消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会(2012年9月4日) 議事録

日時

2012年9月4日(火)16:00~17:20

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、小幡委員、川戸委員、
 田島委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【参加団体】
 公益社団法人全国消費生活相談員協会   吉川萬里子専務理事
 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会   唯根妙子総務委員長
杉本まさ子広報委員長
有山雅子消費者相談・ADR委員長
 全国消費者団体連絡会   河野康子事務局長
 特定非営利活動法人日本消費者連盟   山浦康明共同代表運営委員
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.消費者委員会の活動状況等に関する意見交換
○公益社団法人全国消費生活相談員協会   吉川萬里子 専務理事
○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会  唯根妙子 総務委員長
 杉本まさ子 広報委員長
 有山雅子 消費者相談・ADR委員長
○全国消費者団体連絡会   河野康子 事務局長
○特定非営利活動法人日本消費者連盟   山浦康明 共同代表運営委員
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:7KB)
【資料1】 公益社団法人全国消費生活相談員協会提出資料(PDF形式:41KB)
【資料2】 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会提出資料(PDF形式:170KB)
【資料3】 全国消費者団体連絡会提出資料(PDF形式:137KB)
【資料4】 特定非営利活動法人日本消費者連盟提出資料(PDF形式:551KB)
【資料5】 消費者団体ほか関係団体との意見交換会出席団体(PDF形式:46KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」を開催いたします。

≪2.消費者委員会の活動状況等に関する意見交換≫

○河上委員長 それでは、議事に入りたいと思います。消費者委員会では、今後の運営改善等の参考にするために、消費者団体ほか関係団体等から御意見を伺うとともに、委員との間で意見交換会を行うということで今年度も開催しているところでございます。
本日は、その第3回目といたしまして、公益社団法人全国消費生活相談員協会(全相協)から吉川萬里子専務理事に来ていただいております。
それから、公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)の唯根総務委員長、杉本まさ子広報委員長、有山雅子消費者相談・ADR委員長のお三方においでいただいております。
さらに、全国消費者団体連絡会(消団連)から河野康子事務局長に来ていただいています。
最後になりますが、特定非営利活動法人日本消費者連盟(日消連)から山浦康明共同代表運営委員にお越しいただいております。
皆様におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、誠にありがとうございます。まず、皆様の方から最近の主な活動状況を御紹介いただいた上で、今後の消費者委員会の活動にどういうことを期待するかということなどについてお伺いし、その後、委員との意見交換をさせていただくことにしたいと思います。
時間も限られておりますので、早速お願いしたいと思います。初めに全相協から説明をお願いしたいと思います。大変恐縮ですけれども、時間が余りございませんので、5分程度の説明でお願いできればと思います。では、よろしくお願いいたします。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会吉川専務理事 公益社団法人全国消費生活相談員協会の吉川と申します。いつもお世話になっております。
本協会は、主として全国の自治体等の消費生活相談窓口で、消費生活に関する相談を担当する消費生活専門相談員を主たる構成員としている公益社団法人です。全国に北海道、東北、関東、中部、北陸、関西、九州の7支部がありまして、2,200人の会員が全国で活動しています。
主な事業内容につきましては、まず一つは、電話相談活動と言いまして、毎年5月の消費者月間に「電話相談110番」を全国7支部でしております。通常は、全国3か所の事務所で「週末電話相談」をしております。東京では、週に1回ですが土日に受けた相談の中で必要な案件はあっせんもしています。年間の相談件数は、週末相談だけで3,000件です。この件数は、人口によっても違いますけれども、例えば20万人ぐらいの地方都市の1年間の相談件数を全相協の週末相談で受けているということになります。
2番目としては、適格消費者団体として活動しています。消費者から寄せられた事業者の不当勧誘、不当表示、不当条項に対しての相談が、週末相談あるいはメールでいただくことがありますので、それをもとに適格消費者団体として差止請求をしたり、約款の改善を申し入れたりという活動をしております。
3番目として、研修講座をしております。消費生活相談において私たちは現場でいろいろな相談を受けているわけですから、その経験を生かして消費生活相談員の養成講座を7支部でやっております。それ以外に、消費生活相談員のレベルアップのための各種研修も行っております。また、去年、今年は、八戸市さんから、事業者対象に消費者マインドの醸成ということで、私どもとしては去年初めての経験で、事業者に対して消費者マインドあるいは消費者目線で物事をとらえることが、すなわち、経営にそれが反映されて消費者にもいい販売活動をしていただきたいということで、そういうちょっと変わった相談業務をさせていただきました。
それから、消費者教育啓発活動といいますと、悪質商法の被害に遭わないための出前講座を全国で実施しております。最初、内閣府の委託を受けて、今は国民生活センターから委託を受けてということで、年間1,500から1,000件ぐらいを実施してきました。これまで10年以上全国で約2万か所で出前講座をしてきました。その他にブックレットや教材、リーフレット等を作成しております。あるいは、各省庁等への要望や提言、パブリックコメントの意見表明等を主な活動として行っております。
「消費者委員会の活動に期待すること」ということですが、消費者委員会は、消費者庁をはじめ消費者行政に関する各中央省庁等を監視し、問題がないかチェックするという主要な任務を負っておられるということで、非常に期待しております。任務遂行のためには、消費者庁、国民生活センターとの関係を密にされて、情報の取得を十分していただいて、その上で業務上問題があるといったことをチェックし、必要があれば、速やかに是正勧告をしていただく等の活動を期待したいと思っています。
東京電力など、消費者庁と消費者委員会が個別にいろいろと申入れをされていたようですけれども、そういう重複はできれば避けて一つとなってしていただく方が、意見表明としては強力になるのではないかと思っています。協力するところはそれぞれが協力して問題に対処されることが、消費者の利益につながると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
私どもは地方の消費者行政の窓口で相談を担当しているものですから、地方消費者行政の低迷は何年か前からずっと言い続けていることですが、御存じのように活性化基金が今年で終わります。来年度、それが去った後、消費者庁では予算措置をしていると聞いておりますが、消費者委員会の方でも、十分な行政への予算措置が取られて、地方消費者行政が活性化するようにということで監視し、必要な場合は速やかな措置をとっていただくことを希望しております。
以上です。

