第33回基礎問題小委員会・第1回非営利法人課税WG合同会議 議事録

平成17年4月15日開催

委員

では、そろそろ時間になりましたし、皆さんおそろいでありますので、基礎問題小委員会と非営利法人課税ワーキング・グループ合同の第1回会議を行いたいと思います。

そもそも、なぜこんな格好で開くかというのは、基礎問題小委員会ではご説明いたしましたけれども、お聞きでない方もいらっしゃいますので簡単に説明しておきます。

内閣官房が、昨年、ある報告書をまとめていただきまして、「新しい非営利法人制度」の創設に向けて議論を展開しておりまして、それに対して我々も、課税のあり方を検討しなければいけないということになっております。

これは、我々が昨年の「実像」レポートでやっておりますように、民間における公共性なり民間における公益性が、第三セクターとして今後重要になるであろうという認識に立っておりまして、非営利法人のセクターの重要性を認識してきたわけです。同時に、これは寄附金税制と絡んでまいりますから、寄附金税制も取り上げなければいけないという形で問題が設定されております。そういう意味で少し枠を広げて、基礎問題小委員会の先生方にも入ってもらって、寄附金税制と非営利法人の関係も含めて、やや幅広い視点から議論しようという形で2つのグループが合体したと。大半のメンバーの方は一致しておりますけれども、新しく加わった方々もいらっしゃいますので、そういう趣旨であるということでご説明いたします。

合同でございますから、私と水野さん、各々、小委員長と座長でございましたが、共同座長という形で助けていただきながらやっていきたい、このように考えています。

今日は第1回目でありまして、内閣官房からお越しいただきましたお二人からご説明を聞くということを主としてやりますが、同時に、非営利の課税の取扱い方もテーマにしたいと思っています。来週22日、これは主として寄附金税制をやる。2回続けて、このWGと基礎問題小委員会合同会議をしたい、このように考えております。

その後、5月以降、順次、フリーディスカッションの時間をとりまして、例の基礎問題小委員会の所得税改革の論点整理と同じような形で、6月下旬に一応基本的な考え方を整理したい、こういう段取りを考えております。

いろいろな意味でタイトなスケジュールになりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

これまでの経緯もございますから、非営利法人課税につきまして、座長の方から、一言何かご発言があればお願いいたします。

委員

会長からご指名いただきましたので、非営利法人課税WG、これが基礎問題小委員会の下につくられたわけですけれども、すでに2年半くらい前になってしまいましたので、記憶の限りでお話ししたいと思います。

平成14年の秋ですが、非営利法人課税WGが設けられて議論を進めたわけですが、他方、内閣官房で、公益法人の制度そのものについて議論をしていただいていたわけですけれども、どうも将来的に公益法人制度がどういうふうに変わるかという方向が示されない状態で課税の議論をいたしまして、その結果、いわゆる公益というのは何であるか、今度その公益法人を変えた場合にどこが判断するのだろうか、そういったような議論までこちらですることもございまして、かなり多くの時間を費やしたように感じております。

それから対象ですけれども、いわゆる民法で言う法人、それと中間法人法に言う中間法人、さらにNPOも入っておりまして、これらの3つを統一する理念とか基本的考え方、ここもはっきりしなかったということがございました。さらに全体としまして、マスコミをはじめとして、公益法人の制度が変わると。これは行政改革の一環であったはずですが、何か税制が非常に浮き上がりまして、これは原則課税になるのではないかとか、そういう感じの議論が広くマスコミ等で取り上げられまして、非常に錯綜した状況になってしまったわけです。

今般、すでに会長お話しのように、非営利法人制度の今後の方向ということで内閣官房で案を固めていただいて、すでに閣議決定もなされているということですので、そこで初めて、非営利法人制度、新しい制度に対する課税関係はどうあるべきであろうか、こういう形で議論ができると思っております。時間の制約もございます。かつては、WGが議論したものを小委員会に上げて、それからまた総会に上げてと、非常に手順を踏んでおりましたが、今回は小委員会との合同ですので、私としましては、従来の議論の内でお役に立つようなものがありましたら、適宜、提供する、こういうことにして議論の活性化に努めたいと思っております。よろしくお願いいたします。

委員

ありがとうございました。前回、座長には大変ご苦労いただきました。いろいろな経緯がありましたが、今回、さまざまな条件も整いましたので、この合同会議で、我々としてある結論を導きたいと考えております。

それでは、今日の予定を申し上げます。前半と後半に分けたいと思いますが、最初に、わが国の法人制度につきまして事務局から概略ご説明いただきます。それから、今日は内閣官房から、今般の公益法人制度改革をおまとめいただきました関係者お二人に来ていただきまして、その方々からご説明をいただきます。

後半は、事務局から、非営利法人に係る課税の取扱いに関連した論点を整理していただくというわけで、今日からやにわに本論に入っていきますけれども、その辺を中心に残った時間を有効に使いたいと思います。

最初に、最初のパートとして、税制二課長から、現行のわが国の法人制度につきまして、ごく簡単にご説明ください。

事務局

それでは、私から、資料「基礎小33-1」という資料でございますが、それに沿いまして若干ご説明したあと、内閣官房から、具体的な非営利法人制度、今検討されているもののご説明ということにさせていただきたいと思います。

まず、33-1の資料を開けていただきたいと思います。1ページ目ですが、わが国全体の法人制度の議論をする前に、もう一度確認という意味も含めまして、私どもの議論をする土俵を確認したいということで、数枚、資料を掲げさせていただいています。1ページにございますのは、昨年度の税制改正における答申の抜粋です。アンダーラインのところにキーワードが幾つかございまして、1つは1行目に、民間非営利活動は、一層その重要性を増すという記述。それに関連いたしまして、3行目ですが、寄附金税制を含めた適正な課税のあり方の検討。それから4行目、現在行われている公益法人制度改革の検討結果を踏まえた一定の検討というふうな整理になっております。テーマとしましては、冒頭、会長からありましたように、現在検討されています非営利法人制度に対する課税のあり方及び寄附金税制ということになるわけです。

お手元の資料で、後ろのほうに「33-4」という資料がございます。これは後ほど、これに沿ってご説明申し上げますけれども、2枚紙がございまして、我々がこの6月までに議論すべきフィールドという論点を例示的に書いてあります。1枚目が「『非営利法人』に対する課税の取扱いについて」、2枚目が「寄附金税制のあり方について(主な論点)」ということです。今回はこの1ページ目、来週は2ページ目になりますが、これらを一体としてご議論いただくのが私どものフィールドだということでございます。

もとに戻っていただきまして、2ページ目でございます。このような検討を行う背景でございます。もとより、民法上の改正があるわけですが、私ども税調としましても、昨年の「実像」把握の抜粋を書いてございます。幾つかのキーワードがございますが、例えば、「民間が担う公共」という言葉を掲げてございます。これの重要性が指摘されておりますし、下のパラグラフでは、少子・高齢化が進行して、家族やカイシャが果たすケア機能が低下するといったような、社会の構造の変化という中で、このような民間の担う公共の分野の重要性が高まっているという認識、そういうものを背景にしながら、今回のご議論があるというふうにとらえております。これらが我々のバックグラウンドだということでございます。

1枚飛ばしまして、4ページでございますが、ここから今日の本題に入らせていただきたいと思います。まず、内閣官房のご説明に先立ちまして、全体的にわが国の法人制度を鳥瞰していただくということでこういうマップを用意いたしました。主な制度ということでご了解いただければと思います。

一番左側に「民法第33条」という言葉がございますが、ここに書いておりますのは、わが国の場合には、法人が法人として成り立つためには一定の根拠法が要るということで、それが多角的な形で分布しているというのがこの表の意図でございます。

大きく分けまして、営利と非営利に分かれます。営利につきましては、利益を分配することを目的とする法人。非営利は、そういう分配をしないという整理になりますが、そのもとでさまざまな形の法人のタイプがあります。一番左側、縦系列ですが、代表的なものが民法の第34条法人と称するもので、社団、財団というかたまりがございます。それに対して一定の特例法ということで、学校法人、社会福祉法人、宗教法人、いわゆるNPO法人という類いのものがございまして、俗な言葉で申しますと、公益的な法人と称するかたまりがあるということです。

真ん中の欄に中間法人という言葉があります。「社員に共通する利益を図る」ということを内容とするものですが、特例法的な世界では、管理組合法人と書いてございますが、これはマンションの管理組合のようなもの等々、共益的なかたまりが一応存在しているということでございます。一番右側は、株式会社等々の営利法人というかたまりがあるという形でマッピングされているわけです。

今回の制度改正、内閣官房で、今、準備されておりますものは、シャドーを打ちました社団法人、財団法人、中間法人、これに代えて新しい非営利法人制度をつくろうということの取組みでございます。したがいまして、学校法人等のマル、NPO云々という白抜きの部分につきましては、この時点におきましては、ステータスの変更はないという形でとりあえずの議論の整理が行われているということでございます。

それから、法人課税との関係になりますと、右側に法人課税と縦書きしておりまして、真ん中の「人格のない社団」の上に太い線で区別してございますけれども、これは私法上の整理といたしまして、そういう団体に収益とか費用とか実質的に帰属しているという、ある意味でエンティティといいますか、かたまりとしての法人に納税義務者となってもらうことを前提としているという趣旨でございます。

ただ、それぞれの納税すべき法人についてどういう課税ベースをとるかということにつきましては、先ほど見ていただきました、公益的な流れ、共益的な流れ、株式会社の流れ等々、それぞれの特性に応じて課税ベースが設定されるというのが現行の制度になっております。今般の内閣官房の整理によりまして、社団法人、財団法人、中間法人のところに新しい制度ができますれば、それに伴って我々は、新しい制度に対応する法人の課税の仕方、課税ベースのとり方をご議論いただくことが必要になってまいります。併せまして、それにもしも大きな変更があるという場合には、この白抜きの部分につきましても一定の整理が必要になってくる、ということが全体としてのピクチャーでございます。

引き続きまして、内閣官房にバトンタッチしたいと思います。

委員

若干、簡単にご紹介させていただきますが、お忙しいところをありがとうございました。今日は、内閣官房行政改革推進事務局から、お二人、お越しいただいております。お一人が公益法人制度改革推進室長、もうお一人が公益法人制度改革推進室参事官でございます。

それでは、15分ほどの時間しかございませんが、よろしくご説明をお願いいたします。

事務局

内閣官房の行革事務局で公益法人改革を担当しております。どうぞよろしくお願い申し上げます。本日は、私どもにこのような説明の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。

