第54回 消費者委員会 議事録

日時

2011年5月20日(金)15:00~17:15

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、
 佐野委員、下谷内委員、日和佐委員、山口委員
【説明者】
 消費者庁  黒田政策調整課長、相本食品表示課長
 警察庁  世取山生活安全局生活経済対策管理官
刑事局組織犯罪対策部犯罪収益移転防止管理官付担当者
 金融庁  小林総務企画局市場課市場機能強化室長
尾崎総務企画局市場課企画官
大谷総務企画局企業開示課課長補佐
栗田監督局証券課長
其田証券取引等監視委員会証券検査課長
 農林水産省  光吉消費・安全局表示・規格課長
 消費者庁  林地方協力課長
 独立行政法人国民生活センター  日下部総務部企画調整課長
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.消費者基本計画の検証・評価・監視について
○説明者: 消費者庁 黒田政策調整課長、相本食品表示課長
警察庁 世取山生活安全局生活経済対策管理官 他
金融庁 小林総務企画局市場課市場機能強化室長
尾崎総務企画局市場課企画官
大谷総務企画局企業開示課課長補佐
栗田監督局証券課長
其田証券取引等監視委員会証券検査課長
農林水産省 光吉消費・安全局表示・規格課長
3.国民生活センターの在り方について
○説明者: 消費者庁 林地方協力課長
独立行政法人国民生活センター 日下部総務部企画調整課長
4.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:8KB)
【資料1】 消費者基本計画の検証・評価・監視にかかるヒアリング対象施策及びヒアリング項目について 【資料2】 消費者基本計画(施策番号60)関連資料(消費者庁提出資料)
(資料2-3) 実例で学ぶ「未公開株」等被害にあわないためのガイドブック
【資料3】 消費者基本計画(施策番号60)関連資料(警察庁提出資料)
(資料3-2) ニッポン消費者新聞 平成23年5月1日(日)
【資料4】 消費者基本計画(施策番号60・62)関連資料(金融庁提出資料)(PDF形式:542KB)
【資料5】 消費者基本計画(施策番号27)関連資料(農林水産省提出資料)(PDF形式:21KB)
【資料6】 消費者基本計画(施策番号69)関連資料(消費者庁提出資料)(PDF形式:346KB)
【資料7】 国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース関連資料(消費者庁提出資料)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第54回)」の会合を開催いたします。
それでは、委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○松本委員長 それでは、議題に入ります。
本日は、まず初めに、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」です。消費者基本計画の検証・評価・監視につきましては、重点施策に関する昨年度の実施状況について前回からヒアリングを行っているところでありますが、本日はその第2回目として、資料1-1にありますように、高齢化社会における消費者問題への対応に関連する施策である60番・62番、食の安全確保のための効果的な規制に関連する施策である27番、食品表示の一元化に関する69番について、それぞれ関係省庁においでいただいておりますので、ヒアリングを行いたいと思います。
ヒアリングの進め方といたしましては、初めに60番・62番について、これは関連する施策でありますので、併せて御説明いただき、その後、質疑を行います。引き続き、27番について説明、質疑を行い、最後に69番について同様に行いたいと思います。
なお、資料1-2にありますように、一部の施策につきましては委員会で更にお伺いしたい内容をヒアリング項目としてまとめまして、あらかじめ各省庁にお伝えしておりますので、これも含めまして御説明をいただきたいと思います。
そこで、まず初めに60番・62番の施策についてですが、本日は関係省庁として、消費者庁、警察庁、金融庁においでいただいております。
それでは、どうぞ御説明をお願いいたします。

○消費者庁黒田政策調整課長 消費者庁政策調整課長、黒田と申します。
最初に資料2-1に沿いながら説明させていただきたいと思います。主に消費者被害の部分についてですけれども、「現状」ということで、未公開株の相談件数、公社債の相談件数、ファンド型投資商品、これは2009年から、今までは「その他」という感じでくくっていたものを新しくキーワードとしてとるようになったものです。これらについて件数を見ております。残念ながら、2010年度は件数で見れば上昇しておりまして、未公開株から公社債、更にファンド型投資商品にだんだん相談件数がシフトしているという状況にございます。
ただ、中身をもう少し見ますと、2009年度の段階では、例えば未公開株の相談件数6,114件のうち、実際にお金を支払ってしまった方の相談件数がそれぞれ6割弱ぐらいあります。公社債についても同様です。表の下に行くに従って払ってしまったという数字が上がっていて、ファンド型投資商品では6割少しぐらいになります。
実際にお金を払ってしまったという相談の方についての水準を見ますと、例えば未公開株の相談件数で具体例を言いますと、2009年度では3,432件が1円以上お金を支払った。この6,114件のうちの3,432件はお金を払ってしまった。56.1%ですけれども、件数で見ますと、2010年はその数字が3,873、45.9%ということで、件数は増えてしまっているのですが、相談件数に占めるお金を払ってしまったものについては多少減っているという状況です。何かおかしいと思ったら相談に来てくれる人が増えているのではないかというふうに思います。この傾向については公社債についても同様の傾向ですし、これも5割を切っております。ファンド型投資商品についても、先ほど申し上げた6割を少し超えているのが、5割を少し越えたぐらいの数字で、比率がそれぞれ下がっております。
更に2011年度は、件数は登録の関係もあるので、まだ何とも言いようがないのですけれども、1か月半ぐらいしかなくて、実際これから登録されてくる件数も多いと思いますが、498とか、532とか、612の中に占める、実際にお金を支払ってしまったという相談件数はそれぞれ3割台になっていまして、多少傾向は変わってきております。いずれにせよ、件数自体で見れば増えておりますので、引き続きしっかりやっていかなければいけないと認識しております。
2ページ目をめくっていただきますと、これまで取り組んできた取組み状況です。個別の中身については、後ほど各関係省庁から説明があると思いますけれども、昨年3月に、新たな手口による詐欺的商法に関する対策チームで対応策をまとめた内容に従って書いております。大きく3つございまして、情報集約から取締りまでを一貫的かつ迅速に行う体制を構築する。消費者の方々に注意喚起・普及啓発を強化する。更に、制度の運用・整備の在り方も引き続き検討するということですけれども、情報集約・共有については、これまで行ってきたPIO-NETの早期入力、データの共有について記してあるとおりでございます。
業者への対応について申しますと、金融庁、消費者庁、警察庁それぞれ取組みを強化しておりまして、個別の事業者に対して社名を公表したり、社名公表を伴う消費者への注意喚起を行ったり、検挙等が行われているということでございます。
マル3は注意喚起・普及啓発ということで、ポスター、リーフレットの配付、連名なり、あと、政府広報を活用していろいろな注意喚起を行っておりますし、ガイドブックを作成し配る。今年の2月には、資料2-4ですけれども、全国で3,000万部の新聞折込み広告を入れて配付いたしております。
制度の運用・整備の在り方については、後ほど説明があると思いますが、金融庁さんの方で取り組んでいるということでございます。
以上、簡単ではございますが、消費者庁としての全般的な説明は終わります。

○警察庁世取山生活安全局生活経済対策管理官 警察庁の世取山でございます。よろしくお願いいたします。警察庁関係について御説明を申し上げます。
まず、被疑者の検挙でございますが、未公開株、社債の取引を装った利殖勧誘事犯につきましては、平成22年は、合計して9事件で43名の被疑者を検挙しております。集団投資スキームファンド関係では14事件で51名。これは年でございます。それから、イラクディナールの取引を装うものについては1事件で被疑者8名を検挙しております。なお、年度ではなく年で計算している関係で、本年に入りましての数字を申し上げますと、未公開株、社債関係では既に7事件で被疑者32名を検挙。集団投資スキーム関係では4事件で被疑者13名を検挙しているところでございます。
また、被疑者の検挙に合わせまして、警察において、また関係機関の御協力をいただいて、犯罪利用口座の凍結のための金融機関への情報提供、これは昨年以降、特に力を入れて行ってきております。警察におきましては、私のところが直接所掌している生活経済事犯関係で、前年比プラス37.5%増の、1万4,884件の疑わしい口座に関する情報を金融機関に提供しております。これに加えて振り込め詐欺関係で7,805件の情報提供をしておりますので、合計して、昨年、全国で警察から2万2,689件の情報提供を行っているということでございます。
また、警察の耳に入る話というのは一定の限度がありますから、関係機関にもこの情報提供をしていただくようにお願いをしております。資料3-1にありますとおり、犯罪対策閣僚会議のもとの「消費生活侵害事犯対策ワーキングチーム」におきまして、昨年6月18日に犯罪利用口座の凍結のための情報提供を徹底するという申し合わせを行い、これは当然、犯罪対策閣僚会議に報告されておりますが、その下で行っている。また、各種会議におきまして、各行政機関から、犯罪利用口座を認知した場合には情報提供を行っていただくようお願いをしてきたところでございます。その中身の趣旨は資料3-2に記載のとおりでございます。
また、こういった被疑者の検挙、犯罪利用口座の凍結をするに当たって、もととなる情報がたくさん素早く寄せられるに越したことはないという観点から、関係機関に寄せられた各種相談情報のうち犯罪被害が疑われるものについて、情報提供の呼びかけを行ってきたところでございます。警察に寄せられる情報は、例えば消費生活センターに寄せられるものと比べると、残念ながら、一般的には遅く少ない傾向があるということでございます。我々は、PIO-NET検索をしておりますが、各消費生活センターにおいては、入力までに数週間から1か月かかっているようでございまして、そこから消費生活センターに、この相談をした人が警察に協力をするかどうかということの意思確認をしていただいて、首尾よく協力しますというふうに言っていただいた場合であっても、結局、その方がもともと消費生活センターに御相談してから警察がその方に聴取できるまで1か月以上は軽くかかってしまうことがざらにあり、その間に被害が拡大しかねないわけであります。
こういう懸念を抱きまして、私どもとしては、まず、それぞれの一義的に相談を受けた機関が、相談を受けた段階で犯罪の可能性がある、犯罪被害の可能性があるということをお感じになった場合には、御本人に警察の聴取に応じるかどうかという意思確認をその段階でしていただく。協力意思を示された相談者の方の場合には、その方のお名前、連絡先等をその段階で警察に教えていただくということをお願いいたしまして、例えば日本証券業協会からは非常にたくさんの有益な情報が寄せられている。それから、今年の4月からは、金融庁の金融サービス利用者相談室に寄せられたその種の相談情報についても、類似の取組みを始めていただいている。ただいま、消費者庁にも類似のお願いをしているところでございます。この相談窓口を強化して、関係省庁間で情報共有するというのは、犯罪対策閣僚会議、平成20年12月の行動計画にも盛り込まれている内容でございますので、今後、更にこの取組みを進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。