○河上委員長 引き続きまして、NACSから説明をお願いいたします。やはり説明は5分程度ということで、よろしくお願いします。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会唯根総務委員長 きょうはこういう席にお招きいただきまして、ありがとうございます。本来ですと私ども副会長の青山が出席させていただきたかったのですが、申しわけございません、所用がございまして、この三役で伺わせていただきました。
お手元に、パンフレットをお持ちいたしました。こちらに御紹介させていただいておりますのが、私ども公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会、ただいま全国で7支部、3,500名の消費生活アドバイザーと消費生活コンサルタントという有資格者が、自分の仕事や地域、日常生活とは別に消費者問題に関して活動を行っている団体ということで、この二十数年、いろいろな活動をさせていただいております。昨年、公益社団法人となりまして、公益性を高めるということで、3つの柱、マル1 消費者トラブルの解決、マル2 消費者啓発、マル3 消費者と行政、企業、消費者団体等を連携するという目的で、多方面で活動を続けております。
きょうは最近取り組んでいる活動の御紹介ということで、できるだけ皆様に直近の活動を御紹介したいと思います。昨年も河上先生には広報面で御協力をいただきましたが、毎年11月に「110番事業」というのをさせていただいております。いろいろなテーマ、その年に起きている問題を取り上げたいということで、昨年は「通信販売トラブル110番」という名称で、ネット通販や越境取引の苦情が増えた通信販売に重きを置きましたが、今年は「キャンセルなんでも110番」と題して行いたいと。キャンセルという言葉の意味を消費者がどのように理解し、受けとめている中でトラブルに巻き込まれているか。その被害の実態は、最近はインターネット取引や旅行、結婚情報サービス、老人ホームなどのサービス取引に関しましても、キャンセル料の問題というのが多方面で出てきていますので、その現状を全国から集めていきたいと思っております。
資料の2ページ目、消費者教育に関しましては、設立当初から講師派遣事業として、テキストやビデオ、CDを独自に作成して、それをもとに全国各地の高校を主に出前授業を行ってまいりました。既に延べ30万人以上の方々に受講していただいております。今年度も、小学校から特殊教育学校まで幅を広げて講師を派遣していこうということで取り組んでおります。
また、最近は、環境問題にかかわる高校生への消費者教育ということで、エコプロダクツ展等にも参加して環境問題への取組を広げております。こちらについては、私どもの協会の会員が企業に勤める方々も多いということも含めまして、企業や業界との協力体制を取っております。
また、金銭教育推進活動についても金融広報中央委員会等に参加させていただく形で動いております。
この他一部の支部の紹介ですが、今年度は「食品の安全」ということをテーマに、いろいろなセミナーを各地で広げております。
また、支部の活動のマル2に御紹介しているように、私どもの講師は相談員のみならず、企業や学校教育の教員の方、NPOで活動する方々、こういう幅広い人材の会員それぞれが独自の講義内容を持ち寄って、消費者問題に関してトラブルを防ぐためのみならず、製品安全、環境、キャリアデザインなどテーマを広げて活動しております。
次に、消費者委員会へ期待していることについてですが、多くの会員から意見を求めてみました。まとめ方が下手で何人かの意見をつなげてしまったために意見書ではてにをはが不十分ですが、「委員会の存在すら消費者に見えていないのではないか。」「消費者委員会はこういうところです」というアナウンスがもっと必要ではないですか、」という意見が幾つかも出ております。
この3年間、消費者委員会はさまざまな建議を行っていらっしゃいますが、審議会機能よりは、監視とか建議について、消費者委員会の本分という部分について、もっともっと強力におし進めていただきたい。そして、そのアフターフォローを消費者に積極的に知らせていただきたい。せっかくやっていただいたその結果がどうなっているのか。消費者庁なりほかの省庁がきちっと活動したのかどうか、結果について委員会からも発表していただきたい。との意見が出ております。
以上、簡単に御紹介させていただきました。

○河上委員長 ありがとうございました。
引き続きまして、全国消費者団体連絡会から説明をお願いします。

○全国消費者団体連絡会河野事務局長 全国消費者団体連絡会の河野と申します。前任の阿南事務局長が消費者庁長官として就任しましたので、その後を受けまして私が務めさせていただきます。皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。
資料3に本日お伝えする内容をまとめてまいりましたので、それを御参照いただければと思います。全国消費者団体連絡会は主体を持って活動する全国の消費者団体の皆様の連絡会でございまして、現在、中央団体が24、地方消費者活動をされている組織が23ということで、47で活動させていただいております。本年度、活動計画を会員の皆様と協議の上つくりましたので、その活動計画、運動課題に沿って、4月以降進めてきたことに関しまして御紹介したいと思っております。
まず1点目、消費者行政充実・強化に向けた取組ですけれども、今国会で無事通ってホッとしたのですが、消費者関連法案ですとか、懸案になっています集団的消費者被害回復に係る訴訟制度等の早期成立に向けた諸行動を行ってまいりました。それから、そういったものの裏打ちといいましょうか、きちんと現状を知るということで、消費者政策検討会というものを5月から現在まで5回ほど開催しております。
地方の連携ということで、「いきいき消費者行政パートナーシップ」というのを昨年度から始めていますが、その表彰を今年度も20事例行って、表彰状等を送付させていただいています。
それから、消費者庁さんと一緒の活動ですけれども、「地方消費者グループ・フォーラム」、これは3回目になりますが、全国8ブロック開催で現在進行中でございます。
そのほか、消費者安全事故調、やっとできますけれども、PLオンブズ会議をずっと進めてきたその報告会ですとか、地方消費者行政シンポジウム等を開催させていただいております。
震災関連ですけれども、このことに関しましても、現実をしっかり知るという意味で報告会が5月17日にありましたし、その後、ここのところ私たち消費者にとっても大きな問題でしたけれども、東京電力の電気料金の値上げに関しましては学習会等も開かせていただいています。
食の安全と消費者の安心の確保ということで、「水産物の放射性物質調査について」「ほんとうに怖い生食による食中毒」と、正確な情報を正しく理解し、安心につなげるという場も設けております。
「原発への依存度低減に向けた」ということで、これも運動課題を出しております。再生可能エネルギー、8月以降、私たちの電気料金のところにもきちんと価格が上乗せになっておりますけれども、この学習会も行いました。7月4日には、これは大きな課題でしたけれども、会員14団体の皆様と御一緒に「東京電力の電気料金値上げに抗議する緊急集会」等も開かせていただきました。
これは随時ですけれども、消費者庁のホームページですとか、厚労省のホームページ等を活用させていただきまして、会員の皆様等に注意喚起の情報を掲載させていただいております。
国際連携ということで、そこに記載させていただいております2つの要請書を送付させていただきました。それから、私どもは国際消費者機構の正会員でございますので、そこから私たちのところに送られてくるさまざまな情報に関しまして、オンタイムで交流ということでやっております。
以上が、私どもの4月以降取り組んできました具体的な内容でございます。
「消費者委員会の活動に期待すること」ということで簡単に5つまとめさせていただきました。これまでも何度か全国消団連としてはお願いしていることだと認識しております。
まず最初に、消費者行政全体の監視役として建議・意見・提言をお出しになっていらっしゃいます。そういったものが関係各省庁においてどのように実際の施策に反映されたのか。フォローアップする必要があり、フォローアップをされているというふうに認識していますけれども、その結果をもう少しきちんと公表していただく。私たちに実感できるような公表の仕方によって、消費者委員会が果たしている役割の確認につながるのではないかというふうに思っております。
それから、5番のところにも書かせていただきましたけれども、消費者行政全般ということで、内閣府特命大臣のもとで消費者庁、消費者委員会、国民生活センターが、それぞれ役割は違うと思いますので、効果的に連携し、より複雑化・高度化する消費者被害に、本当に次々と新手のさまざまな事案が出てきますから、それに迅速に対応する体制を整えていただければというふうに思っております。
3番目は、創設以来の課題であります事務局体制の強化に是非取り組んでいただきたいと思います。この間、私も消費者委員会を何度も傍聴させていただきました。さまざまな課題対応の際に必ずマンパワー不足という言葉が聞かれています。消費者委員会の役割と必要性を広くアピールして、是非、体制強化につなげていただきたいと思っております。
これはきょう私がここに来た意味も含めてですけれども、2010年度から毎年、消費者団体との意見交換会を開催していらっしゃいます。こうした場を設けたことで消費者委員会の活動がどのように変化したのか。この辺りは率直な御感想を聞かせていただければというふうに思っております。
5番目は、つい先日まとまりました「国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の在り方に関する検討会」の報告書の中で、特に最初の課題の方で消費者委員会に対する指摘も幾つか書かれていたと思います。その点をどう受けとめ、今後、どのように対応しようとお考えになっていらっしゃるのか。その辺りももし伺えればと思っております。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは最後に、日本消費者連盟から御説明をお願いいたします。

