第92回 消費者委員会 議事録

日時

2012年6月12日(火)15:58~18:47

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、
 川戸委員、田島委員、夏目委員、細川委員、吉田委員
【説明者】
 経済産業省資源エネルギー庁  糟谷電力・ガス事業部長
片岡電力市場整備課長
 東京電力株式会社  村松執行役員企画部長
鈴木執行役員電力契約部長
高瀬労務人事部長
 大塚良治 湘北短期大学総合ビジネス学科准教授
 水上貴央 弁護士(第一東京弁護士会所属)
 総務省  二宮総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課長
 消費者庁 黒田消費者政策課長
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.公共料金について
 (1) 電気料金について
  I 東京電力による家庭用電気料金の値上げ申請に関するヒアリング
○説明者: 経済産業省資源エネルギー庁  糟谷電力・ガス事業部長
片岡電力市場整備課長
東京電力株式会社  村松執行役員企画部長
鈴木執行役員電力契約部長
高瀬労務人事部長
  II 電気料金に関する有識者からのヒアリング
○説明者: 電気料金問題検討ワーキングチーム
 大塚良治 湘北短期大学総合ビジネス学科准教授
 水上貴央 弁護士(第一東京弁護士会所属)
 (2) 電話料金について
○説明者: 総務省  二宮総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課長
3.消費者安全法に基づく国会報告について
○説明者: 消費者庁  黒田消費者政策課長
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:9KB)
【資料1】 東京電力の家庭用電気料金値上げに係る質問関連資料(PDF形式:152KB)
【資料2】 御質問事項への回答(経済産業省資源エネルギー庁提出資料)(PDF形式:750KB)
【資料3】 家庭用電気料金値上げに係るご質問への回答(2)(東京電力株式会社提出資料) 【資料4】 上限価格方式(プライスキャップ方式)による基準料金指数の設定について<報告>(総務省提出資料)(PDF形式:230KB)
【資料5】 消費者安全法に基づく国会報告関連資料(消費者庁提出資料)
(資料5-1) 消費者安全法に基づく国会報告について(PDF形式:293KB)
(資料5-2) 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告(抄)
【参考資料1】 委員間打合せ概要(PDF形式:13KB)
【参考資料2】 第3回地方消費者委員会(千葉)開催案内(PDF形式:297KB)
【参考資料3】 第4回地方消費者委員会(名古屋)開催案内(PDF形式:273KB)
【追加資料】 「消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告」に関する意見(案)(PDF形式:148KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間は少し早いですけれども、おそろいになりましたので、始めさせていただきます。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第92回)」の会合を開催いたします。
本日は、所用により村井委員が御欠席となっております。
配付資料の確認をお願いいたします。

○原事務局長 議事次第と書かれた後ろに、配付資料の一覧を載せております。
資料1-1といたしまして、委員会がとりまとめました「東京電力の家庭用電気料金値上げに係る質問」ということで、今後の審議のところで反映させていただけたらと思っております。
資料2といたしまして、「質問事項への回答」ということで、経済産業省の資源エネルギー庁の資料が出ています。これには、後で追加の資料が入ってくる予定です。
資料3が、同じく質問への回答ということで、東京電力株式会社様からお出しいただいた資料です。
資料4といたしまして、これは後段の議論になりますけれども、電気料金とは別に、総務省から、電話料金について後ほど御説明いただく予定にしておりまして、総務省から提出いただいた、「プライスキャップ方式による基準料金指数の設定について<報告>」の資料になっております。
資料5が、「消費者安全法に基づく国会報告関連資料」、消費者庁提出資料になっております。資料5-2も関連の資料になります。
参考資料1といたしまして、この間、委員間打合せを6月5日に開催しておりますので、その打合せ概要をおつけしております。
参考資料2・3といたしまして、第3回、第4回の「地方消費者委員会」を千葉と名古屋で開催する予定ですので、その開催案内をおつけしております。
資料は以上、御紹介したとおりですけれども、審議の途中で、不足ございましたら、お申し出いただければと思います。
それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

≪2.公共料金について≫

○河上委員長 それでは、議題に入ります。最初の議題は、「公共料金について」であります。本日は、電気料金と電話料金のそれぞれについて、後ほど御議論をいただきたいと考えておりますが、初めに電気料金についてであります。


1) 電気料金について

○河上委員長 この議題につきましては、去る5月29日に開催いたしました委員会においても、御議論をいただいたところであります。本日も前回と同様、2部構成といたしまして、前半は、経済産業省資源エネルギー庁と東京電力においでいただきまして、東京電力による家庭用電気料金の値上げ申請に関するヒアリングを行うこととし、後半は、前半の議論の内容を踏まえた上で、有識者からのヒアリングを行うことにしたいと思います。
それでは、電気料金について、値上げ申請に関するヒアリングから始めたいと思います。経済産業省の資源エネルギー庁と東京電力におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。
5月29日の委員会におけるヒアリングの際も申し上げましたとおり、今般の東京電力による家庭用電気料金値上げ申請については、消費者の視点から見て、よりわかりやすい説明や情報公開が必要であると考えられます。消費者委員会の下に設置いたしましたワーキンググループは、このような対応が特に必要であると考えられる諸点につきまして、「東京電力の家庭用電気料金値上げに係る質問」をとりまとめまして、これらについて、前回のヒアリングにおいて御報告をいただいたところであります。
今回は、この質問のうち、前回のヒアリングの際に御回答が得られなかった5項目、具体的に申しますと、第1番目に、人件費について。第2番目に、事業報酬に関する課題について。第3番目に、原価の規制部門及び自由化部門の配分方法について。第4番目に、競争入札に移行可能な随意契約について。第5番目に、家庭用電気料金のモデルケースを中心に、経済産業省及び東京電力から改めて御説明をいただきたいと考えております。
また、前回の議論に加えまして、今回、原子力発電に関する費用の必要性についての質問を追加させていただいているところであります。経済産業省と東京電力におかれましては、前回と同様、この場における議論のポイントについて、一般消費者にもわかりやすい形で情報の発信を行っていただきたいと思います。
また、経済産業省におかれましては、現在、本件を議論している「電気料金審査専門委員会」に対して、本日の議論のポイント等を含めて、消費者委員会の問題意識を改めてお伝えいただきますようお願いいたします。
なお、経済産業省、東京電力におかれましては、この後、更に別の専門委員会に御出席の予定ということで、5時30分には退席することが必要ですので、効率的な調査審議に御協力いただきますようお願いいたします。
それでは、説明に入りたいと思います。今回は、ざっと説明をいただくというよりも、各テーマごとに説明を簡単にいただいて、それについて質疑をするという形でお願いしたいと思います。その辺のやり方についても御了解いただければと思います。
最初に、「公聴会について」ということであります。経済産業省におかれましては、6月7日・9日に公聴会を開催されたほか、「国民の声」ということで、今回の料金値上げ申請に関する意見を聞かれているものと承知しております。これに寄せられた意見の概要について、最初に簡単に御説明をいただきたいと思います。説明は、恐縮ですが、5分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○経済産業省資源エネルギー庁糟谷電力・ガス事業部長 資源エネルギー庁でございます。資料2の3ページ、4ページで御説明を申し上げます。
資料2の3ページ目、公聴会でありますが、まず、陳述人、意見をお述べいただく方につきましては、5月14日~23日までの間、募集いたしました。官報、当省のWEBサイトで案内を掲載しますとともに、消費者団体、中小企業団体、自治体など、300以上の団体に周知をお願いいたしました。その結果、15人の方から陳述の届出がありまして、その届出があった方全員を陳述人として指定いたしました。
東京と埼玉、2か所で行いまして、東京会場では10人の方、埼玉会場では5人の方に陳述をいただきました。これに加えまして、参考人として有識者の方、また、これまで、料金に関して政府に対して要望書等の提出があった団体を中心に、約80の団体等にお声かけをいたしまして、15名の方に参加をいただきました。東京会場10名、埼玉会場5名、うち、1名は欠席でございました。
傍聴人につきましては、6月5日まで募集をいたしまして、東京会場186名、埼玉会場78名の方に傍聴をいただきました。
運営に当たりましては、消費者庁・消費者委員会の御提言を受けまして、公聴会の陳述人の部分について、中立的な第三者による議事進行を行っております。具体的には、東京会場におきましては、山内一橋大学教授、埼玉会場におきましては、安念中央大学教授。お二方とも、電気料金審査専門委員会の委員長もしくは委員長代理でいらっしゃいますが、この先生方に議事進行をお願いいたしました。
また、単に意見を述べていただくだけではなく、お一人当たり15分の持ち時間の範囲内で、経済産業省や東京電力との間で質疑応答を行いました。主な意見を御紹介申し上げます。
まず人件費について、やはり非常に意見が多うございました。こういう状況であるにもかかわらずボーナスを支給するのはおかしい。企業年金や福利厚生費の見直しを行うべき。特に管理職の人件費を削減すべきである。他方で、現場の給与は削減しない方がいい。そんな御意見もございました。
原子力発電の取扱いについて、これもいろいろ御意見がありまして、脱原発を前提とした上での料金値上げならば納得も得られるのではないか。東電だけなぜ値上げをするのか。国家的に燃料費引下げのための国を挙げた交渉に臨んでほしい。原子力発電所の安定化費用、賠償対応費用は、原価に算入すべきではない。そんな御意見がありました。
規制部門の自由化について、総括原価方式そのものを見直すべきだとか、発送電分離を進めるべきとか、そんな御意見がありました。
料金メニューにつきまして、夜間電力について、負荷平準化に資するための夜間電力料金であるのに、夜間電力料金の値上げ幅が大きいというのは納得できない、そういう御意見が特に埼玉会場で多うございました。
それから、消費者が意見を述べる場を更に設けるべきという御意見、これは後で申し上げます。
それと並行しまして、「国民の声」というのをやっておりまして、6月9日までホームページで受付を行いました。5月11日の申請以降、受付をいたしまして、6月9日までの間に1,507件の御意見をいただいております。ざっくり言いますと、約800件弱が人件費に関する御意見、122件が規制部門の自由化、総括原価の見直しに関する御意見、103件が経営責任に関する御意見でありました。
この委員会からも、再度、意見表明などの場を設けてほしいという声があることへの対応についてということで、4ページの4ポツ、電気料金審査専門委員会において、安念委員長、大臣とも御相談しまして、消費者団体等から、電気料金審査専門委員会として、御意見を伺う場を設けることにしたいと考えてございます。これは、御意見を述べていただく方を募集して、声をおかけして、実際に準備をしていただく時間は必要だと思っておりまして、6月の下旬ごろを目途にそういう機会を持つ方向でございます。
「国民の声」につきましても、6月9日で一たん締め切っておりましたけれども、審査専門委員会で消費者団体等から御意見をいただく場を設ける日まで、6月下旬のどこかのタイミングになりますが、追加募集を行いたいと考えております。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
公聴会に関して、ただいま御説明いただいた内容について、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 私も7日の午前中、傍聴させていただきました。私どもの希望もかなり取り入れていただきまして、山内進行役の司会も、杓子定規ではなく、15分をオーバーしても、陳述人の意見に対して、エネルギー庁、東電からもコメントをいただく形で、非常にわかりやすく運営されていたと思いました。10人の意見を陳述される方々も、真摯にいろいろな意見を述べておられまして、大変参考になったと思います。
先ほど部長のお話にあったように、それなりの意見が出ておりまして、これをどういう形で集約して今後の結論に結びつけていくのか、厳しく問われているのではないか。聞いて感想を述べて終わりということでは済まないだろうなというところがあって、そこをどうするのか。これは全体のスケジュールとの関係もあると思いますが、今、6月末に消費者団体からの意見を聞く場を設けるという話もございました。もう一度、公聴会を設定して、広く意見を聞いて議論を出す、そういう機会を設ける余地がないのかということも含めて、御検討いただければと思いました。私の感想です。

○河上委員長 特にエネルギー庁の方で、今の話に対してコメントはございますか。

○経済産業省資源エネルギー庁糟谷電力・ガス事業部長 これは7日の公聴会でしたか、山梨かどこかの消費者団体の方で、公聴会で意見を述べたかったけれども、都合が合わなかったというようなお話もありました。そういうこともありまして、審査専門委員会として、消費者団体等の代表の方から意見をもう一度お伺いするような場を設けたらどうか、そういう判断をしております。
他方、個人の方からの問い合わせの中には、公聴会は名前とか全部出るのかというような問い合わせがありまして、こういう形で開きますということを申しましたところ、そうであれば「国民の声」の方に意見を出すなどという対応をされたこともありました。
そういうことも踏まえますと、公聴会であれ、「国民の声」であれ、審査専門委員会の新たに意見を聞く場であれ、いずれもオープンな形で御意見を述べていただく形になります。「国民の声」に寄せられたものにつきましても、答えが木で鼻をくくった形にならないようなに、ちゃんとお答えする必要があると思っております。形の違いはあれ、いろいろな御意見をいただく、それをちゃんと反映させていくことが大事だろうと思っております。そういう意味では、大臣、安念委員長とも相談させていただいた上で、審査専門委員会として御意見を伺う場をつくるというのが一番いいのではないか。
実は7日の公聴会のときに、なぜ審査専門委員会の先生方がここで聞いておられないのか、審査専門委員会の先生方が査定方針をつくられるということではないか、事務局が聞いてそれだけでいいのかという御意見もありました。そういうことも背景にありまして、公聴会をもう一回やるというよりも、審査専門委員会として意見を聞いていただいて、査定方針をとりまとめるのに反映することの方が、より納得感を得られるということではないかという判断に至ったところでございます。

○河上委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 中身の話で教えていただきたいのですけれども、テレビのニュースなどで拝見しますと、男性が非常に多くて、女性が非常に少なかった。先ほど個人の方が、ここよりは「国民の声」の方に行きたいとおっしゃるように、この中で、個人の方で質問なさった方、陳述人の方はいらしたのかどうか。
もう一つは、「国民の声」の方では、経営責任に対する意見が非常に多かったのですけれども、公聴会の方ではこういう意見は出なかったのでしょうか。この2つについて、教えていただきたいと思います。

