第4回非営利法人課税ワーキンググループ 議事録

平成15年2月21日開催

委員

それでは、ちょっと遅くなってしまいましたが、税制調査会基礎問題小委員会のワーキンググループ第4回会合を開かせていただきます。

本日は、前回に引き続いて、非営利法人に対する課税の基本的な考え方を議論していただくことになります。前回かなりいろいろな議論が出ましたが、厚い表紙でとじたものが前回までの資料でございますので、ご参照いただきたいと思います。

前回、内閣官房の事務局の室長、参事官に来ていただきましたが、今回もお忙しいところ来ていただいております。また何か質問等がございましたら、お答えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

それから、本日は執行関係のほうということで、国税庁の法人課税課長に出席をお願いしております。またこちらも質問等が出ました場合、お願いいたします。

スケジュールが、前にもお話ししておりますように、大綱を3月中にまとめるということで、この委員会からも3月の中旬には基本的考え方をまとめたいと思っております。前回同様、精力的なご議論をお願いしたいと思います。

それでは、非営利法人に対する課税のお話ですが、前回議論していただいたのは、これの3回目ですけれども、3回目をおめくりいただきまして、それの2ページ目ですね。メモ書きとなっておりますけれども、非営利法人に対する課税についての税制上の論点、大体こういうところを検討したらよろしいのではないかという説明をして、ちょっと議論をいただいたわけですが、あまり時間がなかったので、これを続ける形をとらせていただきます。

本日は、今見ていただいたメモに対しまして、委員のほうから別の見解を出していただいているということですので、そのことについてまずお話しいただきたいと思います。

委員の資料ですけれども、ちょっと事務局資料が多くて隠れておりますが、まず事務局のメモ書きが2種類ございまして、それから、非営利法人関係資料が2つございまして、その下にある委員からの「非営利法人制度に関する提言」というものが出ております。これでお願いしたいと思います。

それから、資料の説明ですので、他の委員のほうからも何枚か、これは委員がお書きになった原稿ですね。それと新聞の切り抜き。これを集めていただいたので、お配りしてございます。

それから、一番下になりますが、今日ご欠席の委員からコメントをいただいておりますので、ご参照いただければと思います。

それでは、お願いいたします。

委員

発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。お騒がせすることになりますけれども、非常に大きな基本に関わるところですので、私の考えを述べさせていただきます。

資料は、今座長のご指摘のありました「非営利法人制度に関する提言」と、ただいま配付させていただきました「NPO関係者等の反響」、この2つであります。

提言のほうの1ページに提言の骨子を書かせていただいております。「非営利法人 届け出により設立」「社団法人・財団法人」「NPO法人」「中間法人」、まとめて書いております。

これは問題があると考えておりますけれども、これまでの状況に照らしてやむを得ないのかということで、これは乗っかったところであります。これに乗っかりまして、その下に書いておりますけれども、ただし、原則非課税、収益事業については課税、一定以上の内部留保金課税、それから個人に分配する財産に課税、こういうことでいかがであろうかと。2月7日に出ておりましたメモとは、原則非課税という点で異なっております。ただ、実際適用した範囲でどれだけかかってくるかという点は、問題はあろうかと思います。

その原則非課税とする考え方でありますけれども、具体的にいえば、寄附金、会費、寄附金的な会費、これは非課税。それから、助成金、補助金等があれば、これも非課税という意味であります。収益事業のほうは課税ということですから、実態的には寄附金、会費と助成金等について非課税にするかどうか、そこが大きな差であるということになります。

考え方といたしましては、そもそも、寄附金的な会費というのは、非営利法人の運営のために出される、対価を求めない、いわば出資金でありまして、株式会社の関係でいえば、株を買った資本金のようなものであります。そういうものについては、これは非営利法人の維持存続のための経費であるので、収益ではないから、それに課税するのはおかしいのではないか。基本的にそういう考え方であります。

ただ、最後に、中間法人の場合に合わせて、個人に分配するという場合があれば、その際に課税を考えればいいので、個人に分配ということがあるからといって、各年度剰余金に全部課税して、しかも会費や寄附金等も入れてしまうというのはおかしいという考え方で あります。

2ページにそういったことを書いておりますけれども、この2ページの中でちょっとコメントいたしたいのが、「〇」の中ほどに「先進諸国の流れも、原則非課税。」ということを書いております。私自身は先進諸国の税制をよく知らないのですけれども、税法学者の話で、そういうふうに認識しておりましたので、そのとおり書いたのでありますが、この点につきましては、財務省担当官のほうから、そうではないのではないかというご指摘があり、現にこれまで出されております「非営利法人の課税等の概要」、2月21日、本日付のものにも出ております。「非営利WG4-1」の19、20ページ、特に19ページが諸外国は原則課税ではないかという認識の根拠にされておりまして、一番上のところに、フランスを除いてアメリカ、ドイツ、イギリス課税と、こういうふうになっておりました。

これも外国税制に詳しい税法学者二、三に伺いますと、間違っておると。会費収入、寄附金等については、原則課税ということにはなっておらないというふうに言っております。

そういうことを調査しております過程で、この表を作成した研究団体、それから、この表を作成した状況を知っておる者がわかってまいりまして、財務省で調査を依頼されたその団体は、非常にずさんであって、この表について正確な調査をされておらないと言っておりました。私はそれが正しいかどうか知りませんけれども、そういう目で19ページ、20ページを見ますと、例えばドイツの話、イギリスの話だと、全く同じことが書いてあります。こんな状況で果たしてきちんと問題点を意識して調査したのかどうか。特に会費、寄附金等について調査したのかどうか、疑問がありますので、少なくとも現段階では、この表をお使いになるのはミスリーディングではなかろうかと思っております。若干話はよけいなことに飛んでおりますけれども。

それで、もとの私のほうの提言に戻りまして、そういった非営利法人の上に登録法人をつくるというお話でありましたので、これもそれに乗っかっております。こちらのほうは原則非課税ということで、2月7日のたたき台と同じでありますが、違いますのは、その次の本来事業以外の収益事業については課税するけれども、本来事業については課税しないというこの点が大きく違っております。あと、みなし寄附制度等々を書いております。

その考え方は、いわば登録法人になって、社会貢献活動をする以上、その本来事業というのは社会貢献事業であり、それからたまたま収入があったとしても、いわば利潤を上げるための収入ではなくて、それは例えば行政が行ういろいろな登録の際の登録料を取るとか、国立の学校が授業料の負担を求めるとか、そういったいわば一部負担である。そういった事業の原資としては、補助金、助成金、税金等が導入されており、また寄附金で行われておる。そういう状況の中でたまたま剰余金が出たとしても、無償の労働等があったせいで出てきておるのであって、ちょうど行政の登録料でありますとか、そういったものに税金がかからないのと同様に、本来の社会貢献事業に使われるものについては、課税しないというのが筋ではなかろうか。そういう考え方であります。

その上に認定法人を乗っけております。これは今のNPOの認定法人等の状況を考えておるわけでありますが、これも同じ考え方で、公益のために行っておる、それが高いものにつきましては、寄附金につきまして優遇税制を設けようということであります。

認定法人になりますような法人の公益性というのは、受益者が全くいない不特定多数になっておりまして、受益者から一部負担金などを取ることもない。だから対価は一切入ってこない。そういう活動になってしまうので、そういうものにつきましては、寄附金が非常に大きな意味を持ってくる。これにつきまして優遇税制を設けようということであります。

登録法人のほうは、準公共財的な活動で、一応受益者が特定されるので、可能な範囲で甘やかすことなく、一部負担できるものは一部負担いただこうと、そういう違いがある。基本的に法人につきましてそういう整理をいたしまして、それに対応する優遇税制を考えたというのが私の提言の骨子であります。

これにつきまして、NPO関係者と財務ご当局のご了解を得まして、2月7日の提言の骨子を私のほうで勝手にまとめたものと、私のこの提言と、この提言は12日に私が財務省に提出いたしましたが、それに対してさっそく13日にコメントをちょうだいしましたので、このコメントも付けましてインターネットに載せましたところ、本日までに162人から反響が寄せられております。

そこに書きましたとおりでありますけれども、大綱で骨子が決まってしまうというのに、いまだにどういう方向に行っておるのか全くわからず、意見も聞いてもらえないということに対する非常な不満、不信感が渦巻いておるというのが反響の概況であります。配った範囲が当然NPO関係者ですので、私のほうの対案支持者が圧倒的でありまして、反響の中に書きましたような意見の概要が寄せられております。

その中身は、ほんの一部ですけれども、中に書いております。5ページから8ページまでは、寄せられた意見を丸ごと乗っけておりまして、構想日本の代表、これは行革本部のほうの委員ということで全部載せましたけれども、全体としては賛成だけれども、3段階ではなくて2段階でいいのではないかという意見です。笹川平和財団理事長、この方もそちらのほうの委員です。寄せられた全文を載せております。

7ページ、大阪大学大学院国際公共政策研究科教授ら全面賛成、支持、賛成、5番目の財団法人公益法人協会理事長も総務省のほうの委員であります。これは法人制度の案は私などとはちょっと違いますけれども、こっちの状況でこれに乗っかって税制を考えるならば、これを支持するというようなことであります。8番の1%クラブ事務局長、これは経団連であります。経団連は昨年の9月に改革につきまして、不祥事対応というのではなくて、全般を見て公益法人等の活力を伸ばすような改革をしようという経団連の意見を出してお ります。

ここに載せませんでしたが、連合さんもあちこち回っておられるようで、各党の政調会長のところへ行かれました。これは別に私は全く頼んでおりません。応援勝手連みたいなものでありますけれども、動いておられる。こういうような状況であります。

私の提言と反響は以上のとおりでありますが、ただ、改革の趣旨、特にある委員がおっしゃっておられます、おかしな公益法人をきちんと対応せよ。これは私も大賛成でありまして、ただ、おかしな法人をやるための制度が、それよりも数の多い良い法人を殺すようなことになっては困る。言ってみれば、アルカイダをやっつけるために、アフガニスタン全部をやっつけたのではまずいと考えておりまして、きちんとアルカイダに対応するやっつけ方があるはずで、そういう案を考えることが必要であると考えております。

委員

ありがとうございました。

今、委員からご意見賜りまして、前回まで話をしてきたこととかなり対抗するような案になっておりますが、その前に、先ほど委員からご指摘がありました資料ですね。19ページに諸外国の制度が出ているというお話ですけれども、事務局のほうから。

