第5回非営利法人課税ワーキンググループ 議事録

平成15年3月4日開催

委員

ただいまから、税制調査会基礎問題小委員会非営利法人課税ワーキンググループ第5回会合を開かせていただきます。

3月中旬に、大綱をまとめるということで、いろいろご協力をお願いいたします。

本日は、前回、お話ししましたけれども、これまでのワーキンググループにおける議論、これを踏まえまして、できるだけいろいろな先生方の意見を取り入れて、たたき台みたいなものを用意いたしましたので、それについてご審議していただきたいと思います。

なお、本日も、内閣官房行政改革推進事務局の室長と、参事官にご出席いただいております。よろしくお願いいたします。

それから、国税庁の法人課税課長にもご出席していただいておりますので、よろしくお願いいたします。

今日と3月11日の2回で、何とか取りまとめをしてまいりたいと思っております。

今日の議題ですが、まず第一に、前回、公益法人を含めた法人制度、これを非営利法人に一括するということで、法人格と中身を切り離すというお話を内閣官房からいただいたわけですが、税制調査会のワーキンググループのほうで問題が幾つかあるということで、この間、要旨を配付させていただきました。それを踏まえまして、また、内閣官房からご説明をお願いしております。

お願いいたします。

事務局

前回のワーキンググループの際に、「非営利法人制度改革について(メモ)」という形で、何点かについて、ご質問がペーパーで出されておりました。それを踏まえて、現時点での私ども行政改革推進事務局としての考え方を整理したものでございますけれども、今回の公益法人制度等改革についての考え方、何点かについて改めてご説明させていただきたいと思います。

お手元に、「資料(公益法人制度等改革について)」というものが配られておりますが、それに沿いましてご説明させていただきたいと思っております。

前回も申し上げましたように、私ども行政改革推進事務局といたしましては、昨年の4月から公益法人、NPO法人の関係者、あるいは、民法の研究者の方々等々から意見を聴取した上で、8月に論点整理を公表させていただき、さらに11月以来、有識者懇談会を設け、そこで、さまざまな論点についてご議論をいただいてきたわけでございます。

これからお話し申し上げますのは、それらのご議論を参考にしながら、私どもの責任においてまとめた、現時点での考え方の整理ということでございます。

まず、非営利法人制度創設の考え方についてでございます。非営利活動につきましては、現在、国民による自発的な非営利活動を行う団体が数多く作られておりまして、将来的にも今まで以上に活発化することと予測されるところでございます。

このような団体が、取引等の主体として権利・義務の統一的な帰属点という形で法人格を取得することは、まさにこういった非営利活動の発展にとって不可欠なわけでございます。このような活動を促進するためには、できるだけ簡易な方法で法人を設立できるようにする必要があるのではないか、というふうに考えております。

一方におきまして、公益性--社会貢献性と言いかえることもできるかと思いますが、あるいは、個々の法人の事業内容、こういったものは時代により変化し得るものでございます。ある時点で公益性があると判断されていた法人の事業内容が公益性を失う状況になる可能性も、あるというふうに考えております。

このようなことになった場合、現行の公益法人、NPO法人も同様でございますけれども、法人格の取得と公益性の判断が一体となっている仕組みになっておりますので、本来でありますれば、公益性を失った法人というのは法人格の前提を失うわけでございますから、法人格を喪失させることが原則であるわけでございます。

しかしながら、こういった取扱いは、法人格の安定性、事業の継続性、取引の安全性といった観点から見て、必ずしも合理的ではないということもございまして、実際に法人格を喪失させることはかなり困難な状況にあるわけでございます。

その結果、現時点でどのような事態が生じているかと申し上げますと、公益性を失っているにもかかわらず、公益性がある法人として存続してしまうという弊害が実際に生じているところでございます。

このような観点に立ちまして、私どもとしては、法人格の取得と公益性の判断を切り離しまして、公益法人制度・中間法人制度、NPO法人制度、これらに共通しております非営利性、それから活動領域の一般性といったところに着目いたしまして、準則主義による新たな非営利法人制度を創設することが適当ではないかと考えた次第でございます。

なお、公益性の判断でございますが、これにつきましては、法人法制とは別個の枠組みで行うということで考えております。一定の基準を満たして公益性が認められた非営利法人につきましては、必要な規律、あるいは、判断主体によるチェックを行う方向で検討してまいりたいと考えております。

次に、2ページ目でございます。前回のメモにもございましたように、今回、NPO法人も入れるということで考えているわけでございますけれども、それとNPO法の趣旨とどのような関連になるのかということでございます。

今回の改革は、民間非営利活動を社会・経済システムの中で積極的に位置づける観点に立っているものでございます。したがいまして、このような観点に立って、法人格の取得と公益性ないし社会貢献性の判断を切り離す、共通の非営利法人制度で準則主義のもと登記により簡易に法人格の取得ができる、今回の改革の方向性は、こういった民間活動を促進する、それから、行政の関与をきわめて小さなものにする等々の、NPO法の趣旨を尊重・発展させたものであるというふうに私どもとしては考えている次第でございます。

3番目でございますけれども、それでは、このような民間の非営利活動について、国としてどのようなスタンスで臨むべきと考えているのかということでございます。

私どもといたしましては、このような公益的な活動である民間非営利活動に対しましては、基本としては、国民が自ら参加し、あるいは法人に寄附をするといった形で支援をしていくことではないかと考えております。国は、国民によるこういった支援の環境づくりを担うというのが、大きな眼目ではないかというふうに考えている次第でございます。

こういった観点に立ちまして、前回も若干ご説明させていただきましたが、登録制度というようなものが一つ考えられるのではないかということでございまして、ここにございますように、国が、法律上客観的かつ明確に規定された基準に基づきまして、非営利法人の公益性を判断した上で登録をする。その情報を国民に提供するということでございまして、これによってどのような効果があるかと申し上げますと、国民にいたしますと、多種多様の非営利法人の中で、自分がどのような法人を支援するか--それは寄附ということもあるかと思いますが、どのようなものを選んでいくか、どのように評価するかといったことが、やりやすくなる仕組みになると思っております。

また、ここには書いてございませんが、法人からしてみますと、そのような仕組みで、自らの情報を広く国民に提供してもらえる利点があるのではないかというふうに考えております。

したがって、このような制度はそれなりに意味があるというふうに考えているわけでございます。

なお、登録された法人でございますが、先ほども若干申し上げたかと思いますけれども、一定の優遇措置が講じられるというふうに考えており、公益活動を担うにふさわしい必要な規律を課し、公益性の判断主体による登録の取消等の事後チェックという仕組みも、組み込む必要があるのではないかと考えております。

なお、既存の公益法人、NPO法人がこういった登録制をつくった場合、どうなるかということでございます。私どもといたしましては、現在、それぞれの法律の趣旨に沿った公益活動を現実に行っている法人は、この中で登録され、一定の優遇措置を受ける方向になるのではないかと考えている次第でございます。

なお、その他でございますけれども、非営利法人制度の濫用につきましては、中間法人、営利法人と同様に、裁判所による解散命令制度等を設けて対応するというふうに考えております。

以上、お時間をいただきまして、どうもありがとうございました。

委員

ありがとうございました。

室長と参事官には、このあともこちらに出席いただけるということですので、まとめてあとで議論なり質問なり、お願いしたいと思います。

それでは、私と事務局のほうで準備いたしました、「非営利法人に関する課税の基本的考え方(案)」、これには資料の番号がありません。これは、「会議終了後ご返却願います」というもの、それと、その基本的考え方を項目としてまとめたものですが、資料の「非営利WG5-3」。

まず、これを事務局に読み上げていただきますけれども、その前の話ですが、この間も会議のときに初めに申し上げましたけれども、いわゆる原則課税か、原則非課税かという議論で空中戦をやることにはあまり意味がない。今日も新聞に、失礼ですが、原則課税を主張するある委員と原則非課税を主張するNPOの方の議論などが出ておりました。また、内閣府のほうでは原則課税に反対であると。

さらに、公共放送のテレビの解説委員が、今まで原則非課税だったのが、今度課税になる、これは非常にボランティア活動を阻害するもので困ったものだと。

こちらは、そういうような使われ方をして非常に困ったものだと思っておりますけれども、たたき台にさせていただきましたものは、そういう観点ではなくて、どういう場合にどういうふうな基準で非課税と課税を区別するか、優遇を認めるかといった観点から、少し技術的過ぎますけれども、そういうふうな形で書かれております。そういうふうな方法をとりまして、原則がどうのということはやっておりません。

あと、つけ加えますと、法人税というのは法人の所得に対する税金で、会社税ではありませんので、法人である以上、所得を生ずれば課税を受ける。これが原則で、それ以外に、非課税の範囲を設けることは全部特例で、厳密に言えば例外の範囲になるのです。ですから、NPOについて原則は非課税だという発言自体が、法人税の仕組みから見るとおかしい。この点もありまして、こういう組み立て方はやめようということで、今回、出させていただいたたたき台でございます。

では、お願いいたします。

事務局

それでは、まず、お手元の「非営利WG5-2」に沿いまして、前回、ある委員から宿題を頂戴いたしまして、「諸外国における寄附金収入等の取扱い」につきまして、1表をまとめたものでございます。