○経済産業省資源エネルギー庁片岡電力市場整備課長 前者の件は、たしか陳述人の方は皆さん男性でございました。参考人には女性の方もいらっしゃいます。消費者団体の代表の方でありますとか、事務局長の方でありますとか、そういう方でいらっしゃいます。たしか参考人の方は、半々か、ちょっと少ないぐらい女性の方がいらっしゃったと思います。

○経済産業省資源エネルギー庁糟谷電力・ガス事業部長 経営責任については、公聴会でもございました。特に清水社長、事故のときの社長がもう退任をされているということ、その責任を問題にされるような御発言などございました。

○河上委員長 それでは、まだ次の項目もございますので、続いて、少し内容に入っていきたいと思います。「人件費について」ということで、説明をお願いしたいと思います。これも、説明は5分程度でお願いします。

○東京電力(株)高瀬労務人事部長 それでは、私の方から人件費の関係を御説明申し上げます。
資料は、資料3を開けていただきまして、2コマ目、私どもの電気料金の原価に織り込んでおります人件費の総額をまとめた一覧表でございます。これは備考欄に書いてございますけれども、総合特別事業計画で定めました、社員の年収の減額、福利厚生、企業年金の見直し、更に人員削減などを進めまして、前回の料金改定のときよりも約911億円を削減しております。なお、一番上、役員報酬につきましては、今回の原価からは全額カットとしております。
続きまして、各費目について概要を御説明いたします。3コマ目でございますが、ここは給料手当の関係でございます。震災直後、昨年の6月から社員の年収減額を実施してきております。並びに、今後でございますけれども、4月以降、時間外手当の割増率の引下げ。更に今後、人員削減等を反映いたしまして、前回の改定より564億円削減としてございます。
続きまして、4コマ目でございます。ここは、御質問の一つ目に関連いたします年収水準でございます。今回の料金の原価に織り込んでおります平均年収でございますが、556万円でございます。これは、有識者会議で指摘をいただいている水準まで原価を圧縮したという内容でございます。同じグラフの左から3つ目、これは御質問のございました、他の公益との差はどうかということでございますが、航空を除きますガス、鉄道、水道、通信で見ました公益事業の平均が612万でございます。こちらと比較いたしましても、10%程度は低い水準で織り込んでいるということでございます。
5コマ目は退職給与金でございます。当社は、現役、OBともに企業年金の給付減額を行うこととしております。現役につきましては、既に4月の時点で労使合意になっていますが、OBにつきましても、既に全対象者(1万5,000人)の3分の2の同意をいただいているという状況にあります。現在は、厚生労働省に制度改定を申請する準備を進めておりまして、今後、厚生労働大臣の御承認をいただいた後、10月から引下げを実施してまいりたいと考えております。退職給与金につきましては、これらによりまして、約234億円を前回に比べて削減としております。
6コマ目は、年金制度の見直しの概要でございます。御質問の2つ目に関連いたしますけれども、上の表に現役と受給権者(OB)とございます。現役につきましては、給付利率の下限を、従来2%だったものを1.5%に引き下げるとともに、終身年金につきましても、7万円を5万円ということで30%減額いたします。OBにつきましては、それまで固定でございました給付利率を金利変動型に切りかえますとともに、下限利率を2.25%ないし1.5%といたします。終身年金の減額は現役社員と同じでございます。
左下に棒グラフがございます。これは、企業全体の利率設定のばらつきを見ているのですが、今回の私どもの見直しによりまして、世間水準は2.5~3.0が中心でございますが、現役、OBともにそれよりも低い水準に設定したということでございます。
一つ飛ばしていただいて、8コマ目をごらんください。福利厚生費でございます。福利厚生費は、真ん中を境に上が法定厚生費、下が一般厚生費ということで、この2つから成り立っています。厚生費につきましては、地震の後、厚生施設、体育施設を全廃いたしました。これに加えまして、当社に関する経営財務調査委員会と議論させていただいた上で、法定厚生費になりますけれども、健康保険料の負担率、財形貯蓄、これは一般厚生費ですが、それからカフェテリア。これは、さまざまなメニューを運営する会社に、福利厚生メニューのどれを使うかというのを社員に選択させて、その補助を会社が出すという方式でございますが、カフェテリアのプランにつきまして見直しをしたということで、前回に比べますと約67億円の削減となっております。
一つ飛ばしていただいて、10コマ目でございます。ここに福利厚生費の見直し概要全般を整理してございますので、御参照ください。
続きまして、11コマ目。これらの福利厚生費に関する取組の物差しということになりますけれども、御質問の2つ目に関連いたしますが、社員1人当たりの一般厚生費、法定外の厚生費がほかの企業に比べてどれくらいなのかというレベルでございます。棒グラフの一番左側が従来でございまして、30万3,000円というのが削減後のレベルでございます。これは、全産業平均の30万7,000円を下回る削減になっているということでございます。
12コマ目に移りますが、委託検針費・委託集金費の内容でございます。委託検針員・集金員にかかる費用は人数と単価の掛け算ということになりまして、青く囲ってありますのが、委託検針員の人数と1人当たりの検針費。赤いところが集金の方になるかと思います。
まず、人数につきましては、電気の需要想定に基づく需要口数に応じて、検針枚数等が算定されてきます。また、スマートメーターの導入に合わせた要員の減を、26年度に反映してございますので、人数についてはそういう動きをしていく。単価につきましては、社員の年収減額を踏まえた減額を、委託検針員・集金員についても実施しているということでございます。
これらを全体を合わせますと、合計金額になりますけれども、委託検針費の24~26年度平均値と、委託集金費というのが下の方にございます。3,419というのが平均値でして、この2つを合計しますと、トータルで、前回よりも36億円の合計です。
13コマ目をごらんください。雑給でございますが、嘱託、あるいは逆出向者、私どもの会社に来ている出向者に関する費用でございます。上が人数で下が費用になりますが、人数のところで、24年度、非常に多いということですが、これは逆出向者の中に、損害賠償の対応、福島地域の支援の対応をしている方々が入っているということで、増えているということでございます。原価の算定上は、今後、これらの業務が、25、26に向けて落ち着いていくという想定で織り込んでいるということでございます。なお、実際の配置につきましては、これらの業務の状況に応じて、必要な人員を必ず配置することにしてございます。
単価は、嘱託につきまして、社員の年収減額を踏まえた年収の減額をこちらの方も実施しておりまして、それらを反映して、トータルとしては前回に比べ約3億円の削減になっております。
以上、全体の人件費、駆け足で御説明いたしましたが、このような削減に取り組みながら、引き続き、親身親切な賠償、福島第一原子力発電所の安定化、廃炉、電力の安定供給を確実に実施してまいるつもりでございますので、どうかよろしくお願いいたします。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
ただいま御説明いただきました内容について、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 私は埼玉の公聴会を傍聴しましたけれども、人件費に対する国民、消費者の不満というか、異論というのは非常に多いような感じがいたしました。今のお話を聞くと、今までの賃金水準が非常に高くて、それを一般企業と同程度に戻すというところの話でしかないわけです。今、東電は破綻処理が当然のような状況の中で、公的資金注入により会社が何とか存続しているような状況にあるわけですから、通常の企業経営の考え方が通用するような状況には私は全くないと思います。
そういう意味で言うと、なぜ賃金水準のゴールが一般企業と同程度なのか。むしろゴールではなく、それがスタートで、そこから幾ら引き下げるべきかというところで議論すべきではないかと私は思います。
例えば先ほど、役員報酬ゼロとおっしゃいましたけれども、東電の役員の方は、ファミリー企業の役員と兼務している方がかなりいるわけです。そこでの報酬はゼロなのかどうなのかということも全くわかりませんし、年金についても、先日、発表があって、高校を卒業した係長の方の年金の平均がモデルで出されていましたけれども、わざと低い方を出して、ほかの情報がない。例えば大卒で部長で辞めたような方は、今、年金を幾らもらっていてどうなのかということは出していない、そういうようなことだと思います。
また、福利厚生が充実していることも知られていますけれども、例えば、社員住宅はどこにどのぐらいあり、どのぐらいの家賃なのか。そんなことも明らかになっておりません。ただ、一方で、こういう人件費を削減すると、人材の流出が起きてしまって、経営が成り立たないということも言われますけれども、国家、お家の非常事態であるわけですから、3年ぐらい我慢できないのですかね。国民のため、東電の将来のために働こうという東電マンを、東電は育成してこなかったのでしょうか。私は、この人件費というのはまだまだ不十分で、この辺に削減の余地があるのではないかと思っています。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 基本は、今、細川委員がおっしゃったとおりだと思います。細かいところを指摘させていただきますと、3ページに給料手当・給料振替額の概要の表がございますが、ここに期末一時金というのがあります。これを見ますと、24年度は147億円。それが25、26年には294億、291億円になっているのは、これは恐らく、冬季のボーナスだけではなく、夏季ボーナスも支給することが前提になっているのだと思われます。ここは、細川委員がおっしゃったような観点から言っても問題ではないかというふうに思います。
4ページの表を見ても、当社の556という数字は、ほかの大手の事業と同じレベルになっているわけですが、ガス会社などは、人件費について、料金徴収部門の社員とその他の部門とで分けて出しているように聞きます。ですから、セグメント別の給与というのは、事務職と、東電の場合の現場の職員の方と、料金徴収などの正社員、先ほど嘱託社員の説明もございましたが、部門別でどうなっているのかという資料もいただければと思います。
それから、細かい話で恐縮ですが、11ページの一般厚生費の他企業比較のところを見ますと、30.3万円とありますが、これは、東電さんが給料で比較した1,000人以上の水準より明らかに高いです。27.2万円よりも高くなっている。これは、金額的には小さいかもしれないけれども、削ってもまだ一般企業並み以上という数字が、明らかに出ているのではないでしょうか。その辺も含めて再検討いただければと思います。

○河上委員長 東京電力の方で何かございますか。

○東京電力(株)高瀬労務人事部長 御意見、ありがとうございました。
まず、年収のレベルにつきまして、いろいろ御意見をいただいたということでございますが、まず、私どもの姿勢としましては、年収も含めて、人件費全体、これは正規にしないで、とにかく削減できることをやっていこうということで、昨年来、議論させていただいて、第三者委員会等にも御議論いただいた上で、今、10年で1兆2,700億円といった数字を出しております。これをとにかく頑張って達成するんだということを、社内では言っているわけでございまして、その中で、年収2割カット、管理職25%、その年収カットをやろうということでございます。この年収のレベルも、その後、第三者委員会あるいは支援機構との間の御議論の中で、どのレベルを達成するべきかということを御議論いただいた上で、今の水準があります。
それから、今回の改定に際しましては、有識者会議の方で、資料4ページの右枠にございますような物差しをいただいてございます。その中で精いっぱいやる。2割カット、25%カットは既に昨年から実施しておりまして、もう2年目に入っています。当面、継続するということで考えておりまして、そういう意味ではこれはなかなか厳しい状況下だと考えております。
退職の話が出たと思いますけれども、私どもの今の状況で、特に申し上げておいた方がいいかなと思っておりますのは、原子力の損害賠償でございます。損害賠償に社員を3,600人、行かせております。社員以外にも委託、その他で1万3,000人程度の人数で対応しているわけでございます。とにかくこれはなし遂げなければいけない、ということで頑張っております。
原子力発電所の福島第一の方も、厳しい環境ですけれども、とにかくこれを落ち着かせなければいけないということで、放射線のレベルが高いところも管理をしながら入っていって、徐々に落ち着かせていくということを一生懸命やっているということでございまして、何を申し上げたいかというと、とにかく人を確保していく必要があるということでございます。
一方、今後、定年退職をしていく人間もおります。電気事業でございますので、電気の専門家を養成するのに、危ないところで作業をするということで、10年程度の育成が必要でございます。そのときにある程度の人材を確保したいということもございます。これらのバランスを考えていくと、実は今、退職者ということで言えば、5月までの間に既に500名を超える依願退職者が出ておりまして、そのうちの半分は30歳以下の若手でございます。これから職場を担っていく世代が離れていくといった状況下です。勿論、夢を持たせるというのが企業の使命だと思っていますが、やはり彼らは生身の人間ですので、家族、その他を考えたときに、外にいい仕事があれば選択せざるを得ないということはあるということでございまして、そういう状況を考えますと、今の給与のレベルはぎりぎりの線かなというのが私どもの今の肌感でございます。
それから、賞与につきまして御指摘をいただきましたが、賞与につきましては、昨年、組合と協議をして、4月の時点で当面2割カットをやることにいたしました。その際、2割カット後の年収をどうするかということを御議論させていただいて、賞与のときにローンを支払っている社員が圧倒的に多いということもございまして、月例と賞与で配分して支払いましょうということを、組合協議の中で整理をしたといういきさつがございます。
そこで、どうしても賞与ということで報道されてしまうのですが、これは、例えば会社の業績に連動して何らかの業績金を払っているということではございませんで、年収を配分しているというのが実情でございます。3ページの資料は、そういう前提で期末の一時金のところには入っていますが、今後は年俸制に変えていくことを考えておりまして、年俸制になれば期末一時金も何もない。ただ、原価として反映する場合には、ここにそういう形でお金を反映させなければいけないということもございまして、ここにはそういう数字が入っています。
これは、2割カット、25%カットを前提に継続していくということでございまして、ただ、原価上は、24年度夏季の賞与は、諸事情もございますので、原価には入れないことにしようということを会社として決定したということで、3年平均で556万、そういう状況になっているということでございます。これらの点につきまして、是非御理解を賜りたいと考えております。どうかよろしくお願いいたします。

