第40回基礎問題小委員会・第5回非営利法人課税WG合同会議 議事録
平成17年6月14日開催
〇委員
それでは、時間になりましたので、今日、この合同会議を開催いたします。お暑い中、お忙しい中、ありがとうございました。
実質的な審議はできたら今日で終えられるのではないかなと、やや楽観的な見通しをしておりますが、まあ、ここでまた巻き返しもあるかもしれません。
お手元に2種類のペーパーが出ておりますが、一つが見え消し版でございまして、これまで審議をいただいたものをどう直したかをはっきりさせる意味で見え消しにしてございます。それから、見え消し版だと、残ったところを拾ってくるわけですが、それも煩瑣なので、もう一つが本体というか、見え消しを除いたところでございます。
それでは、今日、皆さんのご意見を伺ってからの話ではございますが、これまでの審議はブレがないので、大体基本的な方向はまとまっているかと思いますので、できましたらご一任いただいて、今度の金曜日、総会を経まして公表したいと考えております。
報告書は、毎回くどいのですが、まだ固まっておりませんので、ご返却をいただきます。途中ご退室の方もそれに従っていただきます。
それでは、最初に、この報告書につきまして、税制第二課長と市町村税課長のほうから、国税と地方税に関しまして各々ご説明いただきましょう。
では、税制第二課長、お願いします。
〇事務局
それでは、お手元の資料、本体の分と見え消し版、これを見比べながら修正箇所等々のご説明を申し上げたいと思います。
全体的に申し上げますと、前回の火曜日の小委、それから総会ということで、かなりいろいろなご議論をいただきまして、構成上、特に最初のイントロの部分と結論の部分が大きく書き換わるというあたりが中心になってございます。あと、多くの場合は字句の修正、文意の明確化ということでございますが、内容に及ぶ部分が若干ございますので、そのあたりポイントになるところをご説明したいと思います。
それでは、まず1ページ、それぞれ見え消し版と本文をあけていただきたいと思います。見え消し版をご覧いただきますと、まず最初に「はじめに」というのがありまして、たくさんの線が引いてございます。二重線は修正後の文章、一本線で横に引いておりますのは削除した部分、こういうふうにご覧をいただければと思います。「はじめに」というところ、それから、1枚くっていただきまして、2ページに横一で「検討を進めるに当たって」という文章がありまして、これがまた2~3ページにわたりまして、計4ページぐらいにまでのところ、実は先週火曜日にお示しを申し上げました時の原案がわたっておったわけですが、そこについて大幅にリライトいたしまして、ほぼ原形をとどめない形になってございます。その修正後というのがお手元、本文のほうでございますが、「はじめに」ということで、1ページに全部まとめ上げたということでございます。
ご指摘ございましたのは、表現そのものをスリム化する必要があるということ、それから、公益法人制度改革の趣旨を明確化させるということ、それから、今回のレポートの結論といいますか、そういうもののイメージが最初にわかるようにというご指摘がございましたので、そういう観点でまとめ上げたものがこの「はじめに」という1ページでございまして、先週の金曜日の総会にお示しをさせていただいたものでございます。
文章をちょっと見ていただきますと、第1パラグラフのところでございますけれども、少しかいつまんで読んでみますと、
今日、価値観の多様化や社会のニーズの多元化が進む中、公益法人やNPO法人等による民間非営利活動の重要性が高まってきている。他方、現行の公益法人制度については、民法制定以来100余年にわたり見直しが行われておらず、実態面でも、営利法人類似の法人が存続しているなど種々の批判がなされている。こうした諸問題に適切に対処することが喫緊の課題であるとして、これまで、内閣官房行政改革推進事務局を中心に、現行の公益法人制度改革を抜本的に見直すための検討が進められてきた。
そのようなことで経緯を明確にさせていただいたということでございまして、その下の第2パラグラフ、第3パラグラフは、それを受けまして、当調査会で検討を進めたという経緯が書かれているわけでございます。
そして、第4パラグラフ、行数でいいますと23行目以下でございますが、この「基本的考え方」のおおよその内容を要約するパラを用意させていただいておるわけでございます。