○金融庁其田証券取引等監視委員会証券検査課長 証券取引等監視委員会の其田でございます。
私から施策62の御説明をさせていただきます。資料で言いますと、資料4の束の中の4-10で、通し番号の22ページになります。まず、施策62で取り上げられている金商法192条の申立てについて、もう一度仕組みを簡単に御説明いたします。
右下に違反行為者がいます。これは金商法の違反行為者ということで、典型的には、無登録で未公開株あるいはファンドを売っている業者ということになります。これを、左側におります我々証券取引等監視委員会が調査により違反行為を見つける。その行為に禁止の命令を出してくださいということで裁判所に申立てをする。裁判所が審問という手続を経ましてこの違反行為者に禁止命令を出す。禁止命令を出すと、その効果として、命令が出た後も同じような無登録での未公開株の販売等を行った場合は、法人であれば最高3億円までの罰金が科せられる、こういうシステムです。
次の23ページ、4-11をご覧ください。今まで、私どもがこの権限を行使いたしまして裁判所に申立てを行いましたのは3件となっております。前回、昨年11月のヒアリングの時点では、1番目の大経という無登録で未公開株を売っていた会社に対して、東京地裁にまさに申立てを行ったというところまででございましたけれども、その後、申立てどおり命令が東京地裁から出されております。
その直後になりますけれども、2番目の生物化学研究所。ここは、実は1番目の大経という会社が売っていた未公開株を発行していた会社であります。山梨県にあるサプリメントなどをつくっている会社ですけれども、資金繰りが苦しくなって何回も増資を行って、その販売を大経にも頼んでいたし、自分でも売っていたということです。この会社については、有価証券届出書というディスクロージャーの書類を出さないままに募集をしていたという金商法違反行為をしていました。この会社は山梨県にありましたので、甲府地裁に申立てをさせていただきまして、これも申立てどおり命令が出されています。この1番と2番は、総額1億円程度の資金を100名弱の投資家から集めていたという事案でございました。
つい最近行いましたのは、3番目のジャパンリアライズということで、これは札幌市にある会社です。これは全くの無登録業者ではなく、届出業者というステータスを持っておりまして、いわゆるプロ向けファンドを扱う業者ということだったのですが、実際には個人相手の営業をしており、届出で限定されている範囲を超えて広く個人投資家からお金を集めていた。都合6億円ぐらいのお金を集めておりましたけれども、これは、我々の検査官が札幌まで行きまして、現地の財務局の検査官と一緒に調査を行いました。その時点でも、また新しいファンドを販売しようとしていましたので、急いで申立てを札幌地裁に行っております。その結果、今月の13日にこの会社に対しても禁止命令が出されたということでございます。
我々証券取引等監視委員会といたしましては、この権限をできるだけ効率的・効果的に使っていくということで、首都圏だけでなく地方にも詐欺的営業を行っている業者がおりますので、今後とも、この権限をしっかり行使して投資家保護に努めてまいりたいと思っております。
以上です。

○金融庁小林総務企画局市場課市場機能強化室長 金融庁市場課の小林と申します。
質問事項に順次お答えいたしますけれども、まず、今日、委員会から配付いただいているヒアリング項目についてという中で触れていただいております、金商法の改正案でございます。先般、5月17日に国会で成立してございます。ヒアリング資料の中でも御指摘いただいておりますけれども、消費者委員会の提言を受けてまとめたものでございます。国会でもお通しいただいたものでございますので、今後、これらの制度整備が着実に実施されるように、金融庁としても尽力してまいりたいと思っております。
それでは、資料1-2のQ2というところでございます。「自社の未公開株や社債を発行会社自らが売る場合や、その会社から受託している勧誘業者が売る場合の規制はどうなるか」という御質問でございますが、未公開株や社債を発行会社自ら売る場合については、金商法上の業登録は不要とされてございます。これらが金商業に当たるとしますと、発行者の円滑な資金調達を阻害することになる。また、我が国経済社会全体の発展にマイナスの影響を及ぼすおそれがあるということでございます。
ちなみに、今般、整備された民事ルール上の扱いでございますが、この民事ルールは無登録業者による未公開株等の販売という行為に着目したものでございますので、そもそも業登録が不要な行為についてはこの対象にはなっていないところでございます。
他方、未公開株、社債について、発行会社から受託した無登録業者が売りつけを行う場合でございますが、これは無登録業罪として罰則の対象となります。5年以下の懲役、500万以下の罰金ということでございます。また、民事ルール上も、受託会社の行為は発行会社による自己募集を側面から支援をするという行為であり、募集の取扱いというものに該当いたしますので、民事ルールの対象になる。したがって、原則無効となる行為の対象になるということでございます。
また、受託会社の行為でございますが、金商法違反の無登録業ということでございますので、証券取引等監視委員会等の申立てによりまして、裁判所による当該行為の禁止あるいは差止命令の対象となるということでございます。このような規制が及ぶことになってございます。

○金融庁尾崎総務企画局市場課企画官 金融庁市場課の尾崎と申します。
続きまして、資料1-2のQ3「投資ファンドの販売にあたって、プロが加わっているとして、一般消費者、特に高齢者に対し、あたかも利得確実な商品と勧誘・販売して被害が生じている。プロ・アマの規制の見直しは考えられないか」といった御質問です。
金融商品取引法におきましては、組合ファンドの運用、販売を行うには、原則として投資運用業、または第2種金融商品取引業の登録が必要ということになっておりますが、1名以上の適格機関投資家と49名以下の一般投資家を相手とする場合には、専門的知識や経験を有する適格機関投資家のチェックによる業務の適切な運営が確保されるということから、届出のみで組合ファンドの運用やその持ち分の販売を行うことが可能となっております。これを「適格機関投資家等特例業務」というふうに金商法の中では呼んでおります。
他方、最近、御指摘のありましたように、このような組合ファンドにおきまして、適格機関投資家等の出資等に係る要件が満たされておらず、適格機関投資家のチェックが十分に行われていないといったことから、悪質業者が投資家の被害をもたらしているといった事例が見つかっているということは我々もよく認識しております。
こうした実態を踏まえまして、先ほどお話がありましたように、証券取引等監視委員会におきましては、平成23年度の「証券検査基本方針」におきまして、重点検証分野といたしまして、適格機関投資家等特例業務届出者を含むファンド業者につきまして、引き続きリスクベースでの検査対象先を選定し、業務運営の適切性を含む法令遵守状況の検証を行うことにしているほか、監督当局におきましても、苦情や国民生活センターの情報等を端緒に報告徴求を行い、問題がある場合には警告書を発するといったような対応を行っていきたいと考えております。
更に、今般の金商法等の改正におきまして、適格機関投資家等特例業務の制度本来の趣旨であります、適格機関投資家のチェックを通じた業務の適切な運営を確保するという観点から、このファンドの相手方となります適格機関投資家に係る届出事項を追加することができる制度整備を行っているところでございまして、制度の詳細につきましては、今後、策定いたします内閣府令の中で検討していきたいと考えております。
質問の中にありますプロ・アマの規制の見直しというのは、恐らくこのような組合ファンドに出資できる投資家の範囲をもっと限定すべきではないかという御趣旨かと思いますけれども、この制度につきましては、ベンチャーファンド等の中には、有志が集まってこの制度を利用して資金調達をしているといった例が多々ありますことから、投資家の範囲を単純に限定するといった見直しに関しては、少し慎重に考えるべきではないかと考えております。いずれにいたしましても、今回の制度改正等を含めて、こういった問題について対処していきたいというふうに考えております。

○金融庁小林総務企画局市場課市場機能強化室長 資料1-2のQ4でございますが、「不招請勧誘禁止を元本割れのリスクのあるすべての金融商品に順次拡大していくことを検討するべきではないか」という御指摘でございます。金融庁といたしましては、不招請勧誘規制につきまして、個人顧客を相手方として行う店頭デリバティブ取引全般について対象に追加したところでございます。これは、金商法の政府令を改正いたしまして、今年の4月1日から施行しているところでございます。
「不招請勧誘規制の対象範囲を元本割れのリスクのあるすべての商品に拡大する」ということにつきましては、業者の営業の自由を制限する面があるだけでなく、利用者の立場から見ても、新たな金融商品、サービスへの自由なアクセスを制限する面がある点に留意が必要という指摘もございます。慎重に検討すべきであるというふうに考えてございます。
なお、金商業者に対しましては「適合性の原則」というのがございます。顧客の知識、経験、財産の状況、契約を締結する目的に照らしまして、適切に勧誘・説明が行われることが義務づけられております。金融庁といたしましては、適合性の原則にのっとった適切な勧誘・説明が行われることが重要と考えてございまして、金商業者の取組みや苦情の状況等について今後とも注視してまいりたいと考えております。

○警察庁世取山生活安全局生活経済対策管理官 警察庁の世取山でございますけれども、5番の関係で若干一言申し上げますと、犯行ツールの問題で、犯罪利用口座も犯行ツールの最たるものでございます。それについては先ほど申し上げたとおりでございますが、種々雑多なものがございますので、それぞれの主管官庁にお尋ねいただくのが最も正確かつ適切であろうと考えているところでございますけれども、当庁の関係では、犯罪収益移転防止法の関係で各種対策を講じておりますので、担当者から若干御説明を申し上げたいと思います。

○警察庁刑事局組織犯罪対策部犯罪収益移転防止管理官付担当者 それでは、犯罪収益移転防止法について御紹介いたしたいと思います。
犯罪収益移転防止法というのは、平成19年に制定されましたマネーロンダリング対策のための法律であります。マネーロンダリングに利用されるおそれのある事業者、典型的には金融機関とかそういうものですけれども、こういった事業者に対しまして、まず、顧客と取引を行う際に顧客の本人確認を行うこと。確認した事項について記録を作成して、それを保存すること。更に、その取引がマネーロンダリングに利用されていると疑われる場合、例えば金融機関でしたら金融庁、こういったようにそれぞれの所管行政庁に対して届け出ることを義務づける、そういう内容になっております。
今回の関係で申しますと、バーチャルオフィスの一類型と考えられております郵便物受け取りサービス業者、いわゆる私設私書箱です。そういった業者ですとか、電話受付代行業者、秘書代行、電話を顧客の代わりに受けてその内容を顧客に伝えるというサービスですけれども、こういった事業者が、法の成立のときからこの法律の対象の事業者として位置づけられておりまして、顧客の本人確認義務ですとか、その記録の作成保存義務ですとか、それがマネーロンダリングに使われている疑いがある場合は、その疑わしい取引を届け出る義務がこうした業者に課せられております。したがいまして、仮にこうした業者を利用してマネーロンダリングの犯罪が行われた場合には、捜査機関において犯人を追跡することが可能となっております。
また、今般、この法律の一部改正法が4月27日に成立しております。改正の内容は、近年、振り込め詐欺に多く利用されている実態がありました電話転送サービス事業者を、この法律の対象事業者に加えることなどでございます。電話転送サービス事業者も、既にこの法律の対象とされていました秘書代行と同じようにバーチャルオフィスの一類型と考えられます。この法律が施行されれば、施行は公布から2年後ということになっておりますけれども、こうした事業者を利用したマネーロンダリングについても、後から犯人を追跡することが可能になるというふうに考えております。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの一連の報告につきまして、御質問、御意見がございましたら、お出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 たびたび御説明いただきまして、ありがとうございます。着実に成果を上げていただいている様子もありまして、本当に感謝申し上げます。特に、先ほど証券取引等監視委員会から御説明がありましたけれども、この差し止めにつきましては、単に事業者だけではなく、その役員、個々人も対象にしていただきました。それから、当該証券だけではなく、幅広い、それこそ犯罪行為のツールになりそうなものすべてを包含した行為の差し止めという枠組で制度改正をしていただいて、それが裁判所の判断として認められていることは今後のためにも大きな成果になっているかと思います。今後ともよろしくお願いします。
なお、幾つかございますので、簡単にでも御説明いただければと思います。まず、先ほど市場機能強化室からのお話でもありましたが、自社発行の未公開株あるいは社債の形をとるものについての規制です。現状、どういう手口がはびこっているかといいますと、有象無象とも言っていいと思いますが、偽名だったり仮名だったりする勧誘会社、あるいは勧誘担当の個人が、カモリストに出ているおじいちゃん、おばあちゃんにひっきりなしに電話をかけてくるわけです。例えば山口商事はいいですよ、山口商事はいいですよ、今、山口商事伸びていますよ、山口商事お持ちですが、山口商事の株を3倍で買えます、山口商事を5倍で買えます、山口商事10倍で買えますということで、ひっきりなしに電話がかかってくるのです。そうすると、山口商事というのは相当いい会社らしいなというふうに頭にインプットされたところで、山口商事からバンッとパンフレットが、株式購入申込書とともに送られてくるわけです。そうすると、そのじいちゃん、ばあちゃんはその気になって電話してしまって、ひっかかってしまう。
この種の劇場型の手口がはびこっておりまして、この辺はまさにすき間をねらって特定の集団がやっているわけだと思いますが、これを断定的に、いや、これは対処は無理ですと言われてしまうと、ますます彼らはやりかねないと思うので、何らかの形でこの辺についての工夫も、勿論、受託会社としての罰則、あるいは民事行為の問題はコメントをいただきましたけれども、もう少し何か工夫ができないかなというところについてお話をいただければと思います。
2番目は、これは恐らく消費者庁の方で少し工夫いただければというところだと思いますが、ひっかかった自社株、有価証券の発行会社、あるいは勧誘会社の謄本を取りますと、住所を転々としたような正体不明の若者とか、戸籍も乱れている人物が代表取締役になっている。つまり、名ばかり代表取締役なのです。それで、この人を相手してもしょうがないと思って、わざわざ法務局に登記原因証書を調べに行きますと、取締役は印鑑証明を誰も出していなかったりするわけです。要するに取締役の住所がわからないのです。あるいは外国人だと印鑑証明も必要ないわけですから、つまり、具体的な加害者が特定できないわけです。法務局の登記原因証書、要するに会社の設立の書類を見ても、犯行者あるいは責任者が特定できないという実情があるわけです。
これは、いわゆる会社設立を安易にして、経済活動の活性化をねらった形で登記実務が簡易化されたものだと思いますが、簡易化し過ぎて、これを悪用して要するに責任追及がしにくくなっているという実情があります。そこで、これは少し消費者庁の方で音頭を取って法務省や警察庁と協議して、登記実務をちょっと変えればだいぶ違うと思います。最初から責任を免れるつもりで会社を設立して彼らはやっていますので、その辺は少し協議していただけないかなというのが一つです。
もう一つは、ファンドの関係です。これは簡単にお聞きしますが、ファンドの届出をしたからといって決して安心ではないということは、消費者もだいぶわかってきていると思いますが、届出だけされていて、その後、金融庁からの書類が届かないという、それこそ名ばかりファンドといいますか、名ばかり届出というのがどの程度あるのかというのはどの程度お調べになっているのか。その辺がもし実態がわかれば、教えていただければと思います。かなりファンドの被害が増えていますので、その辺はちょっと注意していただく必要があるのではないか。
最後、警察の方にお聞きしたいのですが、転送電話の関係を対象にしたというのは一歩前進だと思いますが、先般、総務省にお聞きしたところ、リース電話やIP電話については警察からもそんなに話がないし、大した被害のツールになっているように認識がないのだけれども、というお話です。実態として、弁護士の方では、IP電話やリース電話がツールに使われているのではないかという認識があるのですが、もし警察の方でもそういう認識であれば、総務省の方は大したことないというふうに誤解されているようなので、その辺はどういうふうに考えたらいいのか。
以上です。