公益法人制度の改革につきましては、昨年の12月末に「公益法人制度改革の基本的枠組み」という表題で閣議決定を行っております。本日は、その内容につきましてご説明をさせていただく予定にしておりますけれども、まず、そこに至る経緯につきまして私から若干ご説明を申し上げます。

お手元に、私どもから資料を2つ用意させていただいておりまして、「基礎小33-2」が私どもの説明資料でございます。それから「33-3」がそれにかかわる参考資料でございます。説明資料「33-2」の1ページ目をお開きいただきたいと思います。

ここに、私どもが担当しております、公益法人制度改革の経緯について簡単に1枚紙で紹介しております。公益法人制度改革につきましては、平成12年12月の行政改革大綱に基づいて取組みをスタートしておりますけれども、当初は、行政からの業務委託とか、あるいは、補助金依存度の高い、いわゆる行政委託型の公益法人に限定して、特に行政の関与のあり方を改革するという観点から取り組んでまいりました。

しかしながら、その作業を進めていきます中で、限定した法人制度改革だけではなくて制度全体を見直すべきとの議論が高まってまいりまして、平成14年からこの抜本改革に取り組み始めたところでございます。平成14年の3月に「公益法人制度の抜本的改革に向けた取組みについて」を閣議決定しておりまして、政府としてはこれが本改革のスタートでございました。

この閣議決定におきましては、民間の非営利活動を積極的に位置づけるという観点も含めまして、民法34条に基づく社団、財団の公益法人の抜本的かつ体系的な見直しを行うということがうたわれておりまして、これに基づいて作業を進めてきております。平成15年の6月には、この抜本的改革に関する基本方針を閣議決定いたしました。そこでは改革の基本的な考え方を提示しておりまして、法人格の付与と公益性の判断とを分離して、法人格については、迅速で簡便に設立できる一般的な非営利法人制度を創設するということと、それに基づいて、公益性を有する法人につきましてさらなる検討を行うことが定められました。その検討については、平成16年末までを目途にその枠組みの具体化を図ることが取り決められまして、これに基づきまして平成15年11月から、「公益法人制度改革に関する有識者会議」を行政改革担当大臣のもとに設置いたしまして、検討を進めてまいりました。

この有識者会議は、資生堂の福原義春名誉会長を座長とする、法学者、法人関係者14名からなる委員会でございました。その下には、能見善久東京大学教授を座長とする、非営利法人制度の専門的な検討を行うワーキンググループを設置いたしまして、この間、国民一般からの意見の募集等を含めて精力的なご審議をいただいて、昨年11月に報告書を取りまとめていただいたところでございます。この報告書を受けまして、その報告書の提言のエッセンスをほぼそのまま取り込むような形で、「公益法人制度改革の基本的枠組み」を取りまとめて昨年12月に閣議決定を行ったところでございます。

今後の予定としましては、この閣議決定に基づきまして、関係省庁の連携のもと、さらに具体的な検討を進めるとともに税制上の措置にかかわる専門的検討をいただきながら、平成18年、来年の通常国会に法案の提出を目指す予定で作業を進めることとしております。公益法人制度と並びまして特にこの税制の問題は、今後の制度改革の中で法制度と一体となって改革の方向性や実効性に大きな影響を持つ、きわめて重要な意義のある課題だと認識しております。どうぞよろしくご審議をお願い申し上げます。

それでは続きまして、参事官から説明申し上げます。

事務局

資料2ページをお願いいたします。今回の改革について、具体的な中身についてこれから簡単に説明させていただきます。

まず、公益法人制度改革をなぜやるのかということにつきまして、一番上にマルが2つございます。ここでは2つ柱を掲げておりまして、1点目は、先ほど税制第二課長からお話ししたこととも関係するわけですが、民間非営利部門をわが国の社会経済システムの中で積極的に位置づけるということでございます。政府部門につきましては機動的な対応がなかなか構造的に難しい。民間営利部門につきましては、やはり採算性が求められるということで、社会の諸活動において十分に対応できない領域があるのではないか。民間非営利部門はそういったところを積極的に担うものとして位置づけるということを掲げているものでございます。

この背景には、当然のことながら、政府部門が厳しい財政状況に直面しておりまして、官民の役割分担を見直す、簡素で効率的な制度の実現を目指す、そういったことが背景にあるということもございます。

もう一つの柱としましては、これは旧来言われていたことですが、現行の公益法人について指摘される諸問題、例えば、現在、主務官庁が設置許可等を行っているわけですけれども、これはかなり裁量の幅が広いということがございまして、法人設立が簡便でない、あるいは判断基準が不明確であるといったご批判がございました。あるいは制度から来る問題ですけれども、公益性を失ったにもかかわらず法人として存在し、かつ、いろいろ税制上の優遇等の措置を受け続けている、こんな問題がございました。こういった問題に対処していくということがございます。

この2つの柱を基本的な視点といたしまして、以下の四角の中を見ていただければと思いますが、これは、今の法人制度と新しい法人制度を比較したものになってございます。

今の法人制度を簡単に申し上げますと、各官庁が設置許可あるいは監督権限を有する、いわゆる主務官庁制によっているわけです。この仕組みの中では公益性の判断、法人格の取得、この2つが一体となっているということがございまして、先ほど申し上げましたように、公益性がなくなっているにもかかわらずなかなか法人格の取消しまで行かないといったような問題がございます。また、この法人制度、民法が根拠になっているわけですけれども、これも制定以降百年経過しているものでございまして、要件等、具体的にほとんど定められておりません。そこで官庁の裁量の幅が非常に大きくなっているということがあるわけです。

こういったことを踏まえまして、新しい制度を当方で考えてみたということでございます。これが、この下の二重になっている線の中でございます。まず、主務官庁制を抜本的に見直すことを掲げておりまして、その結果、法人格の取得と公益性の判断を分離することが基本的な枠組みになっております。

制度としては2段階に分けてございます。まず、法人格の取得について申し上げますと、これは公益性の有無にかかわらず、営利を目的としないものであれば準則主義、すなわち登記で法人格が取得できるということで、これを一般的な非営利法人制度としてそこに掲げているわけでございます。その中から、「公益性を有する非営利法人を判断する仕組み」と、その下の枠に書いてございますが、これは、先ほど申し上げましたように主務官庁制を抜本的に見直すことにしておりますので、そのかわりといたしまして民間有識者からなる委員会、この意見に基づいて公益性を有する非営利法人を判断する仕組みを考えております。

さらに、この判断要件につきましては、できる限り裁量の余地の少ないということを基本にいたしまして、これをできるだけわかりやすいものとして法律に定めることを考えております。また、公益性を有する法人につきましては、ガバナンスとか情報開示、こういったものについても法律に明確に義務づけることによって適正運営を確保する、こういった仕組みを考えたわけでございます。

以下、3ページを見ていただければと思います。この公益法人制度改革の基本的枠組みと申しますのが、先ほどご紹介いたしました、昨年閣議決定したもののポイントになっております。1の基本的な仕組みにつきましては、今の話と重複しますので省略いたしますが、2ポツの一般的な非営利法人制度のところを見ていただければと思います。

まず、(1)総則的事項として、形態としては社団形態と財団形態の2種類を念頭に置いております。

(2)の社団形態の非営利法人制度というところですが、マルの1つ目です。これは要するに、社員となろうとする者が2名以上集まれば、特に財産的基盤がなくても法人の設立を可能とするということで、事業についても格別の制限を行っておりません。そういう意味で要件は非常に幅広く考えているものでございます。しかしながら、最低限のガバナンスということで、マルの3つ目ですが、理事の責任規定、代表訴訟制度といった、株式会社制度と同程度の自律的なガバナンスを確保することを併せて考えているわけでございます。

その下、(3)財団形態の非営利法人制度というところでございます。これも基本的には法人設立を簡単にするという趣旨で、財団であることに伴う必要最小限の資産で法人設立を可能とすることを考えております。ただ、一方で、財団形態の法人制度につきましては、いろいろ問題が考えられることもございますので、目的、事業について一定の制限を設けること、この当否についても検討することといたしております。

マルの2つ目でございます。併せまして、評議員会あるいは理事会、監事といった必要なガバナンスについてはきっちり定めることを考えているわけでございます。

次、4ページに移らせていただきます。(4)その他のマルの3つ目でございます。中間法人制度は、社団形態の非営利法人制度に包含されるということ。それから少し飛びますが、その下の3ポツの、公益性を有する非営利法人を判断する仕組みの柱書き、3行目ですが、「特定非営利活動法人制度については、引き続き存置される」、こういう整理をここで行ったわけでございます。

ここについて若干説明を補足させていただきますと、なぜ中間法人制度を廃止する一方でNPO法人を対象外としているのかということでございます。先ほど申し上げましたように、この改革自体は民法法人についての改革が出発点でした。そこからいろいろ制度を検討していく中で、まず中間法人につきましては、この法人制度、そもそも社員に共通する利益を目的とする、かつ非営利であるということがございます。一方、新たに創設する一般的な非営利法人制度につきましては、公益性の有無にかかわらず共益も含めて広く営利を目的としない制度を想定しておりますので、法制的に中間法人制度は包含される関係にあるのではないかということでございます。したがいまして、これは廃止・統合するという整理にいたしました。

一方、特定非営利活動法人、いわゆるNPO法人制度ですが、こちらのほうは特定の公益性を有する非営利活動、これを法律で定めまして、その法人につきまして認証という簡単な仕組みで設立させるという特例的な制度になっているわけです。したがいまして、その趣旨、目的から考えますと、新しい非営利法人制度をつくったことによって、中間法人とは異なって、直ちに制度の影響を受けるものではないであろうということでございます。また、これは有識者会議でもご議論がございましたけれども、NPO法人につきましては、平成10年の制度発足以降、現在もかなり増加しているということがございますので、まだ発展途上の制度であって、抜本的に見直すのは時期尚早ではないかという意見もございました。こういったような話を含めまして、先ほど申し上げましたような整理を行ったということでございます。

続きまして、3ポツの(1)、判断主体。これは、それでは一般的な非営利法人について公益性を誰が判断するのかというところでございます。判断主体につきましては、国あるいは都道府県と2段階あるわけですが、国のほうにおきましては主務官庁制を廃止するということがございます。主務官庁の影響から中立的であることを趣旨といたしまして、民間有識者からなる委員会を設けまして、その委員会の意見に基づいて法人の目的、事業等の公益性を判断する、そういう仕組みを想定しております。