この「基本的考え方」は、昨年6月の「わが国経済社会の構造変化の『実像』について」において指摘した「民間が担う公共」の重要性を踏まえ、この諸課題に関して今後の改革の基本的方向性を提示するものである。「あるべき税制」の一環として、「新たな非営利法人制度」とこれに関連する税制を整合的に再設計し、寄附金税制の抜本的改革を含め、「民間が担う公共」を支える税制の構築を目指そうとするものに他ならない。これはまた、歳入歳出両面における財政構造改革の取組みと併せて、わが国の経済社会システムの再構築に欠くことのできない取組みであるといえよう。
こういうことでまとめたというのが修正の大きな変更でございます。
引き続きまして、見え消し版のほうをご覧いただきたいと思いますが、したがいまして、この4ページぐらいまではザーッと文章が消えてございまして、章立ても今まで「一 検討を進めるに当たって」「二 非営利法人に対する課税のあり方」ということでございましたが、その章立ても簡略化される形になったわけでございます。
以下、字句修正等がございますが、大きいところだけ申し上げます。見え消し版の5ページをあけていただきたいと思います。本文でいきますと、3ページに当たる部分でございます。見え消し版のところでいいますと、真ん中13行目に、「もちろん」ということで、第三者機関について、きちっと公共性をチェックするということの要請を書いているわけですが、この部分につきましては、今回の本文におきましては削除いたしまして、結びのほうにすべて集約をするということで、この部分を移動させてございます。
それから、次のページ、6ページあたりまで、表現がわかりづらいというようなご指摘が2~3か所ございましたので、その点について字句の修正をさせていただいております。
見え消し版の7ページでございます。29行目でございますけれども、「地縁団体や管理組合法人のように」という部分がございます。本文のほうでいいますと、5ページに当たるものでございます。あちこちいきまして恐縮でございますが、見比べながらということでございます。原案では、
地縁活動や管理組合法人のように、「共益的事業活動を行うことを目的として特別法に基づき設立される法人」については、上述の「専ら会員のための共益的事業活動を行う非営利法人」の課税上の取扱いと整合性が確保されるよう検討する必要がある。
ということでございましたが、総会でのご指摘がございまして、その実態などよく踏まえて、制度設計にしてもらいたいというようなお話がございましたので、「その実態を踏まえつつ」という言葉をここに挿入をさせていただいております。
それから、見え消し版8ページから9ページの上ぐらいまでは、字句の修正でございます。
下の28、29行目、このあたりちょっとご説明いたします。軽減税率に関する部分でございます。本文でいきますと7ページでございます。税率につきましては、もとの文章、「収益事業から生じる利益に対しては」ということで、「現行制度では、軽減税率(22%)が適用されるが……基本的には営利法人と同等の税率とすべきである。政策的な配慮から軽減税率を設けるにしても、中小法人並みの税率を念頭に」云々と、こういう記述でございましたが、表現としては非常に中途半端な表現であるということで、しっかり書けということでございましたので、修文といたしましては、本文の7ページのほうを見ていただいたほうが読みやすいですが、23行目でございます。
収益事業から生じる利益に対しては、現行制度では、軽減税率(22%)が適用されるが、収益事業課税の趣旨等に照らせば、できる限り営利法人の基本税率(30%)との格差を縮小し、営利法人と同等の税率とすることを目指すべきである。
というふうに修文をさせていただいております。
もう一度見え消し版をご覧いただきますと、10ページ、字句の修正がございますが、省略をいたします。
11ページ、ここからは寄附金税制のあり方に関する部分でございます。文章中ごろに、「こうした状況認識を踏まえ」あたりに線を引いておりますが、文章のスリム化ということで、文意が変わりませんので、削除をさせていただいています。
それで、18行目、ここはご議論がございました。「いうまでもなく、寄附金税制には、税金の使途を」云々という部分でございます。この点については、税金の使途というのを、官ですべてを決めるという書き方は非常に問題ではないかというようなことで、削除して総会の時にお示しをいたしましたけれども、寄附金税制にはまた一方で民意の反映という部分もあるではないかというご指摘もございましたので、ここに「主体的に」という言葉を二重線を引いておりますが、この言葉を挿入する形で修文いたしております。仕上がりで申し上げますと、本文のきれいなバージョンで見ていただきますと、ページ数で9ページ、上のほうのパラグラフ、5行目あたりでございます。
