第79回 消費者委員会 議事録

日時

2012年1月17日(火)16:00~17:41

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

 松原内閣府特命担当大臣
【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、
 田島委員、夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
 消費者庁  金児消費者安全課長事務代理
林地方協力課長
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開 会
2.松原内閣府特命担当大臣ご挨拶
3.こんにゃく入りゼリー事故への対応状況について
○説明者: 消費者庁  金児消費者安全課長事務代理
4.消費者庁に寄せられる生命・身体被害情報の適切な処理及びそれに基づく対応の実施について
○説明者: 消費者庁  金児消費者安全課長事務代理
5.地方消費者行政の支援策について
○説明者: 消費者庁  林地方協力課長
6.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式7KB)
【資料1】 こんにゃく入りゼリー製造等事業者の製品改善等の取組状況について(消費者庁提出資料) (PDF形式:174KB)
【資料2】 消費者庁に寄せられる生命・身体被害情報の適切な処理及びそれに基づく対応の実施(消費者庁提出資料) (PDF形式:228KB)
【資料3】 地方消費者行政の支援策関連資料(消費者庁提出資料) 【参考資料1】 委員間打合せ概要(PDF形式:16KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
ただいまから、「消費者委員会(第79回)」の会合を開催いたします。
本日は、松原内閣府特命担当大臣にお越しいただいておりますので、開会に当たりまして、一言、ごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

≪2.松原内閣府特命担当大臣ご挨拶≫

○松原大臣 このたび、消費者担当の内閣府特命担当大臣を拝命いたしました松原仁でございます。
私は、大臣就任に当たり、野田内閣総理大臣から、消費者行政に関しては事業者中心の行政を転換し、消費者や地域の現場の視点を大胆に取り込むという消費者庁発足当時の理念を踏まえ、消費者の安全・安心を高める消費者行政を強力に推進し、そのために消費者事故等の調査機関を設置する等の法案を国会に提出し、成立を期すこととの御指示をいただいたところでございます。
消費者庁・消費者委員会は発足後2年5か月となりますが、消費者、生活者が主役となる社会に向けますます多くの課題に直面いたしております。消費者委員会につきましては昨年9月に新たな体制になったところですが、早速、昨年末に建議を行われるなど、既に精力的な調査審議が行われていると承知しておりますが、引き続き、消費者行政にかかわる重要事項について精力的に御審議をいただき、建議などをより積極的に行っていただきたいと考えております。
私としても、消費者委員会が関係省庁の消費者行政全般に対する監視機能を十分に発揮できるよう努めてまいる所存であります。私は今回、大臣として消費者行政以外にもさまざまな分野を担当いたしますが、すべてに共通するのは、「国民を守る」ことと思っております。野田総理の下、全力で努力してまいりますので、よろしくお願いいたします。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
なお、大臣におかれましては、この後、他の御公務の予定がおありとのことでございますので、ここで退席されます。

○松原大臣 もうちょっといます。

○河上委員長 よろしいですか。そう言っていただけるならば。
それでは、委員会を継続したいと思います。

○原事務局長 委員長、もしもあれでしたら、一人ずつ自己紹介をされたらいかがでしょうか。

○河上委員長 では、せっかく大臣もおいでですので、自己紹介をしていただきましょうか。
では、川戸委員から。

○川戸委員 TBSテレビの川戸惠子でございます。松原大臣には前々からいろいろとお世話になっております。大臣が随分お代わりになります、ここの消費者庁・消費者委員会担当大臣として、そんなことのないように是非腰を据えて、落ち着いて、この消費者行政に携わっていただきたいと思います。腕力が必要です。各省庁横断というのが消費者問題の眼目ですので、是非よろしくお願いいたします。

○小幡委員 私、2期からここに入りました上智大学の小幡でございます。行政法を専門にしておりますが、この消費者委員会に入ってから、消費者行政というのは非常に広範囲にわたりまして、やることが本当にたくさんあるということを実感しております。消費者という視点からのまさに横串の消費者委員会でございますので、是非、大臣にもよろしく御協力いただき、積極的にほかの各行政省に対しても働きかけていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○稲継委員 早稲田大学政経の稲継でございます。2期から委員を務めさせていただいております。専門は行政学、地方自治論ということで、1期のときに地方消費者行政専門調査会の座長をさせていただいておりました。2期から親委員にさせていただいたわけですけれども、毎回打ち合わせなどのときに本当に山ほどの問題が出てきて、それをどのプライオリティーで処理するかということで、いつも委員の間で激しい議論をしております。何とか消費者のために役に立ちたいと思いますので、是非、大臣も御協力をよろしくお願いいたします。

○吉田委員 吉田直美と申します。よろしくお願いいたします。地方消費者行政をやっておりましたが、大臣がおっしゃるとおり、地方の消費者行政というのは、国民を守るとともに国民を幸せにする行政だというふうに思っております。いろいろとお力添えをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○村井委員 株式会社ニチレイの村井でございます。2期から委員を務めさせていただいております。先ほど、事業者中心のというお言葉がございまして、そういう意味では事業者代表という立場を持っておりますけれども、現実には、例えば食の安全・安心の問題、放射能の問題、これは消費者だけではなく事業者も大変苦慮いたしております。種々の課題のある中でどうも安全・安心の問題というのは、縦割りの中で非常に動きづらいということがございます。この辺りのところが消費者委員会に課せられた一番大きなテーマだろうと思っておりますが、その割に、事務局スタッフは脆弱ですし、ここにおられる10名の委員の方もほとんど兼務されていますので、この辺りのところをしっかり政治としてお考えいただく必要があると思っております。
参考までに、私どもも社員を1名出向させております。そういうことで成り立っている行政府でございますので、その辺りを御理解をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○河上委員長 委員長をやっております河上でございます。東京大学で民法を教えております。消費者委員会の委員長を9月に拝命して、それから活動を始めたのですけれども、まあ大変なところでございます。これからいろいろな形でまた、大臣にもお願いしないといけないことがございますし、場合によっては、大臣に対しても苦言を呈さないといけない場面があるかと思いますけれども、消費者委員会としては、消費者の利益の擁護・増進という大きな目標のために精いっぱい頑張ってまいりますので、どうぞお力添えをお願いしたいと思います。

○山口委員長代理 弁護士の山口と申します。よろしくお願いします。昨年末は、美容医療のエステなどの問題で建議をさせていただきました。今、物価の問題、公共料金の問題で調査しておりますし、屋根につけるソーラーパネル、あれをもう少しきちっと消費者が安心してつけられる、そういう運用ができないのかということも調査しておりまして、本当に身近な消費者問題をとらえて、先般は老人ホームの問題なども建議いたしました。要するにあらゆる省庁の消費者問題について注文をつけられるという権限のある一方で、義務もありまして、大変なプレッシャーの中で仕事をさせていただいております。よろしくお願いします。
大臣につきましては、国センの知り合いに聞いたら、国センにしょっちゅう問い合わせをしていただいて、消費者問題について大変関心をお持ちの議員さんなんだというふうに私は聞いておりまして、期待しております。よろしくお願いいたします。

○細川委員 日本女子大学の細川と申します。消費者政策、消費者教育等を研究しております。私は、野党時代、民主党というのはすごく元気で、消費者問題についても非常に熱心で、仙谷議員とか、小宮山議員とか、枝野議員が対案として消費者権利院法案をつくったりして、非常に頼もしいなと思ったんですね。ところが、政権をとってみると、そのときに非常に元気だった方がほかの方で忙しくなってしまって、ちょっと消費者政策が手薄ではないかなと。大臣も7人目ということで、本当にやる気なのかなという感じです。私は非常に重要な時期だと思いますし、この消費者委員会というのも政治のサポートがなければ仕事ができない組織ですので、是非御尽力いただいて、まさに国民、生活者、消費者が主体の政治というものを実現していただければと思います。よろしくお願いします。

○夏目委員 夏目智子と申します。全国地域婦人団体連絡協議会の事務局長でございます。私どもは、民間の立場から暮らしをよくするために活動をしておりまして、消費者問題というのは暮らしのあらゆる部分に直結すると考えております。ただ、消費者庁・消費者委員会が発足して2年と5か月たっておりますけれども、国民の間に十分に存在が認知されているかというと、決してそうではございません。ましてや、大臣のお顔はどなただったでしょうかというのが国民の正直な感想かと思います。松原大臣には御活躍いただきまして、消費者庁・消費者委員会の行政施策がしっかりされているということを広く伝えていただくよう、私たちも頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○田島委員 実践女子大学の田島と申します。第1期から引き続いて担当させていただいております。食品表示と特保の2つの部会の担当を仰せつかって一所懸命やっております。よろしくお願いいたします。