この委員会におきましては、事後チェックとか、不服申立てといった機能も想定しておりますので、かなりいろいろな業務を的確かつ迅速に遂行する必要がございますので、しっかりした事務体制を持ってきっちり判断していくことを考えているわけでございます。

それから、都道府県のほうにまいりますと、今では、都道府県知事によって設立許可が行われているわけですけれども、都道府県におきましても国に準じた機能を有する体制を整備することを想定しております。併せまして、国との間で公益性の判断等に違いがあっては問題があるかと思いますので、その辺、整合を図ることも併せて考えているわけでございます。

その次、(2)ですが、ではどういうふうに判断をするのかということでございます。まず、判断要件です。これは、実は今、各主務官庁におきましては、公益法人の指導・監督を行う際にはここに掲げております「指導監督基準」というものがございます。これ自体は、各省庁が所管の公益法人について指導監督を行う際のガイドラインに当たるものですが、これをベースにいたしまして、できる限り裁量の余地の少ない要件を定めることを基本に考えております。

まず、目的につきましては、これは従来から言われていることですが、積極的に不特定多数者の利益の実現を図ることが基本である。併せて共益につきましては、従たる目的となる範囲内であれば認めるということを考えております。

事業については、指導監督基準にもいろいろ定めがございますけれども、例えばということで掲げております。公益的事業の規模は法人の事業の過半を占めること。あるいは、付随的に収益を目的として行う収益的事業の利益、これは原則として公益的事業に使用される。ここで書いてございます「収益的事業」と申しますのは、税法上の収益的事業とは異なった概念のものでございます。

3ページに移っていただきまして、公益的事業が営利企業の行う活動を阻害しないといったようなことがございます。

それから、規律という観点から幾つか挙げてございますが、例えば、同一親族等が役員に占める割合を制限する、あるいは、解散法人の残余財産の帰属者を類似目的の法人あるいは国・地方等一定の範囲に限ること。それから、将来の公益的事業の実施に必要な範囲を超えた過大な資金、これはいわゆる内部留保と言われているものですが、こういうことも過大に行われることがないようにということ。こういったことを掲げてございます。

こういったことを極力明確な形で定めていって、裁量があまり大きくならないような形を考えているわけでございます。

(3)適正運営確保の方策ということですが、これは、公益性を認められた非営利法人につきまして、法律上、義務づけられるものです。具体的な内容としましては、マルの2つ目、情報開示をしっかりやるべきということ。それからマルの3つ目、これは簡単に申し上げてしまいますと、事後チェックをしっかりやるということでございます。事業報告書を定期的に提出させる、あるいは立入り検査を行う、また、その結果を得て必要な命令、あるいは、最終的には公益性の判断の取消しといったような措置を明確な要件の下で適切に行う、そういう仕組みを考えているわけでございます。この点につきましても、これまで法律上明確な制度としてはございませんでしたところを、仕組みとして明確に措置するというところでございます。

4の「その他」のところでございます。(1)の現行公益法人の新たな制度への移行ということですが、現在、公益法人と名のつくものが2万6,000ございます。この法人をどうするかということでして、これらの法人の移行の道筋ということで申しますと、大きく分けて2つあります。公益性のある非営利法人に移行する、あるいは、公益性のない一般的な非営利法人に移行する、この2つの道があるわけですが、2万6,000をゼロから根本的に判断し直すということになると、これは膨大な社会的コストがかかるということもありますので、ここをどう考えるかということでございます。

この点につきましては、今、我々のほうで具体的な仕組みを考えているところでございます。十分な準備期間をとること、あるいは、簡易な手続き等を考えるといったようなことを基本に考えているところでございます。

次の6ページ目に行っていただきます。(2)の今後のスケジュールということですが、これも先ほど室長から申し上げましたように、我々の作業としましては、来年の通常国会に所要の法律案を提出することに向けまして、ここで閣議決定いたしましたものはその枠組みですので、これから、制度の詳細を具体化するということで、今、作業を行いつつあるところでございます。

ちょっと長くなってしまいましたが、大枠、以上の説明とさせていただきます。

委員

ありがとうございました。それでは、あまり論点が拡散されない前に、税制第二課長と内閣官房のお二人から受けた説明につきまして、質問なり問題点の指摘等ございましたら、今の段階でお話を聞きたいと思いますが、いかがでしょうか。

将来的には、NPO法人が一般的な非営利のほうに一たん入って、また公益性をとってというこのルートも予想しているのですか。あるいは、予想していいのですか。

事務局

現在のところ、制度的には、先ほど申し上げましたように別ということを考えているわけですが、NPO法人が新しい制度にまた移りたいということがあれば、そういうこともこの制度の中ではあり得ると思います。

委員

あり得るということですね。

どうぞ。

委員

移行の話ですけれども、最後のほうで、一定期間と簡易的に何とかということだったけれども、「現行の公益法人制度の廃止を前提にしつつ移行する」という言い方を特に強めないと、ただ移行では話がまぎれ込んでしまいます。つまり移行というのは、民法34条がなくなるわけですから、単に移行するわけではないので、そのところのめりはりがこの言葉ではわかりにくいのです。

委員

どうぞ、何かありましたら。

事務局

たしかに民法34条、これを改正するということになってございます。ただ、一たん法人を廃止して解散するということになりますと、財産処分等いろいろ複雑なものがございましたので、ちょっとこういう書き方をしているというところがございます。

委員

2万6,000あるわけだから、それをどういうふうにするのかということ。新しい枠組みはよくわかりますが、そこがどういうふうに移るのかという移り方の、何かもうちょっとわかりやすい表現はないのかなということです。

事務局

補足します。この移行という言葉ですけれども、今度の新制度では、一般的な非営利法人と公益性を有する法人と二段構えになるわけでして、現在の2万6,000の法人については、その中から選別するといいましょうか、希望を踏まえながら振り分けるという形になるわけです。もちろん、これを契機に解散する法人もあるかもしれませんけれども、それは法人の自主的な判断によるということでございます。ここでの移行とは基本的には、一般的な非営利法人とその上の公益性を有する非営利法人、この2つに仕分けをするのが基本というふうに考えております。

委員

よろしいですか。内閣官房のお二人はこの会議が終わるまでいてくださるそうでございますから、また問題がございましたら、途中で結構ですからお尋ねください。また、お二人も議論に参加していただけるならこちらもウェルカムでありますから、どうぞ。

それでは、今まで、税のない世界の現行の法人税、あるいは非営利法人の検討状況をご説明いただきました。これから、非営利法人制度に対して税制上どういう問題が出るか等のほうに移っていきたいと思います。つまり公益法人課税制度、この問題、現行もあるし、今後の改正もあります。

これにつきまして、まず最初に税制第二課長から、それから都道府県課長から地方税に関しまして、お二人から簡単にご説明いただきましょう。

事務局

それでは私から、引き続きまして、先ほどの「33-1」の分厚い資料と、それから、資料の後ろに委員限ということで「主要論点メモ」、横書きで、ご議論いただくべき論点ということで書き下したもの、これを随時参考にしながらご説明させていただきたいと思います。

資料「33-1」、6ページを開けていただきたいと存じます。この表は、先ほど内閣官房からご説明ございましたことを、イメージということでわかりやすくポンチ絵化したものです。若干復習になりますけれども、ご覧いただきますと、現行の民法34条法人と中間法人というものに代えて新たな一般的な非営利法人をつくるというお話がございました。一般的な非営利法人につきましては、非営利であるということにおいて、登記をしたら法人として設立できるという意味です。

さらにその中から、下にございますように「公益性を有するもの」につきまして、民間有識者からなる委員会において公益性の判断を行うという形になっております。この公益性の判断につきましては、先ほどありましたように、取消しまで含んだ形でのプロセスも背負っている委員会であるということでございます。

特徴として、今まで主務大臣の許可という世界から民間有識者からなる委員会(第三者機関と呼ばせていただきます)、そういうところでの公益性の認定ということになりますと、新たな発想の転換が行われているということであろうかと思います。この話を踏まえた公益性を有する法人ということで認定された法人について、どのような課税をしていくべきかということが一つのこの場での検討の論点になるということです。

実は、公益性を有する法人に関して、さらに寄附税制をどうかぶせていくかということが次回の議論になってまいります。その場合、今申し上げました第三者機関での公益性の認定という新しいコンセプトを、どういう形でそこまで貫いていくかというあたりが、新しい制度設計としての一つのポイントになるというふうに思っておりますが、その点は次回になろうかと思います。

それからもう一つ、右側のボックスの中、白抜きの部分がございますが、この中に点々が入ったりしているところでございます。一般的な非営利法人の中で、第三者機関におきまして「公益性を有するもの」という形にならないものということになるわけですが、この中、実はさまざまな法人があり得るだろうと思います。例えば同窓会のような法人。要するに会費などを募りまして、会員の中で一定のサービスといいますか、中で閉じている世界、そういった法人もあろうかと思います。おそらく営利法人と実態的にはあまり変わらない法人も存在する可能性もございまして、ここにおきましては、やはりもう少しきめ細かく考えていく必要があるのではないかということで、この点々を入れさせていただいています。

いずれにいたしましても、公益性を有するもの、あるいは、この3つに分けましたところにつきまして、それぞれ、課税ベースをどのようにとっていくかということを考えていかなければならないというのが私どもの課題であろうかと思います。

その点をもう少し明確にするということで、次の7ページでございます。課税ベースを考えていくときに、私法上のいろいろな建付け等につきまして、総合的に勘案して課税ベースを設定していくことになろうかと思いますので、重要なポイントだけ表にしたものがこの7ページの表です。

例示的に申し上げますと、現行制度、一番左側ですけれども、民法34条法人というのがございます。利益分配についてはできないということで、非営利ということになります。事業目的は公益、設立については主務官庁による許可ということでございます。解散するときの残余財産の分配については、国等に対しての分配に限定されている。監督等がある。このような全体の建付けを前提としまして、現在の課税については収益事業のみに課税するという形になっているわけでございます。このあたりを横に置きながら新しい制度を考えてみようというのが、真ん中の新制度イメージという欄でございます。

新しく非営利法人という形で一般的な制度ができますけれども、そういう意味におきましては、利益分配の欄は不可で非営利ですが、中をもうちょっと見ていきますと、いろいろな形のカテゴリーが出てくることになろうかと思います。