おめくりいただきまして、まず、1ページ目でございます。こちらは、寄附金等の取扱いに入る前に、諸外国における法人に対する非課税認定をどのような場合に行っているかということを、前にも資料をお出ししたところでございますが、再度、ここに簡単にまとめてございます。

左のほうから簡単に申し上げますと、アメリカにつきましては、内国歳入庁が一定の限定列挙されている法人の中から承認をした法人が非課税ということになってございます。下のほうに、どのような法人が限定列挙されているかと申しますと、[3]のように、同業者団体等も含まれてございますが、[1]、[2]のような、慈善、教育、社会福祉団体といったものが数としては大変多くなってございます。

次のイギリスでございますが、これは、チャリティに当たるかどうかということで、有名なチャリティ委員会に登録されたものについて、これが非課税になっております。チャリティ目的の最初の[1]にございますが、貧困の救済、教育の振興、宗教の振興、その他社会に有益な目的のうち1つに該当すること、といった要件をはじめとする幾つかの要件が並んでおります。

ドイツにつきましては、税務署が要件に該当するかどうかを認定し、それが非課税の法人になるという仕組みでございます。[1]にございますが、公益、慈善、宗教目的のいずれかに該当すること、というのをはじめとする幾つかの要件が並んでございます。

フランスでございますが、課税庁による事前の認定手続は存在しない例として存在してございますが、したがって、非課税は事後的チェックということになってございます。下のほうにございますとおり、非営利であること、営利会社と競合しない、営利会社に類していないことといった要件を掲げた上で、これに該当すれば非課税ということになっているわけでございます。

このように、それぞれ歴史、あるいは、それぞれの国の法制度を背負った形で、それぞれの国に独自の制度が築かれているということになっております。

2ページをお開きいただきますと、その制度のもとで、諸外国における寄附金等収入の法人課税上の取扱いがどのようになっているかというものを、1表にまとめてございます。

一番上にアメリカがございます。アメリカは、贈与・遺贈による収入で、(1)とございます。下のほうに(1)の注がございますが、この中に寄附金が入ってございます。こういった寄附金につきましては、下の2行にございますが、遺産課税方式のもとで、贈与者において遺産税・贈与税の課税ベースに含まれることにしております。つまり、渡す側、寄附金を出す側が納税をする形になってございます。したがいまして受けた側、この場合、法人になりますが、受贈者たる法人は、法人の事業の性格にかかわらず非課税ということで、この場合、非営利法人であるか、営利法人であるかを問わず、受けた方については税金がかからない、渡したほうの側の方に贈与税を払っていただくという仕組みになってございます。

次の、イギリスでございます。これも、寄附金は税法上の所得分類に属さない収入というところに位置づけられておりまして、取扱いはアメリカと同様でございます。

続きましてドイツでございますが、ドイツは、所得の種類に応じた特別の区分は設けられておりません。したがいまして、先ほどご説明いたしました、公益、慈善、宗教目的、これらのいずれかの活動を行う団体として認定を受けた法人が行う目的適合事業に係る収入は、非課税、非目的適合事業に係る収入は課税、という仕分けになるわけでございます。

また、この目的適合事業の判断に当たりましては、団体目的に役立ち、団体目的の達成に不可避な範囲を超えて、競争しないことが要件になっております。

フランスでございますが、フランスも所得の種類に応じた特別の区分はございません。したがいまして、事業が非営利目的であり、営利会社と競合しないと判断される団体が行う非収益事業に係る収入は非課税、収益事業にかかる収入は課税ということになってございます。収益事業と非収益事業とが区分できない場合には、事業全体が課税対象となる、というふうにされております。

以上が、前回いただきました宿題の、一応調べたところをお出しさせていただいたものでございます。

次に、「非営利WG5-3」という資料をおめくりいただきますと、私がこれから読み上げさせていただきます、たたき台の項目を大きくまとめたものでございます。たたき台は、大きく3つのパーツに分かれておりまして、最初の漢数字の一、「非営利法人に関する課税のあり方を検討するに当たって」というところで、いわば総論の議論をまとめております。

その次に、漢数字二のところで、「非営利法人に対する課税」についてまとめておりまして、その中で1のところで、非営利法人に対する課税のあり方をまず検討した上で、2として、どのような場合に非営利法人が行う事業活動が非課税となるのか、そのための要件を、「(1)法人としての要件」と、「(2)事業活動の内容に関する要件等」とに分けて論じております。

それから(3)、一番下でございますが、こちらで、前回委員からご提起のありました、非課税とならない、「共益的事業を行う非営利法人が受ける寄附金・会費の取扱い」について論じております。

おめくりいただきまして、次の3のところでは、「事後チェック」が、今後においては大変重要性を持っているということを論じております。

4のところで、「要件を担保するための具体的仕組み」ということで、こういったことを判定する主体等についての議論をいたしております。

5のところで、移行等の場合の取扱いをまとめてございます。

最後に、漢数字の三のところで、「寄附金税制」についての考え方をまとめております。全体としてこのような構成になっております。

続きまして、「非営利WG5-4」という横長のポンチ絵をもちまして、これから私が読み上げます「基本的考え方」に記載されているもののうち、非営利法人に対する課税の全体的なイメージをまとめさせていただいております。

左側が現行制度でございますが、現行制度は、いわゆる非営利法人の中にも二つの種類があります。左側が、公益目的を持っている法人、右側が、公益目的を持たない法人でございます。そのうち、民法34条法人とNPO法人、公益目的を持っている法人につきましては、一番下にございますとおり、収益事業を行う場合に限って納税義務を負う形になってございます。

それから、共益目的を持つ中間法人につきましては、一般的に納税義務を負うことになっております。

右側が、現在検討中の法人制度をもとにした、「基本的考え方」に盛り込まれた考え方の大枠を絵にしたものでございます。先ほど座長からもご指摘をいただきましたが、原則課税という言い方をここではとっておりません。いわば今回予定されている非営利法人が、左側の現行制度で見ますと、民法34条法人、NPO法人、中間法人という、きわめて幅広い法人を全体として取り込むということであるものですから、非営利法人全体としては一般的に納税義務を負うということでございますが、ただ、左半分にございますとおり、法人としての要件を満たす法人、公益目的等を満たす法人、これが文書の中で論じられておりますが、これにつきましては、一番左の下にございますとおり、収益事業を行う場合に限って納税義務を負う形になっております。

したがいまして、一般的に納税義務を負うということが最後まで残るのは、右半分の部分、法人としての要件を満たさない法人について、一般的に納税義務を負うことに結果としてなるわけでございます。

それから、網かけになっている部分、A、B、Cとございます。現在、民法34条法人の中には、特定公益増進法人、NPO法人の中にはBの認定NPO法人ということで、一定の法人については、寄附金優遇の対象となってございます。

これが、今度の「基本的考え方」の中では、Cという形で、新しい要件を定める必要があるということで、その要件を満たした法人に対してやはり寄附金の優遇が行われるという仕組みでございます。

したがいまして、左の絵と右の絵は、基本的には全体が一緒になるということで、一回、一般的に納税義務を負うことになりますが、結果として、このように絵の形で見ていただきますと、現行制度とほぼ同じような形の絵になっているわけでございます。

続きまして、その下の、「会議終了後ご返却願います」と記させていただいております紙、こちらは、まだこれからのたたき台ということで、最後に机の上に残しておいていただければと思っておりますが、こちらを読み上げさせていただきます。

〔読み上げ〕

以上でございますが、その下に3つ資料を入れてございます。こちらは、公益法人、NPO法人関連の諸団体から提出されたものでございまして、ご参考のために添付させていただいております。

以上でございます。

委員

ありがとうございました。

ただ今、事務局に読んでいただきましたのが、非営利法人課税ワーキンググループのたたき台ということで、これから、ご議論いただきたいと思います。

それから、先ほどの新しい法人制度につきましても、ご質問がありましたら、室長と参事官にいていただいておりますので、そちらのほうも、どうぞご意見、ご質問など、お願いいたします。

いかがでしょうか。

委員

今回の改革は、この機会を逃すと、方向性を誤ると、大変なことになるという危機意識を持っているのですが、特に、基本的にはこの問題の認識のレベルの問題で、間違った判断をされる方が結構多い。認識が浅いために、間違った判断をされている方が多い。特にNPO法人関係の方々のご意見はそうなんですね。

とりあえず、今日の委員限の「会議終了後ご返却願います」というこの報告に基づいて、基本的にこの報告はよくまとまっているのですが、やはりもうちょっとメリハリをつけなければいけないものがあるのではないかということで、これに即して意見を述べさせていただきたいと思います。

3ページ目で、1の(2)の終わり、「このように一般的に納税義務を負うことにより、帳簿の作成・保存や適正な会計、納税に対する非営利法人の意識を高めることが期待される」、これは非常に重要なところであります。特にここに強調しているということは、非常に重要だと思っています。

次に、5ページ目の「内部留保の制限」というところですけれども、[3]よりちょっと手前のところで、「したがって、非営利法人が過大な内部留保を用いて営利法人より有利な条件で経済活動を行ったり、実質的な利益分配を行ったりすることがないよう、内部留保の制限を行う必要がある」。これは当然のことですが、「制限を行う必要がある」という程度の言い方ではまずいのではないか。