○河上委員長 それでは、早速、審議に入っていきたいと思います。

○山口委員長代理 一言だけよろしいですか。

○河上委員長 どうぞ。

○山口委員長代理 政務三役の最大の仕事は、当面、国民生活センターをどうするかということで、既にお聞きだと思いますが、消費者庁と消費者委員会と国民生活センターの3つの組織の在り方も、全体も含めまして、これからいろいろな形で検討することになると思います。場の設定の在り方を含めて、是非、今年の8月までにいいものができるような枠組みをつくっていただけますように、よろしくお願いいたします。

○松原大臣 わかりました。

○河上委員長 いろいろと注文がたくさんございまして、大変申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

○松原大臣 頑張ります。

○河上委員長 それでは、審議に入りたいと思いますが、今日の資料について、事務局から簡単にお願いします。

○原事務局長 資料の説明に入ります前に、事務局でも人事の異動がございましたので、紹介させていただきたいと思います。
本日から小田審議官に御出席をいただいておりますので、御紹介いたします。

○小田審議官 小田です。どうぞよろしくお願いいたします。

○原事務局長 引き続きまして、資料の説明に入らせていただきたいと思います。
本日、第79回の消費者委員会、議事次第と書かれたものの下に配付資料の一覧を掲載しております。
資料1といたしまして、「こんにゃく入りゼリー製造等事業者の製品改善等の取組状況について」。
資料2といたしまして、「消費者庁に寄せられる生命・身体被害情報の適切な処理及びそれに基づく対応の実施」。これは「茶のしずく石けん」の対応というところでの体制整備です。
資料3といたしまして、地方消費者行政の関連で、「地方消費者行政の支援策関連資料」ということで、いずれも消費者庁から御提出をいただいた資料になっております。
参考資料1といたしまして、1月10日に委員間打合せを実施しておりますので、その概要を付けさせていただいております。
不足がございましたら、審議の途中でお申し出いただければと思います。
それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

≪3.こんにゃく入りゼリー事故への対応状況について≫

○河上委員長 それでは、議題に入りますが、初めに「こんにゃく入りゼリー事故への対応状況について」でございます。
こんにゃく入りゼリー事故への対応につきましては、一昨年7月に消費者委員会において、「こんにゃく入りゼリーによる窒息事故への対応及び食品の形状・物性面での安全性についての法整備に関する提言」を取りまとめまして、その後の対応状況等について、昨年2月には消費者庁から、昨年8月には消費者庁と厚生労働省からそれぞれヒアリングを行ったところでございます。消費者庁におかれましては、一昨年12月に、関係団体及び事業者に対しまして、製品の力学特性、形状等の改善を要請したことを踏まえて、昨年12月に、こんにゃく入りゼリー製造等事業者の製品改善等の取組状況について取りまとめをしたと聞いております。本日は、これについて消費者庁から御説明をいただいて、議論を行いたいと思います。
それでは、説明をお願いいたします。

○金児消費者安全課長事務代理 消費者安全課長事務代理の金児と申します。よろしくお願いいたします。
資料1に基づいて御説明いたします。今、委員長から御紹介のありましたとおり、昨年の12月に消費者庁は、こんにゃく入りゼリー製造等事業者に対しまして、一口サイズのカップ入りこんにゃく入りゼリー製品の力学特性、形状等の改善を要請いたしました。その際に、1年程度の期間を見て、その段階で事業者の取組状況を確認し、事業者がこの取組に否定的である場合においては、消費者安全法に基づいた注意喚起をするというふうに、当時の副大臣が申していたところでございます。1年たったところで昨年の12月に取組状況を確認したものが、お手元の資料でございます。
資料を1枚おめくりいただきますと、一覧表にしてございます。事業者が7社ございます。左側の欄が新製品の欄、右側が従来の製品の欄でございます。新製品の欄の取組状況という欄をごらんいただきますと、各社、新製品を開発済み、あるいは新製品開発に取り組むといった状況を記載させていただいております。
新製品を開発されたところにつきましては、商品名及びタイプを書いてございます。いろいろなタイプがあるわけでございますけれども、上からいきますと、ピロータイプ、これは欄外に注1として書いてございますけれども、こんにゃく入りゼリーが小さい袋に入っている製品でございます。あと、大型のカップタイプ、大きくして吸い込んで窒息するようなことがないように、スプーンですくう、そういったタイプです。下の方にいきますと、クラッシュタイプ、これも注がついてございますけれども、こんにゃく入りゼリーが容器から出る際に砕かれるタイプというものでございます。
一番下の事業者につきましては、一口サイズのカップタイプ、これについては、タイプは従来どおりですけれども、中のゼリーを改善しているというものでございます。具体的には、簡単に申しますと、普通のゼリーの中に小さい、1cm未満のサイズのこんにゃく入りゼリーが入っている製品でございます。そういった新しい製品が開発されたということでございます。
右側の欄の従来の製品について、商品名と今後の方針、これを各社から聞き取ってございます。今後の方針の欄でございますけれども、「新製品に移行していく」、あるいは「製造を終了しており、製品在庫がなくなり次第、販売終了」、製造や販売を終了していく事業者もあるという状況でございます。

(松原大臣退室)

この新製品の開発の欄、あるいは製造・販売終了の欄をごらんいただきますと、おわかりかと思いますけれども、各社とも、新製品を開発する、あるいは製造・販売を中止するという取組を行っております。私どもといたしましては、各社とも改善に取り組んでいただいているというふうに認識しております。
なお、下から2つ目の事業者につきましては、従来の製品を確認したところ、非常にやわらかい、普通のゼリーと変わらない製品でございまして、特に製品の改善をする必要はないというふうに私どもは判断しております。
以上が状況です。ただ、今後の方針のところをごらんいただきますとわかるとおり、今の製品の在庫や包装資材の在庫がなくなるまで販売するという事業者が3社あります。製造・販売の終了時期を明示していない事業者が2社あります。これらの事業者につきましては、消費者庁としては、できるだけ早期に中止してもらうよう要請をしているところです。
今後ですけれども、こんにゃく入りゼリーの販売のピークは夏で、今はあまり売られていない時期ですけれども、各社の商品の販売戦略が明確になってくる4月ごろと夏を過ぎた9月ぐらいに、各社の取組状況を確認していきたいと考えております。その結果を総合的に判断いたしまして、必要があれば、消費者安全法に基づく注意喚起を含めて対応していきたいと考えているところでございます。
説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 御説明、ありがとうございました。たしか指導の中には、販売方法についても指導するというようなことがあったように記憶があります。例えば子どもにむやみに食べさせないように、大人がしっかり連れ添うとか、そういうような指導についてはなされているのでしょうか。

○金児消費者安全課長事務代理 はい。それは引き続き、しているところでございます。

○河上委員長 山口委員。

○山口委員長代理 こんにゃく入りゼリーの売上の9割を株式会社マンナンライフが占めていると聞いております。マンナンライフの「蒟蒻畑」がかなりのシェアを占めているわけですが、ここは従前どおり、「蒟蒻畑」は売るということなんでしょうね。かつ、新製品は「力学特性を改善」と書いてありますが、これは具体的にはどういう意味内容なのか。消費者庁としては、これを子どもさんが食べても大丈夫なものというふうな判断をされて、改善がうかがえるというふうにおっしゃったのか、その辺の現実の認識を伺いたいと思います。

○金児消費者安全課長事務代理 この事業者につきまして、今後どうされるかというのは表の欄に書いてあるとおりでございまして、「従来の製品に頼らずに事業の継続ができるよう努力していく」というふうに聞いてございます。
力学特性の改善の中身ですけれども、先ほどちょっと御説明いたしましたが、こんにゃく入りゼリーではなく、普通のゼリーの中に小さいこんにゃくゼリーの粒が入っているという製品でございます。その細かい粒がのどの奥に入って詰まるということで、例えば、ピーナッツがのどに詰まるのと同じような感じで詰まるという危険性はありますので、その点は注意表示を事業者もしてくれています。ただ、私どもとしては、もっとわかりやすく注意表示をしてほしいというお願いをしているところでございます。今、申し上げたような詰まり方というのは、こんにゃく入りゼリー特有の詰まり方、窒息リスクとは違うものだというふうに認識してございまして、従来より窒息リスクは軽減されたというふうに考えてございます。

