第64回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2021年12月20日(月)10:00~11:59

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【専門委員】
野村座長、若林座長代理、河野委員、後藤委員、関口委員、坪田委員、寺田委員、長田委員
【消費者委員会担当委員】
大石委員、星野委員
【説明者】
電力・ガス取引監視等委員会事務局 田中ネットワーク事業監視課長
【消費者庁】
片岡審議官、楢橋参事官
【事務局】
加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会
  2. 公共料金等一般の改定手続について
  3. 託送料金制度改革等の詳細設計について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○太田参事官 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第64回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

公共料金等専門調査会につきましては、第7次消費者委員会としては本日が初めての会合となります。

なお、本日の会議はウェブ会議による開催となります。公開で行いますが、感染拡大防止の観点から、一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴していただいての開催となります。議事録につきましては、後日公開することといたします。

ウェブ会議による開催に当たりまして、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくこと、御発言の際はあらかじめチャットでお知らせいただき、座長からの指名の後、冒頭にお名前をおっしゃっていただくなど、よろしくお願い申し上げます。

また、カメラにつきましては、可能な範囲でオンにしていただければと思います。

構成員につきましては、お手元に配付している資料1のとおり、12月6日、消費者委員会の後藤委員長より指名されております。

座長につきましては、同日、後藤委員長から第6次に引き続きまして野村専門委員に務めていただくよう指名されております。野村専門委員におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。

なお、消費者委員会から、担当委員として大石委員及び星野委員が参加をされます。

配付資料は議事次第に記載のとおりでございます。お手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

それでは、野村座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございます。

皆様、改めましておはようございます。公共料金等専門調査会の座長を務めることになりました、関西学院大学の野村でございます。よろしくお願いいたします。

コロナ禍が2年ほど続いておりますが、エネルギー、交通が大きな打撃を被っております。御存じのとおり、燃料の値上げ、石油、LNGの輸入で値上げが続いている中、COP26でもありましたように、脱炭素化を進めなければならないという状況でございます。大変課題が多いかとは思いますが、皆様とともに公共料金について審議を進めてまいりたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

さて、座長代理につきましては、設置・運営規程により、座長が指名することになっております。座長代理には、前の期に続きまして、若林専門委員を指名させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

若林座長代理から一言御挨拶をいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

○若林座長代理 皆様、おはようございます。駒澤大学の若林でございます。

専門は経済法でございます。公共料金の在り方は、長期的に見ても現在一つの転換点にあると思いますし、もう少し短期的に見ましてもこのコロナ禍の経済状況を鑑みますと、公共料金の持つ意味は消費者にとってますます大きなものとなっているかと思います。その意味で身の引き締まる思いでおります。

微力ながら、少しでもお役に立てればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございました。

引き続き、今期より新たに本専門調査会に参加される委員の皆様を御紹介いたします。前期では電力託送料金に関する調査会委員を務められた後藤委員、新たに公共料金等専門調査会委員に御就任いただきました河野委員、関口委員、長田委員、そして、消費者委員会からのオブザーバーとして新たに御参加いただきます星野委員です。つきましては、河野委員、後藤委員、関口委員、長田委員、星野委員の順で一言御挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○河野委員 皆様、おはようございます。日本消費者協会の河野康子と申します。

長く消費者団体の活動を通して暮らしや消費者に関わる課題と向き合ってまいりました。現在は差止め請求訴訟活動や少額多数の消費者被害回復活動を行っている消費者団体を消費者側から財政面で支援する消費者スマイル基金の活動や、外務省のSDGs推進円卓会議の構成員としてアクションプランの策定等に関わっております。

コロナ禍の終息が見通せない中で、各種公共料金等の値上げに関する報道が増えていますが、消費者、生活者目線でしっかりと公共料金の問題に向き合ってまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○野村座長 ありがとうございました。

次に、後藤委員よりお願いいたします。

○後藤委員 東京工業大学の後藤美香と申します。

エネルギー経済学を専門としております。今年夏に一段落いたしました電力託送料金に関する調査会で、野村座長をはじめ、本日御出席の何人かの委員並びに事務局の皆様に大変お世話になりました。

改めまして、このたび公共料金等専門調査会に参加させていただくこととなりまして、先ほども野村座長からございましたけれども、エネルギーに関して、今、環境面、グローバルな費用、コストの問題、また、ローカルな再生可能エネルギーの普及など様々な問題、課題が出てきているところかと存じます。そのような議論に参加させていただきまして、少しでも微力ながらお役に立てればと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○野村座長 ありがとうございました。

それでは、関口委員、よろしくお願いいたします。

○関口委員 神奈川大学の関口でございます。

会計学を勉強しておりまして、前任者の白山委員の任期が参ったということで、入れていただくことになりました。年が年ですので規定上の任期が満つる前に年が来てしまうのではないかと思いますが、よろしくお願いいたします。

現在は内閣に設置されている郵政民営化委員会にもお手伝いで入らせていただいております。他の料金についても少しずつ勉強してまいります。よろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございました。

それでは、長田委員、よろしくお願いいたします。

○長田委員 長田でございます。よろしくお願いいたします。

私は第4次、5次の消費者委員会の委員としてこの専門調査会の担当委員をやらせていただいておりました。もともと地域の女性団体の組織の事務局をずっと務めておりまして、そういう意味からいえば、これから人口がどんどん減っていく状態の中で全国的にユニバーサルにエネルギーや通信などを届けていくといういろいろな課題があると感じています。

これからいろいろお勉強させていただきながら、委員として頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございました。

最後に、星野委員からお願いいたします。

○星野委員 慶應義塾大学経済学部の星野と申します。

この9月から消費者委員会委員に就任いたしまして、本専門調査会の担当としてオブザーバー委員として参加させていただきます。

私の専門は二つありまして、まず一つは計量経済学でございまして、エビデンスに基づく政府の政策決定にどのようなデータが必要かといったことに関しまして、内閣官房のEBPM推進委員会データ利活用ワーキンググループの構成員として議論に参加しておりました。また、もう一つは行動経済学でございまして、消費者の価格についての反応や錯誤を与えるような価格提示、例えばドリッププライシングなどがありますけれども、最近、行動経済学的な知見の政策への活用は非常に盛んでございまして、海外でも非常に消費者保護政策に利用されております。公共経済学そのものは専門ではございませんが、応用計量経済学や行動経済学的観点から何かコメントや意見ができましたら幸いでございます。よろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございました。

私はタイムキーパー兼司会ということで、発言する回数はあまり多くはないと思いますが、皆様の活発な御議論によって進めてまいりたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

本日の進行についてでございますが、途中で私の回線が切れた場合には復旧するまでの間座長代理に、座長代理の回線も併せて切れてしまった場合には事務局に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

そうしましたら、ここから議事に入らせていただきます。


≪2.公共料金等一般の改定手続について≫

○野村座長 本日の最初の議題は「公共料金等一般の改定手続について」でございます。

当専門調査会では、今後、各種の公共料金等の改定につきまして調査審議していくことになっておりますが、その前提として公共料金等一般の改定手続について消費者庁から御説明いただきたいと思います。

本日は、消費者庁から、片岡消費者庁審議官、楢橋公益通報・協働担当参事官にお越しいただいております。

御多忙のところ、御協力いただきまして、誠にありがとうございます。

そうしましたら、5分ほどで御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁片岡審議官 野村座長、若林座長代理、委員の皆様、そして事務局の皆様、おはようございます。

公共料金についてということで、皆様御案内かもしれませんけれども、公共料金の価格の引上げ、改定につきましては、関係省庁の申合せを踏まえまして、消費者庁が事前に協議等を受けることになってございます。ここ1年の事例を見ても、結構な改定の手続があるのかという印象を持ってございます。先ほど脱炭素、エネルギーという話もございました。政策的な論議はもちろんございますけれども、我々消費者庁として公共料金の改定に当たって見ている視点といいますか、こういった視点から見ているということで三つほど挙げさせていただきたいと思っています。

1点目は、もちろん価格の引上げの妥当性ということで、これは各省庁の検討会の中で消費者サイドの委員の方なども入れられて検討されていると認識しておりますし、昨今のデフレといいますか、CPIがなかなか増えない状況の中で公共料金をどうやって見ていくのかということもあるのかとは思っております。

2点目は、その時々の経済情勢といいますか、今、この時期に引き上げることの妥当性で見るということもあるかと思っています。消費税の増税のようなタイミングが正に典型的な例であろうかとは思いますけれども、それに加えて昨今の原油価格の引上げみたいな話も消費者物価全般にどのような影響があるかという点では詳細を注視していかなければいけないと思いますが、そういう経済情勢みたいなものを参考に見せていただくこと。