○河上委員長 2割カットとか、25%カットという話は、一律カットを考えていらっしゃるのですか。

○東京電力(株)高瀬労務人事部長 カットの仕方は、一般職、管理職で分けておりまして、一般職が20%一律、管理職が25%一律。そのほかに、例えば執行役員が4割、常務が6割、代表取締役はゼロ、そういう段階を設けているということでございます。

○河上委員長 現場で危険な作業をしている方とか、今こそ、報いてあげないといけない現場の方もいらっしゃるので、そこは余り一律にというのは、できない話ではあると思います。
稲継委員、どうぞ。

○稲継委員 データについての質問です。今、管理職の平均年収が25%カットとおっしゃったのですけれども、カット前の管理職の平均年収、カット後の平均年収を教えてください。今、データがないということですと、後でまた提出してください。
それから、執行役員について4割カットということでしたけれども、カット前の平均年収、カット後の平均年収について、これもデータを提供してください。
6ページの退職給付については、先ほどの細川委員の御質問にお答えいただいていないようです。係長級で退職した場合の企業年金、3階部分について書かれているようですが、部長級で退職された方の退職給付についてはどうなっているのか、データをお示しください。
もう一つ、4ページですけれども、平均年収が出されています。これは、全体の職種をアベレージした場合の平均年収でありますので、大学卒、総合職の場合のポイントごとの平均年収、30歳、35歳、40歳、45歳、50歳の大卒総合職の平均年収についてデータをお示しください。今日、手元にないということでございましたら、後日でも結構でございます。

○河上委員長 これは、また後日、データをいただくということでお願いします。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 一般職で一律という話でしたけれども、年齢で分けるということは考えなかったのですか。若い方については削減率を少なくし、年齢が上がっていくに従って削減率を高くするとか、そういう段階はつけていないのですか。若手の方の流出が激しいというお話もございましたので。

○東京電力(株)高瀬労務人事部長 段階につきましては、管理職と一般職で分けているということでございます。それから若手、特に私どもは定昇もやっていません。退職している方としましては、つまり定昇をしていないので、上がっていないので、1、2年目が同じぐらいのレベルの給与になっているわけです。定昇は、こういう状況下ですから、できませんので、そのままになっている。そこにつきましては、是正をかけるということでございます。
若手は、弊社の場合、高校卒の方を例にとると、全国採用をしています。こういう状況下で、関東地方で私どもの東電で働いているということですが、もともと地元でも仕事がある中で東電を選んだということで、今回のような事故のいろいろないきさつもあると、「帰ってこい」というふうなことで、高校卒の方が帰っていくというパターン。大卒の場合ですと、英語を中心に、企画あるいは海外系の仕事がなかなかできなくなってしまったといった状況。それで、新しく自己実現のできるところに転出していくといった傾向があるということでございます。
したがって、それぞれ対応をして、若手については配慮をしながら、年収減額を対応していくといったことを、今、やっているということでございます。

○小幡委員 20代の削減率はとか、30代はとか、そういうことはやっていないのですか。

○東京電力(株)高瀬労務人事部長 やっておりません。

○小幡委員 そういう手法の可能性もあろうかと思います。意見です。

○河上委員長 御意見として参考にしていただければと思います。
慌ただしくて恐縮ですけれども、次は、事業報酬の問題についてお願いしたいと思います。前回の議論を受けての課題ですから、この点についての御説明をお願いしたいと思いますし、併せて、株主の責任、金融機関の貸し手としての責任についての考え方についても、御説明をお願いしたいと思います。経産省と東電双方から、5分程度ずつで結構ですので、お願いします。

○経済産業省資源エネルギー庁糟谷電力・ガス事業部長 資料2の6ページ目をごらんください。「2.(1)事業報酬について」という紙でございます。
まず、電気事業法の目的を改めて書いております。「電気の使用者の利益の保護及び電気事業の健全な発達」ということで、総括原価方式においては、「総括原価方式による電気料金規制とは」というところの2つ目のマルに、「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの」ということに、法律上、されております。
では、適正な利潤、これが事業報酬ということですが、これをどう考えるかということでございます。まず、事業を継続的に行うためには、かかった費用を適切に回収するだけではなく、事業に必要な資金を円滑に調達する必要があります。この資金調達に要するコストを「資本コスト」と見ておりまして、このためのコストがちゃんと料金で手当されないと、資金調達に支障が生じるという考え方でございます。
具体的には、企業は、マル1 銀行等からの借入や社債の発行による調達(他人資本)、マル2 株式の発行等による調達(自己資本)、このいずれかの手段により資金調達を行うわけですけれども、借入、社債の発行については、負債の利子率が適正であればこういう他人資本も調達ができます。株主にとっては、自己資本利益率以上の収益率が見込まれれば株式等による自己資本の調達ができます。そういう意味で、電気事業法においては、これらの収益率に相当する額を適正な利潤、事業報酬ということで、電気料金による回収を認めてきております。
1959年までは、支払利息とか配当の金額を各社、個別の社ごとに積み上げて、それを原価にするという考え方をやっておりましたが、各社ごとの事情の差で差が出るということ。実際に支払った利息もしくは行った配当を原価に盛り込むということでは、資金調達コストを抑えようというインセンティブが乏しいといったことを考慮して、1960年に現在の事業報酬制度に移行しております。
ちなみに、最近では、2000年の東京電力の届出時のこの料金においては、事業報酬として原価に盛り込まれていた額を超える利息の支払い、もしくは配当金の支払いがされたケースもあります。したがって、個別の社の事情によって行った場合、この2000年のような場合には、各社の平均で、あるべき姿ということで計算するものよりも、むしろ事業報酬の額が増えることもあり得るということであります。そういうことにならないように、1960年以降、各社個別の事業報酬の算定ではなく、業界全体として、あるべき資本調達コストを算定するという考え方をとってきております。
続いて、7ページにいっていただきまして、そういう算定をするのに企業の経営形態がどうであるかということで、違いを設けているかということですが、特に国からの融資とか出資があったかどうかということで算定方式を変えるという議論は、これまでございません。今まで、電気事業法上、決められたルールに従って料金を算定するということでやってきておりまして、今回、国が出資をするということで、事後的に新たなルールを設けて、特定5社のためだけにルールを変更することは考えにくいと考えております。今回の料金改定申請は、あらかじめ設定された省令、審査要領を前提に届け出られたものであり、届けられた後にルールを変えることはなかなか難しいのではないかということでございます。
ちなみに、ほかの公益事業で、公的な資本を持っている事業においてどういう扱いがされているかということであります。例えば水道事業、これは多くが公益事業ですが、水道事業においては、料金の中に資産維持費というのがありまして、維持すべき資産に適正な率を乗じて算定をする形になっていると理解しております。
鉄道事業においても、JR北海道、四国、九州は国が株式を100%持っているわけですが、これについても、自己資本報酬に相当する額として、10%の配当に必要な率ということで定められております。
ということで、基本的に国が出資をしているかどうかで違いを設けることは、なかなか難しいのではないかということでございます。
次の8ページは、前回も御説明しましたが、事業報酬の算定の仕方でございます。
9ページは、「法的整理を行わない理由」ということで、前回、御質問をいただいたので、改めて整理をいたしましたが、一言で言いますと、東京電力は、電気の安定供給のほかに、損害賠償の円滑な実施、事故処理・廃炉の着実な実施が求められております。法的整理を行いますと、損害賠償についても、債務額を確定するために一たん支払いを止めるということが生じるわけです。
その下にバランスシートを書いておりますが、右側の負債のところをごらんいただきますと、黒い枠で囲ったところは引当金でありまして、これは実情、引き当てられているものであります。赤い枠で囲ってあるものは、社債とか政策投資銀行の貸付金。これについては一般担保がついておりまして、賠償債権よりも優位に弁済順位が上になります。したがって、被害を受けられた方の賠償債権は、青で囲った、ほかの長期借入金、固定負債と並びで、負債の中では一番最後の順位に置かれて、支払える範囲でカットをして支払う、そういうことになるわけであります。
そういうことになりますと、一たん法的整理が始まりますと、支払いを止めて、債務額が確定するまでの間、債権者からの届出を受けるという形になるわけで、その間、賠償のお支払いが滞るおそれがあります。それから、この届出の期間に届出をされなかった方、もしくは届出の期間が終わった後、事後的に損害が発生したということで申請をされるという場合には、東京電力自体が法的整理を行おうとすると、その会社自体がなくなりますので、賠償を請求する先がなくなるということであります。
では、それは国が代わって払えばいいではないかということでありますが、国が払うためには法的な立法措置が必要であります。そのコンセンサスはまだ得られていないというふうに考えております。そういうことを考えますと、損害賠償が継続している最中に法的整理を行うことは、なかなか考えにくいのではないかということでございます。事故処理・廃炉を行っている事業者の方々、取引先の事業者の方々への支払いについても、同様の問題が生じまして、円滑な事故処理・廃炉ができなくなるおそれがあるのではないかというふうに考えております。
他方、先ほど委員長からもお話がありました、株主、債権者の責任の取り方でありますが、まず株主については、当面、配当は見込めません。それから、国が1兆円出資をすることによって相当な持分の希釈化が生じます。仮に配当が、将来、回復することがあっても、相当希釈した、要するに持分比率が下がった上で配当を受けることになるわけです。
金融機関などの債権者については、本来、これぐらいの財務状況になりますと、もっと多くの金利をもらうとか、もしくは物的担保をつけるとか、そういうことでないとなかなか貸付に応じてくれないわけですが、そこを、既存の貸付残高を維持し、なおかつ1兆円の追加の融資を特別事業計画では求めているところであります。金利については、個々にまだ交渉中であると理解しておりますけれども、実際、これぐらいの財務状況で生じる金利よりも相当低い金利で、今までよりも大きい残高を引き続き貸し続けるという形で、ステークホルダーとしての責任を果たしていただくということを考えているところであります。
次に、10ページ目をごらんいただきますと、これは前回も御説明いたしましたが、事業報酬と原子力賠償との関係を、改めて一言、御説明させてください。前回、御説明しましたように、東京電力は被害者の方に賠償を行う、そのお金を機構が資金交付で全額支弁をいたします。その原資は、政府が交付国債、国債を交付することによって手当をいたします。では、交付した国債はどうやって国庫に戻ってくるかということでありますが、2つ、流れがあります。
一つは、原子力発電を持っているすべての事業者が、将来の事故に備えるということで払っていただく一般負担金、これは年間1,630億円ということで、昨年度分については、機構ができましたのが9月の末でありますので、半年分、815億円払っていただくことになっております。これを原子力発電のコストとして、原子力発電所を持っておられる電気事業者の方が将来に備える費用ということで、相互扶助の考え方の下で一般負担金をお支払いいただきます。これに加えて、東京電力が特別負担金を支払っていただくということであります。
この特別負担金ですけれども、絵の右側のところに「※特別負担金の原資」と書いてあります。特別負担金はどういうことによって払えるようになるかといいますと、株主への配当を本来するはずだったお金をこの形で回すことによって、国庫への特別負担金の納付ができるようになります。勿論、経営合理化を最大限やっていただいて、そこで生じた部分を特別負担金として払っていただくということもあります。それから、金融機関がもっと高い金利を取らなければ回らないのが通常のところを、ステークホルダーとして協力してもらって金利を抑える。そのことによって生じた部分、その部分を特別負担金として機構経由で国庫納付をしていただく。
こういうことによって、予算上5兆円、既に交付されているのが2兆円余りですが、賠償に当たった費用に相当する交付国債の相当分を、国庫納付をいただくという形になるわけであります。したがって、株主への配当相当額というのをなくしてしまいますと、東京電力から特別負担金を機構経由政府に国庫納付をする部分を、まさに削ることになるわけであります。
ちなみに、今、東京電力が料金値上げ申請をやっておられるのと同じような電源構成の会社ができたとして、新会社から値上げ申請が出てきた場合には、ルール上、ほぼ同じ料金を認可することになります。したがって、仮に法的整理をしても、消費者の方からお払いいただく電気料金は、事業の構成、電力の供給のやり方がほとんど同じであれば、電気料金もほぼ同じになるわけでありまして、その場合は、配当に相当する部分が国庫納付されずに、むしろ新しい会社の株主に直接そのまま配当されることになるわけです。
法的整理をしないということはそういう意味がありますし、本来ならば配当に充てていたであろう部分というのは、東京電力のステークホルダーのために使われるというよりも、賠償のために必要な費用を国債で交付をしたものの国家納付に充てるというふうにお考えいただいて、是非こういう考え方を。もともとルール上も、特に国が出資するかどうかで違いがあるわけではありませんし、そこでお支払いいただく事業報酬も、仮に東京電力を法的整理してできる会社が申請した場合も、ほぼ同じ額をお支払いいただくことになるだろうと思いますし、払われた額も、特定のステークホルダーのために使われるというよりも、主として特別負担金として国庫納付に充てられる。そういうことを併せ御理解をいただけないかなというふうに考えております。
以上です。

