非営利法人課税WG(第3回)後の水野座長記者会見の模様
平成15年2月7日(金)
猪瀬委員 12:12~12:26
水野座長 12:29~12:53
〇事務局
今、非営利法人課税ワーキンググループが終了したところでございます。後でまた水野座長の記者会見を行わせていただきますが、その前に猪瀬委員のほうからお話しさせていただきたいということでございまして、今日、活発な議論の中心のお一人が猪瀬委員でいらっしゃいましたので、お話をいただきたいと思っております。
〇猪瀬委員
猪瀬です。よろしくどうも。僕は、ちょっと時間がないので短くやって、すぐ出ていかなきゃいけないんですが、まず、公益法人に課税をするかどうかという話の前提として、実は僕は、内閣官房行革推進事務局が当時…今もやっていますけれども、石原行革担当大臣のもとで行革断行評議会を作りまして、公益法人改革をやってました。その時に、インターネットにおける公益法人のディスクロージャーというのを問題提起しました。実際にですね、各省所管法人の7,135法人に対して、平成13年度中を目途に事業報告書、収支計算書、貸借対照表等の業務、財務に関する内容をホームページで公開するように要請したということなんですが、結局、現在、ホームページ開設率は、国所管が48.6%、都道府県所管が18.8%、全体で26.9%で、そのうち財務諸表等まで公開されている法人はもっと少ない。重要なことは、あと行政委託型公益法人については、平成13年度末までに各省のホームページに掲載せよと、これも要請してあるんですが、要請しっぱなしになっていて、実際にどのくらいの数が公開されているか総務省の方でフォローアップしていないのです。皆さんがホームページで見ていただければと思います。
なぜこういうことを言うかというとですね、本日の、皆さんにお配りしてある資料(非営利WG3-1)の9ページの「内部留保水準別の公益法人数」というのがあって、この中に、ご覧になると内部留保1000%超なんてありますね。ということは、お金をかなりため込んでいるわけで、1000%超ということは、10年間分の活動費をためこんでいるということですから。つまり、財務諸表等を公開せよというのは、たくさんお金をためているところがあるから。それから、10ページのほうを見ていただくと「内部留保金額別の公益法人数」というのがあって、1億円以上が12.8%あるということなんですが、この右のほうに四角い表があって、茨城県の公社が1,300億円もあるぞとか書いてありますけれども、これについては、1億円以上の内部留保をしている公益法人というのはこんなにあります。社団、財団法人…。今、僕の手元に一覧表の一部があるんですが、一部だけでも649あります。つまり、お金をためるということは何かというと、収益が上がっているというか、本当に公益事業であれば、毎年毎年30%ぐらいの内部留保があれば、それを繰り越していけば仕事はできるわけですが、ひどいのになると、お金がたまって、内部留保で自社ビルを建てて内部留保を消化したりとか、それから、今言ったように1000%もためて、結局それを運用したりとか、そういうふうになっていくわけですが、これは収益で上げたものですから、本来は国民に返すべきお金であるというふうに思っていただきたいんです。
しかも、その上で、国等から補助金が 6,000億円以上入っているということで、それが、先ほど僕が数字を確認しましたけれども、国から4,000億円で、地方公共団体から3,000億円ぐらい。これが税金として補助金として入っていると。補助金をもらいながら収益事業をやって、商売で儲かっているということが一番問題なんですね。
それで、内部留保は30%であるというのは、平成8年に、30%以下にしろという指針のようなものがあるんですね。公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針というのがあって、平成8年に出しています。それから、平成9年、平成10年、平成12年と一部改正していますが、基本的にこの申し合わせではっきり言っていることは、原則として1事業年度における事業費、管理費及び当該法人が実施する事業に不可欠な固定資産取得費(資金運用等のための支出は含めない)の合計額の30%程度以下であることが望ましいと、内部留保はね。