なぜならば、すでに公益法人指導監督基準の「運用指針」というところで、内部留保を制限するために年間活動費の30%程度がふさわしいと、そういう数字が出ているので、この30%というのはすでにボーダーラインとしてはコンセンサスがとれている数字なので、ある種の有効な線としてここに記入しておかないと、「内部留保の制限を行う必要がある」というのは抽象的過ぎるわけですね。したがいまして、30%だって僕は多いと思っていますけれども、とりあえず30%というので、ある程度のコンセンサスがあるということを確認してください。

繰り返しますが、公益法人の指導監督基準の「運用指針」で、年間30%というのはすでにずっと前に出ています。それはおそらく、それでよかろうということであったということであります。

次に、6ページ目になりますが、ロは、NPO法人の、これはある委員の意見が入っているのでしょう。委員のご意見はご意見で承っていますが、「との意見があった」と。それは一つの意見としていいのですけれども、しかし、これではだめだ、ということがこの間のほとんどのご意見であったと思うんですね。

それで、一番最後の[2]のちょっと手前に、「行政庁の裁量を広げる結果となりかねないのではないか等の指摘があった。」その前にも、「同種・同等の事業の多くが、公益的・公共的な事業という名の下で、課税されないことになってしまうのではないか」。こういうふうなことがすごく問題なわけですから、そういうものについて、ただ「指摘があった」ではなくて、「現状の公益法人等の実態を踏まえたところにおける厳しい指摘があった」というぐらい強調しないと、これまでいろいろなことを問題提起してきた意味がなくなってしまいますから、そこはもうちょっと強調していただきたい、こういうふうに思うわけであります。

さらに、一番重要なことですが、次の7ページ目です。[3]の、収益的事業から生じる利益の使途ということですが、そういう意味で公益性・公共性があることを最大限尊重した場合に、20%の損金算入というのはある認め方があると思っています。それはそれとして、[3]と[4]が並列されていること自体がおかしいのでありまして、[4]というのは、存在する必要のない項目だと僕は思っているんですね。

この文章をお作りになった方は、あちこちに配慮してこういうふうにお作りになったのでしょうが、[4]は、法人に対して30%課税することが現状で行われているわけですから、収益事業に軽減税率を適用するという根拠が論理的にはありませんね。現行は確かに22%で、8%安いのですけれども、公益性・公共性というふうに考えれば、20%の損金算入を認めることによって、内部留保30%以内、そして損金算入20%、こういうことであれば、公益性・公共性は十分に担保されると思います。したがって、収益事業に対して軽減税率を当てはめるという論理的根拠は絶対ないということで考えれば、この項目は、項目自体が削除されるべきではないかというふうに思うのであります。

大変恐縮ですが、先に言わせていただきます。8ページ目の、「事後チェック」の(3)で、「適正な公開基準等を定めることも検討すべき」ではなくて、適正な公開基準を定めなければならないんですね。だからこれは、「定めるべきである」ということで、検討する必要はないんですね。そこは取ったほうがいいのではないかというふうに思います。

ざっと述べまして、言い忘れたところも若干あるかもしれませんが、とりあえず全般をながめ回して、一番ポイントである場所を指摘させていただきました。

以上です。

委員

ありがとうございました。

委員

私もざっと、妙な前書きはなしで中身にまいりますけれども、1ページです。ここで、中ほど以下の(2)、ワーキンググループ、いろいろ出ております。この指摘はそれぞれ大切な指摘だと思いますけれども、これらの指摘の前に、なぜ、公益法人、中間法人、NPO法人だけなのか。会長もおっしゃっていましたが、宗教法人、その他、社会福祉法人等々いろいろあるわけで、これは全部非営利法人です。非営利法人制度の仕組みを考える以上は、すべてについて通ずる理念と合理性のある制度をつくる、そういう視点が必要だという基本的な批判が一つあって、これは公にする以上はお書きいただきたい。それが一つです。

それから3ページ、これは、私の意見をとどめていただければというだけで申し上げますけれども、1の(1)、「非営利法人に対する課税のあり方」。この1は一番基本の考え方であり、座長も最初の発言でおっしゃいましたけれども、どこまでを収入とするのか。これは、各異なる法人の対応によって考えるべきで、例えば、あるものは収入と考えないという場合に、一たんそれを課税するものとして免税として扱うのか、最初から非課税として扱うのか。それは立法政策の問題で、絶対的な原理があるわけではない。それは、各国の法制を見ても、いろいろ違っているところから明らかであります。

したがって、法人である以上所得に課税するのは当然だという大原則があるわけで、その大原則の前提となる所得の構成の仕方をどう持っていくか。それは、ここまでが絶対こうでなければ原則に反する、というような考え方はないのではなかろうか。(1)の関係ではそういう意見を申し上げたいと思います。

(2)は、ガバナンスがいいかげんだから、「申告納税義務を負うことが原則」となっておりますけれども、ガバナンスがいいかげんだから全部課税だということも必ずしもすぐには出てこないのではなかろうか。それぞれの対応の法人の担税力、収入の実態等に応じて、これも決めればいいことではなかろうか、そういう考え方があることを申し上げさせていただきたいと思います。

それから、4ページであります。4ページの上のほうで、これは私の意見に対する反論で、「『会費』といっても対価性の有無が極めて不明確であり」と。これは、実態論として非常によくわかる議論でありまして、厄介な問題ですけれども、何度も言っておりますように、そこが難しいからといって、全部こうしてしまえという議論はやはりおかしいのではなかろうか。

例えば、「全く対価性のない寄附と同性質の会費」というような定義をして、実際の当てはめで、どんな法律問題だって限界がある。特に会費は、よこしまな法人がいろいろと会費名目でやろうとすることはよくわかりますけれども、そういう場合には、例えば挙証責任を転換するとか、対価性がないことについて相手方に挙証責任を課することによって適正化を図る、といったような知恵も出るはずであります。前回も申し上げましたが、あいまいだから全部という考え方は、どうしてもおかしいというふうに思います。

5ページ以下は、まだ十分議論がなされておらないので、私がいろいろ議論申し上げたいところがあるのですが、6ページのロのところ、今、委員からも指摘がありました。ロの点は前回私が申し上げた議論でありますけれども、ここのところで私の基本的な考え方を申し上げさせていただいて、書き方を改めてほしいと思っております。

私は、もっぱら不特定多数の者のために資する事業である、それが公益事業であるというふうに思っておりますけれども、それを認定することはきわめて難しくて、そこで行政庁の裁量が入る、恣意的になるという非難が出てきております。そういう、時代とともに変遷する、しかし、基本的にはもっぱら不特定多数の者のために資する事業というのを、どういう面で客観的にとらえることができるのか。それが、今度の改革の基本的な作業であり、そこがうまくいかないと、いつまでもいろいろな問題は解決しないのではなかろうかと思っております。

それで私は、客観的な基準としては、寄附、会費--これから「会費」と言う場合、すべて寄附と同性質の会費ですが--助成金、補助金、行政の委託金、こういうものを投入しないとやれない事業、しかし、投入してでもやりたい、あるいは、やらなければいけない、そういう状況、それが公益事業の客観的なメルクマールではなかろうか。直ちにそれが即とはいきませんけれども、それでかなり近いところまでいくのではなかろうか。

要するに寄附をする側から言えば、不特定多数のためになる事業で、しかも行政もやらない、民間企業もやらない、しかし、これをやらないと環境がよくならないとか、困った人たちがどうにもならない、それで寄附しようというのが、寄附する者--寄附的な会費も同じであります。会費を出す者の気持ちであります。

それから、助成金、補助金も同じでありまして、助成金、補助金を出さなくてもその事業が営利事業としてやれるなら、そんなものを出すはずがないので、これを出さないと営利事業としてはやれない、しかし、やってもらわないと公共が困ると。だから、寄附金、助成金というのも公益性の具体的なあらわれである。

行政の委託金も同じでありまして、行政が税金で委託する以上は不特定多数のためにその事業をやってもらわなければいけない。自分のほうでやれないから、そちらにお願いする。これは、やはり不特定多数のための公益事業であるから、出すのであろう。

ですから、その事業自体が収益事業で、稼ぐ収入がある--まあ、全然ないところもありますが、その事業自体が稼ぐ事業収入と、先ほど申しましたような寄附金、会費、助成金、補助金、行政の委託金、これを足したもの、この両方の比率を見ていけば公益性がはかれるであろう。ぴったりではありませんけれども、かなりのところまで正確にはかれるだろう。例えば、寄附金等を合わせたものが事業収入と。これは、いろいろと調べて数字を言わなければいけませんが、大体の勘で言えば、3対7。3割は寄附金等がなければやれない事業だと。そういう事業をやっているとなれば、これは登録法人として認めて、あと事業収入で稼いでいる分、公益性が高いから税金をまけるということでいいのではなかろうか。

その比率が5割以上になれば、半分以上、寄附金とか助成金等にあおがなければその事業がやれない、また、やってほしいということでそういう金が出ているということになれば、非常に公益性が高くなる。逆に言えば、受益者が不特定で、受益者から金が取れないような事業になってくる。そういうものは寄附金等について優遇措置を設けるために、認定法人なら認定法人で寄附金の優遇税制をとっていいのではなかろうか。

だから、登録法人と認定法人を同じ一つのメルクマールではかって、2段階の税制上の優遇措置を決めていいのではなかろうか。それが、私の基本的な公益性についてのものの考え方であります。