○特定非営利活動法人日本消費者連盟山浦共同代表運営委員 日本消費者連盟の山浦です。
消費者委員会食品表示部会の委員をさせていただいております。私どもの団体は1969年に発足いたしまして、もう43年ほどたちます。いろいろな消費者団体の中でも告発型と言われることが多いのですけれども、行政、企業に対していろいろな提案をかなり辛めのトーンで行っていくということが特徴的です。会員は全国で、個人会員制ですが、1,600人ほどおります。そのほかに生協さんが特別会員という形で、生協の組合員さんが間接的に会員になっていただいていて、34万人ほどにのぼります。
それから、きょうも資料に一部見本をつけてもらいましたけれども、「消費者リポート」という機関誌を月2回発行しております。これは行政あるいは企業の方も、会員ではないのですが、講読という形で「消費者リポート」を取っていただいて、いろいろと参考にしていただいています。
私どもの活動内容については、今年の総会の活動方針というのをつけさせていただいておりますので、それを見るとわかりやすいかと思います。4本の柱でもって私どもは活動しております。原発問題は非常に重要な私たちのテーマではないかということで、大きな柱の一番目として、放射線被曝を減らしていこう、脱原発を目指すということで、自主測定活動であるとか、損害賠償の支援とか、エネルギー政策としては、原発に頼らないエネルギーの在り方をみんなで考えていこうと、そういう活動をしております。
2番目の柱としまして、食の安全を守る。これもさまざまな問題があるわけですけれども、一番新しいところでは、食品表示について、よりよい一元化の法制度、食品安全行政の体制をつくっていく必要があるということで、食品表示をめぐる提案なども行っております。
個々の問題では、例えばアメリカ産の牛肉の輸入条件の緩和が、今、食品安全委員会でも議論されていますけれども、私どもは、これに対して輸入条件の緩和には反対するという立場で活動をしてきております。
遺伝子組換え食品につきましても、これも長らく私どもは取り組んでおりますけれども、遺伝子組換え食品には反対するという立場でさまざまな提案も行っております。
3番目の柱としましては、政府が進めようとしているTPP(環太平洋経済連携協定)に反対していく。これはTPPに限りませんけれども、脱グローバル化ということを私どもとしては考えております。
また、暮らしと環境を守るということで、憲法を守り、消費者の4つの権利、安全の権利、知る権利、選ぶ権利、意見が反映される権利、これを十分に行使できる制度を求めていくという活動をしております。
また、消費税増税、これは国会で通過してしまったわけですけれども、消費税そのものも我々は反対していますが、今回の増税にも反対していく運動を進めております。
そのほか有害物質の追放を求めるということで、さまざまな化学物質を含めた問題に取り組んでいることが特徴だろうと思います。
消費者委員会にお願いすることということですが、一つは、2009年の9月からもう3年になるわけですけれども、設立されて活動されていることに対して、私どもは非常に期待をしております。初めて消費者の目線に立った消費者行政というものを、消費者庁とともに消費者委員会が活動されて、さまざまな提案も行っている。消費者目線に立って、業界の意向を受けた産業振興の役所とは違う、そういう味を是非出していただきたいということで期待をしているところです。
ただ、これまでほかの方々もおっしゃられましたけれども、マンパワーの問題、あるいは予算の問題でまだまだ力不足ではないかと思いますので、これは是非、私どもも応援をしていきたいと思いますけれども、もう少し力を発揮していただくような体制が取れないか。これについて、消費者団体の方で協力できることがあれば是非していきたいと思っております。
具体的なお願いということで、一つの例として、最後のところに私の意見書をつけておきました。今、消費者庁で食品表示の一元化を進めておりまして、来年の通常国会にも一元化の法律が提案されます。しかしこれに向けた消費者庁の「食品表示一元化検討会」の報告書は、非常に消費者目線に欠けると思います。こういった報告書では消費者目線の立場に立っていないのではないかと思います。是非、消費者委員会の親委員会からも消費者庁に対していろいろな注文をしていただきたいということで、具体的に私の意見なども書いておきました。
具体的には、消費者の権利を明記した上で、さまざまな具体的な措置請求権をはじめとするそういった強い消費者目線に立った法案にしなければいけない。また、今回は取り上げられませんでしたけれども、原料原産地表示の拡大、これは閣議決定で決まっていることですが、これが先送りされてしまった。あるいは、遺伝子組換え食品に対する厳しい表示制度を多くの消費者が求めておりますけれども、これも議論が先のばしになってしまった。取り上げられなかったさまざまな問題がありますから、これを具体的に消費者委員会としても消費者庁に、是非、頑張れというふうに言っていただきたいという注文を一つの例としてさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。短い時間だったので言い足りないこともあったかと思いますが、これからまだ少し時間がございますので、意見交換の中でまたお話をいただければと思います。
それでは、委員の方から、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 どうもありがとうございました。もう少し厳しい、もっとしっかりしろというお声が、特に山浦さん辺りから出るのではないかと思って覚悟していました。また今後発言をいただければと思いますが、先ほど来、建議のフォローアップといいますか、それがどういうふうに実現しているかということについて、もう少しわかりやすく発信したらどうかというお話がありました。本当にそのとおりだと思いますので、工夫をしなければいけないと思います。
年報というのを消費者委員会で出しておりまして、1年間の活動報告を再来週辺りに出さなければいけないので、今、事務局が大変な思いをしながら作業しています。少なくともその中にも、きょうの議論を踏まえて、建議がどういうふうに実現されようとしているのか、あるいは不十分な点はどこなのかというところが、少しわかりやすくなるように盛り込むぐらいのことはしなければいけないなと思ったところです。
それで、ちょっと御質問したいのは、実は消費者委員会で年内あるいは年度内の宿題として、建議をしたいと考えているテーマが大きく2つございます。一つは、健康食品について、これは委員会の発足以来、あるいは一昨年の12月以来検討を重ねてきているわけですが、そろそろ何らかの形で意見を外に出したい、あるいは出さなければいけないと思っています。大きく言うと執行力の強化といいますか、これはきょうの山浦さんの食品表示の問題にもかかわると思いますけれども、健康食品についての執行力の強化をどうするのか。
それから、広告あるいは表示の規制。ヒアルロン酸やグルコサミン、その他の食品表示について、もう少し何とかならないかという気持ちは皆さんお持ちだと思いますが、その辺はどういうふうにお考えなのか。特に先ほどのお話でも、消団連と消費者連盟のコメントがございましたので、この点についてこうだという御意見があれば、お聞かせいただきたいと思います。
もう一つのテーマは詐欺的投資勧誘の問題です。詐欺的投資勧誘について、ここをこうすれば何とかなるという一発勝負みたいなものはない、特効薬はないと思いますが、いろいろなことを考えて、総体的な提言・建議をしたいと思っているわけですが、今、一番悩んでいるのは、劇場型被害という言葉と二次被害という言葉はお年寄りにわかりにくいわけです。何かいいネーミングはないだろうかと。これは全相協やNACSもお考えかと思いますし、消費者委員会で公募したらどうかとも思いますけれども、詐欺的投資勧誘の対策について何かお考えはないでしょうか。
お年寄りに劇場型と言っても、「劇場で何か詐欺に遭うんですか。じゃあ、私には関係ないや」となってしまうのですけれども、劇場型と二次被害について何かいいネーミングはないか。あるいは、詐欺的投資勧誘についての対策について何か思っておられることがあったら、NACSと全相協にお聞きできればと思います。