かかる視点に立って、寄附金税制についての従来の考え方を抜本的に見直し、より一層その充実を図る方向を目指すべきである。こうした寄附金税制の拡充は、「民」が「公共」の領域により深く主体的に関与するチャネルを拓き、今日的視点から官民の役割分担のあり方を改めて見直すきっかけになりうるものである。
という形で修文をさせていただいております。
それから、また見直し版に戻っていただきまして、12ページでございます。20行目以下、「かかる見直しにより」とかいろいろ書いてございますが、ここも第三者機関が適正に運営されることが必要だという指摘もございましたので、これは全部結びのほうに集約をするという形で文章を整理させていただいておりますので、削除という形になっております。
それから、13ページでございますが、ここは寄附金税制につきまして、21行目、「ニ」ということで新たな文章を入れてございます。ちょっと読んでみます。
併せて、現行の特定公益増進法人のうち民法34条法人以外の法人に係る寄附金税制についても、今般の抜本的見直しの一環として、その利用実態等を踏まえつつ、「公益性を有する非営利法人」の取扱いとの整合性に配慮した検討を行う必要がある。
これにつきましては、今般の公益法人制度改革については、民法34条法人が中心でございますけれども、学校法人、社会福祉法人に係る寄附金という話もあるではないかというご指摘もございましたところ、そういう部分についての検討の余地を明らかにするということで、この文章をそのまま入れさせていただいております。
それから、14ページ、この辺は字句の小さな修正でございます。
それから、15ページでございます。ここは所得税における寄附金控除について、今現在ございます適用下限1万円というところのあり方について、総会でご議論があったところでございます。これにつきましては、原案では、上から読んでいきますと、
しかしながら、個人が「民間が担う公共」の領域に主体的に参加していくことが求められる中、寄附金税制の充実の必要性の観点を踏まえ、現行の1万円という適用下限額について、そのあり方を改めて検討する必要がある。
ということでございましたが、見直しの方向をできるだけ明確にしていくというようなご指摘もございましたところ、字句を入れ替えまして、
主体に参加していくことが求められる中、現行の1万円という適用下限額について、寄附金税制の充実の必要性の観点を踏まえ、そのあり方を改めて検討する必要がある。
こういう形で修文をさせていただいております。それ以外のところは字句修正でございます。次の16ページも基本的にはそういうものでございます。
地方税のところは後ほど総務省のほうから説明がございます。
そして、最後17ページで、「終わりに」というところですが、今回、「結びにかえて」という形に書き換えてございます。しかも、そこは制度設計にあたっての要請ということで、政府に対する要請の趣旨を明確にする形で書き換えをしておりまして、全面的書き換えになってございます。第三者機関への整備の必要性ということについて、その趣旨を踏まえるということで、2~3か所ございましたものを、ここでまとめたということでございます。一度拾い読みをしてみます。
この「基本的考え方」は、「新たな非営利法人制度」の創設を契機として、21世紀のわが国経済社会を展望しつつ、「あるべき税制」の一環として、「民間が担う公共」を支える税制の構築を目指そうとするものであり、その今日的な意義は大きい。
とりわけ、「新たな非営利法人制度」の下、「一般的な非営利法人」が「第三者機関」の公益性判断に基づいていったん「公益性を有する非営利法人」とされれば、税制上、法人税法上の公益法人等となると同時に、基本的に寄附金優遇の対象法人とも位置づけられることになる。
それだけに「第三者機関」の責務は重い。今回の制度改革の成否は、「第三者機関」の公益性判断や事後チェックが、国・地方を通じ、制度・運用両面において継続的に適正かつ的確になされるかどうかにかかっている。「第三者機関」の公益性判断の要件について、税制の視点をも含めた法人運営の適正性をどのように具体的に設定するかも重要な鍵となろう。政府に対して、こうした観点からの適切な制度設計を強く要請するものである。
その上で、「新たな非営利法人制度」の法制化の進捗状況を踏まえながら、当該制度との整合性に留意し、新たな非営利法人に関する税制及び寄附金税制についての具体化に向けた検討を更に深めていかなければならない。国民の期待に応えられるよう、よりよい制度の構築に向け着実な取り組みを求めたい。