○河上委員長 東京電力から、何か補足することがあれば。

○東京電力(株)鈴木執行役員電力契約部長 東京電力からは、事業報酬の今回の具体的な数字の算定につきまして、御説明させていただきたいと思います。
資料3の17ページをお開きいただけますでしょうか。こちらが事業報酬の枠組みでございまして、これは前回も本日も、エネ庁さんから御説明いただいた内容でございますが、基本的には事業報酬はレートベース方式ということで、レートベースに事業報酬率を掛け算して求める。今回、レートベースの総額は9兆3,826億円となってございます。事業報酬率は3.0%で算定させていただきました。この内容につきまして、以下、簡単に御説明させていただきます。
19ページをお開きください。レートベースの算定結果でございます。内容としましては、特定固定資産、建設中の資産、以下、並んでございますが、トータルでごらんいただきますと、一番下の合計欄ですが、レートベース、前回の平成20年度料金改定に比べまして、6,825億円の減という内容になっております。これに伴いまして、事業報酬は205億円の減ということです。
レートベースの中身でございますけれども、21ページをごらんいただきたいと思いますが、まず、特定固定資産の内容でございます。いわゆる電気事業固定資産、これが基本となる設備の平均簿価に基づいておりまして、水力、火力、原子力、以下ごらんのとおり設備が並んでございますけれども、それぞれ若干増減がございます。火力発電設備は、前回に比べて若干の増になっております。基本的にはいずれの設備も償却が進行してまいりますので、それに伴う簿価の減がございます。しかしながら、火力発電所につきましては、電力需給の対応ということで、緊急設置電源を新たに設置したり、あるいは、新規に石炭の火力発電所を2か所ほど、この算定期間に運開する予定になっております。そういったものが引き算足し算ございまして、ほぼ同等の水準になっているというところでございます。
一方、原子力発電所につきましては、今回、福島第一・第二原子力発電所に関する資産は基本的に不算入という扱いにさせていただきました。福島第一の1~4号機は既に減損処理をしておりますけれども、残りの第一の5~6、第二原子力、こちらにつきましては、今回、レートベースから対象外という算定をさせていただいています。
22ページは、建設中の資産ということで、新規の発電所建設中のものにつきましては、従来から、建設仮勘定につきましては50%レートベースとして算入する、こんなルールになっております。それに伴うもので若干増がございます。
23ページでございます。こちらは核燃料資産というものでございまして、こちらにつきましては、前回に比べて1,990億円の減という内容になっております。一つは、原子炉に装荷されています核燃料資産、このうち福島第一と第二、こちらに相当する分につきましては、こちらもレートベースから控除する、不算入とするという扱いにしてございます。
下の方に日本原燃への前払金というのがございます。これは、日本原燃の巨額の資金を必要とするということで、再処理の処分に伴う支払いを、開始前に必要となった資金につきまして、前払金という形でお支払いしていまして、この金額が平成19年以降、順次、充当していっているということで、これが1,400億ほど減少しているという内容でございます。
25ページでございます。これは御質問にもございましたけれども、特定投資という内容でございます。こちらにつきましては、長期投資のうち、エネルギーの安定的確保を図るために必要、かつ有効な投資というもののみ対象としております。こちらに列記していますのがその投資の内容でございますが、この中で、日本原燃に対する投資額が前回に比べて大幅に増加しています。これは、平成22年に増資がございまして、それの引受分、当社分が1,305億円ございました。これによる影響という内容でございます。それぞれの必要性等につきましては26ページに記載しておりますので、後ほどごらんいただければと思います。
27ページでございますが、レートベースの資産の内訳としまして、もう一点、運転資本というのがございます。これは営業資本ということで、どうしても電気料金の場合、電気料金の使用量を確定してから料金を請求する。こういったタイムラグがございますので、このタイムラグのズレを、営業費用に対して1.5か月を算入するというルールになってございます。これに準じたものでございます。
以上がレートベースの概略でございますが、20ページにお戻りいただきまして、これに対する事業報酬率の今回の算定の内容でございます。事業報酬率の算定につきましても、電気料金算定規則並びに審査要領というのがございまして、こちらのルールに基づいて、今回、算定させていただいております。
自己資本と他人資本の比率につきましては、30:70というのが、省令上、規定されています。それぞれの報酬率でございますけれども、まず自己資本報酬率につきましては、先般の有識者会議におきまして、「震災後の状況等を勘案しつつ、過大な利益が生じないよう、一方で、資金調達に支障が生じないよう、適正な事業経営リスクを見極める」という御報告がございました。
ここで言います事業リスクとしまして、β値というのがございます。こちらは、一般の市場の株価の変動に対しまして、一般電気事業者の株式の変動が、感応度というのでしょうか、これが相対的にどれくらいの大きさになるかということをあらわした指標でございます。このβ値を、今回、私どもは0.9と。一般電気事業者9社は0.9。これは、昨年の3月11日の震災以降、今年の3月31日までの間のβ値を採用いたしまして、当社単独で見ますと、1.5という数値になっておりますけれども、9社平均の0.9を採用させていただいて計算しました結果が、自己資本報酬率の6.32という数字でございます。
一方、他人資本報酬率につきましては、省令上、10社の過去1年間の平均利率ということで、現状、実績としてございます平成22年度の1.61%、これを採用させていただきました。これを合成しましたのが、3.0%という内容でございます。
取り急ぎ、内容については以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。時間を少しとってしまっておりますので、少し短めに説明をお願いします。
意見のある方はお願いいたします。事業報酬に関しては、前回も議論があったところでございますけれども、いかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 時間がありませんので、簡単に意見だけ述べさせていただきます。
事業体である以上、一定の内部蓄積をして、それをさまざまな用途に使うことは、それはそれであり得るわけですが、現在が異常事態であるということを考えますと、例えば、自己資本報酬のうち相当分を毎年、特別負担金として拠出するということで一定のルールをクリアーにされて、それが必要なのだからこれだけの額が必要だという形でやられるのならいいのですが、とにかく見えない形で3%を掛け算して、あとは東電さんとエネ庁さんとで相談してあんじょう配分を決めるという話になるのでしょうね。何らかの費用が必要だというのはわからないでもないけれども、もう少しクリアーにシステム化して、制度化して、これこれこういう金額が必要だから、こういう形で報酬率を計算する必要があるというような説明がありませんと、今の説明だけではとても納得できないと思います。
更に、先ほど来、いわゆるレートベースの説明がありました。幾つも疑問がありますが、端的に言えば、現在使われていない、あるいは、廃棄が必至な原子力発電のさまざまな経費に相当額が計上されて、掛け算の母数になっています。この辺はもう少し御説明いただかないと、要するに使われてもいない、あるいは、今後使う目途もないようなところになぜ何千億円も計上して、それを母数にして掛け算の基礎になさるのか。この辺は、多くの人から私どもとしては指摘を受けておりまして、やはりここはもう少し説明に工夫をいただきたい。あるいは、内部留保にこういうふうに使う、こういうルール化をしていますから、決して事業の報酬として東電の都合のいいように使う、そういうものではないということをきちんとシステム化していただかないと、これは、納得は得られにくいのではないかというふうに思いました。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 根本的に通常の企業経営を想定した会計基準とかの在り方が、今のこの危機のときにふさわしいかどうかというところが、やはり国民が不満とかに思っているのではないかなと思います。例えば、競争入札を30%に引き上げるという話もございましたけれども、これも前に委員会からも言いましたけれども、不十分だと思います。それに対して、専門性だとか、製造者と修理する者が一致していなければ困るなどということを、理由として挙げられていますけれども、逆に、特定のファミリー企業しか納入や修理ができない形に持ってきたところに、問題があるのではないかと思いますし、そういったところにもう少し経産省はメスを入れないと仕方ないと思います。
例えば日本原子力発電というのがございますね。今まで原発からの電力を買っていた。それが今後3年間、再稼働の見込みがないのに毎年1,200億円払う、そういう契約を同社などと結んでいる。これも通常の想定であって、このような状況を想定していない中でこのような契約を維持することが本当に妥当性があるのか、そういうようなこともあります。
まさに総括原価にあぐらをかいた、象徴のような契約内容という感じもします。こういうことを考えると、本当に身を削るようなことをすれば、私の心証としては、今回、値上げをしなくても何とか耐えられるのではないか、そのような感じも持っています。

○河上委員長 原価の話は、次のところでまた少し説明いただくことになりますが、事業報酬についての質問はよろしいですか。
では、糟谷さん、お願いします。

○経済産業省資源エネルギー庁糟谷電力・ガス事業部長 一定のルールをつくって制度化できないかという山口先生のお話ですけれども、これは他方で、電力の安定供給のために必要な投資はしてもらわないといけません。その年その年で企業の経営状況が変わる中で、必要な投資をやり、それで残った利益から最大限、特別負担金としてお支払いいただきたいと思っております。その意味で、特別負担金の金額を一定に決めて、必ずその額を毎年払えるようにすると、それは少なくなりすぎるのでしょうし、逆にそれを大きくしすぎると、今度は必要な投資ができないということにもなりかねません。
したがって、考え方としては、毎年毎年、必要な投資を最低限やった上で、払える限りの特別負担金をお支払いいただく。その状況は毎年毎年、情報公開をしていき、3年間の原価算定期間が終わった後、経済産業省として、今回の料金の認可が妥当だったかどうかということを振り返って評価をする。この結果も公表する。そういうことを考えております。

○東京電力(株)鈴木執行役員電力契約部長 ちょっと説明を忘れていましたけれども、28ページです。先ほど山口様からお話のありました、原子力の設備の母数に入っているのではないかというところでございますけれども、原子力の設備につきましては、福島第一の1~4につきましては既に減損しているということで、レートベースに入っておりません。福島第一の5~6と福島第二につきましては、今回、レートベースは不算入という扱いにしています。入れておりません。柏崎の発電所だけは、今後、算定期間に稼働することを仮定しておりますので、これについてはレートベースに入れさせていただいている、このようになっております。

○河上委員長 今は、稼働予定のものだけをそういう形で入れているということでよろしいのですか。

○東京電力(株)鈴木執行役員電力契約部長 計画上、そのように盛り込んだものだけを入れさせていただいています。

○山口委員長代理 原発関係のことは、また別の機会にお聞きしたいと思います。

○河上委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 27ページ、営業資本の中に燃料費というのが入っていて、燃料が非常に高いから、値上げをせざるを得ないという話がよくありますけれども、政府関係者に聞きましたら、東電というのは実は燃料費を値切ったことがない、他の会社に代えようとか、そういうことをやったことのないところだと私は言われまして、その辺、実態はどうなのでしょうか。普通の発電会社は、少しでも安いものを買おう、燃料もそういうところから調達しているという話をよく聞きますね。人件費だけではなくて、こういうところも、高いからここに乗せるということではなくて、そういうふうなコストカットの仕方もあるのではないかと思いますけれども、実態はどうなのでしょうか。

○東京電力(株)村松執行役員企画部長 燃料費でございますけれども、燃料費の一番ウエートの大きいのはLNGでございます。LNGにつきましては、震災後、まずスポット、それから1年間の短期契約ということで、マーケットの中でとにかく安いものを探してくるということで進めてまいりました。ところが、日本の中の他電力が、原子力が順次止まっていったということもございまして、現在はスポット価格が中長期の契約を上回る水準でございます。こうした中で、私どもといたしましては、1年間程度の短期契約が、契約上、一番有利ということで、より安いものを調達するということで進めているところでございます。
また、原油が天然ガス、石炭に比べると最も高いということでございますので、これにつきましては、きめ細かく原油の量を減らすことを最優先に進めているところでございます。燃料につきましても、コストダウンにつきましては、我々といたしましては全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

○河上委員長 では、続いて、原価の規制部門と自由化部門への配分の問題であります。前回も説明いただいておりますので、繰り返しの説明は必要ございませんけれども、残された課題について、簡単に説明をお願いできればと思います。

○経済産業省資源エネルギー庁糟谷電力・ガス事業部長 配分の仕方について、「資料2」の12ページ目をごらんいただけますでしょうか。
これは、前回お示しした表に具体的な数字を入れております。左上を見ていただきますと、平成18年度の東京電力の料金改定の届出の数値を使っております。総原価が4兆8,207億円、この内訳が、51項目の営業費用が4兆4,851億円と事業報酬3,356億円です。
全体の数字を、緑のところの数字でそれぞれ示しております。特に、このうち事業報酬がどういうふうに割り振られているかということを黄色の数字でつけております。これによって、事業報酬がどういうふうに割り振られて、最終的に大口料金、自由化料金、規制料金にどういうふうに帰着して、何%という利益率になるのかというところをごらんいただきたいと思います。
まず、左から矢印が出てすぐ右のところですが、水力発電費、火力発電費という項目に分かれます。

○山口委員長代理 すみません。これはちょっとわかりにくくて、質問事項にありますが、要するに発電にこれだけトータルかかっている。自由化部門と規制部門共通の配電費用にこれだけかかっている。規制部門だけの発送電費用にこれだけかかる。例えば、それを売上別に分けるとこうなっているという、もう少しわかりやすいものをいただけませんか。これを説明いただくと時間はかかるけれども、さっぱりわからないのです。今日初めて見たものではありませんが。

○経済産業省資源エネルギー庁糟谷電力・ガス事業部長 では、情報は全部ここに入っておりますので、また整理し直して、御説明し直します。

○山口委員長代理 すみません。

○河上委員長 説明の途中で恐縮ですけれども、とりあえず今の段階で、規制部門・自由化部門の配分方法について、委員の方々の中で説明を求めたいことがありましたら、お願いします。いかがでしょうか。
東京電力さんの方で、何か補足したいことがあれば。

○東京電力(株)鈴木執行役員電力契約部長 先ほどの資料の中で若干落としたところがございますので、簡単に追加の説明だけさせてください。
30ページからが配分の説明ですが、ただいまのお話で申しますと、34ページをお開きいただけますでしょうか。先ほどのエネ庁さんの資料を縦にフローで流したもので、これもわかりにくいところではございますけれども、ただいまのお話で、共通の部分、あるいは低圧だけにかかわる部分といったことが、ここに示されてございます。送電・高圧配電関連費というのはネットワークの費用でございまして、ネットワークのうちの自由化部門で使われるところまで。要するに、発電所から超高圧の送電線をたどりまして、変電所に来るところまでの費用でございます。これは、自由化部門にも規制部門にも配分される費用という内容になっております。
そのうち、マル1というのは、すべての需要種別に電圧に配分されるものですが、マル2というのは、低圧と高圧にだけ配分される設備になります。送電・高圧配電非関連費は、ネットワーク以外の、例えば大きな電源設備でございますけれども、それの費用。それに加えて、低圧だけに配分される配電線。先般ちょっと申し上げました、トランス以下の規制部門にだけ使われる設備、これがマル7番の数字になってございます。マル7番につきましては、規制部門だけに配分される設備。マル2というのは、高圧と低圧だけで配分される配電線等の費用で、これは出力の契約電力の比率に応じて分けますので、低圧の既設の方に多く割り振りされる。一方、マル1やマル5のように、電源の設備、あるいは基幹系の設備というのはすべての電圧に割り振りされますので、これについては2:1:1法という、従前からとられている手法で割り振りする結果、ここに書いてありますような比率になっているということでございます。
下の表の右側に、合計の単価というのがございますが、低圧の単価25.74円という今回の申請原価に基づく単価でございます。高圧・特高を括りました自由化の部門が17.50ということで、差をとりますと、8円強の単価差。前回、現行の料金で23円と15円で8円ぐらいの差がございますということを御説明しましたけれども、今回の申請原価でも、同様の単価差が生じているという内容になってございます。
配分の比率でございますが、31ページにお戻りいただきます。費目別にどんなふうに割り振っているかということで御質問をいただいておりますが、例えば一番上の燃料費、これは可変費でございまして、規制・自由それぞれの使用量に基づく発電電力量の比率で配分されますので、39:61、こういう比率で燃料費については配分される。
一方、固定費の代表として修繕費を例として挙げてございます。これは、使われる設備によって配分比率が変わってくるということで、電源とか送電線の基幹系の設備については2:1:1法という配分比率がございまして、これでやりますと、規制は47%ないし44%と。