○松本委員長 では、順次お願いいたします。

○金融庁小林総務企画局市場課市場機能強化室長 1つ目の未公開株等を発行会社が自ら売る、推奨する電話がかかってくるという場合でございますが、先ほど申しましたように、無登録業者による販売行為ということで、これは業登録が必要であるけれども、していない。そういう行為については民事ルールの対象にするという御説明をいたしました。山口委員からの御指摘でございますが、発行会社から何らかの依頼があった場合には、これは受託会社として民事ルールの対象になると思いますが、あくまで適法な、発行会社自ら販売しているだけの行為については、ルールの適用対象にはならないということでございます。制度をつくる上で苦心した点ではございますが、やはりそこは、若干乗り越えられない部分があるのかなというふうに思っております。

○消費者庁黒田政策調整課長 山口委員の御指摘につきまして、具体的にどういう検討をすればいいのか、勉強したいと思いますので、是非一度、具体的にお話を、お時間をまた別途いただきましてお伺いさせていただければと思います。

○金融庁栗田監督局証券課長 名ばかり届出業者がどれぐらいあるかというお話でございますが、金融庁のホームページで開示しております届出業者の一覧表には備考がありまして、例えば報告徴求命令を出したけれども、それに届かなかったという事態があった場合には、そういう事項を付記しております。要するにその人たちはそこにはいないということがわかるようになっているのですが、その数が幾つかというのは、数えればわかりますので、後で御報告させていただきたいと思います。

○警察庁世取山生活安全局生活経済対策管理官 リース電話、IP電話の関係についてのお尋ねでございますけれども、当庁の中ではこれは、この種の利殖勧誘事犯だけではなく、組織犯罪、外国人犯罪、あるいは振り込め詐欺の対策を横断的に行うために各種犯罪インフラの対策を進める、そういう検討会を設置しております。そこで直接私が担当しているわけではございませんけれども、担当者において、しかるべく犯罪に使われているツールについては、主管官庁と協議を進めているものと理解しておりますが、詳細についてはこの場で把握しているわけではございませんので、改めて確認の上、御説明をさせていただく形にしたいと思います。

○松本委員長 ほかに、御意見、御質問ございませんでしょうか。
下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 御説明ありがとうございました。相談を受けている者からいたしましては、高齢者の問題と不招請勧誘につきまして、先ほど、「元本割れリスクのあるすべて」というのは、すべてについては非常に難しいということをおっしゃられましたが、実際に被害に遭っている人たちは全くわかりません。ただ、今回、店頭の個人取引の顧客におきましてデリバティブの不招請勧誘が入ったことに対しては、非常にありがたいと思っております。やはりこの「すべて」ということに対して、もう少し御検討いただきたいというのが1点ございます。
それから、一つお伺いしたいのですが、警察庁さんが先ほどおっしゃられた中で、PIO-NETの入力が遅いということが1点と、それから、証券業協会さんと金融庁さんの相談室からは、危ないなと思ったものに対して情報提供があるということでしたが、例えば消費生活センターだとか、PIO-NETに関して、それをご覧になるだけなのでしょうか。それとも、そういうものも含めて、証券業協会さんたちが届けていらっしゃるようなものを消費者庁にも申入れをされまして、そこから、同じようなものがないかとか、そういう検討の仕方というのはないのでしょうか。現場にいるときは、よく警察の方が、「こういう情報が入ったけれども、おたくにありますか」というお問い合わせがあったのです。それは勿論、行政の中で、御相談者の方にお伺いして協力できるということであれば、協力しますとありまして、PIO-NETに入る前でもそういうような体制が十分とれておりましたのですが、そういうことはお考えになられたことはないのでしょうか。

○金融庁小林総務企画局市場課市場機能強化室長 不招請勧誘規制をできるだけ順次拡大していくべきだという御指摘については、御趣旨は承りました。やはり被害状況が深刻である、その他の状況を勘案して、検討する必要があろうかと思います。証券取引等監視委員会、監督局、あるいは警察庁、消費者庁、諸方面との連携を踏まえた上で所要の検討をしていきたいと思っております。

○警察庁世取山生活安全局生活経済対策管理官 警察におけるそういった情報の取扱いでございますけれども、勿論、都道府県警察と、それぞれ対応する都道府県の知事部局、消費生活センターですが、そこではかなり柔軟な協力関係、つまり、PIO-NETに入力される前であってももし御協力をいただけるのであれば、その辺の情報提供というのはいただいているところもあるという現状だと思います。先ほど私が申し上げたのは、他方、警察に寄せられる情報が必ずしも多くないものですから、できるだけ私どもとしては能動的におよそ知り得る犯罪情報をすべてかき集めて、それを取締りなり口座凍結に生かしていこうと。こういう取組みの一環としてPIO-NETを正直なところ毎日拝見しております。
そうした中で、実は毎日見ていてわかるのは、4月の下旬ぐらいの情報が例えば今日ポコッと入る。今日初めて見られる状況がある。そうすると、既に1か月近くたっていて、当然、御本人の承諾が必要ですから、消費生活センターに地元県警が出かけていって、この人の話を伺いたいんだけれどもというふうにやっていると、時間がたって、その間に被害が拡大してしまう。それでは警察の取組みとしても非常に歯がゆいところがあるので、相談を受けた段階で、その御本人の意思確認をしていただいた上で、行政機関の側から我々に情報提供をいただければ、その1か月間のギャップがかなり縮められるのではないかということで、日本証券業協会あるいは金融庁にお願いをして、実際にホヤホヤの情報をいただくように始めたわけでございます。同様のことを消費者庁にもお願いしている、そういう現状でございます。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 関連して、消費者庁からの先ほどの説明で、資料2-1の2ページ目、黒マルの3つ目に、「国民生活センターで事業者の名寄せを実施。8回にわたり、警察庁、金融庁に約3,200事業者分の名寄せ情報を提供」、こういう取組みをしておられるという報告でしたが、今の警察庁の話だと、これは余り役に立っていないのですか、率直に言うと。もう少し工夫する必要があるなら、どういうふうに工夫したら役に立つのか、その辺も少し御指摘いただければと思います。

○消費者庁黒田政策調整課長 当初は、どういう事業者が全国で多いかということをまずは把握しようという要素もあったので、事業者で名寄せするというのを主に、といいますか、名寄せするというところがまず一つの目的ではあったのですけれども、確かに今、個別事業者に行くというフェーズで、かつ、情報が蓄積してくると大体わかってきているものですから、今、世取山さんから話があったような形で、まさに今、工夫しようという段階でございます。

○警察庁世取山生活安全局生活経済対策管理官 今、御説明のとおりですが、警察がアクションを起こす場合に、特に刑事手続に入る場合には、どなたか、残念ながら被害に遭われた方が、こういう被害に遭ったというお話を証拠化して、それに立脚していろいろなアクションを進めていくという形をとらざるを得ないものですから、何となくこの業者がいろいろ苦情が多いよという話をたくさんいただいても、なかなか使いにくい部分がある。やはり具体的にそういうことをおっしゃっている方から直接お話を聞いて、それを証拠化するということをできるだけ早くしたいという観点から、できれば相談窓口において相談者の御意向を確認していただいて、迅速に情報提供をお願いしたいということを始めたわけでございます。

○金融庁栗田監督局証券課長 先ほどの山口先生の御質問の名ばかりファンド業者ですけれども、今、数を調べてもらいました。4月30日現在で届出業者数が3,877おりまして、そのうち連絡がつかない者が65、報告徴求に応じない者が76で、合わせて141でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。消費者委員会として問題提起をさせていただいたことに対して、各関係省庁が積極的に取組みを強化していただいていることにつきましては、委員一同、感謝を申し上げたいと思います。更に、我々としていろいろやっていただきたいことを何人かの委員がおっしゃいましたので、それらにつきましても、実現可能性等も含めてさらに御検討をいただきたいと思います。本日は、消費者委員会の審議に御協力ありがとうございました。
続きまして、27番の施策についてでございます。本日は、関係省庁として農林水産省においでいただいております。
それでは、御説明をお願いいたします。

