小野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年11月18日

(令和7年11月18日(火) 9:20~9:30  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 科学技術政策担当の大臣として報告をいたします。
 昨日11月17日、茨城県つくば市へ出張し、国立研究開発法人である産業技術総合研究所、農業・食品産業技術総合研究機構及び防災科学技術研究所を視察いたしました。
 産総研では、量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)を訪問し、国産超電導量子コンピュータなどを拝見いたしました。量子技術は、日本成長戦略本部においても「危機管理投資」及び「成長投資」の戦略分野として位置付けられており、私が取りまとめ担当大臣の役割を命ぜられております。G-QuATが量子技術の研究開発から社会実装の推進までを一体的に推進していることを改めて認識する機会となりました。
 農研機構では、農作業や作業判断など様々な場面で活用が進められるAIの開発状況や、競争力の源泉である品種開発の加速化の取組を拝見いたしました。我が国の農業が、労働力の減少や気候変動といった課題に直面する中で、食料安全保障を強化し、また、農林水産物の輸出などにつなげていくためにも、AI等の先端技術の開発・活用の重要性が一層増しているということを認識いたしました。
 最後に、防災科研では、災害関連情報を電子地図上に取りまとめて情報提供するシステム、通称「SIP4D」、大型降雨実験施設、陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS)等を拝見いたしました。近年、頻発化・激甚化している自然災害に対し、防災科研が、我が国及び世界における中核的機関としてしっかりと研究開発をしていることを強く認識いたしました。高市政権においても、防災体制の抜本的強化は非常に重要なテーマです。私も、科学技術政策や宇宙政策を担当する大臣として、最先端の科学技術による防災への貢献をしっかりと推進してまいります。
 今回の3機関の視察を通じて得た知見を活かしながら、新技術立国の実現や成長戦略の策定に向けて、力を尽くしてまいりたいと思います。

2.質疑応答

(問)先日、科学新聞とエルゼビアが共同研究で調べたところによりますと、日本は他国に比べて学際的な研究が遅れているということが明らかになりました。学術研究を含めて、イノベーションを創出するには異分野の融合が必要とされているわけですけれども、今後、学際的研究を振興するため、どのような取組が必要だとお考えでしょうか。
(答)我が国の科学技術・イノベーション力の強化に当たり、学際的な新興・融合領域の研究を強化していくことは非常に重要なことだと認識をしています。
 11月13日に公表された文部科学省の有識者会議の提言案でも、「科学の再興」には、新興・融合研究の推進による新たな研究分野の開拓・先導が必要とされており、そのための具体的な取組として、科研費における挑戦的・萌芽的研究の拡充などが盛り込まれたところです。
 内閣府としては、こうした提言の内容を踏まえながら、第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けて検討を進めてまいりたいと思っています。
(問)科学技術・イノベーション基本計画の関係で伺います。今、期間中の第6期において、5年間で官民で120兆円を研究開発投資に充てるという目標を掲げていて、これが現状のペースだとなかなか達成が難しいという話を聞いております。第4期、第5期でも同様の目標を掲げていて、結局は達成ができていないという状況がありまして、その目標達成に届くほどには投資が伸びない理由をどのように分析されているかという点と、今、策定している第7期でも、こういった目標を掲げるのかどうかという点、それから、実際、投資額を更に伸ばしていく上でどのような施策を考えているかという点について、教えてください。
(答)官民研究開発投資額は、近年増加しているものの、御指摘のとおり、第6期における目標額の達成は難しい状況にあるというのは事実です。
 令和8年度から始まる第7期科学技術・イノベーション基本計画における官民研究開発投資の目標設定の在り方については、今後、議論を深めていくこととしておりますけれども、官民研究開発投資を増やしていくことは重要と考えています。
 そのため、これまで以上に、政府予算の充実や研究開発税制をはじめとした民間投資を誘発するための環境整備を進めていく必要があると考えております。
 理由に関しては、なかなか一概には言えないところではあると思いますが、だからといって、弱気な目標を立てて、それが達成できて良かったとなってはいけないと思うので、意欲的な目標をしっかり立てて、それに対して、政府の部分はしっかりつけているので、民間の部分で伸びない部分は、理由を深掘りしながらしっかりと目標を達成していけるように頑張りたいと思います。
(問)追加で、研究開発税制のお話で、先日の税制調査会で財務省からはあまり効果がないのではないかという指摘がありまして、この指摘を踏まえて、では研究開発税制をどう活用していくのか、今の時点でお考えがあれば教えてください。
(答)研究開発税制について、確かにそういった指摘もあったということは承知しておりますけれども、将来の経済成長の礎となる研究開発投資の維持・拡大を後押しするということは、我が国の成長力・国際競争力の強化に資する重要だと思っています。
 統計データによれば、令和5年度の企業の研究開発投資額は約18兆円ということで、過去20年間では最高になったと認識しています。最近は物価上昇を加味しても増加しており、研究開発税制による一定の効果も出ているのではないかとも思っています。
 このような傾向を維持・拡大するために、令和8年度の税制改正要望においては、現行制度を骨格としつつ、御指摘も踏まえながら、国家として重要な技術領域の研究開発投資への重点化などの見直しを要望していると承知しております。
 内閣府としては、更に効果的な制度となるように、引き続き、本件の主管省庁は経済産業省ですので、経産省と連携をして取り組んでまいりたいと思っています。
(問)高市総理の国会での発言を受けて、中国政府が留学生に対する自粛ですとか、観光者に対する訪日自粛ということを呼びかけています。経済指標で2.2兆円ほどの損害が出るという一部エコノミストの指摘もあります。大臣は外国人規制担当ということでいらっしゃいますけれども、今、高市さんの発言によって、外国の方が、むしろ観光で来られる方さえ来られなくなってしまうというような状況が生じていることについて、大臣の受け止めをお願いいたします。
(答)観光については国土交通省だと思いますので、所管外のことは言わないようにしますが、いずれにしても、何か気に入らないことがあったらすぐに経済的威圧をしてくるところに対して依存し過ぎるということは、サプライチェーンリスクだけでなく、様々な観光に対してもリスクではあるので、リスクの低減をそれぞれ常日頃みんなが考えながら経済を回していけたらいいなと個人的には考えています。
(問)観光立国日本ということを含めて、安倍・菅政権の時からかなり力を入れてきた分野ですが、それが一国の総理の一つの発言によってこのような形に発展してしまっているというのは、中国側のやり過ぎではないかという、そういう受け止めだということでしょうか。
(答)特定の国に限らず、我が国に対してどのように行動するかは、その国の考えによるところなので、私から申し上げることはございませんが、ただ、そういうリスクがあるところに経済的に依存するということは危険だよということを認識はしなければいけないなと思っています。
(問)それを受けて、中国総領事の発言があり、ペルソナ・ノン・グラータではないですけれども、中国大使館で反中デモが日曜日に開催予定だったのですが、それは急遽中止になったという経緯がありました。ペルソナ・ノン・グラータという言葉自体が、今、出てきていて、日中の外交関係が悪化してくることへの懸念というのもあると思うんですが、中国総領事のあの発言に関しては、大臣はどう受け止めていらっしゃいますか。
(答)ペルソナ・ノン・グラータに関しては外務省が決めることなので所管外なのですが、それぞれいろいろな国の大使がいろいろな発言をされていらっしゃることに関して、特定の国に限らず、大使がこう言ったああ言ったということを逐一私の立場からコメントは必要がないかなとは思いますが、我が国との友好のためにも来ている人であれば、我が国の国民を脅すような真似をするということは良くないのではないかなと個人的には思います。

(以上)