もちろん、それだけで決まるわけではなくて、情報公開も必要ですし、寄附金が集まっても共益だったりする可能性がゼロとは言えない。そういう悪いのが出てきて寄附金を集める場合も、あり得ないとは言えない。だから、事業内容の適正という要件も必要でしょうし、コンプライアンスと言う人もいるでしょうし、租税回避かどうかという人もいるのかもしれません。そういった要件は、一旦、基本的な客観的な要件で公益性を判断した(これは国税庁ができると思うのですが)、その法人についての消極的要件として、例えば情報公開が不十分だとか、どうも事業内容が共益である疑いがあるとか、構成が親族が入っていておかしいとか、そういう消極的要件を客観的要件で認定したものの中ではねていく。そういうやり方で法人を客観的に決めていったらいいのではなかろうか。

ただ、このはねていくのは、おそらく国税庁は無理だろうと思いますので、それはやはり行政庁がやるしかないのではなかろうか。ただ、頭から行政庁が、この事業が社会福祉かどうか、公益かどうか認める。そういうことをしますと、非常に恣意的になりますので、はじめは数字で選び出して、そのあと、消極的要件で行政庁がはねていく。これで相当事務も簡略化できる、かなり客観的にできるのではなかろうか。

ただ、行政庁がやることについては非常に抵抗感もありますので、行政庁がやったものについて異議がある場合には、第三者委員会をつくって、非常勤の第三者委員会で、そこが異議を受けて、情報公開されたことによっていろんな告発等を受けて、適正かどうかを調べる。それだけの仕組みであれば、第三者委員会もほとんど人もお金もかからないでしょうし、そういうことで客観性を担保する。基本的に私はそういう仕組みがいいのではなかろうかというふうに考えております。

そういう仕組みで考えれば、その事業をやって全面的に儲けなくても、全くタダで奉仕するというのはおかしい。例えば、一般の営利事業にはお金を払えない人たちの家事援助をやったとか、移送サービスをやったと。全くタダというのは甘やかしになるので、ある程度の負担金を取る。あるいは、子供たちに芸術を普及するために公演を見せる。全くタダというのはおかしいので、営利事業が取るようなお金は取れないけれども、ある程度の負担金を取る。そういう負担金収入が、たまたま剰余金となって課税対象になっても、それは本来事業ということで課税しない。

そういう構造がいいのではなかろうかというのが、私の基本構造についての考え方であります。前回は、議論に応じて一部分申し上げて、それがここの文章になっていますが、もう少し基本的に書いていただきたいというふうに思います。

まだいろいろありますが、とりあえず、以上。

委員

委員に確認しておきたいと思いますが、この委員会をやっていて、なぜ、公益法人ですとか、NPO、それの税金を考える、本末転倒のような、何となくおかしい印象を持つんですけれども、委員が今言われた寄附金や会費、これを非常に心配されておられることはわかるのですが、寄附金と会費、それと、ある程度の収益の事業で社会貢献活動を行うと。

その場合でも、やはりなおかつ税金を取るような所得が残るのでしょうか。ずっと前からよくわからないのは、お金がないから寄附金をもらってくるわけですね。それで事業をやったら、所得なんか残るはずないのに、なぜ課税問題を我々が議論しなければいけないのだろう、と。委員が言われているのは、非常に理想的なすれすれのところでやっているNPOを頭に描いておられるのかなと思うのですが。それとも、そうではなくて、ほとんどのNPOはこういう形でやっているんだと。

委員

実態から言いますれば、ほとんどのNPO、つまり、大変貧しくて心意気だけ持った連中が集まってやっているようなNPOは、私が申し上げたような実態であろうと思います。だから、寄附というのは非常に大切で、寄附、会費を集めるのですけれども、それだけではとても事業は行えない。だから、従事する者は、例えば役員とか、かなりの者が無報酬。あるいは、ほんのわずかな生活費だけ。従業員、職員も、労働基準法から見たら問題になるような報酬でボランティア的にやっている。そこの部分で何とか事業がやれるようになる。

しかし、それでもまだ大変難しくて、少しでも受益者負担が可能であれば、受益者負担する。これは、単に財政上の理由だけではなくて、相手方を甘やかさない。だから、可能な限りの負担はきちんとしてもらうのは当然。だから、あなたは営利事業には頼めないでしょうけれども、負担できる分は負担してくださいと、そういう構造で負担金を取ってやっております。だから、そのときにはその負担金のほうが……。

寄附収入はそんなに集まらない、会費もそんなに集らない。しかも、職員の給与がほとんどない。そこの出費がないために時には剰余金が出ることがある。これは大変にうれしいわけで、よかったというので、これで無理に寄附をお願いせずとも、何とか事業を続けられるか、あるいは広げられるか、と。そのあたりのところで、今、多くのNPOが呻吟しているといいますか、奮闘しているわけであります。

ですから、これがもっとしっかりしていくと、公益性が認められる。特に課税問題が生じるようなところは非常に少なくなってくる。だから、私の意見は非常に厳しい意見ではないかと思います。今までの法人でも、ぼやぼやしているところには非常に厳しい意見ではないかと思いますが、私は、理屈としても実態としてもそのあたりがいいというふうに思います。

委員

どうぞ。

委員

二つに分けて、これを議論したいんですよ。ペーパーの2ページまでは、ここに来ていらっしゃる内閣官房行政改革推進事務局に対する設問なんだね。僕はこの前、同じことを言ったんだけれども、そもそも、今ごろになって、同じような陳情なり意見表明をいたるところでやっているわけだ。なぜ、いろんな傷を負っている公益とNPOをごった煮にしたのかね? というところがまずあってね。

この一連の議論に対する第一の異議申立ては、猫もしゃくしも一緒にしたということなんですよ。1年間勉強したから、どうしても曲げられないと事務局が言うなら、それはそれで勝手だけれども、しかし、問題はうんと残るぜ、そんなことで頑張っていれば。内閣官房のほうが。おかしいんだから、これはどう考えたって。常識的に考えればね。この異議申立てというのをもっと真っ当に考えてもらって、「そうか、思わざる反撃に遇ったな」と、素直に考えてもらえばいいんですよ。

2ページ目の一番下に、「したがって、本報告書は、このような意味で現段階における中間的な整理」と書いてあります。中間的であるということは、最終的でも何でもない。このメンバーだっていろんな議論があるわけだから、ほかにもいろんな議論があるわけですよ。僕のところにもたくさんいろんな意見を言ってくる。そう考えると、これは案外大きな設問かもしれないんですよ。つまり、異議申立ての一段階はここにあるんです、ひっかかるのは。

二番目は、税金の話です。僕はいつか、冒頭に申し上げたことがあるけれども、原則課税かどうかという議論は、勝手にやってください、神学論争に近いようなこともあるし。それから、「原則課税」という言葉、この漢字の4文字はものすごく誤解と反発を生む言葉なんですよ、実態抜きに議論で来るから。税法上は、この言葉の使い方をよっぽど気をつけないといけない。やたらと反発、やたらと感情的な誤解、偏見、全部生んでくるんだから、この言葉自体が。だから、それはあまりこだわらない議論をやりたいなと思ったんです。

今、委員が言われたことは、6ページのところですよね。僕は、なるほどなあと思って聞いていて、先生の意見をこの中に書いてあるんだけれども、つまり、原則がどうでこうでというよりも、実態的に踏み込んだことをおっしゃっているわけだ、実は。先生の言われたことは、今日、初めて聞いたんだけれども、それをここに盛り込めばいいんですよ。そういうルールなんだから、審議会というのは。しっかりと先生はおっしゃった。それに対していろんな議論があった。それは当たり前ですからね。誰の意見がオールマイティで、あとは全部頭を下げて従ったということはあり得ないわけだから。

ただ、先生の言われたことは、たしかにそういう考え方もあるな、というわけだから、それをもっと精緻に書けばいいんですよ。一向に構わない、そんなことは。それに対する反論、批判、あっても構わない。それをやるのがフェアなんです。ねえ。

委員

はい。

委員

そういうようにしましょうよ。つまり、二重の異議申立てがあって、入り口でのつくり方、それはまたあとで行革のほうから話を聞きたいけれども、もう一つは税金の話。要するに、ここまで来たら実態の話をやりたい。実態に即した話が盛り込まれていれば、あとあと、この答申はいろんなところでいろんな反響を呼ぶんですよ。今日ただ今、決まるわけでも何でもないんだ。長い時間かかってまた練っていくわけでしょう。今までは団体からの批判だけど、国会で出てくるんだから。与野党、いろんな思いの方がいらっしゃるわけだから。間違いなくこれでもめるんだからね。

それを考慮してみれば、我々はそれも全部わかってました、というスタンスでまとめたほうがいいと思いますよ。いろんな意見があったことを、全部ピシッと書いておけばいいんですよ。と思います、私は。

委員

ありがとうございました。そういう方向で両説書いておりますけれども、もうちょっと強調するところは強調するなり、詳しく書くところは詳しく書く、そういうことにしたいと思います。

あと、いかがでしょうか。

委員

今、先の委員、別の委員がおっしゃったことと少しニュアンスが違うと思うのですが、私は、正直言いまして、このポンチ絵の右側の図で言うと、ある委員がおっしゃっているのは--中間法人が入ったという別の委員の話もあるんですけれども、その話をおいておくと、いわば右側の図の縦線をなくしてしまえ、全部免税にしてしまえ、ということなんですよね。それは、今の公益法人の実態を見ていると、ちょっと無理があるのではないかというのが私の正直な印象でございます。