3点目につきましては、引上げの時期です。発表してから実際に引上げをされるまでのタイムラグといいますか、周知期間が妥当なのかどうか、国民への影響の点でどうかといったことで見せていただくということかと思っております。

詳細につきましては、この後、楢橋から説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

○消費者庁楢橋参事官 それでは、引き続きまして、物価対策を担当しております参事官の楢橋と申します。

資料2を御覧いただきたいと思います。資料2に沿って、簡単ではございますけれども、公共料金等について御説明を申し上げます。

「公共料金とは」ということで1ページでございますけれども、これは御案内のとおり、釈迦に説法でございますけれども、我が国は市場経済が基本ということになっておりまして、市場における自由な競争を通じて価格が決められるということになっておるわけなのですけれども、この中に国会、中央政府あるいは地方公共団体といった公的機関が、その水準や改定に直接関わっているものがございまして、これらは総称して公共料金と呼ばれているところでございます。

2番目の「公的機関が関与する理由」というところでございます。市場に任せていくということで、本来であれば最も効率的な取引により、最適な資源配分がなされるというところでございますけれども、その性格によりまして、例えば巨額の設備投資が必要なため1社の独占にならざるを得ない場合、いわゆる自然独占の場合、あるいは全国どこでもあまねく公平なサービスを提供すべき場合、いわゆるユニバーサル・サービスなどについては、政府によって何らかの規制が求められるということかと存じます。

2ページを御覧いただきたいと思います。まず、公共料金の新規設定あるいは変更に際しまして、消費者庁においては閣議決定されております消費者基本計画、こちらに基づいて様々な施策を展開していくことになりますけれども、その中で消費者基本法第16条第2項の趣旨を踏まえ、消費者に与える影響を十分に考慮し、三つございますけれども、まず決定過程が透明かどうか、二つ目としてその場合に消費者の参画の機会が与えられているかどうか、三つ目として料金の適正性が確保されているかという課題を検討して実施することになってございます。

公共料金の新規設定あるいは変更については、もちろんこれは関係する所管省庁、こちらで十分に検討が行われて手続が開始されるということになりますけれども、必要なものについては事前に消費者庁と協議をするということになっておりまして、そのうち重要なものについては、消費者委員会で御審議いただいた上で、物価問題に関する関係閣僚会議、こちらへ付議することになっているところでございます。

3ページ、御覧いただきたいと思います。改定のプロセスでございますが、こちらには例示をしてございますけれども、真ん中辺りに「所管省庁」とございます。事業者から所管省庁に申請がございまして、所管省庁の審議会等において手続等を経て消費者庁に協議がされるということになります。消費者庁のほうでは消費者委員会、こちらの公共料金等専門調査会に付議をさせていただきまして御意見を頂戴する、その御意見を踏まえまして物価問題に関する関係閣僚会議に付議する、その結果を踏まえて所管省庁から事業者へ認可をするというような流れになっております。様々な公共料金、若干所管省庁の手続は違うところはございますけれども、おおむねこのような流れで決定をされていくというところでございます。

4ページを御覧いただきたいと思います。参考としまして、物価問題に関する関係閣僚会議についての閣議口頭了解のものでございます。

5ページ、そのメンバー、構成員を記載させていただいております。内閣官房長官を主宰者といたしまして、当庁の所管である消費者問題に関しての内閣府特命担当大臣以下、関係閣僚によって構成をされておるところでございます。

6ページ、その重要なものということで、物価問題に関する関係閣僚会議に付議する例を記載させていただいてございます。総務省、財務省、経済産業省、国土交通省、このような関係するところでは、例えば定形郵便物の料金、NTT東西の固定電話、公衆電話の通話料金、たばこの小売定価、大手の電力会社の供給約款料金、大手のガス会社6大都市に係る供給約款料金もこの対象とさせていただいております。また、鉄道関係、バスの関係、タクシーの関係、ここに記載のような重要なものについては、この消費者委員会に付議をさせていただいた上で、物価問題に関する関係閣僚会議に付議するという流れになってございます。

最後に7ページでございますが、ここ10年間で物価問題に関する関係閣僚会議に付議させていただいた案件について載せさせていただいておりますので、参考にしていただければと思います。

消費者庁としましては、世の中の流れを踏まえて、関係各省庁と常日頃から情報交換等を行いながら、必要に応じて適切に対応してまいるという観点で調整をさせていただいておりますので、必要に応じてこちらにも付議をさせていただきます。その際、またよろしくお願いをしたいと思います。

私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○野村座長 片岡審議官、楢橋参事官、御説明ありがとうございました。

それでは、ただいまの消費者庁からの御説明について御発言を希望される方は、チャットでお知らせください。質疑応答、意見交換に20分程度を使いたいと考えております。よろしくお願いいたします。

大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 資料の御説明ありがとうございました。

素朴な質問として何点かお聞きしたいと思います。御説明いただいた資料の6ページ、参考3として「物価問題に関する関係閣僚会議に付議する公共料金の例」として挙げていただいているものについての質問です。総務省のNTT東西の固定電話や公衆電話というのはこれまで長年使ってきたと思うのですが、世の中の動きとして、現実的には携帯電話の利用者のほうがかなり増えてきている中でも、この固定電話の必要性があるので、このまま公共料金として残るということなのか、逆にこれだけ携帯電話が増えてきているので携帯電話に関して公共料金としての扱いは今後も行わないのか、というのが1点目です。

それから、経済産業省のところのマル2、たしか一般ガス事業者については、東京と大阪については導管を分離して自由化したというような話を聞いていたと思いますので、そうなってくると、公共料金の縛りから外れることになるのか、その2点について教えていただけますと有り難いです。

○野村座長 よろしくお願いいたします。

○消費者庁楢橋参事官 お答え申し上げます。

1点目の総務省に関係する電話のことですね。固定電話料金については、現行の枠組みが維持される限りはこのように続いてまいるということでございます。

公共料金ですけれども、政府によって何らかの規制が行われている、認可に係らしめるとか、そのようなものが行われているということで対象になってまいりますので、携帯電話についてはそのようなものにはなっていかないと思いますけれども、消費者庁としましては御指摘のとおり大変重要な料金だと思っておりますので、注視はしてまいりたいと考えてございます。

2点目のガスのことですけれども、申し訳ございません。ガスにつきましては後ほど調べた上でお答えを申し上げます。

○消費者庁片岡審議官 補足をいたします。

ガスはおっしゃるとおり自由化がされてはいるのですけれども、これは経産省にも確認をしなければいけませんが、恐らく電力と同じような扱いになっているのかということではないかと思っています。

携帯電話のところは事業者が複数あるということで、1社独占みたいではないかと言われるかもしれませんけれども、1社独占にはなっていないということで公共料金という位置づけにはなっていないということかと思っています。御指摘の固定電話についてはそういう議論も確かにあるのかとは素直に思います。今後議論していく話なのかもしれません。

○消費者庁楢橋参事官 「物価問題に関する関係閣僚会議に付議する公共料金の例」というところで資料2の6ページでございましたけれども、電気・ガスそれぞれの料金につきましては、御案内のとおり小売の全面自由化が図られておりまして、ガスにつきましては2017年、平成29年の4月からこのような措置がなされております。ただ、一方で、適正な競争関係が認められない場合、このような場合については経過措置として規制を存続するということになっておりまして、こちらに掲げております東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの6大都市に係る供給約款料金、これらについては経過措置がなされてきたところでございますけれども、委員から御指摘がありましたように、東京、大阪につきましてはこの10月1日から解除されてございますので、残る東邦ガスにつきましては経過措置が継続されますので、規制が延長されるといったところでございます。

先ほど説明が足りませんで、申し訳ございませんでした。よろしくお願いいたします。

○野村座長 他にいかがでしょうか。

よろしいでしょうか。

今も問題に上がりましたように、いわゆる昔の自然独占型産業、公益事業が規制部門と非規制部門、すなわち自由化部門と併存するような形で動いていることに加え、更にアンバンドリングと呼ばれる構造改革を進めていることなどで、公共料金の考え方が非常に難しくなってきている中で、利用者側のエンドユーザーの料金に対する関心が高まっています。この辺りをどう整理していくかが難しくなっていると感じております。是非とも今後も消費者庁のお知恵をお借りしながら、この専門調査会を進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

他になければ、ここで公共料金等一般の改定手続についての御説明と意見交換を終わらせていただきます。よろしいでしょうか。

消費者庁においては、お忙しい中、御説明いただきまして、ありがとうございました。

それでは、ここで終わらせていただきます。

≪3.託送料金制度改革等の詳細設計について≫

(電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 入室)