○農林水産省光吉消費・安全局表示・規格課長 農林水産省の光吉と申します。お世話になります。よろしくお願いします。
基本計画の施策番号27「食品のリコール社告について」に関し、資料5を付けさせていただきました。この表とは少し違いますが、本施策の平成22年度の工程表におきまして、食品のリコール社告の規格化の必要性について審議を行うために必要な調査等を実施し、JAS調査会等において必要性を審議することとしております。そういう内容も昨年の本委員会でお話をさせていただいたところ、規格化の必要性について議論をする必要はない、リコール社告のJIS規格というのがあるのでそれに対応させるべきだ、あるいは、JAS規格にこだわる必要はないといった御指摘があったものと承知しております。
私どもは、食品のリコール社告の実施状況等について、現在、調査をしているところでございます。全部整ったわけではございませんが、現時点で把握した範囲では、約3割の食品事業者が、ちょっと長いですけれども、過去10年にリコールをしたことがあると回答しています。
リコールを行ったことのある食品事業者に、社告を行う際にリコール社告JISを参考にしたかお尋ねしたところ、約1割が参考にした、残りの9割が参考にしていないという回答でした。勿論、これは先ほど申し上げたように過去10年の話をしていまして、リコール社告JISは平成20年にできたものですから、あまり整合性があるわけではございませんが、リコール社告JISを参考にしなかった事業者に尋ねたところ、半数以上が「リコール社告JISの存在を知らなかった」という回答がありました。
私どもは、リコール社告JISが消費者へのわかりやすさを極めて重視してつくられたものだと承知しています。内容も、何か特定の商品だけしか扱えないのではなく、きめこまやかに汎用性がある形で作られており、食品事業者にとっても非常に参考になると考えています。
そこで、社告の規格化の必要性をJAS調査会等で審議をすると工程表で書いてありましたけれども、それを待つのではなく、食品事業者に対して、今後リコール社告を出す際には、リコール社告JISをきちんと参考にして取り組んでもらいたいという周知を行ったところです。勿論、周知をすればこれで済む話ではなく、それぞれの食品の業界あるいは事業者に個別の話というのもございますから、こういったものがよりわかりやすくなるように、もっとかみ砕いた形で説明するなどして浸透を図っていく必要があると認識しているところでございます。
簡単でございますが、以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、御説明につきまして、御質問、御意見、ございますか。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 前回、是非JISに合わせていただきたいということで、そのとおりやっていただいて、ありがとうございます。消費者にとっては、製品であっても食品であっても、いわゆるリコールをしたときには同じ形で広告していただけるとわかりやすいと思います。これは、リコールを伝える一つの方法であるというだけではありますけれども、是非食品会社の方々に広めていただきたい。
それから、JISは5年おきに改正ということになっておりますので、その際は是非加わっていただいて、もう少し食品関係の方々にも使いやすいような努力を、是非御一緒に考えていきたいと思います。勿論、リコールなんかしないのが基本ではありますけれども、是非わかりやすく伝えるということで、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○松本委員長 よろしいでしょうか。過去10年の食品業界でリコールをした経験のある事業者のうち1割が、JISを知っていたというか、それに準拠してやったというのは、私は、割合的にはすごいのではないかと思うんですね。過去3年程度しかないJIS規格について、過去10年のうち1割の回答者がいるというのは、過去3年に絞ればもっと高い割合の食品業者がJIS規格に準拠してやっているということです。他方で、工業製品のリコールの際に、JIS規格を意識して準拠してやっている事業者が同じ割合でいるかというと、ひょっとしたらいないかもしれないわけですから、そういう点で、食品業界の方に結構JIS規格が浸透していると言っても誤りではないかもしれない、という印象を受けた次第です。
これは、本来の工業製品についてもっと普及率を高めなければならないという方が重要なのでしょうけれども、消費者向けの製品であるという以上は両者でそんなに差がないはずだと思います。ただ、点検修理などという発想は恐らく食品の場合はないでしょうから、消費者としてとるべき行為についての説明の仕方が相当変わってくるであろう。そういう点、うまく食品に合わせて運用していっていただきたいと思います。
本日は、農林水産省におかれましては審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
続きまして、69番の施策についてですが、本日は、関係省庁として消費者庁においでいただいております。
それでは、御説明をお願いいたします。

○消費者庁相本食品表示課長 消費者庁食品表示課長、相本でございます。よろしくお願いいたします。
施策番号69番につきまして、御説明申し上げます。資料についてはお手元の資料6でございます。まず、2ページ目です。食品表示に関する一元化ですけれども、消費者庁が発足して、食品表示に関する制度が各省庁から消費者庁に移管されております。具体的には食品衛生法、JAS法、健康増進法、食品表示に関する3つの法律の表示に関する事務が消費者庁に移管されております。実際の表示に関しては、この紙の右側の上の四角、スナック菓子の例ですけれども、JAS法及び食品衛生法に基づく義務的表示事項についてこのような表示がなされ、また、栄養成分に関しては、任意の表示制度ですが、健康増進法に基づく栄養成分表示基準に基づいて表示がなされるといった運用がなされております。
次に、昨年、閣議決定された「消費者基本計画」の第69番において、食品表示に関する一元的な法律の制定などの検討を行うといったことが掲げられております。これに関しては、3ページ目の下の部分ですけれども、一元化な法体系の在り方。具体的に、食品表示制度に関する制度の統一的な運用の推進に関し、現行、どのような制度上の課題、問題があるのかということを把握していくこと。この中には個別の課題といたしまして、遺伝子組み換え表示や、栄養表示に関する表示の在り方についても進めていくこととしております。
この表示に関しては国際的なルールとの整合が求められており、Codex等、あるいは諸外国の制度との整合性を検証していく必要があります。また、表示制度に関しては、その基準をつくるという業務に加えて、表示が現場でしっかり守られるということが必要ですので、その効果的な執行体制についても検討を進めていくこととしております。
併せまして、この図の左側の真ん中あたり、平成23年度の新規予算として、4,000万円の新規調査事業が認められております。本年度におきましては、海外における食品表示制度の調査や、インターネットなどの食品表示に関する現状の把握、更に、消費者ニーズを踏まえた表示事項の検討といったことを進めていくこととしております。
次に、消費者基本計画に掲げられております食品表示に関する施策及びその工程表です。食品表示の一元化に関しましては、施策番号69番ということで、食品表示に関する一番最初の施策として挙げられているところでございますけれども、その他、食品表示に係るさまざまな課題につきましても、表示の一元化と並行して検討を進めていくという項目です。
例えば73番、栄養成分の表示に関しては、現在、栄養表示の検討会を開催し、その在り方についての検討を進めております。遺伝子組み換えの表示に関しましても、海外における遺伝子組み換え農産物の生産流通の状況等の調査を行っているところです。このような調査あるいは検討の結果も、必要に応じて一元的な法律に盛り込むことを検討していく必要があろうかと考えております。また、施策番号79番ですけれども、この執行の体制についても重要な課題であり、効果的な執行体制の検証ということも更に進めていくこととしております。
いずれにいたしましても、このような食品表示にかかわる課題の検討を進めていきながら、一元化な法律体系の制定、非常に課題が多い内容であると考えておりますけれども、平成24年度中に関連法案を国会に提出できるように頑張ってまいりたいと考えております。
次に、食品表示に関する執行体制です。これは現状の体制ですけれども、冒頭御説明いたしましたJAS法、食品衛生法、健康増進法の執行体制を概念的に整理したものです。消費者庁に加え、農林水産省、あるいは都道府県等の自治体もこの執行に関与しているところです。また、その関与の仕方、あるいは権限も、法律によってさまざまな形になっております。一元化な法律を制定していく際に、このような執行体制、効率的に進める体制についても十分な検討が必要であると考えております。
次に各省庁との連携ですけれども、主として執行の連携を強化する目的から、食品表示に関する関係省庁の連携促進を進めるために、中央、国レベルで食品表示連絡会議を開催しております。また、地方レベルでも食品表示監視協議会を47都道府県ごとに設置し、地方自治体、国の出先機関等の連携、情報交換等を進めていただいているところです。このような国レベルの連絡会議等の場も通じまして、食品表示一元化のために必要な各省庁との連携も更に進めていくこととしております。

○松本委員長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、どうぞ、御意見、御質問がございましたら、お出しください。
日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 幾つかあるのですけれども、今の御説明だと、現状では、さまざまな課題に関しての情報収集に努めているという段階と思っていいのかどうか。それをまとめて、統一化の方向に向けての議論というのは開始されているのかどうなのか。そこを伺いたいのと、議論を進めるに当たって、勿論、メインは消費者庁がなさると思いますけれども、質問の1に書いてありましたのは、いささかこちらが誤解をしていたようです。実効性に関して連絡会議を持たれたということで、統一に関しての正式な会議体というものを連絡的な形で持たれているのではないというように理解していいのか。そこの確認です。まず、そこを教えてください。

○消費者庁相本食品表示課長 一元化な法体系の検討については、基本計画にありますとおり、平成22年度から開始するという位置づけになっております。まず、一元化な法体系の検討に当たっては、さまざまな問題点の把握をしていくことが必要になる。あるいは、個別の課題についてどのような解決が必要であるかということの検討が必要であろうということから、そのような個別課題といたしまして、健康食品でありますとか、栄養成分に関する表示の在り方についての検討をまず行っているというところです。
表示制度の在り方につきましては、私ども消費者庁の内部的な検討を先行するということですけれども、お尋ねのあった各省庁との関係については、69番の施策において担当省庁は消費者庁となっており、一元化に関しましては、消費者庁が責任を持って実施するということです。勿論、制度に関しは、例えばJAS法のように農水省と共管となっているとか、執行に関しましても、消費者庁の限られた職員ではどうしても全部はできないということで、仮に一元化の法律ができた後であっても、引き続き、関係省庁や自治体との御協力をいただくことは不可欠と考えております。関係省庁との調整も必要になってくると考えておりますが、まずは、私ども消費者庁がしっかり検討を行って、その上で、各省庁と執行、あるいは制度そのものについても十分に調整を行い、新しい法制度にしていくという考え方で進めてまいりたいと考えております。

○日和佐委員 具体的なスケジュール、どのような形で表示の一元化が議論されて、そして実行されていくのかという具体的なイメージが、私ども、なかなかつかめないんですね。具体的なスケジュールは、消費者庁が原案をつくられて、その後はどうするのか。原案をつくるに関しても、消費者庁でおつくりになるのか、その辺りの具体的なスケジュールを教えていただけませんか。

○消費者庁相本食品表示課長 法案の提出時期に関しましては、冒頭で御説明させていただきましたが、平成24年度中に関係する法律を国会に提出できることを目指すことで考えております。したがいまして、このために必要な法律、法制化の作業も必要になってまいるところです。検討に当たっては、消費者庁が、まずその原案をしっかり責任を持ってつくっていくということで進めたいと思っております。
具体的に私どもとして検討を進めるということと、当然、一元化の制度に関しましては、消費者の方、あるいは事業者団体の方々など各方面からの御関心を大変いただいておりますので、どのような形で御意見をいただくかということについては、私どもが整理いたしまして、きちんとそういった場を今後もつくっていくことも検討していきたいと考えております。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
私も1点、お伺いしたいのは、5ページの執行体制の一番右側、健康増進法の部分についてです。消費者庁と都道府県が並んでいて、消費者庁の赤枠の中に、オレンジ色で「地方厚生局(誇大表示のみ)」と書いてあるのは、地方厚生局が、誇大表示、つまり32条の2の取締りについてのみ、消費者庁のいわば手足としていろいろ法執行をやっていただけるという趣旨で、それ以外の健康増進法については消費者庁本体が執行しているという理解でよろしいですか。その関係で都道府県については、健康増進法全体について、下に「指導」と書いてありますけれども、指導する権限がある。すなわち、誇大表示についても都道府県は指導するという形で執行できると理解してよろしいですか。

○消費者庁相本食品表示課長 基本的には委員長の御指摘のとおりでございまして、健康増進法に関しましては幾つかの権限がありますけれども、このうち地方厚生局に消費者庁の権限が委任されているのは、健康食品等の誇大表示に関する事務のみです。したがって、例えば特別用途食品の表示に関しましては消費者庁が直接執行するという体制です。
都道府県に関しましては、都道府県の事務として法律上、定められておりますのは、この下の黄色い四角にありますが、「検査・収去」の部分です。指導と書いておりますが、厳密に申しますと、法律に基づく許可取消とか勧告というものではなく、行政指導として、何かおかしな表示があった場合に保健所等の自治体が指導いただくという位置づけです。

○松本委員長 そうしますと、健康食品で誇大表示がある場合に、都道府県においてそれを是正するように指導することはできるということですか。

○消費者庁相本食品表示課長 行政指導としてやっていただくことは可能ですけれども、権限の執行として行うのは、法律上、消費者庁と地方厚生局だけでございますので、勧告とか命令という権限については国が実施するということになります。