○山口委員長代理 そうすると、「蒟蒻畑」は今後も販売されるということなのでしょうか。

○金児消費者安全課長事務代理 今のところはまだ販売されています。そこは、事業者も一気に切り替えるのは難しいということだろうと思います。

○河上委員長 田島委員、お願いします。

○田島委員 そういたしますと、こういった指導を徹底すれば、食品衛生法によって規格基準を設定するような規制は、つけ加えなくても大丈夫というふうに認識していらっしゃるのでしょうか。

○金児消費者安全課長事務代理 そこは、まだこの製品が売られ続けているものがありますので、今の段階で大丈夫とか、大丈夫でないとかは、判断しておりません。

○河上委員長 山口委員。

○山口委員長代理 厚労省に食品衛生法の改正の可能性についてお聞きしたことがあります。そのときに、食品衛生法は、物性や形状、大きさとか、粘りけについては規制ができないんだと。では、法律を変えて物性・形状についても一定の規格をつくって規制ができるようにすればいいではないですか、ということをお話ししたときにおっしゃったのが、幼児や高齢者には危ない、そういうものについては規制ができない、難しいんだという、私から見れば言い訳をなさって、実際上、物性・形状についての規制はできない。やる気がありませんというふうなことをおっしゃっていたわけです。
ただ、現実問題、これは委員間内部でも議論をしているのですが、放射性汚染の食品につきましては、幼い子どもには危ない数値というのをそれなりに明示して注意喚起をしたりなさっているわけです。そういう実情を見ますと、こんにゃく入りゼリーなどについても、年齢によって、危ないものについて物性・形状ということで一定の規制をするのは、これはできるのではないかと思います。その辺について、新たな事態を踏まえて消費者庁と厚労省で議論をする、あるいは、年齢別、階層別に一定の数値を明示して何らかの規制をするとか、そういう議論はなさっていないのか。あるいは、その可能性についてどうなのかということについてお話しいただきたいと思います。

○金児消費者安全課長事務代理 正直、そういった可能性については議論していません。ですから、こんにゃく入りゼリーが乳児用製品という範疇に入るということであれば、そういったものは放射能の関係と同じようにできるのかもしれませんけれども、こんにゃく入りゼリーは大人も食べるものです。というか、大人には食べていただきたいものですので、そこを規制するというのは、今、お聞きした限りでは難しいのかなという気がいたします。ちょっとお答えになっていなかったら申し訳ありません。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 考えてみれば、消費者庁ができたのはこんにゃくゼリーがきっかけだったとも言えるわけですね。なぜこんにゃくゼリーを規制できないのか。それは消費者・生活者の視点での行政がないからだと。その辺を福田元総理は意識を持っていてこういう組織ができたのに、いまだ規制は難しい、難しいというふうに言っているわけです。私はちょっとこれが理解できない。
ただ、一方で、こういう規制を進めようとしている消費者委員会などに対して批判するようなサイトが出ている。お餅が詰まって死ぬ人もいるのに、なぜこんにゃくゼリーだけを狙い撃ちするのかという声が大きいのも知っていますけれども、別に我々はこんにゃくゼリーを憎くて狙い撃ちをしているのではなくて、私は個人的には、お餅だってそんなに被害が多いのだったら規制を考えてもいいはずだと思いますよ。いくら伝統的な食品といっても、これだけ高齢化社会で今までと違う形で被害が出ているのだったら、形状や硬さも考えていいはずだし、同じ土壌で私は議論をしていいというふうに思うのです。
そうした中で一つ参考になると思ったのは、使い捨てライターがチャイルドレジストがつきました。固くしたり、つきにくくしたり。これは非常に不便だという声があって、それに対して、いや、そんなことはない、そういう主張はおかしいということを主張されている人がいて、なるほどと思ったのは、なぜ100円であんな安くライターを買えるかというと、たくさんの人が使っているからだと。たくさんの人、ほかの人が使ってくれているからその人は100円であれだけの効用を得ているのだから、社会全体で被害があるのだったら、それに配慮して、商品開発することに文句を言うのはおかしい。自分だけはどうしても軽く着火するライターが欲しいのだったら、自分でオーダーメイドでつくればいいだろう。みんなにとって安全であるということが条件で、それで100円で効用があるわけだから、それは仕方ないのだと。そんな話を聞いてなるほどなと思ったんですね。
こんにゃくゼリーだって、みんなが買っているからこういう値段で流通しているわけだから、やはり今の消費者の安全を考えるのは、今、ここに生きている我々でしかないわけだから、それを規制できないとか、そこまでは言えないと、そういう意識というかマインドというのが、ちょっと私は理解できません。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 今、細川委員が言われましたとおり、こんにゃく入りゼリーの問題を、消費者庁が発足して2年と半年近くたってもまだ取り上げ続けなければならない、この消費者行政の在り方というのは、やはり国民にとっては非常にわかりにくいと判断する方たちが多いと思います。例えば今の取組状況の御説明を聞いていても、法規制までいかなくても、指導のところでどうしてもっと踏み込めないのか。不思議なことがたくさんございます。例えば形状にしても、既に力学特性を改善する必要のない商品がある一方で、改善する必要のある商品が売られ続けていく。それを在庫がなくなるまで売り続けるということを見過ごすこと自体、消費者行政の欠点なんだろうというふうに感じた次第でございます。
事業者の製品を規制するというのは大変難しいことがあろうかと思いますけれども、消費者庁は「消費者目線に立つ」というところからスタートしたわけでございますから、是非、そういった点で更なる御努力をいただければというふうに思います。今までも努力しないとは思っておりませんので、これから更なる一層の、少なくとも来年度、こういった問題を取り上げなくても済むように願っているところでございます。

○河上委員長 稲継委員、どうぞ。

○稲継委員 非常に初歩的な質問ですが、国際スタンダードで言うと、ゼリーの中にこんにゃくを入れることを禁止しているところがあるように聞いていますけれども、ちょっと教えてもらえますでしょうか。

○金児消費者安全課長事務代理 すぐには出てこないのですけれども、EUとか、確か韓国とか、輸入禁止の措置をとっているところもあります。以前、資料でこちらに提出したことがございます。

○稲継委員 EUでゼリーの中にこんにゃくを入れることを禁止していて、輸入禁止措置もとっている。同様に韓国や、私の知っている範囲ではアメリカも同様の措置をとっているのに、日本でゼリーの中にこんにゃくを入れることを許している理由は何でしょうか。

○金児消費者安全課長事務代理 正確にお答できるかどうかわかりませんが、こんにゃく自体を規制することになる、それとの関係があるのではないかと思います。

○稲継委員 EUではこんにゃく自体は禁止しているんですね。どうして日本だけはそれをしないのか、それを聞いているのですが。

○金児消費者安全課長事務代理 ですから、日本でこんにゃく入りの添加物を規制することになると、ほかの製品への波及といいますか、影響といいますか、そういうことがあるからだろうというふうに聞いております。

○河上委員長 小幡委員。

○小幡委員 危ないということを認識してそれを規制すると、ほかの食品への波及が、なぜまずいのかご説明いただけますか。

○金児消費者安全課長事務代理 要は、日本人はこんにゃくを食べるからということです。

○小幡委員 そういうふうに日本人の特性と危ないという評価が結びついて、規制の在り方がいびつになるというのはそもそもおかしいと思うのですが。ここに、従来の製品の「今後の方針」について、製造を終了しているから、製品在庫がなくなり次第、販売終了するからよいのだと、そういう聞き取りの結果が書いてありますが、いま在庫がどのぐらいあるかわかりませんが、万一それを食べて事故が起きることもありうるのですが、もうそれは放っておくというスタンスになりますね。それは大変危ないことですので、先ほど各委員からございましたように、それに対して何ができるかということを、もっと消費者庁としてお考えいただくことが必要ではないかと思います。

○河上委員長 どうぞ。

○金児消費者安全課長事務代理 この製造がなくなるまで売っていいと、別に私どもも思っているわけではございませんので、そこは、なるべく早く製造・販売を止めてくださいという要請はしています。