つまり、それが公益であるということは、そのぐらいになるというのが望ましいということなんだけれども、お金をどんどんためていって、今言いましたように内部留保が、一番上はこれ…今この表に載っているの平成11年度の決算ベースだと、トップは大阪府市町村職員互助会が1,281億円です。その次が新潟県労働者信用基金協会が699億円と。それからずっと1億円以上のものが、先ほど言いましたようにほんの一部だけでも649もあるんですが、こういうことがまだきちんとディスクロージャーされていないんです。公益法人は、公益のためにあるわけだから、税金を軽減税率22%にしてもらっているわけだし、それから本体、つまり収益事業じゃないところは、本体に20%まで損金算入できる。そういうことで、本体も収益事業っぽいことをやっている場合もあるけれども、それはともかく置いて、本体の周辺で自分の中で収益事業をやっている部分については軽減税率適用と。しかも、その軽減税率を適用してやって、内部留保は30%までだという基準も大幅に超えてどんどんどんどんお金をためちゃうというふうなことで、民間の仕事を奪って、公益という名のもとに、社団、財団法人が跋扈しているというのが実態ですから。
したがいまして、今、政府税調としては、そういうふうな30%を超える内部留保をしているところはおかしいんじゃないか。それは収益事業なんだから、当然それは軽減税率ではなくて、普通の税金を取るべきじゃないかというふうなこともこれから今議論…別に今日、結論が出ているわけじゃないんですけれども、そういう方向で議論していきたい。小泉構造改革の一番の問題は特殊法人、認可法人等の改革ですが、皆さんご存じのように、特殊法人、認可法人の下に社団、財団法人がぶら下がっているわけで、それらを全体で含めた天下り構造ができていて、しかもその天下りで高い給料をもらえるような収益を上げているということが一番問題にすべきじゃないかと。したがって、税のほうから、これは内閣官房行革推進事務局として当時問題提起をして、ウェブにディスクロージャーしろというふうに問題提起したけれども、なかなかしないんですね、しないところは。しないのであれば、税のほうできちんと、普通に税金を取りますよというところから公益法人改革をやっていく一つの筋道というか、やり方があるだろうというふうに僕は思って、今日の委員会でも問題提起をしているわけです。
それから、もう一つ表ですけれども、11ページの表を見ていただきたいんですが、「収益事業届出なし法人数」65.8%とあるんですね。つまり、65.8%のところが収益事業はしていませんと言っているわけですね。ところが、収益事業をやっているんです。どういうことかというと、これは次回のワーキンググループでまた問題提起しますし、前に僕も問題提起してきたんですが、収益事業というのは33業種しかないんです。33の業種に当てはまらなければ、わがほうは収益事業ではありませんというふうに逃げるんですね。したがって、実際は収益事業をやっていても、通達にある…国税庁通達になりますか、省令になりますか。(事務局より)「それぞれ政令以下で、全部、政令・省令・通達となります」
法人税法施行令第5条で33業種は収益事業であるというふうに一々列挙してあるんです、仕事をですね。こういう仕事、こういう仕事と、列挙してある。その33に当てはまらない、新しい時代ですから、いろんな新しいビジネスが生まれますが、当てはまらないと、それは収益事業じゃないというふうに現在のしくみはなってしまうんですね。したがって、実際には収益事業であっても収益事業ではないという判断をしているから、収益事業の届出をしてないということですから、ここは全くタックス・ヘイブンになってしまっていると、こういうことなんですね。
一応、時間がないので、僕ちょっと行かなきゃいけないので、大体ポイントだけ申し上げました。基本的には、平成8年の指導監督基準の運用指針で内部留保は30%以内だというふうになっているにもかかわらず、実際には守られていないと。内部留保がたくさんあって、ビルを建てたり、わけのわからない引当金や基金を積み立てたり、いろんな形でお金を持って、しかも収益事業も33業種は税金を取るよと言っているんだけれども、その33業種以外の業種がいっぱいあって、新しい商売を、ビジネスを思いついていくと、収益事業に入らない。したがって、こういう場合にも、私は収益事業はやっておりませんと、こういうふうになるわけです。