事務局

ページで申しますと、18、19、20と諸外国の制度をご紹介申し上げております。確かに「未定稿」と書いておりますので、その意味ではあれなのですけれども、我々実はこれは原典に当たってちゃんと調べておりますので、間に入られた方というのはどなたなのか、あとで教えていただきたいと思います。

おそらく誤解があり得るのは、例えば19ページで申し上げますと、「課税の取扱い(原則)」と書いてございますが、その下に「認定された団体の課税の取扱い」と書いてございます。例えばドイツで申し上げますと、いわゆる原則は課税となっておりますが、認定をされますと、関連事業については原則非課税になるとなっております。もうちょっと我々も調べますが、先生ご指摘の会費とか寄附金、これがいわゆる本体事業なのかどうかという、そういうお話ではないかなと思います。

資料の作成につきましては、慎重を期して我々もさらに努力いたしますが、何か不備な点があればご指摘いただくとともに、我々は一生懸命作っておりますので、「ずさん」というお言葉はいかがなものかと思います。

委員

大変失礼いたしました。私が言った言葉ではなくて、言った人の言葉をそのまま申し上げましたけれども、よく精査されていること、ご信頼申し上げております。失礼しました。

委員

それから、こちらからの意見で恐縮ですが、表が原則非課税、原則課税と、そういうような分類になっているんですね。今日の委員の資料も原則課税、原則非課税となっていますが、公益法人の問題というのは、どこで線を引くかという問題が一番大事なわけですね。原則非課税のほうからアプローチするか、課税するほうからアプローチするかという考え方もあるかと思うのですが、原則課税か原則非課税かで、何か〇か×をつけるような形で表現される。おそらくそういった形からの誤解が生じたのではないかと思うのです。原則課税だ、いや、これは間違っている、本当は原則非課税だと。結局、もともと真ん中にあるものについて、どっちから見ているかという問題でありますので、私としては、原則課税、非課税という言葉ですべて対応するということは、議論が細かいだけに、かえってミスリーディングではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

昨日ちょっとアメリカの税制を調べてみたのですけれども、確かにNPOはノンプロフィットと書いてある。ノンプロフィットであることは、直ちに課税除外にはつながらないのだとはっきり書いてあるわけです。ほぼ日本と似ているところがありますけれども、それを原則課税というのか、非課税となるのか、その問題よりも、一体どこの範囲で課税されるのかということが大事ではないかと思うのです。

具体的に、また一言余計に申し上げますけれども、そもそも法人税の対象というのは、法人の所得に対する課税ですから、それについて特例を設ける、異例を設けるという場合には、やはり出発点は法人税にあるわけですから、原則は法人税を課税することになって、公益法人の場合にはそうなると次の段階で非課税にするのかとか、何だかだんだんわけがわからなくなってくるんですね。この点ちょっと表現に配慮していただければと思いますが、よろしくお願いいたします。

ちょっと余計に申し上げましたが、前回まで、特に前回ですけれども、先ほど見ていただきましたメモに沿ってお話を事務局のほうでしていただきましたが、今の委員のご提言、前回の考え方に示された考え方とは異なる方向あるいは中身を持っております。すでに委員から、コメントが事務局からあったということですけれども、それも含めまして、前回までの議論の整理と、委員のご提言に対するコメントを皆さんにご紹介いただければと思いますが、事務局、よろしくお願いいたします。

事務局

それでは、お手許の資料の「非営利WG4-3」「メモ」と書いてあるものにつきまして、まずご説明をさせていただきます。

「非営利法人の取扱いについて」ということでございますが、今、座長からご指摘いただきました原則非課税という言葉を使っておりまして、ここはどうするかあれでございますが、一応、委員の紙に合わせまして、原則非課税とすることは適当ではないのではないかということを書かせていただいております。

わが国における法人税制は、特別の理由がある法人を除き、というのは公益法人を含め非課税になっている場合があるわけでございますが、一般的に原則としては、稼得した利益に対して法人税を課しているという仕組みをとっております。

「利益」とは、法人の存続期間における総収入から総支出を差し引いたものでございますけれども、法人がゴーイングコンサーンで活動していることを前提に、各事業年度でこの利益というものを捉え、各事業年度ごとに利益に対しまして法人税を課すこととさせていただいているわけでございます。

新制度における非営利法人は、前回、内閣官房の室長からご説明いただきましたけれども、これまでのNPOあるいは公益法人と違いまして、準則主義、つまり登記するだけで簡単に設立できるようにしたい。これは今の株式会社と同じような取扱いになるわけでございますが、そういうことを伺っております。また、事業活動の内容ですとか、残余財産等の帰属についての法制度上の規制も設けないというふうに伺っております。要は、どこがいわゆる営利法人、株式会社と違っているかというと、毎年毎年の利益配当をするかどうかという点が違っているということでございます。組織運営等についても、現在の中間法人並みの規律ということで、基本的に厳しい規律は課さないという方向でご検討されていると伺っております。

したがいまして、新制度における非営利法人は、事業内容においてもガバナンスの程度においても、様々な法人が混在することが想定されます。NPO、公益法人、中間法人といったものを、全部を合体するような構想を伺っておるわけでございまして、従来のNPO法人あるいは公益法人に相当するものも当然入ってくるわけでございますが、その他様々な法人が登記をすることにより設立されるということが想定されます。したがって、営利法人が行う商行為と実態としては変わらない活動を、制度上は行うことができる形として仕組まれております。

最後の「〇」でございますが、わが国の現行法制は、非営利を目的とする法人の中で、やはりこれまで公益ということに着目をいたしまして、公益を目的としていること、それから、いわゆる利益配当のみならず、残余財産の帰属についても制限を設けた上で、公益法人、NPO法人という、いわゆる社会に役に立つ公益活動をされている法人について、原則非課税という制度になってございます。

一方、公益を目的とせず、仲間内の利益ですとか、そういうものを追求するような形、あるいは残余財産の帰属に制限のない中間法人は、これまで課税という取扱いにさせていただいているわけでございます。

それから、2ページのほうでございます。委員のペーパーの中でございました登録法人というところ、つまり税制上の優遇を与える法人につきまして、本来事業であれば課税をしなくてもよいのではないか、現在の収益事業課税というのは、民間と同種同等の事業であれば、それはまず原則としては課税させていただくという仕組みでございますが、本来事業、いわば社会貢献事業あるいは公益的、公共的事業であれば、もう非課税にするべきではないかというご主張が含まれているものと考えております。

最初の「〇」でございますが、「公益的・公共的な事業により、課税・非課税を区分することについては、以下のような問題があり、営利法人が行う事業と同種・同等の事業の多くが、公益的・公共的な事業という名の下で、課税されないことになってしまうのではないか」ということで、公益性・公共性のある事業と、それ以外の事業を明確に区分する基準というのを、本当に具体的に定めることができるのかどうか。本来事業、非本来事業という区分けということが、本当にその一つ一つの公益法人あるいはNPO法人がされていることで、きっちり区分けということができるのだろうかということがございます。

それから、公益性・公共性の定義を「対象者がもっぱら不特定かつ多数」、あるいは寄附金、会費等の支出に占める割合、ボランティア性労働の提供量により測るというふうなご提言がございますが、公益性・公共性について、こうした単一の基準だけで割り切るといったことが果たしてできるのだろうかということでございます。

委員のほうから、会費については非課税にすべきであるというようなご指摘もございますが、会費といっても対価性の有無が極めて不明確でございまして、会費名目で資金を集めるだけで公益性・公共性のある活動と判断されることになりかねないのではないか。現在、様々な法人が、いわゆる会費という名目で様々な資金を集めているという実態が社会的にはあるわけでございます。

客観的な基準に限界がある中で、公益性・公共性について実質的な価値判断を行うことになれば、行政庁の裁量をかえって広げることになりかねないのではないか、という問題も一方では出てくるのではないかということでございます。

続きまして、資料の「非営利WG4-4」、1枚紙につきまして、読み上げさせていただきます。これは先ほど座長のほうからもご指示がございましたが、税制上の措置の検討に当たっては、法人制度の検討の理念とか、あるいはどういう枠組みとしていくかということを基礎として税制上の検討が行われるわけでございまして、まさにそれが一体の問題としてあるという意味で、細かい税制上の制度設計の問題以前に、そういう大枠のそもそも論を税制上、あるいは法人制度上、そもそもの問題ということも含めて、ご議論いただきたいという趣旨で用意したものでございます。

非営利法人に対する税制上の措置の検討に当たっては、法人制度の改革の理念や枠組みを基礎として検討を行う必要があるが、以下のような点についてどのように考えるのか。

つまり税制上の措置というのは、先生からも今日、案のところでいろいろありましたし、前回は原則課税とした上で4つの要件といったような話もあったわけでございます。そういう税制上の措置のほかに、法人制度としてもどういうふうに考えていくかということで、最初の「〇」でございますが、そもそも公益法人制度・中間法人制度・NPO法人制度という異なった理念の仕組みを一括りにして「非営利法人」制度とする積極的な理念や意義をどのように捉えているのか。

あるいは、これについて準則主義、登記だけで簡単に法人格を付与するということを前提に、今私ども税制上の措置を検討しているわけですが、その理由付けというのをどういうふうに考えていくのか。名前だけの非営利法人が乱立し、社会的な混乱や悪影響を与えないかといった指摘もあるわけですが、そういうことについてどう考えていくのか。

公益的な活動を行う公益法人・NPO法人と共益的な活動を行う中間法人とは、本来は、少なくとも今までの普通の方の考え方ですと、非常に違う法人として捉えられてきたと思われますが、したがって、法人格の付与、監督のあり方なども自ずと異なったものとなる面もあるのではないかといった指摘もあるわけで、これについてどう考えていくのか。

あるいは公益法人とNPO法人は、公益的な活動という点は同じであっても、組織や活動の実態は大きく異なっており、これらを一元化することの是非について、国民的な理解を得て改革を進めることが適当ではないかという指摘もいただいているわけで、そこについてどう考えるかというような問題もございます。

「社会貢献」活動を行う非営利法人に対して一定の優遇措置を講じる点について、社会貢献活動ということを具体的にどういう内容で考えていくのか。あるいは社会貢献活動ということを税制上も考えていくとすると、税制の措置以外に、政府としてのどのような関わり、どのような支援、あるいはどのような理念をもって、社会貢献活動あるいは公益活動に対処していこうとしていくのか、というような問題もございます。