○小幡委員 今、在庫があるわけですね。結局何もしないということは、それを売っていいということになりませんか。

○金児消費者安全課長事務代理 ですから、それを売らないようにしてほしいという要請をしているところです。

○河上委員長 いろいろと御議論はありますけれども、消費者庁から一定の改善の要請をした後には事故報告はないのですか。

○金児消費者安全課長事務代理 そうです。この3年以上の間、製品が原因の事故は起こっていないと、私どもに入ってきている情報ではそう認識しています。

○河上委員長 山口委員。

○山口委員長代理 端的に、例えば3歳未満、80歳を超えたら食べないでくださいと。これは法的規制ではなく、消費者庁の考え方として、委員会として言ってもいいのかもしれませんが、とにかく小さい子と高齢者については危険です、やめてくださいということを明示するという考えはないのですか。

○金児消費者安全課長事務代理 そのことは従来から私どもが注意喚起をやっていますし、各製品にもそういうふうに書かれています。

○山口委員長代理 抽象的ではないですか。

○金児消費者安全課長事務代理 小さい子どもや高齢者は食べないでくださいと。

○山口委員長代理 抽象的だと思うんですね。

○河上委員長 私もこの間食べたばかりですけれども、袋にはかなり注意書きがしつこく書いてあることは拝見しました。ただ、それで子どもが本当にそういう危険から守られているかどうかというのは、まだまだ検証してみないといけなくて、食品の力学特性と形状等を規制の対象とするのがそれほど難しいことなのかということは、委員会からの意見書の中にもずっと出ておりますけれども、物性と形状に関して、将来的には食品について一定のスタンダードを出した方がいいものと、そうでないものとがあるのではないかという気がします。単に規制対象外であるということでやめにしないで、検討作業を厚労省との間でやっていただけないかということを、委員会としても是非お願いしたいと思います。
今日は時間も限られておりますので、この程度で終わりたいと思います。また改めて、状況について御説明いただくこともあろうかと思いますけれども、今日は以上にしたいと思います。
本日はお忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪4.消費者庁に寄せられる生命・身体被害情報の適切な処理及びそれに基づく対応の実施について≫

○河上委員長 それでは、続きましてお願いします。

○金児消費者安全課長事務代理 次に、資料2に基づきまして御説明いたします。「消費者庁に寄せられる生命・身体被害情報の適切な処理及びそれに基づく対応の実施」という資料でございます。
左上の背景の欄をごらんいただければと思いますけれども、小麦加水分解物を含有する石けんに由来するアレルギー症例に係る情報提供が消費者庁にあったものの、適切に処理・活用されなかった事例が発生した。これは既に報道もされているとおりでございます。
「2.問題の所在」というところですけれども、消費者庁に寄せられるすべの情報について漏れなく集約した上で、判断する仕組みがない、消費者目線での迅速・的確な対応、専門的見地からのチェックが不十分ということで、「3.改善取組の基本方針」というところで、今回の事例の反省を踏まえ、国民の生命・身体を危うくする重大な消費者事故に、時機を失せずに対応する。責任ラインの明確化、恒常的に専門家から意見を聴取するという方針でございます。
改善の中身は、真ん中の欄で説明いたしますと、一番上の箱が、入手した情報を「入手情報点検チーム」に集約する。「入手情報点検チーム」というチームを設置いたしました。そこに情報を集約するということでございます。
チームの体制といたしまして、トップは審議官、以下、消費者安全課の職員、計12名でございます。
どういった情報を集約するかというのは、1年間で約1万6,000件の情報があり、このうち法令に基づく情報が約3,300件。これは、消費者安全法の消費者事故等と、消費生活用製品安全法に基づく重大製品事故でこれについては消費者庁に事業者から報告があります。それ以外の情報として、NITEへ、これは製品事故の任意の報告になります。その情報が私どもに来ます。あと、これは以前、御説明さし上げたかと思いますけれども、医療機関ネットワークからの情報、その他、照会案件、そういったものがございます。法令による情報以外の情報が必ずしもきちんと処理されていなかったということで、このチームを設けまして、情報は担当の審議官まですべて上げることにしました。
そういった情報の中から対応を開始する事案を抽出いたします。どういった事案を抽出するかと申しますと、死亡など重大な被害を含む事案、子ども、高齢者など社会的弱者に被害が多発している事案、アレルギー、食中毒など急速かつ重大な被害の拡大の可能性を示す事案、その他、類似事故の件数が多い事案といったものでございます。そういった事案を選びまして、それらについて消費者安全課の各班・グループにおきまして、詳細な情報を収集する。
それから、対応を実施するということで、消費者安全法の重大事故等と消費生活用製品安全法の重大製品事故につきましては、事故情報を定期的に公表していく。被害の拡大のおそれが大きい場合には、消費者への注意喚起、製品に原因があると考えられる場合については、事業者や関係省庁への確認・要請等、これらは従来からやっていることでございます。入手した情報についてきちんとチェックしてやっていくということで、見落としや未対応、対応の遅れを防止していきたいといふうに考えております。
こういったことで、先般のような「茶のしずく石鹸」に係る情報がきちんと処理されていなかったという事態を、これからは防いでいきたいというふうに考えているところでございます。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、この点についての御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。

○田島委員 茶のしずく石けんにつきましては、たしか昨年の6月に国民生活センターからニュースが入りまして、私もそれを見たんですけれども、正直言いまして、見落としてしまったというか、はやりの言葉ですが、想定外で、私自身も反省していますけれども、まさかこんな大きな問題になるとは全然思いもつかなかったです。
ところが、後から報道などを見ると、日本アレルギー学会では早くから警鐘を鳴らしていたようです。ですから、気がつく人は気がついていた、気がつかない人は気がつかない。だから、こういうチームをいくらつくって体制を整えても、結局、見落としてしまう。想定外というようなことがまた起きてしまうおそれもあります。ですから、ネットワークと申しますか、幅広い専門家、いろんな学会等でネットワークをつくって、気がついたらば知らせてほしいという、そういったシステムをつくらないと、また同じことを繰り返してしまうのではないか。私自身の反省も踏まえてそういうふうに感じるのですけれども、いかがでしょうか。

○金児消費者安全課長事務代理 私どももそう考えまして、ちょっと今、御説明するのを忘れていたのですけれども、専門家からの意見も聞きたいというふうに考えておりまして、専門家から定期的に意見を聴取し、的確な対応をしていくということを考えております。専門家、いろいろな分野の方がいるかと思いますけれども、特にアレルギーについては、それぞれの事案によって、例えば被害者の方の体質や体調によって、その製品に問題があるかどうかという、なかなか因果関係を判断するのは難しいと考えておりますので、やはり専門家の知見を活用することは大事だろうと思っております。

○河上委員長 ほかにいかがですか。
山口委員。

○山口委員長代理 4点、質問したいと思います。
まず、去年の4月から5月にかけてユッケの生肉事件がありました。あれに対する消費者庁の対応についてどうだったのかということでは、消費者委員会の消費者安全専門調査会でも意見を申し述べさせていただいているわけですが、いわゆる生命・身体に関する問題について見落としがないかというようなことを、このユッケ生肉事件を教訓にしてもう一回見直すというようなことをなさらなかったのか、どうなのか。あのユッケ事件の直後の、消費者庁の中での議論の状況を教えていただきたい。
2番目は、先ほど田島委員からもありましたが、アレルギー学会などで前から指摘があった。しかも、厚生労働省からは、この問題について消費者庁には去年の早い段階で連絡があったというのも聞いておりますが、厚労省からの連絡がいつごろあったのか。そして、それに対して、厚労省と消費者庁の間でどういう協議をしたのか。省庁間の協議体制についてはこれからどういうふうになさるのか、あるいは、これまで取っておられるのか。それが2番目です。
3番目は、新しいチームを立ち上げたとおっしゃっていますが、私は前任の羽藤審議官から直接、事故情報対応チームをつくって、審議官がトップで、対応について大変な作業をしているということを聞いたことがあります。確かに羽藤さんがチーム長で、当時の野村課長がチーム長代理で、安全課のかなりの方々がスタッフに入ってやっていらしたと聞いています。そのチームと、今回新しく立ち上げたチームというのは、同じではないのかなと思うのだけれども、どう違うのか。前よりもどこがどう変わるのか、これが3番目です。
4番目は、田島委員の問題意識ともかかわるのですが、役所が取りまとめて、それで何か消費者に注意喚起というのも限界があると思います。公表の基準は消費者庁の方で検討されているということであるのですが、本当かどうかはともかくとして、いろいろな事故情報については原則、全部消費者に開示する。国交省がやっている自動車不具合情報と同じような形で、消費者あるいは第三者、専門家の方で消費者庁から出す事故情報について調査検討して、民間で議論してくださいと。勿論、消費者庁もそれはそれでやるけれども、何でもかんでも行政が抱え込んで、これはいい、これは安全、どこまで情報を開示するかなんて一々やっていたら、1万6,000件の情報洪水に溺れて、結局、消費者庁は過労の極にあるけれども、結局また同じような問題を起こすことになりかねないのではないかと思うので、情報の開示の在り方を抜本的に見直すことが必要ではないかと思います。これについて、これは今日だけで終わるテーマではないと思いますので、どういう方向かということで結構ですが、お話しいただければと思います。