一つは、公益ということで、先ほどご説明がございました、第三者機関による公益性の判断が行われるもの。もちろん登記で設立は行われますけれども、「かつ」ということで、そうした第三者機関の判断があるという形になります。財産分配についても一定の制限がある云々ということですので、これに対してどういう課税ベースをとっていけばいいかということが、クエスチョンマークで掲げさせていただいているわけでございます。民法34条、現行とのバランスなども参照していただければということでございます。

横の右側をさらに見ていただきますと、長細い白抜きの棒グラフがございます。事業目的、設立、財産の分配、監督というあたりにつきましては、ここに掲げたような形で、公益性のある部分とは違う形になっています。一番右側の株式会社等の関係からいきますと、一見変わらないということになろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、この白抜きの中においてもさまざまな法人があり得るということで、代表的には同窓会のようなケース、共益的なケースが当然あろうかと思います。共益性をどう判断するかということも含めてご議論を積み重ねる必要がございますけれども、ここになにがしかの区切りがあっていいのではないだろうか、そのあたりをどう考えるべきかという意味を込めて、実は点線を打っているというのがここでの意味でございます。したがいまして、クエスチョンマークが3つございますけれども、ご議論の便宜のために、それぞれについてどのような形の課税ベースを考えるかということがここでのテーマになってくると思います。

そのあたりを踏まえまして、主要論点メモに移っていただきたいと思います。ここで申し上げましたあたりを文字に落としてございますので、ご確認をいただきながらお考えを賜ればということでございます。

論点メモでございます。まず、主な論点、「『非営利法人』に対する課税の基本的考え方」ということで、アンダーラインのところを中心にご覧いただきたいと思います。ちょっと拾い読みながら申し上げたいと思います。

今般新たに「非営利法人」という法人類型が制度化される。これに対応して、「非営利法人」に対する適切な課税のあり方を検討することが必要である。この場合において、営利法人、非営利法人を問わず、収益及び費用の私法上の実質的な帰属主体である法人が法人税の納税義務者とされる中で、非営利法人に対する課税に係る具体的な課税ベースについては、各々の法人における私法上の建付けや事業目的、活動の実態等を総合勘案して適切に設定する必要があるということで、まず問題として提示させていただきました。

次のページですが、その中で(1)、先ほどからお話がございました「公益性を有する非営利法人」をどう取り扱うかということです。[1]公益性の判断につきましては、「第三者機関」におきまして、法人に係る目的、事業の公益性の判断というものが明確に行われていく。[2]としまして、事業報告書の提出、一定期間ごとの公益性の有無の確認、その判断の取消しといった措置が行われるという全体としての話がございますし、適正運営のガバナンスの問題、あるいは情報開示の問題というあたりにつきましては、整理されているという先ほどの説明があったということでございます。

このような仕組みに基づきまして、公益性を有するものと認定された非営利法人について、その課税の取扱い上、改めて税制の観点から公益性を判定することは徒に屋上屋を架すこともあり得るだろうということで、「第三者機関」による公益性の認定をもって「税法上の公益法人」とすることが考えられますが、いかがでしょうかということが一つ目のマルでございます。

2番目、課税ベースあるいは非課税範囲ですけれども、このような「公益性を有する非営利法人」に対する課税の取扱いにつきましては、基本的に、その事業活動の公益性に鑑み非課税とすることが適当であるが、実態としてさまざまな活動を行っていることから、適切に非課税範囲を設定することが必要である。そこで、現在はどうなっているかといいますと、民間の営利企業と競合関係にある事業のみに課税するという、いわゆる収益事業課税が行われていますが、新しい今回のスキームのもとにおいても同様の課税ベースとすることが考えられるが、どうか、という提起でございます。

(2)「その他の『非営利法人』の取扱い」ということです。非営利法人の中で、公益性を有するもの、それ以外の部分についての問題提起でございます。「多様な実態への対応」というところですが、「公益性を有する非営利法人」以外の非営利法人を見ますと、同窓会のように、「会員からの会費を活動の原資として専ら会員共通の利益を目的とした共益的な活動を行う非営利法人」から、「その活動実態が営利法人と実質的に変わらない非営利法人」に至るまで、さまざまな非営利法人の設立が予想されます。これらの多様な法人に対する課税について、組織運営とか、事業活動・目的の差異に着目して、適切な課税のあり方を検討する必要があるのではないだろうかという、一般論としてご提起申し上げた上で、「例えば」ということで、同窓会のような非営利法人を念頭に置きまして、いわゆる共益性に着目すべきという考え方がございます。こういった考え方をどうとらえたらいいか。仮にそういうことをするならば、具体的にどういうメルクマールで共益性をとらえたらいいだろうか、なかなか難しい問題でございますが、そのあたり一つ論点となろうかということでございます。

[2]の課税ベースでございます。上記のような、「専ら非営利活動を目的とする非営利法人」、仮にこれを想定するとした場合には、基本的には、会員からの会費を活動の原資として、そのすべてを共益的な活動に費消することが前提となっているわけですが、会費の収支の時期とのタイムラグがございますので、一過性の「たまり」が出ることも当然あります。そうした全体の法人の趣旨から見て、そのたまりにまで課税することは適当ではないので、そのような会費について非課税としてはどうかという考え方が、先ほどの共益性という観点から提起されることがございますけれども、この観点でどのようにこれを考えたらよろしいかということでございます。

次の4ページのマルでございます。今申し上げました公益的な法人、共益的な法人、そういうふうに仮に呼ばせていただくとしますと、それ以外の法人については、私法上の建付けを見ますと、利益分配はなされないということですが、残余財産の分配については制限がないということで、社員等に利益を実質的に分配できてしまう。あるいは、事業の内容にも特段の制限がございませんので、営利法人と実質的に同種同等の事業活動が行える。そういった特徴がある、そういうかたまりであろうかと思います。

非営利法人、営利法人という法人形態の選択に対して中立的になるということ、あるいは、租税回避の手段として濫用されることがないようにという観点から、営利法人と同レベルの課税とすべきという考え方があり得ると思いますが、どう考えますかということで、先ほど、資料「33-1」の7ページのボックス、3つほどクエスチョンマークがございましたが、それぞれに対応する問題提起として整理させていただいたものがここまでの趣旨でございます。

次、(3)でございます。これはちょっと違う問題でございますが、「公益性判断の変更があった場合の取扱い」という、ちょっと先に行った問題提起でございます。「例えば」ということですが、「公益性を有する非営利法人」に対して「第三者機関」が公益性を取り消すことがあった場合には、当然、そのステータスは変更して通常の非営利法人になってしまいますけれども、それまでの間、法人が受けてきた税制上の優遇がございますので、それをどのような形で考えたらいいか。「例えば」ということで、取消事由の発生時点に遡及して優遇措置を取り消したり、その間に蓄積された財産に対して一定の課税を行うといったような形、清算するといいますか、そういう形をとらなければならないのではないだろうか。これはステータスの変更に伴うプラスアルファとして考えなければならない措置か、ということでございます。

ここまでが、内閣官房で現在検討されております民法上のスキームの改正に伴いまして、税制上、どういう観点から議論すべきかという点についてご説明申し上げたということでございます。

引き続きまして、さらに一歩進めたいと思います。資料「33-1」の11ページを開けていただきたいと思います。ここからは、論点メモにございますように、公益法人に共通する課税上の諸論点ということで、これは、今回の民法改正に絡む制度のスキームの変更だけにとどまらず、いわば横断的に公益法人課税としてかねてから当調査会でもご議論いただいてきた論点がございますので、そのあたりを改めてサーベイをしてみたいということでございます。

11ページをご覧いただきますと、一番左側に、公益法人等ということで、社団、財団、学校法人、社会福祉法人等、そういうかたまりがございます。これらにつきましては縦に見ていただきますと、課税対象が収益事業(33業種)に課税、税率が22%。寄附金枠がございまして、所得金額の20%になっておりますが、特にみなし寄附というのがございます。後ほど詳しくご説明いたしますが、収益事業の部門から非収益事業部門へ資産を振り替えた場合に寄附とみなすということがございます。あるいは金融資産収益にかかる課税については、法人税については収益事業部門から生じるもののみ課税、所得税については非課税、こういう形になっているわけでして、この点についてかねてからのご議論がございますので、一つずつご紹介していきたいと思います。

13ページを開けていただきたいと思います。収益事業につきましては、実はどういうものを収益事業にするかについて、ここに書いておりますような33の業種をポジリストであらわしております。何をコンセプトにしているかといいますと、民間の営利企業が行っている事業と競合しているというコンセプトでリストアップしたものです。さまざまございますけれども、実はこのリスト、備考の欄の追加事業と書いている下の表を見ていただきますと、昭和59年に追加されて以来、追加がないということでございます。新しい時代から見てどうか、という問題についてかねてからご指摘いただいているところでして、先ほどの論点メモの4ページ、収益事業課税方式というところ、税調答申のポイントを抜き書きしてございますので、ちょっとご覧いただきたいと思います。

4ページの下2行目からですけれども、公益法人等に係る収益事業課税については、「現在収益事業とされていない事業であっても民間企業と競合関係にあるものについては、これを随時収益事業の範囲に追加していくべきである。しかし、そうした対応に限界があるとすれば、対価を得て行う事業は原則として課税対象とし、一定の要件に該当する事業は課税しないこととするといった見直しを行うことも考えられる」といったことで、いずれにしても、どういうものを課税対象にするかについての見直しをすべきだというご指摘はいただいてきたことは事実です。

続きまして、「33-1」の資料をご覧いただいて、17ページまで飛んでいただきたいと思います。17ページは税率についての推移でございます。課税ベースは、収益事業について課税対象となっているわけですが、それに対してどういう税率がかかっているかという推移を示したものです。現在は、右端、太くて黒い棒線ですが、22%というのが公益法人にかかっている税率です。一般の法人につきましては基本税率30%、中小法人については22%。下に「注」が書いてございますけれども、所得が800万円までは22%、それを超えるものについて30%、その2段階の形になっているわけです。ここでの税率格差は8%という姿でございます。

歴史的に見ますと、昭和25年、戦後スタートしたときには35%ということで、普通法人と公益法人が同じ税率でスタートいたしましたが、その後、泣き別れという形になりまして、格差が開く形になりまして、昭和59年、一般税率43.3%、公益法人26%ということで、17%強、開いたのが最大でございます。その後、これについては、民間競合についての考え方から縮小していこうという流れがございまして、現在8%になっております。