○野村座長 それでは、次の議題の「託送料金制度改革等の詳細設計について」を、始めさせていただきます。

それでは、まず本件の経緯について、事務局より説明をお願いしたいと思います。

太田参事官、よろしくお願いいたします。

○太田参事官 事務局の太田でございます。

それでは、消費者委員会における電力託送料金制度等の詳細設計に関する検討の経緯につきまして、御説明申し上げます。

近年頻発している自然災害への対応や脱炭素社会に向けた再生可能エネルギーの導入拡大等を背景といたしまして、送配電ネットワークの強化の必要性が高まる中で、電力託送料金制度につきましては、一般送配電事業者における必要な投資の確保とコスト効率化を両立させる観点からの見直しが求められているところでございます。

こういったことを背景といたしまして、令和2年6月にいわゆるエネルギー供給強靱化法が成立いたしました。これに基づきまして、各種の制度改革が行われることとなったわけでございますが、このうち託送料金制度改革と配電事業ライセンスの導入につきましては、託送料金の変動を通じまして、消費者向けの電力料金にも大きく影響を与えるということでございますので、消費者委員会におきましても、令和2年8月より公共料金等専門調査会の下に電力託送料金に関する調査会というものを設置して調査審議を行っていただきまして、経済産業省の資源エネルギー庁及び電力・ガス取引監視等委員会事務局から、それぞれにおける検討状況につきましてヒアリングを行ってきたところでございます。

その後、本年6月に資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会の持続可能な電力システム構築小委員会におきまして、第二次中間取りまとめというものが行われたことを受けまして、消費者庁長官から消費者委員会に対しまして、電力託送料金制度改革と配電事業につきまして意見を求められたということでございまして、これを受けまして、本年7月に、本日は参考資料1ということで配付させていただいておりますが、消費者委員会としての意見書を取りまとめて発出していただいたところでございます。

なお、資源エネルギー庁におきます第二次中間取りまとめにつきましては、電力託送料金制度において導入を検討しておりますレベニューキャップ制度は骨格部分のみが提示されたということでございまして、専門性の高い詳細な論点につきましては、電力・ガス取引監視等委員会料金制度専門会合の下に設置されたワーキンググループにおきまして、引き続き検討が行われたということでございます。そのワーキンググループでの検討が一段落いたしまして、本年11月24日に料金制度専門会合におきます中間取りまとめというものが出されたということでございまして、更に12月3日にはエネ庁の構築小委員会に報告が行われたというところでございます。このため、本日は電力・ガス取引監視等委員会事務局から「料金制度専門会合中間取りまとめ」の概要などにつきまして御報告いただきまして、消費者委員会の意見を適切に踏まえた内容となっているかどうかといったことにつきまして御確認いただく機会としていただいてはどうかと考えてございます。

なお、第6次の消費者委員会におきましては、公共料金等専門調査会の委員のお一人が資源エネルギー庁の構築小委員会や電力・ガス取引監視等委員会料金制度専門会合の中心的なメンバーを兼ねておられたということでございまして、議論の中立性を確保する必要性があったこと、さらに、電力託送料金制度等の改革について比較的長期にわたってまとまった御議論をしていただく必要があったことから、当専門調査会の下に電力託送料金に関する調査会を別途設置いたしまして調査審議を行っていただいたということでございます。今期につきましては、当該兼務されていた委員が御退任されたということもございますし、さらに、本年7月の意見の発出によりまして、当委員会での調査審議は一つの区切りを迎えたということでございますので、野村座長にもお諮りさせていただいた結果、公共料金等専門調査会のほうで直接報告聴取を行っていただくことになった次第でございます。

簡単ではございますが、以上が本件の経緯についての御説明となります。

○野村座長 ありがとうございました。

それでは、電力・ガス取引監視等委員会事務局からヒアリングを実施したいと思います。

本日は、田中ネットワーク事業監視課長にお越しいただいております。

御多忙のところを御協力くださり、誠にありがとうございます。

それでは、40分程度で御説明をお願いしたいと考えております。よろしくお願いします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 電力・ガス取引監視等委員会事務局ネットワーク事業監視課長の田中でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、まず資料3-1を御覧いただけますでしょうか。こちらは「料金制度専門会合中間取りまとめ」ということになっております。

先ほど太田参事官から御説明いただきましたように、レベニューキャップ制度につきましては、昨年の7月から検討を重ねてまいりまして、このたび今年の11月に中間取りまとめを料金制度専門会合で行い、その後、更に資源エネルギー庁の構築小委にて御報告させていただいたものでございます。

では、まず資料3-1に関して御説明をさせていただきたいと思います。

1ページ、タイトルになってございまして、2ページと3ページ、こちらは目次になっております。

4ページを御覧いただきますと、新たな託送料金制度の導入の背景・趣旨ということで、こちらにつきましては、必要な投資の確保とコスト効率化を両立させまして、再エネ主力電源化やレジリエンス強化等を図ることを目的といたしまして、レベニューキャップ制度を導入することとなったということで記載をさせていただいております。

また、下でございますが、こちらは資源エネルギー庁からのタスクアウトということで、この詳細設計については監視委で検討を行ったということで経緯を記載しております。

5ページ、上の(3)でございますけれども、議論経過ということでございますが、先ほど少し申し上げましたように、去年の7月より料金制度専門会合を設置いたしまして、また、今年の1月からは料金制度ワーキンググループを設置しまして、更に専門性の高い論点について議論を実施したということで、料金制度専門会合を計8回、料金制度ワーキンググループを計6回開催いたしまして、この11月ということで取りまとめに至ったというものでございます。

(1)につきましては、レベニューキャップ制度の大枠ということでございます。(2)に関しましては指針の位置づけを記載しておりまして、6ページの(3)規制期間ということについては、海外の事例なども参考に、この規制期間に関しては5年ということで設定をいたしております。

6ページ、「3.目標設定」ということでございますが、(1)につきましては目標設定にあたっての基本的な考え方を記載させていただいております。

7ページ、マル2につきましては、目標において設定するインセンティブの類型ということで、そのインセンティブの類型につきましては、7ページの下にありますように、翌規制期間の収入上限の引上げ・引下げを行うもの、又はレピュテーショナルインセンティブを付与するものという2種類を設定しております。

具体的に一送が一定期間に達成すべき目標及びインセンティブにつきましては、8ページ、9ページの一覧の表のような形でまとめさせていただいております。

9ページ、一定期間に達成すべき各目標とインセンティブの設定ということでございまして、マル1収入上限の引上げ・引下げのインセンティブを設定するものにつきましては、全部で4項目あるわけでございますけれども、停電対応、新規再エネ電源の早期かつ着実な連系、需要家の接続、計量、料金算定等の確実な実施については、目標の算定方法、評価方法、インセンティブの水準などについて下記のような形で整理をしております。

停電対応でございますが、まず第1規制期間については、停電時間の過去実績の把握が可能な低圧(電灯)の需要家の停電量を目標の対象とすることとしております。

10ページ、事故停電のうち内生要因により発生した停電を評価の対象とすることにしておりまして、また、具体的な評価方法については、中ほどにございますように、インセンティブ付与の評価については、一送の横比較の観点や、縦比較(事業者ごとの経年比較)を組み合わせて評価を行うこととしております。

下は、新規再エネ電源の早期かつ確実な連系ということでございまして、11ページにつきましては需要家の接続ということが続いておりまして、12ページについては計量、料金算定、通知等の確実な実施ということで、それぞれ具体的な評価方法についても停電時間と同様にこの記載をしているということになっております。

12ページの下から、インセンティブの水準についてでございますが、インセンティブのボーナス、ペナルティの水準については、13ページの真ん中辺りの表の形で整理をいたしております。第1規制期間における幅については抑制的に小幅とすることが妥当ということで整理をいたしておりますので、このような水準ということにしております。

13ページの真ん中、レピュテーショナルインセンティブの設定・評価方法につきましては、その達成状況を事後的に評価いたしますが、その進捗状況を適切に把握する観点から、期中にもこの確認を実施することにしております。

下のステークホルダー協議の設定については、こちらのマル3に記載のとおりの形で設定を行うこととしております。

14ページ、(3)第2規制期間に向けて検討を深めるべき事項ということでこの記載をしておりますけれども、停電対応における目標設定ということについては、先ほど申し上げましたとおり、停電量の推計に当たっては、現在の各一送の停電量の把握状況を踏まえ、低圧電灯需要家における停電量を第1規制期間の目標の対象としたわけですが、ただし、レベニューキャップ制度において各社の停電対応を正確に把握する上では、全ての需要家における停電量を把握することが重要であることから、このため、第2規制期間より特別高圧需要家、高圧需要家における停電量も目標の対象とする方向で、2023年度より各需要家1件当たりの停電時間等についても実績採録を開始することといたしております。