○河上委員長 原事務局長、どうぞ。

○原事務局長 建議のフォローアップは、今、ホームページで載せるようにしました。委員会の速報と消費者基本計画の検証・評価と、委員会がこれまで出した建議と提言について、最新の時点でどういう状況にあるかというのを情報提供をするようにいたしました。これが、消団連がおっしゃった、ここでの意見をどう反映されましたかということの一つの回答であります。補足いたします。

○河上委員長 ホームページに入りますと建議のバナーがございまして、そこを押すとこれまでの建議が一覧で出ます。その横に、それがフォローアップされて、その結果どういうふうになったかというのが一覧表になって出てくるようにしました。ちょっとやってみてください。委員会活動に関する情報提供について、まだまだ改善点はたくさんあると思いますが、一つはそうやってお応えしているということでございます。
今、山口委員からも意見がございましたので、山浦さん、どうぞ。

○特定非営利活動法人日本消費者連盟山浦共同代表運営委員 まず、私の方から意見を述べさせていただきます。健康食品についての消費者委員会の建議の内容についてのコメントですけれども、私どもとしましては、健康食品では健康になれないということを考えています。どういう意味かといいますと、健康食品は医薬品ではありませんから、薬効をうたってはいけません。そして、健康食品を大量に摂取することによる、これまで例えば薬を飲んでおられる方への悪影響といった問題、あるいは相乗効果によってさまざまな副作用が出てしまうとか、単一の健康食品を摂取することによる弊害は非常に多いと思います。
私どもとしては、やはり健全な食生活、健全な日常生活を送ることによって人間は健康になれるのであって、高いお金を出して健康食品というイメージでもって健康になれるといった、そういうふうな事業者の販売の仕方に対して警鐘を鳴らしていただきたいというふうに思っております。
これまでも例えば消費者庁では、エコナの問題、特保としての認可の取下げを提案し、自主的に花王さんの方で取り下げました。こういった事例もございますが、健康食品については、ちょっとこれは変ではないかという視点を出していただいて、消費者は経済的にも損失を被っているのではないかと思いますので、これについて警鐘を鳴らしていただきたい。また、さまざまな表示の仕方についてのルールがあるわけですけれども、テレビのコマーシャルは目に余るものがあります。有名俳優などを使って非常に効くんだというイメージで売り込んでいると思うのです。こういったことについても規制ができるような、そういった体制を提案していただきたいと思います。

○河上委員長 河野さん、どうぞ。

○全国消費者団体連絡会河野事務局長 全国消団連では健康食品とは呼んでいませんで、「いわゆる健康食品」という形で呼ぶことに努めております。このことに関しまして言いますと、会員の皆様も非常に問題視されていまして、9月20日に、いわゆる健康食品ということを話題に取り上げまして、大学の先生に御講義をいただくのと併せて、今、アンケート収集をしております。参加される方に、身近なところでいわゆる健康食品に関する事例を見ているか、聞いているか、体験しているか。まず身近なところから事例を集めようという作業をしております。
併せまして、チラシの収集です。新聞広告もそうですし、新聞の広告面のところにも、表示として消費者の心理をくすぐる表現が多々ありますので、その辺りをきっちり集めまして、どこが私たち消費者にとって購入のきっかけになってしまうのか。その辺りを、実証を含めて取り組もうというふうに考えております。私どもの会員さんのところですから、そんなに多くの事例は集まらないかもしれませんけれども、そうやって実践につながることによって一歩先に進めるのではないかと思っております。
山口先生が、今、今後の大きな課題だと。2つの柱のうちの一つだとおっしゃってくださっていることに力を得まして、是非、消費者委員会の皆様からも論理的で冷静な御判断をいただければと思っております。