それから、非営利法人に対する寄附の問題も当然出てくるわけでございまして、この場合、法人そのものに対する課税ですと、事後的なチェックによってあとから課税するということができやすいわけでございますが、寄附のように多数の方からお金を集めるような場合には、事後的なチェックで今さら多数の方からまた課税ということができにくい世界にございます。そういう意味では、事後的なチェックになじまないような世界も出てき得るという問題もございます。

以上でございます

委員

ありがとうございます。

今、事務局から委員の意見に対するコメントを含めまして、議論の状況をまとめていただいたわけです。それから、その前提にあります新しい法人制度、非営利法人の取扱いについて、改めて前回の行政改革推進事務局の室長のご説明に対しまして、ある意味で質問なりコメントという形でまとめていただいたわけです。

そこで、ちょっとわかりにくいのですが、資料の「非営利WG4-5」というのがございまして、1枚紙ですけれども、今の事務局の「非営利WG4-3」「非営利WG4-4」のその次に1枚だけ入っておりますが、「非営利法人に対する考え方について」というものですが、これはいろいろ整理する過程で、私が簡単にこういう線で説明したらどうだろうということで、事務局でおまとめいただいたものなのですが、これは非常に簡単なお話ですけれども、既に皆様認識されておられますように、一方で公益法人といったものに対して、宗教絡みで非常に社会的問題を起こした法人がありまして、そのときにもっと監督をしなければいけないという形が世論として出まして、これが右側でいうところの公益法人が抱えている問題点を改革しなければいけないということなんです。それとパラレルになるかどうかはまた別ですけれども、どうもそちらの立場から見ますと、公益法人であろうとも、収益を上げている限りは課税すべきではないかという形になるわけです。

これに対して、委員のように、ご自身社会貢献活動をされている方から見ますと、できるだけそういう団体には優遇措置を与えると。特に寄附金の問題につきまして、それなりの対応をして活動をしやすくすべきではないかと。一番左側に「NPO等の自発的な市民活動を促進する立場からの考え方」というふうに出ておりますけれども、こちらの考え方からしますと、できるだけ法人にとって負担は軽いほうがいいということで、原則非課税から出発するという話になるわけですが、従来はこの中の非営利法人3つそれぞれの対応を課税上もしていたわけですけれども、前回の内閣官房のほうの話では、非営利法人という形で一本化すると。こういうような形で法人格が与えられた場合に、中身をどういうふうに整理していくのかということが問題になるのではないか。基本的には、左と右とで基本的に異なった立場で議論しますので、議論が混迷してしまうことになるという非常に難しい問題を抱えているということでございます。

詳しくは事務局のほうでご説明いただけますでしょうか。必要があればですが。

事務局

今、座長のほうからお話しいただきましたところで、あとは左のほうに座長の指示でつけ加えてございますけれども、現にNPO法人で非常に有益な活動をされているところが多い。それから、右のほうでは、公益法人については、上のほうの四角で、様々な問題の指摘があるということがベースでございます。

ただ、それぞれについては、一方ではNPO法人についても、左下にございますが、かくれみのみたいなものもあるのではないかといった問題点も指摘されております。それから、右下にございますが、当然のことながら、公益法人といっても、大変有益な活動をされておられるところもたくさんある。そういう意味では、非常に問題が錯綜しているということでございます。

委員

ありがとうございます。

それでは、これから12時近くまでご議論いただくことになりますけれども、基本的には、今、事務局からもお話しいただきましたが、価値観といいますか、人生観といいますか、非常に基本的な出発点が違っておりますので、なかなか1つにまとめるのは難しい話でございますけれども、極力何とか歩み寄るような形でまとめさせていただければと思います。

自由にご意見、ご質問などをいただければと思いますが、いかがでしょうか。

委員

資料を提出しておりますので、その手前、少しだけ説明させていただきます。

新聞記事がありますけれども、これはつい最近の新聞記事でありますので、先週の土曜日ですけれども、わかりやすいので資料として提出しました。これは国土交通省所管の財団法人道路保全技術センターが1億円所得隠ししていた、あるいは1億8,000万円申告漏れしたという見出しがありますけれども、その次の新聞記事のページをめくりますと、「公益と収益ごっちゃ混ぜ」と、こういうふうな書き方をされています。

こういう道路保全技術センターという財団法人があって、どの部分がどのように脱税したのか、新聞記事だけではなかなかわかりにくいのですが、この問題は実は前から僕は気にしていまして、僕の書いた原稿が、一番上のページだけでいいのですけれども、「ニュースの考古学」という横に見開きのA4のものがあります。「道路舗装にまでバカバカしい試験」と書いてあるものです。たまたま僕はこれを2002年の4月に書いているんですけれども、これが道路保全技術センターのことが書いてありまして、道路技術保全センターで試験をやったりしていますよという話を書いています。

見開きの左上のところをちょっと見ていただきたいのですけれども、左上の4行目から、「受験手数料は一級の場合に一万五千円かかる。合格したら、財団法人道路保全技術センター理事長に登録申請しないと資格者証がもらえない。その登録手数料は五千円だったが、今回の改定により六千円に値上げとなった。資格者証は五年間有効だが更新しなければならない点は運転免許証と似ている。午前十時から午後三時三十分まで技術講習を受けるのだが受講料が四千円から八千円に値上げされている。登録更新手数料は三千円から六千円に値上げされた」。

こういうところに道路保全技術センターというのはたまたま登場しているわけですけれども、こういう資格とか試験とかを高い値段で販売し、一定期間しか有効期間がないものですから、また講習を受けてというふうに、常にお金がこの財団法人に入るような仕組みがつくられているということであります。

そういうことで、前にも申し上げましたが、収益事業というものがあって、その収益事業に対して税金がかかる。収益事業は33業種認定されているけれども、その33業種に認定されていない収益事業は収益事業と言わないということで、この変な試験と資格の制度は、収益事業ではないということになってきます。

例えば、33業種のうち請負業というのがありますけれども、これは国から言われてやっているから請負なのかと言われると、そうではなくて、33のうち第20か30か忘れましたけれども、技芸というのがあるのですが、それはこの資料のこっちのほうにありますかね。今回のほうに入っていますか。

事務局

「非営利WG4-1」の11ページです。

委員

これは何でも同じ話になるように見えるのですが、重要な問題ですのでもう一度言いますが、「非営利WG4-1」の11ページに33業種あって、30に洋裁、和裁などとありますけれども、こういうところの範疇に入るのではないかと思うのです。これも具体的に限定列挙されていますので、ここで道路何とか技術者とかいうものは限定列挙されていないので、ここには入らないというようなことになって、結局この33には入らない。したがって33に入らなければ、これは収益事業ではないと、こうなるわけですね。

これはこれで非常に問題があるのですが、道路保全技術センターが今回所得隠しということで指摘されたのは、実はまた違った面でありまして、僕が申し上げたいのは、そのようにいろいろ複雑にでき上がっている状況をどうするかということなんです。

この新聞記事のファイルのほうをめくっていただいて、ずっといきますと、道路保全技術センターの役員名簿がありますが、その次に収支計算書というのがあって、収入の部とか支出の部とかめくるとあるのですけれども、この収入の部とか支出の部とかを読んでいても、何が何だか全然わからないんですね。それで、実は今回の新聞記事にあった申告漏れ事件というのは、この収支計算書のどこに該当するのかということすらわからないということになってくるわけです。政府から何十億円も委託費をもらっていて、その委託費を使っているわけですけれども、どこにどういうふうに委託費をもらったのかということもわからないというような収支計算書なんです。

国税庁の方が来ているので、お尋ねしますが、この新聞記事の説明を、僕は僕なりにわかるのですが、何がどういうふうに申告漏れになっているのか、こういうのを普通に説明していただけるといいと思うのですけど、いかがでしょうか。

委員

課長、お願いします。

事務局

せっかくの個別事案のご指摘なのですが、個別の調査の内容そのものについては、もちろん新聞に出ているという意味では、すでに秘密ではないのかもしれませんが、こういう公の場で細かく解説するのは、ちょっと遠慮させていただきたいと思います。

ただ、せっかく現場に近い立場といいますか、執行の立場から発言を許されましたので、二、三これに関連するようなことを一般論で申し上げたいと思います。

この法人も含めてでございますけれども、現状、公益法人等に対しては原則非課税で、収益事業、つまり限定列挙された33の収益事業のみ課税ということになっております。これはどの公益法人にとっても同じなのですが、その結果、現場のほうから見ておりますと、一般的に申し上げて、公益法人の現状は、税に対する認識といいますか、意識というのが、私たたちは原則非課税なのだから、基本的に関係ないのだということになるのかどうか、非常に意識が低いケースが多く見受けられます。そのため、結果として、申告義務があっても無申告になっている。あるいは申告していても、非常に誤りが多いということが多く見受けられます。

この場合もそうですけれども、収益事業をやっている一方で、非収益の事業もやっている。両方やっているというケースでは、お金の支出や入金を、どちらに経理するかによって、税金の問題が大きく違ってくるわけでございまして、収益事業と非収益事業の間で、費用や収入を結果として操作していたという例に当たるのではないかと思います。

また、今、委員からご指摘いただきましたが、収益事業については限定列挙されていて、課税になる、課税にならないというのが、非常に判断が難しい事例が実は非常に多くなっております。端的に申し上げれば、時代がどんどん変化していく中で、限定列挙で収益事業課税を行っていくことは、実際には非常に困難になっているのではないか、という感想を現場の人間として常々持っております。

ちょっと古い伝統的な仕事は課税になるのだけど、新しい仕事は課税にならないというケースが非常に多くなっておりまして、結果として不公平になっている例も多いように感ずるわけであります。国税庁は年来、収益事業については、対価を得て行う事業を原則として課税というふうにしていただいた上で、特定のものを非課税にするというような、現在の限定列挙を裏返すような形の改正をしていただいたほうがいいのではないかということを、毎年実は改正要望として出しておるところでございます。

今出ております例、新聞の例なども使いながら申し上げますと、例えば講習を受けて試験をするという事業は、技芸教授に当たるだろうと思いますが、そうすると、道路の舗装技術は確かにこの限定列挙の中にないわけでございますが、例えば伝統的な理容師さん、美容師さんへの講習等は、この30番の技芸教授業限定列挙の中に理容・美容というのがありますので、課税の事業になってくるというようなことが、簡単に言うと典型的な例でございます。