○山口委員長代理 細かい数字ですけれども、たしか発電量は63:37ぐらいではありませんでしたか。

○東京電力(株)鈴木執行役員電力契約部長 販売電力量ですと、38:62です。発電から消費されるまでの送電ロスが高圧と特高で違いますので、すべて、どれだけ発電するかという量で戻しますと、39:61という数字になっております。
固定費についてはそういうことで、基幹系の方は2:1:1法という数値。それから、配電用変電所とか高圧配電線になりますと、高圧と低圧だけで配分されます。これが契約電力の2:1法ということで配分しますと、69:31。
需要家費というのは、検針の費用とか、引き込み線の費用ということで、需要家の口数に応じて発生します。

○山口委員長代理 すみません。電源費とかは、規制の方がなぜ多いのですか。売電量は自由部門の方が2倍ぐらいあるわけでしょう。

○東京電力(株)鈴木執行役員電力契約部長 可変費については使った量に応じて配分されますが、固定費の方は、最大電力の負担割合に応じて配分されまして、2:1:1と言っていますが、32ページに概念が書いてございます。32ページの図をごらんいただきますと、2:1:1というのは、最大電力のウエートが2ということで、低圧と高圧と特高というふうにグラフを積み上げてございます。

○山口委員長代理 素人考えですと、電源費とか、送電費とか、その他の共通に自由化部門にも規制部門両方にかかる費用だとしたら、それこそ63:37ぐらいに分けるのがフェアだと思うのですが。

○東京電力(株)鈴木執行役員電力契約部長 設備の方は、使われる規模、高さに応じてつくりますので、契約電力とか、あるいは最大電力、これの使われ方に応じて配分すると。単なる使用量ということではなくて、契約高に応じて、あるいは需要の出方に応じて配分する。その概念がちょっとわかりにくいのですが、それで配分すると、こちらにありますような47:53とか、こういう比率になってくる。

○河上委員長 よく言われていることですけれども、電力量が、先ほど出ました38%:62%で分かれ、収入は49%:51%というふうに言われ、収益が91%:9%というふうに、家庭用とそうでないところとが出てくる。このねじれがどうしてもうまく説明できていないと思うのです。コストのかかり方にしても。その辺の部分も含めて、もう少しわかりやすい形で説明をいただければありがたいと思います。

○経済産業省資源エネルギー庁糟谷電力・ガス事業部長 先ほど説明をやめてしまったので、資料の続きの13ページをごらんいただけますか。特に、規制部門から9割のもうけということが何で起きているかということの一番大きな要因を、これは具体的な数字というよりも、考え方、こういうことが起きていますということをなるべくシンプルにやりましたので、ちょっとごらんいただきたいと思います。
右上の絵を見ていただきますと、燃料費が増えるときには、2つパターンがあります。一つは、もともと燃料費の構成が変わらない中で、市況が上がったために燃料費が上がるという場合です。それが、この青い矢印で上に上がっている部分です。逆に、原子力発電が止まって、化石燃料を焚いて余計に発電しなければいけなくなった。これは化石燃料の火力の比率が高くなります。これが右側の赤いところとお考えください。青いところの矢印の変化は、燃料費調整制度で3か月遅れで自動的に反映されるわけです。ところが、右側の赤い矢印のところ、つまり燃料費の構成が変わったことによる燃料費の増加、これは燃料費調整制度では反映できません。すなわち、これを反映させようとすると、値上げ認可の申請をするしかないわけです。
実際、何が起きたかというと、柏崎刈羽が中越沖地震で止まったときに、右側の赤い矢印に伴って燃料費が増えたわけです。青い矢印と赤い矢印で、一体、報酬割合にどう効いてくるかというのを書いたのがマル1とマル2です。マル1が青い矢印であります。事業報酬というのは、収入を分母にして事業報酬を分子にして割り算をすると、事業報酬率というのが出ます。燃料費調整制度で調整されるときは、分母が増えるわけです。つまり、収入が増えるので分母が増える。ただ、事業報酬率は、分母が増えることによって下がるには下がります。他方、右側の赤い矢印のところは分母は変わりません。つまり燃料費調整制度で反映されませんので、収入は変わりません。逆に分子の報酬が減るわけです。したがって、分子の事業報酬から燃料費の増加分をそのまま引いたものを、もともとの総原価、収入で割り算をすることになります。
それがどれぐらい数字が違うかということを、一番下で見ていただければと思いますけれども、平成18年の東京電力料金改定届出の数字です。もともと、総原価に対する事業報酬の割合は、規制部門が7.7%、自由化部門が6.6%でした。マル1は燃料費調整制度で上がった場合です。仮に燃料が倍になったとしましても、規制料金が7.7%から6.6%の利益率、自由化部門が6.6%から5.3%の利益率になります。逆に燃料の数量が増えた場合、これは1割増えただけで規制部門は7.7%から6.1%に下がり、自由化部門は6.6%から4.1%に報酬率は下がる。
そういうことで、燃料費調整制度によらない、赤い矢印に伴う燃料費の増は、より大きく事業報酬率に影響を与え、なおかつ、自由化部門の利益率をより大きく減らす方に作用するわけです。したがって、例えば2割増えた場合というのは、13ページの一番右ですが、もともと7.7%:6.6%だった事業報酬率の割合が、4.5%:1.6%ぐらいの3倍の違いが出てくる。こういうメカニズムが働いた結果でございます。

○山口委員長代理 それが平成18年を前提にされているから、先ほど鈴木さんが説明された配分の仕方を、変えるべきではないかと思うのです。それは、いろいろな基準の考え方はあると思いますけれども、平成18年の分け方が、こういう燃料状態が変わった今でもそのままというのは、どうかなと。またいずれ聞きたいと思いますが。

○経済産業省資源エネルギー庁糟谷電力・ガス事業部長 勿論、今回、値上げ認可をするときには、事業報酬率が規制部門と自由化部門でそんなに大きく違うということにはならないと思います。恐らく規制部門の方が自由化部門よりも少し大きいでしょうけれども、ただ、もともと7.7と6.6だったわけです。だから、それぐらいの比率にはなるのだろうと。これはやってみないとわかりませんけれども。

○東京電力(株)鈴木執行役員電力契約部長 そういう意味では、先ほどの31ページをごらんいただきますと、下の表に費目別の規制・自由に分けた内容がございます。これのトータルのところをごらんいただきますと、これが、規制と自由の今回の収入といいますか、コストを配分した総額になっています。規制と自由の配分は、事業報酬のところは結果的に55:45になっていますが、ここの規制で言いますところの1,540億を総額の2兆7,201億円で割りますと、5.7%になります。一方、自由化の方は、割り算しますと4.2%。1.5ポイント違いますが、それぞれ、そのような報酬率割合になっているということでございます。

○河上委員長 最初からそういうふうに収益を出しておけばいいのではないですか。

○経済産業省資源エネルギー庁糟谷電力・ガス事業部長 認可とか届出の段階ではそうなるのですけれども、1年たって、燃料費調整制度ではない形で燃料費が上がる。そのことによってすごく大きな違いが出てきている、そういうことだと思います。

○河上委員長 一見して不可思議な数字が出てきてしまいますと、今のような説明を伺って、やっと、何となくそういうこともあるのかなという状態です。やはり、素人にはかなり丁寧に説明をしていただくことが大事だろうと思います。
実は、今日はほかにも幾つか論点がございまして、伺いたいことがあったのですけれども、時間との関係もございますので。
では、1点だけ、小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 今、過去のことだということで、利益率が自由化部門と規制部門でこんなに違うというご説明がありました。確かにこうなるのですという説明をエネ庁の方がなさったのですが、過去のことなのでどうしょうもないのでしょうけれども、その結果について、良いと思われますか。規制部門というのは、消費者は電気料金を決められて払っているわけですけれども、現実に、利益率はほとんど自由化部門にはなくて、規制部門からだけ出ていましたという結果が出ているわけです、過去について。これはしょうがないという説明は受けたのですが、そもそも、そういう配分での電気料金を消費者は今まで払ってきたということがあります。本当にやりようがなかったのかというのも、過去のことですが、また御検討いただければと思いますけれども、おそらく消費者の方は、こういう計算だからこうなるのは致し方ないですという説明を伺っても、釈然としないものがあると思います。なぜ、どうしようもなかったのかということです。
もう一点、これも過去のことということになるのかもしれませんが、東京電力は民間会社としてやってこられたわけですね。しかしながら、規制部門として、料金は決められたものを消費者は皆さん払わなければいけない。そういう立場にあるから、民間ではあるけれども、そもそも多少公的な色彩を持っていたと思います。
ところが、今回こういう事故がございまして、有識者会議というところでいろいろ指摘され、人件費とか、コスト削減努力をもっとできないかとか、あるいは、ファミリー企業があるのではないか、調達も随契でやっているのがほとんどで、何で競争入札にできないか。これが特殊法人とか独法であれば、当然、原則競争入札で、なぜ1社入札なのかと指摘される。そういう立場にあるようなところなのですね。ですから、東電の今までの状況というのは、消費者としては、本当に正当な電気料金だったのかというのが、有識者会議の報告書などを見て疑わしくなる。結局、デフレ時代なのに値下がらないままの電気料金を支払ってきたのではないかという感想を、おそらく持ってしまうと思います。
今回、値上げ申請ということですけれども、そもそも、今まで払ってきた電気料金というのは、本当に東電さんがコスト削減のために一生懸命経営合理化して、やってきた結果として払わされてきたものなのかという疑念は、やはり過去についてもあると思います。今の自由化部門と規制部門の利益率の乖離も同じだと思いますが、消費者としてはそのような思いがあると思いますので、今回の値上げについても、その辺りも改めてよく考えていただけたらと思います。

○河上委員長 予定していた時間を超えて、そちらも御予定があると伺っておりますので、ここで終わりたいと思います。規制部門というのは競争にさらされることのない部門でもあるだけに、その料金体系は、事業者側の徹底した合理化と、体質改善も含めて頑張っていただかないと、なかなか国民の理解を得られることは難しいだろうと思います。ただ、一定のメカニズムについての説明を受ければ、なるほどということもございますので、そういうところについて、余り省略しないで、丁寧に説明をお願いしたいと思います。
今日いただいた資料も、大変貴重な資料でございまして、丁寧な説明をいただきながらここまで来ました。時間が足りなくて大変申し訳ございませんけれども、ありがとうございました。
本日の議論の結果につきましては、今後の消費者委員会での議論に是非反映させてまいりたいと考えております。また、何度もお呼びして申し訳ございませんけれども、後日、再度また必要に応じて、ヒアリングの機会を持たせていただければありがたいと思います。
経済産業省、東京電力におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

○山口委員長代理 では、今の意見交換を踏まえて、有識者メンバーとして、大塚先生と水上先生においでいただいていますので、お二人からコメントをいただいて、少し議論ができればと思います。よろしくお願いいたします。