○河上委員長 ほかの方々は何か御発言がございますか。
唯根さん、どうぞ。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会唯根総務委員長 健康食品については、NACSが参加している適格消費者団体・消費者機構日本でも広告表示という面で検討を重ねていますが、広告に書かれていないところは取り締まれないというか、扱えない。そうしますと、イメージでどう商品情報や成分の効果・効能を消費者が受け取っているか、そこが非常にネックだというところが見えてきます。それに、インターネットの表示が広告に当たらないという部分も私どもは非常に問題ではないかと考えています。
それから、成分、含有量についても、中身がどれだけというところが具体的でない商品も結構多く、そういうものについても問題ではないか。今、いろいろ勉強中というところですが、健康食品に関して消費者のイメージをあおるコマーシャルや、広告が目につきすぎるので、そこを何とか規制できないのかと思っております。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会有山消費者相談・ADR委員長 劇場型とか二次被害というのは、高齢者と接していると、大変巧みになっております。御家族関係が手薄になっているというか、お子さんたちがお忙しい中で、大変まめにいらっしゃる。一般的には御案内させていただいていますけれども、最近は、一回、二回で契約を取ってしまうというのではなく、1週間とか2週間ごとに訪問を重ねて信頼関係を得てからドーッと行くという事例が見られるので、それを高齢者の方に理解していただくのは難しいと思っています。
だまされたという感覚を高齢者の方に持っていただけることもあるのですが、そういう場合でも、「あの方はだまそうとしたのではないのよね」と。被害者なのに、販売員をどういうふうに守ろうかみたいな事例も見られるので、ごめんなさい、回答にはなっていないのですが、非常に難しいと思っています。基本的に信頼関係を結んでからという作業が行われているというふうに感じていて、高齢者の方にそれを理解していただくのは非常に難しいです。

○河上委員長 山口委員は何かいいネーミングが欲しいということのようですけれども、なかなか難しいですね。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会唯根総務委員長 ネーミングよりは、相談現場も先生方も被害への意識が統一しているのであれば、「劇場型」は振り込め詐欺が一番いい例だと思いますけれども、それは皆さん一般の消費者の方にも、だまされる手口としての認識ができてきているので、これが「劇場型だ」と逆に定義づける事例を出してそれを印象づけてしまうのはいかがでしょうか。ネーミングでイメージがぼやけてしまいそうな気もします。それも含めまして、私どもは11月の110番では、キャンセルという言葉を一般的に消費者がどういうふうに意識しているか。「やめたい」「止めたい」「返したい」という代りに「キャンセルしたい」という言葉を使われる方が多いので、事例を集めて分類してみようという企画を今回立てました。
サクラサイトもそうですが、業界用語では意外と定着したようです。若い方とかネットをごらんになる方は、認識されているのですが、御高齢者のネットをごらんにならない世代の方たちが「劇場型」や「二次被害」に引っかかっているので、テレビのコマーシャルですとか、特集番組や何かで「オレオレ詐欺」の手口同様に「劇場型」「二次被害」を定義づけする方法が効果的ではないでしょうか?

○山口委員長代理 オレオレ詐欺とか、振り込め詐欺とか、あと、サクラサイトというのは非常にわかりやすい、うまいネーミングだなと思ったんですよ。ところが、お年寄りには劇場型と言ってもわからない。もちろん、劇場型の中身を知らせる努力はしていかなければいけないと思いますけれども、全相協、何かないですか。議論されていると思いますが。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会吉川専務理事 そういう形で議論はしていません。劇場型というのはここ何年間かで出てきたものですので、最初、私も相談現場にいて聞いたときには、何遍も聞き直しました。そうでないと、なかなか理解できない。いろいろな人が登場してくるから劇場型ということなのですが、ネーミングについてはこれしかないと思っていますが。
二次被害については昔から品を変え、古いことを言えば、NTTの黒電話が使用できなくなるという形で電話を買いかえさせて、その後、7年ほどたったら、その電話の保証期間が過ぎるからと又電話の買い替えをさせるというような形での二次被害が多く出ました。とにかく一度被害にあうと名簿が出てしまうので二次被害が出て、二次被害、三次被害につながっていきます。
もとを断つという方法がないかということで、今までもしてきましたけれども、そこのところがなかなか難しい。

○河上委員長 ネーミングの話はおいて、ほかにございませんか。
川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 NACSさんに伺いたいのですけれども、消費者教育に関心があるのですが、この前、大臣にお目にかかったときに、せめて消費者教育を義務教育の中で、社会科、家庭科で1時間ずつでもいいから、金銭関係のトラブル、あと食品安全、これは絶対に指導要領に入れてくれとお願いをしました。そのときに大臣から対象はどのくらいかと聞かれて、私は中学生ぐらいかなと申し上げたのですけれども、ここでは高校生を中心にいろいろな教育をしていらっしゃいます。これはどうなんでしょうか。早すぎるのでしょうか。そこが一つ。
もう一つは、これは学校が協力をしてくださらないととてもできないと思うので、その辺の学校や教育委員会との連携というのはどのくらいやっておられるのでしょうか。そこを伺いたいと思います。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会唯根総務委員長 今までの20数年の取組ですと、どちらかというと指導要領に入らないぐらいのところで、社会に巣立つ直前の方々の消費者教育ということで、高校生をまず基本におさえていたのですが、近年は幅が広がってきています。今回、消費者教育推進法もできて、やはりもっと小さいときからパンフレットにも書かれているように、私どもは小学校から消費者教育を行っております。
ただ、今までの経験でいきますと、公立でも私立でも進学校ほど、学校側や教育委員会は、「少ない授業時間の中で指導要領の消費者教育の枠をつくる時間がない。」と言われ門前払いの事も多かったですし、その後ゆとり教育の時代に入りまして、余計入り込めない。それで、文化祭や設立記念日等何かのイベントのときに呼んでいただいたり、ブースをいただいて消費者啓発の講義をやるというケースで取り組んできたのが今までの実績です。
自立した消費者を教育するにはそれでは遅いと思います。小学校の家庭科とか社会科の先生で、消費者教育について非常に積極的な方々もいらっしゃいましたから、そういう要請に応えて、小学生に「契約とは」「お約束から始まります」というところから金銭教育に広げていったり、今は食育やエコ教育でしょうか、環境問題を含めた分野まで、出前で行っているケースが増えて来ました。その実績がNACSにはあると思います。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会杉本広報委員長 公民館の夏休みの活動ですとか、学校のPTAの夏休みの活動などで、環境問題を子どもさんとお母さんとみんなで考えましょうというところに講師を派遣いたしまして、みんなで考えながら、ディスカッションをしながら、ゲームをしながらということでやっております。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会有山消費者相談・ADR委員長 私どものホームページをごらんになった市役所の関係の方からの要望もあります。私たちは回数を重ねておりますので、ホームページをごらんになった市役所が、うちの市ではこの教育をやってほしいと熱心に依頼されてくることもございます。
あと、親が夏休みの宿題を見る手前のときに何か効果的なものをすると、自由研究の一環として金銭教育みたいなことが反響を呼ぶようなので、いろいろな場合が想定できるのではないかと思っています。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会吉川専務理事 ネット関係ですと非常に低年齢化していますので、消費者教育は小学校ぐらいからしても早すぎることはないし、むしろその方が必要ではないか。早すぎることはないと思います。