あと、さらに公益事業関係で二、三、つけ加えることをお許しいただければ、会費や寄附金の名目でお金を集める。そうすると、収益事業にはならないわけでございます。特に事業との対価性を薄める、名目的に会費・寄附金であるという名目で集めて、事業との対価性をぼんやりさせることによって、収益事業課税を免れている例というのは、相当たくさんございます。租税法律主義で、やはり課税庁としても何が何でもどんどん広げてしまうというわけにはいかないわけでして、限定列挙されているがゆえに、そういうあいまい事例には課税できずにいるということが多ございます。そういう意味でも、限定列挙方式には限界があるように感じます。

また、ごくごく最近の例をみますと、公益法人が原則非課税であるということを利用してといいますか、悪用して、タックスプランニングといいますか、租税回避の一手法に、非課税法人を間に挟むということで、法人税やその他様々の税を免れる、そういうプランニングの例も出てきておりまして、ちょっと先走って申しわけありませんが、準則主義で容易に非営利法人が設立できることになりますと、今の財団・社団でさえそういう利用事例があるわけでございますが、さらにそれが設立にほとんど規制のない状態になって、非営利法人が設立され、それが原則としては非課税であるということになってしまいますと、タックスプランニングなどの面でも、非常に大きな問題を生み出す可能性を秘めていると言わざるを得ないと思います。

最後もう一言だけつけ加えますと、制度の趣旨を逸脱しないようにするためには、事後チェックをきちっとやればいいではないか、端的に言えば国税庁がちゃんと調査すればいいではないか、というご意見も当然あると思いますし、私どもの仕事は、そういう事後チェックをきちっと法律に従ってやるということだと存じておりますが、原則非課税と申しますか、課税されないというふうに法律で定められてしまいますと、その方は税に対しては、帳簿を備え付ける義務がなくなってしまいます。その結果、調査検査に伺うこともできない。伺っても、帳簿を備え付ける義務がないので、何もないというケースもございまして、事後チェック機能を働かせるということを私どものような立場から申し上げれば、なるべくそういったものはきちんと備え付けておいていただいた上で、税の側面で様々なメリットが与えられているという形に仕組んでいただきたいとご要望申し上げたいと存じます。

委員

やはり国税庁の人って個別的なことをしゃべらないんだなと思って、しようがないから、僕が僕の範囲で申し上げますけれども。

それで、先ほどの委員のほうから、アルカイダが悪いんだけど、アフガニスタン全体を制圧することはないというふうな説はよくわかるんですが、だけど、アルカイダがいることはいるので、そのところがポイントなので。

それと、さっき座長のほうから、ノンプロフィットといっても、直ちに課税除外につながるわけではないということなので、そこで、実態の話をもう少しさせていただいて、そして、なるべく建設的な方向でお話しさせていただきたいのですけれども。

要するに、もう一回収支計算書を見ていただくとわかるのですけれども、収支計算書のさっきの道路保全技術センターのものですけれども、収入の部というのがありますね。収入の部をずっと見ていくと、1.基本財産運用収入、2.事業収入。事業収入のすぐ下に、調査研究等事業収入、これは87億円あります。けっこうあるんですね。この87億円は国土交通省からもらっている。これは収益事業なんです。

したがって、今回の新聞記事のほうをやや解説すれば、33業種のうち、これは国から委託された仕事なので、10番目の請負業に入るというふうに解釈できるんです。87億円入って、そして、収益事業であるから、これは課税の対象なんです。国土交通省から委託費をもらって、こういう事業をやったと。ところがお金が余ってしまった。余ってしまったので、その余ったお金で道路整備の必要性を訴える広告を新聞紙上に掲載した。国土交通省から、「浮いたお金があったら、そういう広告にでも使ったらどうですか」というようなことを言われたのかもしれませんね。そういうことで広告を出した。いずれにしても、それは委託契約以外の広告費として使われたわけで、委託契約事業、つまり収益事業の経費にその広告費をポーンと入れちゃったわけですから、これは収益事業の利益を圧縮しているということで違法ということになったわけですね。それを諸会費とか雑費とかというところに入れてしまったので、これは脱税だと、こういうことなんです。

さっきの試験の販売については、調査研究等事業収入の下に試験事業収入とありますが、決算額が2億2,000万円ぐらいになっていますね。別のページの支出の事業費のほうで、試験事業費というのが上から3つ目のところにありますけど、これが1億8,000万円ぐらい。予算・決算で大体1億9,000万円と1億8,000万円ぐらいですから。これは結局どういうことかというと、試験の収入が2億2,000万円ぐらいあって、支出が1億8,000万円ぐらいだったら、4,400万円ぐらい試験事業で得た利益ということになるわけですね。試験事業で得た利益だけれども、これは33項目の中に当てはまらないので、課税されないということになります。

4,000万円ぐらい利益が出るわけですから、普通だったら22%の法人税がかかって、1,000万円ぐらい持っていかれるわけですね。これは税金を払わなくていいと、こうなるわけです。

そういうことで、非常にややこしいですが、こういうわけのわからない収支計算書というものをつくっていると、結局、外部からチェックすることは不可能である。公益性があるというなら、外部から第三者がチェックする権利があるはずですし、公開して、そういう審査に耐えられなければならないのですが、こういう収支計算書をつくっている限りは、だめであるということになります。

問題は、だからどうしたらいいかということですけれども、こういう公開されるものは、課税対象事業と非課税事業が一目でわかるような記載方法でなければならないわけでありまして、どの事業が非課税で、どの事業が課税対象なのか、一切わからないようなものをこういうふうに道路保全技術センターで作っているということは問題なんです。

大体国からの委託費がどの事業にいくら支払われているかということも、これだけだと国からもらっているのだなということもわからないですね。原則非課税ということで公益法人が成り立っているからこそ、こういう課税事業、非課税事業がすべてどんぶりの決算になってしまうわけでありまして、これでは外部から正しく納税されているのかどうかさえもわからないし、33業種に当てはまるかどうかという判断もできないし、したがって、こういうのが脱税の温床になっていくのだろうと。

つまり、新聞で指摘されたのは、わずかの広告費を経費として入れたという部分だけを国税庁が指摘しただけであって、もっとこの財団法人全体からいえば、普通の法人として考えれば、脱税だらけだと僕は思うんですが、それはともかく置きまして、きちんと社団・財団法人というのは、収益事業と非収益事業と、それぞれ勘定別に決算書でもつくってもらわないと、チェックのしようがないんです。

だから問題は、NPOを含めてですけれども、結局、課税というときちんと作るんですよ。そして、ここは非課税だとかというふうに申告するようになるんですね。それを初めから原則非課税だと、きちんとしたものは作りませんよ。ですから、そこのところをはっきりしていって、その上でなおかつ非課税は何かと考えるべきで、まず、基本的にどういう経理内容になっているかということを見ることができるかどうか。それで、第三者が確認できるかどうか。それは課税を原則とすることによって初めてできることであって、とにかく税務署からお金を取られるぞと思ったら、きちっとまずやりますから、それをやらないでいると、この財団法人の例のように、わけのわからないものをつくって、ごまかされるということなんですね。

委員

ありがとうございました。

今、実例を委員からいただいたのですが、これは国土交通省が所管ですから、本来は財務の面も当然国土交通省がチェックしなければいけないことなんですね。それがこのようなあいまいなものになっているという例ですが。

委員

今日は二人の委員からお話を聞いて、つくづく思うのは、最初からそう思っていたけど、「非営利WG4-5」というペーパー、これが明らかに一番議論を混迷させているんですよ。今の個別具体的な案件は、新聞は数年前からずっと書いて、精力的にある委員一人が追っかけてきて、その成果で一旦ここで披露されて、そこから原則論に話を持っていかれたので、見事な論法だと思ったんだけれども。

とにかく、先の委員もおっしゃったけど、今まで悪いやつがいると。委員から見ても、そういう立場でずいぶん問題提起されたことがあるわけだから、いるんですよ。全部じゃありませんよ。しかし、際立って悪いのがいるわけです、明らかに。まず、そういうやつを何とかしようというのが改革論議のベースにあって、それは一般的な支持を得てきていると私は思うんです。

ところが、このNPOの委員が尽力されている組織全体からみれば、悪い連中と一緒にするなと。何もかも同じように鍋に突っ込むから、こんな混乱が起こるのだというのは、みんな実は思っているわけです。別の委員も最初におっしゃっていたんですよ。

というと、球は今度こちらに振るわけだ。あんた方、何でこんな猫も杓子も一緒にして、いいやつも悪いやつも一緒にするようなことを考えているのかと。ロジックはこれで賄えるかもしれないけど、そこが問題だと。本当にそうですね。

委員のペーパーで、NPOの人たちが反響を書いているでしょう。これはこれでわかるんですよ。ただ、委員、一般論として増税、課税問題をやったときには、受ける側は必ずこういう反応を示すんですよ。一般論ですよ。もうこれを20年間僕はやっているからわかっている、こんなことは。このことも評価するけれども、一番基本は、とにかく味噌もクソも全部一緒に入れてしまおうという構造自体が無理があって、それを同じルールで裁こうと思うから無理があるんですよ。

しかし、さはさりながら、これは与件として内閣官房ずいぶんやってきたわけだから、今さらこれを変えられないとするならば、具体的な制度上、今彼が言ったみたいに、明らかに悪いことをやっている連中を排除するような仕組みをつくらなければだめだ。それには該当しない人たちが、これに引っ張り込まれないようなことをつくらなければいけない。それはどういうルールをつくるかです。どういう裁きをするかということ。これはまた恣意的な判断が入るからややこしいと思うけども、とにかく球を内閣官房に投げ返して、「あなた方、この考え方を全く変えろ」と言うのがしんどいとするならば、問題はあるけれども、具体的な、実行上そういう仕分けがしっかりできるようなことを考えるしか現実的には道はないと思います、とりあえずは。

委員

ありがとうございます。

内閣官房の室長のほうから。

事務局

妙な鍋にというお話がございましたけれども、確かに我々もいろいろお話を聞いておりまして、プレゼンテーションに若干至らないところがあったのかなという感じはしております。

まず、一番大きな誤解というのは、NPO法人、公益法人、中間法人をみんなまとめてということでございますけれども、実は全体がございまして、NPO法人、中間法人、公益法人というのは、1つの共通したところがあります。それは非営利性というところでございますので、今回の法制の考え方というのは、そこの非営利性……