15ページ、「4.収入上限の算定方法」でございますが、(1)収入上限算定の全体像及び方針ということですが、CAPEX、OPEX、その他費用として区分した上で査定方法を検討いたしております。

(2)から具体的に各費用区分の査定方法ということでございますけれども、OPEX査定(人件費、委託費等)につきましては基本的方針として、効率的な事業者における実績値等を用いた統計的な査定と将来の効率化を促す効率化係数を組み合わせて行うことといたしております。16ページの上の図のような形ということでございます。

OPEX統計査定の具体的な方法ということで16ページから17ページに続いておりますけれども、17ページのような形のプロセスで行っていくということで、まず全体の効率性を反映した推計費用の算出につきましては、重回帰分析を統計手法として採用し、推計式の設定につきましては、過去5年間の費用実績を用いることとしております。推計式の設定方法については、第1規制期間は、OPEX総額に対して推計式を設定した上でOPEX総額の推計費用を算出するということとしております。17ページのD)でございますが、説明変数については18ページにございますように、需要要因については最大負荷、地理的要因については可住地面積、経済水準については都道府県の人事委員会が公表している民間給与ということでそれぞれ設定することといたしております。

また、18ページの真ん中以下でございますが、トップランナー的補正の設定につきましては、効率性スコアの設定に当たっては、重回帰分析によって算出した各社の年度ごとの推計費用と実績費用を比較して、効率性スコアを算出・設定するということとしております。さらに、トップランナー的補正における効率性スコアの水準ということについては、期初は上位5位、期末は上位3位を基本といたしまして、トップランナー的補正を行った推計費用に対して各事業者の過去実績を50パーセント反映することが妥当ということで整理をいたしております。

19ページの上のところが、第1規制期間におけるOPEX統計査定の全体像ということになってございます。

19ページ、真ん中、CAPEX査定についてでございますけれども、設備投資額について「投資量」と「投資単価」に分類して行うことを基本といたしております。

20ページ、真ん中、減価償却の方法につきましては、原則として定額法を採用することとしつつ、事業運営に影響が及ぶといった合理的な説明がなされた場合には、定率法による減価償却額を収入上限に算入することも認めることとされたものでございます。

20ページ、「投資量」の確認方法でございますが、連系線・基幹系統につきましては、マスタープランや広域系統整備計画の内容を適切に反映したものとなっているか確認をすることとしております。

21ページ、ローカル系統(拡充投資)につきましては、工事件名が特定できるものについては工事件名ごとに、工事件名が特定困難な場合は設備ごとに分類をして、妥当な投資量になっているかを確認することとしております。

配電系統の拡充投資につきましては、需要・電源対応を目的とする拡充投資量については、配電設備形成ルールや過去実績、将来の需要に基づいて決めると。無電柱化対応につきましては、無電柱化推進計画に基づいて投資量の妥当性を確認することとしております。

21ページ、ローカル系統・配電系統の更新投資ということにつきましては、リスク量算定対象設備については、各設備のリスク量合計値(総設備リスク量)が現状の水準を維持できるよう、投資量を確認することといたしておりまして、他方で、リスク量算定対象外設備の投資量については、設備ごとにそれぞれ過去実績等に照らして確認をすることといたしております。

「投資単価」の査定方法につきましては、21ページの下でございますが、連系線・基幹系統については、個別の工事件名ごとに検証を行うということでございます。

22ページ、ローカル系統の主要設備の単価の査定につきましては、主要設備については重回帰分析を用いた推計費用の統計的な算出を行うことにしております。

他方、重回帰分析の結果、決定係数が低い費用、物品費・工事費につきましては、中央値を用いて一般送配電事業者間の比較査定を実施することにいたしております。

なお、23ページにございますように、単価が高額となる案件につきましては、統計的に対象案件を検出して個別査定を実施することといたしております。

23ページ、配電系統(主要工事目的)でございますけれども、主要工事目的ごとの投資費用における推計費用の算出については、こちらも実績単価を用いた統計的な査定を行うわけですが、その設定においては統計手法として重回帰分析を用いることといたしております。

同様に24ページ、重回帰分析の結果、決定係数が低い投資費用につきましては、中央値を用いた横比較査定方法を採用することといたしております。

なお、無電柱化対応につきましては、中央値を用いたトップランナー査定を基本としつつも、必要に応じて期初の個別説明による調整や、実態を踏まえての事後的な調整を実施することといたしております。

また、トップランナー的補正の設定につきましては、効率性スコアの水準はOPEX査定で期末に目指す水準と平仄を合わせ上位3位としておりまして、また、推計費用に対しての各事業者の過去実績については、70パーセント反映することにしております。

24ページ、25ページ、主要設備以外のその他の設備ということにつきましては、主要設備のトップランナー査定における各社の査定率を「その他設備」費用に対しても適用することにしております。

25ページ、「その他投資」の査定方法ということで、送配電設備以外の設備投資、通信設備工事やリース関連ということでございますけれども、これらについては投資量と単価に区分することなどが困難であると考えられることから、各社の見積費用について個別ヒアリングを実施し、妥当性を確認することといたしております。

CAPEXの統計査定の全体方針については、26ページの上の図のとおりということでございます。

26ページ、「その他費用」査定でございますが、修繕費に関しましては、いろいろな種類の費用がございますので、27ページの上の表4のような形でそれぞれの修繕費の性格に応じてこの査定方法を適用することとしております。

27ページの賃借料、固定資産除却費、託送料、28ページの離島ユニバーサル費用、その他の費用、収益といったこれらの項目については、個別ヒアリングを実施して妥当性を確認することにいたしておりますし、28ページのマル4の次世代投資査定につきましては、投資プロジェクトごとに確認することといたしております。

28ページの下の制御不能費用につきましては、制御不能費用の基本的な考え方ということでマル1に記載をしております。具体的には29ページの図9のような形でこの考え方を整理しておりまして、具体的にどういった費用を制御不能費用の対象とするかということについては、29ページのマル2及び表5のような形で一覧として記載をしております。

30ページのマル3でございますが、制御不能費用の具体的な調整方法については、制御不能費用の変動については、原則として翌期にこの調整を行うということなのでございますけれども、規制期間中の累積変動額が収入上限の5パーセントに達した場合や、特に外生性が強い費用などについては、その変動分を期中に調整をすることにしております。

また、(4)でございますが、事後的に実績費用の確認・検証を行った上で必要な調整を行う費用につきましては、表6のような形の資料を整理しております。

31ページ、(5)事業報酬につきましては、マル1自己資本報酬率と他人資本報酬率の算定方法については、最新の数値や分社化の状況も踏まえた諸元に更新をすることとしております。

マル2事業報酬率の算定における自己資本比率につきましては、32ページに移っていただきますと、第1規制期間については暫定的に自己資本比率30パーセントを維持することが妥当と整理をいたしております。

また、マル3におきまして、レートベースの対象資産については、現行制度と同様ということにしております。

マル4の追加事業報酬につきましては、現行の制度では地域間連系線については事業報酬が上乗せされているわけですが、今後はマスタープランにおいて費用便益分析を行った上で、系統増強判断がなされることから、新たに増強方針を決定する地域間連系線については追加事業報酬を設定しないということにしつつ、マスタープラン以前にこの方針が決定された連系線については、既に投資判断がなされていることを踏まえ、追加事業報酬を維持することとしております。

33ページ、効率化係数の設定につきましては、34ページにございますとおり、約2.5パーセント/5年(年率0.5パーセント)を効率化係数として設定することといたしております。

34ページ、(7)のマル1は期初に計画した投資量が変動した場合の扱いについて記載をしておりまして、35ページのマル2については期初に予見できない費用変動の扱いについて記載をしております。

35ページ、(8)各費用算定における課題及び第2規制期間に向けて検討を深めるべき事項につきましては、OPEX査定については機能別の計上が異なる費用を特定し、全事業者で各費用の計上方法が統一されるよう検討を進めることで、第2規制期間に向けては、機能別の費用を用いた横比較を行う等、更に精緻な統計査定のプロセスを導入することを目指しております。

CAPEX査定については、こちらの一部の設備においては重回帰分析で高い決定係数が得られなかったということでございますので、36ページにございますように、これを踏まえ、第2規制期間に向けては、重回帰分析を用いたトップランナー査定が可能となるよう、詳細な事例、要因等の分析を通じて、可能な限りデータの蓄積やそれを用いた詳細な分析を進めることといたしております。