○河上委員長 消費者教育推進法がこの間できて、動き始めますけれども、各地域に協議会をつくることが推奨されていますので、そこで具体的にどんなことができるのか、特に「何を教えるか」が大事だと思います。消費者としてちゃんと物を選択したり判断できるように育てると言うけれども、具体的にどういう教材で、どの段階で、どんなことを教えていくかというのは、これは消費者団体の方々の知恵も必要ですし、あるいは弁護士、学校の先生、PTAの方、さらに福祉関係の方々など、みんなで知恵を出し合わないとなかなか難しいことです。消費者委員会としてもずっと消費者教育には関心を持っていますけれども、いろいろとまた相談をさせていただいて、少しでも法律の実効のためにいい方向が探れればというふうに思っております。
ほかにいかがでしょうか。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 2つの点について、御意見を伺えればと思います。
まず第1点目は、地方消費者行政です。全相協の吉川さんをはじめ、御意見のある方に伺えればと思いますが、消費者行政が一元化するという話が出て、実際そのシンボルとして消費者庁・消費者委員会ができて3年たっていますが、最初に話が出ていたころ、それまで地方消費者行政は日が当たらないような状態だったかと思いますけれども、そこに日が当たり、消費者が主役になる社会に向けて、地方において原動力になっていくという大きな期待があったかと思います。実際、3年たった今、地方消費者行政が期待どおり活性化した部分といまだに足踏みしている部分があると思います。まず第1は、そこをどう評価されているかということと、それから、足踏みをしている部分があるとすれば、それをさらに前に進めるためにどんなことが必要か。どんな仕掛け、どんな取組が必要か、御意見があれば伺いたいと思います。

○河上委員長 いかがでしょうか。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会吉川専務理事 消費者行政の一元化のときに、活性化基金は今ある予算の上に積んでするんだよというのが、当時、活性化基金を積まれた最初の基本だったと思います。でも、御存じのように地方自治体は、積むのではなく、その分を減らしたところが大半です。活性化基金ができて相談員の研修とかには使えるので、そういう意味ではいろいろ勉強ができてよかったという部分はありますけれども、活性化基金が去った後、その部分は、予算措置が以前あったものまで減ってしまっているところもたくさんあります。特に消費者問題というのは足が速いというのか、法律が次々と変わりますし、詐欺的商法が次々出てきますし、いろいろな問題が出てくるので、活性化基金がある間だけ研修に行けてよかった、では困ります。
ただ、その部分については消費者庁の方に聞くと、予算的には措置はしていますと言われるのですけれども、その辺のところを是非委員会の方で見ていってほしいということです。それから、活性化基金の使われ方にはいろいろな問題があったと思います。それはいろいろなところで言われていますが、せっかく付いたお金が有意義に使われるべきだと思いますし、例えば効率よく啓発ができたかといいますと、二次被害あるいは劇場型の被害が後を絶たないのは、啓発しても、しても、なかなか被害がなくならない。
例えばサポーターというのか、見守りとかそういうような制度もつくられたのですが、つくっただけではだめで、その後、いかにそれを持続してできるか。例えば地方の行政では、そういうのをつくっても一回きりというか、サポーターとかそういう人を養成しても、あとのフォローができるシステムになっていないということもあります。きめ細かな、それこそ地方消費者行政の見守りを消費者委員会の方でしていただきたいと思います。見守りだけではなく、建議もしていただきたいと思います。

○河上委員長 河野さん、どうぞ。

○全国消費者団体連絡会河野事務局長 地方消費者行政ということですけれども、ここのところ全国消団連でも、さまざま地方の行政、消費者団体が一緒になって、つまり協働ですとか、連携ですとか、そういう取組が少しずつ進んでいるというのを確認しております。先ほど、高齢者の消費トラブル防止というお話もありましたけれども、被害が起きてからというよりは、独居の方でも同居の方でも、高齢者というのは多分寂しい思いを抱えていて、コミュニケーションを求めているところに悪質業者が入り込むということもあると思います。それから、交通手段が不便だったり、過疎化などで高齢者はいわゆる買物弱者にもなりやすいという、基本的にもっと複合的な要因があるのではないか。ただ単にだまされるということではなく、そこに至るまでの心理的背景だとか、生活の背景だとか、そういったことが恐らくあるのではないか。
ですから、確かに活性化基金がなくなりまして大変な状況ですけれども、そういうときこそ、地域の中でさまざまな主体が協働でそういったものに同じ問題意識を持って取り組む、そういうふうな方向に行くのはどうなのだろうかというふうに最近思っております。先ほど、消費者庁、国民生活センター、消費者委員会が連携という話をしましたけれども、地方はもっともっとさまざまな活動主体があります。PTAがあるし、社会福祉協議会もあるし、消費生活センターもあれば、民生・児童委員もあるし、町内会、自治会もある、地域の業者もある、地域の金融機関もある。そういったところが同じ課題を一つテーマに掲げて、複合的な視点で見ていく、そういうアプローチの仕方も今後あるのではないか。確かに活性化基金の問題は大きな問題ですけれども、それ以外にも手法として考え方はあるのではないかというふうに感じています。