委員

今の「非営利性」は、これから出てくると思いますが、簡単にご説明いただけますか。

事務局

非営利性と申しますのは、一般的に「利益を構成員に分配しない」ということが言われております。NPO法人にしろ中間法人にしろ公益法人にしろ、いわゆる非営利法人でございますので、そこの部分がまさに共通している。あと、違っておりますのは、NPO法人にしろ公益法人にしろ、そこに公益性、あるいはNPO法でいきますと社会貢献活動ということになっておりますけれども、それらの衣が一体としてついているというところでございます。実はそこに大きな問題が生じてきているのではないか、というのが私どもの問題意識でございます。

先ほど、資料の「非営利WG4‐5」というところで、右側のほうでございますが、公益法人が抱えている問題点ということでご指摘がございました。こういった活動があるということも大きな問題でございますけれども、何が根本的な問題かと申しますと、公益法人についていえば、法人の設立の段階で、設立といわゆる公益性の判断というものが一体となっている。それから、NPO法人についても、認証という形でかなり簡易なものになっておりますけれども、いずれにしろ公益性の判断というものが一緒になっているわけでございます。

私どもは、その公益性の判断と法人の設立というものを切り離すということで、ここで3つの法人が出ておりますけれども、これは例えば学校法人とか社会福祉法人といった個別の法律に基づいて、個別の特定の目的のために設立され、それに伴う特別のガバナンス等が要求されているというのではなくて、かなり一般的な分野を所掌いたしますものでございますから、それらの法人について、まず法人の設立段階については、準則で自由につくれるようにしようと。ただし、今、公益法人なりNPO法人が持っております公益性というもの、それが本当に公益に当たるかどうかという点については、別の仕組みを設ける。委員のペーパーで申し上げますと、いわゆる登録法人ということになるかと思いますけれども、そういった形で別途の基準、明確な基準をもって判断をしようと。そこについて何らかの、仮に税制上も含めて何らかの恩典ということになれば、そこの部分、一段目とは異なった、第二段目でチェックをされたところが対象となるであろうということでございます。

したがいまして、NPO法人をつぶすのかというようなご指摘がございますけれども、非営利法人の中に今あるNPO法人もそこの部分については共通しておりますので、そこに入ってまいりますけれども、その上にある公益性なり社会貢献活動という点については、また改めて別途の仕組みでチェックをするということを考えておるわけでございます。

委員

ありがとうございます。

そうしますと、公益性の認定というもの、これを切り離して法人格の付与を分けるというお話、この間も伺いましたが、その場合の法人格の付与というのは、どんな利点があるわけなんでしょうか。銀行口座が団体の名前で契約者になれるとか、その程度ですか。もうちょっと大きいのがあるんでしょうか。

事務局

まさに法人として成立できるということでございますから、今、座長のおっしゃられましたような面、いわば対外的な経済活動ということについて、主体となった場合に信用力が増すとか、それは営利企業と同じかと思います。いずれにしても、そういった活動を今行う場合、中間法人という準則でできるものもございますけれども、公益法人、NPO法人の場合は、なかなかすぐにつくれないという問題が出ているということで、自発的な市民運動を促進する立場から、問題があるのではないかということでございます。

委員

そもそも論ということで、今、室長のほうからお話しいただいたのと重複する部分があるかと思いますけれども、議論が混迷していますので、整理しておいたほうがいいかなと思うのです。

2つの話がありまして、1つは、非営利法人制度をなぜ一般的につくるのかということ、それから、もう1つは税の問題、この2つなんです。

どうして一元的な非営利法人という話になったかというのを振り返ってみますと、もともとは民法が100年以上前にできたときに、公益法人というものを作ったわけですが、私人が公益的な活動をするのはいいことだという判断と、それはやはり危なっかしくて、国家の保護監督のもとに置いておくべきだという判断と、2つの考え方があって、それを主務官庁制という制度のもとでバランスをとろうと。これが100年前の発想だったわけです。

ところが、100年間の間にそのバランスがなかなかうまくいかなくなった。あるいは社会の状況、考え方が変わってきたということで、一方では行政代行的な公益法人の見直しということがなされた。他方で、NPO法人法ができたり、中間法人法ができたりした。ところが、そういう個別的な対応ではなくて、やはり全体として見直すべきだというのが、中間法人法ができるときの衆参両議院の委員会の付帯決議でありますし、それから、おそらく昨年3月の閣議決定もそういうことかなと思っているわけです。

そうすると、非営利法人法制を新たに考える背景は何があるかというと、3つほどありまして、1つは、主務官庁制度のもとでバランスをとるという仕組み自体がうまくいっていない、という主務官庁制度に伴う問題ですね。

それから、2番目が、法人についての見方が、特に1970年ごろからですけれども、ある見方、機能的な見方が強くなっているというのが背景にあると思います。

それは先ほどの座長のご質問とも絡むわけですけれども、法人というのは、財産の管理制度である。権利・義務の帰属権であったり、あるいは法人財産が構成員と分離・独立する。あるいは構成員の有限責任とか、そういう財産法上の問題、あるいは法人の内部関係の明確化というようなことが指摘される。もちろん、そういうふうに法人を機能的にだけ見るということについては、現在それでいいのかという、また次の段階の議論はありますけれども、一応それが現在の大きな流れになっている。

そうすると、どうも法人格を付与ということと、公益性の認定と、税の優遇というこの3つは、違う問題ではないかということが次第に意識されるようになってきた。法人格付与については、そんな特別のものではないのだからということで、中間法人法において準則主義がとられたということが背景にあると思います。

3番目は、この席で申し上げるのがあまり適当ではないという感じかもしれませんけれども、もうちょっとベースにある発想として、ビジネスの世界と生活の世界と、両方目を向けようという考え方が強くなっているのではないかと思うのです。ビジネスの世界については、営利法人のシステムがある。それに対して、それだけではなくて生活の世界というものにも目を向けるべきではないかと。生活というのは、例えばボランティアであるとか、趣味であるとか、社交であるとか、そういう非営利活動であるわけですね。それは、おそらく背景としては阪神・淡路大震災以降のボランティア活動であるとか、あるいは現在の高齢社会といったことが背景にあるのかなと。そういうことで、非営利法人の新たな制度をどうつくるかということが模索されることになる。

そこで、内閣官房のほうで前回出てきましたのは、一元的な非営利法人ということであるわけです。これに対しては、そうではなくて二元的な、つまり新しいタイプの公益法人と、それから中間法人と、そういう二元的な組み立て方もあるのではないかという意見がありまして、それはそれで両方あり得るのだろうと思います。しかし、一元的なものがいけないかというと、そうでもないわけで、あとは具体的な、さらに詰めの問題でありまして、そういう意味で、一元的な非営利法人法制というのは、それはそれであり得る選択肢ではないかなと考えています。

それが第1点の基本的な制度論ですが、続けてよろしいでしょうか。

委員

どうぞ。

委員

第2点の税の優遇の問題ですが、非営利だから優遇せよというのと、公益性があるから優遇せよというのは、これは別の問題ではないかと私は思います。非営利だから優遇せよ、これが先ほど委員の出された問題提起でありますけれども、これはおそらく新たな問題提起だろうと思うのです。確かに会費だから、仲間内で集めた金に課税されるのはおかしいというのは、感覚的にはわかるのですけれども、それはおそらく法人という別個の法主体をつくるということの意味をどう考えるのか。やはり法人という法制度に伴う一般的なルールというのがあるのではないかというふうに素人ながら思います。

その意味で、今日の「非営利WG4-5」という図は、これはこれで非常に明快な図でありますけれども、私としては、もう一つ別の見方があるのではないかと。つまり、あるポジションをとるからこうなるというのではなくて、法人制度というものは原則こうなのだというのが前提にあるのではないかと思うのです。個々の政策的な判断によって変わるというのでなくて、およそ法人法制というのはこういうものだというのが、多分あるのではないか。これは全く素人の感想ですので、間違っているかもしれません。

そういう非営利だから減免せよということについて、例えば極端なことをいうと、権利能力なき社団、あるいはマンション管理組合というのを一般化しろという話、あるいは対価性があるかないかで区別しろという話、これはどうも従来の公益法人のレベルの問題とは違う問題ではないかなという気がいたします。

では、公益性があるから優遇するというのは、これはもう不要ではないかという考え方も今日ちょっと出てきているわけですが、これはそもそもどうかというのと、それから技術的にどうかというのと両方あると思います。そもそも論としては、なぜ優遇するのか、2つの根拠がありまして、1つは経済学的な説明で、市場経済ではうまくいかないけれども、政府自身が行うのは適当でない、そういった公共的な仕事がある。そういう仕事を支援することが社会全体として効率的だからと、そういう経済学的な説明が1つあると思います。もう一つは価値的な説明でして、私人の善意による公益的な活動を促進するということは、望ましいことなのだという価値判断があると思うのです。その価値判断はさらに2つに分かれて、それは社会にとっていいからという説明の仕方と、個人の自由を尊重する、個人の幸福追求権というものを積極的に支援する、そういう分かれになっていくのだろうと思うのです。

そういう基本的な理念の説明の仕方は、これはいろいろあると思いますが、従来、公益性のあるものを一応優遇してきたわけでして、しかし、いろいろ問題点があるわけですから、そこを技術的に解決していくことは、ぜひ必要だと思います。ただ、その理念自体を否定するというのは、ちょっと行き過ぎではないかなと考えております。

委員

今最後に言われた「理念自体を否定する」というのは、どういうことでしょうか。

委員

公益性のある法人について、従来どおりのスタンスで臨む、支援するということですね。それは改革をしなくていいということではなくて、技術的に、例えば今出てきたように、収益事業との切り分けをどうするかとか、帳簿付けをどうするかとか、認定基準をどうするかとか、そういった技術的な改正はぜひ詰めていく必要があると思いますが、根本のところで、およそ国家が私人の公益活動に全くタッチしないのだというのは、ちょっと行き過ぎではないかなと考えている。そういう趣旨です。

委員

ありがとうございました。

どうぞ。

委員

なるべく簡潔に、4点ほどあるのですけれども。

まず、資料要求なんですけれども、原則課税、原則非課税というのは非常にまぎらわしい。大変適切な座長のご指摘をいただきました。今日は資料の点で、ちょっと虎の尾を踏んでしまったのですけれども、外国の諸制度は、寄附、会費、これに対して課税がなされているかどうか。それから、補助金・助成金について課税がなされているかどうか。それを区分けして教えていただきますと大変助かりますので、よろしくお願いします。それが第1点であります。

