非営利法人課税WG(第1回)後の水野座長記者会見の模様

日時:平成14年11月1日(金)12:10~12:26

水野座長

税制調査会の基礎問題小委員会に非営利法人課税ワーキンググループを設けまして、その座長を務めさせていただきます水野でございます。

今日はどういうことをしたかということを簡単にお話しいたします。従来から税制調査会では公益法人等の法人につきまして、課税上さまざまな問題があるということで、たびたび答申などでも意見を申し上げてきております。他方で内閣官房を中心に、いわゆる公益法人についての抜本的な見直しを行いたいとされています。いわゆる中間法人、それからNPO、こういったものを含めて、非営利法人制度全般についての見直しを行うということでございます。そこで、その点につきまして、来年3月には公益法人制度等改革大綱(仮称)が閣議決定されるということです。その中で税制についても検討項目となっておりますので、このワーキンググループを従来の基礎問題小委員会の下に設けまして、そこで数回にわたって検討するということでございます。

今回はどういうことを検討したかと申しますと、まず事務局の方から、既にお配りしていただいていると思いますが、公益法人制度そのものをめぐる動きといいますか、どういう制度であって、どういう流れでこういう状態になっているかということをご説明いただきました。次に課税の問題ですが、いわゆる公益法人を中心とした税制について、現在こういうふうに扱われているというご説明をいただきました。

それに対しまして、あとは自由質疑を30分ほど行いました。簡単に出たご意見などをご紹介させていただきます。

公益法人制度改革の対象となっておりますのは、今お話ししました従来の公益法人である社団法人及び財団法人、それとNPO、中間法人、こういったものでございますが、その他の公益法人等、いわゆる従来から税制調査会で議論しておりますけれども、宗教法人、学校法人といった特殊法人、こういったものも課税のあり方を検討する場合には加えていかなければいけないのではないかというご意見が出ました。

それから、課税のあり方を検討する場合については、特に現状の問題、現状というのは何度も繰り返し指摘されておりますけれども、収益事業について課税するということですが、現在33種目について列挙されておりますけれども、そういう現状を踏まえた上で税制のあり方を考えていく必要があるのではないかということです。

特に、強く言われたご意見ですけれども、1つは公益法人制度というものを全般的に見直してリストラクチャをすると、いわゆる制度面の問題、これだけではなくて、既に現実に発生しているさまざまな問題について対応していく必要があるのではないか。ですから、これは制度を設計するということだけにとどまりませんで、運用面ですけれども、こちらについても厳しく対応していく必要があるのではないかということです。中心的な存在になるのは、国税庁の執行体制で、非常に強力な機構でございますので、国税庁が積極的にこういうものに取り組んでいく、いわゆる現状に対する対応ですが、これも必要ではないかというご意見が強く出されました。

もう1つですが、公益法人制度の改革ということは、これは内閣官房の方で今日から懇談会で議論されるということですが、税制の問題というものがやはり大きくウエートを占めるであろうということは見えているわけですので、課税の観点から法人制度のあり方についてフィードバックしていく、こちらのワーキンググループで出せるような方針がありましたら、それをできるだけ内閣官房の公益法人制度の検討の方にフィードバックして反映させていってもらいたいという、こういうご意見が出されました。

以上が本日の大体の総括でございます。

記者

まず今後の議論のスケジュールと、いつどんな形で、どこにどんな形で伝えるかという段取りを教えてください。

水野座長

最初にお話ししましたけれども、3月に、ちょっと長いので読みづらいのですけれども、公益法人制度等改革大綱(仮称)が閣議決定されるということですので、その日程に合わせてこちらでも検討を進めることにしています。公益法人制度そのものについては、内閣官房の方の懇談会で議論されていくということですので、そちらの進捗状況に応じてワーキンググループでも議論を進めたいということであります。

ご意見の中にも出ましたけれども、今ある制度だけでなくて、今度こういう公益法人制度になるという青写真が見えない状態で税制だけ議論するということは当然できませんので、将来的な制度というものを考える場合には、そちらの進捗状況、選択肢が幾つか出てきたとか、そういうようなものに対応して税制を議論していくということです。ですから、3月が閣議決定のゴールだということでありますので、12月に少なくとも1回行いまして、年明けに数回行うことを考えています。税制面は税制面として、この大綱の方に載せられるような形で検討をまとめる。こういうスケジュールを考えております。