以上です。何かご質問だけあれば、ごく簡単に。
〇記者
今の猪瀬さんがおっしゃっていることなんですが、今回の改革の方向性は、原則課税にして、非課税の枠組みをどう作るかというところにあるかと思うんですけれども、例えば行革事務局の流れでは、社会貢献性というよく分からないことを言っていますけれど、その中に猪瀬さんは、例えば内部留保の比率をあるところで限って、それを超えている公益法人については、原則課税をそのまま適用すべきだということを主張されたいということなんですか。
〇猪瀬委員
そうです。つまりですね、行革推進事務局は今まで僕もかかわってきたし、やっていて分かるんですが、一生懸命やっているんですけれども、結局最終的には数値目標が出てこないんですね。社会貢献性という言葉は、一歩前進した言葉だと僕は思いますが、そういう言葉の範囲内でやっていては解決しないので、具体的に、じゃあ30%守られていないじゃないかと。だったら、30%を超えたものは課税庁である国税庁がきちんと対処するとか、それから、政令・省令・通達をきちっと変えて、そして、公益法人が本来不当な利益を上げているわけですから、そして民間と競合しながら不当な利益を上げているのであれば公益性はないわけですから、そこのところにはっきりと税のメスを入れると。つまり、内閣官房行革推進事務局や、それから総務省(旧総務庁)の行監局とかいろいろあります。あるけれども、実効性がなかったんですね。したがって、実効性を持つためには税できちんと迫るしかないだろうと。実際に、税の対象であるべき仕事をしているわけですから。そうすると、逆に言えば、課税庁が手を抜いていたというふうに言ってもいいわけですから、きちんと課税庁は課税庁としての仕事をしていただくと、こういうことが大事であると。しかも税収不足の折ですから。それと、今言った、白昼堂々と不正が行われていることに対して何のメスも入れられなければおかしいだろうということであります。
〇記者
お考えの点で確認したいんですけれども、そうすると、公益性でも社会貢献性でも言葉はどうでもいいんですけれども、それが内部留保の3割という一定ラインを一つの基準にしたいというお考えなのかということが1点と、それと、先ほどの収益事業33しか列挙してなくて、他にも幅広にあるということは、もっと厳しくしろということだと、もっと包括的な規定にしてしまえということなんですか。
〇猪瀬委員
これは、今このワーキンググループで議論していることで、僕の個人の意見になってしまうので…。ただ、個人の話として言っておきますとですね、包括的にやると必ず抜け穴が出るので、具体的に、個別事業を数多く指定したほうが確実性が高いと僕は主張しようと思っています。前にも主張しているんですけれども。というのは、昭和59年に33業種目が決まった後は、約20年間、社会情勢が変化しているにもかかわらず、その業種指定が増えていっていないんです。ですから、34、35、36と…極端に言えば50ぐらいあっていいと思うんです。そうやって個別、個別でつぶしていかないと、包括規定にすると必ず抜け穴ができます。ですから、ポジティブリストが大事だと。でも、ネガティブリストのほうが分かりやすいと言っている人もいます。ただ、僕はポジティブリストでとらえていかないと、とらえ切れないというふうに理解しています。
それから、30%というのは、あくまでも平成8年の申し合わせで30%になっているということで、その30%すら重視されてないというか、そういうことであればね、とりあえず30%は30%の基準をもう一回、それは40%か20%にするかどうかはともかくですね、まず30というのをやっていなかったのを確認して、やってみて、それから変えることも考えていいのではないかと、こういうふうに思っています。
それは、僕の意見ですからね。グループ全体の意見ではありません。ただ、そういうことを僕は主張していきたいし、そういうことをできるだけこの委員会の中で通していきたいというつもりで臨んでいます。以上です。よろしいでしょうか。では、どうもすみません。失礼しました。
〇事務局