第2点は、今日メモをいただき、それから、法人課税課長の話もいただきまして、やはり問題のある事業がある。問題のある人が入ってくる。そして、それの区分けがしっかりつかない。だから全部。全般にそういう論理でなってしまっているのではなかろうか。ここはある委員がおっしゃいましたけれども、両方分けて対応策を考えるということが、私は大切ではなかろうかと。

例えば、「非営利WG4-3」のメモでありますけれども、結局ここの論理は、中ほどに、新しい非営利法人というのは、ガバナンス、事業内容のチェックがはっきりしておらないので、だからいろいろなものが出てきて、営利法人が行う商行為と実態としては変わらない活動を行うことができることになる。そこで中間法人のようにやれと、こういう論理ですけれども、実態としてそういうものが出てくるかもしれないけれども、そうでない活動を非営利でやる、同窓会にしろ何にしろ、大体そういう非営利の活動というのはそういうものを想定されておるのであって、営利法人と同じのが出てくる可能性があるからそれ全部という論理は、もっときちっと論理はあるのでしょうけれども、ちょっと乱暴ではなかろうか。

それから、2枚目のほうの「税制上の優遇措置を与える法人について」ということも、そういうことでありまして、大体公益性のあるものと、そうでないのと、限界を具体的に定めることは難しいではないかと、まずそういうのがある。私は、これは乱暴で、やはりこれは日本最高の知恵を集めておられる財務省、事務当局ですから、これは知恵を出していただいて、基準を設けていただかないと、両方混在というのがどうしてもということになってしまう。黒ポツの2番目、単一の基準だけで割り切れないのではないかと。単一の基準で割り切れなければ、複数の基準ではっきりしたものをやはり考えるべきではないか。そういうことを考えているのがたくさんおります。

それから、会費も性質がよくわからないではないかとあるけれども、これはやはり会費の性質を抽象的に分けられるわけで、きちんと分けられるのではなかろうか。

ですから、私はそれぞれ分けて、それぞれに適切な対応が考えられるはずであるし、そうすべきである。それができないならば、悪いほうに合わせるのではなくて、いいほうに合わせなければしようがないじゃないかと。悪いほうが混じっておって、それといいほうと区別できないのは、全部悪いほうで扱おうというのは、理屈がおかしいので、区別できないなら、それは諦めて、いいほうの体制をとっていただくというのが論理の筋ではなかろうか。私はそういうふうに思います。

それから、3番目に、委員のおっしゃった、悪いのがおると。これは私もずっと大阪地検特捜部、東京地検特捜部で脱税事件を担当してきております。法務省でも脱税の担当。脱税がけしからんということは、山ほどわかっておるつもりでありまして、全くけしからん。感情的にも委員と全く同じだと思うのですが、それはそれできちんと対応しなければいけないので、その対応策はある。

例えば、先ほど法人課税課長がおっしゃった33業種問題。これはもっと一般的に対価を得る事業としてしまうことで、そこの立法問題は解決するし、それ以外のいろんな問題も、例えば補助金、助成金、委託金、これは出し方がおかしい。これは事業評価が、最近政策評価が採用されております。特に補助金・助成金等について、政策評価をきちんとするという仕組みをとることによって相当程度対応できるし、ほかにもいくつか対応できる方法がある。しかも、内部留保の課税ということも考えられますので、税制上の対応策も考えられる。そういうものをきちんと重ねることによって、制度上やれないということがないようにするということを、これも考えなければいけないのではないか。これはぜひ考えなければいけない。そういうふうに思っております。

それから、先ほどの委員の意見を聞いておりまして、非営利だから非課税とか、それは非営利の中身にもよりますけれども、そこはそうではないと思います。結局、会費とか寄附金とか助成金等々につきまして、一体それが課税すべき収益なのかどうか。そういうことの判断ではなかろうか。そのあたりをきちんとすべきで、もちろん非営利事業でありましても、収益事業をやれば課税されるのは当然でありますし、それから、資産運用による収入、これも課税されて当然なので、ただ、それ以外のもの全部ひっくるめてやるということにいきなりいくのかどうか、そこが問題だろうと思います。

最後、5番目になります。これはもう簡単に言いますが、法人法制の問題でありますけれども、私も非営利法人をひっくるめることは大賛成でありまして、行革本部で意見を求められたときに、他の委員らと一緒ですけれども、行って私意見を述べましたけれども、大体、民法に非営利法人の基本規定を置けと。それはこの3つに限らず、社会福祉法人とか宗教法人とか全部ひっくるめて、ともかく非営利の基本規定を民法の中に置くべきである。そうでないと、民法はいびつになって、それは諸悪の根源、混乱の根源になっておる。その上でそれぞれの法人の特徴に応じて、プラスアルファの部分をそれぞれ特別法をつくって、これで一挙に運営すべきである。これが私あのとき述べた意見だと思います。

それを、政治的な配慮もあるのでしょうが、NPO法人と中間法人と公益法人だけ抜き出してしまった。ここにそもそもいろいろなバランス感覚からしてもおかしな議論になってくるところがある。しかも、中間法人という新しい法人が紛れ込んでおるために、議論が非常におかしくなってきてしまっておる。そういうふうに思います。

しかも、実際的にこれが問題なのは、登録法人をつくるからいいではないかとあります。この登録法人の要件がまだ出ておりませんけれども、おそらく、まず非営利法人になって、その運用の実態を見た上で登録法人にしようと。こういうことになると、現行法だとストレートでNPO法人になれるところが、一旦非営利法人になって、寄附その他に課税された上で、実績も見られた上で登録法人になる。ところが、それまでの段階というのは非常に大事で、ひ弱な段階で非営利法人の原則課税になってしまう。ここが実務上非常に大きな問題が生じるところでありまして、ですから、あのとき、まとめるのはいいのだけれども、それの上に登録法人が乗っかればそれで問題が終わりということでは決してないということでございます。

以上、5点でございます。

委員

ありがとうございます。

最後の点、室長、よろしいでしょうか。

事務局

民法でどのような規定を残すのかというと、まだまだこれから議論もあると思いますので、今ここでどうこうということはございません。そういった点も踏まえながら今後の検討になるかなと思っております。

それから、登録法人になった場合に、委員にご意見をお伺いしたとき、ほかの先生方もあれでございましたけれども、要するに、実績を見るというのは結構なんだけれども、設立の時点では見ないよということではなくて、例えば、事業計画書なりで見て、いわば仮免許のような形で、一定の期間が経過したあとに、それが満たされていなかったら、さかのぼって課税をするとかという方法でもできるのではないか。そういうふうなご意見があったということは、私どもも承知しております。そういったところも踏まえてご検討されるのではないかというような感じがしております。

委員

ありがとうございます。

ちょっと委員に確認させていただきたいのですけれども、最初のレジメの1ページ目に、ここが一番出だしでショッキングなのが、非営利法人は原則非課税であると。

先生のお話を聞きますと、特に寄附金と会費の取扱いの問題で、収益事業そのもの、対価を得て行う事業一切、これは課税であると。同じ収入として入ってくる中でも、事業活動をやって入ってくる収益事業は課税しますと。先生が気にされているのは寄附金と会費である。そうしますと、収益事業を課税するという一般規定のもとで、寄附金や会費といったような、特にNPOなどで重要なもの、これについて特別の個別規定で対応する。これでは済まないのでしょうか。やはり先生は最初の原則非課税という、これが錦の御旗ですか。

委員

いや、別にそういうことはありません。個別にそれぞれ具体的に、運用資産等も含めて、きちんとこれは課税、これは非課税と、そこがきちんと筋が通っていれば、私はそれでいいので、別に原則がどうとか、そんな言葉にはこだわりません。

委員

先生のお考えですと、現行法によりますと、パーマネントをかけたり床屋へ行ったりすると、一々法律に規定がないと課税できないのですが、そういうこともないわけですね。これはもう一般的に収益事業であれば課税すると。

委員

ええ、そういう体系でいいのではないかと思いますけど。

委員

今、座長がおっしゃったことで重ねて言えば、したがいまして、そうなると、収益事業に課税するということであれば、全然問題はないわけで、つまり収益事業に課税されていなかったんですよ、問題は。何が収益事業か、何が収益事業でないか、これが不明確であって、先ほど委員が外国の事例を請求すると言った。それは僕は賛成ですが、問題は我が国の現状から出発しなければいけないのであって、委員が地検特捜部で頑張っても、結局それは摘発できなかったわけですよ。できたものもあるんですけれども、一般的にこの公益法人の世界は、ほとんど摘発されてきませんでしたから。KSD事件とか、ああいうものが起きるときにはそれはできますけれども、ずっとこれは脱税の温床になっていたわけで、脱税と言わなかっただけでありますから、これは正しい公益事業であるということで、税金を払うべきところが税金を払っていなかった。これは罪でなかったわけですね。罪でないというふうに考えられていたから、委員の出番ではなかっただけの話でありまして、罪と認定されれば、地検特捜部が出てくるわけです。罪と認定されていなかった。

そこが問題でありまして、したがいまして、先ほど僕が申し上げたのは、収益事業というものをやっているわけですから、先ほどの33業種以外にいくらでも40、50もあるわけですから、そして、あらゆる収益事業は当然課税の対象になるのが当たり前であって、したがって、「原則課税」という言い方をされると、ちょっと反発されるかもしれませんが、基本的に収益事業は原則課税で当たり前でありまして、そうすると、きちんとした財務諸表をつくらざるを得なくなるんですね。自動的に収益事業と非収益事業を区別した決算書をつくっていくことになりますから、そういうことをまず義務化していかない限りは、何が非収益で何が収益かわからない。

したがって、原則課税という言い方は、全部に網をかけるように思うかもしれないけれども、当たり前ですよね。まずそういう帳簿ぐらいつくってもらわないと、何が何だかわけがわからない。こうなるわけですから、基本的に「原則課税」という言い方で僕はいいと思っているんですが、先ほど座長が少し整理したように、個別の問題は個別の問題で考えていくということであれば、原則課税ということになると僕は理解しますが、そういう表現だときついかなということで、座長が上手な言い方をされたのではないかと思いますが、基本的に当たり前のことなんですよ。外国の事例をいくら集めても、我が国の現状をきちんと見ていかざるを得ないし、現状から出発するしかない。したがって、これだけ2万6,000もある社団・財団法人等が実質的にタックスヘイブンとして放置されてきた。しかも1,000%も内部留保があるところがある。