記者

そうしますと、法改正なりが必要になってくるものについては、15年度の改正ではなくて16年度以降の適用というイメージでよろしいんですか。

水野座長

全般的な公益法人制度の見直しということでは、16年度でなくて17年度に包括的な法律改正、当然税制も入りますけれども、その改正を行いたいと、こういうような方向でスケジュールを立てているということです。

事務局

その点については資料の5ページをお開きいただけますか。その点、後で確認していただければと思います。

記者

議論の対象なんですが、ご意見の紹介に出てきたんですが、公益法人も相当幅が広いとらえ方ができると思うんですが、それこそ宗教法人から学校法人から、何から何まで含めて、全体としてあるべき形はこうだというふうに議論としてまとめていくという格好になるんでしょうか。

水野座長

その点につきまして、事務局からお話しがあった資料、一番最初の1ページを見ていただきたいのですけれども、多少技術的な話になりますけれども、いわゆる税法上、我々が法人税を議論するときには「公益法人等」と申しまして、公益法人にプラスして、その下に学校法人や宗教法人、社会福祉法人という特殊な、個別の立法によってつくられた法人があるわけです。我々の場合は、「公益法人等」と申しますと、併せて公益法人プラス特殊法人を言うのですが、今回の公益法人制度というのは、ここに民法34条とありますが、いわゆる民法の法人の中で公益法人制度を中心に置くということであります。それとNPO、さらに今回できました中間法人を取り上げるということになっております。

ですから、黒の枠で囲んだものが今回の公益法人制度の全般的な見直しの対象になります。ただ、税制というのは、どうしても同じような法人ですと同じように取り扱うべきであるという問題ですね。具体的に挙げれば、公益法人には収益事業にだけ課税させると。これは必ずしも公益法人だけではなくて、学校法人、宗教法人といったものも同じような扱いになっておりますので、恐らく税制につきましてはそういう点について、内閣官房の公益法人制度のリストラクチャにプラスアルファしたような形で税制も考えていくという可能性は、非常にあると思います。

ただ、これは3月までにということになりますので、そちらの議論がちゃんと収斂するかどうかは今後の検討次第でありますが、少なくとも大枠の中のものについて結論をきちんと出したいと。こちらが出ますと、割合自然に特殊法人の方の課税のあり方というものも方向は見えてくると、私はそう考えております。

記者

手続をもう1つだけ。ワーキンググループで議論して一定の方向性が出たものは、基礎小なりに上げて、さらに総会に上げて、政府税調全体としての意思だというふうにまとめるという流れでよろしいんですか。

水野座長

ちょっとそこを申し上げませんでしたけれども、ワーキンググループで検討しまして、適宜まず基礎問題小委員会に上げて、ご報告して意見を伺う。さらに、その上に税制調査会総会の方にまたご報告する。そういう形になりますので、税制調査会の基本的な考え方として、社会には出すということになっております。

記者

水野先生ご自身としては、この公益法人課税について、どの辺が最大の問題点と思っていらっしゃるのか、軽減税率が一般の収益法人に比べて不公平だということなのか、それとも収益事業の範囲の問題なのか、それとも寄附金税制の方の問題なのか、その辺のご認識をお伺いしたいんですが。

水野座長

私個人の意見でよろしいでしょうか。私の考えておりますのは、将来に向かいまして、いわゆるNPOを初めとしまして、ボランティア活動、特に介護福祉ですとか、非常に民間の人手というものが大事になってくるということで、一部実現しておりますけれども、認定NPOといった形で、それを促進するために寄附金については特別の取り扱いをすると、この方向はかなり進めていくことがよろしいのではないかと思っています。

それから税率面なんですけれども、収益事業という形である限りは、私としましては、他の法人とは異ならないのではないかなと。ですから、いわゆる収益事業をやっているけれども、それを公益的な活動、ボランティア活動に充てるんだという場合には公益法人に認められておりますが、いわゆる収益事業から公益活動への寄附金の会計の繰り入れを認めるということがありますが、そちらの方で対応したらどうだろうと。ですから、やはり法人で収益活動を営んでいる限り、これは並べてもよろしいのではないかというのが私個人の意見です。やはり寄附金といった問題、これが活力の源でありますので、そこで対応できないかなと考えておりますが。

(以上)

非営利法人課税ワーキンググループ