次のページ、18ページですが、課税ベースとの関係で申し上げますと、先ほど、みなし寄附金という話を申し上げました。左側のポンチ絵にございますように、公益法人の中、2つ区分計量いたしまして、収益事業の部門と非収益事業の部門に分けるわけですが、収益事業の中で得た所得のうち、20%を限度として非収益事業に損金算入できるという形になっているわけです。これと税率を組み合わせますと、めいっぱい損金算入しますと、収益事業の課税ベースが8掛けになる形ですので、右側の「税率の推移」という欄の一番下をご覧いただきますと、現在、税率が表は22%ですけれども、その枠が20%。「めいっぱい使うとしましたら」という前提ですが、実効税率的に見ると17.6%という形になっています。

したがいまして、みなし寄附金の考え方、税率の考え方、これを合わせて全体としてどう見るかということは民間競合との関係で一つ議論になるということ、この点はかねてから指摘をいただいているところでございます。

先ほどの論点メモのところをご覧いただきますと、5ページでございます。「軽減税率及びみなし寄附金」という欄が上半分にございますけれども、アンダーラインを引きましたところ、これらはいずれも公益法人の法人税負担を軽減するものであって、現行の軽減税率の引上げまたは寄附金の損金算入限度の割合の引下げによって、適正化を図るべきではないか、このようなご指摘をいただいていたということでございます。

続きまして、また「33-1」に戻っていただいて恐縮ですが、22ページでございます。もう一つの論点といたしまして、利子・配当等の金融資産収益にかかる課税関係についてもしばしば取り上げられてきたところでございます。現行制度ということでポンチ絵化してございますけれども、収益事業と非収益事業に分けまして、収益事業にかかる資産につきましては、所得税の段階で非課税、源徴なし。法人税の段階では課税ということですが、非収益事業に属する分についてはいずれも非課税という取扱いになっております。

この点に関連しまして、先ほどの論点メモをご覧いただきますと、5ページ、(3)の金融資産収益に対する課税について引用してございます。アンダーラインのところですが、公益法人等の段階で新たに発生した所得である、したがって経済的価値においては、現在収益事業とされている金銭貸付業から生じた所得と同じであることから、一定の負担を求めていいのではないかという考え方がある一方で、民間企業との競合関係はなく、金融収益に余剰が生じてもいずれ公益目的に費消されるのであるから、これに課税することには慎重であるべきだ、という議論が並んで指摘されてきた経緯があります。

以上、今回の民法34条絡みに限らず、公益法人に横断的に関連する論点として、今申し上げた3つの論点が指摘されてきたことをご紹介いたしまして、本日のご議論に供させていただければということでございます。

最後でございます。論点メモの5ページの下、「その他(他の法人との関係)」。それから、「33-1」の分厚い資料の4ページにもう一度戻っていただきたいと思います。すみません、あちこちに行きまして申し訳ございませんが、4ページの表、一つ問題提起でございます。

冒頭申し上げました今回の改正は、このシャドーを打ちましたところの法人について、新たな非営利法人制度が組み込まれていくわけです。そこはこれからご議論いただくわけですが、課税の取扱いについて一定の変更がある場合は、白抜きの部分、学校法人等のかたまり、NPO等のかたまり、管理組合法人等のかたまり、人格のない社団等のかたまりといったあたりにどういう形で整合性をもって考えるかということが、一つの課題になるという問題意識でして、論点メモのところをご覧いただきますと、「特別法に基づく公益法人」と書いてございます。これは学校法人、社会福祉法人、NPO法人ですが、ここについては、冒頭申し上げましたように、今般の公益法人制度改正の対象とされない、私法上のステータスの変更が予定されていないこと、もとより、これからご議論いただきます、「公益性を有する非営利法人」の課税をどう取り扱うかという判断にもよりますけれども、基本的には引き続き同等の課税でよろしいのではないだろうか、そのあたりどう考えるかということでございます。先ほど申し上げました横断的な制度改正がある場合には、当然、同じような扱いになることはございませんで、その場合を除くということがカッコ書で書いてございます。

もう一つ、6ページの上のマルです。民法の改正に伴いまして、共益的な活動を目的とする非営利法人、同窓会のようなものをイメージしまして、会費についての取扱い等々について、例えば非課税を考えるとした場合には、課税のバランス上、非常によく似た共益的活動を行う法人というのがございます。この4ページの表で申し上げますと、管理組合法人、これはマンション管理組合ですが、そうした法人等々ございまして、そのあたりの課税バランスを考えるということが出てまいります。

それからもう一つのマル、「人格のない社団」というものがございます。4ページの下の太い線の上にあるものです。これは、社団という形では団体性がありますが、基本的に法律を持っていないということで人格がないということですが、判例等によりまして一定の団体性が担保されていることを前提としているものです。現状では多くはPTAとか同窓会の類いが入っているわけです。

改めまして今度、非営利法人制度ができて一定の整備がされた場合には、そういう団体は、ものによりますが、新しい制度に移行していくということが考えられるわけです。その点、ここに書いてございますように、人格のない社団等については、今般の非営利法人制度の創設に伴って、より私法上の安定性がある今回の非営利法人に移行するという場合には、残りました非営利法人にどのような課税方法にしていったらいいだろうかということになるわけです。先ほど申し上げました、営利法人、あるいは非営利法人の中でも公益でも共益でもない法人、そういったものとの課税のバランスといった話も出てくるのかなという気がいたしますので、問題はこういうところにも波及してくる可能性がございますので、この点をどう考えるか。やや細かい部分でございますけれども、ご議論賜ればという整理でございます。

以上でございます。

委員

ありがとうございました。

では、都道府県税課長、お願いします。

事務局

それでは引き続きまして、地方税につきましてご説明申し上げます。資料「33-1」の12ページをお開き願います。地方税の主な課税の取扱いでして、税目としては、左にございます、法人住民税の均等割、法人税割、法人事業税とございます。

まず、公益法人、NPO法人、管理組合法人、それから、一番右にございます人格のない社団等も同じですが、これらは、均等割については収益事業を行っていない場合は最低税率ということで、県2万円、市町村5万円という取扱いになってございます。なお、収益事業を行っている場合は、備考2にございますように、法人の規模に応じて課税される形になります。それから、法人税割、法人事業税につきましては、収益事業により生じた所得に限り課税という取扱いとなっております。

それから中間法人でございますが、均等割につきましては、県2万円、市町村5万円。法人税割、法人事業税についてはすべての所得に対して課税されることになっております。

協同組合等につきましては、均等割については規模に応じた課税となっております。課税対象としてはすべての所得に対して課税ということになってございますが、法人事業税について軽減税率が適用されます。

なお、先ほどご説明のありました、公益性の判断あるいは課税ベースなどの問題につきましては、地方税でも共通したものと認識しておりますが、法人住民税の均等割は現行制度と同様に、公益性を有する非営利法人が収益事業を行っていない場合には最低税率、それ以外は、資本等の金額などの区分に応じて課税すべきではないかと考えているところでございます。

以上でございます。

委員

ありがとうございました。

それでは、今まで盛り沢山なご報告を受けたのでちょっと頭が混乱しているかもしれませんが、残り50分ほど時間がございますので、これから、メンバーの方にいろいろご意見、ご質問をいただきまして審議を進めていきたいと思います。

今のご説明でおわかりのように、2つ大きなかたまりになっておりまして、1つは、内閣官房からお出しいただきました新しい非営利法人のシステムにおいて、課税をどういうふうに考えるかという話です。それを最初にやって、その後それから離れて、公益法人全般に共通する課税の問題。これは後段、税制第二課長からご説明を受けましたけれども、そういう形で分けてやらないと混乱するかと思います。

最初に、新しく考えられております、非営利法人について課税の考え方があって、これは従来の非営利法人課税ワーキング・グループのご議論と絡んでくるわけですから、その辺、もし連結することがあったら、ご説明いただけますか。

委員

非営利法人のワーキンググループでは、公益性についての議論が多くて、また、どこがそれを判断するかといったことがありましたが、先ほど室長からご説明がありましたことで、非営利法人制度の中に今度は公益性の判定をする委員会ができるということでした。そうなりますと、従来の公益法人という名前は消えますけれども、税制について、そういう公益性を持った法人についてどう扱うか。これは、非営利法人制度にそれを前提とした上で課税環境を考えていくのがよろしいのではないかということであります。これは、いわゆる従来の公益法人から新しい制度に移るときに混乱を生ずることは困りますので、安定性ということで自然の成り行きだと思います。そこでどういうものが落選したりするかどうかはまた別の問題ですけれども、そういうことが適当ではないかと思います。これは、従来のワーキンググループでは答えを出さなかった問題について、私としては、一つ解決ができたかなと思っております。

それから、先ほど税制第二課長から詳しくご説明いただきましたことは、非常に複雑なことでありますが、新しい非営利法人制度は準則主義で、一定の規則を満たしていれば登記するだけで自分たちでつくれるということですから、法人の範囲が非常に広がるということです。その中に公益法人も入れば、さらに中間法人も入ってくるということで、種々雑多な法人が一つの非営利法人制度の中に入ります。

ですが、考え方としまして、今、公益法人のことを申し上げましたけれども、さらに、先ほど税制第二課長が同窓会などを挙げておられまして、学会もそれに近いかと思いますが、共益的な法人といったものについても別の取扱いがあるのかなと。いわばこの与えられた非営利法人制度の中で、ある程度の分類を行っていく作業が必要ではないかと思っております。

そうしますと最後に残るものが、何かわけのわからない……。これはどうするかといえば、先ほどから何度かご説明いただいていますが、非営利法人というのは、営利を追求しないという意味ではなくて、利益を分配しないというだけのことです。株式会社と全く同じことをやっても構わないということですので、おそらくそういうものも出てきます。そういうものは、課税の中立性ということになると思いますが、普通法人と同じ課税の仕組みになってくる。ですから、大体3通りでしょうか、こういうようなことになってくるのかなと思っております。

委員

ありがとうございました。

それでは、どうぞ、ご専門ですから、まず口火を切ってください。

委員

今回の説明の中で、非常に膨大なことでもありますし、諸外国でも大変な法体系になっていますから、ポイントは幾つかあるかと思いますが、一番大事なのは建付のところでございます。今、座長からも説明がありましたが、こういう建付けにすることに関しては、合理的というか、非常にいい形になろうかと思います。特に今ご指摘のあった、右側の、外形的に見て営利法人と変わらないようなものに対してイコールフッティングを担保するということは、税制上、非常に重要なことであろうかと思っております。