まず初めに私のほうから一言。先ほど猪瀬委員からいろいろお話がございまして、ちょっと注釈だけ付けておきますと、猪瀬さん、先ほどの非常に強いご主張を持っておられまして、今日の中でも大変活発に発言をいただいております。それで、9ページのところで、先ほど猪瀬委員からも説明がありました「内部留保水準別の公益法人数」という資料があって、ちょっと事実関係だけ申し上げます。右下のほうに注がございまして、30%以下というのが閣議決定をされていると、猪瀬委員、何度もおっしゃっておられましたが、実際上は、この「公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針」というところで決められておりますので、閣議決定自身に30%と書いてあるわけではございません。それから、この運用指針の書き方も「望ましい」という書き方でして、なかなか一律にここで定めることは困難だということも書いてございます。そういったことを踏まえて、長い間かかわっておられた猪瀬委員の主張としては、こういうことを基準にいろいろと詰めていくべきであるというようなお考えであろうと考えております。
以上、事実関係だけちょっと。これから先が、水野座長のほうから委員会全体の、今日のワーキンググループ全体の議論につきましてお話をさせていただきます。
〇水野座長
それでは、今日、第3回目ですが、税制調査会基礎問題小委員会の非営利法人課税ワーキンググループが開かれました。
今日は最初に、内閣官房行政改革推進事務局の方から現在の公益法人制度ですね、公益法人制度そのものの検討状況について説明をいただきました。簡単に申しますと、従来ありました公益法人、それからNPOに中間法人という3つの法制度があったわけですが、これを全部区切りをなくしまして、非営利法人ということで法人格の取得を簡単にできるようにするという話でした。簡単にと申しますのは、いわゆる準則主義と言っておりますけれども、一定の基準を満たした場合には、自ら登記すれば、それによって法人が設立できるということですね。行革推進事務局の考え方では、従来の公益法人のその公益性の部分と法人格の部分ですが、これを切り離して、法人格の取得は容易にできるようにするというお話でした。あと、それでは全部の法人をどうするかということですが、その後にですね、いわゆる優遇を受けるような法人もあり得るので、その場合には登録制をとりたいというふうなお話がありました。で、行政改革推進事務局のほうの考え方では、公益法人の意味するところの公益という言葉が非常に分かりにくいということで、社会貢献性という言葉を盛んに使っておられました。「公益」に代えて「社会貢献性」という言葉を使っておられました。
そういった行政改革推進事務局のお話に対しまして、このワーキンググループの委員の中から幾つか出まして、まず「社会貢献性」と言っているけれども、結局これは「公益性」と同じものであるであろうと。それによって、税を含めた優遇措置を与える判断基準、そういうものになり得るのかどうか。結局、従来と同じようなものになってしまうのではないかというご質問がありました。いわゆる、社会貢献性という言葉に変えても、個別的に優遇措置を与えられる法人、そうでない法人ですね、従来のものに何か新しいものが加わるかどうかと、そういったような疑問が出ておりました。
それから、非営利法人ということでは、法人格の取得、これを一般的に認めるということですけれども、それでは営利法人…営利法人というのは株式会社、有限会社等になりますが、これに対して非営利法人そのものの一体、理念といいますか、存在意義というのはどういうものになるんだろうかというような質問も出されておりました。
それが大体1時間程度でございまして、その後、いわゆる非営利法人の課税につきまして、まず非営利法人の課税ですね、これの基本的な仕組み、また簡単にお話しいただいて、それから、公益法人の実態ですね、その辺についてのお話をいただきました。資料として配付されていると思いますけれども、法人によっては1,000億円を超えるような内部留保がなされていると、こういう実態などがありました。これは説明ですけれども、特に強く出されたご意見に、いわゆる公益法人の実態というものを十分に認識した上で制度改革を行わなければ意味がないのではないかと。具体的には、この内部留保を非常に行っている法人が多いけれども、やっぱりそれに対応しなければいけないと。それからもう1点は、これは議論が分かれるところですけれども、従来の収益事業課税ですが、これも実態で見ますと60%の公益法人が収益事業を行っていないと。これについてもいろいろ評価があると思いますが、これは収益事業を行っていないのではなくて、収益事業33業種に当たっていないだけのことで、やはり収益事業を行っているのではないかと。これは、そうしますと制度論ではなくて…まあ制度論にもなりますが、いわゆる収益事業の範囲を拡大していくと、こういう作業が重要なのではないかというようなご意見が出されました。