むしろそれよりは、線をできるだけ右に持っていって斜線の部分をもう少し広げる。とりわけ、行政庁の裁量でもって線が左に来たり、斜線が小さくなったりすることをできるだけ避ける、そういう仕組みを、我々として今度のワーキンググループ報告の中に入れ込んでおく。それのほうがはるかに悪い法人が入ってこないし、いい法人にとって実利もあるし、というやり方ではないかなというふうに私は思います。そういう方向で、私自身は読んでいてこういうことに気がついたので、私の意見は、むしろこういうところを強調したらどうかということを申し上げたいと思います。

そういう意味で現状の公益法人の問題を考えると、原則という言葉を使っていいのかどうかわかりませんけれども、原則は課税にしておくほうが、それを排除する意味ではいいのではないかと思うのです。そういう意味で事務局原案には基本的には賛成です。

ただ、原則課税にしているんですけれども、では、非課税のためにはどういう条件が必要かというと、二つ、要件が必要なんですね。一つが、法人要件でも非課税要件が入ってくる。もう一つは、事業要件に関しても非課税要件が入ってくる。ここで、行政庁の裁量は非常に厳しく、狭く、要件を絞られる可能性があるので、それが逆に言うと、よい法人にとってはきわめてつらいところがある。それは先の委員がおっしゃっていることではないかと思います。そういう意味で言うと、この行政庁の裁量を、いかにうまく、よい法人について外していくかということがきわめて重要ではないかと思います。

今の時代の流れということを考えてみると、そこは、行政庁の認定とか登録のところでの裁量を、事前チェックでやることをやめて、できるだけ事後チェックの方向に持っていく。しかも、透明性を持った事後チェックの方向に持っていくことを考えたほうが、私は、ある委員がおっしゃったことも含めて、大局的に考えると、よりベターな解決方法ではないかというふうに思います。

具体的には、どういうところに私は現状で不満を感じるかというと、例えば5ページの下から5行目ぐらいに、組織運営に関する[1]から[4]までの要件の判定を書いています。ここでは、「原則としてその法人の過去数年間の実績により行うことが必要である」と書いてありますけれども、こういうことを「原則として」と言ってしまうと、数年間、登録法人とか認定法人にならないままにまず活動した上でないと、認定登録をさせてもらえないということに、悪く言えばなりかねないので、こういうところは、最初の1回目はそういうことは要らない、「2回目以降は」とか、きちんと書くべきだと思います。

あるいは、8ページ、9ページぐらいにいろいろ事後チェックのことは書いてありますが、事前チェックはむしろ減らしていって、事後チェックをもっと増やすべきだということを、強調して書くべきだと思います。例えば9ページの上のあたりにいくと、登録を受けつける際、登録主体の判断と課税の判断をどうするかというところで、「登録を受け付ける際の課税当局への事前協議の仕組みを設ける」とか、ポツの三つ目だと、「課税当局が登録主体に対して登録の取り消しを請求できるような仕組みを設ける」とか、悪く言えば、課税当局の言いたいことばかり書いてあるわけですね。

こういうところに関しては、むしろ法人の側からも課税当局に対してきちっとチェックができるように、例えば行政庁側の判断基準についてもきちんと公開する。その上で、法人側からの異議申立てがスムーズに動くような仕組みをつくったらどうかとか、そういうことをおっしゃるべきではないかと思います。

あるいは寄附税制に関しても、10ページの上の第二パラグラフに、「また、寄附金についての税制上の優遇措置は、寄附金を受ける法人ではなく寄附を行う多数の個人・法人に対して講じられるものであり、事後的に法人のチェックを行うことで適正性を担保できるものではない。だから、適正性を事前チェックにより確保しなくてはならない」というふうに書いてあるわけですが、私は率直に言って、この論理がよくわからないです。

例えばイギリスとかアメリカでは、さっき事務局がご説明になったところですが、まさにこれは贈与で欧米もやっていて、それできちんと運用していて、しかも、日本よりはるかに多額の寄附が免税法人に対して行われているわけで、そういう形で適正性がアメリカやイギリスは担保できていると思うんですね、事前チェックをしていなくても。だから、こういうことは要らないし、むしろこういうことは削って、事後チェックが必要だ、事後チェックにできるだけ重点を移すべきだ、ということを強調されるほうがいいのではないかと思います。

最後に一点、そういった上でですけれども、そうはいっても、悪い法人といいますか、そういう法人もいなくはないと思います。ここで一貫して抜けている考え方として、一遍認定したら、一遍登録したらもうおしまい、という考え方ではなくて、何年かごとにきちんと見直すという仕組み。いわばサンセットですね。法人の登録とか認定はサンセットであって、最初は別ですけれども、そのあとは見直していくんだということを、きちんと書き込まれたほうが今の時代の流れに沿っているのではないか。例えば独立行政法人もそういう形になっていますけれども、そういうことをむしろおっしゃられたほうがいいのではないかと思います。

委員

ありがとうございました。

どうぞ。

委員

今、最後のほうで言われたことはいいんですけれども、つまり事後チェックの場合には、8ページの3の(3)のところで、「適正な公開基準を定める」と。この場合に大事なことは、さらにこれを強調しなければいけないのは、非課税事業と課税事業とで勘定をきちっと分けた決算書をつくらないとダメなんですね。

その上でさらに言いたいことは、先ほどの委員の意見も含めての流れですが、法人というのは、座長がちょっと前提条件を言いましたけれども、収益事業というのは、NPOであろうが株式会社であろうが、ここは同種・同等なんですよ。だからこそ、非収益の部分とか、公益性を担保するために損金算入20%とか、そういうことをきちんと入れているわけであって、収益事業そのものに対しては、課税しなければ……。課税するというのは、僕が言ったのは、きちんとした決算書をつくらないとダメなんですよ。これをやらないと、作りませんよ。前回、僕は説明しましたけれども、国土交通省系の公益法人がありましたが、作ってないです。非収益と収益の境目がない、そういう収支決算書しか出してないんですよ。ですから、収益事業というものには区別はないんです、収益事業そのものについては。

そもそも疑問を出しましたけれども、そんなNPOなんか儲からないですよ、基本的には。いいですか。日本の株式会社を含めて商法の法人だって、3分の2は税金を払ってないでしょう。そうでしょう?つまり、儲かっているところなんか少ないですよ。そこだけが税金を払ってるんですよ。

ところが、同種・同等の事業で、逆差別で税金かけないこととすると、そこは必ず利益が出るんです。通常は一生懸命働いても3分の1しか利益を出せないのですから、NPOは本来そんな利益は出ないんですよ。しかも20%損金算入で、30%内部留保まで認めて、寄附には賛成なんです、うんとやるのは。それで認めていけば、全然問題ないですよ。

委員

どうぞ。

委員

帳簿をしっかりつけなければいけないというのは私は大賛成で、本来事業を非課税と言ってますから、むしろ事業単位できちんとつけもらわなければ成り立たない。そこのところは賛成ですけれども、収益事業という点において、NPOであろうと、営利法人であろうと同等であるというのは、ある面を見れば、例えば家政婦業と家事援助事業は形式的には一緒。もっと言えば、移送事業、お年寄りを車で病院に連れて行ったり、これはタクシー事業と形式的に一緒ですよ。

だけど、なぜそれをNPOがやるかというと、タクシーには乗れない、それだけのお金を払えない、それならやめておく、そういう人たちがたくさんいる。しかし、そういう人たちを放っておけない。ずっと家にいたきりで墓参りにも行けない、どこへも出ない。それでいいのかと、我々が何とか連れ出そうとする。それで、タクシー類似事業ですけれども、形式的にはタクシーと一緒ですが、やる。しかし、そのときに全くタダではなくて、ある程度負担できる分ぐらいは負担してもらいましょう、と。相当安い金額ですよね。

これは、家庭内のいろんな掃除であるとか、生活補助も同じで、家政婦さんなんかとても雇えない。介護保険でもやれない部分がたくさんある。しかし、放っておけない。そこを、例えば1時間600円とか500円とか負担してもらうけれども、我々NPOがやりましょうと。そういう人が相手では営利事業としては成り立たない。営利事業にのってこない人たちですよ。それをNPOだからやれる。

なぜやれるかというと、やっている人が、ボランティアでお金は要りません。あるいは、役員たちはほとんど月給もない。それでやれる。そういうときに相手から一部負担金を取っています。これを役員等に全部払っていったら全然利潤は出ないけれども、この人たちに払わなくて済むから、ある程度の剰余金が出る、よかったというので、電話を買ったり机を買ったりするわけですよ。それに税金をかけるのはおかしい、こういう話なんです。

委員

それは、普通の会社で言えば経費ですよ。机を買ったりする経費で、大体赤字になっちゃうんですよ。だから、3分の2は黒字でないわけじゃないですか。

委員

だから、翌年度に買うわけですよね。

委員

それを30%認めているわけですから。普通の会社だって、そこはやりくりしてやっとですよ。それだけのことで、今おっしゃったのは地域格差とかいろんな問題も入ってくるから、それは賛成ですよ。だけれども、当然、安いお金でも動くわけでしょう。動いて、それは基本的にはほとんど利益出ないじゃないですか。利益が出ても、基本的にはNPOの働いている人に賃金を払うのは当たり前じゃないですか。それで払うと、黒字になんかなかなかならないですよ。そうすると、まず税金はかかりませんよ。