○松本委員長 ここの下に指導と書いてあるのは、法律上、指導できるという意味ではなくて、一般的な行政指導としてできるという趣旨ですか。

○消費者庁相本食品表示課長 そういう趣旨です。

○松本委員長 わかりました。
どうぞ。

○日和佐委員 この執行体制は現状のものですけれども、これもなかなか不十分というところがありますね。執行体制についても、当然、新しくされた表示法によって新たに考えていくということでよろしいのかどうかということと、24年度に法制化をするということでありますと、23年度では、見えていないとなかなか難しいのではないかというふうに思います。23年度のどの辺りで見えてきて、それに消費者団体や事業者はどのような形でかかわることができるのか。いわゆる会議体のようなもの、審議会のようなものをおつくりになろうとしていらっしゃるのか。そうではなくて、消費者庁が考えてそれをオープンにして、ヒアリングというような形で進めていかれるのか。その辺りをもう少し具体的にお話しいただけるとうれしいのですけれども。

○消費者庁相本食品表示課長 執行体制につきましては、ご指摘のとおり、現在、法律ごとにそれぞれのアプローチがございますので、新たな一元的な法制度が制定される際には、執行の仕組みも統一的な方法で対応する必要があると考えております。そのための例えば組織定員のあり方に関しましても、法案の検討と同時に進めていく必要があると考えております。
2番目の御指摘の、検討の場について、今の段階で、具体的にいつから検討会を開く、いつから消費者庁としてその案をお示しして意見交換会を開くといったところまでのスケジュールは今の段階では決まっておりません。今後、法案提出までの間に十分な時間をとって、しっかり関係者の御意見がいただけるよう進めていきたいと考えております。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 よくわからないんですけれども、健康食品なら健康食品、それからトランス脂肪酸、それぞれ委員会を設けて表示の検討をしているというのはわかるのですが、それがどう一元化につながっていくのか。私たちに見えるのはばらばらであって、その先が見えないんです。今、おっしゃったのは、やります、やりますということですけれども、その具体策が全く見えていない。食品表示の一元化というのは多くの消費者が望んでいることですし、事業者にとっても非常に大きな問題であって、やはり相当な人たちと検討をしていかないとうまくいかないというのは目に見えているわけですから、是非その辺をきちんと認識していただきたい。消費者団体と市民団体が一つの要綱案を出していらっしゃいます。そのヒアリングをしたり、まず、消費者庁が法案をつくってから聞くのではなく、つくる前にいろいろな方の意見を聞いてください。今すぐにでもスタートしないと、24年度に法案提出できるのか、何も私たちには見えない。是非、今すぐに誰が見ても、一体どこまで進んでいるのかわかるような形で動いていただきたいし、それを示していただきたいと思います。

○松本委員長 どうぞ、山口委員。

○山口委員 消費者庁のスタンスにつきまして伺いたいのですけれども、今、食の安全について重大な問題が2件あります。ユッケの生肉の問題、あれも厚労省が矢面に立って対応されています。それから、今まさに問題になっている、神奈川の生茶葉からセシウムが出たことについて農水省と厚労省の意向が違っているということで、どうするんだと。まさに両方とも消費者問題であり、消費者の日常生活の食の安全に直接かかわってくる問題なのですが、消費者庁がどういうスタンスでどういうふうに対応されているのか、ちょっと見えない。その辺は、専門性とかいろいろな問題があって難しいところはわかるのですが、もう少し消費者庁として、消費者の食の安全の角度に立った発信なり政策があっていいのではないかと思います。ちょっと全般的な質問ですが、その辺はどういうふうに対応されているのか。

○消費者庁相本食品表示課長 今の御質問にお答えできる者が出席しておりませんので、直接お答えが難しいのですけれども、例えば肉の件に関しまして、現在、生食用の食肉について、厚生労働省において規格基準を制定する作業を進められると伺っております。私ども消費者庁でも、現在、生食用の食肉の表示の基準が定められていないことから、これと併せて検討を進める必要があると考えてございます。このような課題について、現在、厚労省と密接に連絡を取っているところであり、遅滞ないように、消費者庁として表示について対応していく予定としております。

○松本委員長 ほかにございませんか。
どうぞ。

○佐野委員 一つお聞きしたいのが、この震災で、ペットボトルは表示がなくてもオーケーということと、もう一つ、表示事項に不備があっても、取締りの対象にしない特例措置というのがあります。消費者にとって、「不備があっても」というのは、非常に納得できないところなんですけれども、それは一体いつ解除されるのか、その要件は何なのか、教えてください。

○消費者庁相本食品表示課長 御指摘の表示の特例については、震災を踏まえ、食品の生産が、例えば資材が間に合わないとか、ラインが止まるといった問題があった場合に一時的に表示上の特例を認めるということです。「不備があっても」という御指摘の部分ですが、これは、例えば原材料の順番が入れかわっているとか、消費者にとって重篤な問題が発生しないようなものであれば取締りの対象としないということであり、しかも、例えば店頭のPOPで、どの部分の表示が違うということもわかるように、しっかり消費者に情報提供をしてもらうことを条件として認めるということにしております。
いずれにいたしましても、表示が適正であることは消費者の方にとって重要な利益ですので、現在、私ども、あるいは食品の製造・流通を所管しております農水省とも協力して、震災後の食品流通がどの程度滞っているのか、事業者が震災の影響から回復しているかどうかということを調べております。それを踏まえ、もはやこのような特例措置が必要でないであろうという段階で、速やかにこの特例措置は解除したいと考えております。

○佐野委員 それは何か条件があるのですか。

○消費者庁相本食品表示課長 具体的な条件ということはございませんが、私どもの方で、食品の製造・流通に支障がないと判断できれば、速やかに解除したいと考えております。

○松本委員長 たぶん、うそをついてもいいというわけではなくて、確か文章だと、「取締りを行わない」というような書き方だったので、積極的に表示義務違反、この事項についてこの商品は記載していないではないかということだけを理由にして取締りは行わない。そこにうそを書いていれば、それは取締りの対象に十分なるという理解でよろしいのではないかと思います。流通が少しずつ回復してくれば、やはり本来のルールどおりやってくださいということになるでしょうから、たしか外国語の表示のままでもいいというのはこのルールの一環だと思いますので。

○日和佐委員 「地域の保健所には届ける」ということが条件になっているようです。

○松本委員長 個々の製品ごとに、詳細な原則どおりの情報提供まではしなくてもいいけれども、うそをついて変な商品を流通させてもいいというわけではないということでしょう。

○佐野委員 どちらにしても、できるだけ早くもとに戻していただきたいと思います。

○消費者庁相本食品表示課長 御要請、承りまして、早急に検討を進めてまいりたいと考えております。

○松本委員長 ほかにございませんか。
では、もう1点ですけれども、「一元化的な法体系」という言い方をしている場合には、一つの法律にすることを念頭に置いた議論ということなのか。それとも、全体としてハーモナイズしていればいいというレベルの議論なのか。というのは、執行の問題と絡んでいて、法律では一つになったとしても、執行は従来どおり、この部分は何々省何々局何々課だとかいうことだと、ちょっと、いいのかなという感じがいたしまして、むしろ5ページの図にありますように、それぞれ執行がばらばらであることの方がやりにくいのではないか。法律は仮に複数あったとしても、執行体制が一つであれば、例えば都道府県は食品関係の3つの法律についてすべて執行できるんだというふうにすれば、それはそれで、都道府県レベルでは一元的に運用できているという言い方もできるかなと思うのです。その辺り、法律を一つにするという話と、執行体制の方を整理して一元化して、一つの部局が複数の法律を執行できるようにするというイメージと、ここで言う一元化というのはどちらを主として考えておられるのか。両方だということであれば、それはそれでよろしいですが。

○消費者庁相本食品表示課長 まず、表示基準の企画立案に関し、法律は別ですけれども、既に消費者庁に一元化されておりますので、あとは、表示の企画立案をどのように一体的に進めるのかという課題であると考えております。
執行の部分でございますけれども、御指摘のとおり現在、法律ごとに建付けも違うということで、それぞれの法律に基づく権限を執行しているという現状がございます。法律、制度を一元化した場合に、組織そのものは、例えば農水省の組織と消費者庁の組織が一緒になるということとはまた別の話だと思いますけれども、表示基準の内容によって執行の体制が異なるというのは非効率だと思いますので、委員長の御指摘がございましたとおり、効率的な執行ができるような体制を念頭に検討を進めたいと考えております。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 ずっと聞いていまして、やはりこのスケジュールが全然わからない。来年度、24年度に法律を作成して出すわけですね。そうすると、その準備というのはいつごろから始められるのですか。

○消費者庁相本食品表示課長 24年度中ということで、いずれの国会に法案を提出することとなるのかということも考える必要がありますけれども、いずれにいたしましても、現在のところは、食品表示課で検討を担当しておりますが、一元化の検討のためだけの専属の職員を置けるだけの人的配置ができていないのが現状でございます。できるだけ速やかに、専属の検討体制も私どもの課を中心につくって。

○川戸委員 今年じゅうですか。

○消費者庁相本食品表示課長 そのつもりでおります。

○川戸委員 つまり連絡会議などは、ここに書いてあるのが、去年の5月25日の確認というのと、8月27日の報告だけしかないんですね。これは逆に言えば、こういう連絡会議なんていうのも全部開いていないし、今、全然動いていないということが実情なわけですね。

○消費者庁相本食品表示課長 連絡会議に関しましては、本来、年2回の開催を目指していたところですが、22年度の後半に関しましては、関係省庁との日程調整が、鳥インフルエンザの発生や震災等の対応で、残念ながらできなかったところでございます。これにつきましても、今年度、年度が変わりましたので、改めて日程調整を進めていきたいと考えております。

○川戸委員 わかりました。では、先ほど佐野委員がおっしゃったように、法案をつくる前に是非今年度中にでもヒアリングをしたり、いろいろな方の意見を聞いていただきたいと思います。なるべく早くスタートしてください。

○消費者庁相本食品表示課長 はい。そのようにしてまいります。

○川戸委員 皆さん待っていらっしゃいますので、よろしくお願いします。

○松本委員長 ありがとうございました。食品の表示というのは、消費者が毎日、一日何回も接している恐らく一番身近な消費者問題だと思います。その分、皆さんの関心も高いということでございますので、是非積極的に検討を進めていただいて、そちらの方向に進めていっていただきたいと思います。
本日は、消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪3.国民生活センターの在り方について≫

○松本委員長 続きまして、「国民生活センターの在り方について」です。国民生活センターの在り方につきましては、消費者庁において「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース」が開催されておりますが、今月の13日に「中間整理」をとりまとめたと伺っておりますので、その内容につきまして、消費者庁及び国民生活センターより、ヒアリングを行いたいと思います。
それでは、初めに、消費者庁の方から御説明をお願いいたします。