○水上貴央弁護士 申し訳ありません。この後、中座の予定がありますので、取り急ぎ、御意見だけ申し上げたいと思います。
テーマとしては、人件費の問題、事業報酬の問題、いろいろあったかと思いますけれども、時間もございませんので、本日は主に事業報酬の問題について述べたいと思います。
今回の質問事項の回答としてエネ庁の資料が出まして、この7ページに「事業報酬について」というところがありますので、それを見ながらお話ししたいと思います。このうち、一番上のマルはいわゆる形式論の問題なので、最後に述べます。
2番目に水道事業のことが書かれていますけれども、東京電力の総括原価には、既に資産についての修繕費というのは含まれているので、水道事業における資産維持費の議論から、直接、東京電力の事業報酬を肯定するという議論にはならないのではないかと思います。
3番目が鉄道会社の話で、この資料を見ると、国が株式を100%保有するJR北海道、四国、九州などでは、10%ぐらいの事業報酬見合いのものが持たれているというふうに書いてあります。ただ、JR北海道というのは、280億円ぐらいの営業損失を出している会社です。JR四国は90億円超、JR九州は30億円超の営業損失を出している会社です。つまり、もともと営業損失を出している会社なのです。なぜかというと、赤字路線を抱えていて、それを維持させないといけないので、最初から赤字を抱えている会社だったわけです。ですから、そういう会社の事業を維持させるためには、事業報酬見合いでこういう多額の自己資本報酬に当たるものを積んでおかないと事業が成り立たない。更に言うと、積んでもなお赤字という会社の事業報酬なのです。
一方、東京電力は、この事故があるまでの間はそもそも超優良事業者でありました。更に、今回の事故の損害賠償については、支援機構からの資金交付によって賄われることになっていますし、燃料費の高騰についても調整費という形でリスクフリーになっているという状況です。すなわち東京電力は、ここで書かれているような、JR九州、JR四国とは全く事業環境の違う会社ですので、これらの会社を前提に、これらの会社も10%積んでいるから東京電力も積むという理屈は、そもそも理屈に合わないということになると思います。
そして、何より東京電力は、現在、重大事故を起こしたことに起因して発電構成の変更を求められるという、同社に帰責ある事情によって、消費者に10%以上という多額の値上げを求めているという状況にあるわけです。このような状況で、平時と同様のルールで事業報酬を得ることに実質的な合理性があるかというと、やはりないというふうに私は考えます。
以上より、エネ庁の今回の説明資料を前提にした場合は、事業報酬を今回の算定式において認めるべきという理由は、結局、一番上の形式論しかないということになります。つまり、過去に議論されたこともないし、もともとルールも決まっているので、事業報酬は積ませてくださいという理由が残るということなのですけれども、しかし、消費者を守るという観点からこの形式論はおかしいと思います。
なぜなら、もともとこうした料金算定のルールは平時の電気事業を前提にしていて、また、エネ庁の資料7ページにまさに書かれていますけれども、このルールは、消費者の利益を阻害することがないようにという目的に従って形式ルールが定められているわけです。今回のような特殊事情を前提とする場合においては、まず、著しい事情変更というのが存在していますし、そもそもこの制度の目的は消費者保護なのですから、形式論を形式的に適用することによってむしろ消費者の利益を損なうという場合、無理やり形式論を適用するべきではない。なぜなら、形式論が存在するのは消費者を守るためだから、ということになります。
最後に、本日もエネ庁から再三、今回の事業報酬は特別負担金に充てられるという説明がなされていますが、山口委員長代理からも御質問があったとおり、明確に拠出ルールのようなものさえなく、事業報酬を積めば特別負担金を拠出するという関係にはないという状況になっています。
この点、エネ庁は、投資が必要だから特別負担金の拠出をルール化できない、というような説明をされました。逆に言うと、事業報酬を特別負担金に充てるつもりはないということを、本日、明確にされたわけです。しかし、少なくともこの3年間において、必要な先行投資をも加味した事業報酬をそのまま消費者に転嫁するということは、やはり許されないと思います。投資の原資については、徹底的なコスト削減や資産の売却によって賄うべきであって、特別負担金の拠出のルールさえつくらずに事業報酬を認めるというのは、やはり消費者の納得は得られないことになると思います。
なお、私自身は、そもそも今回の特殊事情において、特別負担金を拠出するためという理由で、その原資をほぼ全面的に消費者が負担すること自体に理論的な問題があると考えております。この点は是非、別途、書面をもって御指摘したいと考えております。
なお、本日は、大変申し訳ないのですが、この後、予定があって中座しなければいけないものですから、もしお認めいただけますならば、この問題については意見書としてまとめ、消費者委員会委員長及び消費者委員各位向けにお示しし、それをもとに、一度、この場で御説明申し上げる機会をいただければというふうに思いますが、その点はお認めいただけませんでしょうか。
以上、お認めいただければというお願いと、御説明をさせていただきました。

○河上委員長 ありがとうございました。
引き続きまして、大塚先生からお願いいたします。

○大塚良治湘北短期大学総合ビジネス学科准教授 湘北短大の大塚でございます。
私も、事業報酬の今の水上弁護士の指摘、JR三島会社については、10%になっていますけれども、JR九州は例外として、JR三島会社は発足時から営業損失を計上し続けているわけでございますので、赤字路線維持のためにはこの事業報酬率が認められないと事業が維持できない。そのほかに経営安定基金というのが入っておりまして、それで経営の維持を図られているという状況ですので、やはり東電とは環境が違うということだと思います。
今日、法的整理の話が出ましたけれども、そちらを中心に私の感想を述べたいと思います。
端的に言うと、前回の繰り返しになってしまうかもしれませんけれども、燃料費の上昇による収支不足を電力料金値上げで賄う、というふうにしているというふうな印象を持つ。消費者もこれについてはかなり怒っているのではないか、という感想を持っております。ここは、株主や債権者も、収支不足についてある程度分かち合うという視点は、あってしかるべきなのではないかというふうに私は感じております。ただ、先ほど法的整理のお話が出ましたけれども、そういうことを考える様子は全く見られなかったのがちょっと気になりました。
ただ、東電の経営維持ということを考えますと、LNGが高いということですから、値上げというのも、東電の経営の再建のためにはやむを得ない面は確かにあるのかなということもあります。しかし、消費者委員会の立場として私が思うのは、消費者の負担を減らすためにどれだけ費用を絞り込めるかということが大事だと思いますので、そういう議論を中心に、消費者の利益を擁護する提案や意見を、東電や経産省に伝えることが大事なのではないかと思っております。
破綻処理か、そうではないかという議論でしたけれども、ぎりぎりの妥協のラインを探るという考え方も私はあると思っています。つまり、株主、債権者、消費者といったステークホルダー間の負担の分かち合いということも、議論があってしかるべきではないかと思っております。
まず、株主についてですけれども、原発事故によって東電の株価は大きく下がりました。調べましたら、2011年3月11日(金曜日)、東電の終値は2,121円でした。週明けの14日は1,621円になり、翌15日には921円ということで、株主は株の値下がりによる損失を被ったということで、これについては一定の責任を取らされているということだと思います。
しかし、債権者については債権放棄を求められていない。前回、新規債権には政府保証がついていて、既存債権についてはついていないという話は、ちょっと疑問だということを申し上げましたけれども、東電は実質、国有化されるわけですから、その国有化が継続している間は、破綻のリスクはとても小さくなっているので、政府保証がついているのと実質的に同じだと私は考えております。仮に、東電が事故を起こして信用リスクが上昇したといって、何も政府の保証がないということになりますと、本来であれば債権価値は毀損されているはずです。信用リスクが上がりますと、債権者の要求利率が高まりますけれども、それを通じて債権価値は下がります。仮に、価値低下後の時価まで債権金額を切り下げることができれば、東電は債権者に対して、毀損した債権金額の分だけ弁済すれば済むということも考えられるということです。
ただ、この場合、形としては、額面金額と毀損後の時価との差額について、債権放棄を求めるということで、債権者に負担を求めることもありなのではないか。私は、そういう議論もあるのではないかというふうに考えております。
しかし、今回、債権者に債権の放棄を求めず、結局、東電の債権が額面金額で補償されるということになりますと、結局これも、毀損後の時価と額面金額の差額については、実質的に公的負担になってしまうことと同じではないかという感想もありまして、以上のようなことを踏まえますと、今回の料金値上げには、消費者の納得を得るためには、やはり負担の分かち合いというのが必要なのではないかと思っております。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
ただいまお話しいただいた内容について、水上先生からは、後日、意見書をいただけるということですけれども、今日は大塚先生がいらっしゃるので、何か質問、御意見がありましたら、発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

○山口委員長代理 燃料費負担増の損失、あるいは原発事故による賠償の責任を、東電の電力を買っている人が負担するのか。それとも国が補償して税金から負担するのか。それとも、株主なり債権者が負担するのかということになると思います。そこで、内部で議論をしているときには、税金から負担するとなると、これは子々孫々に負担をかぶせることになる。それよりはユーザーが負担した方が、我々の子どもたち、孫たちに負担をかぶせることにならないから、まだいいのではないかというような議論があります。
他方、私は弁護士的な感覚から言うと、先ほど大塚先生は、東電の株主は、2,100円から大幅に値下がりしたから責任を取ったとおっしゃるけれども、JALの株は紙っぺらになってしまっているわけです。それと比べるとまだまだ甘いのではないか。あるいは債権者も、金融機関を含めて、甘いのではないか。電力債との関係の説明もありましたけれども、これは一たん、例えば会社更生でチャラにした上で、コンセンサスが得られないという部長の説明もありましたが、特別の法律で国が賠償責任を負う。その手続を東電がやるということもあり得るわけです。要するに、電力債が権利が強いから今の枠組みが崩せない、会社整理ができないというのは、どうも腑に落ちないです。その辺の責任の取り方について、どういうふうにお考えなのか。

○大塚良治湘北短期大学総合ビジネス学科准教授 まず、山口委員長代理は、甘いと。国民の多くがそう思っていると思います。私どもが思っているということは、かなりそう思っているのではないかと思います。株主の責任についてですけれども、一たん紙切れにした方がいいのではないかということですね。私が軽々に言えることではないですけれども、債権者と株主の責任の取り方の比較で、株主は責任を、甘いけれども取っている。でも、債権者は全く取っていないという比喩で用いただけでありまして、これが甘いと言われればそうかもしれないですね。それが1点です。
債権者の弁済権についてですけれども、いただいた資料の中でも、優先弁済権という文言があります。優先ということは、仮に会社が破綻したら紙屑になることもありえますし、債権の価値が毀損され、弁済が出来なくなる部分はきっとあるだろうと思います。債権放棄についても、どういう枠組みかというのはまた議論が要りますけれども、金融機関は、新規の融資にとにかく応じている。金利もそれなりに低いということであれば、それは政府の保証の効果が発生している結果ですから、この政府の保証も目に見えない国民の負担であるというふうに思います。
ただし、本当は債権価値というのは毀損されているわけですから、既存されている部分については責任を取るべきであるという議論は十分あり得るのではないかと思います。
以上です。

○河上委員長 先ほど、「希釈化」という言葉が出てきて、希釈化されることによって、事実上は負担を分担しているという説明をしていた部分がありました。あれはどうなんですか。希釈化によって責任が分担されるという説明は、可能なのですか。

○大塚良治湘北短期大学総合ビジネス学科准教授 難しいところですけれども、一番責任を取るということであれば、やはり減資だと思います。そうすると減資差益が出て、ある程度利益が出ますから、それを原資にして値上げ幅圧縮ということも可能かもしれません。希釈化については私ももう少し検討したいと思います。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 この前も発言しましたけれども、ステークホルダーの中で株主というのは、投資しようと思って、株式市場中で東電を選んだわけですね。金融機関というのは、金融市場の中で、借りたい者があまたある中で東電を選んだわけです。契約の自由ということは、裏返せば、自由意思で選んだからには責任を伴うというのが原則なわけで、そういうことから言うと、消費者というのは最終消費をするために契約しただけであって、しかも、東電というものをメニューの中から選んだわけではない。生きるために必要、仕方ないから、東電管内に住んでいるから契約したというだけです。
ステークホルダーとして考えた場合、私は、消費者よりも、株主あるいは金融機関が責任を持つのは当たり前の話であって、それなのに、今のスキームはかなり利用者にその負担を押しつけている。そういうスキームであると私は感じていますけれども、どうでしょうか。

○大塚良治湘北短期大学総合ビジネス学科准教授 例えば鉄道では、その地域に一つの路線しかない場合があります。その場合には他の路線に逃げられないと。運賃が高いといっても、受け入れざるを得ないという状況はありますね。東電についても同じで、結局、規制部門のユーザーは電力会社を選べないのです。ですから、値上げを転嫁しやすいわけです。ですが、ユーザーだけに責任を押しつけていいのか。鉄道も勿論ですけれども、値上げの話が出たとき、ステークホルダーの間で、どれだけの負担割合にするのか、どれだけの責任を取るのかという議論はありうるはずです。今回の東電の値上げについて、消費者の印象としては、消費者だけに値上げを押しつけているような印象を持たれていると思いますので、やはり債権者が痛みを分かち合う考え方が議論されるべきです。一たん私的整理なり、会社更生というのはなかなか厳しいかもしれませんけれども、債権価値の毀損分については、債権者はドネーション、寄付をするということがあってもいいのではないかなというふうには思います。ですから、結論としては、消費者だけに責任を押しつけるのはノーということになります。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 先ほど、細川委員から非常に重い発言がありました。端的に言えば、細川委員の個人的見解としては、値上げをしなくも済むのではないかというような意見を言われました。確かに今日の議論を聞いていても、東電の経費節減の努力については、一般的な目から見ても、まだまだ甘いのではないかと言わざるを得ないと思うので、消費者委員会としてはなお説明を求めて、最終的に消費者委員会としてどういう意見を出すのか、真摯に委員間でも、あるいはこういう場でも議論をして、結論を出し、松原大臣に意見を具申することが必要かと思いました。

○河上委員長 ほかに、よろしいですか。
今日、いろいろ説明をいただきましたが、時間が短いこともあって、わかりづらいところもたくさんありました。このオープンな場ですから、また機会を持って、東京電力さんにも更にわかりやすい形での説明をお願いしていきたいと思います。少なくとも今日聞いた限りでは、まだまだ、なるほどというところまでいかないと思われますので、消費者委員会としても、更に質問を積み上げていって、国民の方々の一定の理解に資するような情報を、この場で出していただけるように努力したいと思います。
先生方からも話がありましたけれども、東京電力は、現在、一般企業でしたら清算か整理を行われても仕方がないような状況にある。ただ、社会的な要請から考えてつぶすわけにはいかないということになって、国が資本注入しているわけです。そうなると、整理をするかどうかの話ではなくて、整理をせざるを得ない企業状態の中で、なおかつ、東京電力がどういう形で身を絞って、国民への転嫁を最小限に抑えることがふさわしいか、という辺りが試されているのだろうという気がいたします。消費者委員会として、もう少し議論を積み重ねていきたいと思います。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 大塚先生にお伺いしたいのですけれども、先ほど来、株主、債権者のステークホルダーを交えて負担を分かち合うべきだとおっしゃっていらっしゃって、それはそうだと思いますけれども、もしこういう不幸な事故がなかったとすれば、消費者は、電力料金が規制部門から非常に利益を上げているということも知らないままでいたかもしれないわけです。そうしますと、この電気料金をずっと認めてきて値下げもしなかった国の責任、それから、原子力発電を国策としてきた国の責任というものも、今回そこにかかわってくるときに、ステークホルダーの株主、債権者、では政府、国の責任はどうなのか。ただ1兆円の資金を出せばいいという話ではないと、消費者として思いますけれども、どんなふうにお考えか、少し聞かせてください。