委員

「払うといい」という議論がすぐ出るんですけれども、払ってしまうと、やっている人たちの心意気がなくなるんです。ここが、なかなか理解してもらうのは難しいところなんだけど、自分は世の中のために安い賃金で、あるいは、ボランティアとしてやっていると。だから、一生懸命彼らはやるわけで、これ、金儲けのため、月給をもらうためにやっているとなると、ほとんどのNPOをやっている連中は抜けてしまいますよ。そこが、人は金儲けのためにやるんだ、払ってしまえばしまえるんだ、という議論が実態をつぶしてしまうところなんですよね。

委員

いや、委員のおっしゃることは僕は全然反対していない。ただ違うのは、安い給料でも普通の給料をもらってNPOは仕事をするんです。だから長続きするんですよ。つまり、自分を犠牲にしているのではなくて、一定の賃金をもらってNPO活動をするんですよ。それが外国の事例ですよ、基本的には。それを無理して、必死で自分の身を削ってやったら、長続きしないんですね、これは。

委員

アメリカみたいにやれるようになったら幸せなんですが、今、日本はそれで長続きしているんですよ。うちなんかも半分以上はボランティアで一生懸命やってくれています。ですから、今の日本の実態は、NPOの給与体系、働く動機が違うのだと思います。すごく高い月給をもらっている若い人たちが生活費だけで飛び込んできてくれますので、そのあたりが、今、NPOの原動力になっているのだと思います。

委員

それはおっしゃるとおり。だから、一定の賃金は払うんですよね。結局は、ほとんど黒字すれすれというか、赤字すれすれというか、そういう状態にちゃんとしたNPO法人はなるんですよね。したがって、そのNPO法人が税金をうんと払うという状態は、普通にやっていれば、ほとんどないわけです。普通にやっていないところが、今、問題になるんですよ。

その辺の社団・財団法人と、委員のところは全然違うわけだけれども、しかし、社団・財団法人は、僕がいろいろデータを出しましたけれども、大変なお金を貯めたり、収益事業をやったりしていて、それが課税の対象になっていないという現実がある。だからこそ委員の批判の目はそちらに向かなければいけないわけでありまして、その悪い遺伝子を、新しい未来を担うNPO法人に移植させてはならないわけです。

したがって、そういう社団・財団法人の、不当な収益事業で利益を確保しているところ、たくさん貯めているところをやめさせると同時に、新しいNPO法人がそれと違う形で突っ走っていかなければいけないという意味で、きちんとスタートラインをそろえなければ、ということを申し上げているので。

委員

両委員、11日の次回、ご出席できないので、今日どうしても言いたいことは言っておいていただかなければしようがないので、お願いいたします。

委員

ありがとうございます。今、委員のおっしゃったこと、私は全く賛成です。内部留保金、一定以上のものは、これは、いかがわしいところであろうとみなして課税する、それも賛成しております。最後、分配するときには課税しなければいけない、これも私は賛成しております。第一、認定要件を客観的にする。さっき言ったように、寄附や会費等がどれだけ集まっているかという比率で第一関門をはねると、それ自体が、非常に大きないかがわしいところをはねる要件になる。そして、継続して同じ要件が維持されているかどうか、寄附、会費、補助金、助成金等がきちんと入っているか。それを見ていけば、おかしなところは落ちていく。だから、そういった要件で落とせる。

それから、もう一つ大事なのは、収益事業を一般的定義にする。これも非常に大きいと思いますので、そこできちんと落としていけばいいだろうというふうに思っています。

委員

要するに、ヨーロッパ、アメリカでのNPOというのは、僕も昔、若干取材したことがありますが、実に安定的に立派なオフィスを持って、きちっとそれなりの報酬を持ってやってるわけだ。しかし、そこに来るまでにものすごい時間がかかっていると思うんだね。時間の尺度を入れないと、いきなり横を輪切りにしてやったのでは、実態にそぐわないと思うんですよ。これ、あまり異論を言いたくないんだけど、それはそうだと思うんだね。だから僕は、そもそもこんなものを一緒くたにしたことが間違いだというところから出発するけれども、それをしようがないとするならば、やはり過渡期の対応というのはあってしかるべきではないか。

委員は、公益法人の出来の悪いやつをさんざんぱら個別具体的なケースで知ってるわけだ。それがいつも頭にあって言われる。それはほとんど説得力があるんですよ。しかし同時に、NPOの委員がおっしゃったようなことも、日本ではまだある。20~30年前のイギリスとか、40~50年前のアメリカということだと思うんだね。宗教をバックにしたということで、全然違うわけだから。

それを考えると、何かもうちょっと好意的な配慮が……現実の運営の面においてね。全く一緒くたにするならばしようがない。ここを変えてくればまた別ですよ。変えたらいいと思うけれども、そういう配慮があってしかるべきだと思うけどね。

委員

はい。

委員

非営利法人の一本化について、前回もご指摘がありまして、今日のペーパーの1ページの(2)というところでも、一本化に対する懐疑的な意見が列挙されていると思います。

ただ、ここで出ていますのは、法人格取得の問題だということをまずご理解いただきたいと思うのです。法人格を取得するというのは、従来は特権的な付与だったかもしれないけれども、もっと技術的にとらえていいのではないかという見方が強くなっている。もちろん、それに対する批判はあるわけですけれども、財産管理のための技術的なものであって、もし問題があればそれは別途手当てすればよい、そんな考え方が強くなっているわけです。

そういう法人格についての見方と、一方で、非営利活動を積極的に位置づけようと。これは去年の閣議決定でもそうなっているわけですが、理屈を言えば、これも前回申し上げたわけですけれども、従来の企業取引であるとか、ビジネスの世界とは別の世界も世の中にあるのではないか、それをもうちょっと積極的に見ようではないか、と。それは、背景としては高齢社会ということもあると思うんですけれども、学界でも10年ぐらい前からそういった考え方がだんだん広まっていまして、前回申し上げたあまり耳慣れない言葉で、外国の学者の言葉の翻訳ですけれども、「生活世界」というような言葉がある程度認知されているわけです。そういった日常生活の中で、ボランティア活動だとか、地域活動だとか、スポーツとか趣味とか、そういったことを、公益性がある、ない別にして積極的にとらえようと、そんな見方があるわけです。

もちろん、非営利団体といっても、業界団体だとか、職能団体だとか、そんなものもあるわけですけれども、しかし、私益ではない社会活動という意味では共通性があるわけです。要は、ビジネスとか私益以外の、民間の活動を積極的にとらえよという考え方が、法人格の取得という面では共通して考えられるのではないか。それは理念の問題ですから、そのあと法人類型を一本でいくのか、複数にするのか、あるいは税をどうするのか、これは別のレベルの問題になるわけですけれども、少なくとも第一段階として非営利法人としてまとめて見るという見方は、全く根拠がないわけではないということは申し上げておきたいと思います。

委員

それはわかってるんですね。僕は委員とも、NPO活動を活発にしましょうと対談をしているんですから。それはそれでいいんです。今、なぜ税調でやっているかということなんです、問題は。おっしゃるとおり、それはそのとおりだから、それでいいわけですよ。税調でやっているということは、今まで税調で、公益法人を含めたこの問題が機能していなかったということ。そこが一番重要なんですよ。ですから、先ほどから言っているように、内部留保がどのくらいかとか、具体的に軽減税率はなくていいのではないかとか、そういうことを決めればいいわけです。そして、委員のいろんな寄附の提案なんか、僕は寄附のことについては賛成ですが、そういうことをきちっと決めればいいだけの話なんですよ。

それから、僕は前から言ってますけれども、33業種の収益事業、それしか限定していなければ、それ以外は全部収益事業ではないと認定されていること自体が、おかしいと言ってるわけです。それを税調でなぜ決めないのかと言ってるわけですよ。これ、税調の役割ですよ。それをやらないでこのままNPO法人の問題に移行してしまうならば、先ほど言った悪い遺伝子が移植されてしまうから、やはりここで決着をつけておかないといけないということを言ってるわけです。

したがって、33業種の問題も、「適宜増やしていく方向で対応する」ときちんと書き込まないと……包括的にやるということでもいいんです。それはネガリストもいいし、ポジリストの場合はポジリストでもっと加えていく。言い方を厳しく言ってもらわないと、さっきのページ、どこだか忘れましたが、見ればわかりますけどね。最初のときに言い残したのであれですが、6ページの一番下のところ、例えば33業種としていろいろあるということで、「アンバランスが生じている」と書いてあります。したがって、「課税となる事業について33の事業をさらに広げていく方法もあるが」と。「さらに広げていく」より、時代に合わせてこれをきちんと増やしていくということ、さらには、包括的に見る方法もあるということを、具体的にここできちんと書き込まないと、今、ここで税調を開いている意味がなくなってしまいますよ。

それから、僕がさっきから言ってますように、課税と非課税をきちんと分けて勘定をつくりましょうと。それはそれでいいわけですよ。本来の公益的な部分はあるのだと、それを認めているわけです。だけども、そう言われて今まで来ながら、全然帳簿もつくっていないというのが現状だったということで、まずそれをやりましょうと。当たり前だけど申告しましょう、ということですよね。