と同時に、今後、各方面においても、この「基本的考え方」について活発な議論がなされることを期待したい。
こういう形で結んでいる次第でございます。
以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
では、市町村税課長、お願いします。
〇事務局
引き続いて地方税関係について説明させていただきます。
見え消し版の16ページをご覧いただきたいと思います。
まず、地方団体に対する寄附につきまして、住所地以外の団体に対する寄附についても、控除を認めているということを明記すべきではないかというご意見がございましたので、その旨を記述を追加しております。具体的には16ページの一番最後の行から次の17ページの2行目まででございます。
それから、2点目でその下の12行目あたりからですが、寄附金控除の仕組みに関して、「民間が担う公共」の重要性をさらに記述するべきであるというご意見がございましたので、このアンダーラインの部分を追加しております。
地方税関係は以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
ご存じのように、かなり皆さんのご意見を踏まえて修正させていただきました。従来、ここ数年間、見え消し版を作らないで評判が悪かったのです。どこを直したかわからないというのがありましたので、今回はかなり前にさかのぼって見え消し版を作っていただきまして、このような形で直したという、いうなれば経過がわかるようにいたしました。
今、お二人の課長からご説明いただきましたことを踏まえまして、お気づきの点がございましたら、ぜひお出しいただきたいと思います。どこからでも結構でございますから、ページと行数の番号を言っていただきまして、もし具体的な修文の要求があれば、そこでお出しいただけたらと思います。いかがでしょうか。
〇委員
最初に、またちょっと怒らせてしまうかもわかりませんが、冒頭に一任をということでございましたが……
〇委員
まだ言っていない。終わってから諮りますという形で。
〇委員
とりあえず、一任するかどうかについては、私一任させていただきたいと思うのですが、現状でかなり大事なポイントがあれだと思っています。
まず、そもそも今回の件は、私は欠席しましたけど、第1回の税調の総会で、ある委員がスマトラ沖地震のことを問題提起されたという非常に大きな点があって、そこで主税局長に哲学を変えろというところまで迫ったわけであります。
この点について、原則論を持ち出せば、公共は税金を取って、これはお上がやることであるというのは大原則なんです。その大原則をこの石税調が堂々と大きな方向転換をしたという点で、これは本当に私歴史に残る大変なことだと思います。ただし、スマトラ沖地震のこれが解決できているのかというと、実はそうではないのではないかということで、14ページに行きたいのですが、私の修文が残念ながら換骨奪胎されていることに非常にショックを覚えるのと同時に、この間、私気がつかなかったのですが、欠席の委員が意見書を出されていまして、ここでも応益原則を持ち出してきているわけであります。地方自治体の関係者にとっては、応益原則を持ち出すのは相やむを得ないと思うのですけれども、最初に申し上げたとおり、ここでの哲学を変えろというメッセージは、これは赤十字の精神と同じだと思うのですが、例えば戦争をやっていて、敵方のけが人を助けるというのは、国や地方公共団体の原則を超える話なわけです。我々が「民間の担う公共」という形で原則を超えるかどうかという時に、地方税だけは地方税の狭い原則を守ろうという形でメッセージが出ているということについては、少なくとも私は二つの案を提示すべきであると、そのような主張をされた方も私以外にも多々いらっしゃるわけで……。
ちなみに、14ページの修文を具体的にどうするかということですが、1行目、これが決定的にいわゆる民間の公共と役所の公共の違いです。「地域社会の会費」という表現があります。財政学の教科書ではこれでいいかもわかりませんが、民間でいう地域社会というのは、例えば多摩川の流域ですとか、そういうのが地域社会なわけで、ここは地方税の性格ですから、「行政区域の会費」というような表現により的確にすべきであると思います。
〇委員
どっちですか。見え消し版ではなくて本番のほうですか。
〇委員