また、自己資本比率の設定につきましては、マル3にございますように、第2規制期間の事業報酬率算定において採用する自己資本比率については、第1規制期間における自己資本比率の推移や、各社の分社化後における財務方針等もよく確認した上で適切な自己資本比率の設定を行うこととし、その設定方法についても抜本的な見直しを実施することといたしております。

36ページ、「5.事業計画」でございます。(1)は事業計画の位置づけということでございまして、(2)は事業計画全体の構成ということで、この37ページの上のような形で記載をしております。

なお、37ページ(3)以下では、収入上限の算定を行うにあたり事業計画において提出を求める事項ということで、この事業計画については、収入上限の査定区分や査定方法を踏まえ、以下の計画ごとに必要な情報の提出を求めるということとなっております。37ページ以下、この査定に当たって必要な情報が列記をされておりまして、37ページから41ページまで、必要な詳細な資料のデータの記載をしているところでございます。

41ページ、「6.実績収入と収入上限の乖離の調整」ということですが、(1)実績収入と収入上限の乖離が発生した場合の基本的な調整方針ということでございますけれども、実績収入と収入上限の乖離額については全額調整することといたしまして、その収入上限を超えない範囲で期中の料金変更を行うことも認めるということになっております。

また、規制期間中に料金下げを求める基準については、(3)に記載しておりますが、需要が増加した場合には一送にとって期中に料金を下げるインセンティブがないため、毎年度の想定収入と実績収入の乖離額を確認することといたしまして、累積乖離額が収入上限の5パーセントを上回った場合には、料金水準の妥当性検証を行い、料金改定が必要と判断された場合には、託送料金を下げ、収入変動額を全額調整することと整理いたしております。

42ページ、「7.利益(損失)の扱い」ということでございます。実績費用が期初に見積もった費用を下回った場合(上回った場合)は、一般送配電事業者の利益(損失)とすることといたしております。なお、その利益(損失)につきましては、規制期間中は全額留保し、翌規制期間に一般送配電事業者が半額を持ち越し、系統利用者に半額を還元することといたしております。

「8.託送料金の算定に係るルールについて」でございますが、こちらは「5年一律の託送料金」とすることを基本といたしますが、合理的な説明があった場合は「年度毎に異なる託送料金」を設定することを個別に認めることもあり得ると整理いたしております。

なお、託送料金の算定(費用配賦・レートメイク)につきましては、第1規制期間に向けて収入上限の設定及び発電側課金の導入に係る制度整備を行うこととし、需要側の託送料金の算定については現行ルールを適用することとしております。今後第2規制期間に向けては、託送料金の算定における必要な見直しの議論を慎重に進めていくことといたしているところでございます。

「9.その他」、各調整の具体的な方法ということでございます。(1)につきましては、第2規制期間の初年度に評価を行い、2年目以降の収入上限に反映する方法を採用することと整理しております。

(2)廃炉等負担金の扱いにつきましては、こちらは過去捻出されてきた実績値を踏まえて、収入上限に算入することと資源エネルギー庁の審議会において整理がなされているところでございますので、過去の廃炉等負担金の実績値や、第4次総合特別事業計画における想定等も踏まえて、見積金額の妥当性を確認することといたしております。

43ページ、(3)配電事業者参入に伴う対応につきましては、配電事業者による混雑管理の取組等によって、一送の系統増強が回避されるケースなども想定されることから、分散グリッド化を推進していく観点や、一送の系統増強回避を通じたコスト効率化を促進する観点から、一送、配電事業者双方に対してインセンティブを設定することが妥当ということで整理しております。

44ページ、(4)指定区域供給制度導入に伴う対応につきましては、この収入上限の事後的な調整を検討する、実施をすることといたしているところでございます。

45ページにつきましては、「10.おわりに」ということでございまして、46ページ、47ページに関しては、この料金制度専門会合の委員名簿や、49ページについては、これらの会合の開催実績ということで記載をいたしております。

以上が中間取りまとめのワードのファイルということでございまして、詳細な参考資料については、資料3-1参考資料ということで添付をしておりますが、こちらに関しては参考資料ということなので、説明は割愛をさせていただきます。

続きまして、資料3-2を御覧いただけますでしょうか。2ページの1.を御覧いただきますと「レベニューキャップ制度における対応について」ということで、消費者庁及び消費者委員会から御提示のあった電力託送料金制度等の詳細設計の在り方に関する御意見については、以下のように整理を行うこととしておりまして、このような形で対応させていただいているところでございます。

2ページの上でございますが、目標の設定・評価、インセンティブ付与の在り方については、目標の設定について、特にインセンティブとして収入上限の上げ下げを行う項目は必要最小限とし、インセンティブ水準についても社会的便益や費用対効果を考慮して適切に設定しております。

収入上限の審査方法についても、こちらの御意見をいただいていたところでございますけれども、こちらにつきましてもトップランナー査定による事業者間比較に加えて、野心的な水準の効率化係数を設定することと整理をいたしております。また、高額な設備投資案件については、事業者においても第三者を交えた事前検証等を行うなど、審査の透明性を確保する形で整理をいたしております。

託送料金等の設定・変更につきましては、制御不能費用については、外生性の強い費用のみを限定的に対象とすることと整理をいたしております。

規制期間終了時の評価と利用者への還元につきましては、利益分配・損失の分担については、利用者への迅速な還元と事業者の効率化インセンティブが両立できるよう50パーセント還元、50パーセント持ち越しと整理をしております。

消費者への情報提供、消費者の意見の反映に関していただいていた御意見につきましては、一部の目標項目においては、事業者が消費者を含むステークホルダーとの協議を通じて、その意見を反映した形で設定することを求める等の対応をすることといたしております。

3ページ、「2.レベニューキャップ制度下の料金算定の在り方について」でございます。こちらにつきましては、この電圧別配分のルールの在り方について、消費者庁、消費者委員会より御意見をいただいていたところでございますけれども、この消費者委員会よりいただいていた電圧別配分のルールに加え、3ページ以下のような複数の継続論点が存在をするところでございます。したがいまして、この種々の論点があるところでもございますので、現在進めているレベニューキャップ制度の詳細設計が終了後、第1規制期間中に必要な検討を進めることとし、その検討結果を踏まえ、第2規制期間において必要な見直しを検討することといたしたいということでございます。

4ページ、「3.今後のスケジュール」につきましては、以下のスケジュールで制度開始に向けた準備を進めていく予定としております。下にございますとおり、今回この取りまとめということで行ってございますので、今後3月までにこの省令改正等を行いまして、2022年度におきまして一般送配電事業者による申請や審査を行いまして、2023年4月からレベニューキャップ制度を開始するといったことといたしております。

5ページ以下につきましては参考資料ということでございますので、5ページから8ページに関しての御説明は割愛をさせていただきたいと思います。

以上、駆け足かつお聞き苦しいところもあったかと思いますけれども、監視委からの資料に関する御説明とさせていただきたいと思います。御審議のほどどうぞよろしくお願いいたします。

○野村座長 田中ネットワーク事業監視課長、どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの電力・ガス取引監視等委員会事務局からの御意見について、意見交換に入らせていただきます。御発言のある方はチャット欄にお名前を書き込んでいただき、発言していただければと思います。時間は40分程度を目安として進めてまいりたいと考えております。御協力のほどよろしくお願いいたします。

それでは、河野委員、御発言をよろしくお願いいたします。

○河野委員 河野でございます。

御説明ありがとうございました。せっかくの機会ですので、発言させていただきます。

実は私は先ほど電力・ガス取引監視等委員会からの御説明資料の最後、料金制度専門会合にエンドユーザーの一人としてオブザーバー参加をさせていただいておりましたので、今回のレベニューキャップ制度の検討の経緯と報告内容については一定程度理解しているところでございます。その上で3点意見をお伝えしたいと考えております。

まず、導入の背景・趣旨については、強靱かつ持続可能な電力供給体制の確立のために必要な投資とコスト効率化の両立という観点から、今回送配電事業の全体をデザインし直して、新しいビジネスの構築という視点を入れた形での組替えが行われ、事業者側にしてもかなり複雑かつ精緻な事業計画策定が求められることになると理解しております。一般消費者目線からのお願いなのですけれども、今回の制度変更に伴い、今後、ビジネスの査定やスキームが変わることが電力の供給体制をどう強靱化し、どの部分が持続可能性に寄与していくのか、この制度変更の目玉でもあり、目的、効果に着目して、今後制度の説明に当たっては少しブレークダウンした形で一般消費者にも理解しやすい周知広報に力を入れていただきたいというのが1点目のお願いでございます。