それから、ちょっと細かなことで申し訳ないのですけれども、座長のあれと違うのかもわかりませんが、2つだけあれしますと、収益事業、13ページの図がございましたけれども、これはたしかにポジリストではありますが、施行令の中にこの中で次に掲げるもの以外ということで、ネガリストがあるのとそうでないのと混在しているわけです。この辺のところが非常に誤解を生じているというふうに私自身思っています。

ネガリストがあるものは、大体3つぐらいに分けられるかと思いますが、1つは、時代遅れではないかとこれは私が判断するのですが、例えば脱脂粉乳にかかわるようなものがネガリストで非課税だという形で出ています。もう1つは、私が読んでもよくわからない、何とか令に基づいて何とかかんとかという形で、ものすごくテクニカルなものが挙がっていて、この辺が、先ほどの委員が非常に気にされている行政委託型のややこしいところが入っているのではないか。

もう一つ大事なのは、純粋に公益的なもの。例えば学校に伴う収入とか、そういうのもネガリストで入っていますが、ここでも一種の公益性判断が、収益事業のところで非常に不透明に行われている。この辺をどういうふうに考えていくかということがあろうかと思います。

もう一つ、大変細かなことで恐縮ですけれども、今ご指摘のありました「人格のない社団」等との整合性、これはきわめて重要です。その点、今の都道府県税課長のご説明で私自身よくわからなかったのは、12ページのところで一番下の備考欄の2に、「一定の公益法人等については、均等割非課税」という表現になっています。実際上、人格のない社団等は、いわゆる収益事業を行っていなければそもそも納税義務がないという形ですから、この「一定の」という表現はちょっと誤解があるのではないか。要するに、収益というか、ビジネスというか、付加価値の生じるような生産的な財、サービスの生産を行っていれば、当然、何とかなるけれども、会費とか、みんなで使うものが集まっているだけのところは、やはり違うだろうということはあろうかと思います。

それから、ちょっと雑駁で申し訳ないのですけれども、先ほどの収益事業との絡みで言うと、内閣官房の方のご説明、資料の2ページの終わりから3ページにあったのですが、付随的に収益を目的として行う収益事業は税法上のものと違うというご説明がありました。これは、例えば学校が……学校は民法34条ではないので別のあれがいいかと思いますが、例えば同窓会が、会費だけではなくて、同窓会の利益のために別の活動をやって、そこからあがってきた収益をどういうふうに使うかということと、そもそも芸術団体がマーケットの中では成立し得ないような芸術活動を行って、寄附やいろいろな形でお金を集めてあがってきたものというのはやはり違うものであるだろう。諸外国の制度もそういうふうになっている。この辺のところを整理しながら議論していくべきではないかと思っています。

ただ基本的に、最初に申し上げた一番大事な税のたて方につきましては、非常に整理されたものではないかというふうに私自身は思っております。

委員

33の収益事業の見直しということがご提案にあるわけですか。

委員

それは過去の答申にもありますし、どういう形がいいかわかりませんが、ここには出ていませんけれども、本法の中には「継続して事業上を設けて」という要件もあります。この辺が、現場ではどういうふうに判断していいのかわからないところがございますし。

委員

そこを正確にもうちょっとクリアカットにしてくれというご提案ですね。

委員

そうです。課税するなら課税する、課税しないならしない、しないものはどういうようなロジックでしないのか。玉石混淆であることは間違いないですから。

委員

わかりました。

今のご質問に対する回答だと思いますが、どうぞ。

事務局

人格のない社団についての均等割の話でございます。均等割につきましては、人格のない社団等、これは代表者の定めがあれば、収益事業を行っていない場合については最低税率という規定になっております。所得課税ということではなくて、均等割ということでちょうだいしている部分についてでございます。

委員

最低税率というのは何万円のことを言いますか。

事務局

ここに書いてございます、県2万円、市町村5万円。

委員

この話ですね。

事務局

はい。

委員

ほかにどうぞ。

委員

今回の6ページの整理は基本的には、よくここまで来たなというのは実感としてはあります。民法34条を廃止するということは、主務官庁が決めるのではなくて、公益性を有するかということについて有識者からなる第三者、これを、各省庁から距離を一定置いて内閣府に設置するというところまで明記したならば、イギリスのチャリティ委員会のようなものに近づくだろうというふうに思うので、この辺の原理原則をきちんと守った上で次の問題に移ると思います。そのときに、13ページの33の収益事業の話に来るのですけれども、結局、33のこのリストのつくり方に尽きると思います。

例えば資格とか、試験とか、検査とかを販売している公益法人はたくさんあって、たくさん利益を出しているわけですけれども、その場合には10番の請負業という形になります。10番の請負業で利益を出しているのですが、これは税務署によって、それを利益と見なしていたりいなかったりというふうに一貫していないのです。昔、民法34条ができたのが明治29年で、日清戦争の2年くらいあとですから、職業のあれが古いんですね。請負業と言っていれば間違いないだろうとか、浴場業なんてあるけれども、何のことかわからないわけです。そういうことがあって、先ほども税制第二課長の説明がありましたが、昭和59年からこの追加が止まっているわけです。だから20年間止まっているわけです。

話は戻りますけれども、10番の請負業というので、例えば資格の試験とか、検査とか、講習とかを販売しているわけで、それが公益性のある資格だというふうに一見見えるので、そこから利益をあげる社団、財団法人がたくさんいるわけです。

そういうことで、この名前のつけ方ですね。34、35、36、37と増やしていくときに、増やすのは当たり前で50くらいに増やすのでしょうけれども、それこそ『13歳のハローワーク』ではありませんけれども、現在の、たくさんの仕事というか、会社というか、業種がある時代に対応できるようなポジティブリストをつくれるかどうか、それに尽きると思います。さまざまな隙間産業がたくさんあって、そういうところに公益という建前で収益のチャンスが生まれていくということがあるので、課税対象になる部分、民間とのイコールフッティングだということで考えた場合に、そこをきちんと見つけていくかどうか、その書き方に尽きると。制度設計はすごく正しいし、有識者委員会もちゃんと客観性が保証される有識者委員会、第三者性が強い有識者委員会であれば、それは画期的な改革だというふうに思うのです。

あと17ページのところ、22%の軽減税率ということで、わかりやすいグラフですけれども、普通の税金との差ですが、当初、昭和25年には出発点は同じだったわけです。それがだんだん開いていって、多少は縮まったのですけれども、開き具合いが極端に大きくなっていった経緯があることも、このグラフを見ながら少し振り返って、なぜこんなに開いてしまったのだろうかということをやはり疑問に思うべきです。それで、この差をだんだん縮めていくことが大事だというふうに思います。

以上、基本的な制度設計で、ある方向性は出て、ようやく「ある形」になってきたなということについて、関係者はよくおやりになったと思うのですが、あと、詰めの問題が残っているということであります。

委員

いかがですか、税率格差はあってもいいのですか。縮めればいいのですか。それとも同一にするのですか、ご意見は。

委員

損金算入の比率の問題との絡み合いになるけれども、損金算入が20%というのは、これは多いとは思うけれども、たぶん宗教法人とかいろいろうるさいのがいるだろうから、その辺との絡み合いの中で、そこをあまりいじると話が進まなくなったりするといけないということもやや考えつつ、この差を縮めていくほうがいいのではないかというふうに思います。

委員

私、たまたまその有識者何とかというのに加えられたので、ずいぶん長い時間を使った議論に参加した経験があります。二つ、三つ申し上げたいことがあるのですが、第1に、今度の制度変更というのは、現在2万数千ある、旧態依然たる、問題をたくさん抱えた今の公益法人を看板がえするためにやったのではないんですね。そんな事業を越えてしまったわけです。根っこからとにかく新しい制度をつくってみようと。

今の2万6,000なにがしかの団体はその中に入らない側で、入るときには、ここに厳格なことが書いてある、ガバナンスから何から全部。今、君のところはそうなっていないだろ、と。これを通過しようと思ったら2、3年かかるけれども、真面目にやらないと合格しないのです。そういう意味では、ただ単なる看板のつけかえにはならないだけの厳格さを持っている。そこがNPOの諸君が一番気にした点なのです、外から見ていて。

2番目に、主務官庁ではなくて第三者委員会が認定するのです。問題は、第三者委員会とは何者か、どんな人間がどういう事務能力を持って国にするのか。しかも、国ならまだいいですよ、地方に全部つくるわけです。本当にここに書いてあるようにきれいに行くのか。そういう問題ははらむけれども、主務官庁が認可することに比べればはるかに根本的な変革であることは間違いないのです。あとは若干時間をかけて、試行錯誤しながら進むのです。最初から明確なことなんかできるわけがないと思います。

第3に、この委員会を通じて、いろいろ専門な方がたくさんいらっしゃって、ほとんど私は拝聴していたのですけれども、基本的な議論の流れというのは、税金を何とかもうちょっと面倒を見てくれないかということです、えらい抽象的に言うと。それにはいろいろな反論もあったし自省する意見もあって、簡単ではないのですが、出てきた答申というのは税金に関してきわめて慎み深い。具体的にこんなことをこうしろなんていうのは一つも書いていない。それは税調を信用したからです。税制調査会が真っ当にやってくれるだろう、こう思ったわけです。

委員

どっちの方向でやるのが真っ当ですか。

委員

それは基本的には緩和だけど、そこはそう簡単ではないんだ。もう一つ、先ほどの委員はまだおっしゃっていないけれども、みんなが、これだけはひとつ何とかなりませんかと、NPOのことも全部頭に置いて。NPOは今度は別なんですからね。議論で混同していけないのは、この話は別なんです。そのときに何を言ったかというと、課長の説明で今日はやらないと言った2枚目のところ、「寄附金税制のあり方について(主な論点)」と書いてあります。これに対して、ちまちましたというか、基本的にというか、寄附文化論に至るまでいろいろな議論があったけれども、もうちょっと何とかならないのかと。これは一般論ですよ。

それは、この新しい公益法人だけに関係しない、もっと広がりを持つかもしれない問題提起なわけです。これ、実に熱心だったんです。ほかをいじることはないから、法人並みでも何でも構わないと、営利事業に対する税金は。そんなの当たり前だ、我々はがたがた言うことはないと。ただ、寄附文化というのは、もうちょっと世の中の人の考え方、財務省の考え方を、緩めてもらってもおかしくないではないかというのは共通の声でした。

