでございます。特段、現段階で、どこかキャップがあるとか、シーリングがあるとか、そういう話ではございませんので、その必要性というものを査定部局に、これは総務省ですけれども、我々はきちっと中身を詰めて説明をしていくというふうに考えております。
ちなみに、国民生活センターの人員については、運営費交付金ということで賄われていますけれども、今回の予算の方のシーリングを見ますと、国民生活センターについては10%のカットということが言われています。この10%のカットについては、消費者庁全体で見ていく必要があるかと思いますけれども、独立行政法人の現状のままで、そういう予算、ひいては人員の確保というのは非常に厳しい状況にある。その一方で、今回、こういう御報告書をいただきましたので、これにのっとって国民生活センターの今の陣容がさらに充実するように機構・定員要求をやっていきたいというふうに、これは強い気持ちを持っております。
それから、杓子定規な対応になるのではないか、こういう御懸念ですが、こういうことがあってはならないと我々も考えておりまして、このために特別の機関ということが選択肢として示されたのではないかと考えております。業務運営、人事面での独立性というもの。特に人事面での独立性は非常にその重要性がうたわれておりますので、先例というものをもとに例外規定をしっかりとつくっていきたい。これは、法制局等との折衝なり交渉になると思いますけれども、そういった取組をきちんとやっていきたいと考えております。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
ここまでもめにもめた原因は、国への移行に伴っていろいろな問題が生ずるのではないかという懸念が払拭できなかったという点にあります。今回、報告書で新しい方向づけがなされて、独立性を法的・制度的に担保した「特別の機関」という言葉で表現され、それなりに一定の前向きの方向性が示されたというふうに委員会としては理解しているところです。ただ、それを具体的に制度化していく過程で、果たしてきちんとそういうものが確保されるのかどうかという辺りについては、今後とも、委員会として引き続き注視してまいりたいと思います。
特に、独立性、柔軟性、機動性、そして一体的な機能強化といった目標が重要で、幾つか気になる点は、あっせんとか、各地の消費者センター等による相談業務に対する支援の中で、従来のような独立性がこれまで同様維持できるかどうかという辺りです。消費者庁自身の目線も変えていただく必要があるし、消費者目線で見た場合、あっせんに対するスタンスを、消費者庁が今までの状況よりさらに改善していただけるようにお願いしたいということであります。
2点目ですが、消費者に対する注意喚起のやり方、あるいは情報発信の仕方において、これまた慎重を期そうとする余り、それが遅くなってしまうことがないように、あるいは内容が不十分になることがないように、国民生活センターの持っていた独立性、柔軟性が十分に発揮していけるような体制に是非していただきたい。
3点目ですけれども、国民生活センターの機能というのはある程度一体化した形で移行することになろうかと思います。合体によって、部分的には不要な人員を節約できることは確かですが、そのときに、国民生活センターの消費者目線を持った職員の力量というか、質・量が十分に確保された状態でそれが実現できるかどうかという辺りが心配です。先ほど、人員の削減の議論がありましたけれども、専門知識を有する職員が質・量ともに確保されることは、非常に大事な条件だろうと思います。
以上の点を含めて、消費者庁におかれましては、今後、具体的な制度設計を行うに当たって十分な配慮をお願いしたいと思います。
また、昨年秋からですか、消費者庁と国民生活センターの間で「試行」が行われていますが、その試行の検証がきちんと行われていないのではないかと思います。ですから、その結果も踏まえて問題点がないかという辺りを洗い出していただいて、それに対する対応も是非お願いしたいと思います。
消費者委員会としてのスタンスはある程度明らかではありますが、そのほかにも、地方自治体、消費者団体からもさまざまな御意見をいただいております。そうした御意見にも十分耳を傾けながら、今、述べたような点、それから、これまでの建議、意見などを踏まえて、消費者庁の今後の制度設計の中でそれらがうまく生かされているかどうかを消費者委員会として監視していくというか、モニターさせていただく、必要に応じて意見を述べさせていただくというふうにしたいと考えておりますので、また、よろしくお願いいたします。
以上でございますが、本日は、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
本日の議題は以上でございます。お忙しい中、皆様、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪5.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について説明をお願いいたします。

○原事務局長 次回の委員会につきましては、9月18日(火曜日)の16時からを予定しております。1年間の活動を取りまとめた年報、まだ印刷物にはできていないかと思いますけれども、その御紹介もしながら、委員から、感想、今後についての御意見もいただきたいと思っております。
それから、本日、委員会終了後、今、19時ですけれども、5分後ぐらいを目途に消費者庁の会見室において、「医療機関債に関する消費者問題についての提言」について、委員長記者会見を報道関係者対象ということで行いたいと思います。こちらも、どうぞよろしくお願いいたします。

○山口委員長代理 次回は100回で、前から委員会の内部では議論をしていたのですが、長官、国センの理事長、できれば大臣にもおいでいただいて、少しディスカッションができればと思いますので、事務局の方でも尽力いただきたいと思います。

○原事務局長 はい。

○河上委員長 そうですね。やはり100回というと、何となく思い入れがありますね。
それでは、以上でございます。どうもありがとうございました。

(以上)