○消費者庁林地方協力課長 それでは、お手元にお配りしております資料7-1から御説明させていただきたいと思います。後ろの方に参考資料といたしまして、イメージ図、これが資料7-2でございます。7-3としてタスクフォースの設置の際の趣旨紙、7-4として昨年末の閣議決定の内容、7-5といたしまして、この間の検討状況の資料をお配りしております。それから7-6として、このタスクフォースはこれまで10回やっておりますけれども、3回から5回にかけまして機能別検討を行いました際に、有識者の方においでいただいて意見交換をしておりますので、その関係のリストをお配りしております。最後に資料7-7、7-8として、今後行います公開ヒアリング、パブリックコメントの関係の資料を配付いたしております。
説明は、資料7-1を使いまして御説明させていただきたいと思います。
この間の経緯については、今ほど松本委員長から御紹介いただきましたとおりでして、この5月13日付で、消費者庁と独立行政法人国民生活センターとで、タスクフォースを通じて「中間整理」というのをとりまとめさせていただきました。まず、1ページ目に「はじめに」ということで、この間の経緯、共通の認識というのを整理させていただいております。この共通の認識から主に説明させていただきます。
まず、(1)として消費者庁の課題を整理させていただいております。消費者庁については、消費者行政の司令塔として、政策の企画立案ですとか、事故情報の収集・分析といった仕事を通じて、消費者被害の未然防止、拡大防止に取り組んできたところでありますけれども、現状では知見やノウハウの蓄積が十分でなく、複雑化・高度化する消費者問題に十分対応できていない分野も見られるということ。
(2)として、ここでは国民生活センターの課題を取り上げておりますけれども、40年にわたって消費者問題に取り組んでいただいて、知見・ノウハウが蓄積されてきている。法律上、その業務については国民生活に関する情報の提供及び調査研究が中心となっていて、情報提供についても法律上の権限のない任意の注意喚起にとどまっているということ。それから、消費者庁との連携が必ずしも十分ではなかったこともあって、その蓄積が消費者問題を取り巻く諸課題の対応に十分活用されていないのではないか。更には、一部事務の効率性やガバナンスにおいて課題が見られるのではないかということで、(1)、(2)で、両組織の課題を整理させていただいた上で、(3)として、その上でこの両組織の間では多くの業務で目的・機能に重複がある。この重複を整理、合理化することが必要であるということ。
それから、そのことを通じて、(1)や(2)に掲げさせていただきました課題を克服し、消費者行政の機能強化を実現する必要があるということ。
(4)として、これは先ほど御紹介させていただきました機能別の検討、有識者を交えた検討の中で明らかになったことでもありますけれども、民間機関や自治体において、今、国民生活センターで提供していただいている各機能を全国的かつ継続的に実施することは、現状においては困難である。また、それぞれの機能には相互補完性や一体性があるということで、消費者行政の強化のためには、基本的には各機能一体として国サイドで実施すべきである。これが、前提となる共通認識でございます。
この共通認識をもとに、消費者行政全体の強化という観点から、各機能やその担い手となる両組織がどうあるべきかというものをまとめたのが、この中間整理ということになります。
3ページ以降が「現状と問題点」でございます。(1)に、機能面の現状と問題点。(2)として、組織・ガバナンス面の現状と問題点というのを整理させていただきました。
機能面の現状、問題点については、1つ目のマルで、先ほどの話と重なりますけれども、消費者庁と国民生活センターの業務については、目的・機能が法執行を除いて大半の分野で重複していて、別々に同じ課題に取り組んでいるといった点があるのではないかということでございます。その具体の事例みたいなものを下の方に整理させていただきました。
2つ目のマルで、消費者庁は設立以来、知見・ノウハウの不足から、消費者問題に十分に対応できていない分野も見られる。一方、国民生活センターに蓄積されている人材・能力が、消費者行政の機能強化に十分に生かされていない面がある。財産事案、身体生命事案への対応、地方消費者行政支援の機能の強化のために国民生活センターの人材能力の活用が不可欠であること。財産事案、生命身体事案について、どういう問題点があるかというのを下のほうに整理をさせていただきました。
最後の行に、※印で独法制度についての付言をさせていただいております。こうした重複がある中で、連携をしていくことが求められるわけですけれども、独法制度そのものがもともと、国の事前関与をなるべく排して法人の自律を通じた業務の効率化を目指す制度になっていることからすると、類似事務を密接に連携して行うことには、やはり限界があるのではないかということをあえて述べさせていただいております。
それから4ページ目で、組織・ガバナンス面の現状と問題点というのを整理させていただきました。消費者庁については、職員は出向者か任期付職員ということで構成されております。多くは消費者問題に関する民事的な解決や商品の技術的な調査・分析といった、まさにこれが国民生活センターでやっていただいている仕事になるわけですけれども、こういったことにかかわった経験は少ない。ほとんどないと言っていいと思います。その点での専門性の蓄積が困難であるということ。
2つ目のマルとして、国民生活センターには効率性とかガバナンスの点で課題があって、その向上を図ることが今後の課題であるということ。下の方に具体的なデータを付けさせていただきました。役員、管理職、管理部門の人員の割合が高いといった点。商品テストについては、効率性やガバナンスという面で課題があるのではないかといった点、これらをデータで付しております。
5ページ目以降が「見直しの視点」でございます。まず、(1)として、消費者行政全体としての機能強化、効率化を図っていく必要があるということでございます。これは、タスクフォースを始めましたときに、前の岡崎大臣からも、消費者行政全体の機能強化がこの検討を進めていく上での大前提であるということ、雇用問題に配慮する必要があるということ、この2点について具体的な指示をいただいておりました。これらを踏まえて(1)を整理させていただきました。重複排除と効率化によって、新たな法制度の企画立案や法執行の強化、あるいは新規の分野や取組みが不十分な分野に必要な資金、人材を再配分し、全体として機能強化していく必要があるということ。
情報提供や相談、研修、商品テストといった国民生活センターが担っております機能について、消費者庁が有する政策の企画立案や調査権限といったものと結びつけることによって、それぞれの機能についても更に強化を図っていくことが必要である、といった点を書かせていただいております。
(2)として、国民生活センターの人材・ノウハウの活用を抜本的に強化していくことが必要であるということ。これは、積み残された課題ということを書いてあるのですけれども、消費者庁設置の際に、国民生活センターの位置づけについては、時間的な制約もあって見直されることがなかったので、旧内閣府国民生活局のみを母体としたことが、さまざまな問題点の主な原因になっているということ。それから、消費者問題に関する民事的な解決や商品の技術的な調査・分析、あるいは情報の分析・提供について専門性を有している国民生活センターの人材・ノウハウ、これを徹底して有効活用することが適切であるということ。これを整理させていただきました。
(3)については、これは機能別検討の中でも論点として提示されていたことですけれども、現行の国民生活センターの各機能の相互補完性や一体性を確保していくことが必要であるということです。支援相談を中心に、それぞれの機能が相互補完関係を持っていて、これらが一体となって地方消費者行政に対する支援機能を果たしている。こうした相互補完性や一体性は不可欠であるということで整理をさせていただきました。
(4)では、国民生活センターの各機能の相互補完性・一体性を踏まえた上で、消費者庁と国民生活センターの各機能についても、相互補完性や一体性を確保していくことが必要であるということも書かせていただきました。具体的には、支援相談や商品テストといった機能と、消費者庁の注意喚起、あるいは政策の企画立案といった機能とか、相互補完性・一体性を持つことが必要である。その上で、これも議論の中で出た話でございますけれども、国民生活センターがこれまで担ってきた支援的な機能、こういった機能と法執行との間では一定の分離が必要であるという認識も書かせていただきました。
(5)では、国民生活センターが現在、果たしている機能については柔軟性や機動性というのがあるので、特に情報提供についての柔軟性や機動性を今後とも確保していく必要があるということでございます。今の消費者庁の中でも情報提供機能というのはございます。これと法執行を担うセクションとでは、課というレベルで部署を分けて業務を実施しております。こうしたことを徹底させて、国民生活センターが持っている柔軟性や機動性が損なわれないようにすることが不可欠であるという認識も書かせていただきました。
6ページ目では、それに加えまして、今後の課題として、消費者行政の中枢を担う人材の育成が大事ではないかということ。それから、先ほどもちょっと御紹介させていただきましたように、国民生活センターの職員の皆さんの雇用問題にきちっと配慮していくことが必要である。この7点を見直しの視点として整理をさせていただきました。
7ページ目以降は「今後の方向性」ということで、具体的な見直しの方向性を打ち出ししております。
(1)では機能の移管ということでございます。マル1として、国民生活センターの各機能については基本的に消費者庁に移管し、一元化する。24年度から段階的に機能移管を行って、25年度をもって、法人としては発展的に解消していくということで整理をさせていただいております。
マル2として、主に地方支援の機能を果たしております支援相談や、研修、相談処理テストといった部分については、「施設等機関」として位置づけをして、地方協力課の機能の一部も統合して、地方消費者行政支援を強化していくということを整理させていただきました。
更に、マル3では、地方協力課の機能だけではなく、消費者教育あるいは啓発といった実施関係の機能も、新しくつくる施設等機関に統合してはどうかということで方向性を示しております。
マル4として、情報部門及び商品テストのうち、地方の消費生活センターからの依頼に基づく相談処理テスト以外のもの、具体的に言いますと、いわゆる商品群テストと呼ばれているものですけれども、こうした機能については、施設等機関と密接な連携を確保しつつも、消費者庁の内部部局化をしてはどうかということです。
マル5として、ADRについてでございます。全国的に重要な消費者紛争を解決する機能とともに、消費者問題に関する紛争解決の指針を提示する機能、この両方の機能を国として確保していく必要があるのではないかということでございます。
それに加えて(2)として、先ほどの見直しの視点でも触れさせていただきましたように、情報提供が持っている柔軟性や機動性を生かす組織運用と。組織の在り方と同時に組織内部の運用の仕方、工夫が必要ではないかということで、何点か整理をさせていただきました。
まず、注意喚起や情報発信について、施設等機関と内部部局の関係課で相互に連携を図るための「情報発信調整会議」を設けてはどうかということ。
それから、施設等機関の実務。これは具体的には、相談や相談処理テストを通じて発掘した事案によって、問題提起を政策形成に活用・反映するといったことを仕組みとして担保するために、長官主催の「消費者政策レビュー会議」というのを設けてはどうかということでございます。
3点目は、確認的なことですけれども、施設等機関の支援相談部門、あるいは相談処理テスト部門が業務を通じて発掘した事案については、情報発信調整会議での調整や消費者庁としての意思決定を経た上で情報提供や注意喚起として公表する。必要があれば、更なる調査・分析にもつなげていくということを整理させていただきました。
(3)として、雇用問題についての点ですけれども、国民生活センター職員の採用ということで、機能移管と並行して24年度以降、国民生活センターの常勤職員の方々については、消費者庁の定員増を図る中で、原則として、いわゆる「プロパー職員」として採用していくということを整理させていただきました。
下の方に注書きが2つございます。1点目は、まさに注意書きですけれども、職員の公務員化を通じて、国庫が負担する人件費の総額は基本的にはフラット、増加しないということでございます。
2点目の注書きについては、国民生活センターの場合には、相談員さんを代表として非常勤職員さんがいらっしゃいます。非常勤職員の皆さんについても消費者庁の非常勤職員として基本的には採用していく。これは予算の問題がございますので、できる限りそのための予算を確保することが前提となりますけれども、そうした形で引き続き採用していくということを整理させていただきました。
(4)として、人材・ノウハウを生かす人事運用・任用と、採用後の話でございますけれども、消費者庁職員として採用した後の問題として、プロパー職員として消費者庁等の各部署のキャリアを重ねて、消費者行政の中枢を担う人材として育成していく必要があるのではないか。それと同時に、時間の経過とともに退職される方も出てまいりますので、新規のプロパー職員の採用も併せて実施をしていってはどうかということでございます。
1点、これも注書きがございまして、国民生活センターの中で商品テストに携わっていただいている方については、主に技術系の職員の方が中心ですので、配属などで配慮をすることも書かせていただきました。
9ページ目以降は、これらの見直しによる効果を整理させていただきました。
まず、「消費者行政の機能強化」というところでございますけれども、こうした一元化によって、現場のさまざまな相談情報を生かして、注意喚起や法執行、あるいは制度改正といったことまで一貫した体系を持った消費者行政を実現できるのではないかということでございます。
例えば財産事案については、国民生活センターが蓄積してきた現場の相談情報を活用した情報分析のノウハウと、法的権限を背景とした注意喚起や法執行を結びつけることによって、より実効性を強化していくことができるのではないかといったこと。生命身体事案についても、相談やPIO-NET、あるいは相談処理テストによって得られた情報に加えて、今は消費者安全法に基づいて消費者庁に消費者事故等に関する情報が集約されることになっておりますので、こうした情報も総合的に活用することによって、問題事案を抽出し、外部試験機関なども活用しながら、事案の技術的な調査・分析を強化していくことができるのではないかということでございます。
2つ目のマルは、国民生活センターの職員の皆さんを、原則、消費者庁のプロパー職員として採用することによって、消費者行政の人的体制を充実させることができるのではないかということでございます。下の方に例示を書いてございまして、財産事案の問題、あるいは消費者教育や広報といった分野についての問題を掲げさせていただいております。
3つ目のマルは、これは効率化の問題ですけれども、管理部門を一元化することによって共通する部分については共通化できますので、こういった効率化を通じて「フロントオフィス」を充実させることができるのではないか。現場実務を担っている職員の体制を充実させることができるのではないかということでございます。
4つ目のマルは、消費生活センターなどの地方の現場に向けた国サイドのサポート体制も、むしろ充実させることができるのではないか。例えば研修について申し上げますと、今、相談員向けの研修については国民生活センターでやっていただいておりますけれども、法執行の研修など行政職員向けの研修は消費者庁でもやっております。こうした研修機能を一体化させること、あるいはPIO-NETなどについても、システムの刷新なども含めて使い勝手をよくすることといったことを含めて、地方の相談対応力を向上させることができるのではないかということでございます。
10ページ目は、こうした一体化によるメリットに加えて、機能の追加的な拡充を併せてやっていく必要があるのではないかということで、何点か整理させていただいております。
まず、相談・研修・ADRについては、1つ目のマルとして、支援相談の充実・強化をしていくべきではないかということでございます。特にこれは、国民生活センターの中でも既にその取組みが始められていると聞いておりますけれども、「経由相談」の専門性の向上を図るために、専門分野に特化した相談員や職員を配置していくといった取組みもしていってはどうか。あるいは「消費者ホットライン」を通じたバックアップなどによって自治体にさまざまな支援を行う中で、消費者問題の早期発見や相談支援のためのノウハウを一層蓄積していくべきではないか。それから、これまでも提供してまいりましたいわゆるマル急とか相談マニュアルといったことも、一層強化していく必要があるのではないかということでございます。
それから、研修の充実。これは先ほどと重なりますけれども、消費者行政担当職員向けに、相談のみならず、消費者政策の企画立案や法執行の実務を踏まえた総合的な研修を充実していく必要があるのではないかということでございます。
3点目は少し制度論の話になりますけれども、相談員資格の法的位置づけをより明確化する必要があるのではないかということでございます。今は消費者安全法の中に消費生活センターの定義がございまして、一定の技術、能力を持った方を置くことが要件となっておりまして、そのための資格として、消費生活専門相談員をはじめとした3資格を位置づけしております。ただ、この中には、相談員が実際に担われる消費生活相談やあっせんといった業務に伴って必要となる知識や技術を明確にした基準がないので、こうした基準を設けることによってその水準を担保して、自治体において適切に評価されるように、資格制度についてもより法的な位置づけを明確化していく必要があるのではないかということでございます。
4つ目のマルはADRでございます。ADRについては、紛争解決機能あるいは指針の提示機能を国として維持していくことを前提としながら、機能別検討でも議論になりましたけれども、地方の方のADRへのアクセシビリティという意味で言うと、やはり東京にしかないので、若干利用に偏りがあるということからすると、もう少し地方の方にも地域のADRを利用可能となるような制度も検討していく必要があるのではないか。この例示として括弧書きの中に2つほど書いてございますけれども、既に自治体の中でも独自にADR機関を設ける動きは出てきているといったようなこともございまして、こうしたことを後押ししていくことも含めて、検討していってはどうかということでございます。
それから、商品テストについてでございます。これについては、消費生活センターからの依頼に基づく相談処理テスト、この手法を抜本的に見直しをして、現状4割程度にとどまっております自治体からの依頼への対応率というのを、すべて答えられるように、このことを原則化していってはどうかということでございます。下にはそのための取組みの事例を掲げております。設計図や仕様書等といった事業者データを活用したり、外部の試験機関を一層活用していく。あるいは、報告書の在り方も多様化していくといった取組みをしていってはどうかということです。
2点目は、現状においてNITEに製品に伴うトラブルが起きたときに原因究明として依頼をしている実態があるので、こうした事実上の分担関係は引き続き維持していってはどうかということでございます。
11ページ目には、情報関係の取組みを掲げさせていただきました。
1つ目はPIO-NETの刷新でございます。これは、「PIO-NET2010」ということで昨年、情報システムの刷新を行いましたけれども、相変わらず相談員の使い勝手の問題というのはございます。できる限り、入力に伴う負担や、検索機能、情報分析機能を使いやすいものに向上させていくことが必要なのではないかということ。
それから、これもタスクフォースの議論の中で出た点でございますけれども、法律上の守秘義務を確保する。基本的には今の国民生活センターは非公務員型の独法で、刑事罰を伴うような守秘義務はございませんけれども、これは、先ほど申し上げましたような消費者庁への統合によって、公務員化することによって自動的に解決ができるという点であります。
それから、最後のページに「補論」という形で独法改革との関係を整理させていただきました。独法見直しの具体化との関係については、行政刷新会議においては、独立行政法人制度の後継に当たる「新たな制度・組織」というのを検討することになっております。これに対して今回の中間整理の形は、消費者庁に基本的に一元化をするという方向性を示したものになっております。こうしたことからしますと、新たな制度・組織の在り方というのがどういうものなのかということの検討の具体化を待つまでもなく、見直しを進めることが可能ではないかということで整理させていただきました。
更に加えて、別紙ということで表が付いております。裏表になっておりますけれども、このような整理を前提とした上で、なお、今後の論点あるいは留意点があるということで提示をいただいたものを整理しております。
特に国民生活センターの側からは、まず、基本的に中間整理で示されたそれぞれの考え方について議論すべき論点があるということ。それから、それぞれの箇所について、組織の一元化に伴い、制度上は担保ができたとしても、特に情報提供機能の機動性や柔軟性といった点、あるいは、きちんと政策提言機能あるいは問題提起といったことが担保されるのかといった点、こうしたことについて懸念があるので、これをきちんと確保していく必要があるのではないか。そういった論点が示されておりましたので、これを表として示しております。右側の箱には、現時点での消費者庁の考え方を参考として整理させていただきました。
最後に、先ほど御紹介いたしました補論の独法改革との関係について、留意点も示されております。特に国民生活センターの方からは、一元化するという前提に立ちますと、独法改革の結論を待たずに整理ができるということになるわけですが、その前提として、国民生活センターの各機能が、消費者行政にとって現状を下回ることなく、強化される。このことが一番大事で、これが明確にならない場合には、消費者庁への一元化ではなく、規制行政、これは消費者庁で主に担っている法執行を前提にしておりますけれども、これと国民生活センターが担っている機能、これを支援行政というふうに整理しておりますが、これを分離させて、独立した法人として機能強化した上で更に消費者庁との連携も強化していく。こうした方向性も検討しなければならないということがあって、これについては、そもそも独立行政法人のその後の新しい組織の在り方が明確にならないと結論が得られないので、閣議決定にあるような独立行政法人全体の見直しと並行して行わざるを得ないのではないか、ということが留意点として提示されております。
これについての現時点での考え方を右側に整理をしておりまして、この間のタスクフォースの議論の中でも、いろいろ御議論はいただいておりますが、特に年末の閣議決定の中では、「情報提供あるいは情報収集について、民間や他法人との重複を排除する」ということがございまして、特に消費者庁と国民生活センターの機能の重複を考えるときに、やはり情報関係の機能の重複というのは非常に大きなものになっております。そうしたことからしますと、情報収集・提供関係の機能については消費者庁に一元化せざるを得ないのではないか。一方で、国民生活センターの各機能については相互補完性や一体性が重要ということが、これまで非常に大きな論点として議論されてまいりました。この2つを両立させようとすると、なかなか「新たな制度・組織」に移行させるという選択肢がとれないのではないか。情報関連の機能だけを取り出して消費者庁に一元化した上で新しい制度・組織に移行するというのは、選択肢として不適当ではないかということで、現時点での考え方を整理させていただきました。
以下、組織の移行の仕上がりのイメージとして、資料7-2というのをイメージ図として提示させていただきました。先ほど申し上げましたように、内部の調整会議ですとか、政策レビュー会議といった会議の持ち方も含めて、詳細にわたりましては、まだこの図でも整理しきれていないところがございますので、これはあくまでも、今回、この中間整理をご覧いただく上での参考ということでご覧いただければと思います。
私からの説明は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
続きまして、国民生活センターから御説明をお願いいたします。