それから、これは来年に通常国会に法案を出すわけですね。できて、移行期間があって、そうすると何が起こるかというと、あと2、3年で団塊の世代700万人という人間が社会から半分出てくるわけだ。ここが我々の最大の付け目なのです。この人たちはいろいろなことをやるんです。働く人もいるし、退職金ももらったし、せっかくだからこういう公の仕事をやりたいという人も、1%いたら巨大なんですよ。しかも、この人たちは能力があるから。

その人たちがそのときになって……今はしようがないからNPOと。NPOと言っていれば格好がつくから、名前だけNPOと言っているけれども、これができれば、この道の選択のほうが面白いかもしれないなと思うかもしれない。選択の幅は2つあるわけです。1本にするというよりも、当分の間、10年くらい同時並行的に走らせればいいんですよ。お互いが切磋琢磨するから。そういうふうにするのが一番だと思います。以上です。

委員

ありがとうございました。いろいろ情報提供をいただきました。

どうぞ。

委員

私も懇談会に参加しておりましたメンバーとして、一つ、二つ申し上げます。懇談会で考えましたのは、非営利活動の活性化ということで、中身は2つありまして、個人個人の活動を活性化する。それから、個人が集まってつくる法人の活動を活性化する。相まって社会全体をよくしていこう、そういう理念があったと思います。そういう観点から、しかし税については税調に委ねるということで、いろいろご提案、ご意見が出てきましたが、基本的には今回のご提案は非常にいい方向に向かっているのではないかと思います。

それが概括で、その上で一つだけ細かい点を申し上げさせていただきたいと思います。論点メモの3ページから4ページにかけてですが、公益性の判断をまだ受けていない一般的な非営利法人についてですけれども、これを3種類に分けているわけです。つまり、純粋公益、純粋共益、その他というふうに3分類にして、純粋共益については、会費のたまりについては課税しないという方向が示されています。これは非常に結構なことだと思います。

その上でですが、判断主体の認定をまだ受けていないけれども、しかし公益的な法人というのがあるわけです。判断主体の認定を受ける前に公益的な活動をして、トレーニングしながら体力をつけていって、それで判断主体の判定を受けようという場合もあるわけですが、そこが今回はどうなっているのか、あまりはっきりしないわけです。純粋共益ではなくて純粋公益なんだけれども、まだ認定を受けていない。そこについても、やはり会費のたまりには課税しないということがあり得るのではないかと思います。そうしますと、会費のたまりに課税しない理由は何なのか、そこの理論的根拠をもう少し検討する必要があろうかと思います。結論的にはこの方向でよろしいと思いますし、今言ったプラスアルファを考えていただければと思いますが、さらに理論的な問題があるということでございます。

委員

ありがとうございました。また、実際に検討しましょう。

どうぞ。

委員

内閣官房の方にお聞きしたいのですけれども、先ほどの委員から出てきました第三者機関といいますか、有識者の委員会です。評価するということですけれども、これは法的にはどういう性格のもので、既存の機関で言えばどういったものと同等、あるいは似ているのか、その辺を教えていただけますか。

委員

お願いします。

事務局

具体的に法律上どうするかとか、そのあたりは今後の検討ということではございますが、有識者会議の議論の中では、例えば証券取引等監視委員会であるとか、そういった形態の委員会等が例示としてご議論はされておりました。いずれにしましても、この委員会におきましてしっかり公益性を判断するということと、それから事後チェック、あるいは不服申立等にもきっちり処理していけるだけの体制を整えるべしというようなご意見が大勢でございました。我々も、そういった意見を踏まえてこれから詳細制度設計をしていくことを考えております。

委員

わかりました。たしかにそういう機関は、こういう形になれば必要になるだろうということは何となく理解できるのですが、そういう委員会ができて、その下に事務局もできる。要するに一つの官庁ができるわけですね。しかもそれは中央だけではなくて、さっきの委員がおっしゃったように、都道府県ごとにできると。そうしますと、行革との関係は一体どうなるのかなという疑問が、これは税制とは直接つながらないかもしれませんが、そのあたりはどういうふうにお考えでしょうか。

事務局

おっしゃるとおり行政改革の中では簡素な政府ということが重要で、徒に行政組織を膨張しないよう、当然のことながら、我々行革推進事務局でございますので念頭には置いております。幾つか議論で出ていたわけですけれども、例えば今ですと、主務官庁制のもとで各省庁それぞれ公益法人に携わっている事務というものがあるわけですけれども、こういった事務につきましては、今後は各省庁においては不要になるのではないかとか、あるいは、国・地方でそれぞれ効率的に進めるやり方はないかとか、そういった観点から、極力そこは、組織が無用に膨張することがないようにということで考えていきたいとは思っております。

委員

難しい問題ですね。

まだあるかもしれませんが、次の問題と引っかけて、また今の延長上でご議論いただいて結構ですので、もう一つの、公益法人全体に共通する課税の問題が税制第二課長の説明で2つ目にありました。収益事業課税とか、軽減税率とか、みなし寄附金、金融資産等々、これにつきまして残った20分ほどで議論したいと思います。今の問題にもつながっていますから、その点でご発言いただいても結構です。

これは、おそらく税調の中で最も税調らしい議論ができるのではないかと思っていますけれども、これは非営利法人課税ワーキング・グループのところでも少しやりましたね。その辺の経過も含めてご説明いただけますか、前との関連で。

委員

前のワーキンググループの検討ですけれども、収益事業につきまして、さてどうするか。当然、課税の対象となる収益事業を拡大していくという考え方もあれば、逆に除かれるものを列挙するという考え方もあると思います。あるいは一般的には、事業所得に見られるような定義を使いまして、「対価を得て継続的に行う事業」とかそんなような書き方で一般化してしまう、こういうこともあろうかと思いますが、今の状況下でどうでしょうか。従来、税制調査会でも折に触れて答申に出てきておりまして、それが、やっと公益法人の制度を改革するというときにこちらが議論されたために、滞る、あるいは引っ繰り返る、そちらの懸念が一つあると思います。

それから税率の問題ですけれども、イコールフッティングという考え方からすれば、先ほどの委員から、税率のことなどどうでもいいと向こうで思っているというようなお話がありましたが、これはそろえてよろしいのではないかと思っております。これは個人的意見です。

委員

どちらにそろえるのですか。30%にそろえるのですか。

委員

はい。

委員

税率は差が一定程度あったとしても、問題は公平性なのです。つまり、10%あるか0%にするかということは、それはそれとして--その議論は、18ページを一応見ておいてもらってもいいけれども、18ページの右です。このデータがあまり出てこなかったけれども、公益法人の一番右側に「実質税負担率(注2)」というのがあります。実質税負担率で言うと、24.5%から17.6%に変わっている。この部分で控除を入れた部分です。損金算入、前は30%だったけれども、今は20%。そういう控除を入れると、実質負担率がだいぶ下がっているということはデータ的には非常に重要なデータではあります。

だから、一般の法人とどのくらいの差をつけるかという程度の問題もあるけれども、その前に、公平性が担保できるかどうか。やはり公平性をきちんとやるべきです。先ほど言いましたけれども、陰で儲けているところがたくさんあって、損しているところもあるけれども、そういうところをきちんと、税はみんな公平だということを前提に我々は税を払うわけですから、悪いことをすれば得だと、そういうふうに見逃されているところがものすごく多いから、さっきの33項目の問題を言ったわけで、その中身にすべてがかかっていると言っているのはそこです。あの中身によって、儲けているやつもいれば損するやつもいるということだったら、それはやはりおかしいわけです。

委員

おっしゃっている意味は、税務行政上の把握漏れとか何とかまで含めての公平性ですね。

委員

そうです。ポジティブリストのつくり方で、いくらでも漏れたり漏れなかったりするということです。

委員

ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

委員

つまらないことをまた言ってしまうかもしれないのですが、公益というのは私は非常に疑っていまして、公益ではない人というのは基本的にいないと思うのです。一般の私企業も、金儲けだけではなくて、世の中の役に立とうと思って公益を目指しているわけで、ほかから見てやっていることがそうではなく見えるということでいけば、今の公益法人と称しているところがやっていることは果たして公益かね、というと、そうではないところがいっぱいあるから、あまり変わりないと思うのです。

だから、基本的に公益によって非営利法人を分類するというところがおかしいと思います。この人がやっていることは、税金を取らないで頑張ってもらったほうがいいと思う人は、税金をかけなくてもいいけれども、その判断基準の公益性というところにすごく疑問を感じます。それをやってしまうと、公益というところに線を引いた途端に何だかわからなくなる、恣意的になるというところを、今ごろ言ってもだめなのかもしれませんが、したがって、基本的に一般的な非営利法人に対する課税というのはみんな一緒。スペシャルにあなただけ許してやるよと、そういうことにしたほうがすっきり公平の感じはしますが。

委員

でも、それは第三者機関で公益性を認定するときに、許してやるよというやつを選べばいいのでしょう。

委員

それは圧倒的に少ない。

委員

多く選ぶか、少なく選ぶかですからね。

委員

今、既存のやつがスルッと行ってしまいそうな感じでしょう、このまま。

委員

そうかなあ。よくわかりません。

委員

半分にしたとしても。そこら辺、思いますが。

委員

わかりました。その辺がスルッと行かないようにチェックをかけるということですね。

委員

今の議論は、第三者委員会がどういう尺度でやるか、それを詰めなければいけない。しかし、それは前の有識者委員会で決まっていて、うちは、税金の問題をやってちょうだいねという話を渡されているわけです。有識者会議で議論したことをここで蒸し返すわけにいかない。しかしポイントだけ言えば、有識者委員会というのは相当しっかりしたものでないと、それの担保がなければ減税も何もできませんよ、そこがぐらついていれば。

委員

おっしゃるとおりです。

ほかにどうですか。

委員

一言だけ。今の委員が言っていた議論があるし、大変なのです。公益法人でも特殊法人よりでっかい公益法人がいっぱいあります。普通、公益法人というのは小さいと思っていて、皆さん、小さいのがいっぱい集まっているのだろうというぐらいに考えている可能性があるけれども、でっかいのがいっぱいあって、特殊法人より大きいところがたくさんある。簡単に第三者機関でチェックするといっても、そんな簡単なものではないけれども、とりあえず主務官庁から引き離すという建前をつくるだけでも一歩前進だというふうに感じます。