それから、会費の問題でも、同窓会はいいですけども、JAFのような、車が故障したらすぐ来てくれるとかいうけれども、あそこも内部留保が何十億円とたまってしまった。こういうふうなことで、会費であればいいということでもなくて、したがって、収益というものは何かということをきちんとさせながら、納税を前提に帳簿をつくらせる。その上で第三者が常に公開しながら、非収益の部分についても公開した部分をきちんと我々がチェックできる。こういうことだと思いますけれども。

委員

一言。

委員

どうぞ。

委員

消費税を入れるときに大議論をやったことがあるんですよ。いろんな人がいろんなことを言ったんだけれど、ある新聞の、今でも政治評論家で有名だけど、彼は、日本国民であれば消費税ってみんなかかりますから、金持ちでも全部かかる。あれは極端な言い方をしたんだけど、橋の下のホームレスも、どうせ何がしか拾ってくるか稼いで買うわけで、それに消費税がかかるのは当たり前だと、そんなものは。無差別にかかるんだと言ったので。今で言えば、公園でホームレスでやっている気の毒な人たちも、あれでも何か稼いでは買って生きているわけです。やはりいかに重要な仕事をやっていても、基本的にある条件のもとでは、法人税を払うのは当たり前だと。それをどういうふうに仕分けしながら現実に制度をつくっていくかということが僕は問題だと思うんですね。

それで、今までのずっと澱がたまって、ずいぶん悪いことをやっているのも1割、2割いるような制度が現にあるわけだから、それは手を打たなければいけないですよね。しかし、同時に、とにかく今の勢いだと、NPOでも何でも全部十把一絡げで入れてしまおうという話だから、無理もずいぶんあると思いますけど、それならば、現実論として、5年間なら5年間、NPO関係はこれから組織をつくり、ガバナンスの手続が必要なので、甘く見るという意味ではないけれども、何か過渡期の規定を入れたらどうだと。

前の公益法人の連中は、過渡期も何も長年やっているわけだから、悪用しているところがずいぶんあるかもしれないというだけの話であって、新規のほうは、全員が委員がやっているみたいなピュアなことだけでやっているとも思えない。中にはひどいのも出てくるでしょう、これからは。必ず新聞記事になるから、一色でNPOはだめだという議論がまたすぐに起こるから、これが一番危険なんですよ。

ただ、過渡期のことは何か考えてやったらいいじゃないかと、現実的には。なかなか難しいと思いますよ、ルールのつくり方は。だけど考え方としては、それがあれば原則課税。「原則課税」という言葉がものすごく響くんですよ、この言葉が。言葉でみんなまいっちゃっているんだから。そこで反発が半分以上出ているわけだから、細かいロジックを抜きにして。それを解除するためには、何か具体的な仕組みのつくり方において知恵があってもいいのではないかと思いますけどね。

委員

座長が先ほど整理なさいましたけれども、先生の意見は、先生が整理されたものよりは、ちょっと違っているのだろうと思います。諸外国の扱いですと、認定された団体は、非関連事業は課税、その他は非課税。認定されていない場合には課税だと、こういうことになっていますよね。先生の図は、下を見ますと、非営利法人で認定されていない場合は原則非課税で、認定されていない場合にも、収益事業だけが課税だと書いてあるんです。つまり収益事業以外は非課税にしてしまおうということで、諸外国から見ると、この表が正しいとして、その分非課税の範囲が異様に広いわけですね。

もう一つは、登録された法人についても……

委員

今、どこのことを言っているんですか。

委員

この提言です。

委員

非営利法人ですか、それとも登録法人ですか。

委員

下の非営利法人について。

委員

非営利法人というのは、認定はありませんけど。

委員

だから、認定がない場合に、原則非課税というところが、つまり収益事業だけが課税というところが問題だということです。

委員

収益事業以外で所得になるのは、どんなものがありますか。

委員

だから、そこの限界性の問題でしょう。

委員

確認したのは、委員は寄附金と会費を非常に重要視されておられるのですが、それプラス収益で、あとそれに外れるような所得は何があるだろうという話をしていたのですけれども。

委員

ちょっと誤解があるのではないかと思いますけれども。

登録法人について、本来事業以外の収益事業は非課税ということで、例えばアメリカの表だと、認定された団体、登録法人と仮に一緒だとすると、認定された団体は非関連事業は課税、本来事業がどうのとかという問題はないので、両方で登録されていない非営利法人の場合であっても、登録された法人の場合であっても、諸外国よりも一歩非課税のほうにわざと後退させてあるんです。わざとでしょうけど、それが目的ですから、そこがおかしいんじゃないですか。だから、原則とあれの線の引き方が、非課税のほうに一方的に有利なように線をわざと引いていらっしゃるので、それでよければそれでよろしいんですけれども、それだと個別具体的にというところになっていないわけですよ。

だから、非営利法人の場合には、収益事業は課税ですが、その他も非課税にしてしまっていいのかということを議論しなければいけないし、登録法人の場合にも、収益事業課税は当たり前だとしても、「本来事業以外の収益事業」という限定を付けることが正しいのかどうかが問題になるのではないかと思いますけどね。ちょっときつ過ぎますかね。

委員

それは私が一番最初におっしゃった点を問題提起しております。

委員

そこで意見の行き違いがというか、座長がそれをもし誤解なさっているといけないと思いまして。

委員

アメリカのその意味がわからないのですが、どういうことですか。歳入庁が認定した場合に、形としてノンプロフィットであるということになりますけれども、その場合でも、ビジネスから生じた所得には課税するというのがアメリカのいわゆる非営利法人の課税ですよね。それとここでの関連性はどういうことになりますか。

委員

その場合であれば、「収益事業は課税」というふうにお書きになればよろしいのに、「本来事業以外の」という限定をわざとつけてあるということです。

委員

それは最初に説明されたところですね。

委員

そこが問題の本質なのではないかと思いますけど。

委員

今までの公益法人のと似てきてしまうんです。つまり本体は非課税で、その他の目的でやっている収益事業は課税で、しかも、その課税対象の収益事業も本体に損金算入が可能である。20%でしたか、それができるというふうになっていて、課税で収益の対象も22%の軽減税率。これはだから本体事業以外の収益事業は課税とちょっと似てきてしまうんですよ、今までの現状と。だから改革というイメージにはなりませんね。

委員

もう一つ難しいのは、登録法人になると、だれが登録の作業をするか。委員のこれは、国土交通省のまさに直轄の財団でありながら、こんなことをやったという意味合いがあるわけですね。本来一番監督できるところが、こんなヘマをしていると。それが第三者機関なりほかの役所がやるということ、これが次に問題になってまいりますけれども。

委員

前に行革担当大臣も、イギリスのようなチャリティ委員会みたいなものが判断すればいいのではないかと、こういう言い方をしていましたよね。しかし、そのチャリティ委員会が判断するというのは、要するに行政庁から離れた第三者ということになりますけれども、いずれにしろ、そのチャリティ委員会も課税庁からもらったデータを確認してやっていますよね、基本的には。そこのところがまず大事なんですよ。

だから基本は、チャリティ委員会でやろうが、なかろうが、まあチャリティ委員会でやれば一番いいんです。つまり主務官庁でやっていたら、天下り先になりますから、だめですからね。だから、当然そのチャリティ委員会みたいなものができたら一番いいわけです。それは第三者委員会がチェックと委員が書いていますが、そういうことになると思います。

ただ、問題は結局数字ですね。データ。財務諸表というか、付属明細書がきちんとできていて、中身が全部わかるという透明性、公開性みたいなものを前提にすればいいと思っています。ところが、今までそうではないですから。要は課税でないと思うと、ちゃんとつくらないんです。課税されると思うと、やはりそれは罰せられると思うから、必死でつくりますよ。基本的にはまずそういう前提でないとやりませんね。

委員

どうぞ。

事務局

ちょっと用語の混乱があるような気がいたしますので、その点だけ確認させていただきます。

一番下の非営利法人の中で、原則非課税、収益事業課税と書いてある。これが今の公益法人、NPO法人の仕組みというのは、原則非課税、収益事業は課税ということになっているわけです。ただ、現在は33事業という限定がございますが、それを委員のこのペーパーは、広げるという意味で違っている。そういう意味で、今の非営利法人の一番下に書いてある2行は、基本的には仕組みとしては公益法人、NPO法人の仕組みをベースにした考え方であろうと思われます。

収益事業は課税ということの中身は、法人税は所得に対して課税されるということが基本でございますから、これが営利法人であれば、会費だろうが、寄附金だろうが、あるいは補助金だろうが、当然に課税でございます。それが利益配当をしないということによって、直ちにその世界が全く変わってくるかどうかという問題があるということであろうかと思います。

それから、先ほどの委員からもございましたけれども、上のほうの世界、したがいまして、現在は公益法人、NPO法人の仕組みというのは、収益事業を課税させていただいておりますが、まさに委員が問題提起されているのは、それを本来事業以外の収益事業のみを課税とすることによって、いわゆる本来事業、もともとその方々が狙っている、例えば芸術の振興とか、あるいは語学の普及でもあるかもしれませんが、例えば語学の普及に該当する事業であれば、本来事業として非課税にするというような意味、つまり、上のほうの意味では、現在の公益法人、NPO法人の税制の仕組みの収益事業課税を、いわば限定して考えていくという考え方を委員はお示しになっておられるということではないかと思います。

委員

ちょっと一言いいですか。

そういう整理なんですが、この非営利法人、これは現在の公益法人の基本的仕組みを採用している。それはそういう言い方をしてもいいのですけども、人格なき社団の基本構造もやはり同じであって、大体人格なき社団でやっておるのがこっちへ入ってくるわけですから、そちらとも平仄を合わせているということです。