本番です、もちろん。ここは個人住民税の説明です。財政学の教科書で「地域社会の会費」となっていますが、実際は行政区域内の会費として取っているわけですから、これは「行政区域内の会費」というふうに変えるべきであります。
それから、4行目ですが、これは私の修文に対して変えていただいていますが、ここは応益原則を超えてすべての都道府県・市区町村が寄附金控除の対象となったと。これですと、いわゆる地方自治体だけインセンティブがものすごく高いわけです。「民間の担う公共」何だかんだと変えて、結果的に地方自治体のインセンティブだけが極めて高くなっているというのが結果的な現状であります。
それから、14ページの一番下から2行目ですけれども、ここでも「当該地域の受益との対応関係や」というのが入っていますが、これを入れられると、地方自治体にしてみたら、自分の県の範囲で活動する団体はOKだけれども、それ以外は無理だということにどうしてもなるわけですね。知事をやられている税調委員ですらそうですし、僕はいろいろこの間勉強させていただきましたけど、これは条例で対応すれば、その県を越えた寄附まで住民税控除というのはまず不可能だと考えていいと思いますので、取っていただきたい。これは明確な修文要請です。
それから、納税者の事務負担というのは具体的によくわからないので、この行ですけど、これは質問にお答えいただきたい。
それから、「留意する必要がある」で止まっていますが、そのあとに「地方税法でその対象範囲の最小限度を国で定めることをも含め、今後検討していく必要がある」という一文をぜひ入れてください。
〇委員
もう一回言ってください。
〇委員
どこに入れたらいいかわかりませんが、「地方税法でその対象範囲の最小限度を」、つまり第三者機関で決めたものを財務省のほうがそれを使いましょうという崇高なあれを出しているわけですから、そこを合わせましょうと。「最小限度を国で定めることをも含め、今後検討していく必要がある」と。その上で、例えば10万円の適用下限額をどうするかとか、あるいは固定資産税で対応しようとか、地方自治体の中の地方分権の流れの中でこれは対応できることが多々あると思うわけでありまして、そういったことはともかくとして、私が言いたいのは、地域社会というのと行政区域というのは違うという、つまり、前、私は三浦半島のところにいましたけど、例えば横須賀市だけで三浦半島の何か環境を考えるのと、三浦半島全体で考えるのと、横須賀市で条例を作る時にどうなってしまうのか。それを突破できるようにするためには、やはりある程度地方税法で流れを決めておいてあげないと、難しかろうと思っております。
〇委員
修文のご要求等々あとで検討させていただきますが、まず質問がありましたよね。事務量云々のところ。ちょっとお答えいただけますか。
〇事務局
市町村の納税者の事務負担の話は、最初に寄附金控除の地方税について説明した時に少し触れさせていただいたのですが、現在、寄附金控除を行う時に、所得税について申告すれば、その時の添付書類でほとんど事が足りるということになっていますが、今度仮に条例で新たな控除対象を認めた時に、どういった手続をすれば納税者の事務負担が増えなくて済むかという観点を書いております。
それから、市町村のほうは、課税ベースが県と市町村両方が住民税を取っております。仮に市町村が控除を決めた時に、控除対象が違った場合に事務量が増えるという問題があります。そこを工夫する必要がありますので、このような表現にしております。
〇委員
地域社会と行政区域ということを、今の委員はかなり神経質に使われていたけど、我々税調でこういう議論は初めてなんです。別に地域社会という形で、それは財政学的にはそうかもしれないけれども、あまり抵抗なく受け入れられていましたので、括弧つきで使ってありますから、それだけおっしゃるなら、ちょっとあとで検討しますけれども、従来はその点はあまり気にしなかったということだけお答えしておきます。
〇委員
実は、ここがNPO法と今の公益法人・民法34条法人の大きな違いなのです。一都道府県内にぴったり収まるような公益法人はいっぱいあるんです。全部あります、みんな。例えば、具体名は出しませんけれども、探してみると、○○県、頭に地方自治体の名前がついている公益法人、それから、何々市○○協会、こういう公益法人があって、ある県は補助金を受給している団体の実に90%が、○○県○○市何とかかんとか協会なわけです。応益原則でこれをやっちゃって、条例を作る時にはそういう意図はないかもわかりませんが、これと第三者機関との判断を合わせた時に、具体的にインセンティブのある団体がどこになるのかということを考えれば、地方自治体、それから地方自治体の名前が冒頭につく民間団体では、これは普通つけませんよ。例えば何々市といったら、ぴったり何々市の区域内に活動する公益法人が対象になる可能性が極めて高い。それは税調としてこれだけ崇高なメッセージを出した時に、やはり汚点になるのではないかというのを非常に私気にしているところでございます。