○金児消費者安全課長事務代理 ユッケの生肉のときは、厚生労働省から通知が来たわけです。その後の対応について、消費者委員会からはいろいろ御意見をいただいたと認識しておりまして、今回も、通知が来たものについては従来から我々はきちんと対応しているつもりでおります。
それから、羽藤審議官が長をやっていた事故情報対応チームでございますけれども、これは法令に基づき通知された事故情報について見ておりました。ただ、通知ではない、雑多な情報といいますか、そういったものについては、必ずしも審議官のところまで上がっていなかったということでございます。
それから、厚生労働省から私どもに情報が来たのは一昨年の10月です。そのときは、厚生労働省が公表した資料、事業者名、商品名などが入っていない情報を公表したプレスリリースの資料が私どもに送られてきました。私どもはそれについて、商品名、事業者名などを厚労省に問い合わせなかったというのが反省点だと思っております。ですから、そういった情報が来たときにきちんと庁内で情報を処理しよう、審議官まで上げて詳細な情報を聞いていきましょうというのが、今回の入手情報点検チーム設置の趣旨でございます。
公表については、勿論、基本的に私どもは出していくということでやっております。事業者名とか、どこまで出せるのかとか、そういった問題はありますけれども、公表していく。そのほかに、消費生活センターに相談された情報もPIO-NETに入って、それが事故情報データバンクの方に移って、自動的にといいますか、どんどん公表されるようになっています。

○山口委員長代理 茶のしずくについて公表したのはいつですか。

○金児消費者安全課長事務代理 私どもは昨年の6月に公表いたしました。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
公表された時点では既にどんどん問題が出てきたところであったということで、ちょっと遅いなという印象を皆さん受けられたことは否めません。先ほど来、委員の方からも意見が出ていますけれども、自分のところで全部情報を集約して、それを分析して、点検して対応するという枠組みだけではやはり限界があるということだろうと思います。マスコミも含めていろいろなところとネットワークをつくっていただいて、危ないというか、問題がありそうだという段階でも情報をどんどん出していただくということをしないと、なかなかすき間に落ちた部分がなくならないのではないかという感じが致します。今度のこの取組そのものについては大変よいことだと思いますけれども、それを過信したり、そこでの方法に余り限定しないで、更に広い網を張っていただければありがたいというふうに思います。

○山口委員長代理 去年の11月27日付の朝日新聞に、「消費者庁、事故連絡遅れ」ということで、「230件滞留、原因調査に影響」と報道されているわけです。消費者庁の安全課の担当者は大変な仕事をしていると思うのです、事故情報の洪水の中で。さぼっているとは決して言いません。しかし、こういう事故連絡遅れ。つまり、危険情報が来たときにそれを事業者に連絡して、事業者側が、自分の製品に問題があるということを認識して対策をとる。この連絡が遅れることによって、また新しい事故が起こるということが繰り返されるようであれば、やはりこれはまずいだろうと思うのです。茶のしずく事件の問題と併せて、1万6,000件の情報をどう適切に料理して、事故防止のための発信につなげるのか。今後、消費者委員会でも検討をしていかなければいけないと思いますが、その辺についてどういうふうにお考えか。前にもお聞きしたのですが、今回の再発防止と併せて、分析の遅れの解消について、対策の心構えだけでも簡単にお聞かせいただければと思います。

○金児消費者安全課長事務代理 今の事故情報の連絡の遅れについて、御説明させていただきたいのですけれども、私どもは、消費者安全法に基づいて、例えば製品火災の事故というのを消防庁から通知をいただきます。製品の事故ですので、本来、事業者から消費生活用製品安全法に基づいた報告を私どもはいただかなければならないのですけれども、そこが必ずしもいただけていない場合がございます。それは本来事業者の義務でございますけれども、事業者から出てこない場合があります。
実は私ども、昨年2月に、消防庁に対して、火災の事故について製品起因かどうかわからない段階でもなるべく早目に出してくださいというお願いをして、なるべく早く事故情報をキャッチしようという取組を、これは総務省の行政評価による指摘を受けまして、そのように消防庁にお願いしました。そうしましたら、消防庁から、それまでと比較して3倍か4倍の製品火災事故の情報が私どもに通知されるようになりました。ただ、それらについて、事業者から重大製品事故としての報告が出てきていないものがありました。これが何か月間でたまって230件ということになったわけです。
要は、事故情報が消費者庁へより多く出されるように、私どもが努力した結果、そういうふうになったということでございます。ただ、たまることについては、私どもはまずいというふうに考えまして、担当者を1人増やしました。担当者から事業者に一件一件連絡し、「製品事故情報を出してください」というお願いをして、1か月ちょっとぐらいでしたか、この230件というのは一応解消されて、今はこういった遅れはなくなっているところでございます。

○河上委員長 では、この問題についてはここまでといたします。引き続き、事故情報の処理のあり方に関して検討を進めていただければありがたいと思います。
本日はお忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪5.地方消費者行政の支援策について≫

○河上委員長 続きまして、「地方消費者行政の支援策について」でございます。地方消費者行政の支援策につきましては、昨年4月に消費者委員会で、「地方消費者行政の活性化に向けた対応策についての建議」を取りまとめ、昨年8月には、建議のフォローアップとして消費者庁からヒアリングを行っております。更に、昨年10月の第72回消費者委員会において、「消費者基本計画の検証・評価・監視」の中で消費者庁からヒアリングを行っております。また、消費者団体や地方自治体等から、多くの意見書、要望書をいただいているところでもあります。
今回、消費者庁におかれましては、平成24年度予算案において、地方消費者行政のための財源として、「地方消費者行政活性化基金」の増額を当初予算として計上していると伺っております。本日は、これを含めまして、地方消費者行政の支援策について消費者庁から御説明をいただき、議論を行いたいと思います。
それでは、説明をお願いいたします。