大体、議題の流れといたしましては、今日、お話ししたことは非営利法人というもの、一つは、行政改革推進事務局のほうで非営利法人ということで法人格の取得が簡単にできるようになるということになりますが、それに対応した形で、基本的には非営利法人は課税されるということが原則になるのではないかということですね。
これに対して、といって、やはり社会的に貢献する、あるいは公益的な活動を行っている法人に課税するのは好ましくないので、では、どういうステップを踏んで非課税のあり方を決めるかということでございます。そこで、一つこちらのほうで挙げました基準というのは、まず第一に非営利性ということですね。この非営利性というのは、営利活動といった意味ではなくて、利益を分配しない、残余財産を分配しないということ、それを一つにまとめて非営利性と言ったわけです。ですから、営利法人というのは利益を分配するのを目的とした法人ですから、そうではなくて、利益は分配しないものであるということですね。それから2番目が、やはり公益性というものを重視しなければいけないと。行政改革推進事務局が使っていた社会貢献性というのは、ちょっと言葉を変えただけで、あまりそれによって明確になるというものでもありませんでしたが、ここでは、税制調査会では公益性という言葉を使っております。それから、内部留保です。これは、公益法人の実態のところでも出てきているわけですけれども、内部留保の制限をする必要があるのではないかということですね。それから4番目は、組織・運営の適正を確保すると。具体的には、一番大事なのは帳簿書類、いわゆる財務諸表ですけれども、こういったものについて適正なものが維持されるようにチェックを行う必要があるのではないかということです。それから、それに加えてですけれども、いわゆる事後的なチェックというものが必要になると。税務で言いますと、税務調査で帳簿書類、財務諸表といったものをチェックしますけれども、そういった事後的な調査をどうするかと、こういうものが課題ではないかということですね。
ですから、基本的に今日の会議でまとめてみますと、まず行政改革推進本部のほうで法人制度改革がどういうふうに進んでいるかというお話を聞いた上で、税制の公益法人課税のあり方を考えると。で、基本的には、先ほどお話ししましたように非営利法人というものが準則主義、一定の要件を満たしていれば自由に作れるということになりましたので、当然、基本的にはそういった法人には課税されるのが原則であると。または、公益的な活動を行っている法人には、従来、非課税ということを認めてまいりましたので、では非課税法人といったものはどういった要件のもとに認めたらよろしいだろうかということで、今お話ししました4つの要件ですね、非営利性、それから公益性と、内部留保の制限、更に、組織・運営の適正、財務諸表等の開示といったような問題ですけれども、で、5番目には、事後的な検査を徹底すると、こういうふうな方向で検討したらどうであろうかということを議論いたしました。基本的には大体ご了解いただけたと思っておりますが、やはり、非営利法人を見る時に、いわゆるNPOのようなボランティア団体を頭に置いて、そちらからイメージされる委員の方と、何度も挙げておりますけれども、内部留保しても税金がかかってこないと。こちらのほうのいわゆる弊害的な面を重視して、それに対する規制をしっかりするようにと、そういうようなご意見で、ちょうど反対方向からご意見が出たんですが、それで意見が対立しているというよりも、それによって、じゃあ非課税となる法人の範囲、更に、それでもやはり困る場合にはどう対応するかということを議論するという意味では、そんなに対立はないのではないかと。今お話ししたような線でこれから進めていくということになるのではないかと思っております。
それで、先ほど配付させていただいております基本的な考え方ですね、これについてはちょっと時間も不足しましたので、また次回の折に継続して審議するということでございます。今の4つの要件ですけど、これは今回の議論で、それによって固まったというよりも、また少し次回議論して、練ってみたいということでございます。ですから、確定したということではありませんけれども、できればそういう方向について改めてもう一度検討し直すと、こういうことでございます。以上です。