〇委員
というご意見もございましたので、あとで修文のところでどうするか考えてみますけど、ほかにいかがでしょうか。今の委員のご意見を踏まえても結構ですし、また別の箇所でも結構ですけど。
〇委員
それから、これは総務省に伺いたいのですが、前回欠席の委員の意見書を見ると、寄附金控除よりも課税自主権のほうにウエイトがかかっているんです。例えば条例でやれという時に、今の地方税法の6条で対応できるわけですよね。現在、この種の条例を持っている地方自治体はいくつあるのか、ちょっと教えていただきたい。
〇事務局
地方税法6条、不均一課税だと思いますが、不均一課税の解釈としまして、税率をまけることができるということでございます。そういった意味では、ほとんどの都道府県であれば、そういった非営利法人に対する優遇税制を設けております。
一方で、この寄附金控除、所得控除については、6条によってはできないということですので、今回の答申の趣旨は、地方団体がそういった控除を設け得るような制度に変えるという意味で書いております。
〇委員
ほかにいかがでしょうか。
〇委員
今の委員のお話、私がちゃんと理解していないのかもしれませんけれども、間違ったことを言ったら教えてください。
結局、ある市町村なら市町村がございますね。それが一つの公共団体である。そこでの活動の範囲、例えば葉山市(葉山町)ではなくて三浦半島全体の話というようなことについて、どう対応するのかということになると、おそらく行政学上は、それは県が対応しようということになるのではないかと思うのです。その中間に三浦半島だけというのを作ろうとすれば、それはおそらくそこの市町村の組合か何かを作ってやるということになるのでしょうね、きっと。それとは全然別なものを入れ込むというのは、市町村が税についての特別の措置を設けるのか、県が設けるのかということにはできないわけですから、それはちょっと税制調査会として言うのは難しいような気がするのですが、いかがでしょうか。
〇委員
例に挙げるのは、多摩川だとわかりやすいのですけど、今の寄附金税制がどうなっているかというと、海で溺れた人を助けたらOKだけど、川で溺れた人の人命救助をしたり、湖で溺れた人を救助したりするのはだめだというのが今の制度になっているんです。こういう非常識、社会通念に合わないことをぜひやめていただきたい。
その時に、例えば多摩川のように県の間で流れている川で、こっち岸とあっち岸が違うとか、それから阪神間とか、いろんなところでそういう問題が生じる可能性がありまして、今の民法34条法人は、ちょっとでも、活動費の1%でも他府県にかかわっていたら、これはもう県で許可されないわけです。
ですから、その意味で、先ほどのは知事所管ですけれども、そういった行政区域にぴったり合うような公益法人、これ以上言いませんけど、というのが現実に今多々あるわけです。そこにだけインセンティブを地方税法上与えるような形で条例ができるようなことに対して、我々として本当にいいのだろうか。
国の場合はそういう諸々の課税の原則を超えた形でこれをやりましょうというふうになっている。それから、企業の場合も、これは企業が寄附する時に、原則は株主のお金だから寄附できないのだというところを企業が寄附して、長い裁判の歴史が諸外国であるわけです。諸外国で何回も裁判があって、大体前世紀の前半ぐらいで、こういう民間の公共というのは、そういう原則を超えたところにあるのだというところで全部いっているわけです。いろいろそういう原則論がある中で、なぜ地方税だけ原則論を入れなくてはいけないのかという部分が、私は一市民としてわからないということであります。
〇委員
お気持ちは非常に私もよくわかります。わかりますが、誰かが条例で書かなくてはいけないですね。租税法定主義ですから、特別措置として税金の免除を決めるのであれば、誰かが書かなければいけない。だから、市町村が書けなければ、その上の都道府県しかないし、それ以上だったら国が書きます。国が書くとなると所得税の話になってしまいますね。要するに、原則として地方が決めるのならいいよという話でずっと来ているわけです。前回欠席の委員の意見書もそうであったと思うのです。その話と全くぶつかってしまう。