僕なんか本気でちょっと思っちゃいますよ。僕の作家活動をNPO法人にしちゃおうかなって、本気で思っちゃいますよ。だって僕、税金を払ってますけど、かなり公益的な部分があるんですよね。いや、ほんとに。道路公団民営化委員会は赤字ですからね、僕。そういうことをきちんとやろうと思っちゃいますよ。

さらに言いますと、たまたま今朝来ていた『サンデー毎日』を見たら、どなたが書いたか知りませんが、「NPOの仮面を徹底告発する」、「被害者支援を装うヤミ金追及」とか書いてあるんですけれども、これなんか本来はまさに委員のテーマだと思うんですけどね。こう書いてあるんです。ある暴力団関係者が、「NPOは聞こえがいいし、赤字でも構わないのだから隠れ蓑に最適だ、まさに我々のためにできたような法律じゃないか」(笑)と言ってるわけ。

そういうことにならないようにするために、NPOを本当に育てるのであれば、税金のところをはっきりさせないと、これは大変なことになります。こういうところからオウム真理教は発生しますよ、必ず。宗教法人の問題はやめますけれども、ただ、同じですから。こういうところから発生しますから、絶対にここのところは……。税調は課税がテーマなんですから。課税がされていないところに対して、どういうふうに本来の筋を通して課税し、しかも、本当に例外は何かということをきちんと決める。これが税調の場ですよ。

だから、行革推進事務局のほうはそっちのほうでいろんな問題を提案するけれども、ここで投げられた球は税金の問題なんですね。そこでちゃんと球は返すべきなんです。

委員

どうぞ。

委員

税調の問題というのはおっしゃるとおりでして、そこは認識しているのですが、二つの問題を分けて理解しておいたほうがいいだろうということなのです。

一つは、法人制度の改革に伴って、これからどういう構造にしていくかということに伴う税の問題。もう一つは、現行法のもとでも発生している、法人制度のいかんにかかわらず発生する税の問題と、二つあると思うんですね。そこを区別しておきませんと、議論が非常に混乱してしまうのではないかと。そこだけなんです。

委員

ありがとうございました。現行を変えるという前提で話をしないと何にもならないのですけれども、ただ、どういうステップで進むかまだわからない。少なくとも3月の大綱ということなので、ある程度幅を持たせておかなければいけないのですが、委員がおっしゃいますように、きちっとするところはしたいと思いますので、我々のほうで用意させていただいた、法人組織としての要件と事業活動の要件、こういったところにご意見をいただけるとありがたいのですが。

寄附金、会費のほうは、実際の立法化のときにそれなりの対応をすることになると思いますけれども、寄附金、会費、さらにみなし寄附金制度を設けて、なおかつ利益留保の30%程度を認めると。それでもなおかつ、NPOというのはうまくいかないものなのでしょうか。

委員

まず、それだけ寄附金が集められるかどうかの大問題に遭遇するだろうと思いますね。座長のご発想は非常によくわかるのですけれども、全部寄附に頼る活動というのは、頼らざるを得ない性質の活動もありますけれども、これは行政と近い抽象的な活動で、受益者が非常に一般化している。

うちのボランティア活動を広める財団はそういうところで、金を取れないですから、寄附金と会費と同等でやらざるを得ないですが、一般の環境をやっているところ、NPO、NGOをやっているところ、海外をやっているところ、子供をやっているところ、お年寄りをやっているところ、不特定多数ではあるんですけれども、受益者がサービスの対象として登場します。これを一方で、甘やかさない、やれることは自分たちでやってもらって、自立支援するという形で活動を展開する、そこを追求しているわけです。ですから、サービスすればいいというものではない。あなたがやることはあなたでやってください、そして、あなたが払えるものは払ってください。それでだんだん払えるようになって、営利法人になっていけるならば、それはそれでいいわけです。

その過程のところをやっているわけで、負担金みたいな形でいただくんですよね。それがだんだん成功していくと、その分が多くなっていって、年度によっては剰余金が出るんです。あるいは、何年か続けて出るようにもなっていく。そうすると、それはそれでしっかりした分野で独立していくわけです。ですから、寄附金だけで済むではないか、税の問題にならないではないか、というのは違うと思うので、そこのちょっとした税金が非常に大きいということをご理解いただきたいのですが。

委員

でも、委員のところ、税金かからないよ、はっきり言って。

委員

いわゆる本来の収益だけれども、寄附金の枠に20%ぐらい入れます、利益留保があれば30%認めますと。こういう線を出しているんですけれども、それでもなおかつNPOは困るのかな、ということなんですね。

委員

ちょっとすみません。論点はそこではないと思うんですよね。要するに、ある委員がおっしゃるほどちゃんとしたNPOであれば、当然、本来の仕組みであれば非課税にしましょうということになっているわけです。だから、そこにあまりおこだわりになってもしようがない。むしろそこがあやふやなところが、座長が言うみたいに危ないから、これはちゃんとしましょうと、そういうことなのではないでしょうか。理論のための理論になって、時間がもったいない、私はそういう印象を持っているんですけどね。

委員

委員のところなんて、源泉徴収された税金については還付申告したら、かえってお金が返ってくるんですよね。そういうのが多いですよ、NPOで。だから、課税だけはきちんとしてもらうけれども、返してもらう。実際そうですよ。今どき、3分の2が赤字のときに、NPO法人が黒字になるなんていうのは変なところしかないですよ。

委員

現状の認識は今ぐらいでおさえまして。

先ほど論点はそこではないと言われましたが、そうすると、我々が用意した要件を議論する必要がなくなってしまうのですけれども、私としては、ぜひとも話をしていただかないと困るのですが。

委員

別に議論するなということではないですので。

委員

4ページ以下、これについて何かご意見……。特に異論がないということでしたら、それでよろしいのですけれども。こういうのをつくってみたということで、これが本日の中心的な議題ですけれども。

委員

あと一つだけ、第三者機関というのは、登録主体というか、確立した独立性を担保する仕組みをきちっとやってもらわないといけない。

委員

そうですね。これは内閣官房の動きが関係しますけれども。

それから、先ほどから話が出ていますが、7ページの「[4]軽減税率」、これは税制調査会答申でずっと指摘されてきているのですけれども、何か事務局のご意見ありますか。

どうぞ。

委員

委員から、所得計算としてのみなし寄附金の話と税率の話が並んでいるのは、違和感があるというご指摘がございました。これは、報告書はそこまではいってないのですが、「本来の姿である」というところに万感の思いが込められておって、いわば収益事業に対して限定的に課税をする。その課税所得の計算上、公益性に配慮してみなし寄附金の制度も設けてあります。したがって、残る所得については税制上何ら配慮する必要はないではないか、そういう考えの流れなのではないかと私は想像したんですけれども。

ですから、「本来の姿」というところをもう少し言えば……。本来の姿だから、なくてもいいというご指摘もございましたけれども、しかし、軽減税率という制度が現にありますので、一言だけは言わせてもいいのではなかろうかと思うのですけれども。

委員

これは絶対やめたほうがいい、はっきり言って。だって、その前に「20%損金算入できる」とあるでしょう。これをやったら、日本の企業はみんな税金を払わなくなりますよ。そのくらい損金算入20%というのはすごいことですよ。大変なことを認めてるんですよ。それで十分みなし寄附になりますからね。

委員

私は、軽減税率は、別の委員がおっしゃるみたいに残して、軽減税率の最後の2行が要らないと思うのです。つまり、基本税率に統一しろと書いてあるわけで、これはまさに委員がおっしゃりたいことで、最後の2行が入るから混乱してくるんですね。こんなものは要らない。「仮に軽減税率を設けるとしても」なんて文章は要らないと思います。この2行を取ればいいだけのことだと思います。

それから、さっき座長がおっしゃった5ページ目の4点ですけれども、私は、1カ所、非常に気になっていることがあって、[2]の内部留保の制限のところの第二パラグラフです。「内部留保が無制限に認められる場合、給与やフリンジベネフィットという形での実質的な利益分配を行うことが可能となり」と書いてありますが、別に内部留保を認めなくても、給与やフリンジベネフィットの実質的な利益分配は可能なんですよね。

KSDとかそういうことも考えると、給与やフリンジベネフィットみたいな実質的な利益分配をやめさせることがかなり大事な論点になるはずで、これが内部留保と並んだ柱として立っていないことのほうに、むしろ違和感をおぼえています。そういう意味で言うと、[4]の組織運営・事業活動の適正性とか、経理の適正性とか、ここら辺をもう少し格上げして、ちょっと強調していただいたほうがいいように思います。

委員

賛成ですね。変な保養所とかいっぱいつくっちゃってるんですよ。

委員

内部留保がないと、給与やフリンジベネフィット、出ないんですよね、その年に。

委員

収入がたくさんあって利益が出るときに、それを事実上、給与につけてしまうことは可能なわけですね。

委員

いや、今考えていたのはNPOですけれども、ある委員が提案される型の非営利法人を考えてみますと……。まあ、ここはいいでしょう。

委員

内部留保と別に立てたほうがいいというのは、別の内部留保みたいなものだから、ということですよ。

委員

立てますと、いかにも非営利法人儲けてるな、ということですね。

委員

実際儲けてるから、今の公益法人は。一番最初に言ったのは、その認識が浅いというのは、いっぱい儲けてるんですよ。大変なことをやっているわけです、儲かっちゃって。そして民を圧迫しているわけです。だからこそ、そこのところを厳しく見たほうがいいと。内部留保30%でも、うんとおまけして言ってるわけですよ。それともう一個、内部留保が二つあるみたいな感じになるから、今の委員のお話は。そのとおりだと思いますよ。