2点目、インセンティブに関してです。ボーナス、ペナルティとして数値を明示しての評価については、事業者の皆さんの計画立案においても当局の査定においても取り組みやすく、私たち国民にとっても十分とは言えないまでも理解しやすい指標ではないかと受け取りました。他方、多くの項目に設けられているレピュテーショナルインセンティブとその効果については、測定方法やその波及効果の確認も含めて、今回の制度デザインで意図した方向にワークしていくのかどうかには一抹の不安がございます。消費者の参画の場として確保されたと推察されますけれども、顧客満足の方策としてのステークホルダー協議などは形骸化しないように、実質効果の見込める運用に期待したいと考えております。

3点目です。電気料金のかなりの部分を託送料金が占めていることを考えますと、算定ルールの具体的な内容について消費者としては大変高い関心を持っています。より適正な算定ルールを適用するために、先ほど御報告のあったように第1規制期間の間は従来手法を維持したいという方針は適正なデータを取るという視点で重要だと思いますので賛同はいたしますが、是非第2規制期間に向けて私たち低圧の一般利用者が不利益とならないように、第1期の5年間のうちに必要なデータ収集や今回の資料で課題とされている各点については納得できる方向で整理をしていただきたいと思っています。

○野村座長 ありがとうございました。

田中ネットワーク事業監視課長、お答えいただけるでしょうか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 御意見ありがとうございます。

河野委員につきましては、料金制度専門会合でも御参加いただいてきたということで、こちらにつきましても今までの検討経緯を踏まえて今後どうしていくかということについて前向きな御意見をいただいたと理解をしております。

ただいま御指摘のありました今後の制度の周知やステークホルダー協議の実施、料金算定ルールの今後に向けた検討につきましては、今後の審査、査定及び第2規制期間に向けての検討において、いずれもしっかり対応してまいりたいと考えているところでございます。

○野村座長 ありがとうございます。

河野委員、いかがでしょうか。

○河野委員 御説明ありがとうございます。

今後、この公共料金等専門調査会合においても都度御報告をいただければと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、今の点に関してでも結構ですし、別の観点からでも結構でございます。どなたか他の委員からよろしくお願いいたします。

後藤委員、よろしくお願いいたします。

○後藤委員 後藤です。

御説明どうもありがとうございました。OPEX、CAPEXの算定、推定方法のところでお聞きしたいと思います。重回帰分析を用いたトップランナー的査定を基本としつつ、推定の精度があまりよくなかった場合には中央値を用いたトップランナー的査定、個別査定ということで御説明いただいたかと思いますが、推定の精度があまりよくなかった理由として報告書に記載がございましたけれども、個別の状況や様々な条件が違っているということで、今後そういったデータを収集して改善される取組の御予定と理解いたしました。

一方で、非常に難しいと思いましたのが、重回帰分析を用いて平均的なところで傾向を見ていく、原則そういった査定の仕方になっているのかと思いますけれども、推定の精度がよいよくないという判断基準がどういったものであったのか。また、個別の条件、今後データ等をそろえていって分析にそういった面も加味していく場合に、結局、個別のものを入れれば入れるほど推定よりも個別に見ていく方向になってしまうのかといったジレンマのようなものもあるのではないかということで、その辺りの議論がありましたら教えていただきたいということと、今後データを蓄積していくことで原則重回帰分析を用いた分析が改善できるのかどうか、何か見通しがありましたら教えていただきたいと思います。細かい点ですみません。よろしくお願いします。

○野村座長 田中ネットワーク事業監視課長、よろしくお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 ただいま御質問いただきました重回帰分析についてでございますが、OPEXということで御質問をいただいたのですが、恐らくCAPEXのほうだと思いますので、CAPEXに関してお答えをさせていただきたいと思います。OPEXにつきましては、重回帰分析に説明変数を設定して行いました結果、かなり高い決定係数が出ておりますので、基本的には重回帰分析で行うことにいたしております。

報告書の16ページ、17ページがOPEXでございまして、22ページ以下がCAPEXの査定になっているところでございます。御質問いただいたCAPEX査定において重回帰分析を行うものとそれ以外の中央値プラス個別査定ということで行うものにつきましては、どういった基準で判断しているかについては、重回帰分析で一定以上のかなり高い決定係数が出たものについては、重回帰分析における各説明変数というところで、それなりの決定係数をもって説明ができているということで、そういうものについては重回帰分析を用いて査定を行う。他方で、いろいろパラメータを設定してみたのだけれども重回帰分析の決定係数が出ないものについては、それは説明変数でなかなかうまく説明ができないということですので、中央値プラス個別査定で行っていくこととしたものでございます。

では、今後この重回帰分析なりでできなかったものについては、データを蓄積していって改善していくというところについての見通しはどうなのかでございますが、第2規制期間に向けて取り組んでいくと記載をしておりますけれども、具体的には35ページと36ページにかかる形で少し記載をさせていただいております。幾つか例を書かせていただいているのですが、35ページの下から、一部の設備においては様々な説明変数を用いた重回帰分析で高い決定係数が得られなかったということで、その理由としては、36ページに移っていただきますと、事業者からの説明内容も踏まえると、運搬方法の詳細な要因やスペック、搬入路の具体的な整備方法、その他工事期間に影響を与えるような細分化されたデータの採録が限定的であるということで書いております。

もう少し具体的にいいますと、例えば運搬方法なども、鉄塔などを建てるときに、場合によってはヘリコプターで運んだりとか、そういった場合は非常にコストが高くなったり、搬入路もわざわざ線路みたいなものをつくって搬入したりというところで、そういった様々な要因によって費用が高くなったり低くなったりするというのがあるわけですが、そういったところに関して、それぞれかなり細分化されたデータ採録が必ずしも全ての工事について網羅しているわけではないこともございます。

したがいまして、第2規制期間に向けては、そういった詳細な事例の分析やどういった要因があるのかについて分析することを通じて可能な限りデータを蓄積して、第2規制期間に向けてより重回帰分析が適用できる内容費目を充実させていくこととしたいと考えているところでございます。

○野村座長 ありがとうございます。

後藤委員、いかがでしょうか。

○後藤委員 ありがとうございます。

非常に条件等が異なっているものを扱っているかと思いますので、こういった手法でなかなか決定係数が上がらない場合もあるかというのは十分理解できるところです。一方で、今後こういった細かいデータを収集されていきますと、説明変数としていろいろなものが入ってきて、結局のところ平均的な傾向が何なのか。恐らく調整すればするほど個別の査定といった形になってきて、重回帰分析を用いるべきところであるのかどうか、本当に中心的な平均的な傾向をつかまえているのかどうか、また、つかまえることが適切なのかどうか、正しいコストが反映できるのかといったところが少し懸念されてくるのかという感想を持ちましたので、質問させていただきました。

恐らく今後もこの辺りは検証を重ねていかれることと思いますので、個別の査定なのか、平均的な査定が向いているのか、もしかすると推定などに使っている設備等の区分けが適切なのかどうかといったところもコストの査定に影響してくるところかと思いますので、そういったところも御検討いただければと思います。

○野村座長 ありがとうございます。

監視等委員会事務局においては、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 ただいま御指摘いただいたところに関して、更に補足説明をさせていただきたいと思います。

細かい内容になるのですけれども、資料3-1参考資料の191ページを御覧いただきますと、CAPEXにおける重回帰分析において具体的にどのような説明変数を設定しているのかでございますけれども、例えばこの鉄塔の物品費でいきますと、説明変数と設定するものについては、「鉄塔重量」「鉄塔種類」については、地域性や送電容量など複数の外生要因を考慮して鉄塔設計がなされる際に差異が出るということから、外生要因と一定の関連性があると整理をしているものでございます。したがって、説明変数の設定につきましてもただいま御指摘いただいたような点があろうかと思いますので、この191ページの上にあるような観点から説明変数もある意味厳選をいたしまして、そういったものについて今後第2規制期間に向けて更に検討を深めてまいりたいと考えているところでございます。

以上、補足説明でございます。

○後藤委員 ありがとうございました。

○野村座長 ありがとうございました。

チャット欄にページ数を書いていただきました。参考資料のほうの191ページの事例で御説明いただきました。

そうしましたら、引き続き、寺田委員からの御質問、御意見をよろしくお願いいたします。

○寺田委員 東京海洋大学の寺田です。

詳細な御説明をありがとうございました。質問は二つなのですが、一つ目は後藤委員と完全にかぶってしまって蒸し返しみたいになって申し訳ないのですけれども、私も資料3-1の23ページ辺りの御説明に違和感を覚えないでもなかったのです。例えば他の分野の話で申し訳ないのですけれども、高速道路会社が機構といった資産を持っている会社に払うリース料というのですか、あれの算定ですと、実は積雪の問題は物すごく重要なのですけれども、あえてそれをネグレクトしているのですが、今のやり取りも例えば明らかに会社間の、積雪のある会社は北の3つぐらいだと思うので、ある会社が有利になるというのですか、どちらかに動きそうなそういう説明変数を外してしまって説明しているからそうなっているのかと思ったのです。仮に会社間の関係が最初から予測されるにしても、最初から明示してしまえば今の鉄塔をめぐる特殊なやり取りをしなくてよいのではないかという感じはしました。実際に鉄塔ごとの個別経理みたいなものがあるのかどうかよく分からなかったです。それが一つ目です。