サブシディアリティと言いますね。補完性の原則。あれは下の団体で解決できないのは、上に上に上げていく。上で何とか手当てしようというのが補完性の原則と言うのですが、日本ではあれは間違って使われていまして、下に分権のほうにおろしていくのを補完性の原則と言っているのですけれども、実はお話のようなのは、補完性の原則を適用して何か打つ手がないのかと言っておられるわけなんですね。
〇委員
まだいろいろエンドレスに続くかもしれませんけど、私が座長をした感触を申し上げると、その委員も確かに応益原則とおっしゃっていたし、両論併記で書くべき場所なのかもしれないけど、最後受けとめたのは、やはり地方自治体の独自の判断でやるのが筋ではないかと。それで基本的に条例でやると。それをさらに一歩踏み込んでご意見は、条例の作り方云々の時に、こういう制約がある、こういう問題があるよというところまで書き込めとおっしゃっているわけですね。
僕はそこまで必要ないと思う。これはまだ実際の法律の設定までにいろいろやらなければいけないこともあるし。お気持ちはよくわかりますよ。それまで十分ケアしろといったら、ほかにもいろいろケアしなければいけないことがいっぱいあるわけです。一々具体的に申し上げませんけど。ここだけの話ではなくて、そのレベルまで下れば。だから、結局、他とのバランスの関係もあるから、それは何だったら記者レクなんかでご懸念のことまで申し上げますけれども、そこまでほかとのバランスもこれありの中で書き込みますか。今おっしゃった行政地区がどこだとか。
〇委員
であれば、私は地方税法でやれという意見もあったのではないかということを主張申し上げます。ここまで文章が出ていてあれだから、本当にわかりにくい表現になってしまいましたけれども、ここは地方税法で……
〇委員
条例でなくて?
〇委員
条例ではなくて地方税法でやるべきで。
〇委員
みんな条例でということで全部まとまってきているわけですよ。あなたのお気持ちもわかるけれども、ここでガーンと何か新しい視点を持ち込まれても、今日まとめる段階ですから、難しいですよ。まあ、お気持ちはよくわかります。
ほかにいかがでしょうか。
〇委員
「はじめに」の部分ですけれども、確定版の1ページでございます。すっきりとなっていて、経過がわかって非常によくなったと思うのですが、冒頭の2行目から3行目にかけて、現行の公益法人制度の問題点の指摘があります。ただ、ちょっと言葉が足りないのではないかなという感じがいたします。
と申しますのは、現行の公益法人制度の大きな問題として、主務官庁の許可主義に伴う問題というのが非常に大きいわけです。それを改めるために今回第三者機関というのを設けた。税調もそれを受けて今回それに対応する制度を作っているということで、主務官庁制に伴う問題があったということも入れていただいたほうが、全体のつながりからいっても、それから、内閣官房のほうで進めておられました検討との対応という意味でもいいのではないか。
〇委員
2ページ目に[1]から[3]までで、その主務官庁も含めて、問題があって直そうというのを書き込んであるわけです。だから、冒頭、主務官庁制のところだけ広げて書くかどうかの判断でしょうね。でも書いたほうがいいんですね。
〇委員
ここで問題点として挙げられているのは、営利法人類似の法人が存続しているという点だけを抜き書きしているものですから、ちょっとそれだと焦点のあて方が……。
〇委員
「主務官庁制」というような言葉があったほうが確かにわかりいいかもしれませんね。わかりました。ちょっと検討させてもらいます。
どうぞ。
〇委員
さっきの委員の話に戻っていいですか。
〇委員
どうぞ。
〇委員
見え消しの17ページの13行目に、「基本的に条例などにより地方公共団体によって独自に構築されるべきである」という文章があって、先ほど会長もその趣旨をおっしゃったわけですが、この条例で決める中身は、要するに対象とする団体を決める場合と、対象にしない団体を決める場合とがあると思うのです。私は先ほどの委員の意見と今のこの原案との中間なのですが、そもそも第三者機関が決めた公益法人については、全地方団体に適用をさせるべきであると、オールジャパンであっても、という意見なのですが、ただし、その中には、仮に自衛隊のバックアップする公益法人があるとか、それから、裁判制度をバックアップする公益法人があるとか、本来、地方団体がそういう団体に対して財政支出の権限がないものもあり得るわけですので、第三者機関が公益法人として決めたものは、全部やっていいとは限らないと思うのです。