○林地方協力課長 地方協力課長の林でございます。
お手元にお配りしております資料3-1から資料3-4まで、これに従いまして御説明をさせていただきたいと思います。
資料3-1は、消費者庁全体の予算、特に機構・定員も含めた予算の決着について、概要をまとめたものでございます。特にこの中で、地方消費者行政の支援のための予算というのが何点か認められています。大きくは、今ほど委員長から御指摘のありました、地方消費者行政活性化基金の増額というものでございます。そのほかにも震災対応の予算、地方の消費者団体との連携を深めるための予算、こういったものが増額、あるいは新設で認められていますので、まずは資料3-1に従いまして御説明させていただきたいと思います。
後先になりますが、資料3-3というポンチ絵を付けております。これは消費者庁だけではなく、政府全体として、特に政策的経費については非常に財政状況が厳しい、また、東日本大震災の影響もありまして、復興に多額の予算を要するといった状況がございまして、一般的な政策経費については一律で10%削減というシーリングがかかっていました。こうした中で消費者庁の必要な予算を確保するというのが、今回の大きな命題でございました。一方で、復興については、復興特別枠というものが特別会計の中で創設されていましたし、また、日本再生特別枠という別枠の要求も認められておりまして、こうした一般的な予算の要求とは別の枠組みも活用させていただきながら、今回は予算要求を行わせていただいたというものでございます。
ですから、消費者庁の関係の予算全体を見ていただきますと、人件費等の義務的経費については、この間、機構・定員要求も含めて必要な人員の要求を行ってきておりますので、増額を認めていただいておりますけれども、国センの運営費交付金を含めまして、政策的経費についてはやはり抑制基調ということで、特別枠などを活用した要求を併せて行うことで全体の予算額の確保をしていったというのが、今回の予算の全体の姿でございます。
1ページの資料3-1に戻っていただきたいと思います。「1.概要」の5つ目のマルのところをご覧いただきますと、消費者庁の予算の関連では、震災対応の基金の増額を含めて、これが東日本大震災復興特別会計に計上されていることもございまして、この分を含めて全体の予算は93.4億円、対前年比で3%強の増額を認めていただきました。しかし、この分を逆に除きますと、88.7億円ということで2%弱の減になっています。
2以下が予算のポイントでございまして、まず最初に、震災対応の関係でございます。被災4県については3億6,440万円。これは、要求段階では8億円の要求をしておりました。震災復興の関連について言いますと、昨年の3.11発災後に財務省とも調整を行いまして、もともと平成24年度まで活用を認めていただいておりました地方消費者行政活性化基金について、岩手、宮城、福島の東北3県と茨城の4県については、平成25年度まで延長を特別に認めていただいておりました。
また、この4県については、従来2分の1ルールというのがありまして、県単独予算と同額までの国費の取り崩しを認めていただいておりましたけれども、これを、国費との関係で言うと3分の2、実際には県の予算の2倍まで国費の取り崩しを認めていただくように調整を既にしておりました。その上で必要な額の増額を認めていただいたのが、この予算でございます。24年度、25年度という2か年間を念頭に置いて8億という要求をさせていただきましたけれども、結果的には、復興の予算も単年度で見ていくという原則に立って、当初予算ということもあって、24年度の1か年分について3億6,440万円という予算を認めていただいております。
次のページをご覧いただきたいと思います。2ページ目に「地方消費者行政の強化」というのがございます。1つ目のマルが、食の安全・安心のための「地方消費者行政活性化基金」の増額というものでございます。もともとこれは要求段階では、基金とは別の新しい交付金として、7億500万円という額で日本再生特別枠を活用する形で要求させていただいておりました。もともと要求段階では日本再生重点化措置枠というのは、先ほど申し上げました10%の政策的経費の減額、減額をしたその努力に応じて、特別枠として、特に「日本再生」という観点から政策的に効果が認められるものを要求してもいいですということになっておりました。
私どもとしては、地方消費者行政の支援という観点から、いわゆる時限で年度の切られた基金という形とは別に、毎年度、毎年度の予算の査定の中で議論は必要になってまいりますけれども、経常的というか、恒常的に継続的に要求ができる新しい交付金として、是非、地方消費者行政の分野でも予算を認めていただきたいということで、新たな交付金というのを要求させていただきました。この交付金は、もともと24年度まで地方消費者行政活性化基金があるという中での要求でしたので、基金とのすみ分けも意識させていただきながら、目的は食の安全・安心というところにスポットを当て、また、基金ではなかなかストレートに支援ができていなかった地域の多様な団体の活動支援のための、いわば補助金的な支援の財源にも使っていただけるような形での交付金の創設を要求させていただきました。
結果的に、日本再生重点化措置枠の中では認めていただけませんでしたけれども、これに準ずるものとして、通常枠の中で予算を認めていただく形になりました。また、地方消費者行政活性化基金が24年度まであるということがございましたので、地方消費者行政活性化基金は平成20年度、21年度の補正予算で、当時、地方消費者行政活性化交付金という形で予算を付けていただきまして、この交付金を各都道府県に配分をする形で、この基金の造成を行っていただいておりました。この交付金が既にあることを念頭に置きつつ、財務省の査定は、交付金を24年度の当初予算で措置をして新たに基金を増額してください、というのが今回の査定結果でありました。
中身的には、今回の原発の事故などを契機といたしまして、住民の方の不安が高まっている食の安全・安心という分野に焦点を当てた取組、それから、地域の多様な団体の活動を支援するための取組に使っていただけるように基金の増額をするということで、具体的にどういう形で配分をするのか、どんな事業を対象にするのかということについては、財務省とも、今後、詳細な調整を行っていきたいと思っております。
また、25年度を念頭に置いたこの夏の概算要求に向けて、次の予算要求の段階では、被災地4県を除きますと基金の期限が来ることになります。ですから、24年度要求のときには基金とのすみ分けをどうしても意識せざるを得なかったのですが、ある意味では白地の状態から予算が要求できるだろうということ。
もう一つは、これまで地方消費者行政支援という意味では、残念ながら、補正予算でしか予算が認められてきませんでした。当初予算で基金を活用した形にはなっていますが、5億円という額が認められましたので、この額をベースに置きつつ、25年度予算の要求段階では、もう一度新しい交付金を制度設計も併せて再検討させていただきながら、予算要求、それから実際の予算の措置が得られるように、我々としても引き続き努力をしていきたいと思っております。
更に、これは昨年から既に取組を始めていますけれども、「地方消費者グループフォーラム」といいまして、消費者団体を初めとして、各地の消費者問題に取組をいただいている団体の方の連携を図る取組を、引き続き予算要求をさせていただいて、非常に財政状況は厳しい中ではありましたけれども、増額を認めていただきました。そのほか、今回、法案提出に絡んで、必要な予算や機構・定員が認められています。
また、機構・定員要求の関係では、詳細な内容はこちらには書いておりませんけれども、私ども地方協力課の中でも実はブロック担当というのを置いています。各ブロックごとに地域の担当が、その地域の消費者行政にかかわる自治体の皆さんのいろいろな問題や課題について、一緒に考えて取組を進めていくという体制をとっておりますけれども、すべてのブロックに担当者をそれぞれ一人ずつ張り付けるという状況ができておりませんでした。こうした定員も、復興枠ということで時限ではありますが、お認めいただいて、体制の増強を図ることも認められています。
以上、今回の予算措置の内容は、柱になりますのは、新しく基金の増額を認めていただいた5億円と、また震災復興の関係で、3億6,440万円という予算の中心に据えておりますのは、今の国センと共同して運営費交付金を活用して進めております、食品の放射性物質の検査体制の整備、これの支援を行っております。実際には、検査機器をただ配置するだけでは現実の測定体制はできません。その要員を確保したり、職員の方に研修をしたり、その機器も、車と同様に、車検のように、ある一定の測定を続けていると精度が下がってまいりまして、定期的に校正というのを行わないといけない。そういったメンテナンスにかかる費用もこの基金で現在のところは見ていただいておりまして、24年度以降もそういった必要な予算が確保できるように、この基金の増額を要求させていただきましたけれども、25年度に向けても、引き続き、予算の確保に努めてまいりたいと思っております。
私からは以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。
稲継委員。

○稲継委員 ちょっと聞き漏らしたかもしれないのですが、25年度以降のことで、先ほどの御説明の中では、新たに白地から要求できるという話をされたのですが、白地から要求しなければならないということでもあるわけですね。その辺、今後、制度設計も含めて検討していきたいという話なのですが、今のところ、どういう目算で、どのように戦略として考えておられるのか、ちょっと教えていただけたらと思います。

○林地方協力課長 消費者委員会からも御指摘をいただいておりますけれども、従来、活性化基金あるいは光交付金、これまでとられてきた財政支援措置の効果がどうだったのか、現状がどうなのかということを踏まえる必要があると思っております。白地と申し上げましたのは、今回は基金がある中で、基金とどうすみ分けるかということがどうしても避けて通れない課題でしたので、ある意味、与条件が決まっていました。しかし、24年度に行う予算要求のときには、基金が切れることを前提に議論をしなければいけない。ですから、稲継委員のおっしゃるように、逆に言うと要求をしなければいけないという環境にあるわけです。
これは事務的な話になりますが、行政府の中の予算要求のある種のルールとして、一定の目的に認められた予算を翌年度議論をするときには、ゼロからのスタートというのは非常に厳しいものがありまして、スクラップ&ビルドが原則ですので、十ある中の一もない予算を要求しようとすると、既にある予算をどこか切らないと要求ができないというのが現実としてあります。
今回も、先ほど御説明しましたように政策的経費については10%削減という、そもそものシーリングがかかっておりました。来年も恐らく財政状況は変わらないと思いますので、全体としてのシーリングは厳しく、また、抑制基調にあると思いますけれども、少なくとも地方消費者行政支援のために5億円という額が認められたことは事実ですので、額はこれをベースに置きながら、活性化基金がなくなったときに地方はどういう支援が本当に必要なのかということを、やはり実効性のある形で議論をしないといけない。我々としても、そういう要求をしていきたいと思っております。
ちょっとこれは蛇足になりますけれども、消費者委員会でこの問題について議論をさせていただいたときには、将来的な姿として、税源移譲とか交付税とかということがあるわけですが、政府の中では一括交付金という議論もありました。私どもはこの動きを非常に関心を持って注視しておりましたけれども、結果的に24年度予算の中では、この分野に限らず経常的経費の一括交付金化は見送られました。
見送られた背景には、もともと経常的な経費の予算というのが覊束性の高いものが多く、地方から見たときに裁量が働く予算が非常に少ない。むしろ地方から、そういう予算を一括交付金として交付されてもある意味困るという声があった中で、一括交付金が見送られたということもありますので、恐らく経常的経費の一括交付金が現実のものとして出てくるのは、非常に時間がかかるのではないかというふうに思っております。そうしたことも念頭に置きながら、そうであれば、やはり地方消費者行政を支えるための財源は、別途、我々として確保していかなければいけないだろうと思っております。そういう意味でこれまでの基金でできたこと、できなかったことを踏まえながら、なるべく地方の方に使い勝手のいいものを要求させていただきたい。
一方、これは私の個人的な見解も含まれますけれども、都道府県、市町村、今の基金は全くパラレルでどこでも活用いただけるようになっております。従前、私がこの場で過去の三位一体改革との関係でいろいろ御説明をさせていただきましたけれども、実は三位一体改革のときまであったその当時の国民生活局が持っていた予算というのは、都道府県と政令市だけを相手にしていた予算なのです。それ以外の市町村は、実は国から財政支援をするツール、手立てというのが全くありませんでした。この活性化基金をつくったときに初めて、すべての市町村が対象に入ってきたということがこの間の経緯であります。新しい交付金をつくる、要求をしていくというときに、この間の経緯をどう考えるのかというのも一つのポイントだろうと思っております。
そういったこれまでの流れや周辺の状況なども念頭に置きながら、25年度の要求に向けた検討を進めてまいりたいと思っておりますし、また、いろいろと御意見、御指導を賜ればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○河上委員長 ほかにいかがですか。
吉田委員、お願いします。