〇記者
行革推進事務局との関係があると思うんですけれども、今後の全体的なスケジュールというか、どんなふうに、小委も含めて、あるいは税調全体を含めてお聞かせ下さい。
〇水野座長
まず日程につきましては、大体決まった時点では、次回は2月21日(金曜日)、午前10時となっておりますね。それから、3月4日(火曜日)午後2時ということを考えております。それから、これは閣議決定で公益法人制度の見直しの大綱というものが3月中には出さなければいけないと。今年度ですね、平成14年度、ということがありますので、その後の日程は未定ですけれども、なかなか、まとまらない時には議論を集中して行うということになろうかと思います。
〇記者
ということは、ワーキンググループとして小委に対して何かまた提示するというような機会が出てくるわけなんでしょうか。
〇水野座長
はい。これは、小委員会のほうから付託されてワーキンググループというものが働いていますので、ワーキンググループとしての考え方をまとめて小委員会に報告すると、こういうことになります。
〇記者
4つの要件に対しては何か、更に批判的な意見とかありましたら紹介いただきたいんですけれども。
〇水野座長
この4つの要件自体については、批判はなかったと思うんですけれども、時間が、正直申しまして10分しかなかったものですので、これは検討を続けたいと。更に、それにつけ加えるものがあるかどうかとか、そういったことを再検討してみたいと思っております。
〇記者
公益性といいますか、社会貢献性ですね、この恐らく何らか数値化なり、定義付けが必要かと思うんですけれども、その作業というのは事務局のほうの作業になるのか、こちらのワーキンググループとして公益性の定義というのはこういうことだと考えるというところまで持っていくおつもりなんでしょうか。
〇水野座長
今のところ、先ほどお話しましたような公益性という要件を出しましたんですけれども、数値化できるかどうか、これは…そこはまだこれから、全くその点中身については議論しておりませんので、次回以降ということになりますけれども…。まあ、何らかの形で…これは非常に難しい問題で、中でも分かれるんですけれども、行政改革推進事務局が公益性に変えて社会貢献性という名前を使ったりしておりますけれども、ただ言えることは、入り口の段階で公益性を出してしまいますと、かなりこれは制度として難しいものになってしまいますので、どの段階で議論といいますか、要件を検討することになるかちょっと分かりませんけれども、できれば、もうちょっと詳細な基準といいますか、判断の基準ですね、これを作りたいとは思いますけれども…。特に課税の場合になりますと、行政の裁量といいますか、そういうことが認められませんので、何らかの一定の基準を作らなければいけないかなと考えています。ただ、これは今日議論が出ませんでしたので、社会貢献性との違いがどうのという形での議論はありましたけれども、公益性そのものはどうするんだという話ではございませんので、これから議論したいと思っております。
〇事務局
一言、事務局のほうから。お手元の非営利WG3-2という資料をお配りさせていただいていますけれども、その1ページに閣議決定をつけておりまして、非営利WG3-2の資料の一番最初のページでございます。ここの2のほうにございますが、平成14年度中を目途に大綱を策定すると。つまり、15年3月を目途に大綱を策定するということで、その中身としては、改革の基本的な枠組み、それから以降のスケジュールでございます。結論的に、具体的な措置とというのは平成17年度末までにやるんだという目標を立てておりますので、先ほどの質問が非常に細かい話であるとすれば、まず3月までに議論を詰めなければいけないのは、それに当たっての基本的な考え方であるという整理かと存じます。
〇記者
今の4つの要件を認定する機関ですね、どこが公益性要件を認定すべきかみたいな議論はあったんでしょうか。
〇水野座長
どこの機関が認定するかという行政上の問題、これについてはまだこれからということで、全く議論しておりません。今日は行革推進事務局のほうから来ていただきましたけれども、そういった議論はありませんでした。こちらのワーキンググループでもその議論はいたしませんでした。もうちょっと詰めた段階で恐らく…、またはそれはいかがでしょうか。3月の大綱のところで出てくるか、ちょっと未確定だと思います。