委員

その人格なき社団を持ち出していらっしゃるのは、反響の中の2ページの下から3ページにかけてのこの意見だと思いますけれども、この方はイコール・フッティングという言葉を非常に恣意的に使っていらっしゃるんですね。人格なき社団と同じ活動をやっている法人のイコール・フッティングという、その局面のイコール・フッティングで、法人格を持っているもの同士のイコール・フッティングというのは、あえて無視していらっしゃる。つまり、別にいいんですけど、両方考えた上でイコール・フッティングという言葉をお使いになっていればよろしいのですが、そうではなくて、結論を出すための、つまり自分の主張を正当化するために必要なところだけのイコール・フッティングを持ってきているという意味のイコール・フッティングですから、あまりイコール・フッティングになっていないわけで、人格なき社団は、これは考え方はいろいろあるのはあれなので、自分の考え方だけが正しいと言うつもりはないのですが、法人格のあるものは法人格があるものとして所得に課税される。しかし、それだと法人格を取得しないで、似たようなことをやってしまう人たちも出てくるから、それについては一定の課税を及ぼそうと。法人格がなくてできる活動というのも限られているだろうから、バックアップ的に収益事業に課税をかけているというのが適切な説明だと思いますし、別に人格なき社団を優遇するためにということではなくて、本来ならば、人格なき社団なんて人格がないんですから、課税しなくていいわけですよね。個人で課税すれば。それをあえて課税しているというところが、これは重い話なんですね。別の説明があるかもしれませんけれども、それを混同させてしまうとまずいのではないかということです。

委員は、非営利法人について、今、原則課税である中間法人も収益事業課税だけにしろという減税のポリシーですし、登録法人についても、個別具体性がどうのということではなくて、本来事業は非課税ということで網をかけてしまうということなので、これは個別具体的に判断ができるのであれば、例えばこの場合には収益事業類似だということの手続とか、そういうのであれば、場合によっては、制度として仕組むことは、執行の問題がありますけど、可能かと思いますが、網をかけて本来事業以外は課税ということで、本来事業を非課税というふうに原則として書いてしまうということは、そこが抜け穴に使われる可能性があって、ちょっと怖いんですね。怖いというか、登録した意味がないのではないかという気さえしてしまいますので。これはちょっと心配しすぎなのかもしれませんが。

委員

法人課税課長、人格のない社団というのは、大体税務署に事業開始届を出しますね。出さない場合にはどうやって把握しているのでしょう。

事務局

人格のない社団等が事業開始届を出していただける例というのは、実務的には非常に少ないです。ほとんどは何もなくて、何か私どものほうでいろいろな形で情報を得ていく中で、様々なところから情報を取って、把握しに行くというのが現状でございまして、ベースになる情報は、税務署のほうに出てくるものはほとんどないというふうに考えていただいたほうがよろしいかと思います。

委員

あと、いかがでしょうか。

今日は大分白熱した議論をいただきまして、収斂する方向なのか、拡散していく方向なのか、私もよくわからなくなりましたのですが、今日鋭意ご議論いただきましたので、また事務局とも話し合いながら、今日の議論をとにかく整理させていただいて、何らかのある程度の理解し合えるような点があれば、それをベースに、座長提案といいますか、文章にできればの話ですけれども、そういう形で次回お持ちしたいと思います。またその点はちょっと検討させていただきたいと思います。

委員

議論の進め方ですけれども、今日の話を聞いていて私が思いますのは、非常にわかりやすい言い方をすれば、ある委員がおっしゃるようないい法人と、他の委員がおっしゃるような悪い法人というものを、どう仕分けできるのか。それに対して違う対応が可能なのか。そのためにはどういう仕組みを仕組むのが一番いいのかという話だと思うのですが、仕組みを仕組むというだけではなくて、その問題を解決するためには、おそらく執行といいますか、現実にどういう形でそういうことをチェックできるのかとか、つまり何が一番言いたいかというと、原則非課税とか原則課税とかいうことだけではなくて、おそらく非常に1つの大きな問題は、登録法人にして例外にする部分、この部分をどのぐらい、いい法人にとってやりやすくて、悪い法人にとってはチェックしやすい仕組みができるのかということにかなり依存しているという気がするのです。

そういう意味でいうと、ここで出ている登録法人の認定の仕方とかチェックの仕方ということがどうであるかということにかなり依存して、そもそも原則非課税なのかとか、そういうことが変わってくるように思うので、最初の原則課税、非課税という文章をどうしますかという話をするよりも、本当はその前に、具体的に登録のあり方とかチェックのあり方とかいうことを議論しないと、最終的な文章だけを先に議論してしまっていいものかという、ちょっとそういう疑問を持つのですけれども。

委員

いろいろ考え方がありますけれども、登録の問題になりますと、今度は登録機関の話が出まして、また内閣官房のほうとも調整する必要が出てくるという問題もありますが、いずれにしても、本日は、登録法人を仮定した場合ですけれども、その辺の議論がまだ十分ではなかったと思いますね。

委員

要するに、最終的に何を決めるということまで私議論する必要ないと思うのですけれども、そもそも第三者委員会なのか、国税庁なのかとか、あるいはもっと極端にいいますと、所管みたいなものをつくるのかとか、そのときに、チェックとして事前チェックなのか事後チェックなのか、どういうものがそもそも望ましいのかということだけでも、まず議論した上でないと、この話というのは、ある種の形式論でしかないと、極端に言えば。その形式論をどうやって担保できるのですかというところが、一番今問われているのではないですかというのがある。その議論をしないでおいて、形式論だけをまず決めてしまいましょうとなると、私はあまり生産的でないような気がするのですけど。

委員

NPO法人というのは非常に未来志向の話で、僕も基本的には委員の気持ちはよくわかっているつもりなんです。ただ、問題は、社団・財団法人の問題を僕はずっと前から税調の場でも提起してきて、収益事業の問題はどうだとか言ってきたわけですが、過去の問題というのは、本当は税調自身で決着をつけなければいけない問題が、たまたまこのNPO法人の話の中になだれ込んできちゃっているわけです、基本的にはね。ですから、過去の問題というのは、本来決着をつけておくべき問題だったわけです。それが現在の問題になっているわけですから。それで、税調ですから、やはりその問題を引きずっていて、今、NPO法人や中間法人の問題と一緒になって議論になっているわけですから、基本的にはその引きずっている流れをきちんと踏まえておかなければいけないと思います。

委員

委員がずっと収益事業の話をされていますが、課税対象としてどういうふうに捉えるかということぐらいは、まとめる方向でできると思うのですけれども、登録法人になりますと、今度はどこの機関がやるかというまた別のものが出てきますので、その議論を待っていますと、ちょっと心細いところがありますので、いずれにしても努力して、まとめられるところはまとめて、皆さんにもう一回議論していただくような形をとりたいと思います。

委員

今の座長のご発言の確認ですけれども、登録機関をどこがするかということについては、とりあえずオープンだというふうに理解してよろしいでしょうか。もし次回何か原案が出るのであれば、やはり事前に議論したほうがいいのではないかと思います。

委員

そうですね。原案が出るかどうかもわかりませんけれども、まあ、オープンと言ってよろしいというか、オープンと言わざるを得ないというか……。また内閣官房のほうの流れとも情報を交換しながらやっていきたいと思います。

事務局

登録機関のお話は、むしろ内閣官房がどういうふうにお考えになっているかとか、そういうことが重要だと思うのですが、ただ、課税庁で一番気になるところは、法人自体を課税・非課税のところはまさに調査をして、申告書がどう出てくるか。その申告書が出ないとどうしようもないので、今、法人課税課長が言ったように、人格なき社団等というのは出して来ない限りわからない。したがって、情報でしかわからない。法人格を与える以上は、申告という形をぜひとっていただかないと、確認のしようがないということが1つ。しかしそこははっきり言えば、事前に登録していただくようなもので構わないのですが、ただ1点、寄附を非課税にしますというようなものを入れると、これは善意の第三者か、悪意の第三者かわからない人のいわゆる寄附金が控除になってしまうわけです。そうすると、課税庁は、あとで気づいてもそこには手が及ばないという問題があって、非常に事後チェックではここが絡んでくると難しくなるという点だけは、ご理解しておいていただきたいと思います。要するに、法人格のほうは、あとから追徴課税とかそういうことができるわけです。ある委員が言われたようなところなんかも可能なわけですが、第三者の善意の人、詐欺行為でやられる方もいるし、加担者もいるし、ここをどうするかという問題は、課税当局としては若干気になるということだけ知っておいてください。

委員

よろしいでしょうか。

ちょっと先ほどの委員の意見がわからないのですけれども、形式論と言われたのですが、まず非営利法人全体で課税対象をどのぐらいにするか、こちらの話と、登録した場合の取扱いは、またこれ違うと思うのですよね。どういうご意見なのでしょうか。

委員

そういうふうに言われてしまいますと、私もよけい混乱するのですが、要するに、問題の置き方としては、原則をどっちに置いておいて、例外として何を認めるかということで、ある意味で挙証責任を、非常に簡単にいえば法人側が持つのか、課税主体側が持つのかということになると思うのです。そうだとすると、それはどのぐらい有効に、かつ、例えば法人側に容易に簡易に例えば挙証ができるのかとか、できないのかとか、そういうことの具体的なイメージがわいてこないと、そもそもどちらに挙証責任を負わせるべきかという議論が見えないという、そういうことなのですけども。あまりはっきりしていませんか。具体的な例か何か考えたほうがいいでしょうか。

委員

それはなかなか難しいと思います。レベルでは大体何段階目のお話を……。いわゆる非営利法人一般の話なのか、そうではなくて特に登録する制度の問題について言っておられるのか、そこあたりなんですが。

委員

例えば、原案というか、財務省側の案というのは、非営利法人全体を広く縛ってしまえという考え方ですよね。そうだとすると、いい法人といいますか、NPO法人みたいなものは登録法人に行かざるを得ない。行きたいと思うわけですね。その行くときにどのぐらい簡単に行けて、それで、そのときに誰がどうするかということによって、法人側としてはどのぐらい簡単に登録法人でいわば非課税であることを認めてもらえるかどうか。これはまさにチェック機関とか登録機関の制度のあり方にかなり依存して決まってくるので、そのことをあまりイメージがないままに、どっちがいいでしょうねという議論をしても、あまり生産性がないのではないですかということを申し上げているのです。

つまり、実効性を持ちつつ、いい法人と悪い法人を仕分ける仕組みというのは、単に原則のところは非課税ですか、課税ですか、という議論をするだけではなくて、執行がどの程度、どういう形で行われるかというイメージがない限りは、議論できない。少なくとも私にはわかりにくい。よくわからないという率直な印象を持っているのですけれども。

委員

私はまだ理解しきれていないところがありますけれども、あとでまた事務局の解説なども伺いながら確認してみます。

それでは、今日はちょっと時間を超過いたしましたけれども、終わりにさせていただきたいと思います。

次回は3月4日、火曜日の午後2時ということでお願いいたします。どうもありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。

非営利法人課税ワーキンググループ