○吉田委員 御存じのとおり、地方自治体の議会から意見書が続々と来ている中で、地方は何を一番求めているかといいますと、先ほど来お話があった人件費にも使える恒常的な財源が欲しいということかと思います。委員会としても提言しているとおり、地方消費者行政が自治事務であって、しかも国と地方自治体がイコールであるならば、地方が収集した相談情報を国に上納するという形ではなく、それを国に買い取っていただく。そこに財源措置をしていただけないだろうかということは、随分前から私もそのように考えていたところですが、平成25年度の予算要求時の新しい交付金の形を考える中に、そのような要素を織り込むお考えというのはあるのでしょうか。

○林地方協力課長 これは恐らく予算措置だけの問題ではなく、今回、消費者安全法の改正案というのを、事故調査機関の話、財産事案のすき間についての行政措置の話として提案をさせていただきますけれども、今、吉田委員が言われた話は、今の安全法の体系の中で自治体に相談・あっせんの実施を義務づけ、また、事故情報などについては通知をしてくださいという体系にして、一方で、PIO-NETへの入力情報などについては余り明確に規定していないわけです。この委員会でも、入力事務をどう考えるかというのはいろいろと御議論をいただきました。これは恐らく、制度的な問題をセットで考えないといけない問題だと思っております。
情報を買い取るという制度構成にするのかどうかはともかくとして、今はPIO-NETへの入力は、国センが事実上やっているシステムだということもあって、基本的にお願いしていますけれども、必ずしも義務づけはかけていないわけです。ですから、よく御指摘をいただきますけれども、新しくできたセンターで一人の相談員さんでやられているところで、手間や時間がないところは、なかなか入力ができていないところも現実にあります。恐らくこの問題は、入力というのを国と地方の関係で本当に義務化するのかどうかということとのセット。これは新しい義務づけ、枠づけの話になりますので、これをどう考えるのかというところが一つのポイントかなと思います。
一つ、予算だけの問題ではなく、今の消費者安全法の中の相談、それから相談によって得られた情報をどういうふうにとらえるのか。先ほど、全く別のテーマで生命・身体事案についての情報の収集・分析の話をここで御議論いただいておりましたけれども、そうしたこととも絡んで、どういうふうに情報収集体制を最終的につくり上げるのか、ということを考える中で検討すべき課題なのかなと思っております。ですから、これはやはり義務づけすべきだということになれば、法定受託事務のような世界というのはあるのかもしれません。これは、我々が制度的にそういうふうにすべきだと思っているわけでは必ずしもありませんけれども、制度論としてはそういう構成はあるだろうと思います。むしろそこは地方の方との議論の中で、本当にそういう構成にするのがいいのかどうか、体制的にもそれがちゃんとついてこられるのかどうかということとのセットではないかと思います。

○吉田委員 現場でPIO-NETの入力というのは非常に負担になっていて、10分で終わった相談もPIO-NETに15分かけて入れるみたいなことがあるわけです。国センから毎月送られてくるマニュアルがいっぱいたまっていって、それを理解して入力する。本当に職人技のような技術が求められる。これで入力しても、地方自治体としてPIO-NETの情報が使い勝手があるものであれば、やりますけれども、私が経験した範囲でお話ししますと、手間が百かかるのに利益は十しか得られないような、非対称性がはなはだしいと思っていて、いっそのことPIO-NETをやめてしまおうというふうに正直思っていました。そんなことが全国の自治体に広がっていけば、国への情報というのは当然入ってこなくなると思いますから、そういうことも運動として起こり得るのではないかとも思っておりまして、そこは是非、制度を考えていただく際に御配慮いただくのがいいのではないかというふうに思っております。
御参考までに申し上げますと、3年ぐらい前の話ですけれども、盛岡市は人口30万で、消費者行政の予算は6,000万でした。そのうち93%が人件費です。まさに人が命の行政かなというふうに思っておりますけれども、6,000万のうち交付税措置がされている額が幾らか調べたら、2,000万くらいでした。つまり、3分の1は国からの交付税である程度財源を賄っていますけれども、残り4,000万は単費ということで持ち出しをしている。そういう中で相当マンパワーをかけて情報収集をし、それに対応し、かつ、国にその情報を提供するという作業をしていると、何のためにPIO-NETに入力しているのかなというふうにやはり大きく疑問に感じてしまいます。その実態も自治体によっていろいろあると思いますけれども、自治体が納得できる形での財源の措置を御配慮いただければありがたいと思います。

○河上委員長 稲継委員、どうぞ。

○稲継委員 今、最初に吉田委員が提案された情報を買い上げてもらうシステムというのは、インセンティブの観点からすごくいいなと思って聞いていました。2回目の発言の中で、面倒くさいからもうやめてしまおうかな、利益が得られないからというふうに自治体現場が感じているとしたら、本来上がってくるべき情報が上がってこないことになります。ところが、1件入れると幾らで買い取ってもらえるというバイの関係ができていると、一生懸命入れたらうちはもうかるのだから、もっとちゃんと情報を入れようという気持ちに全国の自治体がなってくださると思うのです。
国の財政のシステム上、地方から何かを買い取るということはなかなか難しいのかもしれないけれども、ちょっと工夫をいただいて、その辺、何か考慮をしていただいたらと思います。法定受託事務ということについては多分いろいろ議論があり得ると思うので、そういう義務づけ、枠づけではなく、情報を対等の関係で買う、地方も売るんだと、そういうことをちょっと御考慮いただけたらなと思います。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 今の問題とも絡むのですが、地方公共団体の自主財源の拡充、地方交付税措置の拡充ということでいろいろ配慮されているということではありますが、実態を聞きますと、例えば、相談員の報酬は300万手当されている。だから、PIO-NET入力費用を国から補助するとなると、二重に計上することになるからよくない。こういう話があるのですが、実際、地方交付税として国から地方自治体に出されている300万が使われているかというと、使われていないわけです。結局、箱ものとかいろんな既存の地方行政の中で既に確立した部分に流れていて、実際は地方消費者行政の方には使われない。だから、今、吉田委員が言ったように、盛岡でも3分の1しか手当されない。
そういうことを言われますと、むしろ地方交付税措置は、相談員の報酬を300万手当しないで半分でいい。その代わりPIO-NET入力費用という形で具体的に特定して、国から地方に手当をすると。それを件数当たりで幾らという形でやってもいいのかもしれないし、買い取りでもいい。あるいは、今、林課長がおっしゃったような入力義務という形で、何らかの形で消費者安全法に義務づけ規定を置くという手当もあるのかもしれません。そこら辺は議論をしながら、消費者委員会としても実際に役に立つような、消費者庁のしり押しになるような、そういう提案をしていきたいと思いますので、どの辺に実現可能性があるのか。地方交付税措置が、現実には地方の消費者行政に使われていないという実情についてどういうふうに認識されているのか、その辺もお聞きしたいと思います。