○国民生活センター日下部総務部企画調整課長 基本的に、林課長に報告書そのものについては御説明いただいたとおりでございますが、国民生活センターとして、少し気になっている点等を簡単に御紹介させていただきたいと思います。
今回の報告書によって、幾つか国民生活センターが唱えてきたことがそれなりに反映されたかなと考えているところがございます。この議論はそもそもの発端は、国民生活センターの機能は民間でもできるのではないか、一体性が本当に必要なのだろうか、地方自治体に任せればいいのではないか、そういった点から議論が開始されたと認識しておりまして、その点に対して今回の報告書では一定の答えが出ています。
具体的には、国民生活センターが提供している各機能を全国的かつ継続的に実施することは民間機関や自治体では困難であるということが、「はじめに」の(4)にも書いておりますけれども、そういうことで、とりあえず国民生活センターの行ってきた機能は、消費者庁か国センかは別にして、国サイドで実施すべきであるということが一つは書かれているということ。国センとして、今まで、幾つか強く指摘してきたことが見直しの視点などにも反映されているわけですけれども、まず、消費者行政全体が機能を強化されなければいけないということ。国民生活センターの各機能、情報、相談、テスト、研修とやっているわけですけれども、そういった機能の補完性・一体性はどんな形になっても確保されなければいけないということ。それから、国民生活センターが情報提供をしている際の柔軟性とか機動性、そういったものについても今までと同じように、そのスピード感あるいは柔軟性も担保されなければいけない。そういうことを強く主張してきたところでございまして、それについては、今回もこの見直しの視点の中にも記載されている点で、一応この報告書には書かれているということにはなっております。
ただし、これで本当に十分なのだろうかという点が、我々としても心配な点があるというところは、今回、「論点」という形で幾つか述べさせていただいております。まず、今回の報告書は中間報告であって最終報告ではないということで、中間的には、今、こういう整理であるということですけれども、これで結論が出たというわけではないことは「留意点」として書いております。
それから、論点、最後の別表のところでございますけれども、政策提言や問題提起というところに国民生活センターとしての特徴があると思っていますので、国民生活センターが一元化されることによって、そこの機能が今後も引き続き維持できるのかどうか。その国民生活センターの知見というものが制度改正や法執行に生かされるのかというところは、やはりもう少し慎重に見ていかないといけない。執行部局との関係によってそういった機能がなくなってしまうというのであれば、それは消費者行政の強化にはつながらないだろうというふうに考えています。
それから、国民生活センターが行ってきた相談への支援です。具体的には、あっせん、注意喚起、自治体への情報提供、相談処理テスト、研修、そういったものも消費者庁に入ることによって機能として失われてはいけない。むしろその機能がちゃんと維持されなければいけないということがはっきりとわかること。
また、次の論点としては、商品テストについても、自治体からの依頼を受けてやるテストは全部やるということは、それはそれで、可能な限り全部やるのは勿論賛成ですけれども、それに基づいて商品群のテストということも国センとしては非常に重要視しているので、商品群のテストも引き続き今までのようにちゃんと実行できるのかということ。そこのところが我々はやや心配だということで、論点として載せているところでございます。
あとは、国民生活センターが仮に内部部局と施設等機関に分かれるとなれば、そこの間にはそれなりに当然連携が図られなければいけないと思いますけれども、そこは確保されるのかどうか。
ADRについては、今のところ、ほかの部分と違って書き方がやや曖昧になっているところがあります。国民生活センターが実施するADRは、機能として重要だということは書いてありますし、引き続き国としてやるべきものだということは本文に書いてありますけれども、どのように国として機能が確保されるのか、そこの展望が見えてこないというところを論点として書いております。
それから、情報発信調整会議とか消費者政策レビュー会議といったものを今度置いて、それなりに機能させるということが報告書に載っていることでございますけれども、会議さえ設ければうまくいくとは思いませんが、少なくとも会議を設けることが、国民生活センターの情報発信の柔軟性や機動性が確保され、後退とならない担保となるか。要するに我々が何か注意喚起したいと思っても、法執行部局からいろいろ意見などが出て、結局、国民生活センターが今までやってきたことがもっと後退してしまうというのであれば、それは非常に大きな問題だろうということで論点として考えているところでございます。
あとは、相談員のステータスについて、法的位置づけを明確化すると書いておりますけれども、具体的に相談員資格はどのような姿になるのかというのが、今のところまだ見えないというところを論点にしています。
全体としては、留意点として、消費者庁の一元化によって、国センの機能が消費者行政にとって現状を下回ることなく強化されなければいけない。消費者庁の機能は、今回の一元化によって、たぶんかなり強化されるだろうと我々としては思っていますけれども、消費者庁が強化される一方、国民生活センターの各機能が逆に全く後退してしまうというのであればそれは大きな問題ではないかというところで、そこは、最後の結論を出すに当たっての、今後、検討しなければいけない留意点として考えているということでございます。
全体として今回の報告書を見る限りにおいて、現在の消費者庁による消費者行政は必ずしも十分ではないということが、今回のこの一元化という話につながっているということでございますので、消費者行政全体が本当に強化されるかというところもしっかりと考えて、結論を出していかなければいけないと考えているところでございます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。いずれ、この中間整理に対しまして、消費者委員会としても関係方面からいろいろ御意見も伺った上で、委員会としての意見をとりまとめてまいりたいと思います。本日は時間もほとんどございませんので、意見ではなく、この中間整理自体について趣旨がわからないとかいうところがありましたら、それを明らかにしてもらうという質問に限定してお出しいただきたいと思います。
では、山口委員。