二つ目なのですけれども、13ページの辺り、これは品質に関する補正なのでそのように考えなくてもいいのかも分かりませんが、ボーナスとペナルティが対称になっていないですね。確かに短期的には料金を引き下げる方向に働くので消費者としては有利になるのかも分かりませんけれども、ただ、長い間には品質というか投資や技術革新などをゆがめてしまうので、かえってボーナスとペナルティを対称にしたほうが消費者に有利になることもあるのかと思ったのです。

○野村座長 田中ネットワーク事業監視課長、よろしくお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 1点目につきまして、積雪に関しては我々のほうでもダミー変数として実際に設定をして重回帰分析などを行っております。ただ、積雪に関しては実はダミー変数で設定したのですが、実際、これはあまり決定係数が出なく、重回帰分析における効果は我々のほうの試算では出なかったということではございます。ただ、いずれにせよ積雪などに関しても考慮をしております。

ボーナスとペナルティに関して、若干御質問の趣旨が捉え切れなかったので、もう一度御質問いただいてもよろしいでしょうか。

○寺田委員 どうも失礼しました。例えば資料3-1の13ページで、ボーナスの水準が停電対応のところがプラスの0.025パーセント、それに対してペナルティがその2倍の0.05パーセントですね。それ以外の項目については、要素については、ペナルティだけかかっていますね。だから、一般的にはボーナスとペナルティといいながら、ボーナスとペナルティとペナルティとペナルティみたいになっているように読めるのです。申し上げたように、長期的な品質をどうするかという話とか、関係のイノベーションなどを考えると、もっとボーナスをつけたほうが消費者にも有利になるということがあるのではないかと思ったのです。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 御質問の趣旨、分かりました。

○寺田委員 消費者委員会としては自分の首を絞めている発言かもしれないです。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 こちらにつきましては、いろいろな議論がございました。このボーナスとペナルティの水準については、まず、停電対応についてはボーナスとペナルティということで両方存在している形になっているのですが、こちらは料金制度のワーキンググループや料金制度専門会合の議論におきまして、現状、日本における電力品質、停電量というのはかなりそれなりによい水準にあるといったところも考慮すると、ペナルティに比べてボーナスは少し傾斜をつける形にしたほうがよいのではないかといった御意見もあり、ペナルティの水準に対してボーナスの水準は半分ということにしております。

それ以外のその他の項目については、誤通知、誤算定など、接続検討の確実な契約申込みに対する回答といった項目については、これはある意味、ちゃんとやって当たり前であるという項目が並んでいるので、それについてボーナスを付与するということはいかがなものかといった意見もあり、こちらについてはボーナスということはなくペナルティということのみにしております。

なお、電力会社の事業者の前向きな取組を促す、若しくは行うようなものは何かないのかという話でいきますと、例えば28ページのマル4では次世代投資というところで項目がございまして、こちらで事業者が将来に向けた改善プロジェクトを考えているということであれば、次世代投資プロジェクトということでこの申請をするといったことも、将来に向けたイノベーションの促進といったことではあり得るかと考えているところでございます。

いずれにしましても、この目標設定、インセンティブに関しては、今回第1規制期間で初めての導入でございますので、今回はまず抑制的に小幅にということでスモールスタートということにしておりますけれども、将来的にはより精緻化、さらにはバランスも考慮して、第2規制期間に向けては検討してまいりたいと考えているところでございます。

○野村座長 ありがとうございました。

寺田委員、よろしいでしょうか。

○寺田委員 どうもありがとうございます。

○野村座長 そうしましたら、引き続き、坪田委員、よろしくお願いいたします。

○坪田委員 ありがとうございます。

詳細な説明をしていただきまして、ありがとうございました。大変難しい問題だと思っておりますが、書いてあることにつきまして理解が進みました。ありがとうございました。

この新たな託送料金制度なのですけれども、必要な投資の確保、送配電の強靱化とコストの効率の両立ということが背景・趣旨ということで、この二つは大変重要ですが、この二つを両立することは本当に大変な問題だと思いました。消費者として、素人としての感想になってしまうのですけれども、例えばインセンティブということで収入上限の引上げや引下げ、レピュテーショナルインセンティブなどを設けていただいて、詳細に制度設計をしていくと、専門家の方々の御議論の中での報告でも理解をしたところです。その中で、これは今、質問にもあった内容とも関係してきますが、どのように査定をしていくかというところで大きく変わってしまう。一般の立場から申し上げますと、その査定が正しいのであるか、その分析がどうであるかは本当に分からなくて、説明をしていただいてそうなのかと思う、結果的にはそうなってしまうのかと感じました。

その中で査定が難しい部分のところは、御質問等にもあったところに関係してきますけれども、例えば22ページに書いてありますローカル系統というところで、設備、鉄塔や架空送電線、地中ケーブル、変圧器、遮断器などがあります。こういったものの設備がどうであるかとか、26ページには修繕費ということも書いてあります。こういったものは地域や場所によってもかなり違うことがあると思います。これを効率化ということで日本の中をどのような水準にしていくかによって、それが不利益になる場合があってはならないということをつくづく感じたところです。日本は電力に関しては外国と比べて比較的安定して供給をされていて、とても有り難いと思っているわけですけれども、これが自由化によって、更に分社化が進んでいく中で、効率化を求めて料金的にはいい部分が出てくると思います。その反面、効率化されることによって、単に料金が安くなるということだけではなく、どういう形で、何のメリットがあるのかが消費者にはなかなか伝わらなくて、実際は安くなりますということに対してだけに、引かれてしまっているところがなきにしもあらずかと思っております。

そういう面では、当初の目的、強靱化とコストの効率化を両立した結果、このような形になりましたという説明がないと納得ができないので、是非こちらに書いていただいてはいますけれども、消費者にとって分かりやすい説明、自由化になったことによってどうなっていくのか、何がよくなっていくのかを具体的に御説明をしていただくような場所を様々なところで設けていただきたいと思いました。そうしていただかないと、このように非常に精緻な御議論をしていただいていることにつきましては、日々使う電気料金の話となかなか結びつけて考えることができず、目先のことだけになってしまう。そうすると、結局は長期的に本来やるべきところがおろそかになってしまっていることが、もしあれば、それは将来的に非常に問題になってきますので、その辺りをよろしくお願いいたします。

○野村座長 それでは、田中ネットワーク事業監視課長、お答えいただけるでしょうか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 御意見、御指摘ありがとうございます。

幾つか御指摘いただいた内容、それぞれに関してお答えさせていただきたいと思いますが、まず、22ページの主要設備などの統計査定に関して、地域にも異なる事情があるというところが効率化だけではなく不利益になってはならないというところに関しましては、正に重回帰分析を行う中で様々なパラメータ、説明変数を設定することにより、その地域による事情、差異といったものを査定にも適切に反映することを目指しているところでございます。先ほどから御説明、御議論をいたしていますように、重回帰ができなかったものについても今後なるべく重回帰をして、そういった地域ごとの差異も適切により反映していくというところを目指していきたいと考えているところでございます。

また、今回レベニューキャップ制度、安くなるだけにならないように安定供給という面もというところでございますが、この設備の投資に関しては、正にそういったリスク量、特に修繕費などに関してはこれから高度成長期に大量に整備をしたものの更新が来るわけでございます。それについてはリスク量を一定水準以下にするように、この更新計画なども算定していくということで、これに関しては広域機関におけるアセットマネジメントガイドラインに基づいて精緻にやっていくということで、具体的な取組としてはそのように予定しているということでございます。

分かりやすい説明ということについては、今回何がメリットになるかということについて目標設定をしているところでございますので、その目標設定の筆頭に挙げている項目が8ページ、9ページにあるように安定供給ということでございます。したがって、この安定供給をはじめとした目標についても、達成状況を公表していくといったことによって分かりやすい周知に努めてまいりたいと考えているところでございます。