○大塚良治湘北短期大学総合ビジネス学科准教授 国に責任を求めるというのは、税金でということですね。そうすると、国民全体が広く分かち合うということですので、確かに国に責任はあるのでしょうけれども、結局、我々が痛みを被るということになります。ただ、総括原価の問題もかなり今まで議論になってきましたから、事業報酬の在り方とか、総括原価の算定の仕方というのは、今後のためにもやはり議論の俎上にのせるべきです。議論が続けられるべきであると思います。

○河上委員長 それでは、今日はこれまでにいたしたいと思います。貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。また、先生方の議論の成果については、今後の委員会での議論に反映させてまいりたいと思います。
電気料金問題検討ワーキングチームの有識者の皆様におかれましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、誠にありがとうございました。

2) 電話料金について

○河上委員長 続きまして、やはり公共料金ですが、「電話料金について」であります。電話料金につきましては、去る5月29日に開催された「情報通信行政・郵政行政審議会」で、NTT東西の固定電話及び公衆電話の料金水準の上限値、いわゆるプライスキャップの答申がなされたところであります。
本件については、当委員会の「公共料金問題についての建議」のフォローアップの一環といたしまして、6月5日の委員間打合せにおいて、総務省から事前に御報告をいただいたところであります。その上で、この建議における指摘事項、すなわち、情報提供すべき情報の範囲と方法、消費者の意見を反映するための方策、消費者の観点からチェックするための第三者機関の必要性、デフレ時代に見合った料金水準への値下げを求めることができる仕組みの在り方に照らして、果たして問題がないかということについて、消費者の視点から、その審査・決定過程について検討を行っているところであります。
本日は、総務省においでいただいておりますので、公開の委員会の場において、改めて、本件の審査・決定過程における建議の指摘事項への対応状況等について、御説明をいただければと思います。なお、説明時間につきましては、大変恐縮ですけれども、5分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○総務省二宮総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課長 総務省総合通信基盤局料金サービス課長の二宮でございます。
本日は、上限価格方式によるNTT東西の基準料金指数の設定につきまして、今、委員長から御指摘のございました点につきまして、御説明を申し上げたいと思います。お手元資料4をごらんいただければと思います。
まず、上限価格方式の概要につきまして、ごく簡単に申し上げたいと思います。本制度の趣旨といたしましては、先日、この場でも御説明申し上げましたとおり、通信分野は、競争導入によりまして市場メカニズムを通じた料金の低廉化、並びにサービスの多様化を図っているところでございまして、利用者料金につきましては、原則として事業者が自由に設定可能としているところでございます。
他方、NTT東西の加入電話等の競争が不十分な分野において、市場メカニズムを補完する観点から、総括原価方式に基づく料金認可制ではない、プライスキャップ方式を採用いたしまして、実質的な料金の低廉化と利用者利益を確保しながらの制度をつくっているところでございます。これによりまして、事業者による経営効率化のインセンティブを賦与しているものでございます。
対象となりますサービスにつきましては、NTT東西の加入電話、ISDN、いわゆる固定電話並びに公衆電話でございます。一定のサービス区分ごとに料金水準の上限を設定するということで、下の表にありますとおり、バスケットとサブバスケットに分けて設定をしているところでございます。
基準料金指数につきましては、毎年、NTT東西に通知をするということで、この設定に当たりましては、3年ごとに、合理的な将来原価の予測に基づく生産性向上見込率、いわゆるX値を設定しております。これが本年に当たるという位置づけでございます。
1ページおめくりいただきますと、先の情報通信行政・郵政行政審議会の答申でございます。平成24年10月から適用される基準料金指数につきましては、東西、音声伝送バスケット92.7、加入者回線サブバスケット100ということでございます。
今後のスケジュールといたしましては、NTT東西に6月29日に通知するとともに、10月1日から適用開始ということでございます。
次のページは、建議につきましての対応状況について、整理をしたものでございます。
まず、情報提供すべき情報の範囲と方法ということで、5項目ほど挙がっております。まず1点目でございますけれども、法令上、NTT東西におきましては、電気通信事業会計を整理いたしまして、基本料、通話料、公衆電話といったサービスごとの収支の状況を整理し、公表することが義務づけられています。実際、東西のホームページにおいて収支の状況を公表されているということでございます。
私どもの行政指導によりまして、NTT東西に対し、利用者に対し基本料に係る費用算定の具体的な処理手順、一般利用者の理解が容易になるような工夫を凝らした上で、要するにわかりやすく示しなさいという行政指導をしているところでございまして、これもホームページ上、掲載されているところでございます。
同じく行政指導によりまして、いわゆるユニバーサルサービスに係る効率化のための具体的方策ということで、毎年度の事業計画の認可申請の際に具体的方策を報告するように求めておりまして、その報告を総務省から審議会に毎年行っているという状況でございます。更に、3年に一度のプライスキャップの運用に関する研究会を開催いたしまして、検討し、最終報告書を公表しております。
最後、「電気通信サービスに係る内外価格差調査」ということで、諸外国の状況も横目に見ながら、参考としながら進めているというものでございます。
次のページは、消費者の意見を反映するための方策でございますけれども、こちらにつきましては、基準料金指数の設定の際は、審議会に対して諮問が義務づけされています。この審議会の実質的な議論をいたします電気通信事業部会には、消費者団体の代表者が含まれているというものでございます。
更に、法令上の意見募集の対象外ではございますけれども、消費者の意見を反映することを目的といたしまして、同部会において意見募集を実施し、消費者の参画を実質的に確保しているというものでございます。
第三者機関につきましては、基準料金指数の設定の際は、情報通信行政・郵政行政審議会に対して諮問が義務づけられ、消費者団体の代表者も含め御議論をいただいているところでございます。更に、有識者からなる研究会を開催して検討しているということでございます。
料金水準の「値下げ」を求める仕組みということでございますけれども、これは、平成12年よりプライスキャップ制度を導入しております。基準料金指数につきましては、消費者物価指数変動率を踏まえて、毎年、算定いたしまして、東西に通知をすることになっております。また、3年に一度、見直しを行っているという状況でございます。
以上、総務省の対応状況でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
ただいまの御説明に対して、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。この料金は、いわゆる固定電話を中心とした料金だと思われますので、現在、携帯電話等が非常に多くなっている状況の中で、消費者の生活に及ぼす影響は比較的小さくなっているのかなと思われます。
ただ、プライスキャップの説明でしたけれども、実は別のデータを見ますと、平成14年の10月から同じ92.7という数値で推移しているように聞いております。他方で、現実の基本料金などはどうなっているかというと、平成17年10月からかなり大幅に値下げされていて、数値的に言うと、東日本NTTは87.7とか、西日本は88.5などという数字になっていて、上限として設置された92.7よりも、現実にはかなり低い数字になっていると聞いております。3年ごとに真剣に検討されていると思いますが、全然数値が動かない。他方で、現実の料金は値下がりしている。この乖離をどういうふうに考えたらいいのかについて、御説明いただければと思います。

○総務省二宮総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課長 御指摘のとおり、プライスキャップの基準料金指数は92.7で、以前より変わっていないという実態がございます。これにつきましては、私どもは3年に一度、有識者会議を開催いたしまして、そのたびごとに真剣な議論をした上で、NTT東西の合理的な将来予測、収入費用を考慮した上で、更に経営効率化努力も評価し、それに加えまして、経営効率化分析ということで、NTT東西の各支店の中で最も効率的な支店をベースにいたしまして、そこからの非効率があると仮定した上で試算をする、ある意味、非常に厳しい見積もりもした上で算定をしているものでございます。
一点、御理解いただきたいのは、まさに先生が御指摘のところでもございますけれども、現在、固定電話、加入電話につきましては、加入者数、並びに通信量、通信回数、これが継続的に減少している状況でございます。契約数ベースでは、毎年7~8、トラフィックベースでも10%を超える、そういった減少が続いておりまして、平均費用も上昇し続けているというのが実態でございます。そのため、加入電話サービスにおきましては、現状、なかなか容易に生産性を向上し、更なる値下げを期待できるような状況ではないという実態もございます。さはさりながら、NTT東西より出てくる収支予測を更に効率化をかけるということで、複数、試算をした上で、それを有識者会議で検討した結果、CPIを中心として、プラスマイナス両方の試算がなされ、どれも一意に優位だということが決められないという実態もございまして、CPIと同等とするということで、結果において基準料金指数は92.7のままであるということでございます。
直近のお話を申し上げると、NTT東西、ネットワークを従来の公衆網からIPにマイグレーションするということも、実際のところ、行われております。そういたしますと、従来の規模の経済が逆にマイナスに働く部分がございまして、その意味では将来予測、収支予測がより厳しくなるという実態でございます。そういった実態の中で、むしろ今と同じ基準料金指数を設定しているところに、一つの意味があるのではないかというふうに考えております。

○河上委員長 ほかにいかがですか。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 御報告、ありがとうございました。今回は、公共料金としての電話料金ということでお越しいただいて、御説明を受けているわけです。今、お話があったように、固定電話というのは本当に利用者が減っていて、昔は単身者、大学生などは携帯しか持っていない人が多かったけれども、最近は、家族世帯でも固定電話がないという人も見かけるようになってきて、かなり時代が変わったなというふうに私は実感します。
ただ、消費者の権利とか利益というのは、料金、価格だけではなく、サービスの質とか、あるいは、サービスが存在するかどうかというところも消費者の利益にかなっているので、固定電話というのは、社会のインフラとして今後どうあるべきかという、料金の枠を超えた、いわゆる公共料金政策ではなくて、公共政策としての電話の在り方という辺りが社会的に議論になってきて、それを誰が負担していくのかということも多分重要なことになってくるのだと思います。特に大震災があって、公衆電話は最後の連絡するための命綱だというようなことも明らかになってくると、こういったものをどう維持していくのか。最近は、私もそうですが、何年も公衆電話をかけたことがないという人が当たり前だけれども、必要な弱者もいるし、緊急時になればそれが必要になってくるわけです。
そういうふうに考えたときに、電話をめぐる消費者問題、売り方の問題もありますし、あるいは基本的な料金だけではなく、オプションのサービス、ナンバーディスプレイだとか、それ以外のいろいろなオプションの料金、公衆電話も含めて、電話というのがどうあるべきか。その辺は消費者の利益、権利に関する部分なので、消費者委員会としても、今後、関心を持っていくべきではないかと思います。直接的な話ではないですけれども、意見です。

○河上委員長 ほかによろしいですか。
夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 御説明、ありがとうございます。先ほどの御説明を聞いておりますと、NTTが大変厳しい状況の中で、固定電話回線を維持し続けるという状況が続いていまして、細川委員がおっしゃったように、固定電話の果たす役割をどういうふうに変えていくかというのは、今後の大きな課題だと思います。いつも説明されるのは、島嶼部とか山間地とか、要するに不便な地域で、きちんと通信を整備しておかなくてはいけないというお話があります。
そうだとすると、例えば、14年からずっと変わっていなかったプライスキャップ方式による基準料金指数というのは、これからもずっと変わらないということになり得ます。下がるということはあり得ないですね。なかなか難しいのではないかというふうに思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。

○総務省二宮総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課長 繰り返しになりますけれども、3年に一度、その時点での状況を踏まえて、まずは、NTT東西の収支予測、収入予測を見た上で、更に効率化をかけていくというプロセスを丁寧にやっておりますので、また3年後、どういう基準料金指数になるのかということについては、私ども、この中ではわからないというのが正直なところでございます。いずれにしましても、そういったプロセスを更に積み重ねていきたいと思っております。

○河上委員長 どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。
電話の問題は公共料金の中ではかなり特異な環境下にあって、どちらかというと、ほかの通信手段との間で大変な競争にさらされているということで、全体として見ると、合理化へのインセンティブも非常に強いところではあります。そんな中で、92.7という数字が動いていないことの意味は、実は、必ずしも何もしていないわけではなくて、維持するために大変な合理化が行われているということもよく理解できました。
NTTの固定電話、公衆電話の料金水準の上限値、プライスキャップの内容並びに策定のプロセスが、当委員会からの建議の内容と照らして、およそ問題のない形で運用されているということも理解できました。
総務省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