〇記者
そうしますと、原則課税で、非課税になるようなところを登録制にするという説明が向こうの事務局からありましたと。優遇するところは登録すると。そうすると、登録するのにいろんな、今4つの要件を言われたような基準がありますねという話で、それをどこに登録して認定するというのが決まらないと、話ってなかなか進まないんじゃないですか。そんなことはないんでしょうか。
〇水野座長
ちょっと話を混乱させて申しわけないんですが、行政改革事務局が登録制と出しております。社会的貢献性の強いものは登録制として優遇措置を認めると。これは何度か質問して確認したんですけれども、行革事務局は抽象的な意味で優遇措置と言っていますけれども、税制以外のことについてどれがあるのかははっきりしないと。ただ、税制の問題になりますと、今ワーキンググループで議論しておりますので、そこのすり合わせをしなければいけないと。ちょっと行革推進事務局だけで決めるというものではなくなってまいりますし、税制調査会、ワーキンググループのこれからの審議の流れによっては、ちょっと困るかなとか、そんな問題が出てこないとも言えないですね。
〇事務局
今おっしゃられた通り、どこが判断するかという問題はもちろん重要であるわけでございますけれども、まずは、どういう対象を税制上優遇するかという考え方と、それから内閣官房では、今税制以外の面で何か優遇措置が考えられないかということで、その登録機関ということを考えておられると。まずはその基本的な考え方をすり合わせることが必要なわけです。それが合わなければ、もともとくっつくとかくっつかないとかいう以前の問題でございます。ですから、今日などご議論をいただいたのは、その基本的考え方をどういうふうに立てていくかというところをワーキングで議論いただいたと。
〇記者
その優遇するところを認定なり何なり、どこかがして、その基準を設けてやった上で、先ほど猪瀬さんもおっしゃっていましたが、その中でも次に今度は収益事業がありますねという話がございますね。それについては、今、33事業で軽減税率なわけですけれども、その事業の範囲の話とか軽減税率の話とか、今日の議論じゃなくても、先生のお考えでもいいんですが、どうお考えになっているのか。
〇水野座長
その点につきましては、今日、議論のスケジュールとしては、収益事業の問題については次回ということではあったんですけれども、やはり意見が出てまいりまして…、というのは、公益法人の実態で収益事業を行っていないという記録が出ているのが60%あると。それは、収益事業を行っていないのではなくて、収益事業として認定される33事業に入っていないだけの問題ではないかと。だから、これはもう50、100と収益事業を認定していくことが重要ではないかと。まあ、これはある意味で執行の問題にもなってまいりますけれども、そういう意見が出ておりました。ただ、基本的には収益事業というもの、課税して、非課税法人を認めて、さらに収益事業というものを使うかどうか、これは次回以降の議論になります。いわゆる従来の公益法人の中の収益事業33といったものと、それをそのまま引き継いだ形を使うのか、少し変えるのかどうか、これはいずれにしても、もともと次回からの議論ということになっております。
〇記者
税率そのものへの考え方というのは、先生はいかがなんですか。
〇水野座長
そうですね、これを見ると非常に物品税の…全然違う話ですが、物品税に課税されるもの、課税されないものというもので営業していきましたところが、結局破綻してしまったわけですけれども、こういう形で、世の中のボランティア活動、それから営利法人であっても公益的な活動の要素がありますから、そういう複雑化してきた場合に収益事業を個別的に認定していくということで作業が追いつくのかどうか、この辺はちょっと懸念がありますけれども…。ただ、いずれにしても、非課税法人と認定したら全部非課税だと、こういうわけにはまいりませんので、何らかの更に、二次的な基準が必要になろうかと思いますね。
〇記者
その時には、株式会社とかとの税率の差というのも縮めると。
〇水野座長
議論はしておりませんが、基本的にはそういうこともあり得ると思います。
(以上)