○河上委員長 唯根さん、どうぞ。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会唯根総務委員長 相談員の処遇とか、日が当たるかどうかについては、確かに人数は増えたと思いますけれども、それは行政職員の減少との引きかえであるケースが多いというのも耳に入ってきております。それから、基金が終わったときにどうなるかというところについては保証されていない。そういった意味では、消費者庁ができて、国民の、消費者の期待は非常に大きくなって、消費生活センターへのお申出も中身が非常に変わってきていますけれども、行政一般の職員の意識が変わっていないところが、地方消費者行政では問題ではないかというふうに思います。
それから、今、河野さんがおっしゃられたように、東京などの大都市圏では、こうやって消費者団体と相談員というか、省庁や行政の機関との連携が非常に強くなってきていると思いますが、地方では、マンパワーや予算も含めて、広域に散らばっている方たちがどうやって連携を取るかというのが非常に難しいです。ネットや機材についても、ようやく相談員にパソコンの端末が1台ずつ割り当てられたと伺っています。しかしそれをどれだけ皆さんが使いこなせるかという差はまだ大きくあると思いますし、国民生活センターが、90億円の基金予算のうち何十億円とかを返還されたと聞きました。その中身を伺いましたら地方自治体の相談窓口で悩む相談員さんへのベテラン相談員の巡回相談は、自治体からの要請があれば行く仕組みになっていたので、要請がないところに行けなかった。それで予算が使いこなせなかったと聞きました。地方の職員や相談員が基金の使い方というか巡回相談の仕組みを知らず使えなかったというのが事実ではないかと思います。制度の設計の在り方みたいなものについて、今回の3年間の活性化基金の実態・実績をもう一度見直して検討していただいた上で、今後とも地方消費者行政へのバックアップを続けて戴き、消費者団体へのサポートもしていただきたいと思います。

○河上委員長 日本消費者連盟さん、何かございますか。

○特定非営利活動法人日本消費者連盟山浦共同代表運営委員 地方消費者行政については、予算の問題というのが非常にネックですので、地域の産業振興の予算、公共事業に対する予算、これはかなり重点的に増やそうという試みはあると思いますけれども、まだまだ消費者問題に対する認識が十分でないせいか、地方自治体によってはまだ貧弱なところが多い。それから、実際の窓口がどんどん縮小されている状況が厳然としてありますので、これはやはり困ったことだと思っております。この点について是非強力に、もっとこれは拡大しなければいけないということを提案していただいて、国の政策としてこれが反映できるように御尽力いただきたいと思います。

○河上委員長 吉川さん。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会吉川専務理事 先ほど唯根さんもおっしゃられましたように、活性化基金の見直しというか、本当にどれが効果があるお金の使い方だったかということを委員会で検証していただいた上で、必要なものはこういうものだということを提案していただく。まず、この3年間がどうだったのかということの検証を、あちこちで団体などでは言っていますけれども、していただきたい。見直した上で、必要なものは必要だということで提言していただければと思います。

○河上委員長 吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 もう一つの質問です。先ほどの山口委員の質問にも関連しますが、高齢者の消費者被害の防止ということで、大きく2つ対策があるのではないかと思っています。一つは、行政の方でしっかりと隙間がないように、あるいは、不十分なところがあればきちっと組み立ててやっていくということですし、一方で市民サイドの対策というのもあり得るかと思います。先ほど、河野さんに答えをおっしゃっていただいたかなという感じはしていますけれども、地域の中で高齢者をどう見守っていくのか、支えていくのか。もうちょっと言い方を変えると、ちょっと弱い立場にある方を、ちょっと強い立場にある方がどう気遣っていくのかということを広げていくことが、市民サイドの大きな対策かなというふうに思っています。「市民力」と言うのでしょうか、そういうものを使って高齢者の消費者被害を防いでいく取組のアイデアみたいなものがあれば、御意見を伺いたいと思います。

○河上委員長 何か御意見ございますか。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会唯根総務委員長 高齢者の方々、独居や御夫婦だけの方が増えて困っていらっしゃいます。そこにかかわる方々となりますと、医療機関の方々、介護や福祉に関係する方々、こういう方々への消費者教育というか、啓発がやはり大きな効果があります。そういう方々から消費者センターに被害の実態を伝えるというケースも増えております。被害に気づかないとか、御本人が認識できないケースなどを高齢者の周りの人たちが気づいて協力し合って解決する方法もまだまだありますので、この辺を取り組んでいただけたらいいと思います。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
山浦さん、どうぞ。

○特定非営利活動法人日本消費者連盟山浦共同代表運営委員 いろいろなメディアを見ておりますと、特に民放でのコマーシャルが非常に流れているわけですけれども、情報が一方的に大きな事業者から国民に対して出されていくということで、実際のところどうなのかという情報がなかなか我々には届かないということがございます。コマーシャルの仕方について、これだけの量があるなら、それに対応するだけの消費者目線から見た啓蒙を行っていくような枠を必ず設定するとか、かなり強力な、今のメディアの在り方に対する新しい提案もしていって、情報の垂れ流しによって被害を受けることがないように今の在り方を変えていく、構造的な問題もあるのではないかと思います。

○河上委員長 広告・表示の在り方はかなり難しい問題で、消費者委員会でも、例えばインターネットでの表示とか、特定の顧客を相手にしていないものですから、今まではなかなかつかまえにくい部分ではありました。やはり不当勧誘行為の端緒の一つでもありますので、何らかの形で広告に対してメスを入れることは、今後、必要な課題ではないかと認識しております。
もう一つ、山浦さんが御指摘された中で、さっきから少し考えていたのですけれども、例えばTPPの問題とか、脱原発の問題とか、消費税の問題、確かにこれらは消費者問題だなという気はしつつ、他方で非常に政治的・政策的な問題でもある。そういう国民的議論に委ねた方が良いのではないかと思われる大きな課題があります。消費者委員会としてこういう問題にどういうふうに取り組むべきかということは、私も委員長になってからずっと考えることが多く、消費者委員会という小さな枠組みの中で、消費税反対とかそういう話をするのか。それとも、仮に政治的な判断としてある一定の方向が示されることになったときに、それに伴う消費者問題としてありうべきものを指摘しながら、情報開示を求めたり注意喚起をするという辺りで我慢すべきなのかとか、いろいろなことを考えさせられます。山浦さんに、その辺の消費者委員会としての在り方について何か御意見があったら伺いたいのですが、いかがですか。