だから、ここで言う「基本的に条例などにより」というものは、例えば第三者機関が決めたものについては全部適用するけれども、その中からこれとこれとは除外しますよということも含んで解釈してもいいのではないかと。NPO法人などは当該地域に直接関係のあるものを各地方団体が選んでいくと、そういうことを含んでいるのだと、そういう自主性の条例だというように理解してよろしいですか。
〇委員
理解する、理解しないは、今のところ各人でみんな受けとめているのでしょうが、今この段階で、文章の中で、その意見、あるいは先ほどの委員の意見まで書き込むようなトーンで追加するかどうかが今問われているわけです。だから、そのような解釈でここを読む人もいるでしょうし、僕はそれでもいいと思うし、だから、やはりここは皆さんのいろいろな意見があった中で、基本的に条例でやろうという話でまとまってきた話ですから、それを自分流にこう書け、ああ書けという話はいっぱいあるのだと思います。これは次の段階で僕はあっていいと思うのです。具体的に議論する時に。ただ、この条例の中身は、税調が判断するというよりは、あくまで地方が判断することでしょう。そうでしょう。我々は条例でやりなさいと言っているわけですから、地方自治体の意見を踏まえて。
〇委員
そこは制度設計の話だから、全体を認めて、除外する部分は条例で書いてもいいよというのと、それは全然違うと思うのです。
〇委員
ですから、そこまで書き込むかということ。それはいいでしょう。
〇委員
いや、それは書き込まなくていいけれども、そういうふうに読めればいい。
〇委員
わかりました。そういう読み方もあるということですね。
どうぞ。
〇委員
先ほどの委員の気持ちは、ずっと15年以上一緒にやってきたので、痛いほどわかります。しかし、一方で地方分権、地方自治をどういうぐあいに確立していくかということは、新たな時代の要請でもあるし、官のこれからのあり方として民とのかかわりの中で今議論しているわけですね。それを大事にしていくということは、原則論として国、地方、NPOも含めての非営利法人、この三者のバランスをどうとるかということが非常に重要なのであって、それをここであらかじめ相当縛るようなステートメントは、ちょっと僕は回避しておく必要性があるのではないかと。その意味で、やはりこのぐらいの書き方がいいのではないかということで、幾分これまでも先ほどの委員とは表現の仕方が違ったということで、依然として私はそこのところはこれでいいのではないかと思います。
〇委員
つまり、官民のあり方と地方のあり方を議論していく時に、そこでクロスロードする部分が実は生じることがあるのだということで、民間が、例えば西宮市でやっている団体が大阪のほうに行った時にマイナスのインセンティブにならないようにというだけのメッセージとして受け取っていただければ、あとは会長の崇高なあれに一任するということで……
〇委員
あなたの気持ちは、今の地方の現状を前提にした議論だと思うのです。ところが、私は21世紀型の地域分権を担う人のもっと未来に賭けてみようよということなんです。そこの認識の違いですよ。
〇委員
ぼつぼつよろしいですか。意見も出尽くしましたし。
2、3修文の箇所があるかもしれませんが、これはまた改めてご一任いただいたあとで、担当の方々と相談いたしまして直させていただきます。
それでは、まだ時間がありますけれども、もしご議論がなければ、一応これで議論を終わりにいたしまして、17日の総会に向けて再度若干の修正をいたしますが、その修正云々に関しましては、我々2人の座長にお任せでよろしゅうございますか。
それでは、総会とこの合同会議を17日の2時から開いて、そこで総会の方々にご承認いただくという形にいたしたいと思います。したがって、21日の合同会議は必要でなくなりますので、この合同会議だけにご出席の方は、あらかじめとりやめをテイクノートしておいてください。
それでは、実質的に今日まで行いました審議につきましてご協力いただきまして、どうやらすっきりした報告書になってきたかなという感じを持っておりますので、どうもありがとうございました。
まだこれは完全に固まり切っておりませんので、このメモは返却をお願いいたします。
それでは、引き続きまして、個人所得課税の議論を基礎問題小委員会だけでやりたいと思いますが、5分ぐらい休みましょうか。50分から再開。資料を配ったりする時間も必要でございますので、少し休ませてもらいます。どうもご苦労さまでした。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。