○林地方協力課長 まず、交付税一般について手元に詳細な資料がないので、そのマクロ的な傾向について申し上げますと、山口委員が言われたように箱ものに使われているというのは、これはないです。なぜかというと、もともと交付税措置は、箱もののような事業の補助金の裏に誘導するような仕組みがあったわけです。事業費補正と呼んでいましたけれども、これが無駄遣いを招くと言われて、その部分をものすごく圧縮しているわけです。むしろ今は、地方単独事業として計上している予算よりも執行されている予算は非常に少なくて、経常的経費に充てられている部分の方が多いはずです。
ただ、その中で地方消費者行政に現実に充てられていないという問題は、これは事実だと思います。吉田委員から御指摘がありましたけれども、今、交付税措置は全体で消費者行政は180億という枠になっているわけです。これは1億2,000万人に対して180億なわけです。吉田委員が言われた盛岡市は30万です。全人口の400分の1なわけです。そうすると、枠からいけば4,500万、行っているはずです。観念的には。しかし、今の御説明ですと3,000万しか当たっていない。その1,500万はどこに行ったのか、ということですね。一方で言えるのは、6,000万円予算が計上されているということは、盛岡市は非常に熱心にやられているということでもあるわけです。
交付税というのは観念的なものですから、ある種典型的な団体を念頭に置いて、どういう経費がかかるかということで計算して、その分を配分して、実際に配分された額をどう使うかは自治体の裁量ということになっています、一般財源ですので。ですから、自治体によって、本来交付税で見ている額を超えて一生懸命やられているところもあれば、それに満たないところもあるわけです。現に私どもが毎年調査をしているものでも、消費者行政予算ゼロという自治体がまだたくさんあるわけです。これは、現に交付税が行っていながらもゼロということ。事実としてそうなのです。それをどうするのかというのは確かに非常に大きな課題です。現に交付税が行っていて、でも、やられていないという事実もあるわけで、これをどうするかというのは、やはり自治体の方に問題意識を持っていただくというのがまず一つだと思います。
それから、これはお答えになっているのかどうかわかりませんけれども、先ほど稲継委員が言われた、やったら額が大きくなるという仕組みというのは、補助金的な仕組みでそういうものはないのですが、お聞きしていて唯一近いかなと思うのは特別交付税だと思います。特に交通反則金などを財源にしている交通安全の特交などは、事故件数あるいは取締り件数に応じて特交の額を配分しています。これは、ある種のインセンティブの仕組みになっているわけです。こういうものがあることを念頭に置いて、交付金のような予算でもそういう配分の仕方ができるのかどうか。これはまた、検討してみないといけないのかもしれません。
実は昨年から、私もまだ詳細を把握しきれていないのですが、消費者行政の分野について、要するに光交付金で見ていた分野について、総務省は特別交付税措置をやると言われていて、それも現にやられているようです。どういう形でどういうふうに配分されているのか、ちょっと我々にはブラックボックスでわからないので、そこで何をどういうふうに見ているのかというのも一つのポイントかなと思います。
いずれにしましても、山口委員からいろいろ御指摘をいただいております点については、今後、具体的に予算要求に向けて検討していく中で、どこまでできるのかというのは、今回、一つのチャレンジだったわけですけれども、次が正念場だと思っておりますので、いろいろ御意見を伺いながら検討していきたいというふうに思っております。

○山口委員長代理 光交付金がどういうふうに使われたか、基金がどう使われたかということについて、検証をしなければいけないと思いますが、実は日本弁護士連合会でも、全国の八百幾つの自治体に文書でアンケートを出したところ、1か月足らずで500以上の自治体から大変熱心な回答が来たわけです。
消費者庁でも、実際に基金や光交付金がどう使われたかという調査をされていると思います。実は消費者委員会の委員間協議の中でも、基金や光交付金がどう使われたかという実態はまず調べなければいけないのではないかと。そこで重複行政は避けなければなりませんので、是非、消費者庁と消費者委員会、場合によっては消費者団体などとも協力して、実際にどう自治体で使われたか、何が足りないのかというところを一緒になって調査項目をつくって、それを早急に調査してまとめたらどうか。先ほど林さんもおっしゃいましたが、実際に自治体の現場では今年の8月までに自治体の予算をつくらなければいけません。そのときに、国からの実際の財政的な手当がどこまでなされるのかが見えなければ、せっかくつくった消費生活センターもつぶさないといけないのかなとか、事業を減らさないといけないのかなと、そういう話も出ていると聞きます。せっかく基金でそれなりに拡充してきた地方消費者行政が、今年の8月を目途に縮小してしまいかねないという危機的な状態にあります。
まず立法事実が必要なので、早急にその辺の調査を、消費者庁と消費者委員会と消費者団体などが協力してやって、それを調査すること自体が一つの地方の自治体に対する啓発になりますので、それをやった上で、今年の8月までには、国は相当熱心に手当を考えています。だからこそ自治体でも、平成25年度以降の消費者行政の財政措置についても本気で考えてくださいというシグナルを、委員会でも出したいと思うけれども、庁でも出していただく、そういう工夫を是非お願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○林地方協力課長 まず、調査の件については、もし本当に消費者委員会でもそういう調査をやられるというのであれば、過去にも同種の調査をやるときには、役割分担というか、項目も含めて調整をさせていただきましたが、一方で、地方に余り手間をかけてもいけないので、是非その協力調整をさせていただきたいと思います。
地方へのメッセージの件ですけれども、いずれにしましても今年の8月末までには概算要求をしなければいけません。地方の予算の仕組みは実は国の予算と半年ほどずれていまして、各都道府県・市町村とも3月議会に24年度予算は計上されていきます。ですから、本当のところの具体的な姿というのは、国の予算案の決定を見て各地方とも考えているはずです。ただ、山口委員がおっしゃるように、なるべく早い時期に全容の姿というのが見えた方がいいこと、これも事実です。毎年、夏の概算要求のタイミングまでには、どういう考え方に基づいてどんな形の要求をするのかというのは、いろいろな機会を通じて地方の方にも説明するようにいたしますし、それは積極的にお話しをさせていただくようにしたいと思います。
恐らく地方の方にしてみると、要求は要求として、実際どう付くのかということが一番のポイントで、今回、決着は要求とは少し違う形になっているわけです。これを踏まえて、今、まさに各自治体とも24年度予算の編成作業をやられていると思いますので、25年度に向けて、なるべく早い時期に、我々も制度の姿をお見せできるように努力をしていきたいというふうに思います。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。よろしいでしょうか。
地方消費者行政というのは、まだよちよち歩きの状態でミルクが必要な段階なんですね。その意味では、国から各地方にもお任せをというふうにするのではなく、場合によっては交付金もひも付きにして、これは消費者行政のためにミルク代に使えというふうにして、それぞれの消費者行政がきちんとできるように予算の組み方を考えていただく必要があるのではないかと思います。それにもまして、これまで幾つか交付金があったわけですが、それが具体的にどんなふうに使われて、どんなふうに機能してきたかということの検証作業がまだ十分できていないと思われますので、これを消費者委員会と一緒になってやりませんか。その中で少しでも使い勝手のいいお金の出し方というのを、知恵を出し合ったらいいかと思いますので、また、お力添えをいただければというふうに思います。
お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

≪6.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上のとおりでございますけれども、最後に、事務局から、今後の予定等について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 どうもありがとうございました。
本日、委員会終了後、6時を目途ですけれども、この部屋において、社団法人消費者関連専門家会議、社団法人日本経済団体連合会との意見交換会を1時間かけて行う予定です。引き続き意見交換会も傍聴される方につきましては、この部屋にお残りいただければと思います。
次回の委員会につきましては、1月31日(火曜日)の16時からを予定しております。議題につきましては、決まり次第、御連絡をいたします。
また、今週末、1月21日(土曜日)ですが、河上委員長、細川委員、吉田委員が宮城県仙台市に伺いまして、新しい消費者行政をつくる宮城ネットワークと共催で、第1回の「地方消費者委員会」を開催いたします。
第 I 部では、河上委員長による基調講演、「震災後の高齢者の取引被害について」及び質疑応答を予定しており、第 II 部では、「地方消費者問題の現状を聞く」と題しまして、現地の消費生活相談員等からの消費者相談の事例報告及び委員とのディスカッションを予定しておりますので、御案内をいたします。
事務局からは以上です。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)