≪3.消費者安全法に基づく国会報告について≫

○河上委員長 続きまして、「消費者安全法に基づく国会報告について」という議題に移りたいと思います。
消費者安全法の第13条では、「内閣総理大臣は、行政機関、地方公共団体等からの通知により得た情報、その他、消費者事故等に関する情報が、消費者安全の確保を図るため有効に活用されるよう、迅速かつ的確に当該情報の集約及び分析を行い、その結果をとりまとめ、国会及び消費者委員会に報告する」とされております。
消費者庁におきましては、一昨年の6月以降、計4回にわたって本報告のとりまとめを行い、それぞれ、消費者委員会にも御報告をいただいたところであります。このたび、第5回目となるとりまとめを行ったということでございますので、本日は、それについて御報告をいただきたいと思います。なお、説明は10分以内でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁黒田消費者政策課長 消費者庁消費者政策課長の黒田です。
ただいま御紹介いただきました消費者安全法に基づく国会報告につきまして、お手元にお配りしております資料5-1と5-2に従いまして、説明させていただきたいと思います。
資料5-2が本体でございます。目次を1枚めくって開けていただきますと、大きく3部構成になっております。「消費者事故等に関する情報の集約及び分析」「消費者安全法等に基づく消費者庁の措置」「消費者安全法以外の法執行・各種情報提供等」ということになっております。具体的中身については、今の順序に従いまして、資料5-1で説明させていただきたいと思います。
まず、消費者事故等に関する情報の集約及び分析ということで、どういった情報が来ているのかということでございます。資料5-1の左の四角にございますが、消費者安全法に基づき、地方自治体、各行政機関等から来た消費者事故等についての情報でございますが、これは7,137件ございまして、前年と比較すると、全体で見れば減少しております。内訳を見ますと、火災等の重大事故等は770件で、増えております。前年同期と比べますと、火災についての通知が、原因が特定されないものも含めて増加しているということでございまして、商品等別で見ますと、車両・乗り物、家電製品が多くなっているということです。
それ以外の生命・身体事案については753件でございまして、これは食料品、食中毒が中心になっているということです。
財産事案は5,614件と、かなり減っています。2ページ目は、本体についている各章の先頭にポイントとして出しているグラフを集めたものですけれども、先ほど申し上げた火災の件については2ポツのところで説明してあります。財産事案については、3ポツにありますけれども、運輸・通信サービスと金融・保険サービスが減少しています。運輸・通信サービスは、前年同期にインターネット関係の特定事案についての問い合わせ相談がある月に集中してございまして、この影響が非常に大きかったのですけれども、今期はその問い合わせ相談はないということで、その分が減っているということです。金融・保険サービス、特に先物取引とか、金融の取引についての相談なり苦情なり、そういった件数が減っているということで、全体で2,000件以上減っております。
全般的に消費者事故等に関する通知というのは、消費者庁設置以来、半年ごとに見ていますけれども、徐々に減ってきている状況にございまして、これは引き続き、原因をしっかり見ていかなければいけないと考えております。
1枚目に戻っていただきまして、マル2ですけれども、消費生活センターで受け付けられた消費者からの相談情報は、これも、41万件強とありますが、4%ぐらい減っています。うち、生命・身体事案についてはかなり増えていますけれども、これは茶のしずく関係についての相談情報でございます。その他の傾向については、財産事案を中心に余り変わっておりません。
マル3は、消費生活用製品安全法に基づいた事業者から来る事故の件数ですが、これは、特にガス機器・石油機器に関する事故の部分が増えています。あと、電気製品に関する事故、その辺りが件数としては増えておりまして、特に電気ストーブが、今回、増えているということでございます。
その他、医療機関ネットワークの登録情報もここに書いてあるとおりでございます。
具体的にどういう措置をしたのかというのが、右にあります。特に消費者安全法に基づいてとった措置でございますが、マル2は15条1項に基づく注意喚起でございます。ここに書いてあるとおり、いわゆる投資案件、もうけ話について、事業者名を挙げて消費者に対して注意を促したというのが5件ほどございます。
生命・身体の事案については、まずはすぐに公表して、原因がわかったものについてはリコールをお願いしていく、こういった措置をとっております。
その下が、消費者安全法以外の法執行・各種情報提供等でございます。マル1では、景表法、特商法、特電法、その他の執行状況で、各種情報提供としては、マル2として、「子ども安全メールfrom消費者庁」ほか、表示・取引に関する情報提供等についてとりまとめております。また、東日本大震災については、この期間、特に消費者とのリスクコミュニケーションを図ったとか、そういったことについて報告をしております。
その他、この期間、平成23年10月1日~平成24年3月31日までの23年度の下半期について、国民生活センターによる情報提供は若干増えて、37件あったということでございます。
以上、そういった中身について、先週の金曜日に報告させていただきました。
簡単ではございますが、説明は以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御報告に対して、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。図表も入って随分改善されたと思います。毎年、毎回、消費者委員会からお願いをしている改善点について、必ずしも充足されていないものについては、また改めて文書で出させていただくことになるかと思います。
今回のことと絡めて、消費者庁傘下の法律以外の分野の関係で、どうなるのかということを伺いたい。一つは、消費者委員会としては違法ハーブの問題について提言をしているわけですけれども、提言した以降も幾つかの事件が起こっています。ああいう事件の場合は、この重大事故情報で、例えば脱法ハーブのためにおかしくなって交通事故を起こしてしまったとか、救急車で搬送されて命を落としたとか、その種の薬物による中毒症状に近い問題についての重大事故というのは、消費者庁の方に集約する体制にあるのか。厚労省に聞いたところ、厚労省自身も、違法ハーブといいますか、脱法ハーブといいますか、それについての事故情報については必ずしも掌握できていないということですけれども、その辺をどういうふうにしたらもう少し情報が集まるようになるのか。
それが一つと、消費者安全法以外の法執行・各種情報提供等というところですが、消費者委員会としては、美容医療について建議を出しておりまして、これは実は、保健所、その他との関係で健康被害の場合にはかかわってきます。保健所等についての執行については、この枠の中ではどういうふうに扱われるのか。
それから、住宅リフォームについても建議を出しました。これについてもそれこそ建設業法の関係でして、国交省の関係、あるいは国交省から委任を受けた各都道府県の関係で、どこまで消費者事故として把握して対策を講じられているか、非常に危ういところですけれども、その辺についての情報についてはどうなのか。その辺をお聞かせいただければと思います。

○消費者庁黒田消費者政策課長 まず、消費生活センターにそういった相談があれば、それはPIO-NETを通じて集まってきまして、生命・身体事案として位置づけられれば、事故情報データバンクにも載ってくるということだと思います。あとは、例えば違法ドラッグの件をどれだけ消費者事故というとらえ方をするかどうか、ということだと思いますけれども、その辺は扱いも含めて、これは消費者庁で言えば消費者安全課になると思いますが、検討しないといけないと思います。
つまり、事故等と位置づける場合は、取引においてということでしょうけれども、違法なものを自分で打って倒れてしまったという部分については、多分、通常の運用では消費者事故という認識にならないと思います。あえて把握するということであれば、別のやり方を考えなければいけないのではないかと思います。

○山口委員長代理 自動販売機、あるいは繁華街の店舗で売られているわけです。それを合法だと思って消費者が買って事故に遭うということであれば、これは、やはり消費者問題として対応する必要がありませんかね。検討いただければと思います。

○消費者庁黒田消費者政策課長 そこは今回、御意見もいただいているので、どういうふうにするかというのは検討していますけれども、そうではなくて、消費者事故等として通知することについては、決めておかないと、違法だとわからないで買って事故が起こったとか、そういった場合もみなすのか。
つまり、私が言ったのは、確信犯的に違法だと知りながら、その効果も知った上で、実際に中毒のような症状が出て倒れたということまで、普通に考えれば、消費者事故とは現場では扱わないと思います。逆に、そういうのとどうやって区別するのかという問題が多分出てくると思いますので、実際に統計で上げてくるようにするには、それをどう考えるかという検討が要るだろうということを申し上げたということで、別に違法ドラッグそのものについて、何もやるべきではないというふうに申し上げたつもりではありません。

○河上委員長 ほかには、いかがでしょうか。
夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 御説明、ありがとうございます。資料5-1の最初の「消費者事故等に関する情報の集約及び分析」のところで、マル4の事故情報データバンクの登録情報と、マル5の医療機関ネットワークの登録情報について、ここには何も説明がありません。マル1~マル3までは御説明がありまして、マル4の場合は累計件数なので、少し難しいかとは思いますけれども、例えばマル5の医療機関ネットワークの登録情報等は、23年度下半期に収集された件数なので、例えばここにもう少し説明があると、ただ数字の集約だけではなく、分析につながるのではないかと期待しているのですけれども、いかがでございましょうか。

○消費者庁黒田消費者政策課長 この説明書は、スペースの関係で必ずしも全部書いていない部分もありますけれども、お手元の資料5-2の29ページに今回のポイントがございます。危害内容で見ると、転倒・転落、階段等で転倒したというのが最も多かった。テーブルにぶつけてケガをしたということが多くなっているということを書いておりまして、もう少し詳しい中身は、傷病の程度と危害内容について、下の表に分類しておりますので、そちらを御参照いただければと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。よろしいですか。
どうもありがとうございました。先ほどもちょっと山口委員から出ましたけれども、違法ハーブの件についてもそうですが、ただの詐欺なのか、それとも商品を売っている際の誤認惹起行為なのかという辺りの線引きとか、前に文科省の方が来たときにも話題になりましたが、スポーツ事故、学校事故も、消費者事故としてとらえた方がいいのかどうか。なかなかその線引きのところが難しくて、逆にその線引きで少し厳格にとりすぎたがために、本来見なくてはいけないものを見落としてしまうこともあり得るので、消費者事故の概念について、もう一度、見直し作業をやっていただければありがたいと思います。
消費者委員会としては、これまで消費者安全法に基づく国会報告につきましては、過去4回、意見をとりまとめて公表しております。そのフォローアップという視点も含めて、今回の御報告に対する「意見」をまとめておりますので、この点については、夏目委員から御説明をいただきたいと思います。
それでは、お願いします。

○夏目委員 それでは、「『消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告』に関する意見」を申し上げます。前半につきましては、既に河上委員長からお話がございましたので、省略させていただきます。
「I 主な改善点」。
ア)各項目に示されている事故件数の分類表のほぼ全てに、内容別の構成比と前年同期が示され、数字の増減による変化の状況がわかりやすく整理されている。
イ)参考資料3のそれぞれの時系列データに、新たに平成21年からのデータが、年度別、半期別に一覧で示されることにより、その変化が分かりやすく掲載されている。更に、PIO-NETに収集された情報として、危害情報、危険情報別のデータが追加されている。
ウ)参考資料4に、事故内容別分類の説明として、分類内容の事故概要の事例が紹介され、理解しやすくなっている。
今、申し上げましたア)とイ)は、時系列の事故件数等の変化がわかりやすく記載されており、また、ウ)はこれまで消費者委員会で是正を要望してきたもので、一定の改善が見られます。
2ページにまいります。
「II 残された課題」。
1.情報の一元化と社会的共有化への推進について。特に「事故情報データバンク」「医療機関ネットワーク」によって収集された情報、並びにその情報を分析した結果についての説明の充実が重要である。
2.わかりやすく使いやすい分類について。参考資料5にある2つの表の内容がリンクしておらず、当初から改善を求めていた「商品等別分類」がわかりにくいままとなっている。
「III 新たな課題」。
この報告書は、その名称にあるように、情報の集約と分析の取りまとめが求められている。
情報の集約については、今回のとりまとめにより平成21年9月以降の消費者事故等の情報が蓄積され、時系列データとその変化が示される等、充実してきているものの、その分析についての記述は十分とは言えない。
例えば、平成23年下半期の消費者事故等の件数は、前年同期と比べ19.6%減であるにも関わらず、同時期の重大事故等は、前年同期と比べ96.9%増となっている。しかしながら、その要因については何ら記述されておらず、この数字の違いについての疑問はそのまま残る。
消費者事故等に関する情報が消費者安全の確保を図るため有効に活用されるためにも、上記のような分析についての記述が必要と考える。
「IV 消費者白書(仮称)での対応について」。
前回(平成24年2月14日)の意見で述べたように、消費者庁が平成24年度に新たに作成を進めている年次報告(「消費者白書(仮称)」)においても、消費者事故等の未然・拡大防止に有効に活用できるようにするためには、わかりやすく、理解しやすい内容であることが前提である。
IIIの指摘のように新たな課題もあり、消費者事故情報の収集・分析・公表の一層の充実が求められる。
消費者庁は「消費者白書(仮称)」においても、この点を認識して取りまとめを行っていただきたい。
消費者委員会は、今後もこれらの課題について、より消費生活の安全・安心に寄与するよう、検証・評価・監視に取り組んでまいります。
以上でございます。

○河上委員長 ただいまの夏目委員から御説明がありました意見案について、御発言のある方はお願いします。いかがですか。
それでは、この意見案については皆様の御了解をいただいたということで、消費者委員会の意見としてとりまとめることといたします。消費者庁におかれましては、この意見を参考にしていただき、今後、関係する施策に反映されるよう、御検討いただきたいと思います。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 今、意見の中にありました消費者白書ですけれども、これはいつごろ、どういう内容で出される予定なのか、差し支えない範囲で教えていただければと思います。

○消費者庁黒田消費者政策課長 内容については、平成23年度までに行った施策の全体像をわかりやすく説明する。最初の消費者庁ができた最初の白書なので、制度的なものとか、これまでの歴史的な経緯みたいなものも、簡単に触れたいというふうに思っております。
以前、この場で御質問されたときには、6月中を目途にと申し上げておりましたが、多少作業が遅れておりまして、6月中というのはなかなか難しい作業状況にありますけれども、できるだけ早く、余り遅くならないように鋭意まとめていきたいと考えております。

○河上委員長 ボリューム的にはどのくらいのものを想定されているのですか。

○消費者庁黒田消費者政策課長 余り長くなりすぎても読まれないと思っていますので。

○河上委員長 200~300ページですか。

○消費者庁黒田消費者政策課長 目途としては200ページぐらいでしょうか。活字の組み方にもよりますけれども、やたらめったら厚いというものは考えていません。全体をコンパクトにしようと思っております。

○河上委員長 いい機会ですので、消費者の人たちにうんと読んでもらえるようなものになるといいですね。
それでは、以上でこの問題については終わりにしたいと思います。
本日は、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
本日の議題は以上でございます。

≪4.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局より、今後の予定等について説明をお願いいたします。

○原事務局長 長時間、ありがとうございました。
次回の委員会につきましては、6月26日(火曜日)の16時からを予定しております。地方消費者行政充実のための有識者、消費者団体ヒアリングなどを予定しております。
参考資料の2と3でおつけしておりますけれども、第3回の地方消費者委員会を千葉で6月30日に開催いたします。テーマについては、「地方消費者行政の充実について」ということを考えております。
第4回の地方消費者委員会は名古屋で開催いたしますけれども、こちらは7月21日(土曜日)ということで、「消費者教育について」をテーマにしたいと考えておりますので、是非、御案内、御参加のほど、よろしくお願いしたいと思います。

○山口委員長代理 今日の東京電力とエネルギー庁の説明については、まだ説明のない部分もありますので、26日には間に合わないかもしれませんが、しかるべき時期にもう一回、追加の説明の場をいただけるように、事務局の方で折衝をお願いします。

○原事務局長 今後につきましては、また、担当委員とも御相談させていただけたらというふうに思います。

○河上委員長 先ほども質疑のときに申し上げたとおり、必要に応じてまたヒアリングをせざるを得ない。今日は、全部お話を聞ききれなかったので、できれば早い段階でヒアリングを予定していただければと思います。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)