○特定非営利活動法人日本消費者連盟山浦共同代表運営委員 ありがとうございます。政治的な課題だというふうにおっしゃられましたけれども、私どもとしては超党派の立場で、どの党にサポートするといった形は取らないわけです。選挙についても中立という立場を守っておりまして、いわゆる政治的な発言はしないという建前でやります。
ただ、課題によっては、まさに今おっしゃられた政治的課題になっていて、そこに対して消費者委員会がどういうふうに考えるかということは、私としては非常に期待をしているところです。例えば今の与党の政策に対して、これは問題だという形でもって反対をするのではなくて、事実に即して、「こういうふうな情報が流れているけれども、こういう情報もあるよ」と。そういう事実に基づく反論といいますか、そういった情報提供をすることによって、消費者に考えてもらうというスタンスでやればいいのではないかと思います。例えば消費税の問題につきましても、我々としては、社会保障との一体改革と言うけれども、社会保障は今後どうなるのか。その青写真さえ示されていないのではないか。あるいは、過去の消費税の設定についても、それによって実際のところ景気回復には結びつかなかったとか、そういった過去の反証を事実に基づいて情報を提供するとか、そういうこともあり得ると思います。
TPPについて言えば、推進側の議論がマスメディアで躍っているわけですけれども、慎重な立場の方々の意見とか、反対する人々の意見というものはなかなかメディアにのってこない。それをもう少しバランスをとるように情報が伝わる仕組みを考えていただくとか、そういう冷静な形でもって国民に考えてもらうという提案をすれば、今のメディアにも踊らされなくて済むのではないかと思いますので、その辺はやっていただいた方がいいかなと思います。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 政治的テーマにかかわると思いますけれども、共通番号制度の導入は、個人的には場合によってはしょうがないのではないかと思って、仮に導入された場合、消費者庁所管の個人情報保護制度の中でどうするのか。情報漏えいとかいろいろな問題は、特に政府筋から個人の情報が流れないように対策を講ずるべきではないかということで、原事務局長には3年前から、共通番号制度が導入された場合はどうするのかということを消費者委員会で取り上げてやるべきではないか、ということを繰り返し言ってきました。
ところが、逆に原さんの方が非常に慎重だったのですが、これを消費者委員会でやり出すと、制度が導入されることを前提にどうするのかということになります。だから、非常に取り上げ方は難しい。共通番号制度反対という意見もありますから。本決まりになったときに、消費者委員会でプライバシー保護のために何かやるかといったら、遅いのかもしれないし、かといって余り早めに舞台を設けて共通番号制度導入が前提の議論をし始めると、既成事実化してしまうことになりかねません。だから、その取り組み方というのは非常に難しいなということを、共通番号制度一つとっても思います。今も思っています。

○河上委員長 消費者委員会の中立性といいますか、そういうものを確保しながら、なおかつ、消費者にとってプラスになる情報提供の仕方というのを工夫しないといけなくて、その辺については、また、工夫をどんどんしていきたいと思います。
だいぶ時間が来てしまいましたけれども、この際、御発言がございましたら、いかがですか。よろしいですか。
それでは、特にまとめるまでもございませんけれども、皆様からいただいた御意見はそれぞれ大変貴重な御意見で、有難く受けたまわりました。何より、今ここに来られている消費者団体の皆さんの活動ぶりにまずは敬意を表したいと思います。日ごろの現場でのいろいろな活動がどれぐらい日本の消費者政策を進めているかということを改めて実感致しました。皆様方の現場での情報が消費者委員会にうまくつながって、消費者委員会での意見の形成にも役に立つことになりますので、こうした意見交換の場を今後とも続けてやっていきたいと思います。
いただいた意見の中で、幾つか共通していたものがあります。例えば消費者庁と国民生活センターとこの委員会と、うまく役割分担をして連携すべきは連携してやってほしいということは、おっしゃるとおりでして、特に東電の例で、どうも二重行政になってしまったのではないかとか、審査会が両方できて似たような意見を発信していたのではないかというようなことはあったかもしれません。これは実は、消費者委員会と消費者庁とではかなり連携したプレーだったということを御理解いただければと思います。消費者委員会では最初に公共料金全般についていろいろな提言を出して、それを具体的に基準化していくのに消費者庁がやってというようなことで、消費者担当大臣が一定の発言をするまでの間に双方が情報を共有しながらやったというものなのです。
ただ、東電の値上げの当否そのものは、消費者委員会としては、諮問に対する答えですから、消費者庁に対してものを言うことはできたのですが、ほかのところにはなかなか言えないという側面があった。最初は手続の面だけを中心にやろうと思ったのですが、いざやってみるとやはり具体的な中身に入らざるを得なくなって、両方が似たような作業をする結果になったというわけです。将来、同じような問題が生じたときについて、消費者庁とはやり方を工夫しましょうという話をしているところです。今後の役割分担についても、事務的にも少し工夫したいと思っています。
それから、消費者委員会の活動の「見える化」は皆さん口をそろえておっしゃっておられます。消費者委員会は何を考えているかよくわからないとか、次に何をやるのかということについて、もっと見える化しなさいということを言われております。先ほど、事務局長からも話があったように、インターネットのホームページの改善とかもやっておりますが、それ以外にも、地方に出かけていって話をするとか、場合によっては消費者委員会でニュースレターのようなものをつくって、定期的に皆様の団体に発信できるようなこともできればいいなと思います。その辺は更に工夫をして、今、消費者委員会でどんなことをやっているか、中長期にどんなことをやろうとしているか、という情報を定期的にお知らせできるような体制を検討してみたいと思います。
委員会の事務局機能の強化は、これは委員会だけが願っていてもなかなかうまくいきません。予算の話もありまして、今、全体に予算が厳しいので難しいことですけれども、一生懸命要求をして、ほかのところからも力をいただきたいと思っております。事務局だけでは対応できなくても、消費者団体の方々に一定の助力をお願いして、例えば情報について提供をいただいたりということもできると思いますので、また、いろいろな形でお力添えをいただければありがたいと思います。
皆様からほかに幾つも御意見をいただきましたけれども、本日いただいた御意見につきましては、今後の委員会の運営に対する改善の資料として、大いに参考にさせていただきたいと思います。きょうは本当にありがとうございました。

≪3.閉会≫

○河上委員長 以上で意見交換会を終わりにさせていただきます。いつでも御意見は頂戴いたしますが、また、機会を見てこういう会を開きたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、これで閉会とさせていただきます。

(以上)