○山口委員 一番心配なのが施設等機関の性格なり権限なんですよ。従前の消費者庁が出された案では、施設等機関ができない場合には内部部局の課室として設置して何とかセンターという名称で位置づけるということで、庁の中に置くとはっきり言われていたわけです。それが削除されたところを見ると、国家行政組織法上の8条の2の施設等機関をつくることについては、自信がおありなのだろうなと思いますが、これがどの程度の組織になるのか。現在は、大臣の下に長官と理事長が一応並列の形になって、十分機能しているかどうかはともかく、独自性を持って機動的に国センが機能するという建付けになっているかと思います。これが、例えば課の下に施設等機関があって、そこで○○センターということで、ここに書いてあるような相談、研修、テスト、あるいはその他をやるということになると、ほとんどこれは庁の下部機関と一緒ですね。そうではなくて、例えば局になるのかどうかわからないけれども、どの程度の位置づけで施設等機関がつくられるのか。その辺については、庁としてはどういうふうにお考えなのかだけをちょっとお願いします。

○消費者庁林地方協力課長 今の点については実はタスクフォースの中でも、理事長から、どういうグレードになるのかという、御意見というか、確認事項のような形でいただいています。それに対してお答えしておりますけれども、実は国民生活センターからは、局長クラスあるいは審議官クラスということで確保してほしいという御意見をいただいています。これは相手がある話ですので、今、このレベルでという確約はできませんけれども、できるだけ御期待にお応えできるような形で組織の建付けは要求していきたいと思いますし、頑張っていきたいと思います。今、山口委員がおっしゃられたような、課の下に施設等機関があるということにはならないと思います。少なくとも消費者庁の内部部局の各課と並列の組織。ただ、組織の建付けから言って、長官の外にあるという組織はあり得ないので、政務三役の下に消費者庁の長官、次長がいて、この施設等機関がある、そういう組織のイメージになると思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 5ページの(4)に、支援行政と法執行の一定の分離は必要と書いてあります。、資料7-2にイメージ図があるのですが、このイメージ図で言うと、どこが一定の分離がされていると読めるのか。例えば現行のところは、紫と黄色の間に白い溝があるから非常にわかりやすいのですが、改革後は、消費者庁として上の白いところと黄色がくっついています。情報発信調整会議があったりレビュー会議があったりということで、一体どこに分離ということを読み取れるのか。その辺を説明していただきたいのですが。

○消費者庁林地方協力課長 ちょっと繰り返しになりますけれども、今は消費者庁でも、いわゆる法執行をやっております、取引・物価対策課ですとか、食品表示課といった執行担当をしております課と、それから注意喚起をする課というのは、課というレベルで組織を分けております。それは地方でも同じことで、センターと本課が一体となっているところでもラインを分けたり、あるいは組織として分けたりということで、ある種の分離をしている。その意味では、今回の建付けは、確かに左側の図と右側の図を比べますと消費者庁としては一体ですので、こういう溝があるということにはならないのですけれども、施設等機関という形で一つのまとまりで組織を置くことによって、法執行担当課との関係で言いますと、上下の関係ではなくこれは並列の関係になりますので、その意味での分離がなされているというふうに理解をしております。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 10ページのADRのところをお聞きしたいのですけれども、いわゆる法務省が認定している民間ADRがあって、これから消費者庁が地域ごとにまたADRを認証する。それから、自治体のADRも支援するとあります。ADRが幾つもあるのですが、その整理はどうなっているのか、教えてください。

○消費者庁林地方協力課長 実はこれは、タスクフォースの中でも理事長からもいろいろ御指摘をいただきました。余り混乱させてもいけないので、どちらかというと選択的になるのではないかと思います。というのは、地域ごとのADR機関を消費者庁が何らかの形で認証するというパターンは、私がこれを提起したときにイメージをしていたのは、いわゆる住宅ADRのようなパターンです。これもタスクフォースの中で青山先生から御指摘がありましたけれども、地域の弁護士会と建築士会が協力していただいて、セットでやっていただいているのですが、こういうものも、例えば適格消費者団体のようにある程度のエリアの中で活動していただいていて、ADR機能も既に一部持っているようなところがあって、そういうところを後付けで認証するというやり方もあるかなと思ってはいて、実際に自治体の中で今の苦情処理委員会のようなものとは別にADR組織を設ける動きが出てきているのだとすると、それをむしろ認知をしていくやり方もあるのではないかと思っています。両方やるというよりは、どっちかになるのではないかなというふうに思っています。
本当はもう少し自治体の動きというのが広範囲に広がっていれば、もっとそっちの方向で向かいやすいかなと思いますけれども、今、伺っていますと、東京都で具体的な動きが出てきて、これからまさにいろいろなところで出てくるかもしれないという状況なので、そのときのその時点での自治体での広がり方によって、これも建付けを考えないといけないのではないか。国センのADRをつくりましたときにも、地方の苦情処理委員会のようなものをベースに、都道府県単位のADRを設置の努力義務みたいなことを規定してはどうかということを検討した経緯もあったようです。当時は、時機の成熟度の問題と、あと、設置の努力義務みたいなものを書いてどれだけ意味があるのかといった議論もあって、制度には結びつかなかったようです。今は本当に具体的にその動きが出てきているのであれば、そうした動きをむしろ後押しすることが合理的であれば、そっちの方を選択することも考えたいと思います。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 注意喚起情報の発信ですけれども、PIO-NETによって集約された情報の分析については、とにかく消費者庁でやると。施設等機関はそれにはかかわらないという理解でよいのかということと、施設等機関が情報発信する場合の情報の分析の対象とするものが、支援相談とテストの結果だけと限定されるというように思っていいわけですか。

○消費者庁林地方協力課長 国民生活センターと私ども消費者庁との関係もそうなんですけれども、実際にPIO-NETの運営を通じて情報収集をして、一つひとつの情報の管理も含めてやられているのは、今、国民生活センターです。しかし、PIO-NETという端末は私どもにもいただいています。一部限定はかかっていますけれども、当然、端末があれば分析もできます。ただ、そこにはやはり実際上、日常的にどこまでかかわっているかという問題も含めて限界があるので、当然、国民生活センターの方がPIO-NET情報の分析という意味では今でもウエートは大きいと思います。
統合後、PIO-NET情報の分析をどこが担うのかというのは、権限的に言いますと、消費者安全課で今、集まってまいります事故情報を分析して対応するという中の一つになることは間違いないです。では、施設等機関で引き続き相談に応じたり、商品テストをやったりという中で、PIO-NET情報の分析を全くやらないのかというと、それはむしろ、相談に対応すること、それから、商品テストに応じることも含めて恐らくPIO-NET情報を見ざるを得ない。見てはいけないということではないので、それは、権限的な問題と実際にどうかかわるかという問題と少し分けて考えないといけないのではないかなと思います。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 支援相談のことでちょっとお伺いしたいのですが、10ページのところに「『消費者ホットライン』を通じたバックアップなど」云々と書いてあります。「消費者問題の早期発見、相談支援のため」ということがありますが、この相談支援というのは、先ほどの中でも経由相談と書いてあります。ただ、先ほど課長が説明されたときは、支援という言葉は抜かされて、ただ「相談」と言われました。私は、いいようにしか解釈しなかったのですけれども、この消費者ホットラインで、なかなか設置されていないところのが上がってきたりということは本来ならばあったのでしょうけれども、今、一番使っている東京都とか、神奈川とか、横浜みたいに、相談が混んでいるところのものが上がってくるというふうに伺っております。そこだけで受けたときに、先ほど相談と言われましたので、実際にあっせん業務についてどのようにされているのか、どのように考えられるのかとお聞きしたいのと、もしそういう直接の相談を受けて、あっせん業務をしない限りは相談支援というのは非常に難しいだろうと思うのです。地方自治体をバックアップするという、特に地方自治体への支援ということで強くうたわれております。やはり現場の声を聞くという力を必ずどこかで持っていただきたいと思っておりますので、このホットラインとか土日相談はどのように有効に活用できるかということを考えていただければいいのではないかなと思います。

○松本委員長 御意見ということですね。

○下谷内委員 どのようにお考えでしょうか。すみません。

○消費者庁林地方協力課長 消費者ホットラインを通じたバックアップ、これは、下谷内委員はもう御存じのことだと思いますけれども、改めて説明いたしますが、今、消費者ホットラインは最寄りの消費生活センターにかかる形になっておりますが、場合によっては、そこが相談で混んでいますと話し中になります。そうすると、つながらないで終わってしまうので、お急ぎの方には、国民生活センターにも相談にかけていただけるように、番号案内をしようとしております。それを使って、国民生活センターに直接相談に来られた方への対応をどうするかということかと思いますけれども、これについては、単に相談を受けるということだけではなく、あっせんも含めて処理をするということかと思います。そこは、今までやっております土日祝日相談は土日なので、ほかの行政組織があいていないとか、いろいろ技術的な制約もあって、今のところは、実際の処理という面で言いますと、深く掘り下げた処理はできていないようです。今後どうするかというのは、これも含めての課題なのだろうと思います。いずれにしましても、こうしたことを通じて更に消費者問題の早期発見とか、ノウハウを蓄積していくという方向で進めてまいりたいと思います。

○松本委員長 ありがとうございました。もう議論に一部入っているような人もいらっしゃいますけれども、本当に時間がないので、残念ながら、議論までは行けないということで、ここで一応打ち切らせていただきます。
消費者庁、国民生活センターにおかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
本日の議題は以上でございますが、事務局より、今後の予定について御説明をお願いいたします。

≪4.閉会≫

○原事務局長 どうも長時間、ありがとうございました。
次回の委員会は、来週5月27日(金曜日)の15時から行う予定です。議題につきましては、本日に引き続きまして、国民生活センターの在り方に関するヒアリングを予定しております。その他の議題につきましては、決まり次第、お伝えしたいと思います。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、また、時間を超過してまことに申し訳ございませんでした。ありがとうございました。

(以上)