○野村座長 ありがとうございました。

坪田委員、よろしいでしょうか。

○坪田委員 ありがとうございました。

電力は消費者にとってはなくてはならないものですので、安定供給、適切な価格、これは両方大変大事なものですので、是非よろしくお願いいたします。

○野村座長 了解しました。

引き続き、大石委員からよろしくお願いいたします。

○大石委員 ありがとうございます。

私からは2点質問をさせていただきたいと思います。

質問事項の1点目は、坪田委員も御指摘された部分についてです。先ほど後藤委員が発言されたところと意図としては重なる部分でもあります。22ページの連系線・基幹系統の説明の2行目のところです。「更新投資の必要額については、個別の工事件名毎に検証を行うこととする」と書いてありまして、この「個別の工事件名毎」というのがどのくらいの範囲のことを指しているのか。本当に小さい工事から場合によっては工期が何期にもつながって行われる工事もあると思うのですが、この「工事件名毎」というものが指す範囲について気になりましたので、ここの説明をお聞きしたい、というのが1点目です。

2点目としては、今年のはじめに、スポット価格の急激な上昇により、意図しない形で送配電事業者に発生したインバランス収支の余剰金についてです。今回のような利益については、どういう取扱いにするか検討されていましたら、是非お聞かせいただきたいと思います。

○野村座長 田中ネットワーク事業監視課長、よろしくお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 1点目でございますけれども、22ページの連系線・基幹系統というところの「工事件名毎」のイメージにつきましては、正にプロジェクトごとということでございまして、例えば北本連系線の増強工事のプロジェクト、FCなど周波数変換所があれば周波数変換所の増強のプロジェクトということでございますので、そういった連系線の増強工事のプロジェクト全体がそれぞれの工事件名ということで想定しているということでイメージをいただければと思います。

2点目ですが、御質問の対象はインバランス収支ということかと思います。この冬、一送に大きな収入が発生したということでいきますと、インバランス料金が去年というか今年というか、この2021年の冬、高騰した形になりまして、一送に収入が発生したということでございます。このインバランス収支につきましては調整力費用ということで、制御不能費用ということで分類しております。したがいまして、仮にこの収支のほうで黒字が出れば、それに関しては原則としては翌期の収入上限で調整をすることになりますので、翌期の収入上限がその分下がる形になりますし、仮に赤字になっていれば、その分、翌期の収入上限が上がるということで、翌期の収入上限での調整といったことが行われる仕組みにしているところでございます。

○野村座長 ありがとうございます。

大石委員、いかがでしょうか。

○大石委員 分かりました。御説明ありがとうございました。引き続き、よろしくお願いします。

○野村座長 続いて、長田委員、よろしくお願いいたします。

○長田委員 長田でございます。よろしくお願いいたします。

私はここのところずっと情報通信の分野の消費者問題に取り組んできておりまして、通信分野におきましてもユニバーサル・サービスとして、例えばブロードバンド環境などを整えるというのは同じように総務省で議論しています。そういう中で、非常に高コストな地域における設備更新の費用をどう賄っていくかというのが大きな課題になっていると思います。電力と通信線というのは、そういう意味では設備の共用ということを考えていけることもあるのではないかと思いますので、これから先、最初のところでも申し上げましたけれども、人口減少の中でどうやってユニバーサルな提供をしていくのかについては、電力だけに閉じないで、いずれはもうちょっと幅広に検討していくところも出てくるのではないかと思っています。

以前、私が参加させていただいたときにも電力会社それぞれで様々な会計の方式があったりして、非常に課題が大きいなと考えていたところを大きく変換をすることにはなるのだろうと思いますので、果敢に取り組んでいただいて、その中でもより先を見据えて御検討いただければいいかと思っています。

○野村座長 ありがとうございます。

田中ネットワーク事業監視課長、いかがでしょうか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 ユニバーサル・サービス的な提供ということにつきましては、送配電事業者につきましては、基本的にはそのエリア全体における供給、託送ということに関して責任を持っているところでございます。そういった観点でいきますと、御指摘の点とは直接対応しているというよりは少し別の視点になるかもしれませんが、配電事業及び指定区域供給制度導入ということで、場合によってはローカルなエリアについては送電線をずっと引っ張ってくるのではなくて、離島供給のような形でそのエリアである意味で自立した形でこの供給を行う仕組みなども新たに設けられているところでございまして、そういった制度なども踏まえながら、どういった形での供給がユニバーサル・サービスを維持・提供していく中で最適なのかが検討なされていくのではないかと考えているところでございます。御指摘のあったような点も含め、今後総合的に検討なされていくのではないかと考えているところでございます。

○野村座長 ありがとうございます。

長田委員、いかがでしょうか。

○長田委員 的外れな発言だったとしたら申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございました。

他に御意見はいかがでしょうか。

若林委員、お願いいたします。

○若林座長代理 ありがとうございます。

私からも手短に御質問したいと思います。先ほどからCAPEXについての個別査定について幾つか御質問があったと思うのですけれども、私も個別査定が多くなれば多くなるほど、外から見るともしかすると分かりにくいというのでしょうか、判断の妥当性が外から分かりにくいのかなという印象を持ちました。もしそうであるならば、その辺の透明性の確保はどのようになるかを教えていただきたいということと、利益(損失)の還元について、翌規制期間には半額送配電事業者が持ち越して、利用者に半額を還元というこの割合については、例えば日本が参考にしたような他国ではどのようになっていたか。これまでもしかしたら御説明いただいていたかもしれないのですけれども、確認のためにお教えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○野村座長 田中ネットワーク事業監視課長、よろしくお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 御質問ありがとうございます。

1点目でございますけれども、個別査定が増えるほど分かりにくくなる要素があるのではないかという御指摘でございますが、そちらにつきましては、まずなるべく個別査定というよりは重回帰による統計査定が多いほうが望ましいということで、第2規制期間に向けては重回帰を増やしていく努力をしていくということ。透明性の確保につきましては、23ページの8行目から少し記載をさせていただいているのですが、高額案件の個別査定については、各一般送配電事業者が社内での適切な検討プロセスを設けることを求め、具体的には社内検証に際して、有識者などの第三者を含める等の透明性が確保された検証体制を構築した上で、案件の必然性やその妥当性等に関して検証し、国による個別査定時には社内の検討内容等も参考資料として提出を求めるといったことにしておりまして、個別査定の実施に当たってもそういった透明性はなるべく確保していくといったところで行ってまいりたいと考えているところでございます。

2点目でございますけれども、利益(損失)の還元ということで、日本の場合は半分ということで一送の留保と、半分は系統利用者へ還元ということについて、他国がどうなっているかということなのでございますが、他国においても送配電事業者の留保と系統に還元するという両方を行っているということではあるのですけれども、それが具体的に正確に何パーセントなのかに関しては数字は持ち合わせていないのでございますが、ただ、他国においても留保分と還元分ということでそれぞれやっているというところではあるとは認識しているところでございます。

○野村座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

○若林座長代理 ありがとうございます。

1点目につきましては、査定の妥当性というか、これを妥当とした理由の透明性という意味で申し上げたのですけれども、元の提出資料のほうの透明性を高めることによってその判断の妥当性自体も確保するということなのかということで理解しました。ありがとうございます。

○野村座長 他に御意見はございますでしょうか。かなり時間は迫ってまいりました。

そうしましたら、他に御意見がないようでしたら、よろしいでしょうか。

電力・ガス取引監視等委員会事務局におかれましては、当専門調査会の意見を踏まえ、慎重に議論を重ねて制度を設計していただいたものと理解しております。

本日の議論も踏まえつつ、消費者の理解を得られますよう丁寧な情報発信を今後も行っていただきたいですし、期待される成果を得るために今後も適切な制度設計の運営に努めていただきたいと考えております。

レジリエンスやサステナビリティーという言葉が重視されている中で、安定供給を確保することは非常に難しいと感じております。今日、お配りいただいた資料3-1の8ページ、議論の途中でもここを見ていただきましたが、重要な目標を追求しつつインセンティブ規制を加えていくということになっているかと思います。何よりも消費者の利益を得るためにも、かねてより当専門調査会が課題として指摘しております電圧別配分のルールの在り方も第1規制期間中に必要な検討を進めていただけるということになっているかと思いますが、是非御議論を深めていただきたいと思います。我々も消費者にとってより公平で透明な仕組みを改善するという点を中心に議論を更に深めてまいりたいと考えております。

消費者庁におかれましても継続的なフォローを今後もお願いしたいと感じております。どうか御協力のほどよろしくお願いいたします。

そうしましたら、本日の議論は時間制約もございますので、この辺りで終了させていただきたいと思います。

最後に事務局から事務連絡をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。


≪4.閉会≫

○太田参事官 本日も大変御熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

次回の会合につきましては、確定次第御連絡させていただきます。

○野村座長 ありがとうございました。

皆様も特に御発言がなければ、これにて第64回の公共料金等専門調査会を閉会とさせていただきます。

本日は朝早くから年末のお忙しいときに御協力いただき、ありがとうございました。

(以上)