委員

ここで言っているのは、いわゆる利益分配、後ろにつながってきますけれども、同じことが、フリンジベネフィット、給与、出てくるんですよね。

委員

ちょっと検討いたします。

それで、一番困るのは(1)の[1]「事業活動の公益性・公共性」。これが非常に大切ではあるんですけれども、先ほど「行政の裁量」ということが出ていました。今までは、主務官庁が判断するなり、都道府県が判断するということで、それをそっくりそのまま課税にのせていたわけですけれども、租税については裁量というのは許されませんので……。どっちにしろ、法律にするときはもうちょっと変えなければなりませんけれども、そこがちょっと難しいんですね。最初で最後の問題なんですけれども。

委員

今、座長が、租税には行政の裁量がないとおっしゃったことの意味がよくわからないのですが。

委員

租税法律主義の一番基本の話ですが。

委員

法律上はそういう文言があるだろうと思いますけれども、実態として、裁量しなければ執行はできないと思うんですね。

委員

そういう話はやめてください。実態がどうのというのは困るんですよ。

委員

どうしてですか。だって、実態を議論しなければ。まさにこれは実態の話でしょう。

委員

実態はいいで、制度を議論してしまったら、これ、動かないですよ。法律をきちっとするというのがあれなんだから。

委員

むしろ実態が法律では動かないということをきちんと議論して、その上で、それは……。

委員

どこで議論するんですか。

委員

議論しても、しなくてもいいですが、それを認めて、その上で、最終的に裁量的なところをどこがどう担保していくのか。今までは行政庁がきちんとやってきたわけだけれども、行政庁ばかりに任せていくと非常に狭く判断されるから、そこをどうしましょうか、ということをきちんと考える必要があるのではないですかということが、さっきから私が申し上げているつもりのことですけれども。

委員

座長のおっしゃっていることは我々の世界では当たり前の話で、実態は実態として、社会学的とか経済学的に、経済的効果として分析はあるのでしょうけれども、制度を組むときには一応タテマエでいって、それがそのとおりいくかどうかについては、何か問題が生じたときに、紛争解決の手続きをどうするかというようなことなのだろうと思うのですが、ただ、委員がおっしゃったことは本当はポイントなんでしょうね。

ここは、ある委員がおっしゃったあれですが、ある種手続き的に解決するというのか、立証責任を納税者側に負わせて--負わせるといっても、要件を決めなければ負わせられようがないのでしょうけれど。

委員

そうなんですよ。

委員

そこが厳しいんでしょうけど、でも、何か一定の列挙をしながらそういう方向で、というのができれば一番いいんでしょう。抽象的なものをいくら並べても、訴える手続きがないと厳しいのは厳しいですよね。例外と原則、そこが……。

委員

公開の義務づけというのをきちっとやるということですね。

委員

そうですね。それで例外を……。

委員

ちょっといいですか。今、行革推進事務局も来ているからあれします。この前もちょっと言いましたけれども、「公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会申し合せ」というので、インターネットにおける公益法人のディスクロージャーをやったんだけれども、実施率は非常に低いということ。それから、ただホームページをつくればいいんだろう、だけのやつもいっぱいいたということがあった。

それから1年前に、「公益法人に対する国の関与等を透明化・合理化するための措置」、これは「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」閣議決定があるわけですね。これで、補助金とか委託金をもらっている社団・財団は、内訳をきちんとホームページに公開するよう指示が出たということなんだけれども、基本的にそういうお金は今までは決算ベースでしかわからないようになっていたからね。

いずれにしろ、NPO法人もすべて公開義務を徹底するということで、課税庁のほうから迫っていくのと、自分から、市民というか、国民、第三者に公開してちゃんとチェックを受ける。この両方をきちんとやらないといけないですね。それをきちんと書き込まないと。

委員

時間が迫ってきてしまったのですが、内閣官房の室長、先ほどちょっと法人問題が出ていますけれども、何かご意見いただけますでしょうか。

事務局

法人の組み方をどのようにするかというのは、多々ご意見のあるところであることは認めますけれども、我々としては、先ほど、あるいは前回もご説明申し上げましたように、今回の改革によって法人が容易につくれようにする。それに伴って、公益性の判断というものと切り離してどのようにチェックしていくかという仕組みが、これからの社会にとって最も有意義ではないかというふうな考えで、ご提案申し上げているということでございます。

委員

どうぞ。

法人としての要件で、4ページですけれども、ずっと最初から気になっていて、要するに「公益性とは何か」と。要するにベネフィットが仲間うちだけでいってはいけませんよ、ということですよね。会費を取って自分たちだけでそれを食べてはいけませんよ、と。そこはわかるんですね。したがって、提供されるベネフィットが不特定多数の人に行く。

ただ、それは「消費の非排除性」までいくかというと、現実にある団体でサービスする人は限られるわけですね。誰でもうちに来てくださいとは言わないわけです。だから現実問題として、「対価を支払わない人の消費を排除することの困難さ」と「消費の非排除性」というのが、どう対応するのかわかりませんけれども、何か公益性を定義するために不必要な概念の縛りをしているような気がするんですけどね。

委員

ちょっと具体的に。

委員

答えはないんでしょうけれども、これを定義しないと心配なことというのは、お金を取って別に内部留保もしない、見かけは全部来ているけれども、自分たちでお手盛りで分けてしまうということを排除したいわけですよね。だから、それから逆算していけば、そういう便益が仲間だけで閉ざされないこと。表現はともかく、それが不特定多数の人に行き渡ると。そこで十分だと思うんですけどね。

委員

たぶんこれは、私が申し上げたことを事務局が書いていただいたことだと思うのですが、私の印象は、不特定多数というものだけだと縛りとして緩すぎるだろうと。例えばギャンブルというのは不特定多数ですけれども、それを全部いいということになると、いくら何でもきつい。

では、それをどこまで縛るかということですが、私がイメージしていましたのは、「消費の非排除性」という言葉がいいのかどうか知りませんけれども、本来だったらば民間だけではうまくいかない、したがって政府が出ていったほうがいい活動のうち、政府がわざわざやらないで、民間でもやってくれるというようなものですね。それが、とりわけ非課税にする要件の基本なのではないかなというふうに私は思ったので、こういうことを「どうですか」と言って、文章としては、「観点なども踏まえて」という形で事務局がお書きになっていらっしゃる。そこを皆さんはどう判断されるかわかりませんが、一応事務局サイドの付加的な説明としてそれだけは申し上げておきます。

委員

その議論をしてくると、公共財との関係になってきて、非排除性と共同消費、競合性の問題も出てくるし、では、そっちはどうなんだ、と。だから、これを契機にさらに概念規定を詰めていかないと、節理しないような気がするんですけどね。前のほうでは広すぎるだろうというけれども--別に僕も明確には答えられないですけれども、ただ、さらに規定することで得られるものはどれだけなんだろうと、そういう意味です。

委員

ありがとうございました。時間が過ぎてしまいましたので……。

委員

事後チェックのところで先ほど言おうと思ったんですけれども、今回の議論で一番重要なところは、非営利法人が準則主義で設立される。それに伴って、法人の適正性は事後的にチェックしなければいけないわけで、そうすると、問題は情報公開だと。事後チェックの(3)の最後に「適正な公開基準等」とありますけれども、これを誰がつくるのか、どういう公開基準をつくるのか。

それで、たまたまアメリカの歳入庁のを見ていたら、歳入庁自身がTax exempt organization の申告書というのをつくっているわけです。今回、この場合は公益法人ですから、そのアクティビティというか、会計というのは誰も知ることができる、知るべきだということで、課税庁が公開基準の作成に明確にかかわって、それをもとに課税の判断もされていく、そういうつながりが必要だと私は思います。だから、どう表現するかというのはまだあれでしょうけれども、公開基準等を作成するときに誰がかかわるのか、そこも重要なポイントだと思います。

委員

内部留保30%だということと、繰り返しますけれども、公益法人指導監督基準の「運用指針」がすでに出ているものですから、それが入っていないというのはまずい。コンセンサスがあるから、そういう数字が出てきているので。

それから、先ほどの委員と、僕も最初に言ったけれども、軽減税率の後ろの2行を取ってしまうとか、メリハリをつけていただきたいなということ。それから、33業種のこれが、収益事業の実態を全然反映していないということを、もうちょっと強く、きちんと書き込んでいっていただきたい。その一番大事なポイントだけは外さないで、ひとつよろしくお願いいたします。

委員

残念というか、時間が過ぎてしまいましたので……。3月11日にもう一回ありますので、そこでまた議論をして、何とか取りまとめの方向へお願いしたいと思います。

次回は、3月11日の午後2時ということで、また議論を続けたいと思います。どうもいろいろありがとうございました。

「基本的考え方」ですが、これは小委員会にもまだ出しておりませんので、ご返却いただくようにお願いいたします。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。

非営利法人課税ワーキンググループ