委員

資料33-1の2ページの、根本で我々は何を議論するかというところに戻りたいのですけれども、今の話とかかわってくるのですが、つまり民間が担う公共ということを我々はどう考えていくか。今、財政赤字がある中でいろいろやらなくてはいけない。そのときに、すぐ財政支出だという話にどうしてもなってしまいます。パッと見たときに、そうではなくて、みんなが地域社会でいろいろ自発的にやっている、そこで解決すれば、財政の支出をあえてしなくても解決できる問題が多々あって、そこをエンカレッジしていくことによって財政構造全体を変えていかなければいけないし、人々の社会に対するコミットをエンカレッジしていかなくてはいけない、この大前提を共有しておいたほうがいいと思います。

委員

「実像」把握以来、いろいろ議論した中の流れですね。それがやっと税制のほうで生きていくということで、おっしゃるとおりだと思います。

どうぞ。

委員

一番プリミティブな質問をさせていただきたいと思いますけれども、この新しいタイプの非営利法人というか、33-2のあれで説明をされようとする公益法人制度の一番入り口のところ、登記の準則主義と書いてありますが、それは、登記するだけのこと、要するに登記される要件はどういうことになっているのですか。何もないのですか。

委員

ご説明いただけますか。

事務局

目的ということで申しますと、「営利を目的としない」ことは当然のこととしてございます。それから法律上、最低限のガバナンスであるとか、そういったような規定は細かく定めていくことになります。ただ、公益性があるなし、そこは問いませんし、事業の制限ということも特にございません。

委員

届けると100%アクセプトされるという理解でいいのですか。

事務局

法律を満たしていれば、そこは登記すればということになります。

委員

その辺が曖昧ですね。

委員

今までの検討に参加したわけではないので、素人なんですけれども、理解としてはこういうことでいいのですか。いわゆる2万6,000くらいある今までのいわゆる公益法人、それは第三者機関によって裁かれる。パスすれば、今までのように公益的な部分については非課税、収益事業をやった場合は軽減税率、こういうことで行くだろうと。

問題はそれに落ちた人たち。破線部分で括ってありましたけれども、BとCという関係になるのかなと。その割合がどのくらい想定されているか知りませんが、その場合の公益性というのが一番問題。これが公益性と言えるのか、株式会社だってやっているよ、というものがたくさんあると思うのですが、そこの見分け方は、第三者機関たる権威のある機関が判定されたら、課税上はもう何も文句を言わないと。そういうことを前提にすれば、その中で収益的な事業をやる部分については、民間会社、普通の会社と同じように税率も30%ということで仕切らないと、それがああだこうだと区別することは難しいから30%だと、そういうふうに理解していいわけですか。

委員

軽減税率を使わないで30%にしろというのを、最後におっしゃっているわけですね。

委員

全く公益そのものだという団体がありますね。2万6,000か3,000か知りませんが、その部分は、少なくとも今の中小企業の800万円のところの22%と同じ程度の課税でいいのではないか。収益部分といえども。残りは30%だね、と。その30%から外れるのはBとCです。それは、組合費とか、同窓会の会費とか、明らかに営利目的でないものに使われているこれだけが非課税と、そういう理解でよろしいですか。

委員

税制第二課長、整理してください。

事務局

税率云々という個別論はともかくとしまして、今、内閣官房が整理しているものとの関連で申し上げますと、第三者機関で公益性があると判断されたものについては--もちろん、その中でいろいろな事業をしていると思いますけれども、一定のメルクマールでおそらく公益的な事業が過半を占めていくことになりますので、トータルとして見たときに、それは公益性がある法人であるというふうに、法人としてまずマル適マークが出てくるという形になります、というのが基本でございます。

その上で、例えばやっている事業をいろいろ見ていくと、民間と競合しているものがあるではないかということで、収益事業がもしもあれば、その分については収益事業として課税を行う形になります。そのときの税率がどういう形がいいかということはご議論ございまして、今は軽減という形になっています。22%でちょん切っているわけですが、それを中小法人みたいに800万までは22%、それを越える部分については30%という形にするのがいいのか、あるいは、今の格差はそれはそれとして認めるのかという議論は当然あると思いますけれども、構造としてはそういう形になっているということでございます。

そして第三者機関から、法人として公益性があるかないかということについて外れたものについては、先ほどの6ページのボックスの中の白抜きのところに入ってくるという形になりまして、それぞれに応じてどう課税ベースを入れるかという話はご議論賜ったところでございます。共益性もないという形になってまいりますと、これは、非営利という形でありましても、法人全体としては営利法人と基本的には同じではないだろうかということで、おそらく税率的には同じ税率30%になる。そういうことを頭に置いた形で、ご説明申し上げたつもりでございます。

委員

その種の話を、これから我々として検討して決めなければいけないということですから、今の委員のご理解は一つだと思いますし、大体それでカバーできると思いますけれども、さらにバリエーションがあるかもしれません。

どうぞ。

委員

ちょっと気になったのは、先ほどの委員のご発言の中で、それでも、非営利法人として団塊の世代のような能力のある人たちが出てきて、いわゆる民の公共といいますか、そういうことに国民的に参加するんだ、それはいいことではないかということで歓迎する。そのときに、課税が30%というのはどういうわけだ、こういうようなことになって、結局、そこもまけてくれよ、22%にしてくれよ、という話ではない。そういう流れではないのでしょうね。

委員

税金は軽ければ軽いほどいい、できれば免除しろという話もあります。しかし、それはこの世界では通らない話なのです。別の世界での気楽な要求であって、さすがにそんな議論はほとんど表に出なかった。だから慎み深く、税金のことはお任せしましょうと来たわけです。

委員

我々に任されたわけですから、これから大いに検討しましょう。

では、どうぞ。

委員

この間ちょっと申し上げたのは、さっきの委員がおっしゃったことと同じことですけれども、税金を吸い上げられるのではなく、例えばベビーシッターみたいな話を、保育上の要件を全部満たさないとできないという話ではなくて、地域で預かればそれこそ少子化にものすごくいいわけです。そういう話と、今の怪しげな2万何千とが一緒にやろうとするから、難しくなってしまう。ここを分けられませんか。

委員

現に存在するのだから、2万6,000は。

委員

だから、これを先にやってというわけにいかないのか。何か同時進行が難しいのだと思います。

委員

新しい制度をつくると、既存の連中はそこにうまく乗るために努力するわけです、今まで以上に。新しい人が、俺は初めて参入するぞ、今度は主務官庁の認可は要らないのだから、頭を下げる必要はないのだから、あとは自分の志とルールで裁けるのです。だから、新規の人たちが入ってくる場をつくるところがあるわけです。既存の連中がうまく衣替えして生き延びるというだけでは面白くないのです。

委員

それはそうです。だから、2万6,000が3万幾らになるかもしれないけれども、そこでまた落ちるグループもあるでしょう、既存から。

さて、時間になってきましたけれども、まだご発言はございますか。

委員

論点メモで、4ページの公益性判断を取り消した場合というのは、公益性ありと認めたのが、途中で公益性がなくなるという意味に理解してよろしいのでしょうか。

委員

活動がいいかげんだということですね。

委員

そういうことです。その場合に判断を取り消すというのが、いろいろなケースがあると思います。つまり、公益性だと考えていたものがなくなったという場合もあるし、あるいは、受益者がほとんどいなくなった場合もある。取り消すまでは公益性があったのに、それが途中からなくなったという場合もあれば、公益性ありと思っていたものがそうではなかったという話もある。これは例えばなので、この2つの選択肢ししかありませんけれども、もっといろいろな選択肢が課税上あるだろうなと思います。

委員

そういうことでしょうね。

委員

これはご説明があったのかもしれないのですけれども、こういう新しい法人制度に変わるということになると、その移り変わりとして、今ある民法30何条でしたか、あの規定に基づく公益法人はある時点でぱったりなくなることになる。移行期間が決まってくるということですか。

委員

その辺、どうですか。移行期間は当然あるんですよね。

事務局

これも先ほど少し説明が足りなかったかもしれませんが、移行期間というものを設ける予定にしております。したがいまして、ある日を境に変わると、そういうことは今のところ想定しておりません。ただ、そのあたり、技術的にあるいは法制的にどうするかということは、これからチェック、検討させていただこうかと思っております。

委員

もう一つは、先ほどの議論にもあった話ですけれども、2万6,000あるという中に、非常にかわいい、これから育てなければいけないという類いのものから、先ほどの委員の言われるように、とてつもなくでっかいのもあるんだよと。税率や何かを考える際には、そういう実態を知りたいような気がします。こういうことを見ないで宙で議論したほうがいいという考え方も、あるいはあるのかもしれませんけれども。

委員

今の件、資料に入っているでしょう、税制第二課長。

事務局

24ページです。

委員

24ページ以降に若干資料が入っているようです。これは、今日は時間の都合があってはしょってしまったようです。

事務局

時間の都合がありまして、長々と説明してしまいましたので省略いたしましたが、数とか、それぞれの団体がどの程度の収入構造であるかというデータは抜粋をつけてございますし、あるいは、内閣官房から出された資料の中にも同種のデータを完備してございますので、ご参照いただければと思います。必要に応じまして、またそろえていきたいと思います。

委員

今日持ち帰ってご覧いただいて、もし何か質問があったら、次回、寄附金税制をやる前にでも問題を出していただいたらいいかと思います。

事務局

資料の説明、いろいろ足りないところがありまして申し訳ございませんでした。最後になりましたけれども、新しい法人制度を簡単に要約してまいりますと、先ほど税制第二課長に整理していただいた、公益性のある非営利法人というものは、簡単に申しますと、1つは、新しい第三者機関において、公益性という観点から事業目的がふるいにかけられたものであるということ。

2つ目が、情報開示であるとか、ガバナンスの点で法律上の義務がかかっているということ。

3つ目が、第三者機関によって立入り検査等、最終的には公益性の判断の取消しも含めた事後チェックを行うということで、公益性のある非営利法人というカテゴリーについてはしっかりとした形にしていく、そういうものであるとご理解いただければと思います。

委員

内閣官房のお二人、お忙しいところをすみませんでした。何か我々の議論の中で疑問が出ましたら、また来ていただくこともあるかもしれませんので、よろしくお願いいたします。

それでは、次回は22日(金曜日)を予定しております。そのときには寄附金税制を予定しておりますので、22日午後2時からまたご参集ください。

今日はどうもありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。

非営利法人課税ワーキンググループ